JP3227582U - キャスタ装置および移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動状態と制動解除状態との切替えを、簡単な構成で車輪から離れた位置から行えるようにするキャスタ装置を提供する。
【解決手段】キャスタ装置は、昇降テーブル1(移動体)を床面に対して移動可能に支持するための車輪40と、昇降テーブルを床面に対して移動不能に支持するための延設部33(脚部)と、モータを含み、モータの駆動力により延設部に対して車輪を上下方向に移動させる移動機構部と、切替スイッチ7とを含む。移動機構部は、切替スイッチが受ける操作に応じて、延設部のみが床面に接地する第1接地状態と車輪のみが床面に接地する第2接地状態との間で、延設部及び車輪の接地状態を切り替える。
【選択図】図1

Description

本考案は、キャスタ装置、及びこのキャスタ装置を備えた移動体に関するものである。
従来から、キャビネットなどの移動体に組み込まれるキャスタ装置が知られている。本願の出願人も、例えば特許文献1に開示されるような、制動状態と制動解除状態とに切替可能なキャスタ装置を開発し、提案している。
このキャスタ装置は、制動状態と制動解除状態とに切替え可能な複数の車輪と、ペダル式の操作部と、当該操作部に入力される操作力を各車輪に伝達する機構部とを備えている。この構成により、前記操作部に対する足下操作で、複数の車輪の前記切替えを一括して行うことが可能となっている。なお、前記機構部は、前記操作力を複数の車輪に伝達する数多くのリンク部材で構成されている。
実用新案登録第3173158号公報
従来の上記キャスタ装置は、制動状態と制動解除状態との切替えを足下で行うタイプであるが、当該切替えを手元で行いたいというようなニーズもある。しかし、この場合には、操作部と車輪とが遠く離れるため、機構部の構成が複雑になるとともに、リンク部材などの機構部を構成する部品点数が増大し、キャスタ装置を含むキャビネットなどの全体重量が大きくなる。また、車輪自体に制動状態と制動解除状態とを切替えるための機構が組み込まれているため、車輪の構造自体も複雑である。
本考案は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、キャスタ装置の制動状態と制動解除状態との切替えを、簡単な構成で車輪から離れた位置において容易に行うことができ、また、高重量化の抑制にも寄与する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本考案の一局面に係るキャスタ装置は、移動体に備えられるキャスタ装置であって、前記移動体を床面に対して移動可能に支持するための車輪と、前記移動体を床面に対して移動不能に支持するための脚部と、モータを含み、当該モータの駆動力により前記脚部及び前記車輪のうち一方側のみを他方側に対して上下方向に移動させる移動機構部と、切替スイッチと、を含み、前記移動機構部は、前記切替スイッチが受ける操作に応じて、前記脚部のみが床面に接地する第1接地状態と前記車輪のみが床面に接地する第2接地状態との間で、床面に対する前記脚部及び前記車輪の接地状態を切り替えるものである。
このキャスタ装置では、切替スイッチを操作すると、モータの駆動によって、第1接地状態、すなわち脚部が床面に接地することにより移動体の移動が不能となる状態と、第2接地状態、すなわち車輪が床面に接地することにより移動体の移動が可能となる状態とが切り替わる。つまり、キャスタ装置が制動状態と制動解除状態とに切り替わる。このような構成によれば、切替えの操作力を機械的に車輪に伝えるための従来のような数多くのリンク部材を用いることなく、モータ駆動の移動機構部により制動状態(第1接地状態)と制動解除状態(第2接地状態)との切替えが行われるので、切替スイッチと移動機構部とを容易に引き離して配置することが可能となる。よって、制動状態と制動解除状態との切替操作を、簡単な構成で車輪から離れた位置で行うことが可能となる。また、キャスタ装置の高重量化、ひいてはキャスタ装置を含む移動体全体の高重量化を抑制することも可能となる。
なお、本考案において「接地」とは、脚部や車輪が床面に当接する意味であり、また、「移動不能」とは、脚部が床面に平面接触するなどして移動体を大凡移動させることが困難となる状態を意味する。
上記キャスタ装置においては、複数の前記脚部と複数の前記車輪とを含み、前記移動機構部は、前記複数の脚部及び前記複数の車輪のうち一方側を他方側に対して一体的に上下方向に移動させるように構成されているのが好適である。
