JP3221278U - 緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレート用具 - Google Patents

緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレート用具 Download PDF

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Abstract

【課題】緊急脱気処置の練習を可能とする緊急脱気シミュレータ用具を提供する。【解決手段】緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレータ用具は、肋骨の間である肋間を模した一又は複数の開口を備えた土台101と、複数の開口の一部又は全部を覆う胸膜を模した模擬胸膜102a、102b、102cと、土台内の開口間に接する、肋骨を模した模擬肋骨103a、103b、103c、103dと、肋骨を模した構成及び土台と接する皮下構造物を模した模擬皮下構造物104a、104b、104cと、皮下構造物に接着された皮膚を模した模擬皮膚105a、105bと、を備える。また、一又は複数の開口上の模擬皮下構造物の一部は、土台から着脱可能である。また、一又は複数の開口上の模擬皮下構造物の一部と、土台と固定された模擬皮下構造物の一部と、は凹凸による接合である。【選択図】図1

Description

本出願において開示された技術は、緊張性気胸に対する措置をシミュレーションするための用具に関する。
緊急外来などにおける緊急措置の中には、一瞬のためらいが命取りとなる極めて緊急の対応が必要な措置がある。例えば、緊張性気胸は、ショックを呈する気胸であり、緊急度の高い病態の一つで、緊急医療に携わる医師はその措置に習熟している必要がある。しかしながら、医療の局所化などにより、緊張性気胸に対する緊急脱気を実地で経験できる機会は多くはない。そのような場合、人体を模したシミュレータなどにより、緊急脱気を練習する必要がある。
特表2011−507017号公報 特表2002−509747号公報
しかしながら、特許文献1は一般的な人体模型に過ぎず、緊急脱気の練習に適したものとはいえない。また、特許文献2は気体腔の検出方法を開示するものの、一刻を争う治療の現場においては、緊急脱気の練習を積んだ医師が処置することが必要である。そこで、本考案の様々な実施形態は、上記の課題を解決するために、緊急脱気処置の練習を可能とする緊急脱気シミュレータ用具を提供する。
本願考案の第1の一実施例は、
肋骨の間である肋間を模した一又は複数の開口を備えた土台と、
前記一又は複数の開口の一部又は全部を覆う胸膜を模した模擬胸膜と、
前記土台内の前記開口の長辺に沿って接する、前記肋骨を模した模擬肋骨と、
前記模擬肋骨及び前記土台と接する皮下構造物を模した模擬皮下構造物と、
前記模擬皮下構造物に接着された皮膚を模した模擬皮膚と、
を備える緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレータ用具であってよい。
また、本願考案の第2の一実施例は、
前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部は、前記土台から着脱可能である、
第1の一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第3の一実施例は、
前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部と、前記土台と固定された前記模擬皮下構造物の一部と、は凹凸による接合である、
第1又は第2の一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第4の一実施例は、
前記土台は、略円柱形状の一部の略円弧形状を含み、
前記模擬皮下構造物は、前記略円柱形状の外部に接する、
第1乃至第3のいずれかの一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第5の一実施例は、
前記土台は、略円柱形状であり、
前記模擬皮下構造物は、前記略円柱形状の外部に接する、
第1乃至第3のいずれかの一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第6の一実施例は、
