JP3227067U - 離隔用部位を備えたフェイスガード - Google Patents

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Abstract

【課題】顔を覆う部分が曇ってしまう状況を改善しつつ、製造コストを抑制することができるフェイスガードを提供する。【解決手段】本フェイスガードは、装着者の少なくとも鼻先及び口を覆う透明の覆い部位と、この覆い部位の左端部及び右端部を、装着者の頭部の後方を介して繋ぐことの可能な装着用繋ぎ部位と、装着者がこの装着用繋ぎ部位を用いて装着を行った際に、覆い部位と鼻先及び口とを離隔させることを可能にする離隔用部位とを備えている。またこれらの覆い部位、装着用繋ぎ部位、及び離隔用部位は、未装着時においていずれも同一平面内に展開可能な部位となっている。ここで、離隔用部位は、覆い部位の左端部及び右端部を、覆い部位と装着者の顔との間を介して繋ぐことの可能な離隔用繋ぎ部位であって、装着者が装着を行った際に、顔の一部に当接して覆い部位と鼻先及び口とを離隔させる離隔用繋ぎ部位であることも好ましい。【選択図】図1

Description

本考案は、装着者の顔を保護するフェイスガードに関する。
人との対面が不可避となる医療、介護や、接客等の現場、さらには食品・医療品製造等の衛生管理を徹底すべき現場では、当事者からの飛沫や睫毛等が相手や製造物等に及んだり、逆に、当事者が相手からの飛沫を受けたりする事態を回避すべく、各種のフェイスガードが使用されることも少なくない。
このようなフェイスガードとして例えば、特許文献1には、作業者の鼻と両耳に架け渡して顔面に装着する固定具と、この固定具の外側に取り付けられて顔面を覆うシールドと、このシールドの下端部に保持されてシールドの下端と顔面との相互間に生じる隙間を覆う受け部材とを備えたフェイスガードが開示されている。ここで、受け部材は、作業者の睫毛や眉毛等の異物が落下して製品の中に混入してしまうことを防止するために設けられている。
また、特許文献2には、医療従事者の頭部に装着されるフレームと、少なくとも医療従事者の眼前部と顔側面の一部とを覆い、3次元画像に対して所定の偏光特性を有する偏光シールドとからなる手術用フェイスガードが開示されている。この手術用フェイスガードによれば、医療従事者が、手術中、偏光シールドに出力された内視鏡等の3次元映像を利用することが可能となる。
特開2006−057202号公報 国際公開第2016/125551号公報
従来フェイスガードにおいては、その使用中に、顔面を覆うシールドが装着者の吐く息によって曇ってしまい、そのため、装着者が作業を実施しづらくなる事態が生じてしまうことが大きな問題となっていた。
ここで、この問題に対処すべく、例えば特許文献1や特許文献2に記載されたような、眼鏡状の固定具をシールドに取り付けた組立品としてのフェイスガードを採用し、装着者は、この固定具を眼鏡のように掛けることによって顔とシールドとの間に間隔を得る、といった対応がとられてきた。
しかしながら、このように立体部品の組立品としてのフェイスガードは、その製造・組立にそれなりの手間がかかり、製造コスト、ひいてはその製品価格の低減化にも限度が生じる。また、このようなフェイスガードは、ある程度の大きさを有し、例えば大量に出荷・運搬する際にはそれなりの体積のものを扱わなければならず、その負担も少なくない。
これに対し、フェイスガードを使用する多くの現場においては、相当の数のフェイスガードをできるだけ安価に取得したいというのが実情である。特に、例えば全国規模に拡大しつつある感染症に対応している医療現場、さらにはそのような感染症の侵入を排除したい接客現場や食品等の製造現場では、安価であって且つ取り扱いや廃棄の容易なフェイスガードを、常時大量に取り寄せたいニーズが多数発生するのである。
そこで、本考案は、顔を覆う部分が曇ってしまう状況を改善しつつ、製造コストを抑制することができるフェイスガードを提供することを目的とする。
本考案によれば、
装着者の少なくとも鼻先及び口を覆う透明の覆い部位と、
この覆い部位の左端部及び右端部を、当該装着者の頭部の後方を介して繋ぐことの可能な装着用繋ぎ部位と、
当該装着者がこの装着用繋ぎ部位を用いて装着を行った際に、覆い部位と当該鼻先及び口とを離隔させることを可能にする離隔用部位と
を備えており、
覆い部位、装着用繋ぎ部位、及び離隔用部位は、未装着時においていずれも同一平面内に展開可能な部位となっている
ことを特徴とするフェイスガードが提供される。
