JP3231184U - 治療対象に応じて調整可能な吸引装置及び歯科用負圧洗浄吸引システム - Google Patents

治療対象に応じて調整可能な吸引装置及び歯科用負圧洗浄吸引システム Download PDF

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Abstract

【課題】歯の破損程度、根管の長さ及び洗浄針の長さに応じて調整することができ、治療効果の向上、及び医師の操作の負担軽減に寄与する治療対象に応じて調整可能な吸引装置を提供する。【解決手段】吸引装置は、第1管状部1、第2管状部2及び分岐管部3を備え、第1管状部の第1端部と第2管状部の第1端部とが接続され、第1管状部と第2管状部とが連通し、分岐管部は、第1管状部から延伸するとともに、第1管状部に連通し、分岐管部の、開口部を有する自由端は、負圧提供装置に接続可能に構成され、少なくとも第2管状部は、長さが根管及び洗浄針6の長さに応じて調節できるように構成されている。【選択図】図1

Description

本考案は、医療機器の技術分野に属し、具体的には吸引装置及び歯科用負圧洗浄吸引システムに関するものである。
歯髄疾患及び根尖周囲疾患は口腔科においてよく見られる多発性の疾患であり、根管治療が一般的な治療方法である。根管治療は、機械的及び化学的方法を通じて根管内の感染物を除去するものであり、治療過程は、根管形成(機械的準備)、根管洗浄、根管充填の3つの部分に分けられる。根管は複雑であるため、機械的準備を行っても根管壁表面の35%は準備が行き届かず、感染源を完全に除去することはできない。そのため、頻繁且つ大量の洗浄及び吸引が必要になる。
現在の一般的な洗浄方法は正圧洗浄であるが、これは、感染物及び洗浄液が根尖孔から押し出され、気腫を引き起こしたり、患者が術中及び術後に痛みを感じたり、感染物が根尖の軟組織に入ることによって根管治療の失敗を招いたりする虞がある。
また、現在は排唾管で吸引を行うことが一般的であるが、吸引時に排唾管を患歯の歯冠表面やその周囲に置くと、洗浄液が粘膜に接触して粘膜に刺激を与える可能性がある。さらに、歯髄炎のため抜髄すると、根管内で大量に出血して術野がぼやけてしまうため、洗浄、唾液の吸引、エアーによる局所的な乾燥を繰り返す必要があるが、このような作業は時間と手間がかかり、さらには唾液及び血液が飛散して交差感染を起こしやすい。また、その後のポストクラウンによる修復では、ポスト孔内に注入された消毒液やエッチング剤を完全に取り除くことが難しい。
従来技術の吸引装置には、作業位置が調整できないために、歯冠の欠損が大きい歯には適していないものがある。また、一部の負圧洗浄システムの吸引装置は、チューブが太いため、根管の機械的準備において使用できず、さらに根管を機械的準備により太さ0.35mm、テーパー度0.04にした後でないと、チューブを根管の根尖部に配置することができないため、使いにくく、洗浄チューブを複数回取り替える必要もある。
従来技術における問題に鑑み、本考案は、治療対象に応じて調整可能な吸引装置を提供し、該吸引装置は、必要な場合に負圧によって液体を吸引して除去するために、口腔治療機器に関連する負圧提供装置に接続可能に構成されている。前記吸引装置は、第1管状部、第2管状部及び分岐管部を備え、前記第1管状部の第1端部と前記第2管状部の第1端部とが接続されることによって、前記第1管状部と前記第2管状部とが連通し、前記分岐管部は、前記第1管状部から延伸するとともに、前記第1管状部に連通し、前記分岐管部における開口を有する自由端は、前記負圧提供装置に接続可能に構成されている。少なくとも前記第2管状部は、治療対象に応じて長さが調整できるように構成されている。
好ましくは、前記第1管状部の第2端部に密閉部材が設けられ、前記密閉部材は弾性を有するとともに、医療用針が前記密閉部材に刺入されて前記第1管状部及び/又は前記第2管状部に進入できるように構成されている。
好ましくは、前記第1管状部の長さが25mm以下である。
好ましくは、前記第2管状部が管状構造に形成されている。第2管状部は、径方向寸法が均一であっても不均一であってもよい。