前記模擬肋骨は、前記土台内の前記開口に、着脱可能に接している、
第1乃至第5のいずれかの一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第7の一実施例は、
前記開口は、略長方形であって、
前記開口の短辺の長さは、隣合う前記模擬肋骨の方向に、1.5cm乃至2.5cmである、
第1乃至第6のいずれかの一実施例の用具であってよい。
また、本願考案の第8の一実施例は、
前記開口は、略長方形であって、
前記開口の短辺の長さは、隣合う前記模擬肋骨の方向に、約2cmである、
第1乃至第7のいずれかの一実施例の用具であってよい。
本考案の一実施形態により、緊張性気胸に対する緊急脱気を習得できるシミュレータ用具を提供できる。
図1は、本用具の一実施例に係るプロトタイプを示す写真である。 図2は、本用具の一実施例に係る模擬肋骨に関する図である。 図3は、本用具の一実施例に係る模擬皮下構造物に関する図である。 図4は、本用具の一実施例に係るプロトタイプを示す写真である。 図5は、本用具の一実施例に係る断面図である。 図6は、本用具の一実施例に係る正面図である。 図7は、本用具の一実施例に係る背面図である。 図8は、本用具の一実施例に係る平面図である。 図9は、本用具の一実施例に係る底面図である。 図10は、本用具の一実施例に係る左側面図である。 図11は、本用具の一実施例に係る図8のA−A断面図である。 図12は、本用具の一実施例に係る図8のB−B断面図である。 図13は、本用具の一実施例に係る図12のCD部分の拡大図である。
1.緊張性気胸に関する背景
緊張性気胸とは、ショックを呈する気胸であり、緊急度の高い病態の一つとされる。緊張性気胸は、肺もしくは胸壁の損傷が一方向弁となり、空気が胸腔内に閉じ込められることなどにより発生する。この場合、損傷によって、呼吸をするたびに胸腔内に空気が入り、胸腔内圧が上昇する病態であり、静脈血が圧の高い胸腔内に戻ることができず、心臓から血液が出てこなくなることとなる。また、緊張性気胸は、胸部X線写真による確定診断を待っては処置が遅れる可能性があり、迅速に判断されて施術がなされる必要がある。また、単純気胸であるにも関わらず人工呼吸すると、急速に緊張性気胸となり9割近くが死亡する場合もある。
このような緊張性気胸に対する施術の手法は、メスとペアンを用いた緊急胸膜穿孔脱気術(本願書類において「緊急脱気」ということもある)である。その概略は、メスで胸部を切開し、ペアンで胸腔に穴をあけ、胸腔内の空気を抜くことである。
しかしながら、考案者が所属する医療機関において施行された緊張性気胸に対する緊急脱気は、2016年度及び2017年度の2年間において3例であり、またその3例はいずれも緊急性のある救命処置のため救急科指導医によってなされており、研修医が接する機会は、極めて少ない。
なお、上述のとおり、緊張性気胸においては、胸部X線写真による確定診断を待つことはできず、身体所見で判断すべきとされているが、実際の現場において、全ての典型的所見をとれるとは限らない。例えば、騒がしい救急室において、初見の一つである呼吸音の左右差は、分からない場合も多い。
このように、緊張性気胸は、緊急性が極めて高く、不適切な対応が重篤な結論に至る可能性があるにもかかわらず、経験可能な症例が少ない場合がある。反面、緊急脱気は、練習によって安定的かつ自信を持って行うことができるようになる処置でもある。そこで、本件考案者は、緊張性気胸の患者に対して、緊急脱気を練習するためのシミュレータ用具を提案する。
2.緊張性気胸に対するシミュレータ用具の一構成例
次に、緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレータ用具(以下、「本用具」という。)の一構成例を説明する。なお、本用具の構成は、頭部又は脚部などを備えた人体模型全体の一部に備えられる構成であってもよいし、頭部又は腕部を備えた人体の上半身模型の一部に備えられる構成であってもよいし、臓器を備えた人体の胸部模型に備えられる構成であってもよいし、臓器に相当するものを備えずに以下で説明する本件緊急脱気術習得のために必須な構成のみから構成されるものであってもよい。上述の人体模型、上半身模型、胸部模型の一部であれば、他の模型を用いた研修の一技能の習得に用いられる利点がある。他方、本件緊急脱気術習得のために必須な構成のみから構成されている場合、少ない材料で低コストで製作できる利点がある。
