JP3223851B2 - メンタルストレス判定装置 - Google Patents

メンタルストレス判定装置

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JP3223851B2 JP19497897A JP19497897A JP3223851B2 JP 3223851 B2 JP3223851 B2 JP 3223851B2 JP 19497897 A JP19497897 A JP 19497897A JP 19497897 A JP19497897 A JP 19497897A JP 3223851 B2 JP3223851 B2 JP 3223851B2
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人の定常的ストレ
スとしてのメンタルストレスを判定するメンタルストレ
ス判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、脈拍データの変動状況をマイクロ
コンピュータにより測定することにより、人のストレス
レベルを測定するストレスレベル測定装置がある。これ
は、図12に示すように、被験者の脈波を検出する脈波
検出器7が脈拍計数器8に接続され、その脈拍計数器8
がマイクロコンピュータ9に接続されているものであ
る。そして、図13に示すように、脈波検出器7で検出
した脈波データ31を、脈拍計数器8により整形パルス
32に変換して脈拍データを計数し、その脈拍データの
上昇下降をマイクロコンピュータ9で監視することによ
り、ストレスのレベルを測定するものである。同様のも
のが、特開平4ー180730号公報に記載されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、人
は、職場あるいは日常生活において、様々なストレスを
受けている。特に、急速なOA(オフィスオートメーシ
ョン)化、FA(ファクトリオートメーション)化によ
り、VDT(ビデオディスプレイ端末装置)作業や監視
作業が増え、これらの作業がもたらすメンタルストレス
は過労やヒューマンエラーの要因となっている。これを
防ぐため、メンタルストレス(テクノストレスとも言
う)を評価、判定することが重要となっている。
【0004】しかしながら、従来のストレスレベル測定
装置は、脈拍の上昇下降のみの情報を利用する構成であ
るため、ストレスレベル測定の信頼性が低く、また、測
定時における一時的ストレスしか測定できない。また、
心電図信号に不整脈等の現象が生じた場合、その区間は
解析が不能になる。不整脈は健常者でも通常発生してい
るが、精神的ストレス状態では不整脈の生じる被験者が
多く報告されている。不整脈による解析不能区間が、頻
繁に生じる場合には、判定自体が不可能になるという問
題があった。
【0005】そこで次に、メンタルストレスと脳波の相
関関係が高いことを利用して、被験者の脳波を測定し
て、精神的ストレス状態を判定しようとする試みがあ
る。安静状態の被験者の脳波を数分間測定し、周波数解
析を行い、メンタルストレスを判定するものであるが、
測定時における一時的ストレスしか測定できず、長期間
にわたって蓄積された定常的なストレスレベル測定につ
いての信頼性は低い。また、脳波を測定する際には、多
数の電極を頭髪を分けて頭皮上に装着する必要があり、
脳波の測定に煩わしさをもたらす原因となっていた。
【0006】以上のように、現在のところ、メンタルス
トレスという感覚量を簡易的に計測して、客観的かつ定
量的に信頼性高く評価する技術は確立されていないと言
える。本発明は、このような従来の問題点に鑑み、簡易
的な測定方法により、定常的ストレスとしてのメンタル
ストレスを客観的に精度よく判定するメンタルストレス
判定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、被
験者にタスクとレストとを交互に与えるタスク提示手段
と、被験者の脳波データを測定する脳波データ簡易測定
手段と、脳波データ簡易測定手段により測定した脳波デ
ータの周波数解析を行い、タスク状態とレスト状態のそ
れぞれで脳波の全周波数帯に相当するパワースペクトル
とα波に相当する周波数帯のパワースペクトルの比であ
る正規化α波パワーを算出する脳波データ信号処理手段
と、脳波データ信号処理手段により算出したタスク状態
