JP3230791B2 - 広帯域音声信号復元方法 - Google Patents

広帯域音声信号復元方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、狭帯域音声信号から
広帯域音声信号を生成する方法に関し、具体的には、現
在、電話音声やAMラジオ等で出力されているような狭
帯域音声信号を、オーディオセットやFMラジオ等で出
力されているような広帯域音声信号に高品質化すること
を可能とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】狭帯域音声信号の例として電話音声の場
合について説明する。既存の電話システムが伝送できる
信号帯域は約300Hzから3.4kHzである。とこ
ろが、近年、この音質には満足できずに高品質化を希望
する声が増えつつある。この要望を解決する方法として
は、既存の電話システムを破棄し、広帯域の信号を伝送
できるような電話システムを再構築することが考えられ
るが、経済的に大きな負担であるばかりでなく、再構築
するにしてもかなりの時間を要すると考えられる。この
ような点から特開平6−118995号公報にみられる
ように、広帯域信号には存在するが狭帯域信号には存在
しない信号を、狭帯域信号から復元することによって、
広帯域信号を生成することが提案されている。この方法
では、電話網の構成にかかわらず、広帯域音声を得られ
るので、有益である。
【0003】前記公開公報に示されている方法を図3を
参照して簡単に説明する。入力狭帯域音声信号はLPC
分析部101においてLPC分析され、その分析結果は
量子化部102において狭帯域音声信号のコードブック
103を用いてファジイベクトル量子化される。ファジ
イベクトル量子化については例えばH.Tseng,
M.Sabin,E.Lee,“Fuzzy Vect
or Quantization Applied t
o Hidden Markov Modelin
g," ICASSP’87 15.5,Apr.198
7.に述べられている。計算量の削減のため量子化部3
02の処理は普通のベクトル量子化でもよい。このファ
ジイベクトル量子化された符号を復号化部104で広帯
域音声信号のコードブック105を用いて復号化する。
【0004】この復号化出力X′は音声のスクペクトル
包絡であって、これを用いて音声合成部106でLPC
合成して広帯域音声信号を得る。つまり、LPC分析部
101の分析結果より得たピッチに応じた励振信号で合
成フィルタを駆動し、その合成フィルタのフィルタ係数
を復号化出力X′に応じて制御し、LPC分析部101
の分析結果から得たパワーに応じたレベルの合成音声信
号を得る。この合成音声信号を復元した広帯域音声信号
として出力してもよい。
【0005】以上の処理で求まった広帯域音声信号は、
入力の狭帯域音声信号には存在しない信号をその帯域外
に含んで広帯域信号となっているが、入力狭帯域音声信
号の帯域内にも入力狭帯域音声信号と異なる信号を含む
ため、この広帯域音声信号をそのまま用いると入力狭帯
域音声信号に存在していた信号を歪ませるという副作用
を起こす。そこで次に述べる処理を行って、本来の入力
狭帯域音声信号に存在していた信号をそのまま使用す
る。すなわちLPC合成部106で合成された広帯域音
声信号が帯域フィルタ107へ供給されて、入力狭帯域
音声信号の帯域外の成分、つまり300Hz以下の周波
数成分と、3.4kHz以上の周波数成分とが取り出さ
れる。一方、入力の狭帯域音声信号はアップサンプリン
グ部108で8kHz帯域にアップサンプリングされ
る。そのアップサンプリング部108の出力と帯域フィ
ルタ107の出力とが加算部109でたしあわされて、
復元された広帯域音声信号が得られる。なお、アップサ
ンプリングは例えば各サンプル点間にゼロのサンプルを
挿入して全域通過形フィルタを通し、その出力を2倍の
速度でサンプリングして周波数帯域を2倍にする。
【0006】なお、広帯域音声信号のコードブック10
5は、例えば音声のベクトル量子化のために用いられて
いるコードブックと同様の手法で、多数の学習用広帯域
音声信号を用いて作成される。また狭帯域音声信号のコ
ードブック103は、広帯域音声信号のコードブック1
05と対応付けられて作られたもので、その作成法は前
記公開公報に述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記公開公報に示す手
法は、入力狭帯域音声信号の帯域外成分を生成するため
に、LPC合成部106で線形予測音声合成フィルタ
を、LPC分析部101で得られたピッチ周期のインパ
ルス列により駆動し、つまりインパルス列を音源信号と
し、復号化部104で復号された広帯域のスペクトル包
絡で合成波形を変形するものであった。
【0008】インパルス列による合成音声は、波形上で
みるとエネルギーが集中しているために、鼻音がかった
音質となり、高品質な合成音とはいえなかった。従っ
て、エネルギーを分散させるような変形が必要であっ
た。この変形は、合成波形の異音を取り除くのに有効で
あるが、その半面、計算量が増大することとなる。この
発明の目的は、計算量を少ないままで、異音を取り除
き、高品質の広帯域音声信号を得ることができる広帯域
音声信号復元方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれば
入力狭帯域音声信号から残差信号を作り、その残差信号
に対してゼロを詰めて広帯域音声信号と同一帯域とし、
そのゼロ詰めした残差信号を音源信号として広帯域音声
信号を復元する。請求項2の発明によれば広帯域音声信
号から残差信号を予め作っておき、この残差信号を音源
信号として広帯域音声信号を復元する。
【0010】
【作用】残差波形は、インパルスとは異なり、適度にエ
ネルギーが分散しているため、鼻音がかった音質となる
ことはない。さらに、残差波形は線形予測音声合成フィ
ルタの逆特性を用いてもとめられるので、そのスペクト
ルは白色である。そのため、高域のスペクトル包絡を何
らかの形で与えられれば、そのスペクトル特徴をそのま
