JP3226380U - 逆湯煎式酒燗器 - Google Patents
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Abstract
【課題】清酒その他の酒類を加熱する際、酒類が、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたか否かを認知することを容易にすることにより、使用者が容易に酒類を加熱することのできる酒類加熱器具を提供する。【解決手段】酒類加熱器具は、外側面に示温標識5を付着させた酒類容器1および、熱湯容器3により構成される。酒類を保持した酒類容器の内側に、熱湯を保持した熱湯容器を挿入することにより、酒類容器が保持する酒類を内側から加熱する。酒類容器の外側面に付着する示温標識の温度表示を読み取ることにより、酒類が、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたか否かを認知する。【選択図】図1
Description
本考案は、清酒その他の酒類を加熱する器具に関する。
従来の酒類加熱器具(湯煎式酒燗器)は、図3に示すように、熱湯4を保持する熱湯容器3と、酒類2を保持する酒類容器1とを有する。伝統的な酒類容器1として徳利(銚子ともいう)や酒タンポ(チロリともいう)が用いられている。
従来の酒類加熱器具は、図3に示すように、熱湯4を保持する熱湯容器3内に、酒類2を保持する酒類容器1を挿入することにより、熱湯4が有する熱を酒類2に伝導させ、酒類2を意図する温度に達するまで加熱する。使用者は、意図する温度に達するまで加熱した時点で、酒類容器1を熱湯容器3より引き上げて加熱を終了させる。
伝統的に酒類を加熱する場合、ほぼ30℃が「日向燗」、ほぼ35℃が「人肌燗」、ほぼ40℃が「ぬる燗」、ほぼ45℃が「上燗」、ほぼ50℃が「あつ燗」、55℃以上が「飛び切り燗」と呼び分けられており、温度帯により酒類2の香味特性が異なるため、使用者により意図する飲用温度が異なる。(非特許文献1参照。)
使用者が意図する温度を超えて酒類2を加熱してしまうと酒類2の香味特性が異なってしまうため、酒類加熱器具においては、酒類2が使用者が意図する温度に達するまで加熱されたことを使用者が認知して適時に加熱を終了することを可能とすることが重要である。
従来の酒類加熱器具により酒類2が使用者が意図する温度に達するまで加熱されたことを認知するための従来の方法としては、以下の3つの方法が用いられている。
第一の方法は、使用者が酒類容器1を熱湯容器3内より取り出し、酒類容器1を手で触れることにより感覚的に認知する方法である。
第二の方法は、公知の温度計を酒類容器1内に挿入し、酒類容器1が保持する酒類2の温度を測定することにより認知する方法である。
第三の方法は、過去に使用者が第一の方法又は第二の方法により意図する温度まで加熱するために要した時間と同じ時間を計測しつつ加熱することにより、使用者が意図する温度まで加熱されたものとみなす方法である。
しかし、従来の酒類加温器具によれば、上記の方法では、酒類2が、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたか否かを認知することは、一般消費者には実施が困難もしくは不便である。
第一の方法では、経験を積んで感覚的な温度判断に習熟しなければ使用者が意図する温度か否かを認知出来ない。また加熱の進捗状況が外見からは判別困難であるため、経験を積まなければ使用者が意図する温度を超えて加熱してしまうことがある。使用者が意図する温度を超えて加熱してしまうことを防ぐには、使用者が意図する温度に達する以前から何度も酒類容器1を熱湯容器3内より取り出して手で触れる作業を繰り返す必要がある。このように、第一の方法は、一般消費者には実施が困難もしくは不便である。
第二の方法では、酒類容器1とは別途に公知の温度計を常備し適切に使用し使用後は洗浄し保管する必要がある。公知の温度計は一般消費者にとって視認性が簡便とは言えず、複雑な形状と割れやすい部品のため洗浄も容易ではなく、一般消費者には実施が不便である。
第三の方法では、酒類容器1が保持する酒類2の初期温度、成分、気温その他の条件が過去の加熱例と異なる場合には加熱速度が異なるため、経験に基づく加熱時間の補正が必要であり、一般消費者には実施が困難である。
これらの理由により、従来の器具を用いた酒類加熱方法は、一般消費者には実施が困難ないし不便である。
なお、酒類加熱器具としての実施例は存在しないが、「当該温度を色彩・文字表出などで表示する示温標識(示温塗料、液晶など)」を用いて「適温の燗酒になったことを表示できるようにする」先行技術が存在する(特許文献1参照。)しかしながら、この技術は、熱湯容器3の外側面に示温標識を付着させて熱湯4の温度を表示するものであり、酒類2を長時間加温して酒類2と熱湯4が同じ温度に達した時点においては酒類2の示温標識としても有用であるが、使用者が認知したいのは熱湯4の熱により酒類2の温度が上昇する最中の酒類2の温度であるため、この技術は本考案には適用できない。そこで、第二の方法の応用技術である第四の方法として、公知の温度計を酒類容器1内に挿入する代わりに、酒類容器1の外側面に示温標識を付着させて酒類容器1自体に酒類2の温度を表示する機能を付与する方法も検討した。