好ましくは、前記第2管状部の第2端部は、圧力をかけられると治療予定部位に当接し密着するように構成され、それにより液体が前記第2管状部の第2端部の開口から前記第2管状部に流入し、さらに前記分岐管部を介して除去される。
好ましくは、前記分岐管部が前記第1管状部の第2端部に向かって傾斜している。
本考案は、洗浄針及び上記吸引装置を備えた歯科用負圧洗浄吸引システムをさらに提供する。前記吸引装置が前記洗浄針の外周側に着装されることにより、前記洗浄針の少なくとも一部分が前記吸引装置の内部空間に位置し、前記吸引装置はまた、前記分岐管部を介して外部の負圧提供装置に接続することができ、それにより前記吸引装置の内側壁と前記洗浄針の外側壁との間の空間により液体が流通する通路が形成され、第2管状部の第2端部が治療予定部位に当接するように構成されることにより、前記洗浄針から流出した液体が前記治療予定部位から前記通路を介して負圧によって吸引され、除去される。
好ましくは、前記歯科用負圧洗浄吸引システムにおいて、前記分岐管部は、前記自由端が前記第1管状部の外側壁と面一になるように構成されている。
前記吸引装置はサイズが調整可能であり、洗浄針に対する配置位置も調整可能であって、歯及び根管の長さ、歯冠と歯根の破損程度及び洗浄針の長さに応じて調整することができ、調整後も安定して保持及び固定することができる。そのため、前記吸引装置は、同じ歯の異なる根管又は複数の歯に用いることができ、治療時に吸引装置を取り替える必要がない。
歯科用根管負圧洗浄吸引システムでは、吸引装置が洗浄針の外周に着装され、治療時に第2管状部の第2端部を治療予定部位に当接させることによって、1種類の器具で片手操作により洗浄を完了し、洗浄液を瞬時に吸引して除去することができる。また、感染物を迅速に除去し、感染物への暴露を防止することができる。また、術野を明確にし、チェアサイドでの操作時間を短縮し(即ち、患者の診察時間を短縮し)、同時にエアー吹きつけによる局所乾燥を減少又は回避することができ、それによって、飛沫の形成と交差感染を回避する。該歯科用根管負圧洗浄吸引システムを利用することで、負圧によって洗浄液を迅速に除去することができ、洗浄液(例えば、根管治療で最もよく使用されるNaClO溶液)が口腔に入って粘膜を刺激又は損傷させるのを防ぎ、治療の快適性及び安全性を向上させる。負圧吸引は、また、感染物と洗浄液による根尖孔への衝撃を防止して、術中及び術後の痛みを減少することができ、治療効果を向上させる。
また、前記吸引装置及び歯科用根管負圧洗浄吸引システムは構造が簡単であり、歯の内部の根管口に接触するレベルまで小さく精巧に設計でき、治療する根管の長さに応じて、洗浄針が根管に入る長さを調整することができる。それによって、根管の解剖学的構造において最も複雑で不規則な根尖側1/3の箇所も十分に洗浄することができる。本考案の吸引装置は、特に残根を含む歯の欠損が比較的大きい歯に用いられ、不快感を引き起こさず、歯科用ラバーダムの代替品として適している。
本考案の吸引装置及び歯科用負圧洗浄吸引システムはまた、超音波振動洗浄、音波振動洗浄、レーザ振動洗浄を含む補助的洗浄機器及び根管の機械的準備用機器と合わせて使用することができる。吸引装置の自由端が歯髄腔内の髄室上部に近い位置に配置され、洗浄針が吸引装置内部から一定の長さで延出し、針先が髄室の中部又は下部に近い位置となるように、トリミングなどの方法によって、第1管状部及び/又は第2管状部の長さを調整する。吸引装置は、補助的洗浄吸引機器又は根管の機械的準備用機器に取り付けて使用することができる。洗浄と同時に吸引を行うことで、根管及び髄腔内に洗浄液を満たすことができると共に、必要時には迅速に洗浄液を除去することができ、超音波、音波及びレーザ振動洗浄又は機械的準備などの操作時に、歯の根尖に生じる過大な圧力を軽減し、液体及び感染物の溢出を防止し、術中及び術後の痛みを減少させ、治療効果を向上させることができる。
本考案の吸引装置及び歯科用負圧洗浄吸引システムを使用することで、洗浄しながら洗浄液を瞬時に吸引して除去できる。洗浄液の洗浄作用を十分に発揮させつつ、洗浄液による悪影響を効果的に低減することができ、また、術野を明瞭に維持できるようにし、チェアサイドでの操作時間を減らすことができる。それによって、歯科診療及び治療における安全性及び効率を向上させる。