の正規化α波パワーとレスト状態の正規化α波パワーの
比率に基づいて、メンタルストレスを判定するメンタル
ストレス判定手段とを有するものとする。
【0008】上記タスク提示手段は、タイマを備え、被
験者に一定時間のタスクとレストとを交互に行なうよう
に、タイマにより時間を提示するのが好ましい。また、
脳波データ簡易測定手段は、額部からの脳波データを採
取し、脳波データ信号処理手段は、瞬き等のノイズ信号
を検出し、除去する目的外信号除去手段を有することも
できる。
【0009】また、脳波データ信号処理手段は、脳波デ
ータ簡易測定手段により検出された脳波データから周波
数帯別の周波数パワースペクトルを算出する周波数パワ
ー算出手段と、周波数パワー算出手段で算出された周波
数パワースペクトルをタスク状態とレスト状態で、それ
ぞれ周波帯毎に加算する周波数パワー加算手段と、周波
数パワー加算手段で加算されたタスク状態とレスト状態
のそれぞれで、全周波数帯のパワーに対するα波のパワ
ーの比である正規化α波パワーを算出するα波パワー正
規化回路を有するものとすることができる。
【0010】さらに、脳波データ信号処理手段は、脳波
データ簡易測定手段により検出された脳波データから周
波数帯別の周波数パワースペクトルを算出する周波数パ
ワー算出手段と、周波数パワー算出手段で算出された周
波数パワーをタスク状態とレスト状態で、それぞれ周波
数帯別に加算する周波数パワー加算手段と、周波数パワ
ー加算手段で加算されたタスク状態とレスト状態のそれ
ぞれで、全周波数帯のパワーに対するα波のパワーの比
である正規化α波パワーを算出するα波パワー正規化回
路を有し、メンタルストレス判定手段は、前回測定した
前記タスク状態の正規化α波パワーと、レスト状態の正
規化α波パワーの比率と、今回測定したタスク状態の正
規化α波パワーと、レスト状態の正規化α波パワーの比
率の変化に基づいて、メンタルストレスを判定すること
もできる。
【0011】
【作用】元来、脳波はその発生状態に個人差が大きく、
単に一回のみ測定した脳波データから定常的メンタルス
トレスを判定することは困難である。本発明によるメン
タルストレス判定装置では、タスク提示手段により、
験者に一時的な精神作業を課すタスク状態と、精神作業
を課していないレスト状態を交互に与え、タスク状態と
レスト状態での、脳波成分の差位を観測し、メンタルス
トレスの有無を判定している。すなわち被験者の精神作
業に対する柔軟性が、定常的ストレスとしてのメンタル
ストレスに大きく影響される点に着目し、本発明では、
被験者の精神作業に対する柔軟性を示す指標として、脳
波の周波数帯の一つであるα波成分がタスク状態とレス
ト状態で出現する比率を使用している。
【0012】具体的には、脳波データ簡易測定手段によ
り被験者の脳波データを採取して、脳波データ信号処置
手段に入力し、周波数解析を行い、タスク状態とレスト
状態のそれぞれで脳波の全周波数帯に相当するパワース
ペクトルとα波に相当する周波数帯のパワースペクトル
の比である正規化α波パワーを算出、メンタルストレス
判定手段で、タスク状態の正規化α波パワーとレスト状
態の正規化α波パワーの比率に基づいて定常的なメンタ
ルストレスの有無が判定される。これにより、感覚的な
メンタルストレスが客観的に判定される。
【0013】また、上記のタスク提示手段が、タイマに
より、被験者に一定時間のタスクとレストとを交互に行
なうように、時間の提示を行なうと、被験者に対して簡
易なタスクが与えられ、脳波データが容易に採取され
る。
【0014】上記の脳波データ簡易測定装置を用いて、
被験者の脳波データを額部から採取することにより、頭
髪を分ける煩わしさが省け、極めて簡易的に脳波データ
を採取することができる。しかしながら、図14の
(a)に示すように、通常の後頭部33から検出する方
式では、ノイズ信号が脳波データに混入することは少な
いが、額部34から検出しようとすると、図14の
(b)に示すような瞬き等のパルス状の筋電信号35
や、他のノイズ信号が、脳波データに混入しやすい。そ
のために、目的外除去手段を設け、ノイズ信号を検出、
除去することにより、簡易的に脳波データを採取し、高
精度にメンタルストレスを判定できる。
【0015】また、脳波データ信号処理手段では、前回
測定と今回測定におけるタスク状態およびレスト状態の
正規化α波パワーの比率を比較することにより、メンタ