この構成によれば、複数の脚部又は複数の車輪で安定的に移動体を支持しながら、移動体のバランスを保った状態で安定的に第1接地状態と第2接地状態との間の切替えを行うことが可能となる。
上記キャスタ装置においては、剛性を有した構造部材からなるフレームを含み、前記移動機構部は、前記フレームに対して上下方向に移動自在に支持されかつ前記車輪を保持する車輪ホルダと、前記モータの回転運動を前記車輪ホルダの上下方向の移動に変換する変換機構とを含むものであってもよい。
この場合、前記変換機構は、具体的には、前記フレームに回転自在に支持されて上下方向に延びるねじ軸と、前記車輪ホルダに備えられて前記ねじ軸が螺合挿入されるナット部材と、前記ねじ軸に設けられて前記モータの回転駆動力が入力される入力部と、を備えた構成とすることができる。
このような構成によれば、比較的簡単かつ安価な構成で第1接地状態と第2接地状態との切替えが可能となる。
上記キャスタ装置において、前記フレームは、床面に沿って延びるフレーム本体部と、このフレーム本体部から各々下向きに延びる複数の延設部とを含み、前記車輪は、前記フレーム本体部に設けられ、前記脚部は、前記延設部により構成されているのが好適である。
この構成によれば、第1接地状態の際に、構造部材であるフレーム(延設部)で移動体の重量が支えられるので強度的に有利となる。
この場合、前記モータは、前記延設部に配置されているのが好適である。
この構成によれば、延設部(すなわち、脚部)をモータの配置スペースとして利用した合理的な構成が達成され、キャスタ装置のコンパクト化に寄与するものとなる。
上記キャスタ装置において、前記脚部と前記車輪とは互いに隣接する位置に配置されているのが好適である。
この構成によれば、接地状態の切替えに伴い脚部と車輪との接地位置が大きく異なることが避けられるため、接地状態の切替えの前後を通じて安定的に移動体を床面に対して支持することが可能となる。
上記キャスタ装置において、前記脚部は、高さ調整が可能なアジャスタ機能を備えているのが好適である。
この構成によれば、脚部の接地面の高さを床面の起伏などに応じた高さに微調整することが可能となる。そのため、第1接地状態において、より安定的に移動体を床面に対して支持することが可能となる。
一方、本考案の一局面に係る移動体は、キャスタ装置を備えた移動体であって、前記キャスタ装置として、上述した何れかのキャスタ装置を備えているものである。
より具体的に、当該移動体は、テーブル板を有するテーブル本体部と、このテーブル本体部の下面に各々備えられた複数のテーブル脚とを備えたテーブルであり、前記キャスタ装置のうち、前記車輪、前記脚部及び前記移動機構部をキャスタ装置本体部と定義したときに、前記テーブル脚に、前記キャスタ装置本体部が備えられ、前記テーブル本体部に、前記切替スイッチが備えられているものである。
これらの移動体(テーブル)によれば、上述した何れかのキャスタ装置が備えられているので、制動状態と制動解除状態との切替えを、簡単な構成で車輪から離れた位置で行うことが可能となる。また、キャスタ装置を含む移動体全体の高重量化を抑制することも可能となる。
本考案に係るキャスタ装置よれば、制動状態と制動解除状態との切替えを、簡単な構成で車輪から離れた位置において容易に行うことができ、また、高重量化の抑制にも寄与するものとなる。
本考案の実施形態に係る移動体(本考案のキャスタ装置を備えた移動体)である昇降テーブルの斜視図である。 テーブル脚の構造を示す昇降テーブルの要部斜視図である。 キャスタ部を示す斜視図(上壁部は省略)である。 (a)は、第1接地状態におけるキャスタの側面図であり、(b)は、第1接地状態におけるキャスタの断面図である。 (b)は、第2接地状態におけるキャスタの側面図であり、(b)は、第2接地状態におけるキャスタの断面図である。 (a)は、第1接地状態におけるキャスタ部の側面図であり、(b)は、第2接地状態におけるキャスタ部の側面図である。
以下、本考案の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本考案の実施形態に係る移動体(本考案のキャスタ装置を備えた移動体)である昇降テーブル1の斜視図である。昇降テーブル1は、テーブル本体部2とテーブル脚3とを備え、以下に説明する通り、テーブル本体部2の高さを変更することが可能に構成されたテーブルである。
