JP3230982B2 - 微少量電解加工方法及び装置 - Google Patents

微少量電解加工方法及び装置

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JP3230982B2
JP3230982B2 JP02034896A JP2034896A JP3230982B2 JP 3230982 B2 JP3230982 B2 JP 3230982B2 JP 02034896 A JP02034896 A JP 02034896A JP 2034896 A JP2034896 A JP 2034896A JP 3230982 B2 JP3230982 B2 JP 3230982B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対向配置された電
極工具と被加工物との間に高速で流動する電解液を介し
て通電することにより被加工物の電解加工を行うように
した微少量電解加工方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電解加工は、電解溶出を被加工物の所要
の部位に集中することによって行われるものであるが、
例えば図11に示されているような電解加工装置が従来
から知られている。すなわち図11に示されているよう
に、ベース1上に絶縁物2を介して設置された治具3に
被加工物4が載置されるとともに、当該被加工物4に近
接するようにして電極工具5が対向配置される。そして
上記被加工物4が、図示を省略した電解加工用電源の正
極(+極)側に接続されるとともに、電極工具5が負極
(−)側に接続される。
【0003】また、外部に蓄えられた電解液6は、電解
液供給手段としてのポンプ7によりフィルター8を介し
て上記電極工具5と被加工物4との隙間に供給され、電
極工具5と被加工物4との間に電解液6を流動させなが
ら両者間に通電が行われる。そしてこれにより、被加工
物4が電気化学的に溶出して被加工物4の電解加工が行
われるようになっている。
【0004】このとき、上記電極工具5には送り装置1
0が付設されており、被加工物4における加工の進行に
伴い電極工具5が被加工物4側に送り込まれていくこと
によって両者間に所定の加工間隙(平衡間隙)が維持さ
れ、結果的に、電極工具5の形状を反転した形状が被加
工物4に形成されるようになっている。そして、このよ
うな電解加工によって発生した気体は、ファン11によ
って外部に排気される。またジュール熱により昇温され
た電解液中には種々の電解生成物が含まれることとなる
が、使用済み電解液12は遠心分離器13を通して清浄
化された後、再び電極工具5と被加工物4との間に供給
されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を有する従来装置では、電極工具5を被加工物
4側に送り込みながら加工を行っているため電極工具5
の送り込み誤差が必ず生じ、そのため平衡間隙を常時維
持することが困難となって加工量を高精度に制御するこ
とができないという問題がある。またこのような加工精
度の問題は、加工時に生成するジュール熱や気体等の影
響によって電解液の流動方向に加工量が異なってしまう
ことからも生じている。従って、平衡間隙に基づいて加
工量を制御する従来の電解加工では、±30μm程度の
誤差は当然生じるものとして考えられており、そのため
電解加工は狭い範囲に限定して適用されているのが現状
である。
【0006】これに対して本発明は、微小量の加工深さ
においてサブミクロン程度の高精度加工を容易に行うこ
とができるようにした微少量電解加工方法及び装置を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明にかかる微少量電解加工方法は、電解加工用電源
の負極及び正極にそれぞれ接続された電極工具と被加工
物とを近接して対向配置するとともに、これら電極工具
と被加工物との間に電解液を流動させながら通電するこ
とによって上記被加工物を溶出させつつ加工を行う微少
量電解加工方法において、上記電極工具及び被加工物を
所定の加工間隙をもって相対的に不動状態に固定する
とにより、上記加工間隙を拡大させながら被加工物の加
工を行う方法であって、前記電解加工用電源から与えら
れた総電気量を制御することによって被加工物の微少な
電解加工量を制御し、前記電極工具と被加工物との間の
通電電流値を計測して電流密度を求め、予め求めておい
た電流密度とミクロンオーダーの加工深さとの関係デー
タに基づいて前記総電気量を算出し、又は電解加工量の
制御を、電極工具と被加工物との間の通電を、目標加工
量に対応した総電気量を得るための総通電時間経過時に
停止して行う構成になされている。