ルストレスの変化状況を知ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例によ
り説明する。図1は第1の実施例の構成を示し、図2は
その使用状態を示す。また図3はタスクを与えるタイミ
ングを示す図であり、図4および図5は動作を説明する
フローチャートである。ここでは、脳波の中のα(アル
ファ)波に着目し、正規化α波パワーを一時的ストレス
を加えた状態で測定算出して、背景の定常的ストレスに
対する変化を観測するようにするとともに、瞬き等の現
象が発生したときの脳波データを除去することで、解析
の中断なく、確度の高い判定を行えるようにする。
【0017】メンタルストレス判定装置は、図1に示す
ように、被験者に一時的ストレスを与えるタスク提示手
段としてのタスク/レスト提示装置1と、被験者の脳波
データを採取する脳波データ簡易測定装置2と、採取し
た脳波データの周波数解析を行ない、正規化α波パワー
を算出する脳波データ信号処理回路3と、算出された正
規化α波パワーに基づいてメンタルストレスを判定する
メンタルストレス判定回路4とから構成されている。
【0018】タスク/レスト提示装置1は、図2に示す
ように、被験者に体動の少ないタスクを提示する装置
で、内蔵されたタイマにより、一定時間のタスク(課
題)とレスト(休息)とを繰り返すタイミングを被験者
に提示する。具体的には、図3の(a)に示すように、
タスクが約1分程度、レストが約2分程度に設定され、
タスクとレストとが交互に複数回繰り返して提示され
る。タスクとしては、精神的なストレスを加えられる内
容であればよく、例えば図3の(b)に示すように、罫
線21で記入位置22を特定した所定の用紙23に、上
記の所定の時間内に、できるだけ多くの丸印24を書き
込む作業が課される。
【0019】脳波データ簡易測定装置2は、図2に示す
ように、被験者の額部に取付けられ、脳波データを採取
する額部取付用電極11と採取した脳波データを脳波デ
ータ信号処理回路3に、有線または無線で転送する脳波
データ転送装置12から構成される。医療用としての正
確な波形診断が目的ではないため、電極の装着も簡単な
ものでよく、額部に電極を取り付ける形式で、簡易測定
が可能なハチマキ状の電極が使用されている。
【0020】脳波データ信号処理回路3は、脳波データ
の周波数成分を解析し、ノイズが含まれる脳波データや
タスク時とレスト時の境界での脳波データ等の目的外信
号を除去し、周波数帯別に周波数パワースペクトルを算
出する周波数パワー算出回路13と、タスク時とレスト
時に分けて、周波数帯別の周波数パワースペクトルを加
算する周波数パワー加算回路14と、タスク時とレスト
時のそれぞれで、全周波数帯の周波数パワースペクトル
に対するα波パワースペクトルの比である正規化α波パ
ワーを算出するα波パワー正規化回路15からなり、α
波パワー正規化回路15の出力がメンタルストレス判定
回路4に入力されるようになっている。ここで、脳波デ
ータ信号処理回路3およびメンタルストレス判定回路4
は、コンピュータで構成されている。
【0021】次に、動作を説明する。タスク/レスト提
示装置1により被験者に一時的ストレスを与えつつ、脳
波データ取付用電極11により採取した被験者の脳波デ
ータを脳波データ転送装置12により転送し、脳波デー
タ信号処理回路3の周波数パワー算出回路13へ入力す
る。周波数パワー算出回路13では、まず脳波データを
約1秒ずつ切り出し、周波数解析を行い周波数帯別の周
波数パワースペクトルを求める。ここで、瞬き等のノイ
ズに相当する周波数帯の周波数スペクトルが所定比率以
上含まれている脳波データは、目的外データとして、破
棄する。
【0022】周波数パワー加算回路14では、まず、タ
スク状態とレスト状態の境界時間にあたる脳波データ
は、目的外データとして、破棄し、次にタスク状態と、
レスト状態に別けて、各周波数パワースペクトルを周波
数帯毎に加算するα波パワー正規化回路15では、タス
ク状態での全周波数帯のパワースペクトルとα波パワー
スペクトルの比P(T)と、レスト状態での全周波数帯
のパワースペクトルとα波パワースペクトルの比P
(R)を算出する。
【0023】メンタルストレス判定回路14では、タス
ク状態での全周波数帯のパワースペクトルとα波パワー
スペクトルの比P(T)と、レスト状態での全周波数帯
のパワースペクトルとα波パワースペクトルの比P
