JP3227296U - 歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シェードガイドが透けて見える部位の歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して変わって見えないかどうかを、実際に確認することができるようにし、もってアバットメントのピンク色を最適に決定するアバットメント用シェードガイド装置を提供する。【解決手段】アバットメントの歯肉貫通部分の表面のピンク色を決定するために用いるシェードガイド装置であって、長さ10〜30mmで少なくともピン先端部が歯肉貫通部2に入る太さを備えた丸棒である少なくとも5本のガイドピン31と、ガイドピン31をつかんでピン先端部を歯肉貫通部2に差し込むためのホルダー32とを備える。各ガイドピン31はチタン製であり、ピン表面に互いに色調の異なる少なくとも5通りのピンク色の干渉色を発する酸化チタン膜が形成されている。【選択図】図3
Description
本考案は、歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置に関するものである。
歯科インプラントは、顎骨に固定する人工歯根であるフィクスチャーと、歯冠が被る支台であるアバットメントと、アバットメントに被った上部構造である歯冠とからなる。また、フィクスチャー体にこれとは別体のアバットメント体を接続する2ピースタイプと、フィクスチャー部とアバットメント部とを一体とした1ピースタイプとがある。以後、本願で「アバットメント」というときは、2ピースタイプにおけるアバットメント体も、1ピースタイプにおけるアバットメント部も包含するものとする。
アバットメントの材料としては、チタン、チタン合金、ジルコニア、金合金等が知られており、チタン又はチタン合金は生体適合性、強度等の点で適している。以後、本願で「チタン」というときは、チタンも、チタン合金も包含するものとする。
しかしながら、チタン製のアバットメントは、表面がチタン特有のシルバーグレイ色なので、ピンク色の歯肉を透かしてやや見えてしまい、歯肉が黒ずんで見えて審美性を損なうという問題があった。より詳しくは、患者の歯肉の歯欠損部位には、歯が抜ける若しくは歯科医が抜歯することにより又は歯科医が塞がった歯肉に開けることにより、歯肉貫通部(穴)が形成される。アバットメントは、この歯肉貫通部に配置される歯肉貫通部分と、歯冠が被る被歯冠部分とを備え、歯冠が被らない歯肉貫通部分のシルバーグレイ色が歯肉を透かして見えるのである。
そこで、チタン製のアバットメントの表面を陽極酸化処理し、形成される酸化チタン膜が歯肉色に近いピンク色の干渉色を発するようにして、上記問題を解決する技術が開発された。
非特許文献1には、互いに色調が異なる5通りの歯肉色に近いピンク色にそれぞれ陽極酸化した5枚のチタンプレートよりなるシェードガイド(濃淡見本)を作成し、患者の歯肉色を光学的に測定して、測定色を前記シェードガイドに照らし合わせる手法が開示されている。
特許文献1には、チタン製のアバットメントの表面の色調をL*a*b*表色系で示すところのL*が40〜44,a*が21〜40、b*が−20〜10の範囲とすることが開示されている。
The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry Volume22,Number 5,2014 「患者固有の粘膜色に着色したアバットメント:ケースシリーズ」
非特許文献1のシェードガイドのチタンプレートは、患者の口腔内に入れることが難しいため、患者の歯肉色を光学的に測定して、その測定色を前記シェードガイドに照らし合わせるという手間が必要であった。
また、仮にチタンプレートを患者の口腔内に入れることができたとしても、歯肉と並べて照らし合わせるにとどまり、歯肉の中に入れることはできない。このため、チタンプレートのピンク色が透けて見える部位の歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して変わって見えないかどうかを、実際に確認することまではできなかった。