考案者は、ホームセンターなどで日常的に購入できるものを用いて本用具のプロトタイプを作成し、以下においても参考のためにそれらについて言及するが、材質、形状、構成は、これらに限られない。別途工業的に製作されたもので代替又は変更されてよい。本件考案は、各構成物の材質に特徴があるのではなく、緊急脱気術の習得に必要な本用具の構成に特徴がある考案である。
本用具は、土台、胸膜を模した部材(本願書類において、「模擬胸膜」ということもある)、肋骨を模した部材(本願書類において、「模擬肋骨」ということもある)、皮下組織を模した部材(本願書類において、「模擬皮下組織」ということもある)、皮膚を模した部材(本願書類において、「模擬皮膚」ということもある)から構成される。以下、身近な物を用いて作成したプロトタイプの本用具例を撮像した図1及び図2を参考に、各構成を具体的に説明する。なお、図5は、本プロトタイプの断面図を示すものである。
2.1.土台(101)
土台は、人体の胸部を模しており、以下で述べる各構成を支持する機能を有する。土台の形状は、人体同様の略円柱形状であってもよいし、また人体同様に、前記略円柱形状の一端に沿って前記略円柱の円周方向の長さが減少する構成とされてもよい。考案者は、土台の材質として、プロトタイプを、株式会社寺岡製作所製のプリプロピレン材質のエコプラ屑入を用いたが、これに限らず、人体の胸部を模すことのできる公知の材料によって作成されてもよい。
また、土台は、肋骨と肋骨の間の空間である肋間を模した複数の開口(以下、「模擬肋間」ということもある。)を有してよい。かかる開口により、後述のとおり、メスの切開やペアンの挿入時に、人体に対するものと同様の感覚を、利用者に与えることができる。
土台に設けられた開口は、模擬肋間を示すものである。開口は、一又は複数であってよい。緊急脱気術における胸部皮膚の切開部位は、第4、第5肋間とされているが、本用具は、これらの肋骨の数も考慮した人体を模してもよいし、これらの肋骨の数を考慮しない肋骨の数であってもよい。模擬肋骨が隣合う位置の間に開口が備えられれば良い。開口の数は複数あれば、開口の数の分、後述する模擬胸膜を備えることによりペアンで貫通させる練習をできる対象が増える利点がある。プロトタイプにおいて考案者は3つの開口を設けたが、本考案は当該3つの開口に限られるものではない。
一の開口は、略長方形であってよい。開口の短辺の長さは、隣合う前記模擬肋骨の方向に、1.5cm乃至2.5cmであってよい。好ましくは、約2cmであってよい。また、開口の長辺の長さは、人体の肋骨の長さを模した長さでよく、例えば、10cm乃至20cm、又は、15cm乃至18cm、又は、約16.5cmの長さであってよい。
2.2.模擬胸膜(102a、102b、102c)
模擬胸膜は、従来から骨の模型を製造するために使用されてきた公知の材料のテープを使用してよい。考案者は、ポリエチレンクロステープ、より具体的には、株式会社寺岡製作所製のP−カットテープ(登録商標)を用いて、ペアンで貫通させた場合、人体の胸膜をペアンで貫通させた場合と類似の感触を得た。ポリエチレンクロステープは、布状繊維を挟んだ多層構造を有し、幅方向には割けやすく、長さ方向には割け難い。このポリエチレンテープの長さ方向と、模擬肋骨の長さ方向が一致するように、模擬胸膜は土台に接着されてよい。その他、ペアンを貫通させた場合の感触が、人体の胸膜に類似のものであれば、他のものでもよく、例えば、ガラスクロステープなどでもよい。
模擬胸膜は、土台に固定されてよい。例えば、模擬胸膜は、模擬胸膜の粘着性、又は土台側の粘着性によって、土台に接着されてよい。模擬胸膜は、土台内の一の模擬肋間を隙間なく覆う態様で土台に接着されてもよいし、一の模擬肋間の一部を覆わず残部を覆う態様で土台に接着されてもよい。前者の場合、模擬胸膜の形状は、一の模擬肋間の面積よりも広い面積であってよく、一の模擬肋間の周囲において、テープが接着されてよい。この場合、一の模擬肋間の周囲における粘着性により、模擬胸膜に対して引張力が発生し、模擬胸膜としての模擬胸膜が後述のペアンにより貫通される時点で実際の胸膜をペアンで貫通するのに類する感触を利用者に与えることができ、緊急脱気術の習得に役立つ利点がある。特に、ペアンは、肋骨の上縁に沿って胸膜に挿入されることから、模擬肋骨の上縁に沿った張られた模擬胸膜の位置において、胸膜をペアンで貫通するのに類する感触を利用者に与える程度の粘着性及び材質を模擬胸膜が備えていることが好ましい。
