JP3229413B2 - プロセス制御システムおよびその運転条件作成方法 - Google Patents

プロセス制御システムおよびその運転条件作成方法

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JP3229413B2
JP3229413B2 JP00665893A JP665893A JP3229413B2 JP 3229413 B2 JP3229413 B2 JP 3229413B2 JP 00665893 A JP00665893 A JP 00665893A JP 665893 A JP665893 A JP 665893A JP 3229413 B2 JP3229413 B2 JP 3229413B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロセス制御システム
に係り、特に、反応器の温度変更時の制御のように負荷
の大きさや原料組成によってプロセスの時定数や無駄時
間等が非線形に変化し、また時定数や無駄時間が大きい
プラントの運転条件変更制御に適し、さらに連続多段重
合反応器の銘柄切り替え操作のように、各段の温度変更
軌道が下流段の外乱として大きな影響を与えるため、制
御量の軌道を総括的に制御することが重要となる制御に
好適なプロセス制御システムおよびその運転条件作成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、時定数や無駄時間が大きく、負荷
の大きさや原料組成によって非線形に変化するプロセス
(プラント)の運転条件変更の制御には次のような制御
装置が用いられている。
【0003】(1)「化学工学展望シリーズ第5回プロ
セス制御技術1989」(化学工学会関西支部編)94
P〜等に記載されているモデル予測装置、つまり現時刻
の制御量を測定し、該制御量測定値を始点とし最終制御
量目標値に漸近する参照軌道を設定すると同時に、プロ
セスのモデルを使って該制御量測定値を始点として将来
値を予測し、参照軌道の予め決めてある時間区間の値と
該予測値ができるだけ近くなるように操作量を決定する
操作を、指定時間ごとに繰り返して制御する。
【0004】(2)制御量と操作量目標軌道を予め得
て、条件変更開始から条件変更中の現時点までの制御量
実績値と制御量目標値の偏差を用いて操作量目標値を修
正して、制御量を制御量目標値に沿って変更させるプロ
グラム制御装置(特願平4−179938号、平成4年
7月7日出願)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の装置を多段連続重合プロセスの運転条件変更制
御に適用した場合には次の問題点がある。
【0006】(イ)多段連続重合プロセスのように前段
の制御量が後段の制御量に対し外乱になる場合の制御量
参照軌道の設定技術が確立しておらず、その設定に困難
がある。例えば、活性の高い触媒を低い触媒に変更する
際に、第1段反応器の内部温度を上げるタイミングを遅
く設定すると第1段反応器で重合反応が進まず、第2段
反応器のモノマー濃度が上昇し、第2段反応器の重合速
度が早くなり除熱の限界を越えると暴走反応を起こすこ
とになる。つまり多段連続重合プロセスの場合、単に条
件1から条件2に短時間でオーバーシュートなしに条件
変更すればよいのではなく、その中間の軌道も後段を配
慮して決定する必要があり、その設定に困難がある。
【0007】(ロ)第2段目以後のモデル予測を精度良
く行うのに必要な各段の入り口組成は、測定を行わな
い、あるいは、精度良く制御に必要な時間内に測定を行
えないため、通常、測定値として得ることができず、第
2段目以後のモデル予測は精度良く行うことができな
い。特に、3段以上の多段反応器の場合、誤差が蓄積さ
れ精度は非常に悪くなり、制御の限界を越えてしまうこ
とがある。
【0008】(ハ)上記(イ)、(ロ)の問題を何等か
の方法で解決できても、モデル予測には必ず誤差が生じ
る。モデル予測制御では該誤差を補正する方法として、
制御量の現時刻の測定値を始点として、最終制御量目標
値に漸近する参照軌道を設定すると同時に、プロセスの
モデルを使って該制御量測定値を始点として将来値を予
測し、参照軌道の予め決めてある時間区間の値と該予測
値ができるだけ近くなるように操作量を決定する操作
を、指定時間ごとに繰り返して制御する方法を用いる。
しかしながら、この方法でモデル予測の誤差を補正する
と、制御量は最初に設定した参照軌道から外れて制御さ
れることになり第2段目以後の反応器に大きな外乱を与
え、第2段反応器以後の制御は困難を極めることにな
り、場合によっては制御範囲を逸脱し暴走反応を起こす
こともある。上記(2)の装置を多段連続重合プロセス
の運転条件変更制御に適用した場合には次の問題点があ
る。
【0009】(ニ)上記(イ)同様、制御量目標軌道の
設定に困難がある。
【0010】(ホ)多段続重合プロセスは、制御量であ
る反応器内部温度、操作量である熱媒温度、外乱である
反応器入口組成等の関係が線形でなく、制御に遅れのあ
る系であり、操作量目標軌道の設定に困難がある。特
に、第2段反応器以後は、前段の内部温度も外乱とな
り、設定は困難を極める。
【0011】系の特性自体が安定している系においては