テーブル本体部2は、平面視長方形のテーブル板10と、テーブル板10の下面に組付けられたテーブルフレーム12とを含む。テーブルフレーム12は、金属製の箱形フレームであり、テーブル板10の短手方向の中央部に、当該テーブル板10の長手方向に亘って設けられている。なお、以下の各部の説明においては、図1中に示すように、テーブル板10の短手方向と平行な方向を「前後方向」、テーブル板10の長手方向と平行な方向を「幅方向」と称する。
前記テーブル脚3は、テーブル本体部2の下面、詳しくはテーブルフレーム12の下面の幅方向(長手方向)両端部分に固定されている。各テーブル脚3は、上下方向に延びる脚本体部4と、その下端部から床面Fに沿って前後方向に延びるキャスタ部5(本考案の「キャスタ装置本体部」に相当する)とを備えている。
図2は、テーブル脚3の構造を示す昇降テーブル1の要部斜視図である。脚本体部4は、伸縮可能な構造を有している。詳しくは、脚本体部4は、第1〜第3の断面矩形の3つの筒体20a〜20cが伸縮自在に連結されたテレスコピック型筒体で構成されている。筒体20a〜20cは、上から下に順にサイズが小さくなっている。最上位の第1筒体20aは、テーブルフレーム12の下面に固定されており、最下位の第3筒体20cは、キャスタ部5の上面に固定されている。
昇降テーブル1には、各脚本体部4を駆動するための以下のような伸縮機構22が脚本体部4毎に設けられている。
伸縮機構22は、脚本体部4の内部を上下方向に延びる駆動軸25と、この駆動軸25が挿入される上下一対のガイド部材26,27と、駆動軸25を回転駆動するモータ24とを備えている。上側のガイド部材26は第1筒体20aに、下側のガイド部材27は第3筒体20cに各々固定されている。また、モータ24は、テーブルフレーム12内の長手方向の端部に配置されている。
駆動軸25は、中央部分よりも下側の領域のみがねじ軸となっている。駆動軸25は、ねじ軸より上側の部分が上側のガイド部材26を介して第1筒体20aに回転自在に支持されており、ねじ軸の部分は、ナット部材からなる下側のガイド部材27に螺合挿入されている。また、駆動軸25の上端部にはウォームホイール28が固定されており、前記モータ24の出力軸に連結されたウォーム24aが当該ウォームホイール28に噛合している。
この構成により、モータ24により駆動軸25が回転駆動されると、第1筒体20aに固定された上側のガイド部材26に対して、第3筒体20cに固定された下側のガイド部材27が上下方向に移動する。この結果、脚本体部4が伸縮し、テーブル本体部2が上下方向に移動する。
図3は、キャスタ部5を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、キャスタ部5は、前後方向に延びるキャスタフレーム30(本考案の「フレーム」に相当する)と、このキャスタフレーム30に組付けられた前後一対のキャスタ34とを備えている。
キャスタフレーム30は、断面矩形の中空構造を有した金属製のフレームであって高い剛性を有した構造部材である。キャスタフレーム30は、床面Fに沿って前後方向に延びるフレーム本体部32と、このフレーム本体部32の両端から各々斜め下向きに延びる延設部33とを含む。テーブル脚3の前記脚本体部4(第3筒状体20c)は、フレーム本体部32の上面の前後方向(長手方向)中央部に、ボルトナット等により固定されている。なお、図3では、キャスタ部5の内部構成を示すために、便宜上、キャスタフレーム30の上壁部を省略している。
各延設部33(本考案の「脚部」)は、それらの下端に樹脂又はゴム材料かなる接地部33aを備えている。接地部33aは、滑り止め部材として機能するものであり、後記第1接地状態S1のときには、当該接地部33aを介して延設部33が床面Fに接地する。これにより、昇降テーブル1が床面Fに対して移動不能となる。
キャスタ34は、昇降テーブル1を床面Fに対して移動可能に支持するためのものである。キャスタ34は、フレーム本体部32の両端に各々配置されている。換言すれば、キャスタ34と延設部33とは互いに隣接する位置に配置されている。
図4は、キャスタ34を示しており、(a)は側面図で、(b)は断面図で、各々キャスタ34を示している。図3及び図4に示すように、キャスタ34は、一対の車輪40、車輪ホルダ42、ナット部材44、ねじ軸46、取付ブラケット48及びウォームホイール49等を備えて以下のように構成されている。
一対の車輪40は、車輪ホルダ42に回転自在に支持されている。車輪ホルダ42のうち、車輪40の回転軸41から偏心した位置(図4では右側に偏心した位置)には、上方に延びる円筒部42aが設けられており、この円筒部42aに、円筒状のナット部材44が回転自在に内嵌されるとともに、当該円筒部42aに対して抜け止めされている。
