JP3215589U - リスク評価分析装置 - Google Patents

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繁樹 浦嶋
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Abstract

【課題】時代、地域、企業規模、法改正などに対応してリスク評価分析可能な装置を提供する。【解決手段】リスク項目選好部53と、リスク項目のそれぞれについて、損害頻度、損害強度を算定する損害頻度算定部54、損害強度算定部55と、損害頻度と、損害強度とに基づいて、リスク項目の一つ一つを二次元のグラフにプロットしてリスク統計マップを作成するリスク統計マップ作成部58と、財務諸表に基づいて、事業危険値を算出する事業危険値算出部56と、財務諸表に基づいて、保有限度額を算出する保有限度額算出部57と、事業危険値及び保有限度額との大小比較、そして損害頻度の大小比較に基づいて、リスク統計マップを複数の領域に分類する領域分類部59と、リスク項目の一つ一つが、領域のいずれに属するかに基づいて、リスク項目の一つ一つへ対策を施す優先順位を決定する優先順位決定部60とを有する。【選択図】図6

Description

本考案はリスク評価分析装置に関する。
とりわけ、評価対象の顧客企業に関する複数の書類の組合せに基づいて評価分析する装置であって、リスク選好、損害強度及び損害頻度の分析、対策を施す優先順位の決定、対策考案に至るまでの作業を支援するリスク評価分析装置に関する。
近時、企業などの組織においては、自己責任が問われる。リスクに対して自発的に対策を講じることが求められている。したがって、リスクを評価し、分析することが重要になってきている。
リスク評価票作成を行う評価票作成サーバと、事故に関するデータに基づいてリスクの程度を示す指標を算出する事故関連サーバと、評価項目を評価票作成サーバに送る項目取得サーバとをネットワークで接続してなるリスク評価票作成装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、絶えず変動する場合のリスク評価に用いる評価票の作成を、項目の属性、関係付け情報、固定か可変かの情報、指標の閾値の蓄積などの概念を用いて、処理することが開示されている。
特許文献2には、災害に基づく保険事故の発生予測装置及び方法が開示されている。具体的には、災害をもたらす事象に関する事象データの入力を受け付けて、地区別に災害による被害の程度を予測する被害予測手段と、被保険者の居住地を含む、保険会社別の保険契約に関する保険契約データを記憶する保険契約記憶手段と、前記被保険者の居住地及び前記被害予測手段により予測された地区別の被害の程度に基づいて、被保険者別の被災度を予測する被災度予測手段と、複数の保険会社別端末装置と接続するための接続手段と、前記被災度予測手段により予測された被保険者別被災度が所定以上である被保険者に係る保険契約を抽出する抽出手段と、を備え、前記接続手段は、前記抽出手段により抽出された保険契約を、前記保険契約に係る保険会社の保険会社別端末装置へ通知する、災害に基づく保険事故の発生予測装置である。
特許文献3には、リスク分析装置、保険設計装置、保険約款作成方法などが開示されている。特に、事故区分、事故形態、事故原因の組み合わせを少なくとも含んで互いに担保内容が重複しないように特定される細分化担保区分を組み合わせることにより補償内容を示す保険設定情報を決定し、出力する補償内容設定手段と、細分化担保区分ごとに対応する約款文言を記憶する約款文言記憶手段と、前記約款文言記憶手段を参照することにより前記組み合わせた細分化担保区分に対応する約款文言を選択して、約款を作成する顧客対応型約款作成手段と、事故対象者の業種情報、地域情報、顧客規模情報のいずれかの情報と、該事故対象者の過去の事故例に対応する前記細分化担保区分と、を含む事故例情報を記憶する事故例情報記憶手段と、ユーザから入力されるか又は外部のデータベースから取得した顧客の業種情報、地域情報、顧客規模情報のいずれかの情報のうち、前記事故例情報に含まれる情報と同種の情報を検索キーとして前記事故例情報記憶手段を検索し、検索キーに整合した事故例情報群を読み出し、前記読み出した事故例情報群の各事故例情報に含まれる細分化担保区分を抽出して出力する顧客リスク抽出手段と、を備え、前記補償内容設定手段は、前記顧客リスク抽出手段が出力する細分化担保区分を受け付け、前記受け付けた細分化担保区分を組み合わせることにより、同一の担保内容を実現するような細分化担保区分の組み合わせが唯一つに定められ、前記組み合わせた細分化担保区分を、補償内容を示す保険設定情報として出力することを特徴とする保険設計装置が開示されている。
特許文献4には、財務リスクと事業リスクを評価し、リスクマップを生成する企業評価装置が記載されている。
特許文献5には、オペレーショナルリスクを評価し、レポートを表示する装置が記載されている。