そこで、本考案の目的は、歯肉貫通部にシェードガイドを差し込んだときの歯肉のピンク色の変化を実際に確認することができるようにし、もってアバットメントのピンク色を最適に決定することにある。
(1)本考案のシェードガイド装置は、歯肉の歯肉貫通部(穴)に配置されるアバットメントの歯肉貫通部分の表面のピンク色を決定するために用いるシェードガイド装置であって、
長さ10〜30mmで少なくともピン先端部が歯肉貫通部に入る太さを備えた丸棒である少なくとも5本のガイドピンと、ガイドピンを順に1本ずつ、ピン基端部をつかんで患者の口腔内に入れ、ピン先端部を歯肉貫通部に差し込むためのホルダーとを備え、
各ガイドピンはチタン製であり、ピン表面に互いに色調の異なる少なくとも5通りのピンク色の干渉色を発する酸化チタン膜が形成されていることを特徴とする。
長さ10〜30mmで少なくともピン先端部が歯肉貫通部に入る太さを備えた丸棒である少なくとも5本のガイドピンと、ガイドピンを順に1本ずつ、ピン基端部をつかんで患者の口腔内に入れ、ピン先端部を歯肉貫通部に差し込むためのホルダーとを備え、
各ガイドピンはチタン製であり、ピン表面に互いに色調の異なる少なくとも5通りのピンク色の干渉色を発する酸化チタン膜が形成されていることを特徴とする。
[作用]
本考案によれば、歯肉貫通部に差し込んだガイドピンが透けて見える歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して変わって見えないかどうかを、実際に確認することができる。
本考案によれば、歯肉貫通部に差し込んだガイドピンが透けて見える歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して変わって見えないかどうかを、実際に確認することができる。
本考案において、各ガイドピンの少なくともピン先端部は、直径2.5〜3.5mmである態様を好ましいものとして例示できる。
各ガイドピンはチタン製であり、ピン表面の酸化チタン膜が前記ピンク色の干渉色を発することとするのは、前記のとおり、チタンは生体適合性、強度等の点で適しており、また、酸化チタン膜は膜厚の調整で発色の色調をコントロールできるからである。
この点を詳述すると、酸化チタン膜自体は無色透明であるが、様々な波長の光を含む白色光が、酸化チタン膜を経てチタンの表面で反射した光と、酸化チタン膜の表面で反射した光とが干渉作用を起こし、強められた波長の光が色となって見える。これが干渉色である。強められる波長は酸化チタン膜の厚さにより決まるため、その膜厚をコントロールすることにより目的の色を得ることができる。
この点を詳述すると、酸化チタン膜自体は無色透明であるが、様々な波長の光を含む白色光が、酸化チタン膜を経てチタンの表面で反射した光と、酸化チタン膜の表面で反射した光とが干渉作用を起こし、強められた波長の光が色となって見える。これが干渉色である。強められる波長は酸化チタン膜の厚さにより決まるため、その膜厚をコントロールすることにより目的の色を得ることができる。
各ピンク色は、特に限定されないが、L*a*b*表色系でL*が35〜55、a*が17〜42、b*が−20〜30の範囲であれば、多くの患者に対応できる。
(2)上記シェードガイドの使用方法は、上記のシェードガイドの各ガイドピンを順に1本ずつ患者の口腔内に入れ、ガイドピンの先端部を歯肉の歯肉貫通部に差し込み、
ガイドピンの先端部が透けて見える部位の歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して一番変わって見えないのは、複数のガイドピンのいずれを差し込んだ場合であるかを判定し、
判定したガイドピンのピンク色をアバットメントの歯肉貫通部分のピンク色として決定することを特徴とする。
ガイドピンの先端部が透けて見える部位の歯肉のピンク色が、患者本来の歯肉のピンク色に対して一番変わって見えないのは、複数のガイドピンのいずれを差し込んだ場合であるかを判定し、
判定したガイドピンのピンク色をアバットメントの歯肉貫通部分のピンク色として決定することを特徴とする。
本考案によれば、歯肉貫通部にシェードガイドを差し込んだときの歯肉のピンク色の変化を実際に確認することができ、もってアバットメントのピンク色を最適に決定することができる。