模擬胸膜は、使用により亀裂又は孔が生じるため、交換される必要がある。そこで、模擬胸膜を構成するテープは粘着性により着脱可能とされてよい。このような構成とされることにより、利用者は、テープを簡易に取り換えることで、繰り返し緊急脱気術の練習が可能となる利点がある。
2.3.模擬肋骨(103a、103b、103c、103d)
模擬肋骨は、従来から骨の模型を製造するために使用されてきた公知の材料を使用してよい。考案者は、プロトタイプにおいて、ギブスの材質であるオルソグラス(登録商標)を用いていたが、他のものであってもよい。模擬肋骨は、メスやペアンと接触時に、傷はつくことがあっても、破壊されないものであればよい。
模擬肋骨は、土台に設置されてよい。胸膜が交換される場合のスペースを確保するために、模擬肋骨は、土台から取り外す又は位置を移動できる構成とされてよい。
緊急脱気において、肋骨は、後述のとおり、メスで切開する際に参考となる場所(肋骨のほぼ中央を肋骨の長軸に沿ってメスで切る)であり、ペアンで胸膜を貫通する際の位置決めに参考となる場所(肋骨の上縁に沿わせて胸膜を貫通する)であるため、皮膚及び皮下構造物の上から触って肋骨の位置を特定する必要がある。そのため、模擬肋骨の形状は、模擬皮膚及び模擬皮下構造物の上から触った場合に、人体における肋骨に類することが好ましい。なお、人によって、肋骨の大きさや形状は多少違うこともあり、特に緊急脱気の状況においては肋骨の形状等に異変が生じていることもあるため、模擬肋骨の大きさや形状はそのような状況に応じたものであってよい。本用具において、模擬肋骨の長辺に沿って模擬肋間が存在し、当該模擬肋間上に模擬胸膜を備える位置構成があれば、肋骨の上縁に沿わせたペアンで胸膜を貫通する緊急脱気のシミュレータを実現できる。
模擬肋骨を土台に着脱可能とする手法として、考案者は、図2における手法を採用した。図2は、模擬肋骨(201)と、模擬肋間(204a、204b)を示す図である。本図では、模擬肋骨の両端部の斜交い位置において、模擬肋骨側に凹部(202a、202b、202c、202d)を設け、径5mmのボルト(203a、203b、203c、203d)を約5mm程度頭が出る程度まで土台に埋め込み、着脱可能とした。かかる着脱手法により、簡易に模擬肋骨を脱着可能となっている。なお、斜交い位置は、図2においては、上部を両端部の内側、下部を両端部の外側としたが、これらは逆でもよい。すなわち、斜交い位置は模擬肋骨の縦線又は横線に対して略線対称であってよい。これにより模擬肋骨において左右又は上下において均等の力で備えることが可能となる。また、凹部の位置は、模擬肋骨の重心に対して略点対象の位置であってもよい。
2.4.模擬皮下構造物(104a、104b、104c)
模擬皮下構造物も、従来から皮下組織を製造するために使用されてきた公知の材料を使用してよい。模擬皮下構造物は、メスで切った場合に、人体の皮下組織に類似の感触を得ることが好ましい。また、メスで切った後に、ペアンを挿入するための施術時に、人体の皮下構造物と類似の感触を得るものであってよい。考案者は、模擬皮下構造部として、ホームセンターなどで購入可能なウレタンを用いたが、他のものであってもよい。
模擬皮下構造物は、筋肉(前鋸筋肉)などの皮膚の下の組織に相当するものである。厚さ約1cmほどであることから、考案者は、ウレタンをこの厚さに削り使用している。
模擬皮下構造物の一部は、土台の上に固定されるが、模擬皮下構造物の他の部分は、土台から着脱可能とされてよい。後述する通り、模擬胸膜は、練習によって亀裂又は孔が生じる。そのため、模擬胸膜を交換する際、模擬皮下構造物が邪魔にならないよう、模擬皮下構造物の一部である模擬胸膜上の模擬皮下構造物を別の場所に移動したり取り外したりできるよう構成されてよい。なお、図1は、模擬皮下構造物の一部(104a、104b)が土台に固定され、模擬皮下構造物の一部である模擬胸膜上の模擬皮下構造物が取り外されている場面である。取り外される模擬皮下構造物の一部は、他の模擬皮下構造物と、模擬皮下構造物の形状(104c)によって、位置が固定されてよい。なお、取り外された模擬皮下構造物を元に戻した場面は、図4である。利用者は、後述のとおり、このような模擬皮膚上から、模擬肋骨の場所を探し当てて、メスによる切開及びペアンによる貫通の練習を行う。