(ニ)、(ホ)の課題を解決するのに、過去の条件変更
の実績の中から同条件の実績を選び出し、制御量目標軌
道および操作量目標軌道を設定することが可能である
が、重合プロセスも場合、通常、総括伝熱係数が伝熱管
の汚れ等の原因で経時的に変化するため、この手法では
誤差が大きくなりすぎる。また、過去に同条件の実績が
ない場合にもこの手法は使えない。
【0012】そこで、本発明の第1目的は、上述の点に
鑑みて、簡単に操作量軌道を作成することの可能なプロ
セス制御システムおよびその運転条件作成方法を提供す
ることにある。
【0013】本発明の第2目的は、プロセス状態が非線
形に変化するプロセスを制御するのに好適なプロセス制
御システムの運転条件作成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1の発明は、プラントの運転条件変更
制御のために該プラントの操作状態を示す操作量から該
プラントの制御状態を示す制御量をシミュレーションし
て実際の運転に用いる操作量の時系列的な軌道を作成す
るプロセス制御システムの運転条件作成方法において、
前記操作量と、前記制御量との間の時系列的な相関関係
および前記制御量に対する評価基準を予め定め、操作量
の軌道を予め与え、当該与えられた操作量の軌道と前記
相関関係とを用いて制御量の軌道の算出を行い、当該算
出の結果として得られる制御量の軌道が前記評価基準に
合致しているか否かの評価を実行し、合致の評価が得ら
れない場合は前記与えらた操作量の軌道の修正を行い、
以下、当該修正した操作量の軌道を新たな与えられた操
作量の軌道として、前記制御量の軌道の算出、前記評価
および前記修正を繰り返し行って、前記制御基準に合致
の評価が得られた時の操作量の軌道を前記運転条件の軌
道として設定前記プラントは予め複数の領域に分割
されており、該領域ごとに前記運転条件の起動の設定を
実行することを特徴とする。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の発明に加え
て、前記プラントの運転条件変更のための運転制御に実
際に用いられた操作量の軌道を示すデータをデーターベ
ースの形態で保存しておき、該データーベースから検索
したデータを前記初期条件の操作量の軌道として与える
ことを特徴とする。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】請求項の発明は、プラントの運転条件変
更制御のために該プラントの操作状態を示す操作量から
該プラントの制御状態を示す制御量をシミュレーション
して実際の運転に用いる操作量の時系列的な軌道を作成
するプロセス制御システムの運転条件作成方法におい
て、前記プラントを分割した複数の槽を想定し、前記制
御量についての隣接の前記槽の間の関係と前記槽の各々
自身についての前記操作量と前記制御量との間の時系列
的な関係とを含めた演算式を予め定め、銘柄切り替え開
始時点を起点、前記プラントの入り口の操作量を初期値
として前記演算式を用いて全ての槽について時系列的な
制御量を計算することにより前記プラントのシミュレー
ションを行うことを特徴とする。
【0020】
【作用】請求項1の発明は、予め与えた制御基準にシミ
ュレーション結果が合致するようにトライアンドエラー
により操作量軌道を修正する運転条件作成方法におい
て、シミュレーションの対象の領域をゾーン分割するの
で、制御量が基準に合致しないゾーンから上流側のみを
操作量の修正対象とすることができる。
【0021】請求項2の発明は、初期的に与える操作量
軌道データをデーターベースから取得するので、ユーザ
ーは操作量軌道データそのものをキー入力する必要はな
い。
【0022】
【0023】
【0024】請求項の発明は、制御量のシミュレーシ
ョン演算にプラントの隣接位置の影響を加味したので、
特に、多段反応のシミュレーション精度を上げることが
できる。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0026】図1は本発明を適用したプロセス制御装置
の一例の概略構成を示す。図1において、1はプロセス
制御装置により制御されるプラントである。2はプログ
ラム制御装置でありプログラム付き調節計、分散型制御
システム(以下DCSと略す)あるいは調節計とプロセ
スコンピューターとの組み合わせなどを使用できる。本
実施例においてはDCSを使用した。
【0027】3はコンピューターであり、操作量軌道を
得て制御量軌道を演算し、この操作量軌道と制御量軌道
を操作量目標軌道および制御量目標軌道としてプログラ
ム制御装置2に与えるシミュレーター4等を組み込んで
ある。コンピューター3は1台のコンピューターであっ
ても良く、通信システムで結ばれた複数のコンピュータ
ーであっても良い。プログラム制御装置2自身がコンピ
ューターを有していれば、そのコンピューターをコンピ
ューター3として兼用することもできる。本実施例にお
いてはプロセスコンピューターおよびプロセスコンピュ
ーターより高速演算が可能なコンピューターをコンピュ
ーター3として使用し、シミュレーター4のみ後者に組
み込んだ。
【0028】本実施例ではシミュレーター4による演算
結果をプログラム制御装置2の制御量目標軌道および操