1.ガイドピンの材料
ガイドピンの材料である「チタン」は、前記のとおり、チタン合金を包含する。
ガイドピンの材料である「チタン」は、前記のとおり、チタン合金を包含する。
2.ガイドピンの寸法
ガイドピンの寸法は、少なくとも先端部が、歯肉の歯肉貫通部に入る太さである必要はあるが、先端部以外の部位は同穴に入らない太さであってもよい。
ガイドピンの寸法は、少なくとも先端部が、歯肉の歯肉貫通部に入る太さである必要はあるが、先端部以外の部位は同穴に入らない太さであってもよい。
3.ガイドピンの本数
ガイドピンの本数は、3〜10本が好ましい。2本では色調の差を細かくすることができず、10本を超えると色調の差が細かくなりすぎるからである。
ガイドピンの本数は、3〜10本が好ましい。2本では色調の差を細かくすることができず、10本を超えると色調の差が細かくなりすぎるからである。
4.ガイドピンのピンク色
ガイドピンのピンク色の原因は、チタン製のガイドピンにおいて、陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による干渉色の発色である。
ガイドピンのピンク色の原因は、チタン製のガイドピンにおいて、陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による干渉色の発色である。
5.アバットメント
アバットメントの材料としては、特に限定されないが、チタン、ジルコニア、金合金、これらの組み合わせ等を例示できる。
嵌合部の形状やフィクスチャーへの固定構造は、特に限定されず、また、回転防止用の六角部を備えるものでも備えないものでもよい。
歯肉貫通部分や被歯冠部分の形状も、特に限定されず、歯冠の形状に対応して適宜の形状に形成できる。
歯肉貫通部分と被歯冠部分とは、一体のものでも、別体を接続したもの(例えば、チタン製の歯肉貫通部分に、ジルコニア製の被歯冠部分を接続したもの)でもよい。
アバットメントの材料としては、特に限定されないが、チタン、ジルコニア、金合金、これらの組み合わせ等を例示できる。
嵌合部の形状やフィクスチャーへの固定構造は、特に限定されず、また、回転防止用の六角部を備えるものでも備えないものでもよい。
歯肉貫通部分や被歯冠部分の形状も、特に限定されず、歯冠の形状に対応して適宜の形状に形成できる。
歯肉貫通部分と被歯冠部分とは、一体のものでも、別体を接続したもの(例えば、チタン製の歯肉貫通部分に、ジルコニア製の被歯冠部分を接続したもの)でもよい。
6.歯肉貫通部分のピンク色
歯肉貫通部分のピンク色の原因は、特に限定されず、干渉色の発色によるものでも、顔料の色によるものでもよい。例えば、チタン製のアバットメントにおいて、陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による干渉色の発色や、ジルコニア製のアバットメントにおいて、ジルコニア材料に配合された顔料による色等を例示できる。
歯肉貫通部分のピンク色の原因は、特に限定されず、干渉色の発色によるものでも、顔料の色によるものでもよい。例えば、チタン製のアバットメントにおいて、陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による干渉色の発色や、ジルコニア製のアバットメントにおいて、ジルコニア材料に配合された顔料による色等を例示できる。
以下、本考案を具体化したシェードガイドの実施例と、同シェードガイドを用いて色決定する歯科インプラントの新規なアバットメントについて、図1〜図3を参照して説明する。なお、実施例で記す材料、構成、数値は例示であって、適宜変更できる。
まず、インプラント治療する患者の口腔状態例について簡単に説明すると、図3(b)に示すように、歯肉1の歯欠損部位には、歯が抜ける若しくは歯科医が抜歯することにより又は歯科医が塞がった歯肉に開けることにより、歯肉貫通部2(穴)が形成される。その左右には天然歯3,3が並ぶ。
インプラントは、図1(b)に示すように、顎骨に固定する人工歯根であるフィクスチャー5と、歯冠が被る支台であるアバットメント10と、アバットメントに被った上部構造である歯冠6とからなり、同図示例は、フィクスチャー体にこれとは別体のアバットメント体を接続する2ピースタイプである。前記のとおり、1ピースタイプとしてもよい。歯冠6は、乳白色のハイブリッドセラミックス又はオールセラミックスであり、透光性である。