ナット部材44には、上下方向に延びるねじ軸46が螺合挿入(貫通)されている。ねじ軸46は、取付ブラケット48に回転自在に支持されている。取付ブラケット48は、キャスタフレーム30に対する当該キャスタ34の取付部分であり、図外のボルトナット等によりフレーム本体部32の下面に固定されている。
取付ブラケット48には、下向きに延びる断面矩形のスリーブ状ガイド部48aが設けられている。このガイド部48aの内側に、車輪ホルダ42の円筒部42a、ナット部材44及びねじ軸46が配置されている。なお、ナット部材44の上端部には、ガイド部48aの断面形状に対応した平面視矩形の回り止め部44aが設けられており、この回り止め部44aが上下方向に移動可能な状態でガイド部48aに対して内嵌されている。
つまり、車輪40は、ナット部材44を中心として車輪ホルダ42と共に取付ブラケット48に対して旋回(回転)可能に構成されるとともに、図4及び図5に示すように、ねじ軸46の回転に伴い、車輪ホルダ42及びナット部材44と共に取付ブラケット48に対して上下方向に移動可能に構成されている。
なお、ねじ軸46の上端部は、フレーム本体部32の下面に形成された開口部を介してキャスタフレーム30の内部に突入しており、当該上端部にはウォームホイール49が装着されている。
車輪40の上下動のストローク(図4の車輪40の位置と図5の車輪40の位置との高低差)は、少なくとも、車輪40の下端面がキャスタフレーム30の延設部33の下端部、すなわち接地部33aよりも下方に突出する高さと、車輪40の下端面が延設部33の下端部よりも上方に位置する高さとの間で変位し得るように設定されている。この構成より、キャスタ部5は、図6(a)に示すように、キャスタフレーム30の延設部33のみが床面Fに接地する状態(第1接地状態S1という)と、図6(b)に示すように、キャスタ34の車輪40のみが床面Fに接地する状態(第2接地状態S2という)との間で、キャスタフレーム30の延設部33及び車輪40の接地状態を切り替えることが可能となっている。
キャスタ部5には、各キャスタ34の車輪40を同期して上下動させるため昇降機構50が設けられている。昇降機構50は、図3に示すように、フレーム本体部32の内部に配置された、前後方向に延びる駆動軸56と、この駆動軸56を回転駆動するモータ52とを備えている。
図示を省略しているが、駆動軸56は、フレーム本体部32の内部底面に設けられた支持ブラケットに回転自在に支持されている。駆動軸56には、その長手方向の間隔を隔てた位置にウォーム部56aが各々設けられており、これらウォーム部56aが各キャスタ34の前記ウォームホイール49に噛合している。
駆動軸56の一方側の端部は、片側の延設部33の内部に位置している。駆動軸56の当該一方側の端部には、かさ歯車58が固定されている。そして、延設部33の内部にモータ52が配置され、当該モータ52の出力軸に固定されたかさ歯車54が、駆動軸56の前記かさ歯車58に噛合している。
この構成により、モータ52により駆動軸56が回転駆動されると、その回転力がウォームホイール49を介して各キャスタ34のねじ軸46に伝達される。その結果、各キャスタ34の車輪40が同期して一体的に上下方向に移動する。
なお、当例では、昇降機構50(モータ52、かさ歯車54、58、駆動軸56)、ウォームホイール49、ナット部材44、ねじ軸46及び取付ブラケット48等が本考案の「移動機構部」に相当する。また、かさ歯車54、58、駆動軸56、ウォームホイール49、ナット部材44、ねじ軸46等が本考案の「変換機構」に相当し、そのうち、ウォームホイール49が本考案の「入力部」に相当する。
図1に示すように、テーブル本体部2のテーブルフレーム12内には、テーブル本体部2の上下動(各脚本体部4の伸縮)を制御するテーブルコントローラ60と、各キャスタ部5の接地状態の切替え(車輪40の上下動)を制御するキャスタコントローラ62とが配置されている。
テーブルコントローラ60には、各脚本体部4の前記モータ24と、テーブル本体部2の高さを変更するための高さ調整スイッチ6とが接続されている。高さ調整スイッチ6が操作されると、テーブル本体部2がその操作に応じた高さとなるように、テーブルコントローラ60が各モータ24の駆動を制御する。
一方、キャスタコントローラ62には、各キャスタ部5の前記モータ52と、キャスタ部5の接地状態の切替え、すなわち第1接地状態S1と第2接地状態S2とを切り替えるための切替スイッチ7とが接続されている。切替スイッチ7が操作されると、第1接地状態S1及び第2接地状態S2のうち選択された接地状態となるように、キャスタコントローラ62が各モータ52の駆動を制御する。