図1は、吸引装置の例示的な構造模式図であり、組み付け又は接続しようとする洗浄針及び吸引装置を示す。 図2は、実施例1において、図1に示す吸引装置を、根尖性歯周炎により近心の歯が頸縁まで欠損した下顎の永久第1大臼歯の治療に用いたことを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本考案を実施するための形態について詳細に説明する。考案を実施するための形態は、本考案の技術構想を例示的に説明するものに過ぎず、本考案の範囲はこれに限定されない。
図1は本考案の例示的な吸引装置を示す。該吸引装置5は、必要な場合に負圧によって液体を吸引して除去するために、口腔治療機器(例えば、口腔科の治療椅子)に関連する負圧提供装置又は独立した負圧提供装置に接続することに適したものとなっている。
図1に示すように、吸引装置5は、第1管状部1、第2管状部2及び分岐管部3を備えている。第1管状部1の第1端部と第2管状部2の第1端部とが接続されることによって、第1管状部1と第2管状部2とが緊密に接続され流体連通する。第1管状部1と第2管状部2は別体であっても、一体成形されたものであってもよいが、一体成形されたものであることが好ましい。分岐管部3は、第1管状部1の側部から外側に延伸するとともに、第1管状部1に連通している。
第1管状部1の上流端(即ち、第2端部)には密閉部材4が設けられている。密閉部材4は弾性を有するとともに、医療用針(例えば、洗浄針6)が該密閉部材4に刺入され貫通して、第1管状部1及び第2管状部2の内部空間に進入できるように構成されている。
密閉部材4はゴム栓又はラテックス栓から選択されることが好ましい。ゴム栓又はラテックス栓は弾性及び密封性に富んでいるため、洗浄針6を密閉部材4に刺入しても、洗浄針6自体が刺入によってできた小さな穴を塞ぎ、第1管状部1の第2端部を良好に密閉又は密封することができる。そのため、液体が第2端部から流出又は漏出することがない。洗浄針6を密閉部材4に刺入して吸引装置5に進入させる際、吸引装置5を付勢して移動させると、洗浄針6と吸引装置5との相対位置を柔軟に調整することができる。吸引装置5の自由端(例えば、第2管状部2の第2端部)が治療予定部位(例えば、根管口10)に過不足なく当接し、且つ洗浄針6が吸引装置5の外部に延出する長さ(即ち、洗浄針6が歯根根管内に延びる長さ)が予定の長さに達した時に付勢を停止すれば、吸引装置5と洗浄針6との相対位置を安定して保持することができる。すなわち、密閉部材4は、第1管状部1の第2端部の開口を密閉又は密封して、該端部から液体が流出しないようにすると共に、洗浄針6及び吸引装置5を組み付ける際には、洗浄針6と吸引装置5とを安定して相対的に位置決めする。これにより、吸引装置5の作業位置を柔軟に調節するという目的を達成すると共に、治療対象部位に対して吸引装置5を安定して位置決めできるようにすることで、様々な患者又は患歯に応じて、吸引装置の作業位置を調整するという目的を達成する。
密閉部材4は、第1管状部1の、分岐管部3の延伸起点よりも上流に位置し、第1管状部1の第2端部を密閉すると共に、第1管状部1と分岐管部3との連通を妨げないように構成されている。吸引装置5と洗浄針6とを組み付けると、密閉部材4は洗浄針の尾部7と分岐管部3の延伸起点との間に位置する。位置決めの安定性を高めるために、隣接する2つの密閉部材4を設けてもよい。
吸引装置5の自由端(例えば、第2管状部2の第2端部)には、例えば根管口10の周縁や歯髄腔18、又は歯冠表面などに当接するよう構成された開口が設けられており、この管状構造と開口縁部が柔軟に変形して、(例えば、根管口10の)周縁に密着することによって、第2端部と周縁との間の隙間が可能な限り小さくなるか、全くなくなり、その結果、液体が該隙間から流出又は漏出することはほとんどないか、全くなくなる。その他の方法(例えば、手持ち)で吸引装置5を(例えば、歯髄腔18に)位置決めしてもよく、該吸引装置5の自由端を洗浄液の液体表面に配置し、液面に密着させて密封することによって負圧吸引を行う。