この本考案によるフェイスガードの一実施形態として、離隔用部位は、少なくとも、覆い部位の左端部及び右端部を、覆い部位と当該装着者の顔との間を介して繋ぐことの可能な離隔用繋ぎ部位であって、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部に当接して覆い部位と当該鼻先及び口とを離隔させる離隔用繋ぎ部位であることも好ましい。
また、上記の離隔用部位が離隔用繋ぎ部位である実施形態において、この離隔用繋ぎ部位は、覆い部位の左端部又は右端部から伸長した帯状部分であり、覆い部位は、当該帯状部分の端部を挿入して固定可能な挿入孔又は切れ込みを有することも好ましい。
さらに、上記の離隔用繋ぎ部位が当該帯状部分である実施形態において、覆い部分は、当該装着者の目も覆うように設けられており、
当該帯状部分は、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部としての額に当接するように設けられていることも好ましい。
または、上記の離隔用繋ぎ部位が当該帯状部分である実施形態において、覆い部分は、少なくとも当該装着者の目よりも下の顔部分を覆うように設けられており、
当該帯状部分は、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部としての顎の周辺部に当接するように配されており、またその際、当該顎の先がそこから抜けることになる開口を有することも好ましい。
さらに、本考案によるフェイスガードの他の実施形態として、フェイスガードは、前方につばの付いた防護帽を被った装着者用であり、離隔用部位は、少なくとも、覆い部分の上部に設けられたスリットであって、当該装着者が装着を行った際に、そこに当該つばが挿入可能となるスリットであることも好ましい。
また、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態として、覆い部位、装着用繋ぎ部位、及び離隔用部位は、一体の透明部材から形成された連続した部位となっていることも好ましい。
さらに、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態として、装着用繋ぎ部位は、当該装着者が装着を行った際に、当該装着者の耳がそこから抜けることになる開口を有することも好ましい。
また、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態として、覆い部位の少なくとも一部は、防曇処理が施されていることも好ましい。さらに、この覆い部位は、厚さが0.1ミリメートル(mm)以上であって0.5mm以下の樹脂シート製であり、当該防曇処理は、成形前の樹脂材料に所定の防曇防止用添加物を添加することを含む処理であることも好ましい。
本考案のフェイスガードによれば、顔を覆う部分が曇ってしまう状況を改善しつつ、製造コストを抑制することができる。
本考案によるフェイスガードの一実施形態を説明するための模式図である。 本考案によるフェイスガードの他の実施形態を示す模式図である。 本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を説明するための模式図である。 本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を示す模式図である。 本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を示す模式図である。
以下に、本考案を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図1は、本考案によるフェイスガードの一実施形態を説明するための模式図である。
図1(A)に示した本実施形態のフェイスガード1は、例えば外部から飛来するウイルスや細菌を含んだ飛沫、花粉、埃、微小浮遊物等が、装着者の顔、特に目、鼻や口に及ばないようにしたり、また、装着者から発せられる飛沫や、睫毛・眉毛等の異物を、外部に放出されないようにしたりする保護具である。
具体的に、フェイスガード1は、
(A)装着者の少なくとも鼻先及び口を覆う(本実施形態では目も覆う)透明の覆い部位11と、
(B)覆い部位11の左端部及び右端部を、装着者の頭部の後方を介して繋ぐことの可能な装着用繋ぎ部位121及び122と、
(C)装着者が装着用繋ぎ部位121及び122を用いて装着を行った際に、覆い部位11と装着者の鼻先及び口とを離隔させることを可能にする「離隔用部位」である離隔用繋ぎ部位13と
を備えており、
(D)覆い部位11、装着用繋ぎ部位121及び122、並びに離隔用繋ぎ部位13は、未装着時においていずれも同一平面内に展開可能な部位となっている