【0008】また本発明にかかる微少量電解加工装置
は、電解加工用電源と、この電解加工用電源の負極及び
正極にそれぞれ接続されて互いに近接して対向配置され
た電極工具及び被加工物と、これら電極工具及び被加工
物の間に電解液を流動させる電解液供給手段とを有し、
上記電極工具と被加工物との間に通電して被加工物の電
解加工を行うようにした微少量電解加工装置において、
所定の加工間隙をもって相対的に不動状態に固定された
ことにより、上記加工間隙を拡大させながら被加工物の
加工を行う電極工具及び被加工物と、前記電解加工用電
源から与えられた総電気量を制御することによって被加
工物の微少な電解加工量を制御する加工制御手段と、を
備え、上記加工制御手段は、電極工具と被加工物との間
の通電電流値を計測して電流密度を求め、予め求めてお
いた電流密度とミクロンオーダーの加工深さとの関係デ
ータに基づいて加工に必要な総電気量を算出する電気量
演算手段を備え、又は加工制御手段は、電極工具と被加
工物との間の通電を、目標加工量に対応した総電気量を
得るための総通電時間経過時に停止して電解加工量を制
御する通電制御手段を備えた構成になされている。
【0009】このような構成を有する微少量電解加工方
法及び装置においては、電極工具を動かすことなく固定
したまま加工が行われることから、電極工具の送り込み
誤差による加工精度の低下が防止される。また電解加工
量と、その電解加工に要する総電気量との関係を利用し
て総電気量の制御が行われることから、加工深さが正確
に操作され高精度な電解加工が容易に行われるようにな
っている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、まず本発明の実施の形態に
かかる微少量電解加工装置を図面に基づいて説明する。
図1に示されているように、非導電性材料で形成された
中空状のハウジング21には、電解加工用のキャビティ
ーが略水平方向に延在するように設けられており、その
キャビティー内に、金属材料からなる平板状の被加工物
22が略水平状態にて固定されている。本実施形態にお
ける平板状被加工物22の材質としては、ステンレス鋼
(SUS304)又は銅が用いられている。
【0011】また、上記平板状被加工物22の上方側に
対向するようにして平板状電極工具23が略水平に固定
されている。上記平板状電極工具23の対向部分は、図
2に示されているように一対の電極露出部23a,23
aを除いて非導電性材料23bで覆われており、電極工
具23と平板状被加工物22との平行度が調整されるこ
とによって、上記各電極露出部23aと平板状被加工物
22とが全面にわたって均一な加工間隔を備えるように
構成されている。そしてこのように電極工具23の電極
露出部23aと平板状被加工物22とが所定の加工間隙
を介して対向されることによって電解加工部Aが形成さ
れている。この電解加工部Aにおける加工間隙は、本実
施形態においては0.1mmに設定されている。
【0012】さらに上記平板状被加工物22には、電解
加工用パルス電源24の正極(+極)から延出する接片
24aが接続されており、その接続経路の途中部位に、
前記電極工具23と平板状被加工物22との間の通電電
流値を検出する電流計25が設けられている。一方、前
記電極工具23に対しては、上記電解加工用パルス電源
24の負極(−)から延出する接片24bが接続されて
おり、その接続経路の途中部位に、電解加工用パルス電
源24のオン・オフを行う通電スイッチ26が設けられ
ている。本実施形態における上記電解加工用パルス電源
24の出力電圧は、電極工具23と平板状被加工物22
との間の通電電流密度が例えば40A/cm2となる電
圧に設定されている。
【0013】上記電流計25で検出された電極工具23
と平板状被加工物22との間の通電電流値は、電極工具
23と平板状被加工物22との対向面積とともに電流密
度を算出するデータとして用いられる。またそれにより
得た電流密度が所定の値となるように、電解加工用パル
ス電源24の出力電圧が設定されるとともに、この設定
出力電圧から、目標電解加工量を得るための総電気量す
なわち総通電時間が決定される。これらの各手法につい
ては後述する。
【0014】一方、前述した通電スイッチ26は、タイ
マー27からの指令によってオン・オフ動作が行われる
ように構成されている。具体的には、上述した目標電解
加工量を得るための総通電時間がタイマー27に設定さ
れ、このタイマー27からの指令信号により、総通電時
間の経過時に通電スイッチ26がオフ状態になされ遮断
される。そしてこのような総通電時間の制御によって平
板状被加工物22に浅い平面状の凹部が所定の深さにて
形成される。
【0015】また電解液貯蔵タンク30内には、NaN
O3(硝酸ナトリウム)を30重量%含有する電解液3