図3は、前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部(301)と、前記土台と固定された前記模擬皮下構造物の一部(302)と、を凹凸による接合をした一例である。なお、参考までに、模擬肋骨(又は模擬肋間)(303)も図示した。模擬肋骨の長さの方向における前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部の両端部において、かかる凹凸による接合をする場合、後述する通り、模擬皮膚をメスで切開する際に、模擬皮下構造物が、切開する方向(模擬肋骨の長さ方向)に移動する危険性を低下させる利点がある。図3においては一例を示したが、模擬皮下構造物を固定する手法としては、公知の種々の手法が用いられてもよい。
2.5.模擬皮膚(105a、105b)
模擬皮膚は、従来から皮下組織を製造するために使用されてきた公知の材料を使用してよい。メスで切開した時に、人間の皮膚を切開している感触を利用者に与えるものであればよい。考案者は、ホームセンターなどで購入可能な滑り止めマットに人体の皮膚を模して彩色したものを用いたが、他のものであってよい。模擬皮膚は、模擬皮下構造物に固着されてよい。
3.利用方法
次に、本用具を用いて、緊急脱気の練習をする方法を、図5を用いて説明する。まず、本用具の前提として、緊張性気胸の診断はされていることとする。上述のとおり、緊張性気胸の典型的所見を全てとれるとは限られないが、本用具は、緊張性気胸の診断がされたことを前提とし、その処置である緊急脱気の練習のための用具という位置づけである。
利用者は、まず、メスで、模擬肋骨のほぼ中央を模擬肋骨の長軸に沿って、模擬皮膚及び模擬皮下構造物を切開する。外傷医の業界において、肋骨のほぼ中央を肋骨の長軸に沿ってメスで切開することを、肋骨をまな板に見立てて皮膚、皮下構造物を切る、と表現されることもある。メスの切開の位置を、肋骨のほぼ中央とする理由は、肋骨の下縁に肋間動脈が走るため、この肋間動脈の損傷を回避し、また、メスによる切開が肋骨より深く入る危険を回避するためである。実際の緊急脱気においては、メスで、皮膚の切開と、皮下構造物の切開と、を2段階のアクションで切開する。これは、人体において、皮膚が固い組織であり、皮下構造物と合せて一気に切開しようとすると、余計な力がメスに入り、創を作る可能性があるためである。そこで、まず皮膚を3cm乃至4cmほど確実に切開し、その後に、肋骨をまな板に見立てて、皮下構造物を肋骨まで一気に切開するという2段階のアクションによって、安全で正確かつ迅速に切開を行うことができる。本用具を用いた場合も、利用者がメスで切開する際は、まず模擬皮膚を切開し、その後、模擬皮膚上の切開線と同等の長さになるように模擬皮下構造物を切開する。そして、この2段階目の模擬皮下構造物の切開においては、メスによって、模擬皮下構造物を、模擬肋骨の深さに至るまで一気に切開する。実際の緊急脱気における切開の位置は、第4、第5肋間であるが、本用具においては、第4、第5の数を数える点はシミュレートされてもよいがされなくともよい。なお、第4、第5肋間の位置は、文献によっては、乳頭との位置関係により特定される手法も提案されている。
次に、ペアンを模擬肋骨の上縁に沿って、一定程度、挿入する。模擬肋骨の上縁に沿って挿入する理由は、上述のとおり、肋骨の下縁に肋間動脈が走るため、この肋間動脈の損傷を回避するためである。なお、実際の緊急脱気においては、ペアンを深く挿入すると内臓を損傷する。そのため、例えば、ペアンが深く挿入しないよう手で押さえつつ、胸膜を貫通するために一定の力を込める必要がある。利用者は、本用具を用いてペアンを挿入する練習をすることにより、ペアンによる胸膜を貫通する感覚及び貫通の程度に関する感覚を習得できる。
緊急脱気施術としては以上であるが、本用具が、複数の開口を備える場合、利用者は、他の箇所の開口を用いて、上述のメスによる切開およびペアンの挿入を練習できる利点がある。すなわち、模擬胸膜や模擬皮下構造物を取り換えずに、練習を継続できる利点がある。