ことを特徴としている。
ここで、フェイスガード1は、上記(C)の「離隔用部位」である離隔用繋ぎ部位13を備えているが故に、装着された際、覆い部位11と装着者の鼻先及び口との距離(図1(B3)の距離S2)をゼロでない所定の有限値に保つことができる。その結果、覆い部位11と装着者の顔面との間の通気性が向上し、覆い部位11が、装着者の吐く息で曇ってしまう状況を改善することができるのである。またこれにより、フェイスガード1の装着者は、例えば治療行為や製造作業等を行う際に、目の前の対象をより良く視認することも可能となる。
さらに、フェイスガード1の各構成部位は、上記(D)に規定されたように、未装着時においていずれも同一平面内(図1(A)でいえば同図の紙面内)に展開可能な部位となっている。その結果、例えば製品としてのフェイスガード1を大量に出荷する際、それらを重ねて小体積化して梱包することもでき、それ故運搬の負担を小さく抑えることも可能となるのである。
また本実施形態において、フェイスガード1の各構成部位(覆い部位11,装着用繋ぎ部位121及び122,離隔用繋ぎ部位13)は、一体の透明部材から形成された、材質の点でも連続した部位となっており、より具体的にフェイスガード1は、1枚の透明樹脂シートから全体を一挙に切り出すことにより製造されている。その結果、製造コストを小さく抑え、ひいては製品としてのフェイスガード1を廉価なものにすることも可能となるのである。
ここで勿論、フェイスガード1を、このようなワンパーツ品ではなく、2つ以上のパーツを繋いで構成する製品とすることも可能である。例えば、「離隔用部位」である離隔用繋ぎ部位13を、覆い部位11と同一の又は異なる部材を用いて別に形成したものとすることもできる。具体的には離隔用繋ぎ部位13を、紙製の別パーツとすることも可能である。しかしながら、ワンパーツ品としてのフェイスガード1は、後に説明するが装着作業も容易に行うことができ、さらに、装着者にとっての軽い付け心地を実現可能とするのである。
以上説明したように、本実施形態のフェイスガード1は、製造コストを低減して廉価なものとすることができ、また、出荷・運搬の負担も小さく抑えることができ、さらに(特に、この後述べる樹脂製のものにつき)廃棄も容易なものとなっている。したがってこのフェイスガード1は、例えば全国規模に拡大しつつある感染症に対応している、飛沫感染を阻止したい医療現場、さらにはそのような感染症の侵入を排除したい接客現場や食品・医療品等の製造現場に対し、必要な量を常時供給するのに非常に適しているのである。
また、上記(A)の覆い部位11、本実施形態ではフェイスガード1の全構成部位(覆い部位11、装着用繋ぎ部位121及び122、及び離隔用繋ぎ部位13)は、ポリプロピレン(PP)樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート(C−PET)樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(G−PET)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、又はポリエチレン(PE)樹脂等の透明樹脂で形成されたものであることも好ましい。このうちPP樹脂、A−PET樹脂、C−PET樹脂、及びG−PET樹脂は、必要となる機械的強度や硬度を有し、また、食品容器の材料にも採用されるような安全性を備えており、顔近傍に位置することとなるフェイスガード1の構成材料として、より好適となっている。
さらに本実施形態では、上述したような樹脂製の覆い部位11(本実施形態ではフェイスガード1の全構成部位)は、防曇処理の施されたものとなっている。これにより、装着者の吐く息による曇り現象だけでなく、環境温度の変化による曇り現象の発生も抑制することが可能となる。
ここで、この防曇処理として、部位表面の少なくとも一部に対し公知の物理的な防曇加工を施してもよい。また、部位表面の少なくとも一部に対し公知の防曇剤を塗布してもよい。しかしながら本実施形態においては、この防曇処理として、成形前の上述したような樹脂材料に対し、所定の防曇防止用添加物を添加することを含む処理を行っている。すなわち、このような添加による防曇処理を施した樹脂シートから切り出し処理を行うことにより、フェイスガード1を形成しているのである。これにより、切り出した後に防曇加工を実施する手間を省くことができ、製造がより容易になる。