1が所定量蓄えられているとともに、この電解液貯蔵タ
ンク30とハウジング21との間に、電解液供給手段と
しての液供給管32及び液排出管33が接続されてい
る。このうち液供給管32は、電解液貯蔵タンク30か
らポンプ34を介して前記ハウジング21の上部図示右
側から当該ハウジング21の内部側に入り、略鉛直方向
下方に所定量延びてキャビティーの図示右端側に開口し
ている。また液排出管33は、キャビティーの図示左端
側からハウジング21の内部を略鉛直上方向に所定量延
び、ハウジング21の上部図示左側から電解液貯蔵タン
ク30に向かって延出している。すなわち、上記液供給
管32を通してハウジング21内に供給された電解液3
1は、平板状被加工物22の図示右側から当該平板状被
加工物22と電極工具23の電極露出部23aとの間の
電解加工部Aを通って、平板状被加工物22の図示左側
に抜け、そこから液排出管33を通して電解液貯蔵タン
ク30内に回収されるように構成されている。
【0016】一方、図3に示されているように、上記電
解加工部Aの入口部側及び出口部側には、圧力調整用の
リリーフ弁35,36がそれぞれ設けられているととも
に、これらの各圧力調整用リリーフ弁35,36に対し
て圧力計37,38が付設されている。そして、これら
の圧力計37,38が所定の値を示すように圧力調整用
リリーフ弁35,36が適宜操作され、それに伴って電
解加工部Aにおける電解液31の流速が所定の値に設定
されるように構成されている。本実施形態においては、
圧力計37が10kgf/cm2、圧力計38が1kg
f/cm2となるように設定されており、これによっ
て、加工間隙0.1mmの電解加工部Aにおける電解液
31の流速が、10m/sec前後の値に維持されてい
る。
【0017】このとき、上述した目標電解加工量を得る
ための総電気量すなわち平板状被加工物22に印加すべ
き電圧及び総通電時間は、予め求めておいた関係データ
に基づいて以下のような手法で決定される。
【0018】まず、前記電極工具23と平板状被加工物
22との間における通電電流の電流密度(A/cm2
と、その電流密度を得るための印加電圧すなわち電解加
工用パルス電源24の出力電圧(V)との関係を、平板
状被加工物22の材料、例えばステンレス鋼(図4)或
は銅(図5)ごとに各々予め求めておく。これら図4及
び図5に示されたデータ及び以下述べるその他の各デー
タは、加工材料ごとに数μm電解加工したときの測定値
の平均値を採用したものである。すなわち電解加工の進
行に伴い加工隙間が次第に拡大してくると、それに従っ
て加工速度が変化することとなるが、上記各データは、
当初の加工隙間(0.1mm)に対して微小量(10μ
m弱)だけ加工したときの値を平均して求めたものであ
る。
【0019】そして、平板状被加工物22としてステン
レス鋼(SUS304)を採用したときには、図4を用
いて、電極工具23と平板状被加工物22との間の通電
電流の電流密度(横軸;A/cm2)と、その電流密度
を得るための印加電圧(縦軸;V)との関係を求める。
すなわち図4から、電極工具23と平板状被加工物22
との間における通電電流の電流密度を40A/cm2
するには、電解加工用パルス電源24の出力電圧として
6Vを要することが解る。
【0020】ついで図6のように、電解加工用パルス電
源24の出力電圧すなわち平板状被加工物22への印加
電圧(横軸;V)と、単位時間当たりの加工深さ(縦
軸;μm/sec)との関係を予め求めておく。この図
6における平板状被加工物22への印加電圧と単位時間
当たりの加工深さとの関係から明らかなように、平板状
被加工物22への印加電圧を6Vに設定したときには、
単位時間当たりの加工深さが約8μmであることが解
る。
【0021】このように電流密度を固定して加工時間を
変化させれば、加工時間に対応して加工量すなわち加工
深さが変化することとなるから、本実施形態のように、
予め求めておいた各関係データに基づいて電流密度を管
理すれば、目的の形状精度が得られることとなる。従っ
て、最終の加工量(加工深さ)は、加工に要した総電気
量を厳密に制御することによって数ミクロンの加工量を
サブミクロンオーダーの精度で制御可能となり、高精度
電解加工が容易に得られる。
【0022】さらに目標とする電解加工量と、この目標
電解加工量を得るための加工時間すなわち総通電時間と
の関係を、例えば図7に示されているように求めてお
く。この図7に示された関係データは、目標電解加工深
さ(縦軸;μm)と、加工時間(横軸;sec)との関
係を予め求めておいたものであって、前述した電解加工
用パルス電源24からの出力電圧のオン・オフ時間、電
解液の種類、電極工具23と平板状被加工物22とのギ
ャップ(加工間隙)量、及び印加電圧のそれぞれをパラ