作量目標軌道として与えることにより、プラント1およ
びその運転条件に適合した制御を行う。
【0029】また、プログラム制御装置2は運転条件変
更(銘柄切り替え)開始から条件変更中の現時刻までの
制御量の実績値(測定値)と制御量目標値の偏差を用い
て測定した制御量の軌道が制御量目標軌道に近づくよう
に操作量目標値を自動修正して、プラント制御すること
によりシミュレーター4の演算結果の誤差を補うことが
できる。本実施例のシミュレーター4は、操作量軌道を
入力とし、制御量軌道を演算しているが、制御量軌道を
入力とし、操作量軌道を演算してもかまわない。しか
し、制御量軌道を入力とし、操作量軌道を演算した場
合、連続多段重合反応器のように複雑なプロセスでは操
作量軌道の演算値が実現不可能な軌道になることがあり
好ましくない。
【0030】5はファジー推論手段である。運転条件変
更開始から条件変更中の現時刻までの制御量の実績値と
制御量目標値の偏差を用いて操作量目標値を修正する方
法としてPID制御を用いても良いが、連続多段重合反
応器のように複雑なプロセスではファジー推論手段を用
いて制御を実行すれば制御性能が向上する。
【0031】6はプラント状態量演算手段であり、コン
ピューター3に組み込まれ、運転情報を得て、プラント
の測定値とは別にたとえば総括伝熱係数(以下、Uと称
す)等のプラントの状態量を演算、または将来の運転条
件変更時点のプラント状態量を予測演算して、演算結果
をシミュレーター4に与える機能を有する。本実施例に
おいてはたとえば、1週間前、あるいは1ケ月前の総括
伝熱係数とは違ってきた本日、あるいは条件変更を行う
日の総括伝熱係数を用いてシミュレーションを行う。
【0032】7はデーターベースでありコンピューター
3に組み込み、本実施例ではDCS2を通して運転条件
変更実績データーを取り込み保存しておく。8は操作量
軌道取得手段であり、入力されるプロセスの運転条件変
更の内容によりデーターベース7を検索し、最も近い実
績の操作量軌道を抽出し、シミュレーター4に操作量軌
道を与える。この機能により、シミュレーター4に操作
量軌道を入力するという熟練を要する作業を省略するこ
とができる。この機能は、データーベース7に安定時の
運転条件を保存しておき、入力されるプロセスの内容に
より運転条件変更前後の操作量を含む運転を抽出し、し
かるべき方法にて操作量軌道を演算した後、シミュレー
ター4に操作量軌道を与える方法等により代替えでき
る。本実施例においても、データーベース7に安定時の
運転条件も保存しており、過去の運転条件変更実績デー
ターにしかるべきものがない場合等に、操作量取得手段
8は、運転条件変更前後の内容によりデーターベース7
の安定時の運転条件を検索抽出し、しかるべき方法にて
操作量軌道を演算した後、シミュレーター4に操作量軌
道を与える。
【0033】9は評価手段であり、コンピューター3に
組み込み、予め定めた評価基準(本発明の制御基準)と
制御量の演算結果を比較評価し、評価基準が満たされる
まで、しかるべき方法で操作量軌道等を修正してシミュ
レーター4に与え、再シミュレーションを行わせる。上
記評価基準が満たされれば、スイッチ12を閉じ、演算
結果を表示入力装置に表示させる。この機能により、シ
ミュレーター4に操作量軌道を修正して入力するという
熟練を要する作業を省略することができると同時にしか
るべき結果を得るまでの演算時間も短縮される。
【0034】10は表示装置である。11は入力装置で
あり、表示装置10にはCRTやプリンター等を用い
る。入力装置11にはキーボードやマウスを用いる。本
実施例においてはプロセスコンピューター付属のカラー
CRT、キーボードおよびマウスを用いた。シミュレー
ター4からプログラム制御装置2に制御量目標軌道と操
作量目標軌道(以下両者を総称して単に目標軌道と略す
ことがある)を与えるのに先立ち、演算結果の表示を行
い、操作者が設定指令を入力することによりスイッチ1
3を閉じ制御量目標軌道と操作量目標軌道をシミュレー
ター4からプログラム制御装置2に与える。あるいは、
操作者が操作量軌道変更入力および演算指令を入力する
ことにより、変更された操作量軌道に基づきシミュレー
ター4において再演算し、再演算結果を表示装置10に
再表示する。この機能により、システムの不備による不
適正な制御量目標軌道や制御量軌道で運転されることを
妨げ、また評価基準が整備されていない運転条件にも対
応できる。
【0035】また、本実施例においてシミュレーター
4、操作量軌道取得手段8、プラント状態量演算手段6
および評価手段9はそれぞれの処理を規定したプログラ
ムをコンピュター3が実行することにより上記各手段の
機能を実現する。これらの手段の処理内容は後述する
が、処理内容に応じたフローチャートを参考のために図
10〜図13に示しておく。データーベースはディスク
記憶装置等に保存記憶されておりコンピューター3によ
りキーワード検索される。
【0036】本実施例の制御対象である合成樹脂製造プ
ラントの銘柄切り替え(以下、単に切り替えと略す)に
ついて詳細に説明する。図2は合成樹脂連続塊状重合プ
ラントの概略処理フローを示す。反応器21は、プラグ
フローリアクターであり、内部温度制御は全体を9ゾー
ン31〜39に分け、各ゾーンごとに熱媒41〜49の