第1管状部1及び/又は分岐管部3は、管状構造に構成されてもよい。第1管状部1の長さL(図1を参照)は25mm以下であり、20mm以下であることが好ましく、根管口に配置して吸引を行う際は、3.5〜5.5mmであることが好ましく、製品の製造性に影響を与えない前提で、操作者の視野を遮らないという観点から、第1管状部1の長さは短いほど好ましい。第1管状部1の外径及び内径は特に限定されないが、操作者の視野を遮らないという観点から、製品の製造性に影響を与えない前提で、第1管状部1の外径はできるだけ小さいことが好ましい。第1管状部1の内径、特に第1管状部1の第1端部(即ち、第2管状部と接続される部分)及び第1管状部1と分岐管部3とが連通する部分は、内径が大きいほど好ましく、それによって十分な吸引力を確保し、廃液を迅速に除去する。
第2管状部2は管状構造に形成され、その第2端部(即ち、治療部位に当接する端部)と接触箇所の外径は15mm以下である。根管口に配置して吸引を行う際は、該外径は4mm以下であり、3.5mm以下又は3mm以下であることが好ましく、歯の表面又は髄腔口或いは髄腔内に配置する際は、該外径は15mm以下であることが好ましい。第2管状部2は、径方向寸法が均一であっても不均一であってもよい。径方向寸法が不均一である場合、第2管状部2は、テーパー状や、内径の大小が交互になった構造 、又は任意の他の適切な形状を有する管状部であることが好ましい。製品の製造性に影響を与えない前提で、第2管状部2の内径は大きいほど好ましく、これによって吸引力が大きくなり、廃液が迅速に除去されるようにする。
第1管状部1、第2管状部2及び分岐管部3は、長さが調整できるように構成され、柔軟性があってよく、それにより変形して、彎曲する洗浄針6(図2を参照)の形状に適応することができる。第1管状部1及び/又は第2管状部2は、裁断によって長さの調整ができるように構成されている。この場合、歯と根管の長さ、歯冠や歯根の破損程度の違い、及び洗浄針の長さに応じて、吸引装置を調整することができる。吸引装置の自由端(例えば、第2管状部2の第2端部)を根管口10の周縁又は洞(sinus)など治療する硬軟組織の部位に緊密に当接させるか、或いは歯の髄腔内の洗浄液の液面に密着させて配置することによって、負圧吸引を行う際に効果的に密閉されるようにする。
第1管状部1、第2管状部2及び/又は分岐管部3は、例えば、ラテックスチューブ、シリコンチューブ、ゴムチューブ、医療用PVCソフトチューブ又はポリプロピレン製の医療用チューブであってよいが、これらに限定されない。第1管状部1、第2管状部2、分岐管部3は、透明又は半透明であることが好ましく、透明度が高いほど好ましい。
角度が小さいほど、吸引された液体が負圧方向に流動する際の抵抗が小さくなり、負圧の吸引力が大きくなるという観点から、分岐管部3は第1管状部1の第2端部側に傾斜するように構成されていることが好ましく、傾斜角度は0°〜90°の範囲内であることが好ましい。
分岐管部3の自由端の開口には、外部の負圧提供装置に接続するための接続口15が設けられている。分岐管部3の長さは特に限定されない。実施形態の1つの変形例では、該分岐管部3は、分岐管部3の自由端が第1管状部1の外側壁と面一になるように構成されている。治療の場面によっては、洗浄針6を、分岐管部3を介して第2管状部2の中に進入させ、針先を第2管状部2の第2端部から延出させることで、治療部位に接触させることができる。
分岐管部3の、接続口15よりも上流の位置に、分岐管部3の管径を調節するための調速つまみ14が設けられており、実際の必要に応じて負圧吸引の流速を調節する。
吸引装置5は、第1管状部1及び/又は第2管状部2を介して洗浄針6の外周側に着装されると共に、分岐管部3を介して外部の負圧提供装置に接続することができる。吸引装置5の内側壁と洗浄針6の外側壁との間に形成された空間により、液体が流通する通路が構成され、洗浄針6から流出した液体は、該通路を介して負圧によって吸引され、除去される。洗浄針6の少なくとも一部分は、吸引装置5の内部空間に収容される。