(R)の比である、ストレス度MSを算出し、このスト
レス度MSに基づいて、定常的ストレスであるメンタル
ストレスの有無を判定する。
【0024】つぎに、本実施例における動作の流れを、
図4および図5に示すフローチャートを用いて、より詳
細に説明する。ステップ101において、タスク/レス
ト提示装置1により被験者にタスクを提示する。ステッ
プ102で、脳波データ簡易測定装置2の額部取付用電
極11によ、被験者の脳波データが測定される。
【0025】ステップ103では、脳波データ転送装置
12により、脳波データを脳波データ信号処理回路3に
転送する。ステップ104では、周波数パワー算出回路
13において、脳波データはA/D変換され、1KHz
以上でサンプリングされ、逐次取り込まれる。ステップ
105では、脳波データから時系列的に1024ポイン
トずつデータを切り出す。こうして、ステップ106で
は、約1秒間の脳波データセットが得られる。
【0026】ステップ107では、切り出した脳波デー
タセットをFFT解析し、周波数成分に分解する。ステ
ップ108では、図6に示すように、周波数帯毎にパワ
ースペクトルを求める。脳波の周波数帯は、通常リラッ
クスした状態で生じるα波(8〜13Hz)を含む30
Hz以下であり、30〜50Hzの周波数は、瞬き等に
より生じるノイズ成分である。ステップ109では、3
0Hz以下の脳波の周波数帯に相当する周波数帯の各パ
ワースペクトルの加算値に対する、30〜50Hzの瞬
き等のノイズ成分に相当する周波数帯のパワースペクト
ルの比を算出し、目的外信号が、採取した脳波データの
中に含まれているかを検出する。ノイズ成分に相当する
周波数帯のパワースペクトルの比が0.1以上のときに
は、この脳波データセットには、ノイズ成分が含まれて
いるとみなし、この脳波データセットは放棄され、ステ
ップ110に進む。ノイズ成分に相当する周波数帯のパ
ワースペクトルの比が0.1より小さいときには、ステ
ップ111に進む。
【0027】ステップ110では、切出区間を786ポ
イントシフトし、ステップ105へ戻り、新たな脳波デ
ータセットを切り出して、ステップ105〜ステップ1
09の動作を繰り返す。情報の欠落を防止するために、
脳波データセットは、1/4ずつオーバラップさせて切
り出される。
【0028】次に、ステップ111で、脳波データセッ
トの中央値の時刻データから、タスク状態のデータかレ
スト状態のデータか、あるいはタスク状態とレスト状態
にまたがる境界状態のデータかを判別する。そして、タ
スク状態の場合、ステップ112で、タスク状態のデー
タとして、周波数帯毎のパワースペクトルを加算する。
レスト状態の場合ステップ113で、レスト状態のデー
タとして、周波数帯毎のパワースペクトルを加算する。
境界状態のデータの場合には、その脳波データセットを
破棄し、ステップ110に進み、切出区間をシフトし、
ステップ105へ戻る。
【0029】次に、ステップ114では、タスクおよび
レストの提示が完了したか否かがチェックされる。タス
クおよびレストの提示が完了していない場合、ステップ
110に進み、切出区間をシフトした後、ステップ10
5〜ステップ113の処理を繰り返す。上記のステップ
101〜114の処理は、被験者に対するタスクおよび
レストの提示が行なわれている間、繰り返されている。
ステップ114で、タスクおよびレストの提示完了がチ
ェックされたときは、ステップ115に進む。
【0030】ステップ115では、α波パワー正規化回
路15において、タスク状態で加算された全周波数帯の
パワースペクトルとα波パワースペクトルの比である正
規化α波パワーP(T)と、レスト状態で加算された全
周波数帯のパワースペクトルとα波パワースペクトルの
比である正規化α波パワーP(R)を算出し、ステップ
116に進む。ステップ116では、メンタルストレス
判定回路4において、正規化α波パワーP(T)と正規
化α波パワーP(R)の比である、ストレス度MS=P
(T)/P(R)を算出する。
【0031】ステップ117では、ストレス度MSに基
づいてメンタルストレスを判定する。まず判定方法を説
明するために、図7にタスク時とレスト時の脳波データ
周波数パワースペクトルを示す。このパワースペクトル
はレスト時に閉眼安静状態にして採取した脳波より算出
している。これからわかるように、時間軸にそってレス
ト略1分、タスク1分、レスト1分としたときの周波数