第四の方法は、酒類容器1が保持する既に加熱を終了した酒類2の温度を認知する方法としては実行が容易であるが、この酒類容器1を、加熱前の酒類2を保持した状態で、加熱のために熱湯容器3内に挿入し熱湯4に浸漬させた場合、酒類容器1の外側面は熱湯容器3の外部からは視認できないため、加熱状況を認知することが困難である。また、熱湯容器3内の熱湯4が酒類容器1の外側面に直接触れて示温標識が酒類2ではなく熱湯4の温度を示してしまい、酒類2が使用者が意図する温度に達するまで加熱されたか否かを判断することが困難である。
独立行政法人酒類総合研究所編「改定版・新・酒の商品知識」法令出版、平成26年発行、246ページ
本考案が解決しようとする課題は、清酒その他の酒類を従来の酒類加熱器具(湯煎式酒燗器ともいう)により加熱する際、酒類が、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたかどうかを認知することが、一般消費者には困難である点である。
本考案は、このような困難を解決しようとするものであり、酒類が使用者が意図する温度に達するまで加熱されたかどうかの認知を容易にする酒類加熱器具により、使用者が一般消費者であっても容易に酒類を加熱することのできる器具を提供することを特徴とする。
本考案の酒類加熱器具(逆湯煎式酒燗器)においては、酒類容器1の内側に熱湯容器3を挿入することにより、酒類容器1が保持する酒類2を外側からではなく内側から加熱するので、酒類容器1の外側面に付着する示温標識5の温度表示を読み取ることにより、使用者が一般消費者であっても、酒類が、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたかどうかを容易に認知でき、容易に酒類を加熱することができるという利点がある。
本考案を実施するための形態として、図1に示すように、外側面に示温標識5を付着させた酒類容器1および、熱湯容器3が、酒類加熱器具を構成する。
本考案の酒類加熱器具の実施例を図1で示す。
図1の実施例では、酒類2を保持する酒類容器1は、素材は銅であり、形状は有底円筒形であり、その内部に熱湯容器3を挿入した状態でなお加熱する酒類2を保持することのできる容積を有している。酒類容器1の外側面に付着する示温標識5は、30℃から60℃までの温度で5℃刻みで変色する示温材を用いて温度計機能を付与している。熱湯4を保持する熱湯容器3は、素材は銅であり、形状は有底円筒形であり、底面外径は酒類容器1の底面内径より小さく、高さは酒類容器1の高さより高い。
本考案の酒類加熱器具を図2で示す。
使用者は、酒類容器1の中に酒類2を注ぎ、熱湯容器3の中に熱湯4を注ぎ、熱湯4を保持する熱湯容器3を、酒類2を保持する酒類容器1内に挿入する。すると、熱湯4が有する熱が、熱湯容器3、酒類2、酒類容器1、示温標識5の順に伝導してこれらが加熱され、示温標識5の色が変化する。使用者は、使用者が意図する温度に達するまで加熱されたことを認知した時点で、酒類容器1の中から熱湯容器3を引き上げることにより、酒類2の加熱を終了させる。
図1の実施例では、酒類容器1および熱湯容器3の材質は銅であったが、銀、錫、ステンレスその他の金属、耐熱ガラス、耐熱プラスチック、磁器その他の酒類2と熱湯4を保持できる材質であっても差し支えない。但し、熱湯4が有する熱を、熱湯容器3、酒類2、酒類容器1、示温標識5の順に迅速に伝導させる観点より、熱伝導率が高い材質が望ましい。
図1の実施例では、示温標識5は燗酒の伝統的な呼称に基づき、30℃から60℃までの温度を5℃刻みで表示する機能を有する示温標識であったが、使用者が意図する温度まで加熱したことを表示する機能を有する示温標識であれば、最高・最低表示温度および表示温度間隔、数字の使用の有無を含む表示方法や形状は、図1の実施例と異なるものであっても差し支えない。
本考案の酒類加熱器具は、従来の酒類加熱器具(湯煎式酒燗器)の利点である「電気が不要」すなわち「お湯さえあればいつでもどこでも使える」に加えて「従来の温度計が不要」すなわち「携帯が容易」かつ「温度の認知が容易」で酒類加熱の経験の少ない一般消費者にも使用が容易であるため、一般家庭やアウトドア活動において広く利用される可能性を有する。
また、本考案によれば飲食店において客の好みに合わせて酒類加熱を行う熟練従業員は不要であり、本考案の器具を用いて客が自らの好みに合わせて酒類加熱を行うことが容易となり、一般飲食店および、列車や航空機など設備の限られた厨房において広く利用される可能性を有する。
更に、本考案によれば酒類加熱の経験のない外国人にも使用が容易であるため、ともすれば燗酒の知識に乏しく香味を損なうほど過度に酒類を加熱する傾向のある海外の日本食料理店や日本食愛好家の家庭において広く利用される可能性を有する。
1 酒類容器
2 酒類
3 熱湯容器
4 熱湯
5 示温標識
2 酒類
3 熱湯容器
4 熱湯
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Claims (1)
- 清酒その他の酒類を加熱する器具であって、酒類を保持する酒類容器と、酒類容器の外側面に付着して酒類容器内の酒類の温度を表示する機能を有する示温性塗料その他の示温標識と、熱湯を保持した状態で酒類容器内に挿入して酒類を内側から加熱する熱湯容器と、を有することを特徴とする酒類加熱器具。
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