メータとしている。
【0023】より具体的には、上記図7は、電解加工用
パルス電源24からの出力電圧のオン時間を5mse
c、オフ時間を45msecとした場合における電解加
工量と総通電時間(加工時間)との関係を示したもので
あって、この図7から、目標加工量(加工深さ)を10
μmとしたときに必要な加工時間は12秒であることが
解る。
【0024】このようにして求め設定した電解加工用パ
ルス電源24の出力電圧(6V)及び加工時間(12
秒)により、実際に加工を行った結果が図8に示されて
いる。すなわち図8においては、4枚の電極板P1,P
2,P3,P4が、加工域長さ10mm(P1先端からP4
後端まで)にわたり矢印で表した電解液の流れに沿って
並設されており、これら各電極板P1,P2,P3,P4に
よる実際の加工深さを、目標加工深さ10μmに対する
誤差として測定してみた。その結果は、電解液の流動方
向上流側から順に、+0.1μm、±0.0μm、−
0.2μm、0.2μmであり、サブミクロンオーダー
の極めて小さな加工誤差内に収まる結果となった。
【0025】次に、上述した電解加工装置を用いた本発
明にかかる電解加工方法の形態を説明する。まず、上述
した電解加工装置のハウジング21内に、電極工具23
と平板状被加工物22とを平行に対向するように固定
し、所定の加工間隙(0.1mm)を有する電解加工部
Aを形成する。そして通電スイッチ26のオン動作が行
われて電解加工用パルス電源24から上記電解加工部A
に対して所定のパルス電圧が与えられる。このようなパ
ルス電圧を用いれば、電解加工で生成するジュール熱や
水素ガス等の気体の蓄積を抑制することができ、流路方
向の加工量の「ばらつき」が直流の場合よりも減少して
加工精度を向上させることができる。
【0026】ついで、前記電解加工用パルス電源24か
らの出力電圧及び総通電時間(加工時間)が、前述した
ように予め求めていた各関係データ(図4乃至図7参
照)に基づいて決定され、電解加工用パルス電源24に
対して例えば出力電圧6Vが設定されるとともに、タイ
マー27に対して例えば総通電時間(加工時間)12秒
が設定される。そして、電解加工用パルス電源24から
の電圧の出力開始によって電解加工が開始されるととも
に、加工開始後、上記総通電時間を経過したときにタイ
マー27からの信号によって通電スイッチ26がオフさ
れ、これにより加工を終了する。
【0027】このような実施形態にかかる微少量電解加
工方法及び装置においては、電極工具23を動かすこと
なく固定したまま加工が行われることから、電極工具2
3の送り込み誤差による加工精度の低下が防止される。
また電解加工量と、その電解加工に要する総電気量との
関係に基づいて総電気量が制御されるから、加工深さが
正確に操作され高精度な電解加工が行われるようになっ
ている。
【0028】なお上記実施形態では、電解加工量と、そ
の電解加工に要する総電気量との関係が略直線的な比例
関係にある範囲を利用して加工深さを制御しているが、
必ずしも直線的な比例関係を利用しなければならないも
のではなく、比例関係にない範囲を利用することも可能
である。
【0029】次に、上述した実施形態装置と同一の構成
物を同一の符号で表した図9にかかる実施形態装置で
は、電流計25で検出された電極工具23と被加工物2
2との間の通電電流値が、加工制御手段を構成する電気
量演算手段28に入力されている。この電気量演算手段
28では、上記電流計25で検出された電極工具23と
被加工物22との間の通電電流値、及び電極工具23の
電極面の対向面積から、電流密度が算出されるととも
に、この電流密度から、目標電解加工量を得るための総
電気量すなわち総通電時間及び印加電圧が演算されるよ
うになっている。この電気量計測手段28における演算
手法は、前述したものと同様であるので説明を省略す
る。
【0030】上記電気量演算手段28からは、目標電解
加工量を得るための総電気量すなわち総通電時間及び印
加電圧の設定指令信号が出力されることとなるが、総通
電時間の設定時間指令信号は、同じく加工制御手段を構
成する通電制御手段29に受けられている。加工制御手
段29には、タイマー27が設けられており、このタイ
マー27からの指令によって前述した通電スイッチ26
のオン・オフ動作が行われるようになっている。具体的
には、上記タイマー27による通電スイッチ26のオフ
動作が、上記電気量演算手段28により設定された総通
電時間の経過時に行われる。また印加電圧の設定指令信
号は、電解加工用パルス電源24に受けられており、こ
の設定指令信号で指定された印加電圧が、電解加工用パ
ルス電源24に設定されるように構成されている。
【0031】このような電解加工装置においては、まず
電解加工用パルス電源24の出力電圧が、所定の電流密