ワースペクトルの堆移において、レスト時には低い周波
数成分が顕著になっている様子が確認できる。
【0032】これより、安静成分のα波パワースペクト
ルが全周波数帯のパワースペクトルの中で占める比率は
すなわち正規化α波パワーP(T)およびP(R)は、
被験者のリラックス状態を示していることがわかる。基
本的に、健常者は一時的ストレスを与えたときには正規
化α波パワーの値は小さくなり、一時的ストレスを与え
ないリラックス状態では、正規化α波パワーの値が大き
くなるため、正規化α波パワーの値に明確な差異が生じ
るものである。
【0033】すなわち、非メンタルストレス下では、図
8の(a)に示すように、タスク状態とレスト状態の正
規化α波パワーP(T)およびP(R)の値に大きな差
が生じる。一方、背景ストレスであるメンタルストレス
下の状態では、図8の(c)に示すようにタスク状態と
レスト状態の正規化α波パワーP(T)およびP(R)
の値が接近することになる。通常、このレスト時にリラ
ックスできないケースが勤労者のメンタルストレスには
多く存在し、いわゆる「タイプA」と称されているした
がって、図8の(a)に示されるように、タスク状態と
レスト状態の正規化α波パワーP(T)およびP(R)
の値に大きな差が生じる、ストレス度MSが0.3以下
の場合には、ステップ118で、「メンタルストレスな
し」の判定がなされる。
【0034】図8の(b)に示されるように、タスク状
態とレスト状態の正規化α波パワーP(T)およびP
(R)の値に若干の差があり、ストレス度MSが0.3
より大きく、0.7より小さいときには、ステップ11
9で、「メンタルストレス、可能性あり」の判定がなさ
れる。また、図8の(c)に示されるように、タスク状
態とレスト状態の正規化α波パワーP(T)およびP
(R)の値の差が小さく、ストレス度MSが0.7以上
のときには、ステップ120で「メンタルストレスあ
り」の判定がなされる。図4および図5に示すフローチ
ャートの、ステップ101は発明のタスク提示手段を、
ステップ102およびステップ103は脳波データ簡易
測定手段を、ステップ104〜ステップ115は脳波デ
ータ信号処理手段を構成し、とくに、ステップ105〜
ステップ108は周波数パワー算出手段を、ステップ1
09およびステップ110は目的外信号除去手段を、ス
テップ112およびステップ113は周波数パワー加算
手段を構成する。また、ステップ117〜120はメン
タルストレス判定手段を構成する。
【0035】以上説明したように、本実施例によれば、
タスク状態とレスト状態のそれぞれにおいて、脳波デー
タから脳波に相当する全周波数に相当する周波数帯のパ
ワースペクトルと、α波に相当する周波数帯のパワース
ペクトルの比である正規化α波パワーを算出し、タスク
状態の正規化α波パワーとレスト状態の正規化αパワー
を比較することにより、主観的なメンタルストレスの有
無を客観的に判定することができる。そしてこの際、ノ
イズの含まれる脳波データや、タスク状態とレスト状態
の境界の時の脳波データは破棄し、適切な脳波データの
みを、用いるようにしているので、瞬き等により筋電信
号が脳波データに混入しても、精度の高い判定が行われ
るため、額部に脳波データ測定用の電極を取付けること
ができ、簡易的な測定を行うことができる。
【0036】次にメンタルストレス判定回路において、
複数回の測定結果を比較できる本発明の第2の実施例
を、図9および図10に示す。図9は構成を示す図であ
り、図10は動作の一部を示すフローチャートである。
メンタルストレス判定回路5は前回算出したストレス度
を記憶するメモリ16を含み、他の構成は第1の実施例
と同じである。
【0037】図10は、前回データのある場合の判定ア
ルゴリズムを示すフローチャートの一部である。このフ
ローチャートは図4および図5に示すフローチャートの
ステップ116から、ステップ117〜ステップ120
へ進む代わりに、ステップ121〜ステップ125を付
け加えるものである。ステップ116において、メンタ
ルストレス判定回路5で、ストレス度MSを算出した
後、121に進む。
【0038】ステップ121では、メモリ16から前回
のストレス度MS’を読み出す。ステップ122で、今
回のストレス度MSと前回のストレス度MS’を比較す
る。今回のストレス度MSが前回のストレス度MS’よ
り大きければ、ステップ123において、「メンタルス
