JP3221222U - 積分球 - Google Patents
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Abstract
【課題】光出射窓が無い構造であっても、光出射窓に相当する位置での光の光軸合わせを容易に行える積分球を提供する。【解決手段】積分球は、本体2の内面である反射面上であって、第1光入射窓3を通して導入される入射光束が直接到達する位置に、光軸合わせの目標となる十字マーク11が描画されている。作業者は第2光出射窓6を通して積分球本体の内部空間を覗き込み、測定光Lsにより形成されるスポット10が十字マークに重なるように入射光学系を調整して光軸を合わせる。十字マークは、作業者が視認可能な程度にできるだけ細い線で且つ薄い色で描かれているため、測定精度の低下に対する影響を最小限に抑えることができる。【選択図】図1
Description
本考案は、拡散反射測定等の各種の光学測定において使用される積分球に関する。
紫外可視光分光光度計や近赤外光分光光度計を用いて、固体試料に対する拡散反射測定、全光線反射測定、或いは透過測定などを実施する際には、積分球を搭載した付属装置(非特許文献1、2参照)がしばしば利用される。
図3は、従来の一般的な積分球の概略斜視図、図4は積分球の概略横端面図である(非特許文献1、2、特許文献1等参照)。
内部が中空である球状の積分球本体2は略矩形箱状の筐体1内に収容されており、その積分球本体2の内面は硫酸バリウムなどの高い反射率を有する材料で形成された反射面である。積分球本体2には、外部から内部空間への光の入射のため、又は逆に、その内部空間から外部への光の出射のための複数の窓が形成されている。
内部が中空である球状の積分球本体2は略矩形箱状の筐体1内に収容されており、その積分球本体2の内面は硫酸バリウムなどの高い反射率を有する材料で形成された反射面である。積分球本体2には、外部から内部空間への光の入射のため、又は逆に、その内部空間から外部への光の出射のための複数の窓が形成されている。
図3及び図4(a)に示す例では、積分球本体2に、それぞれ対向するように、第1光入射窓3及び第1光出射窓4と、第2光入射窓5及び第2光出射窓6とが、形成されている。第1光入射窓3と第1光出射窓4とは積分球本体2の中心位置(球中心)を挟んで対向して設けられているが、第2光入射窓5と第2光出射窓6とは積分球本体2の中心位置から少しずれた位置を挟んで対向して設けられている。また、外部から第1光入射窓3及び第2光入射窓5を通して積分球本体2の内部空間に導入された光が直接当たらない位置に光検出窓7が形成されている。なお、本来、図4に示した端面図では光検出窓7は現れないが、ここでは窓の位置関係の理解を容易にするために光検出窓7を示している。
拡散反射測定時には、図4(a)に示すように、第1光出射窓4の外側に測定試料30を設置し、第2光出射窓6の外側に反射率の基準となる標準白板31を設置する。測定光Lsは第1光入射窓3を通して積分球本体2の内部空間に導入され測定試料30に当たる。測定光Lsに対し測定試料30からは様々な方向に反射光が放出されるが、それらの殆どは積分球本体2の内面で一又は複数回反射した後、光検出窓7を通過し、該光検出窓7の外側に設置されている光検出器(図示せず)により検出される。
一方、反射率の計算の基準となる参照光Lrは、第2光入射窓5を通して積分球本体2の内部空間に導入され標準白板31に当たる。参照光Lrに対し標準白板31から様々な方向に反射光が放出されるが、それらの殆どは積分球本体2の内面で一又は複数回反射した後、光検出窓7を通過して光検出器により検出される。上述のようにして得られる、測定試料30による反射光の光量と標準白板31による反射光の光量とに基づいて、測定試料30の相対反射率を計算することができる。
拡散反射測定や鏡面反射測定の際には、一般に、図4(a)に示したような、光検出窓7のほかに、四つの窓3〜6が形成された積分球が使用される(場合によっては、さらに窓の数が多いこともある)。これに対し、透過測定の際には一般に、図4(b)に示すような、第1光入射窓3に対向する窓(図4(a)中の第1光出射窓4)が設けられておらず、この窓に相当する位置が反射面である積分球が利用される。この場合、第1光入射窓3の外側に測定試料32が設置される。
透過測定時には、測定光Lsが測定試料32に照射され、該測定試料32を透過した光が第1光入射窓3を通して積分球本体2の内部空間に入射する。この透過光は積分球本体2の内面で一又は複数回反射した後、光検出窓7を通過し光検出器により検出される。参照光Lrの光路は拡散反射測定時と同じであり、測定試料32による透過光の光量と標準白板31による反射光の光量とに基づいて、測定試料32の透過率を計算することができる。