度を得るように設定され、この電解加工用パルス電源2
4からの通電電流値が、電流計25で常時検出される。
この電流計25で検出された電極工具23と平板状被加
工物22との間の実際の通電電流値は、加工制御手段を
構成する電気量演算手段28に入力され、この電気量演
算手段28において、電流計25で検出された実際の通
電電流値に基づいて電流密度が算出される。さらにこの
電流密度から、予め求めておいた関係データ(図4乃至
図7参照)に基づいて、加工に必要な総電気量すなわち
総通電時間が演算される。
【0032】そして、上記電気量演算手段28から出力
される総通電時間の設定信号により、通電制御手段29
に設けられたタイマー27に総通電時間が設定され、こ
れにより通電スイッチ26は、オン動作後の総通電時間
経過時に上記タイマー27から発せられる切替信号によ
ってオフされ、これにより加工が終了する。
【0033】このような実施形態にかかる装置によれ
ば、総通電時間(加工時間)及び印加電圧の制御が、自
動的かつリアルタイムで精度良く行われることとなり、
前述した微細電解加工が一層効率的かつ高精度に実行さ
れる。すなわち、電解加工用パルス電源24の出力電圧
値や、被加工物22と工具電極23との加工間隙(ギャ
ップ)や、電解液30の電導度等が、何らかの原因で予
定した値からずれてしまった場合には、電流密度が変化
して加工量に誤差を生じることとなるが、上述した実施
形態のような制御系を設けておけば、各設定値が常時自
動的に略一定に維持され、微細電解加工が極めて良好に
行われる。
【0034】次に、図10に示されている実施形態の電
解加工装置について説明する。本実施形態において、非
導電性材料で形成された中空状のハウジング41には電
解加工用のキャビティーが設けられており、そのキャビ
ティー内の軸方向(図示上下方向)略中央部分に、金属
材料からなる中空円筒状の被加工物42が固定されてい
る。
【0035】また上記円筒状被加工物42を軸方向に貫
通するようにして中実円筒状の電極工具43がハウジン
グ41に固定されている。上記電極工具43の軸方向
(図示上下方向)両端部分は、上記ハウジング41の軸
方向両端における閉塞壁41a,41bにそれぞれ固定
されており、当該電極工具43の軸方向略中央部分に形
成された電極露出部43a,43aが、上記円筒状被加
工物42の内周壁面42aに対向するように配置されて
いる。
【0036】すなわち上記電極工具43の外表面は、上
述した電極露出部43a,43aを除いて非導電性材料
43bで覆われており、当該電極工具43の電極露出部
23aが円筒状被加工物42の内周壁面42aに対して
全周にわたって均一な加工間隙を備えるように、電極工
具43と円筒状被加工物42との同軸度が調整されてい
る。そしてこのように電極工具43の電極露出部43a
と円筒状被加工物42の内周壁面42aとが所定の加工
間隙を介して対向されることによって電解加工部Bが形
成されている。この電解加工部Bにおける加工間隙は、
本実施形態においては0.1mmに設定されている。
【0037】さらに上記円筒状被加工物42には、電解
加工用パルス電源24の正極(+極)から延出する接片
24aが接続されており、その延出途中部位に、前記電
極工具43と円筒状被加工物42との間の通電電流値を
検出する電流計25が設けられている。一方、前記電極
工具43に対しては、上記電解加工用パルス電源24の
負極(−)から延出する接片24bが接続されており、
その延出途中部位に、電解加工用パルス電源24のオン
・オフを行う通電スイッチ26が設けられている。本実
施形態における上記電解加工用パルス電源24の出力電
圧は、電極工具43と円筒状被加工物42との間の工具
電極面上の通電電流密度が、例えば40A/cm2とな
る電圧に設定されている。
【0038】また、電解液貯蔵タンク30とハウジング
41との間を接続する電解液供給手段としての液供給管
52及び液排出管53のうち、液供給管52は、電解液
貯蔵タンク50からポンプ54を介して前記ハウジング
41の図示上側すなわち前記円筒状被加工物42の上部
側のキャビティー内に開口するように接続されていると
ともに、液排出管53は、ハウジング41の図示下側す
なわち前記円筒状被加工物42の下部側のキャビティー
内から電解液貯蔵タンク50に向かって延出しており、
上記液供給管52からハウジング41内に供給された電
解液51が、円筒状被加工物42の上部側から当該円筒
状被加工物42と電極工具43の電極露出部43aとの
間の電解加工部Bを通って、円筒状被加工物42の下部
側に抜け、そこから液排出管53を通して電解液貯蔵タ
ンク50内に回収されるように構成されている。
【0039】その他の構成は、前述した実施形態と同様
であるので、対応する構成物に対して同一の符号を付し