高さ調整スイッチ6及び切替スイッチ7は、図1に示すように、テーブル板10の下面であってその縁部に沿って隣接配置されている。なお、図1中の符号66は、アダプタであり、コンセント68を通じて外部電源から供給されるAC電力をDC電力に変換してコントローラ60、62等に供給する。また、符号64は、停電時等の予備電源となるバッテリである。これらバッテリ64及びアダプタ66も、前記テーブルフレーム12内に配置されている。
[作用効果]
以上説明した昇降テーブル1では、テーブル板10に備えられた切替スイッチ7を操作すると、キャスタ部5が第1接地状態S1、すなわちキャスタフレーム30の延設部33(接地部33a)が床面Fに接地することにより昇降テーブル1の移動が不能となる状態と、第2接地状態S2、すなわちキャスタ34の車輪40が床面Fに接地することにより昇降テーブル1の移動が可能となる状態とに切り替わる。つまり、キャスタ部5が制動状態と制動解除状態とに切り替わる。
このような構成によれば、切替えの操作力を機械的に車輪に伝えるための従来のような数多くのリンク部材が不要なため、キャスタ部5の制動状態と制動解除状態との切替操作を、簡単な構成で車輪40から離れた位置で行うことが可能となる。また、キャスタ部5の高重量化、ひいてはキャスタ部5を含む昇降テーブル1の高重量化を抑制することが可能となる。
特に、上記の昇降テーブル1によれば、各キャスタ部5のキャスタ34を同期して上下方向に移動させることができるため、昇降テーブル1のバランスを保った状態で安定的に制動状態(第1接地状態S1)と制動解除状態(第2接地状態S2)との切替えを行うことができる。
また、上記の昇降テーブル1によれば、剛性部材であるキャスタフレーム30に延設部33が設けられ、第1接地状態S1の際には、当該延設部33が床面Fに接地して昇降テーブル1の重量を支える。そのため、強度的に有利であり、第1接地状態S1においてより安定的に昇降テーブル1を支持することができるという利点もある。
しかも、上記の昇降テーブル1によれば、キャスタ部5の接地状態を切替えるためのモータ52が前記延設部33に配置されているので、当該延設部33をモータ52の配置スペースとして利用(兼用)した合理的な構成が達成される。そのため、キャスタ部5のコンパクト化、ひいては昇降テーブル1のコンパクト化に寄与するという利点もある。
[変形例]
以上説明した昇降テーブル1は、本考案に係る「移動体」の好ましい実施形態の例示であって、昇降テーブル1の具体的な構成や、この昇降テーブル1に組み込まれた「キャスタ装置」の具体的な構成は、本考案の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することも可能である。
(1)実施形態では、キャスタフレーム30(延設部33)に対してキャスタ34の車輪40を上下方向に移動させることで、キャスタ部5が制動状態(第1接地状態S1)と制動解除状態(第2接地状態S2)とに切り替えられる。しかし、逆の構成を採用してもよい。すなわち、キャスタ34に対して延設部33側を上下方向に移動させることで、制動状態と制動解除状態とが切り替えられる構成としてもよい。この場合には、キャスタフレーム30において、各延設部33がフレーム本体部32に対して上下方向に移動するように移動機構部を構成すればよい。
(2)キャスタフレーム30(延設部33)とキャスタ34の車輪40とを相対的に上下方向に移動させるための移動機構部の具体的な構成は、実施形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、実施形態では、モータ52の回転駆動力を、駆動軸56を介して各キャスタ34のねじ軸46に伝達させることにより、各キャスタ34の車輪40を同期して上下動させている。しかし、モータ52の回転駆動力を、歯車及びベルト(チェーン)を用いたベルト(チェーン)伝動機構で各キャスタ34のねじ軸46に伝達するように構成してもよい。
(3)実施形態では、上記の通り、延設部33(接地部33a含む)が本考案の「脚部」に相当するが、例えば、当該脚部について、さらに高さ調整が可能なアジャスタ機能を持たせるようにしてもよい。例えば、ねじ軸を備えた接地部33aを適用し、当該ねじ軸部を延設部33の下面部に螺合挿入し、接地部33aを回転させて前記下面部からの当該接地部33aの突出量を調整できるようにしてもよい。この構成によれば、床面Fに起伏がある場合などには、その起伏に応じて接地部33aの高さを調整することが可能となる。そのため、第1接地状態S1において、より安定的に昇降テーブル1を床面Fに対して支持することが可能となる。