上記のような積分球を用いた光学測定用付属装置(非特許文献2参照)は、積分球のほかに、測定光や参照光を積分球にまで導くための各種の光学部品(反射鏡)を含む入射光学系を備えている。入射光学系における各種光学部品の配置には高い機械的精度が要求される。そのため、光学測定用付属装置を組み立てたり、部品交換を行ったり、或いは修理したりする際には、組立作業者やサービス担当者が、積分球の光入射窓と光出射窓との両方の位置において光束の中心軸(つまりは光軸)の位置を確認しながら作業を行うのが一般的である。
図4(a)に示した構造の積分球のように、光入射窓と光出射窓とが対で設けられている場合には、その両方の窓それぞれで光軸が所定の位置に合っているかどうかを確認することは容易である。これに対し、図4(b)に示した構造の積分球のように、一部の光出射窓が形成されていない場合には、その窓の無い位置で光軸の位置が合っているかどうかを確認することができない。
このように窓の無い位置で光軸位置を確認する一つの方法としては、始めに光出射窓の無い積分球と同じ大きさの光出射窓のある積分球(例えば図4(a)に示した構造の積分球)を光学測定用付属装置の所定位置に仮に取り付けた状態で光軸の位置合わせを行い、そのあと、積分球を、本来使用される光出射窓の無い積分球に付け替えるという方法がある。しかしながら、この方法では、作業者が積分球を付け替えるという面倒な作業を行う必要があり、手間と時間が掛かる。また、設計上、窓の有無を除いて同じ大きさのダミーの積分球を用いて光軸合わせを行うにしても、ダミーの積分球と最終的に取り付ける積分球との間の寸法的な誤差(公差)の分だけ測定に誤差が生じることが避けられない。
また、光学測定用付属装置において積分球を移動可能に設け、光軸合わせの際には、積分球に代えて光軸合わせ用標的部材を所定位置にセットし、その光軸合わせ用標的部材を用いて光軸合わせを行うという方法も考えられる。しかしながら、こうした方法では、積分球自体を移動させる機構が必要になるほか、積分球に付設されている検出器や該検出器に繋がる信号ケーブル等を積分球の可動に対応するように配設しなければならず、装置のコストアップが大きい。また、光軸合わせ用標的部材と実際に測定に使用する積分球との間での寸法的な位置の誤差(公差)の分だけ測定に誤差が生じることになる。
「UV TALK LETTER vol.12(2013) アプリケーション=積分球と基準白板の選び方=」、[online]、[2018年7月20日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/uv/support/lib/uvtalk/uvtalk12/apl.htm>
「付属品選択ガイド(固体試料偏)」、[online]、[2018年7月20日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/uv/support/faq/op/solid.htm>
本考案は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、光を積分球の内部空間から外部へと取り出すための窓が無い位置においても精度良く光軸合わせや光軸確認を行うことができる積分球を提供することである。
上記課題を解決するために成された本考案は、光学測定に用いられる積分球であり、内面が反射面である積分球本体に形成されている少なくとも一つの光入射窓を通して該積分球本体内部に導入される光束が直接到達する位置に光出射窓を有さない構造である積分球において、
前記積分球本体の前記反射面であって、前記光入射窓を通して導入される入射光束が直接到達する位置又はその周囲に、該入射光束の光軸の位置を合わせるための目印であるマークが設けられていることを特徴としている。
前記積分球本体の前記反射面であって、前記光入射窓を通して導入される入射光束が直接到達する位置又はその周囲に、該入射光束の光軸の位置を合わせるための目印であるマークが設けられていることを特徴としている。
上記マークは、積分球本体の内面である反射面に直接、印刷や塗装等により描かれたものでもよいし、或いは、別の部材が貼り付けられたものであってもよい。
本考案の一態様として、前記マークは、前記入射光束が直接到達する位置に設けられた、光軸の位置を特定する図形であるものとすることができる。具体的には例えば、十字形状、アスタリスク状など、線で構成され、その略中心が光軸の目標位置である図形が好ましい。
また本考案の別の態様として、前記マークは、前記入射光束が直接到達する位置の周囲に、該光束のスポットを取り囲むように描かれた図形としてもよい。具体的には例えば、光束のスポットが収まるような大きさの円や矩形など図形である。