新規なアバットメント10は、図1(a)(b)に示すように、フィクスチャー5に嵌合する根元の嵌合部11と、フィクスチャー5から出て、歯肉1の歯肉貫通部2に配置される歯肉貫通部分12と、歯肉貫通部分12より先の、歯冠6が被る被歯冠部分13とからなり、これらはチタンにより一体形成されている。嵌合部11は回転防止用の六角部14を備える。歯肉貫通部分12は被歯冠部分13との境に向かうにつれて拡径する形状である。被歯冠部分13は山形状である。但し、これら各部は前記のとおり適宜の形状に形成できる。
歯肉貫通部分12の表面は、同表面に陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による光の干渉で発色するピンク色である。被歯冠部分13の表面は、同表面に陽極酸化処理により形成された酸化チタン膜による光の干渉で発色するゴールド色である。図1〜図3で、クロスハッチングはピンク色を表し、通常の斜めハッチングはゴールド色を表している。
歯肉貫通部分12のピンク色と被歯冠部分13のゴールド色を、オリンパス株式会社製の歯科用測色装置「Crystaleye Spectrophotometer」(略称クリスタルアイ、7バンドLED光源を用いたスペクトル推定方式)を用いて色測定したところ、L*a*b*表色系で次の[表1]のとおりであった。ここで、歯肉貫通部分12のピンク色は、3箇所の測定部位の平均値である。被歯冠部分13のゴールド色は反射色のため、3箇所の測定部位で測定値がかなりばらついたので、そのばらつきの範囲で示した。
このアバットメント10によれば、図1(b)に示すように、歯肉貫通部分12の表面がピンク色なので、ピンク色の歯肉1を通して見えてはいてもほぼ分からないため、歯肉1のピンク色をほとんど変えて見せることがなく審美性を損なわない。また、被歯冠部分13の表面がゴールド色なので、透光性のある乳白色の歯冠6を通して見えてはいてもほぼ分からないため、歯冠6の乳白色をほとんど変えて見せることがなく審美性を損なわない。
このアバットメント10は、次のようにして製造することができる。
(1)嵌合部11と歯肉貫通部分12と被歯冠部分13とからなるアバットメント10を、チタンにより一体形成する。形成方法は、特に限定されないが、強度や精密性の点で切削加工が好ましい。さらに、必要に応じて研削、研磨等により形状を調整する。
(2)アバットメント10の嵌合部11に、フィクスチャーの例えば石膏からなるレプリカ25を結合する。
(3)アバットメント10を脱脂する。
(4)アバットメント10を酸洗いする。上記形成後にチタンの表面は空気中でまだらに酸化し、その酸化物は次の陽極酸化処理の均一性を損なうため、酸洗いにより除去する。酸洗いにはフッ酸や、フッ酸・硝酸混合液等の公知の酸を用いることができる。
(1)嵌合部11と歯肉貫通部分12と被歯冠部分13とからなるアバットメント10を、チタンにより一体形成する。形成方法は、特に限定されないが、強度や精密性の点で切削加工が好ましい。さらに、必要に応じて研削、研磨等により形状を調整する。
(2)アバットメント10の嵌合部11に、フィクスチャーの例えば石膏からなるレプリカ25を結合する。
(3)アバットメント10を脱脂する。
(4)アバットメント10を酸洗いする。上記形成後にチタンの表面は空気中でまだらに酸化し、その酸化物は次の陽極酸化処理の均一性を損なうため、酸洗いにより除去する。酸洗いにはフッ酸や、フッ酸・硝酸混合液等の公知の酸を用いることができる。
(5)図2(a)に示すように、レプリカ25付のアバットメント10を陽極に、通電性の良い金属電極20を陰極にしてそれぞれ電解液21に浸し、電源装置22により直流電圧をかけて、レプリカ25に嵌合した嵌合部11以外の歯肉貫通部分12の表面と被歯冠部分13の表面を陽極酸化処理する。両表面には、表面部のチタンと陽極で電解発生した酸素とが結びつき、図2(b)に示すように酸化チタン膜が生成する。電解液21には、公知の様々な水溶液、非水溶液、溶融塩等を用いることができ、例えば10〜20質量%リン酸水溶液を用いることができる。また、電圧、電流、液温、処理時間等を調節することにより、酸化チタン膜の膜厚を自由にコントロールすることができる。両表面の酸化チタン膜がゴールド色の干渉色を発するようになったら、一旦、電圧を止める。