またさらに、上述した防曇防止用添加物の添加による防曇処理を採用することによって、厚さが0.1ミリメートル(mm)以上であって0.5mm以下、より好ましくは厚さが0.1ミリメートル(mm)以上であって0.25mm以下である非常に薄い、防曇処理済みの樹脂シートを(押し出し加工により)成形し、これを用いてフェイスガード1を製造することも可能となる。実際、本願考案者は、各部位が厚さ0.2mmのPP製であって全体の重量が17グラム(g)のフェイスガード1を提供することも可能であることを確認している。
いずれにしても、このような防曇処理の施された樹脂製の極薄・極軽量であるフェイスガード1は、使い心地が良好であって長時間使用しても装着者が疲れにくく、また、例えばハサミで余分な部分を切り取って覆い部位11を好みのサイズ・形状のものにすることも容易であり、さらに、使い捨て可能であって除菌の手間無しに簡便に廃棄することもできるのである。
なお、フェイスガード1の原材料となる上述したような樹脂は、公知の帯電防止用添加物を添加することを含む帯電防止処理を施されたものであってもよい。さらに、公知の高透明化処理を施されたものであることも好ましい。このうち、帯電防止処理の施された樹脂シートを採用することによって、覆い部位11が飛沫、花粉や、埃等を引き寄せてしまう現象を抑えることも可能となる。
ここで、所定の防曇防止用添加物の添加によっては、上記の帯電防止用添加物の影響による樹脂シート表面の透明性が劣化する「ブリードアウト現象」の発生を抑制することもできることが分かっている。このような処置の施された樹脂シートを採用することによって、防曇効果を享受するともに、覆い部位11の透明性の経時劣化を防止することも可能となるのである。ちなみに、以上に述べたような防曇防止用添加物の添加による防曇処理の施された樹脂シートとして、例えば、有限会社タイロン製の樹脂シートを採用することができる。
次に、本実施形態のフェイスガード1の装着について説明を行う。
図1(A)及び(B1)に示したように、上記(C)の「離隔用部位」である離隔用繋ぎ部位13は、覆い部位11の左端部(又は右端部でもよい)から伸長した帯状部分であり、覆い部位11の左端部及び右端部を、覆い部位11と装着者の顔との間を介して繋ぐことの可能な部位となっている。より具体的に本実施形態においては、この離隔用繋ぎ部位13の端部は、両側辺に複数の突起を有する挿入部13aとなっている。この挿入部13aは、覆い部位11における離隔用繋ぎ部位13の(左右に関して)反対側に設けられた切り込み11a(又は挿入孔でもよい)へ挿入されて、離隔用繋ぎ部位13の(覆い部位11の両端部を繋ぐ)帯としての長さを調整しつつ固定されるのである。
ここで図1(B3)に示すように、この帯状部分(離隔用繋ぎ部位13)は、上記の固定を行った後、装着者の額に当接するように(図1(B3)では額の左右に張り付くように)設けられているのである。
また、図1(A)及び(B2)に示すように本実施形態において、上記(B)の装着用繋ぎ部位121は、覆い部位11の左端部(又は右端部でもよい)における離隔用繋ぎ部位13よりも上方の位置から伸長した帯状部分であり、またその端部は、両側辺に複数の突起を有する挿入部121aとなっている。一方、上記(B)の装着用繋ぎ部位122は、覆い部位11における装着用繋ぎ部位121とは(左右に関して)反対側の端部における離隔用繋ぎ部位13よりも上方の位置から伸長した帯状部分であり、またその端部に、切り込み122a(又は挿入孔でもよい)を有している。
ここで図1(B2)に示したように、装着用繋ぎ部位121の挿入部121aは、装着用繋ぎ部位122の切り込み122aへ挿入されて、装着用繋ぎ部位121及び122の(覆い部位11の両端部を繋ぐ)帯としての長さを調整しつつ固定されるのである。
装着者は、以上述べたように挿入部13a及び121aを、それぞれ切り込み11a及び122aに挿入して長さを調整しつつ固定した上で、この状態のフェイスガード1を頭部に被って装着するのである。ここで、装着した具合によって、両耳の上方に位置する装着用繋ぎ部位121及び122の帯としての長さを更に調整し、フェイスガード1を頭部に、ひいては顔面上にしっかり固定することもできる。いずれにしても、挿入部121a及び切り込み122aがアジャスタ機能を果たすので、広範な頭囲の大きさに対応して好適な装着を実現することが可能となる。