温度を調節することにより行っている。反応器自体は1
基であるが9ゾーンに分けて制御しているので、運転条
件変更制御には多段連続重合プロセスと同様の困難が伴
う。制御量とは制御の対象とするプロセスの状態量のこ
とであり、この系においては9ゾーン31〜39後部の
内部温度51〜59のことをいう。操作量とは制御量を
制御するために操作するプロセスの状態量のことであ
り、この系においては9ゾーンの内部温度51〜59に
対応する各々の熱媒41〜49の入り口温度のことをい
う。
【0037】次に、実際の動作を説明する。まず、シス
テムを起動するとず図3の画面の上部が表示装置10に
表示される。操作者が入力装置11から切り替え予定日
時、切り替え前後の銘柄名および切り替え前後の原料供
給速度(以下レートと略す)を入力する。入力された条
件は図1の操作量軌道取得手段8に与えられる。本実施
例においては条件を操作量軌道取得手段8に与えるため
に表示装置10および入力装置を用いて手動入力を行っ
たが生産計画を保存するデーターベースを検索して操作
量軌道取得手段に入力情報を与えても良いし、生産計画
を司るシステムから入力情報を与えても良い。操作量軌
道取得手段8は前後銘柄名およびレートによりデーター
ベース7を検索する。データーベース7は各銘柄切り替
え実績ごとに操作量軌道を保存しているが検索条件に合
致した切り替え実績が存在すれば、図3に示すように切
り替え実績の日時およびランクを表示装置10に表示す
る。ランクは切り替えに対する善悪の程度を示す指標で
あり、DCS2からプロセスコンピューター3に切り替
え実績を与える際に操作者の指示で付与する情報であ
る。ランクはA、B、C等の符号で表される。本実施例
では検索を容易に実行できるように切り替え前後の銘柄
名およびレートをキーワードとして検索を行っている
が、入り口温度、各ゾーンの内部温度、入り口組成等の
運転条件で検索するようなデーターベースを用いること
もできる。検索の結果、表示装置10に、図3のように
表示された切り替え実績(銘柄切り替え時の運転データ
に付加された情報)から望ましい実績の番号を入力装置
11から指示入力すると、操作量軌道取得手段8は指示
された番号に対応の運転条件軌道についてのデータ、す
なわち、図4の反応器入り口組成目標軌道(各組成につ
いて)、反応器入り口温度目標軌道、熱媒温度目標軌道
(各ゾーンごとに)をデーターベース7から取得し、こ
れらの軌道上の折れ線の頂点の時間および目標値を初期
の操作量の軌道についてのデータとしてシミュレーター
4に与える。
【0038】一方、データーベース7に望ましい実績が
ない場合は、操作者が番号0を入力すると、図1の操作
量軌道取得手段8は切り替え前後の銘柄名およびレート
に基づき今度は、ある特定銘柄での安定状態の運転デー
タをデーターベース7から取得する。データーベース7
には図4の銘柄切り替え実績の他に図5に示す内容の安
定状態の運転条件を全銘柄(レートごと)につき保存し
ているので、該当の運転条件が初期データとして操作量
軌道取得手段8に引き渡される。引き渡されるデータ
は、切り替え前銘柄およびレートに対応する反応器の入
り口組成目標値(各組成ごとに)、反応器入り口温度目
標値、内部温度目標値(各ゾーンごとに−この目標値を
安全運転条件と呼ぶことがある。)、熱媒温度目安値
(各ゾーンごとに)、切り替え後銘柄、レートに対応す
る安定条件、各ゾーンの熱媒温度目安値である。操作量
軌道取得手段8は受け取った切り替え前後の安全運転条
件および熱媒温度目安値、さらに、既に入力のレート、
反応器の予め定められた各ゾーンの容積等のデータを用
いて予め定められた計算式に従って、運転条件軌道を計
算し、シミュレーター4に運転条件軌道を与える。例え
ば、反応器の第4ゾーンの熱媒温度目標軌道は図6のA
点およびB点の座標で与えられる。A点の時間座標は第
1〜3ゾーンまでの滞留時間、具体的には第1〜3ゾー
ンまでの容積(M3)を体積流量(M3 /H)で除した
値が与えられる。ここで体積流量はレートおよび密度か
ら計算される。ここで用いる密度は一定値として操作量
軌道取得手段8に予め持たせてあり、時間座標の原点は
銘柄切り替え開始時間となる。B点の時間座標は第1〜
4ゾーンまでの滞留時間を用いる。A、B点の温度座標
は各々切り替え前後の第4ゾーンの熱媒温度目安値を用
いる。
【0039】操作量軌道取得手段8からプラント状態量
演算手段6には銘柄切り替え予定日時が与えられる。プ
ラント状態量演算手段6は、定刻ごとにDCS2から図
2の反応器入り口の温度および組成、各ゾーン31〜3
9の内部温度51〜59および各熱媒41〜49の温度
の値を受け取り、各ゾーンのUを計算し、計算結果を各
ゾーンごとにUのトレンドとして保存しておく。プラン
ト状態量演算手段6は操作量軌道取得手段8から予定日
時を取得することにより起動され、この予定日時におけ
る各ゾーンのUの予測値をUのトレンドの最近20日分
を直線近似し外挿して計算する。計算結果はシミュレー
ター4に与えられる。
【0040】シミュレーター4は操作量軌道取得手段8
およびプラント状態量演算手段から与えられた運転条件
軌道および各ゾーンのUにより非定常状態の制御量のシ
ミュレーションを行い、予め定めた領域、時間刻みごと