て説明を省略するが、このような実施形態装置において
も上記実施形態と同様な電解加工方法を実施することが
でき、同様な作用・効果を得ることができ、円筒状被加
工物42の内面に浅い円環状の凹部が所定の深さに形成
される。
【0040】なおこの場合には、電極工具43の電極露
出部43aと円筒状被加工物42とが、同心状に内外周
に位置において対向するように配置されているため、こ
れら両者の各対向面積どうしは、内周側及び周外側の配
置関係分だけ異なっている。従って、この両者の面積差
分だけ電流密度も異なることになるので、上述した目標
電解加工量を得るための総電気量すなわち円筒状被加工
物42に印加すべき電圧及び総通電時間を設定するに当
たっては、予め求めておいた関係データに対して、上記
両者の面積差に対応する補正を行うことが必要となる。
【0041】以上本発明者によってなされた発明の実施
形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定
されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々
変形可能であるというのはいうまでもない。例えば、上
述した実施形態では、通電スイッチ26のオン・オフ動
作をタイマー手段(符号27参照)によって行っている
が、電解加工用パルス電源24からの出力パルスをカウ
ントし、その総パルス数に基づいて通電スイッチ26の
オン・オフ動作を行わせるように構成することも可能で
ある。
【0042】また本発明は、上述したSUS材や銅以外
の金属材料に対する電解加工についても同様に適用する
ことができ、あらゆる種類の形状加工に対しても同様に
適用することができる。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる微少量
電解加工方法及び装置は、電極工具及び被加工物を所定
の加工間隙をもって相対的に不動状態に固定し、電極工
具を動かすことなく加工を行うことによって電極工具の
送り込み誤差による加工精度の低下を防止するととも
に、電解加工用電源から与えられる電気量を計測し、予
め求めた加工に要する総電気量と加工量との関係に基づ
いて被加工物の電解加工量を制御することによって最終
加工量を正確に得るように構成したものであるから、被
加工物への加工量を精度良く制御してサブミクロン程度
の高精度加工を容易に得ることができる。
【0044】従って本発明によれば、切削加工等のよう
な高コスト加工によらねばならなかった加工を電解加工
によって低コストで実現することができ、また転造加工
等ではできない形状も本発明にかかる電解加工によって
容易かつ高精度でしかも低コストで加工することができ
る。さらに高精度な加工が可能となることから、電解条
件を適宜制御することによって、1μRmax以下の表
面粗さの光沢面或は鏡面を得る等の表面仕上加工として
も電解加工を採用することが可能となり、電解加工の信
頼性及び応用性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる微少量電解加工装
置を表した原理的説明図である。
【図2】図1の装置に用いられている電極工具を表した
平面説明図である。
【図3】図1の装置に用いられている電解液の循環系を
表した系統説明図である。
【図4】加工材料としてステンレス鋼(SUS304)
を採用した場合についての電流密度と印加電圧との関係
を予め求めたデータ線図である。
【図5】加工材料として銅を採用した場合についての電
流密度と印加電圧との関係を予め求めたデータ線図であ
る。
【図6】加工材料としてステンレス鋼(SUS304)
を採用した場合についての電圧と単位時間当たりの加工
深さとの関係を予め求めたデータ線図である。
【図7】所定の条件下における加工時間と加工深さとの
関係を表した予め求めたデータ線図である。
【図8】流れ方向の位置による加工量の差異を目標値1
0μmからの誤差として測定した結果を表した平面説明
図である。
【図9】本発明の他の実施形態にかかる電解加工装置を
表した原理的説明図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態にかかる電解加工
装置を表した原理的説明図である。
【図11】一般の電解加工装置を表した原理的説明図で
ある。
【符号の説明】