トレス、前回より増加傾向」の判定がなされる。今回の
ストレス度MSと前回のストレス度MS’が等しけれ
ば、ステップ124で、「メンタルストレス、前回と変
化なし」の判定がなされる。今回のストレス度MSが前
回のストレス度MS’より小さければ、ステップ125
において、「メンタルストレス、前回より減少傾向」の
判定がなされる。図10に示すフローチャートのステッ
プ121〜ステップ125は発明のメンタルストレス判
定手段を示す。
【0039】第2の実施例によれば、メンタルストレス
を判定するにあたり、前回算出したストレス度を尺度に
して、今回算出したストレス度を判定しているので、第
1の実施例の効果に加えて、さらにメンタルストレスの
変化状況を知ることができる。
【0040】なお、上記の各実施例では、タスクとして
所定の用紙に丸印を書き込む作業を例示したが、図11
に示すように、第1の実施例と同様の記入欄25に丸印
26を記入するにあたり、コンピュータ27に対してペ
ン入力可能なボード28、ペン29を使用し、コンピュ
ータ27で実行速度とエラー率を制御しながらタスクを
実行することもできる。この場合、タスクおよびレスト
の時間、達成度管理が容易になって、タスクをより効果
的に与えることができる。また、コンピュータで実行速
度とエラー率とを制御しながら、被験者に暗算などの作
業を強制的に行なわせる方法でも可能である。タスク
は、被験者に精神的なストレスを与えられる内容であれ
ば適用可能である。この際、被験者に諦めの生じない範
囲で強制的に行なわせる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のメンタル
ストレス判定装置によれば、被験者にタスクとレストと
を交互に与えつつ、被験者の脳波データを、脳波データ
簡易測定手段で測定し、測定した脳波データの周波数解
析を行い、タスク状態とレスト状態のそれぞれで脳波の
全周波数帯に相当するパワースペクトルとα波に相当す
る周波数帯のパワースペクトルの比である正規化α波パ
ワーを算出し、タスク状態の正規化α波パワーとレスト
状態の正規化α波パワーの比率に基づいて、メンタルス
トレスを判定することにより、従来主観評価でのみしか
評価し得なかった定常的なメンタルストレスに対し、生
理学的な背景に基づいた精度の高い客観的判定ができ
る。
【0042】そして、目的外信号除去手段を設けて、ノ
イズ信号を含む脳波データは信号処理対象から除去する
ことにより、瞬き等の筋電信号や他のノイズがあっても
影響を受けず、判定の高精度が確保されるので、脳波デ
ータ簡易測定手段を用いて、被験者の脳波データを額部
から採取することができ、頭髪を分けるわずらわしさが
省け、極めて簡易的に脳波データを採取することができ
る。
【0043】また、被験者にタスクを与えるにあたり、
タイマにより、被験者に一定時間のタスクとレストとを
交互に行なうように、時間の提示を行なうことにより、
被験者に対して簡易なタスクを与えることができ、脳波
データが簡単に採取できる。
【0044】また、前回測定と今回測定におけるタスク
状態およびレスト状態の正規化α波パワーの比率を求め
ることにより、メンタルストレスの変化状況を知ること
ができ、判定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図
である。
【図2】第1の実施例の使用状態を示す図である。
【図3】第1の実施例におけるタスクの提示タイミング
を説明する図である。
【図4】第1の実施例における動作の流れを示すフロー
チャートである。
【図5】第1の実施例における動作の流れを示すフロー
チャートである。
【図6】脳波パワースペクトルの周波数帯毎の加算要領
を示す説明図である。
【図7】タスク時とレスト時の脳波の周波数パワースペ
クトルを示す図である。
【図8】第1の実施例におけるメンタルストレスの判定
原理を説明する図である。
【図9】第2の実施例の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施例の判定動作の流れを示すフロー
チャートの一部である。
【図11】他のタスク例を示す図である。
【図12】従来のストレスレベル測定装置の構成を示す
ブロック図である。
【図13】従来のストレスレベル測定装置の測定原理を
説明する図である。
【図14】検出部と筋電信号を説明する図である。