に内部温度,組成,分子量等を計算する。計算結果は運
転条件軌道と共に評価手段9に与えられる。
【0041】シミュレーションのモデルはプラグフロー
モデルを採用すると、非定常状態では基礎式が偏微分方
程式となるため、基礎式が常微分方程式となる完全混合
槽列モデルを採用し、さらにシミュレーション結果の内
部温度と各ゾーンの内部温度が1対1の対応が取れるよ
うに、ゾーン数を9(図3参照)、完全混合槽の数を各
ゾーン30槽、合計270槽とした。
【0042】シミュレーター4は非定常状態のシミュレ
ーションを行うにあたり、まず各完全混合槽の温度や組
成等の初期条件を算出する必要がある。この初期条件は
非定常状態のシミュレーションに用いるモデルと等価な
モデルを用いた定常状態のシミュレーションにより算出
する。完全混合槽のマスバランス、ヒートバランスにつ
いては「化学工学III」(大竹伝雄著、岩波全書)等
に詳しく掲載されているが具体例としてモノマー濃度の
計算方法を示しておく。各槽のモノマー濃度についての
バランス式は下記の(数1)式の通りであり、プラント
の入口の操作量を初期値として第1槽から順に最終槽ま
で解いていくが、第N槽のモノマー濃度を計算するのに
第Nー1槽の値の他、第N槽のラジカル濃度や密度、活
量係数、反応速度定数などが必要となる、つまり連立方
程式となっている。連立方程式の解法には種々あるが、
本実施例では第N槽の各値を計算し各仮定値と各計算値
とを比較して差が基準値より小さければ各計算値を正と
し、差が大きければ各仮定値を修正して差が基準値より
も小さくなるまで再度計算を行う方法を採用した。
【0043】
【数1】 F(MN-1 −MN )−KNN ρNN γNN =0 この式で用いられている記号は下記の通りである。
【0044】F:流量(KG/H) M:モノマー濃度(KG/KG) K:反応速度定数(/H) V:槽の容積(M3 ) ρ:密度(KG/M3 ) R:ラジカル濃度(KG/KG) γ:活量係数(−) 添え字Nは第N槽を示す。また、N−1=0は反応器入
り口を示す。
【0045】上記計算を行う際に、切り替え日時の各ゾ
ーンのUの予測値により各ゾーンの熱媒温度軌道の補正
を同時に行う。具体的には各槽の温度はヒートバランス
式により上流から順に求めていくが、その際必要な熱媒
温度は操作量軌道取得手段8から与えられた切り替え前
の値を初期値として計算し、内部温度測定位置に対応す
る槽まで計算が進んだ段階で、その槽の内部温度の計算
値と操作量軌道取得手段8から与えられた目標値とを比
較して、計算値と目標値の差が基準値より小さくなるま
で熱媒温度を修正し、そのゾーンの初めの槽から再度計
算する。差が基準値よりも小さくなった、その時の熱媒
温度をそのゾーンの熱媒温度と定める。また、切替後の
運転条件でも同様の計算を行い、熱媒温度を補正する。
さらに熱媒温度目標軌道の切替中の値は比例配分して補
正する。この補正により、従来はそのまま用いることの
できなかった過去の熱媒温度軌道が利用できるようにな
った。
【0046】初期条件が求まれば、シミュレーター4は
さらに非定常状態の演算を実施し、各槽の内部温度の
他、モノマー濃度、分子量、ラジカル濃度、密度、粘度
等を計算する。具体例としてモノマー濃度の計算方法を
示す。各槽のモノマー濃度に関するマスバランス式は下
記数2式で表される。非定常状態の演算式は微分方程式
になり他のマスバランス式およびヒートバランス式と合
わせて連立常微分方程式となる。本実施例では解法には
ルンゲクッタ法を用いたが、事前に定めた時間刻みごと
に第1槽から順に最終槽までの計算を繰り返し、事前に
定めた時間まで演算を行う。
【0047】
【数2】 FN-1N-1 −FNN −KNN ρNN γNN =VN (d(ρNN )/dt) この式で用いられている記号は下記の通りである。
【0048】F:流量(KG/H) M:モノマー濃度(KG/KG) K:反応速度定数(/H) V:槽の容積(M3 ) ρ:密度(KG/M3 ) R:ラジカル濃度(KG/KG) γ:活量係数(−) t:時間(H) d:微分記号 添え字Nは第N槽を示す。また、N−1=0は反応器入
り口を示す。
【0049】数2式は第N槽の単位時間あたりのモノマ
ー濃度の変化(d(ρNN )/dt)が隣接の第N−
1槽のモノマー濃度により定まることを示している。換
言すると、ある時点のモノマー濃度は前の時点の第N
槽、第N−1槽のモノマー濃度およびその他、上記第N
槽の状態値により定まることを示している。演算が終了
したらシミュレーター4は演算結果を評価手段9に与え
る。評価手段9は予め定めた評価基準に従って演算結果
を評価し、評価基準が満たされている場合は、スイッチ
12を閉じ表示装置10に演算結果を表示し、評価基準
が満たされていない場合は、運転条件軌道を予め定めら
れたルールに従い補正して、シミュレーター4に与え、
再度シミュレーションを実行させる。スイッチ12は演
算結果を表示するプログラムへの切り替え機能であり、
スイッチ12を閉じるとは結果表示プログラムを起動さ
せることを意味する。ここで用いる評価基準は図2の各
ゾーンの後部温度51〜59に相当する槽の内部温度お
よび反応器出口22の分子量について設けてあり、それ
ぞれ絶対値および安定するまでの時間について設けてあ