また、一般に、ペアン挿入のための皮膚・皮下構造物のメスによる切開の幅は約3cm乃至4cm程度であることが多い。そのため、模擬胸膜及び模擬肋骨の長さ方向において、約5cmの倍数とすることにより、幅方向で、複数回の練習が可能となる利点がある。例えば、模擬肋骨の長さ方向において、15cm乃至18cmの場合、特に、本プロトタイプにおいて、16.5cmの場合、同一の模擬胸膜を用いて、模擬胸膜の長さ方向に位置を変えて、3回程度練習ができる利点がある。
以上、図1乃至図5を用いて本考案の一実施形態を説明したが、当該実施形態の裏側、側面、底面等の他の方向からの抽象的な形態図を図6乃至13に表した。ここで、図6は正面図であり、図7は背面図であり、図8は平面図であり、図9は底面図であり、図10は左側面図であり、図11は図8のA−A断面図であり、図12は図8のB−B断面図であり、図13は図12のCD部分の拡大図である。
4.再利用の方法
本用具が、模擬皮下構造物及び模擬胸膜が着脱可能とされている場合、再利用が可能な構成となっている。この場合、次の手続きにより、模擬皮下構造物及び模擬胸膜を交換されてよい。
まず、模擬胸膜上の模擬皮下構造物であって、模擬皮膚の付いた模擬皮下構造物を、土台から取り外す(ステップ1)。次に、模擬肋骨を取り外す(ステップ2)。次に、模擬胸膜を取り外す(ステップ3)。テープである場合は、テープをはがすことになる。次に、模擬胸膜を付す(ステップ4)。テープである場合は、テープを土台に接着させてよい。次に、模擬肋骨を付ける(ステップ5)。最後に、新たな模擬皮下構造物を、土台に取り付ける(ステップ6)。以上のステップにより、模擬皮下構造物及び模擬胸膜が交換できてよい。
本願書類の実施例において述べた考案例は、本願書類で説明されたものに限らず、その技術的思想の範囲内で、種々の例に適用できることはいうまでもない。
101 土台
102a、102b、102c 模擬胸膜
103a、103b、103c、103d、201 模擬肋骨
104a、104b、104c 模擬皮下構造物
105a、105b 模擬皮膚
202a、202b、202c、202d 凹部
203a、203b、203c、203d ボルト
204a、204b 模擬肋間
301、302 模擬皮下構造物の一部

Claims (8)

  1. 肋骨の間である肋間を模した一又は複数の開口を備えた土台と、
    前記一又は複数の開口の一部又は全部を覆う胸膜を模した模擬胸膜と、
    前記土台内の前記開口の長辺に沿って接する、前記肋骨を模した模擬肋骨と、
    前記模擬肋骨及び前記土台と接する皮下構造物を模した模擬皮下構造物と、
    前記模擬皮下構造物に接着された皮膚を模した模擬皮膚と、
    を備える緊張性気胸に対する緊急脱気シミュレータ用具。
  2. 前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部は、前記土台から着脱可能である、
    請求項1に記載の用具。
  3. 前記一又は複数の開口上の前記模擬皮下構造物の一部と、前記土台と固定された前記模擬皮下構造物の一部と、は凹凸による接合である、
    請求項1又は2に記載の用具。
  4. 前記土台は、略円柱形状の一部の略円弧形状を含み、
    前記模擬皮下構造物は、前記略円柱形状の外部に接する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の用具。
  5. 前記土台は、略円柱形状であり、
    前記模擬皮下構造物は、前記略円柱形状の外部に接する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の用具。
  6. 前記模擬肋骨は、前記土台内の前記開口に、着脱可能に接している、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の用具。
  7. 前記開口は、略長方形であって、
    前記開口の短辺の長さは、隣合う前記模擬肋骨の方向に、1.5cm乃至2.5cmである、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の用具。
  8. 前記開口は、略長方形であって、
    前記開口の短辺の長さは、隣合う前記模擬肋骨の方向に、約2cmである、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の用具。
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