まもつ音声信号を生成できる。
【0011】
【実施例】図1を参照して請求項1の発明の実施例を説
明する。図1において図3と対応する部分に同一符号を
付けてある。この発明ではLPC分析部101で得れた
LPC係数を用いて、逆フィルタ111を構成し、そこ
に狭帯域音声信号を入力してその残差信号を求める。そ
の残差信号に対しゼロ詰め処理部112で、ゼロ詰めを
おこなって、広帯域音声合成用の音源信号を生成する。
例えば、4kHz帯域の残差信号から、8kHz帯域の
音源信号を作成するためには、1ポイント毎にゼロを詰
める。このゼロ詰めされた残差信号を音源信号としてL
PC合成部106へ供給してLPC合成法によって広帯
域音声信号を得る。この広帯域音声信号をそのまま復元
広帯域音声信号としてもよいが、従来技術と同様にその
低域成分と高域成分とのみを利用し、これらの間の成分
は入力狭帯域音声を利用した方がよい。
【0012】以上の実施例においては、入力された狭帯
域音声信号からその都度、残差信号を求め、それにゼロ
を詰めて音源信号としたが、広帯域音声信号からあらか
じめ残差信号を求めて置くこともできる。図2Aにその
残差信号の求め方を示す。分析部201で広帯域音声信
号をLPC分析し、その分析で得られたLPC係数を用
いて、逆フィルタ202を構成し、その逆フィルタ20
2に広帯域音声信号を入力して残差信号を求める。その
残差信号を有声/無声判定部203へ入力して入力帯域
音声信号の有声音、無声音の区別を行い、有声音の場合
は基本周期単位で、無声音の場合は分析フレーム長単位
で、有声残差信号、無声残差信号としてメモリ204,
205にそれぞれ保存する。残差信号のスペクトルは、
平坦な特性をもっているので、有声音と無声音との判別
を除けば、どの音韻から求められた残差信号であるかを
考慮せずに全音韻に共通して使用することができる。ま
た、保存しておく残差信号は、少なくとも、有声音に1
基本周波数分、無声音に1フレーム分あればよい。
【0013】この予め用意した残差信号を音源信号とし
て利用して広帯域音声信号を得るのが請求項2の発明で
あり、その実施例を図2Bに図1、図2Aと対応する部
分に同一符号を付けて示す。この実施例では入力された
狭帯域音声信号のLPC分析結果を用いて、有声/無声
判定部206で有声音、無声音の判定を行い、この結果
にしたがって、音源信号生成部207でメモリ204,
205から残差信号をとりだして音源信号を生成する。
有声音の場合には、メモリ204から取り出した有声残
差信号を基本周期毎に並べる。もしも、有声残差信号が
基本周期に足りない場合にはゼロを後詰めし、有声残差
信号が基本周期より長い場合には、途中で打ち切って使
用する。無声音の場合には、1フレームの無声残差信号
をそのまま使用する。このようにして出来た音源信号を
LPC合成部106に供給して音声合成する。
【0014】LPC合成部106で用いる広帯域音声の
スペクトル包絡は他の方法で得てもよい。
【0015】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、イ
ンパルス列ではなく残差信号を広帯域音声合成のための
音源信号として用いていたため、合成波形の変形が不要
となり、計算量が大幅に削減できる。しかも鼻音がかっ
た音質とならず高品質の広帯域音声信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の実施例の手順を示す流れ図。
【図2】Aは広帯域音声信号から残差信号を得る手順を
示す流れ図、Bは請求項2の発明の実施例の手順を示す
流れ図である。
【図3】従来の広帯域音声復元方法の手順を示す流れ
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 19/08 G10L 19/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音声信号をスペクトル包絡と音源信号と
    により音声合成する手法を用いて、入力された狭帯域音
    声信号から広帯域音声信号を生成する方法において、 上記入力狭帯域音声信号から残差信号を求め、 上記入力狭帯域音声信号と上記広帯域音声信号との周波
    数帯域の差と対応した分だけ上記残差信号にゼロを詰
    め、そのゼロ詰めした残差信号を上記広帯域音声信号を
    復元するための音源信号として用いることを特徴とする
    広帯域音声信号復元方法。
  2. 【請求項2】 音声信号をスペクトル包絡と音源信号と
    に音声合成する手法を用いて、入力された狭帯域音声信
    号から広帯域音声信号を復元する方法において、 広帯域音声信号から残差信号を求めて記憶しておき、 この記憶された残差信号を上記広帯域音声信号を復元す
    るための音源信号として用いることを特徴とする広帯域
    音声信号復元方法。
  3. 【請求項3】 上記残差信号として有声音の残差信号
    と、無音声の残差信号とを区別して記憶しておき、入力
    狭帯域音声信号が有声音か無声音かの判定を行い、有声
    音の場合は上記有声音の残差信号を用い、無声音の場合
    は上記無声音の残差信号を用いてそれぞれ音源信号とす
    ることを特徴とする請求項2記載の広帯域音声信号復元
    方法。
  4. 【請求項4】 上記音源信号を用いて音声合成した信号
    から上記入力狭帯域音声信号の帯域外の成分を取出し、
    これと上記入力狭帯域音声信号とを加え合せて復元した
    広帯域音声信号を得ることを特徴とする請求項1乃至3
    の何れかに記載の広帯域音声信号復元方法。
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KR100503415B1 (ko) * 2002-12-09 2005-07-22 한국전자통신연구원 대역폭 확장을 이용한 celp 방식 코덱간의 상호부호화 장치 및 그 방법

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