さらに、装着者は、同じくアジャスタ機能を果たす挿入部13aの切り込み11aへの挿入具合を変えて、離隔用繋ぎ部位13の帯としての長さを調節し、図1(B3)に示した(覆い部位11と、離隔用繋ぎ部位13の額に当接した部分との)距離S1を十分な大きさとすることができる。ここで、距離S1は、10mm以上であって100mm以下に設定されることが好ましく、40mm以上であって80mm以下に設定されることがより好ましい。これにより、覆い部位11と装着者の鼻先及び口との距離S2(図1(B3))を十分な大きさの有限値に保つことができ、覆い部位11が、装着者の吐く息で曇ってしまう状況を改善することも可能となるのである。
また、以上に述べたように距離S1、ひいては距離S2を調整することによって、覆い部位11と顔面との間にそれなりの大きさの空間が形成され、フェイスガード1の上方と下方との間の通気性が十分に確保される。これにより、装着者の呼吸を妨げることなく、覆い部位11の防曇を促進することが可能となる。さらに、装着者は、マスク、眼鏡や、ミニゴーグル等を着用した状態のままでも、フェイスガード1を装着することができる。ここで、このようにフェイスガード1をマスクやミニゴーグル等と併用することによって、例えば飛沫感染防止効果をより高めることも可能となるのである。
さらに、フェイスガード1の覆い部位11は、図1(B3)に示したように、装着された際に装着者の耳を覆わないように限定された(左右方向の)幅を有することも好ましい。ちなみに、装着者の聴覚に影響を与えないこのような構成は、例えばフェイスガード1を装着した医療従事者が、聴診器を使用して診断を行うことも可能にする。
なお、装着用繋ぎ部位121によって覆い部位11の左右両端部を繋ぐ形態、また離隔用繋ぎ部位13によって覆い部位11の左右両端部を繋ぐ形態は、上述した挿入部と切り込み(総入孔)とを用いるものに限定されるものではない。例えば、ボタンとボタン穴とを用いてもよく、雄及び雌の面ファスナを用いることもできる。または、繋ぎ部位を覆い部位11の左右両端部から伸長した2つの紐とし、当該紐を結んで繋ぐような形態も可能である。しかしながら、本実施形態においては、繋ぐのに使用する挿入部及び切り込み(総入孔)を、ワンパーツのフェイスガード1の一部として一挙に形成することができ、製造コストを抑制することが可能となるのである。
また変更態様として、装着用繋ぎ部位121は、覆い部位11の左右端部のうちの一方からのみ伸長しており、覆い部位11には、その端部の挿入部121aが挿入可能な切れ込み(又は挿入孔)が設けられていてもよい。さらに、離隔用繋ぎ部位13は、覆い部位11の左右端部のそれぞれから伸長した2つの帯状部分であって、これらが互いに接続可能となっていてもよい。
図2は、本考案によるフェイスガードの他の実施形態を示す模式図である。
図2に示した本実施形態のフェイスガード2は、
(a)切り込み21aを有しており、装着者の目、鼻先及び口を覆う覆い部位21と、
(b1)切り込み221aを有する装着用繋ぎ部位221と、
(b2)挿入部222aを有する装着用繋ぎ部位222と、
(c)挿入部23aを有する離隔用繋ぎ部位23と
を備えており、これらの部位・部分はそれぞれ、フェイスガード1(図1)における対応する同じ名称の部位・部分と同様又は類似の材料・製造方法で形成されており、同様又は類似の構成を有していて同様又は類似の変更態様をとることができ、さらに同様又は類似の機能・役割を果たし、同様又は類似の効果を奏功する部位・部分となっている。
しかしながら、本実施形態のフェイスガード2においては、フェイスガード1(図1)とは異なり、装着用繋ぎ部位221及び222はそれぞれ、覆い部位21の左端部及び右端部における離隔用繋ぎ部位23よりも下方の位置から伸長した帯状部分となっており、装着の際には、装着者の両耳近傍を介して繋がれるようになっている。またそれ故、装着用繋ぎ部位221及び222はそれぞれ、装着の際、装着者の耳(耳介)がそこから抜けることになる開口221b及び222bを有しているのである。
このように、装着用繋ぎ部位221及び222が、装着者の両耳(両耳介)を開口から露出させつつ、当該両耳近傍及び頭部の後方を介して覆い部位21の左右端部を繋ぐので、フェイスガード2は、装着者の聴覚に影響を与えることなく、装着者の頭部に安定して固定されるのである。ちなみに、このような構成は、例えばフェイスガード2を装着した医療従事者が、聴診器を使用して診断を行うことも可能にする。
また改めて言えば、本実施形態のフェイスガード2においても、フェイスガード1と同様に、離隔用繋ぎ部位23が装着者の額に当接して当該額と覆い部位21との間に空間をつくることによって、覆い部位21が曇ってしまう状況を改善しつつ、製造コストを抑制することができるのである。
図3は、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