(4)実施形態では、本考案をテーブルに適用した例について説明したが、本考案はテーブル以外の「移動体」にも適用可能である。例えば、キャビネット、収納ラック、ワゴン等のその他の移動体にも適用可能であり、その用途は、家庭用、オフィス用、医療用等を問わない。
1 昇降テーブル
2 テーブル本体部
3 テーブル脚
4 脚本体部
5 キャスタ部(キャスタ本体部)
7 切替スイッチ
10 テーブル板
30 キャスタフレーム(フレーム)
32 フレーム本体部
33 延設部(脚部)
33a 接地部
34 キャスタ
40 車輪
42 車輪ホルダ
50 昇降機構
52 モータ
62 キャスタコントローラ
F 床面
S1 第1接地状態
S2 第2接地状態

Claims (10)

  1. 移動体に備えられるキャスタ装置であって、
    前記移動体を床面に対して移動可能に支持するための車輪と、
    前記移動体を床面に対して移動不能に支持するための脚部と、
    モータを含み、当該モータの駆動力により前記脚部及び前記車輪のうち一方側のみを他方側に対して上下方向に移動させる移動機構部と、
    切替スイッチと、を含み、
    前記移動機構部は、前記切替スイッチが受ける操作に応じて、前記脚部のみが床面に接地する第1接地状態と前記車輪のみが床面に接地する第2接地状態との間で、床面に対する前記脚部及び前記車輪の接地状態を切り替える、ことを特徴とするキャスタ装置。
  2. 請求項1に記載のキャスタ装置において、
    複数の前記脚部と複数の前記車輪とを含み、
    前記移動機構部は、前記複数の脚部及び前記複数の車輪のうち一方側を他方側に対して一体的に上下方向に移動させる、ことを特徴とするキャスタ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のキャスタ装置において、
    剛性を有した構造部材からなるフレームを含み、
    前記移動機構部は、前記フレームに対して上下方向に移動自在に支持されかつ前記車輪を保持する車輪ホルダと、前記モータの回転運動を前記車輪ホルダの上下方向の移動に変換する変換機構とを含む、ことを特徴とするキャスタ装置。
  4. 請求項3に記載のキャスタ装置において、
    前記変換機構は、前記フレームに回転自在に支持されて上下方向に延びるねじ軸と、前記車輪ホルダに備えられて前記ねじ軸が螺合挿入されるナット部材と、前記ねじ軸に設けられて前記モータの回転駆動力が入力される入力部と、を備えていることを特徴とするキャスタ装置。
  5. 請求項3又は4に記載のキャスタ装置において、
    前記フレームは、床面に沿って延びるフレーム本体部と、このフレーム本体部から各々下向きに延びる複数の延設部とを含み、
    前記車輪は、前記フレーム本体部に設けられ、
    前記脚部は、前記延設部により構成されている、ことを特徴とするキャスタ装置。
  6. 請求項5に記載のキャスタ装置において、
    前記モータは、前記延設部に配置されている、ことを特徴とするキャスタ装置。
  7. 請求項1乃至6に記載のキャスタ装置において、
    前記脚部と前記車輪とは互いに隣接する位置に配置されている、ことを特徴とするキャスタ装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載のキャスタ装置において、
    前記脚部は、高さ調整が可能なアジャスタ機能を備えている、ことを特徴とするキャスタ装置。
  9. キャスタ装置を備えた移動体であって、
    前記キャスタ装置として、請求項1乃至8の何れか一項に記載のキャスタ装置を備えていることを特徴とする移動体。
  10. 請求項9に記載の移動体であって、
    当該移動体は、テーブル板を有するテーブル本体部と、このテーブル本体部の下面に各々備えられた複数のテーブル脚とを備えたテーブルであり、
    前記キャスタ装置のうち、前記車輪、前記脚部及び前記移動機構部をキャスタ装置本体部と定義したときに、
    前記テーブル脚に、前記キャスタ装置本体部が備えられ、
    前記テーブル本体部に、前記切替スイッチが備えられている、ことを特徴とする移動体。
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