る。この評価基準が満たされない場合は、評価基準を満
たさないゾーンを含めて上流側のゾーンの熱媒入口温度
軌道を補正する。熱媒入口温度軌道以外の運転条件軌道
は、評価手段9では自動変更せず、表示装置10に表示
後、入力装置11から入力する形態を採っている。評価
手段9の評価は予め定めた回数を上限に行い、評価回数
が上限を越えた場合には、評価基準が満たされなくても
演算結果を表示装置10に表示する。
【0050】以上述べたシミュレーションに対する評価
修正処理を具体例を以て詳細に説明する。図2の第5ゾ
ーン55の内部温度の演算結果が図7の曲線に示すよう
に変化したとする。温度の絶対値については切り替え前
目標温度と切り替え後目標温度の高い方の温度+T1お
よび、切り替え前目標温度と切り替え後目標温度の低い
方の温度−T2の間を正常範囲と定める(図7参照)。
ここでT1、T2は予め定めた値である。図7において
はD点からE点までの区間で正常範囲を逸脱しており評
価基準を満たさないと判断される。状態が安定するまで
の時間とは、切替後目標温度±T3の範囲を外れなくな
った点(F点)の時間t2と切り替え前目標温度±T3
の範囲を初めて外れた点(C点)の時間t1の差t3で
ある。ここでT3は予め定めた値である。t3が予め定
めた安定限界時間t4より大きければ、基準を満たさな
いと判断される。基準を満たさないゾーンが複数発生し
た場合には、上流より順に補正を行って行く。この例で
は第5ゾーンが基準を満たさなかった最上流のゾーンで
あった。
【0051】評価基準を満たさないゾーンがあれば、上
流側各ゾーンの出口に相当する槽のモノマー濃度を予め
定めた評価基準と比較し、基準を満たさないゾーンのう
ち最上流のゾーンの熱媒目標温度軌道を補正する。上流
側全てのゾーンでモノマー濃度についての基準が満たさ
れていれば、内部温度が基準を満たさなかったゾーンの
熱媒目標温度軌道を補正する。
【0052】モノマー濃度についての基準(本発明の制
御基準に対応)を図8を用いて説明する。図8に示す曲
線は第3ゾーンのモノマー濃度の時間に対する演算結果
であり、第3ゾーンが基準を満たさない最上流のゾーン
であった。切り替え前の状態から切り替え後の状態に遷
移する過程において、演算値がM0(切り替え前の演算
値)±M1(上下限範囲)の範囲を初めて外れたG点
(時間t5)から切替後のモノマー濃度の範囲(M3±
M2(図8参照)の範囲を外れなくなったH点(時間t
6)の間の区間において、(M0,t5),(M2,t
6)の点を結ぶ直線を引き、直線の上下±M4の範囲を
正常範囲とする。曲線がこの範囲を外れたら評価基準を
満たさないと、判断する。図8の例ではI点からJ点ま
での区間が正常範囲を逸脱しているので、評価基準を満
たさないと判断される。ここで、M1、M3、M4は予
め定めた値であり、M4>M1、M4>M3の関係があ
る。
【0053】熱媒目標温度軌道の補正方法の一例につい
て図9を用いて説明する。図9の曲線は第3ゾーンのモ
ノマー濃度の演算結果であり、折れ線は第3ゾーンの熱
媒目標温度軌道、破線は補正後の第3ゾーンの熱媒温度
目標軌道であり、モノマー濃度はI点(時間t7)から
J点(時間t8)の区間で上記正常範囲から外れてい
る。熱媒温度目標軌道補正区間はt7−t9からt8−
t9の区間(図9参照)であり、補正方向はモノマー濃
度演算値の正常範囲から外れる方向と同じ方向であり、
補正量はT4xM5である。熱媒温度目標軌道は折れ線
の頂点の座標としてメモリーに格納されている関係上、
実際には補正区間の前後も含めて図9のように補正され
る。
【0054】1ゾーン補正するごとに、図1の評価手段
は修正した熱媒温度目標軌道および演算指令をシミュレ
ーター4に与え、シミュレーター4により非定常の演算
を再度実行し、演算結果を評価手段に返す。評価手段9
は評価基準が満たされるまでまたは予め定めた評価繰り
返し回数に達するまで評価、修正を繰り返す。
【0055】評価が終了したら、評価手段9はスイッチ
12に相当する表示プログラムを起動し、表示装置10
に演算結果を表示させる。表示装置10では横軸を時
間、縦軸を反応器の位置(各槽に相当)として表示した
い演算結果の高低を色で表した3次元グラフ、及び横軸
を時間または反応器の位置、縦軸を表示したい演算結果
とした2次元グラフを表示する。2次元グラフは上記3
次元グラフの任意の位置での断面表示となる。
【0056】運転条件軌道の補正は表示装置10に表示
される運転条件軌道の頂点の時間および設定値を入力装
置11であるマウスおよびキーボード用いて前回用いた
値を書き換えることにより行う。上記時間および設定値
を修正した後入力装置11からの指示によりシミュレー
ション演算をシミュレーター4に再実行させる。また、
入力装置11からの設定指令の入力により、スイッチ1
3を閉じプログラム制御装置2に各ゾーンの目標軌道を
含む運転上軌道および切り替え予定日時を与える。ここ
で、スイッチ13はDCS2の目標軌道ファイルへの書
き込みプログラムでありスイッチ13を閉じると、この
書き込みプログラムを起動することを意味する。DCS
標準機能で制御を行うために、シミュレーター4からプ
ログラム制御装置2に内部温度目標軌道についてのデー
タを与える際に内部温度目標軌道は折れ線に近似し、そ