図3に示した本実施形態のフェイスガード3は、
(a)切り込み31aを有しており、装着者の鼻先及び口を覆う覆い部位31と、
(b1)切り込み321a及び開口321bを有する装着用繋ぎ部位321と、
(b2)挿入部322a及び開口322bを有する装着用繋ぎ部位322と、
(c)挿入部33aを有する離隔用繋ぎ部位33と
を備えており、これらの部位・部分はそれぞれ、フェイスガード2(図2)における対応する同じ名称の部位・部分と同様又は類似の材料・製造方法で形成されており、同様又は類似の構成を有していて同様又は類似の変更態様をとることができ、さらに同様又は類似の機能・役割を果たし、同様又は類似の効果を奏功する部位・部分となっている。
しかしながら、本実施形態のフェイスガード3においては、フェイスガード2(図2)とは異なり、
(ア)装着者が眼鏡やゴーグルを着用しやすいように、装着者の鼻先及び口を覆うが目は覆わないマスクタイプの覆い部位31が設けられており、また、
(イ)そのような顔の下方に位置する覆い部位31を、装着者の頭部に安定して固定させるため、図3(B)及び(C)に示したように、装着者の両耳(両耳介)をそれぞれ開口321b及び開口322bから露出させつつ、当該両耳近傍及び頭部の後方を介して覆い部位31の左右端部を繋ぐ装着用繋ぎ部位321及び322を採用し、さらに、
(ウ)離隔用繋ぎ部位33は、顔の下方に位置する覆い部位31に合わせ、装着者が装着を行った際、図3(B)及び(C)に示したように(装着者の額ではなく)装着者の顎の周辺部に当接するように配されており、またその際、この顎の先がそこから抜けることになる開口33bを有している。
このような構成によって、フェイスガード3は、装着者の聴覚に影響を与えることなく、例えば眼鏡やゴーグルを着用した装着者の頭部にも安定して固定可能となり、また、離隔用繋ぎ部位33が装着者の顎周辺に当接して当該額の先、ひいては口及び鼻先と、覆い部位31とを離隔させることによって通気性を高め、覆い部位31が曇ってしまう状況を改善することができるのである。さらに勿論、フェイスガード1及び2(図1及び2)と同様、その製造コストを抑制することも可能となるのである。
ちなみに、上述したように覆い部位31が曇ってしまう状況を改善することによって、装着者が覆い部位31越しに下方を見ることも妨げられずに済む。また、覆い部位31の下方への通気性も高まるので、例えば装着者の着用した眼鏡が曇ってしまう事態も改善することが可能となるのである。
図4は、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を示す模式図である。
図4に示した本実施形態のフェイスガード4は、
(a)装着者の目、鼻先及び口を覆う覆い部位41と、
(b1)挿入部421aを有する装着用繋ぎ部位421と、
(b2)切り込み422aを有する装着用繋ぎ部位422と
を有しており、これらの部位・部分はそれぞれ、フェイスガード1(図1)における対応する同じ名称の部位・部分と同様又は類似の材料・製造方法で形成されており、同様又は類似の構成を有していて同様又は類似の変更態様をとることができ、さらに同様又は類似の機能・役割を果たし、同様又は類似の効果を奏功する部位・部分となっている。
しかしながら、本実施形態のフェイスガード4においては、フェイスガード1(図1)とは異なり、離隔用繋ぎ部位及びそれと繋がるための切り込み(挿入孔)は存在せず、その代わりに、覆い部位41の上部に「離隔用部位」としてのスリット43が設けられている。
ここで、フェイスガード4は、つば付きヘルメットといったような前方につばの付いた防護帽を被った装着者用のフェイスガードであり、スリット43は、その装着の際、そこに当該つばが挿入される部位となっている。また、装着用繋ぎ部位421及び422は、当該防護帽の下端部の周囲に巻き付けられ、挿入部421aが切り込み422aに挿入されることにより、フェイスガード4を当該防護帽に安定して固定させる役割を果たす。
このようにスリット43は、前方のつばを受け入れるので、覆い部位41を当該防護帽の下端部の前方位置に安定して固定させ、これにより、覆い部位41を装着者の顔面、ひいては鼻先及び口から確実に離隔させる役割を果たすのである。すなわち、フェイスガード4は、「離隔用部位」としてのスリット43を設けることによって、前方につばの付いた防護帽を被った装着者によって装着された際にも、安定した装着を可能にし、覆い部位41が曇ってしまう状況を改善しつつ、さらに、その製造コストを抑制することができるのである。
図5は、本考案によるフェイスガードの更なる他の実施形態を示す模式図である。