(6)図2(c)に示すように、レプリカ25付のアバットメント10を電解液21から取り出し、水洗した後、被歯冠部分13をワックス等よりなるマスキング24で覆う。そして、露出した歯肉貫通部分12を酸洗いし、歯肉貫通部分12のゴールド色の酸化チタン膜を除去する。
(7)レプリカ25付のアバットメント10を再び電解液21に浸し、露出した歯肉貫通部分12の表面を陽極酸化処理する。同表面には、表面部のチタンと陽極で電解発生した酸素とが結びつき、図2(c)に示すように酸化チタン膜が生成する。この酸化チタン膜がピンク色の干渉色を発するようになり、それが目的のピンク色になったら陽極酸化処理を終了する。
(8)レプリカ25付のアバットメント10を電解液21から取り出し、レプリカ25とマスキング24を取り除いて、洗浄・滅菌すれば、アバットメント10が完成する。
なお、上記の製造方法に限定されず、例えば上記(6)でマスキング24をした後に、酸洗いをせず、よって歯肉貫通部分12のゴールド色の酸化チタン膜が付いたまま、上記(7)の陽極酸化処理を行ってもよい。歯肉貫通部分12のゴールド色の酸化チタン膜は、陽極酸化処理の続行により膜厚を増してやがてピンク色の干渉色を発するようになり、それが目的のピンク色になったら陽極酸化処理を終了する。
[実施例のシェードガイド]
ところで、歯肉1のピンク色は、患者によって色調が微妙に異なる。そのため、歯肉貫通部分12のピンク色が歯肉1のピンク色と合わないと、その歯肉貫通部分12が歯肉1の歯肉貫通部2に配されたときに歯肉1のピンク色がやや変わって見えることもあり得る。
そこで、歯肉貫通部分12のピンク色を、歯肉1のピンク色が変わって見えないような色調にすることが好ましい。その色決定を適切かつ容易に行えるようにするために、予め次のような実施例のシェードガイド(濃淡見本)を作製して使用した。
ところで、歯肉1のピンク色は、患者によって色調が微妙に異なる。そのため、歯肉貫通部分12のピンク色が歯肉1のピンク色と合わないと、その歯肉貫通部分12が歯肉1の歯肉貫通部2に配されたときに歯肉1のピンク色がやや変わって見えることもあり得る。
そこで、歯肉貫通部分12のピンク色を、歯肉1のピンク色が変わって見えないような色調にすることが好ましい。その色決定を適切かつ容易に行えるようにするために、予め次のような実施例のシェードガイド(濃淡見本)を作製して使用した。
このシェードガイド30は、図3(a)に示すように、ピン表面が互いに色調の異なる5通りのピンク色である5本の棒状のガイドピン31よりなり、各ガイドピン31はその少なくとも先端部が、歯肉1の歯肉貫通部2に入る直径を備えているものである。詳しくは、各ガイドピン31は、直径3mm、長さ20mmのチタン製の丸棒であり、各ピンク色はピン表面に形成された酸化チタン膜による干渉色である。5本のガイドピン31(1番〜5番とする)の各ピンク色を、前記歯科用測色装置「Crystaleye Spectrophotometer」を用いて色測定したところ(各3箇所の測定部位の平均値)、L*a*b*表色系で次の[表2]のとおりであった。
このシェードガイド30の使用方法は、次のとおりである。
図3(b)に示すように、1番〜5番のガイドピン31を順に1本ずつ、ホルダー32で一端をつかんで患者の口腔内に入れ、他端(先端部)を歯肉1の歯肉貫通部2に差し込む。
そして、同図に太線円で示した、ガイドピン31の先端部が透けて見える部位の歯肉1のピンク色を目視観察して、患者本来の歯肉1のピンク色に対して一番変わって見えないのは、1番〜5番のガイドピン31のいずれを差し込んだ場合であるかを判定し、判定したガイドピン31のピンク色を歯肉貫通部分12のピンク色として決定する。
図3(b)に示すように、1番〜5番のガイドピン31を順に1本ずつ、ホルダー32で一端をつかんで患者の口腔内に入れ、他端(先端部)を歯肉1の歯肉貫通部2に差し込む。