【符号の説明】
1 タスク/レスト提示装置 2 脳波データ簡易測定装置 3 脳波データ信号処理回路 4、5 メンタルストレス判定回路 7 脈波検出器 8 脈拍計数器 9 マイクロコンピュータ 11 額部取付用電極 12 脳波データ転送装置 13 周波数パワー算出回路 14 周波数パワー加算回路 15 α波パワー正規化回路 16 メモリ 21 罫線 22、25 記入欄 23 用紙 24、26 丸印 27 コンピュータ 28 ボード 29 ペン 31 脈波データ 32 整形パルス 33 後頭部 34 額部 35 筋電信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−261873(JP,A) 特開 平4−122241(JP,A) 特開 平6−165765(JP,A) 特開 昭59−222130(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/16 A61B 5/0476

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験者にタスクとレストとを交互に与え
    るタスク提示手段と、 被験者の脳波データを測定する脳波データ簡易測定手段
    と、 該脳波データ簡易測定手段により測定した脳波データの
    周波数解析を行い、タスク状態とレスト状態のそれぞれ
    脳波の全周波数帯に相当するパワースペクトルとα波
    に相当する周波数帯のパワースペクトルの比である正規
    化α波パワーを算出する脳波データ信号処理手段と、 該脳波データ信号処理手段により算出した前記タスク状
    態の正規化α波パワーとレスト状態の正規化α波パワー
    の比率に基づいて、メンタルストレスを判定するメンタ
    ルストレス判定手段とを有することを特徴とするメンタ
    ルストレス判定装置。
  2. 【請求項2】 前記タスク提示手段は、タイマを備え、
    被験者に一定時間のタスクとレストとを交互に行なうよ
    うに、タイマにより時間を提示することを特徴とする請
    求項1記載のメンタルストレス判定装置。
  3. 【請求項3】 前記脳波データ簡易測定手段は、額部か
    らの脳波データを採取し、前記脳波データ信号処理手段
    は、瞬き等のノイズ信号を検出し、除去する目的外信号
    除去手段を有することを特徴とする請求項1または2記
    載のメンタルストレス判定装置。
  4. 【請求項4】 前記脳波データ信号処理手段は、 前記脳波データ簡易測定手段により検出された脳波デー
    タから周波数帯別の周波数パワースペクトルを算出する
    周波数パワー算出手段と、 該周波数パワー算出手段で算出された周波数パワースペ
    クトルをタスク状態とレスト状態で、それぞれ周波帯毎
    に加算する周波数パワー加算手段と、 該周波数パワー加算手段で加算されたタスク状態とレス
    ト状態のそれぞれで、全周波数帯のパワーに対するα波
    のパワーの比である正規化α波パワーを算出するα波パ
    ワー正規化回路を有することを特徴とする請求項1、2
    または3記載のメンタルストレス判定装置。
  5. 【請求項5】 前記脳波データ信号処理手段は、 前記脳波データ簡易測定手段により検出された脳波デー
    タから周波数帯別の周波数パワースペクトルを算出する
    周波数パワー算出手段と、 該周波数パワー算出手段で算出された周波数パワースペ
    クトルをタスク状態とレスト状態で、それぞれ周波数帯
    別に加算する周波数パワー加算手段と、 該周波数パワー加算手段で加算されたタスク状態とレス
    ト状態のそれぞれで、全周波数帯のパワーに対するα波
    のパワーの比である正規化α波パワーを算出するα波パ
    ワー正規化回路を有し、 前記メンタルストレス判定手段は、前回測定した前記タ
    スク状態の正規化α波パワーと、レスト状態の正規化α
    波パワーの比率と、今回測定した前記タスク状態の正規
    化α波パワーと、レスト状態の正規化α波パワーの比率
    の変化に基づいて、メンタルストレスを判定することを
    特徴とする請求項1、2または3記載のメンタルストレ
    ス判定装置。
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