の頂点の座標で与える。
【0057】プログラム制御装置2は特に変更のない限
り、切り替え予定日時になると、プラントに対してプロ
グラム制御を開始し、各ゾーンの内部温度を除き、シミ
ュレーター4から与えられた各運転条件軌道を設定値と
するPIDと呼ばれる制御を実施する。各ゾーンの内部
温度は与えられた内部温度軌道を設定値として対応する
熱媒入り口温度設定値を補正することにより制御する。
ここで内部温度以外の制御で実績値が設定値に対して内
部温度に影響が出る程度の後れが生じる場合はその後れ
をシミュレーションモデルに取り込んでおく必要があ
る。
【0058】各ゾーンの内部温度は次のように制御を行
う。切り替え制御を行うと、プログラム制御装置(DC
S)2のCPUは切り替え開始からの経過時間に対応す
る各ゾーンの内部温度目標軌道の値を設定値として各ゾ
ーンの内部温度コントローラーに出力する。各ゾーンの
内部温度コントローラーは設定値およびPID演算で、
熱媒温度補正値をCPUに出力する。CPUは切り替え
開始からの経過時間に対応する各ゾーンの熱媒温度目標
軌道の値に熱媒温度補正値を加算して、各ゾーンの熱媒
温度コントローラーに出力する。各ゾーンの熱媒温度コ
ントローラーは、与えられた設定値に基づきPID制御
を行う。
【0059】さらに各ゾーンの熱媒温度補正値を算出す
るのに、本実施例ではファジー推論手段5を備えており
上記PID制御に替えてファジー制御を用いることがで
きるがファジー制御のほうが内部温度のオーバーシュー
ト等を減らすことができた。ファジー推論手段5は予め
定めた時間ごとに各内部温度の実績値および各内部温度
の設定値をサンプリングし、実測値と設定値の偏差およ
び実測値の変化率と設定値の変化率との偏差をメンバー
シップ関数として予め定めたルールに従い、各々対応す
る熱媒温度の補正値を算出し熱媒温度軌道を補正するこ
とによりファジ−制御を実施する。
【0060】切替中の各ゾーンの内部温度の実測値のト
レンドおよび熱媒の目標値は各運転条件軌道と共にDC
Sのディスクに保存しておき、切替の終了後、操作者に
より入力されるランクと共に、データーベース7に与え
る。ランクをつける目安としては例えば、内部温度制御
がうまく行き、製品中に発生した切り替え中間品の量の
少ない切り替えにはAを、内部温度の制御はうまくいっ
たが中間品の量が多ければBを、内部温度制御がうまく
行かなければCを与える方法を用いることができる。
【0061】以上のように、本実施例のような合成樹脂
の連続塊状重合プロセスの銘柄切替を行えば、従来ベテ
ランオペレーターがノウハウを駆使して切り替え期間中
つきっきりで行っていた銘柄切り替え操作を以下のよう
な簡単な操作だけとなる。すなわち、操作者は、切り替
え予定日時、切り替え前後の銘柄名、およびレートを入
力する操作、表示される過去の実績から適切なデータを
選択する操作、表示されるシミュレーション結果を見て
運転条件の設定指令を与える操作を行えばよく、運転条
件は装置が自動的に作成するので、プロセス制御が安全
かつ確実なものとなる。また、過去の運転実績のない銘
柄切り替えに対しては技術スタッフが時間をかけて運転
条件を検討し、切り替えテストを行って初めて実際の運
転条件が決定されていたのに対して、本実施例では、本
実施例では自動的に運転条件を作成できるので、技術ス
タッフは運転条件作成処理から解放される。本実施例で
は製品の物性に大きく影響を与える反応器出口の分子量
がシミュレーターにより計算できるので、中間品を最小
にし、かつ、安定に切り替えられる運転条件をユーザー
が探索することができる。具体的にはユーザーは表示装
置に表示されるシミュレーション結果を見ながら熱媒温
度条件軌道等の運転条件軌道を修正しながら好ましい運
転条件を探索することができる。また評価手段の評価基
準を変更することにより反応器出口分子量の安定までの
時間を変更したりすることも可能であり、これらの処理
を併用することにより好適な運転条件を見つけることが
できる。
【0062】さらに本実施例では各ゾーンの内部温度を
隣接位置の温度から求めており、制御に余裕があるよう
に定めるので、運転条件軌道における内部温度と熱媒温
度の関係についての精度が悪くても制御時にプログラム
制御装置による自動補正が可能という利点がある。加え
て、本実施例では自動作成された運転条件軌道をユーザ
が表示装置により確認でき、必要があれば入力装置によ
り運転条件軌道を修正できるので、最適な運転条件を設
定できる。
【0063】本実施例の他に次の例を実施できる。
【0064】1) 本実施例ではシミュレーション結果
をグラフ表示するようにしているがデータベースの検索
の対象となる過去の運転実績を指定してグラフ表示する
ことも可能である。
【0065】2) シミュレーターに用いるコンピュー
ターはシミュレーションの演算量に応じて定めれば良く
パーソナルコンピューターのような小型のコンピュータ
ーから通信機能を有し、タイムシェアリングのような大
量の情報処理が可能な大型コンピューターを用いること
ができる。
【0066】3) 本実施例では運転条件変更制御の一
例として銘柄切替え制御を示したが、他に、生産量のレ
ート制御についての運転条件変更にも本発明を適用する
ことができる。
【0067】4) 操作量と制御量の相関関係は数式で