図5に示した本実施形態のフェイスガード5は、
(a)切り込み51aを有しており、装着者の目、鼻先及び口を覆う覆い部位51と、
(b1)切り込み521a及び開口521bを有する装着用繋ぎ部位521と、
(b2)挿入部522a及び開口522bを有する装着用繋ぎ部位522と、
(c)挿入部53a及び開口53bを有する離隔用繋ぎ部位53と
を備えており、これらの部位・部分はそれぞれ、フェイスガード3(図3)における対応する同じ名称の部位・部分と同様又は類似の材料・製造方法で形成されており、同様又は類似の構成を有していて同様又は類似の変更態様をとることができ、さらに同様又は類似の機能・役割を果たし、同様又は類似の効果を奏功する部位・部分となっている。
しかしながら、本実施形態のフェイスガード5においては、フェイスガード3(図3)とは異なり、「離隔用部位」として設けられた離隔用繋ぎ部位53に加えて、覆い部位51の上部に「離隔用部位」としてのスリット54が設けられている。
ここで、フェイスガード5は、フェイスガード4(図4)と同様、つば付きヘルメットといったような前方につばの付いた防護帽を被った装着者用のフェイスガードであり、スリット54は、その装着の際、そこに当該つばが挿入される部位であって、上述したスリット43(図4)と同様又は類似の機能・役割を果たし、同様又は類似の効果を奏功する部位となっている。
ただし、フェイスガード4(図4)の場合とは異なり、装着用繋ぎ部位521及び522は、当該防護帽の下端部の周囲ではなく、装着者の両耳(両耳介)をそれぞれ開口521b及び開口522bから露出させつつ、当該両耳近傍及び頭部の後方を介して覆い部位51の左右端部を繋ぐようになっている。またさらに、装着用繋ぎ部位521及び522がこのような形で覆い部位51を装着者の顔面上に固定することを受け、この覆い部位51と鼻先及び口を離隔させるために、離隔用繋ぎ部位53が、スリット54と併せて利用されるのである。
このように、フェイスガード5においては「離隔用部位」として、スリット54と離隔用繋ぎ部位53とを併用することによって、覆い部位51を、装着者の鼻先及び口を含む顔面全体から確実に離隔させることができる。すなわち、フェイスガード5は、「離隔用部位」としてのスリット54及び離隔用繋ぎ部位53を設けることによって、前方につばの付いた防護帽を被った装着者によって装着された際にも、安定した装着を可能にし、覆い部位51が曇ってしまう状況を改善しつつ、さらに、その製造コストを抑制することができるのである。
例えばある感染症の感染が拡大する中、災害現場において、医療従事者がヘルメットを被って医療行為を行う際にも、フェイスガード5は、当該医療従事者が簡単且つ確実に装着することができ、さらに好適な使い心地を享受できるものとなっている。
また勿論、フェイスガード5においても、装着用繋ぎ部位521及び522は、装着者の両耳を開口から露出させつつ、当該両耳近傍及び頭部の後方を介して覆い部位51の左右端部を繋ぐので、装着者の聴覚に影響を与えることがない。したがって、例えばフェイスガード5を装着した当該医療従事者は、聴診器を使用して診断を行うことも可能となるのである。
以上詳細に説明したように、本考案のフェイスガードは、以上に述べたような「離隔用部位」を備えているが故に、装着された際、覆い部位と装着者の鼻先及び口とを確実に離隔させることができ、その結果、この覆い部位が装着者の吐く息で曇ってしまう状況を、改善することが可能となる。
また、本考案のフェイスガードの各構成部位は、未装着時においていずれも同一平面内に展開可能な部位となっている。これにより、本フェイスガードの製造が容易となり、製造コストを抑制することが可能となる。さらに、例えば製品としてのフェイスガードを大量に出荷する際にも、それらを重ねて小体積化して梱包することもでき、それ故運搬の負担を小さく抑えることも可能となる。
さらに、本考案のフェイスガードは、以上に説明したように種々の実施形態をとることができ、その結果、様々な現場や業界で好適に利用可能なものとなっている。例えば、病院、薬局、介護施設、銀行、自治体等の窓口、飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、理美容室、サロンや、食品・医療品製造工場等において人や製造物等と対面する従事者、さらには、柴刈り、ガーデニング、洗車や、ペンキ塗り等のアウトドア作業を行う人や、家庭内で料理・調理を行う人等、種々様々なユーザに利用されることができるのである。