そして、同図に太線円で示した、ガイドピン31の先端部が透けて見える部位の歯肉1のピンク色を目視観察して、患者本来の歯肉1のピンク色に対して一番変わって見えないのは、1番〜5番のガイドピン31のいずれを差し込んだ場合であるかを判定し、判定したガイドピン31のピンク色を歯肉貫通部分12のピンク色として決定する。
前述した歯肉貫通部分12の陽極酸化処理は、この決定したピンク色を目的色として行えばよい。また、各ガイドピン31の陽極処理条件を記録しておけば、それを参考にして歯肉貫通部分12の陽極酸化処理を行うことができ、便利である。
このシェードガイド30は、アバットメント10と同様に、次のようにして製造することができる。
(1)ガイドピン31をチタンにより形成する。
(2)ガイドピン31を脱脂する。
(3)ガイドピン31を酸洗いする。
(4)ガイドピン31を陽極に、通電性の良い金属電極を陰極にしてそれぞれ電解液に浸し、電源装置により直流電圧をかけて、ガイドピン31を陽極酸化処理する。
(1)ガイドピン31をチタンにより形成する。
(2)ガイドピン31を脱脂する。
(3)ガイドピン31を酸洗いする。
(4)ガイドピン31を陽極に、通電性の良い金属電極を陰極にしてそれぞれ電解液に浸し、電源装置により直流電圧をかけて、ガイドピン31を陽極酸化処理する。
なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、考案の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
1 歯肉
2 歯肉貫通部
3 天然歯
5 フィクスチャー
6 歯冠
10 アバットメント
11 嵌合部
12 歯肉貫通部分
13 被歯冠部分
14 六角部
20 金属電極
21 電解液
22 電源装置
24 マスキング
25 レプリカ
30 シェードガイド
31 ガイドピン
2 歯肉貫通部
3 天然歯
5 フィクスチャー
6 歯冠
10 アバットメント
11 嵌合部
12 歯肉貫通部分
13 被歯冠部分
14 六角部
20 金属電極
21 電解液
22 電源装置
24 マスキング
25 レプリカ
30 シェードガイド
31 ガイドピン
Claims (4)
- 歯肉(1)の歯肉貫通部(2)に配置されるアバットメント(10)の歯肉貫通部分(12)の表面のピンク色を決定するために用いるシェードガイド装置であって、
長さ10〜30mmで少なくともピン先端部が歯肉貫通部に入る太さを備えた丸棒である少なくとも5本のガイドピン(31)と、ガイドピン(31)を順に1本ずつ、ピン基端部をつかんで患者の口腔内に入れ、ピン先端部を歯肉貫通部(2)に差し込むためのホルダー(32)とを備え、
各ガイドピン(31)はチタン製であり、ピン表面に互いに色調の異なる少なくとも5通りのピンク色の干渉色を発する酸化チタン膜が形成されていることを特徴とする歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置。 - ガイドピン(31)の少なくともピン先端部は、直径2.5〜3.5mmである請求項1記載の歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置。
- ガイドピン(31)のピン先端部以外の部位は、歯肉貫通部(2)に入らない太さである請求項1又は2記載の歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置。
- 各ピンク色は、L*a*b*表色系でL*が35〜55、a*が17〜42、b*が−20〜30の範囲である請求項1、2又は3記載の歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置。
Priority Applications (1)
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JP2020001886U JP3227296U (ja) | 2020-05-22 | 2020-05-22 | 歯科インプラントのアバットメント用シェードガイド装置 |
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