表してもよく、また、操作量の値に制御量の値を対応さ
せたテーブルで表してもよい。
【0068】5) 本実施例で用いる評価基準は予めソ
フトウェア上で規定してもよいし、キーボード入力装置
からユーザーが与えるようにしてもよい。いずれの形態
をとるかは、システム内容により定まる。たとえば運転
条件変更内容が一種で、評価基準を固定できる場合はソ
フトウェア上で規定しておく方がユーザの入力操作を省
略できる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シミュレーションに用いる操作量軌道を自動的に作成で
きるので、操作量作成処理およびそのキー入力操作をユ
ーザーは行う必要がなく、プラントの運転準備時間を短
縮することができる。また、本発明で得られるシミュレ
ーション結果は反応器(プラント)内の隣接の位置の影
響を加味しているので、多段型のプロセスについても十
分に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のシステム構成を示すブロック図であ
る。
【図2】本実施例の制御対象となる合成樹脂連続塊状重
合プラントの概略フローを示す模式断面図である。
【図3】本実施例の入力情報の表示例を示す説明図であ
る。
【図4】切り替え実績に関するデータベースの内容を示
す説明図である。
【図5】安定状態の運転条件に関するデータベースの内
容を示す説明図である。
【図6】熱媒温度目標軌道の一例を示す説明図である。
【図7】内部温度の演算結果の一例を示す説明図であ
る。
【図8】モノマー濃度の演算結果の一例を示す説明図で
ある。
【図9】熱媒体目標温度の補正内容を示す説明図であ
る。
【図10】操作量軌道取得手段の処理内容を示すフロー
チャートである。
【図11】プラント状態量演算手段の処理内容を示すフ
ローチャートである。
【図12】シミュレーターの処理内容を示すフローチャ
ートである。
【図13】評価手段の処理内容を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1 制御対象プラント 2 プログラム制御装置 3 コンピューター 4 シミュレーター 5 ファジー推論手段 6 プラント状態量演算手段 7 データーベース 8 操作量軌道取得手段 9 評価手段 10 表示装置 11 入力装置 12 スイッチ 13 スイッチ 20 反応器入口 21 反応器 22 反応器出口 31〜39 ゾーン 41〜49 熱媒 51〜59 内部温度

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラントの運転条件変更制御のために該
    プラントの操作状態を示す操作量から該プラントの制御
    状態を示す制御量をシミュレーションして実際の運転に
    用いる操作量の時系列的な軌道を作成するプロセス制御
    システムの運転条件作成方法において、 前記操作量と、前記制御量との間の時系列的な相関関係
    および前記制御量に対する評価基準を予め定め、 操作量の軌道を予め与え、 当該与えられた操作量の軌道と前記相関関係とを用いて
    制御量の軌道の算出を行い、 当該算出の結果として得られる制御量の軌道が前記評価
    基準に合致しているか否かの評価を実行し、 合致の評価が得られない場合は前記与えらた操作量の軌
    道の修正を行い、 以下、当該修正した操作量の軌道を新たな与えられた操
    作量の軌道として、前記制御量の軌道の算出、前記評価
    および前記修正を繰り返し行って、前記制御基準に合致
    の評価が得られた時の操作量の軌道を前記運転条件の軌
    道として設定前記プラントは予め複数の領域に分割されており、該領
    域ごとに前記運転条件の起動の設定を実行する ことを特
    徴とするプロセス制御システムの運転条件作成方法。
  2. 【請求項2】 前記プラントの運転条件変更のための運
    転制御に実際に用いられた操作量の軌道を示すデータを
    データーベースの形態で保存しておき、該データーベー
    スから検索したデータを前記初期条件の操作量の軌道と
    して与えることを特徴とする請求項1に記載のプロセス
    制御システムの運転条件作成方法。
  3. 【請求項3】 プラントの運転条件変更制御のために該
    プラントの操作状態を示す操作量から該プラントの制御
    状態を示す制御量をシミュレーションして実際の運転に
    用いる操作量の時系列的な軌道を作成するプロセス制御
    システムの運転条件作成方法において、 前記プラントを分割した複数の槽を想定し、 前記制御量についての隣接の前記槽の間の関係と前記槽
    の各々自身についての前記操作量と前記制御量との間の
    時系列的な関係とを含めた演算式を予め定め、 銘柄切り替え開始時点を起点、前記プラントの入り口の
    操作量を初期値として前記演算式を用いて全ての槽につ
    いて時系列的な制御量を計算することにより前記プラン
    トのシミュレーションを行うことを特徴とするプロセス
    制御システムの運転条件作成方法。
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