22,42 被加工物 23,43 電極工具 A,B 電解加工部 24 電解加工用パルス電源 25 電流計 26 通電スイッチ 27 タイマー 28 電気量演算手段(加工制御手段) 29 通電制御手段(加工制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 神崎 孝之 (56)参考文献 特開 昭50−22731(JP,A) 特開 昭63−272422(JP,A) 特開 昭58−45819(JP,A) 特開 平4−13887(JP,A) 特開 昭53−132440(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 3/00 B23H 3/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解加工用電源の負極及び正極にそれぞ
    れ接続された電極工具と被加工物とを近接して対向配置
    するとともに、これら電極工具と被加工物との間に電解
    液を流動させながら通電することによって上記被加工物
    を溶出させつつ加工を行う微少量電解加工方法におい
    て、 上記電極工具及び被加工物を所定の加工間隙をもって相
    対的に不動状態に固定することにより、上記加工間隙を
    拡大させながら被加工物の加工を行う方法であって、 前記電解加工用電源から与えられた総電気量を制御する
    ことによって被加工物の微少な電解加工量を制御し、 前記電極工具と被加工物との間の通電電流値を計測して
    電流密度を求め、予め求めておいた電流密度とミクロン
    オーダーの加工深さとの関係データに基づいて前記総電
    気量を算出 するようにしたことを特徴とする微少量電解
    加工方法。
  2. 【請求項2】 電解加工用電源の負極及び正極にそれぞ
    れ接続された電極工具と被加工物とを近接して対向配置
    するとともに、これら電極工具と被加工物との間に電解
    液を流動させながら通電することによって上記被加工物
    を溶出させつつ加工を行う微少量電解加工方法におい
    て、 上記電極工具及び被加工物を所定の加工間隙をもって相
    対的に不動状態に固定することにより、上記加工間隙を
    拡大させながら被加工物の加工を行う方法であって前記 電解加工量の制御は、電極工具と被加工物との間の
    通電を、目標加工量に対応した総電気量を得るための総
    通電時間経過時に停止して行うようにしたことを特徴と
    する微少量電解加工方法。
  3. 【請求項3】 電解加工用電源と、この電解加工用電源
    の負極及び正極にそれぞれ接続されて互いに近接して対
    向配置された電極工具及び被加工物と、これら電極工具
    及び被加工物の間に電解液を流動させる電解液供給手段
    とを有し、上記電極工具と被加工物との間に通電して被
    加工物の電解加工を行うようにした微少量電解加工装置
    において、 所定の加工間隙をもって相対的に不動状態に固定された
    ことにより、上記加工 間隙を拡大させながら被加工物の
    加工を行う電極工具及び被加工物と、 前記電解加工用電源から与えられた総電気量を制御する
    ことによって被加工物の微少な電解加工量を制御する加
    工制御手段と、を備え 上記加工制御手段は、電極工具と被加工物との間の通電
    電流値を計測して電流密度を求め、予め求めておいた電
    流密度とミクロンオーダーの加工深さとの関係データに
    基づいて加工に必要な総電気量を算出する電気量演算手
    段を備え ていることを特徴とする微少量電解加工装置。
  4. 【請求項4】 電解加工用電源と、この電解加工用電源
    の負極及び正極にそれぞれ接続されて互いに近接して対
    向配置された電極工具及び被加工物と、これら電極工具
    及び被加工物の間に電解液を流動させる電解液供給手段
    とを有し、上記電極工具と被加工物との間に通電して被
    加工物の電解加工を行うようにした微少量電解加工装置
    において、 所定の加工間隙をもって相対的に不動状態に固定された
    ことにより、上記加工間隙を拡大させながら被加工物の
    加工を行う電極工具及び被加工物と、 前記電解加工用電源から与えられた総電気量を制御する
    ことによって被加工物の微少な電解加工量を制御する加
    工制御手段と、を備え、 上記 加工制御手段は、電極工具と被加工物との間の通電
    を、目標加工量に対応した総電気量を得るための総通電
    時間経過時に停止して電解加工量を制御する通電制御手
    段を備えていることを特徴とする微少量電解加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項記載の通電制御手段は、電気量
    演算手段により算出された設定時間経過時に通電を停止
    するタイマー又はパルスカウント手段を有していること
    を特徴とする微少量電解加工装置。
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