吸引装置5を治療に用いる際は、第2管状部2の第2端部を、治療部位に対して適切な位置(例えば、治療する歯の根管口10又は歯髄腔18)に当接させ、洗浄針6を第2端部から延出させることによって、針先部分が治療する歯の根管又は歯髄腔に進入し、洗浄針6から根管内又は歯髄腔18内に入った液体(例えば、洗浄液)が、第2管状部2の第2端部の開口から第2管状部2に流入し、その後分岐管部3を介して除去される。
本考案は、歯科用負圧洗浄吸引システムをさらに提供し、該歯科用負圧洗浄吸引システムは、上記吸引装置5及び洗浄針6を備えている。吸引装置5は、第1管状部1及び/又は第2管状部2を介して洗浄針6の外周側に着装されることにより、洗浄針6の少なくとも一部分が第1管状部1及び/又は第2管状部2の内部空間に位置する。
上記吸引装置5又は歯科用負圧洗浄吸引システムはまた、根管補助洗浄機器又は機械的準備用機器と合わせて使用できるように構成することができる。
吸引装置5又は歯科用負圧洗浄吸引システムは、根尖洞、歯周組織、外科創傷、手術部位などの洗浄と吸引に用いることができる。
上記吸引装置5及び歯科用負圧洗浄吸引システムの吸引効果を評価するために、本考案の考案者は、先ず体外の吸引実験を行った。吸引装置5の分岐管部3を歯科用総合治療機器(米国A−dec200)の強吸引に接続した後、第2管状部2の第2端部を蒸留水の入ったカップの液面下に配置し、負圧吸引を起動した。吸引装置の吸引速度は97.5±4.5ml/minに到達可能であり、臨床で推奨される3.4〜10ml/minの根管洗浄速度をはるかに上回った。
考案者はまた、抜去歯の体外の根尖周囲組織の模型 を使用して、根尖から溢出する洗浄液の体積を比較した。具体的な方法は以下のとおりである。針を根尖から1mmのところまで根管内に挿入し、4ml/minの速度で洗浄した。溢出量は、従来の排唾管吸引のグループが19±3μLであり、負圧吸引装置のグループが7±2μLであった。この結果から分かるように、本考案の負圧吸引装置は、根尖からの洗浄液の溢出量を著しく低下させることができる。
以下、当業者が本考案の技術構想をさらに理解できるよう、図2を参照しながら上記歯科用根管負圧洗浄吸引システムを歯科疾病の治療に使用した実施例について説明する。
(実施例1)
明確に示すために、図2の歯及び吸引装置の拡大比率を、歯科用根管負圧洗浄吸引システムの他の部分よりも大きくしている。
本実施例は、根尖性歯周炎を患う下顎の永久第1大臼歯の病例に関するものであり、図2に示すように、患歯は欠損面積が大きく、近心の歯根は歯頸線16以下まで破損していた。該患歯は欠損が大きく、吸引装置5の第1管状部1及び第2管状部2は、長いものが必要であった。
本考案の吸引装置を用いて吸引を行う際に、先ず、歯科用根管長測定器を使用して根管の作業長を測定し、吸引装置5からの針の延出長さを決めた。この時、洗浄針6の長さ及び歯の根管の長さに基づき、吸引装置5の縦方向の長さを決定し、これに基づいて裁断などの方法で第2管状部2の長さを適切な長さに調整した。図1の矢印が示す方向に従って、第1管状部1及び第2管状部2によって構成された吸引装置5と洗浄針6とを組み付けた。ここで、洗浄針6は密閉部材4に刺入され、第1管状部1及び第2管状部2から一定の長さ延出している。吸引装置5は、全体が密閉部材4と洗浄針6のみによって相対的に組み付け及び位置決めされているため、密閉部材4(例えば、ゴム栓)の弾性によって、必要時に洗浄針6の針管に対して移動することができ、位置を固定することもできる。洗浄針6の尾部7の給液端と給液装置8とを接続し、吸引装置5の分岐管部3を、接続口15を介して口腔治療椅子の強吸引に接続した。
治療にあたって、操作者はハンドル部9のスイッチ13を押し、洗浄液を給液装置8及び洗浄針6から根管の作業長まで押し出し、根尖側1/3の位置を洗浄した。洗浄と同時に、口腔治療椅子の強吸引により、洗浄後の洗浄液が第2管状部2及び第1管状部1を経由して分岐管部3に流入し、さらに吸引装置5から排出された。治療中の洗浄及び洗浄液吸引における液体の流動方向は、図2の矢印が示すとおりである。