なお、以上に述べた実施形態は全て、本考案を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本考案は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って、本考案の範囲は、実用新案登録請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
1、2、3,4、5 フェイスガード
11、21、31、41、51 覆い部位
11a、122a、21a、221a、31a、321a、422a、51a、521a 切り込み
121、122、221、222、321、322、421、422、521、522 装着用繋ぎ部位
121a、13a、222a、23a、322a、33a、421a、522a、53a 挿入部
13、23、33、53 離隔用繋ぎ部位(離隔用部位)
221b、222b、321b、322b、33b、521b、522b、53b 開口
43、54 スリット(離隔用部位)

Claims (10)

  1. 装着者の少なくとも鼻先及び口を覆う透明の覆い部位と、
    前記覆い部位の左端部及び右端部を、当該装着者の頭部の後方を介して繋ぐことの可能な装着用繋ぎ部位と、
    当該装着者が前記装着用繋ぎ部位を用いて装着を行った際に、前記覆い部位と当該鼻先及び口とを離隔させることを可能にする離隔用部位と
    を備えており、
    前記覆い部位、前記装着用繋ぎ部位、及び前記離隔用部位は、未装着時においていずれも同一平面内に展開可能な部位となっている
    ことを特徴とするフェイスガード。
  2. 前記離隔用部位は、少なくとも、前記覆い部位の左端部及び右端部を、前記覆い部位と当該装着者の顔との間を介して繋ぐことの可能な離隔用繋ぎ部位であって、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部に当接して前記覆い部位と当該鼻先及び口とを離隔させる離隔用繋ぎ部位であることを特徴とする請求項1に記載のフェイスガード。
  3. 前記離隔用繋ぎ部位は、前記覆い部位の左端部又は右端部から伸長した帯状部分であり、前記覆い部位は、当該帯状部分の端部を挿入して固定可能な挿入孔又は切れ込みを有することを特徴とする請求項2に記載のフェイスガード。
  4. 前記覆い部分は、当該装着者の目も覆うように設けられており、
    当該帯状部分は、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部としての額に当接するように設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載のフェイスガード。
  5. 前記覆い部分は、少なくとも当該装着者の目よりも下の顔部分を覆うように設けられており、
    当該帯状部分は、当該装着者が装着を行った際に、当該顔の一部としての顎の周辺部に当接するように配されており、またその際、当該顎の先がそこから抜けることになる開口を有する
    ことを特徴とする請求項3に記載のフェイスガード。
  6. 前記フェイスガードは、前方につばの付いた防護帽を被った装着者用であり、
    前記離隔用部位は、少なくとも、前記覆い部分の上部に設けられたスリットであって、当該装着者が装着を行った際に、そこに当該つばが挿入されるスリットである
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は5に記載のフェイスガード。
  7. 前記覆い部位、前記装着用繋ぎ部位、及び前記離隔用部位は、一体の透明部材から形成された連続した部位となっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフェイスガード。
  8. 前記装着用繋ぎ部位は、当該装着者が装着を行った際に、当該装着者の耳がそこから抜けることになる開口を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフェイスガード。
  9. 前記覆い部位の少なくとも一部は、防曇処理が施されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のフェイスガード。
  10. 前記覆い部位は、厚さが0.1ミリメートル以上であって0.5ミリメートル以下の樹脂シート製であり、当該防曇処理は、成形前の樹脂材料に所定の防曇防止用添加物を添加することを含む処理であることを特徴とする請求項9に記載のフェイスガード。
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