本考案に係る積分球又はそれを用いた光学測定用付属装置において光軸合わせを行う場合、作業者は、光軸合わせの対象である光が入射される光入射窓以外の窓(例えば別の光入射窓や光出射窓)を通して積分球本体の内部空間を覗き込む。そして、上記光入射窓を通して積分球本体の内部空間に導入されている光によるスポットの位置と反射面上の上記マークの位置との関係を目視で確認しながら、入射光束の光軸が所定の状態になるように例えば入射光学系を調整する。反射面上に光軸合わせ用のマークが設けられていることで、入射光束の光軸が常に適切な位置に来るように調整したり、その光軸の位置の確認を行ったりすることができる。
なお、積分球の内面の反射率は均一であるのが理想であり、内面の一部で反射率が下がると測定精度低下の要因となる。そのため、上記マークが線図である場合、その線はできるだけ細く、且つ色はできるだけ薄い(白色に近い)ことが望ましい。もちろん、作業者がマークを目視で確認できる必要があるから、目視での確認に支障がない範囲で、マークの形状や大きさ、線の細さや線の色などを決めるとよい。
本考案に係る積分球によれば、光を積分球の内部空間から外部へと取り出すための光出射窓が無い位置においても、作業者は精度良く光軸合わせや光軸確認を行うことができる。また、光軸合わせ用のマークの追加は少ないコストアップで済むので、積分球や積分球を用いた光学測定用付属装置のコストを抑えることができる。
本考案に係る積分球の一実施例について、図1を参照して説明する。図1は本実施例の積分球の概略横端面図及びその内面の一部の平面図である。図1において、既に説明した従来の積分球と同じ構成要素には同じ符号を付し、特に要さない限り説明を省略する。
本実施例の積分球は図4(b)に示したものと同様に、第2光入射窓5と第2光出射窓6とが一対として設けられているものの、第1光入射窓3に対応する窓開口は設けられておらず、検出窓7を除いて、積分球本体2に設けられている窓開口は三つである。
積分球本体2の内面は硫酸バリウムなどの高い反射率を有する材料で形成された、ほぼ白色の反射面である。積分球本体2の中央部を挟んで第1光入射窓3に対向する積分球本体2の内面、即ち図1中に符号2aで示した部分も白色であるものの、その白色の内面上に、光軸合わせの際に目標とするマークが描画されている。マークは、インクジェット印刷などの適宜の方法で描かれたものでもよいし、シールなどが貼り付けられたものでもよい。
図1中のAに示す例は、光軸合わせのためのマークとして十字マーク11を用いた例である。この十字マーク11は細い線で且つ白色に近い薄い色(例えば薄いグレー)で描かれている。積分球本体2の内面は基本的に反射率が均一でないと測定の精度低下に繋がる。そこで、第1光入射窓3以外の窓(例えば第2光入射窓5や第2光出射窓6)を通して作業者が積分球本体2の内部を覗き込んだときに、目視で十分に視認可能な線の細さや色の薄さを実験的に確認したうえで、十字マーク11の大きさや、線の幅、線の色などを決めるようにするとよい。また、こうした視認性のみならず、測定に用いる測定光Lsによるスポット10の大きさ、測定対象の試料の大きさなども想定して十字マーク11を設けたときの測定精度に対する影響の程度を見積もり、この影響が許容できる範囲に収まるように、マークの形状や大きさ、線の幅や色などを決めるようにするとさらに望ましい。
図1中のBに示す例は、積分球本体2の内面の一部領域2aに当たる測定光Lsのスポット10を取り囲むように、つまりはそのスポット10に重ならないように円形状のマーク12を設けた例である。
本実施例の積分球を搭載した光学測定用付属装置において積分球へ入射する測定光Lsの光軸合わせを行う際には、第1光入射窓3を通して測定光Lsを積分球本体2の内部空間に照射し、作業者は例えば第2光出射窓6から積分球本体2の内部空間を覗き込む。そして、入射した測定光Lsの光束により積分球本体2の内面に形成されるスポットを目視で確認する。積分球本体2の内面の一部領域2aに十字マーク11が描かれている場合、その十字のクロス位置が光軸の目標位置である。そこで、図1中のAに示すように、十字マーク11のクロス位置にスポット10の中心が来るように入射光学系を調整する。
入射光学系では、それぞれ異なる光経路を通過した来た光束を切り替えて測定光Lsとして第1光入射窓3を通して積分球本体2の内部空間に導入する場合があるが、本実施例の積分球では、光軸の目標位置を示すマークが設けられているため、測定光Lsの光軸を常に適切な位置に合わせることができる。それにより、入射光学系において測定光Lsの光経路を切り替えても、積分球本体2の内部空間での測定光Lsの反射状態がほぼ同じに保たれ、高い測定精度を確保することができる。