一般に、各根管の長さは同じではないため、1つの根管の洗浄が完了して別の根管に移る際、洗浄針6の針管が根管に入る深さが異なる、即ち、歯に対する根管の位置に応じた変更が必要である。そのため、吸引装置5は、第2管状部2の第2端部が根管口に当接するまで、密閉部材4と共に針管の軸方向に沿って摺動し、それによって、歯及び/又は洗浄針6に対する吸引装置5の位置を変え、洗浄を継続する。吸引装置5の位置と長さを柔軟に調整することによって、吸引装置5と洗浄針6のセットを使用して、同じ歯の、長さの異なる根管の洗浄を完了することができるため、便利でスピーディーである。
以上の具体的な実施形態及び図面は例示的なものに過ぎず、本考案の思想をよりよく理解するために用いられるものであり、本考案の保護範囲を限定するものではない。当業者は、本考案の精神から逸脱しない前提で本考案を変更することができる。本考案の精神から逸脱しない前提で行われるいかなる改良又は変更も、本考案の保護の範囲内に属する。

Claims (8)

  1. 治療対象に応じて調整可能な吸引装置であって、必要な場合に負圧によって液体を吸引して除去するために、口腔治療機器に関連する負圧提供装置に接続可能に構成され、
    前記吸引装置(5)は、第1管状部(1)、第2管状部(2)及び分岐管部(3)を備え、前記第1管状部(1)の第1端部と前記第2管状部(2)の第1端部とが接続されることによって、前記第1管状部(1)と前記第2管状部(2)とが連通し、前記分岐管部(3)は、前記第1管状部(1)から延伸するとともに、前記第1管状部(1)に連通し、前記分岐管部(3)における開口を有する自由端は、前記負圧提供装置に接続可能に構成され、少なくとも前記第2管状部(2)は、治療対象に応じて長さが調整できるように構成されていることを特徴とする、吸引装置。
  2. 前記第1管状部(1)の第2端部に密閉部材(4)が設けられ、前記密閉部材(4)は弾性を有するとともに、医療用針が前記密閉部材(4)に刺入されて前記第1管状部及び/又は前記第2管状部に進入できるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸引装置。
  3. 前記第1管状部の長さが25mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸引装置。
  4. 前記第2管状部が管状構造に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸引装置。
  5. 前記第2管状部(2)の第2端部は、治療予定部位に当接し密着するように構成され、液体が前記第2管状部(2)の第2端部の開口から前記第2管状部(2)に流入し、さらに前記分岐管部(3)を介して除去されることを特徴とする、請求項1に記載の吸引装置。
  6. 前記分岐管部(3)が前記第1管状部(1)の第2端部側に傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の吸引装置。
  7. 洗浄針を備えた歯科用負圧洗浄吸引システムであって、
    前記歯科用負圧洗浄吸引システムは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸引装置を備え、前記吸引装置(5)が前記洗浄針(6)の外周側に着装されることにより、前記洗浄針(6)の少なくとも一部分が前記吸引装置(5)の内部空間に位置し、前記吸引装置(5)はまた、前記分岐管部(3)を介して外部の負圧提供装置に接続可能であり、前記吸引装置(5)の内側壁と前記洗浄針(6)の外側壁との間の空間により液体が流通する通路が形成され、第2管状部(2)の第2端部が治療予定部位に当接するように構成され、前記洗浄針(6)から流出した液体が前記治療予定部位から前記通路を介して負圧によって吸引され、除去されることを特徴とする、歯科用負圧洗浄吸引システム。
  8. 前記分岐管部(3)は、前記自由端が前記第1管状部(1)の外側壁と面一になるように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の歯科用負圧洗浄吸引システム。
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