なお、マークの形状等は図1に記載のものに限らず、適宜に変更することができることは当然である。
次に、本考案には含まれないものの、光軸合わせに利用可能である光軸合わせ用治具を、図2を参照して説明する。図2はこの光軸合わせ用治具を積分球に装着した状態の概略横端面図である。
ここでは、光軸合わせ用治具20は積分球本体2の第2光入射窓5の外側に装着されている。光軸合わせ用治具20は積分球本体2の内部空間に延出するレーザ光照射部21を有し、レーザ光照射部21から出射されたレーザ光は積分球本体2の内面の一部領域2a内にレーザスポット22を形成し、これが光軸合わせのためのマークとなる。このレーザスポット22は測定光Lsにより形成されるスポットに比べて十分に明るく、測定光Lsのスポットが重なったときにも十分に視認可能である。
また、レーザ光の色を変更可能としておき、測定光Lsの色と異なるレーザスポット22を形成できるようにすることで、測定光Lsのスポットが重なったときの視認性を高めるようにしてもよい。
また、レーザ光の色を変更可能としておき、測定光Lsの色と異なるレーザスポット22を形成できるようにすることで、測定光Lsのスポットが重なったときの視認性を高めるようにしてもよい。
上記本考案に係る積分球では、積分球本体2の内面に光軸合わせ用のマークを描画していたため、僅かではあるものの、その影響により反射率の均一性が低下し、測定精度が下がる可能性があった。それに対し、上記光軸合わせ用治具20を用いれば、光軸合わせの際にのみ積分球本体2の内面に光軸合わせ用のマークを形成するので、積分球の内面の反射率の均一性は損なわれない。それにより、高い測定精度を確保し易いという利点がある。
なお、上記実施例は本考案の一例にすぎず、上記記載以外の点において本考案の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加等を行っても本実用新案登録請求の範囲に包含されることは当然である。
1…筐体
2…積分球本体
2a…積分球の内面の一部領域
3…第1光入射窓
5…第2光入射窓
6…第2光出射窓
7…光検出窓
20…光軸合わせ用治具
Lr…参照光
Ls…測定光
2…積分球本体
2a…積分球の内面の一部領域
3…第1光入射窓
5…第2光入射窓
6…第2光出射窓
7…光検出窓
20…光軸合わせ用治具
Lr…参照光
Ls…測定光
Claims (3)
- 光学測定に用いられる積分球であり、内面が反射面である積分球本体に形成されている少なくとも一つの光入射窓を通して該積分球本体内部に導入される光束が直接到達する位置に光出射窓を有さない構造である積分球において、
前記積分球本体の前記反射面であって、前記光入射窓を通して導入される入射光束が直接到達する位置又はその周囲に、該入射光束の光軸の位置を合わせるための目印であるマークが設けられていることを特徴とする積分球。 - 請求項1に記載の積分球であって、
前記マークは、前記入射光束が直接到達する位置に設けられた、光軸の位置を特定する図形であることを特徴とする積分球。 - 請求項1に記載の積分球であって、
前記マークは、前記入射光束が直接到達する位置の周囲に、該光束のスポットを取り囲むように描かれた図形であることを特徴とする積分球。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019000274U JP3221222U (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | 積分球 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019000274U JP3221222U (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | 積分球 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3221222U true JP3221222U (ja) | 2019-05-16 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019000274U Active JP3221222U (ja) | 2019-01-29 | 2019-01-29 | 積分球 |
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Country | Link |
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2019
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