非特許文献1には、決算書、法令、現場情報に基づいて、現状を分析し、リスクマトリクスを生成して、対策を提案するリスクマネジメント・コンサルティング方法が記載されている。
特許第5420844号公報 特許第5355341号公報 特許第4067266号公報 特開2008−84020号公報 特開2003−36343号公報
リスクマネジメント・コンサルティング,online,株式会社日本アルマック,2016年7月3日,インターネット,<URL:http://web.archive.org/web/20160703225036/http://www.almac.co.jp/riskmanagementconsulting>
一般に大企業は、金融商品取引法にて有価証券報告書の提出が義務付けられており、その有価証券報告書には企業内に潜むリスクの開示義務があり、毎年更新することとされている。これは、企業の財務内容や業界や時流の動向が常に変化するものであるためであるが、一般的に中小企業(小企業を含む)にはこの義務がない。
しかしながら、中小企業の経営体力の減衰の一つの要因として、特別損失などの発生に伴うリスクへの対策不十分が挙げられる。
本考案は、中小企業も大企業同様にリスクに対しての財務計画を作成し、中小企業におけるリスク管理会計を推進させ、中小企業の財務体力を安定的かつサステイナブルなものとすることが可能なリスク評価分析装置を提供することを目的とする。
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本考案者は、企業からの主観的情報と、企業への客観的情報との双方を組み合わせてリスク評価分析装置を構成することを見出した。
主観的情報とは、企業における役員や従業員等関係者よりのアンケート等のことである。客観的情報とは、本装置利用者が視覚にて確認した情報や、過去裁判例または、企業経営に係る法務、財務、人事労務およびIT等の知識から見出した情報のことを示す。これらの組み合わせによって成立するのが本装置である。
本明細書において、装置とは、コンピュータ装置の意味であり、いくつかのサーバが、インターネットなどのネットワークを介して接続されて、動作し、端末コンピュータを利用する利用者がそれを用いることで成立する装置である。
企業経営におけるリスクの存在は、各業種に伴うもの、天候などの自然災害によるもの、あるいは法的根拠に基づくもの、企業オペレーションによるものなど、多種多様であり、それらの情報をより的確に企業に提供する必要性から高い専門性と広い知識が必要とされ、それらの専門性と知識を十分に所有した者が本リスク評価分析装置を扱う、あるいは専門性と知識を十分に所有した者が本リスク評価分析装置に対して、その所有する専門性と知識を提供することで成立するものである。
例えば、火災というリスクが存在した場合、一般的に中小企業は保険会社が提供する火災保険に加入することで、そのリスクに対し対策を講じている。しかしながら、保険会社が提供する火災保険は火災というリスクの損害全てを補償するものではなく、かつ適当な補償額を確保していない場合も多く見受けられる。また、企業の財務内容は毎年変化するものであるにもかかわらず、その補償内容を更新せず、補償の掛け過ぎという案件もしばしば見受けられる。その結果、特別損失を発生させ財務を圧迫させ、または費用の過大計上に陥ることになるのであるが、これは、従来のリスクに対する考え方の欠陥であり、保険などの商品からリスクを見ることがその要因であると考えられる。
一方、本リスク評価分析装置では、企業の財務計算書類や企業概要等の客観的情報から、有形固定資産の総額や人的被害額、あるいは休業損失の火災リスクに係る全ての損害予想金額を算出、立地条件や業種等の情報から発生可能性を算出し、かつ消防法や失火法、建築基準法などの法的根拠や、これに係る裁判例、またはスプリンクラーや防火シャッター等の対策の有無などから火災というリスクの全体像を見出し、これに対し適当な保険商品や会計商品の提供を企業に勧めるものである。
本リスク評価分析装置は基本として、企業の財務計算書類を使用する事に基づき、会計年度別に毎年本リスク評価分析装置を使用し、リスク情報の見直しをすることが企業における財務体力をより強固なものとする一要因になり得るものである。
また、本リスク評価分析装置は客観的分析手法を取り入れることで、従来見落とされるリスクを視覚化することを可能とする。それにより、企業に係る考え得るすべてのリスクに対して財務計画を施すものである。また、リスク管理会計を中小企業に対し推進するものである。
本考案に係るリスク評価分析装置は、評価対象となる顧客企業について考え得るリスクを選好する調査ステップと、選好したリスクに対し損害強度と損害頻度を過去事例に基づいて当てはめていく分析ステップと、前記損害強度と前記損害頻度とをプロットしたリスクマップを用いて対策を施す優先順位を決定する優先順位決定ステップと、顧客の現在のリスクに対する対策状況とリスクの現況とを照らし合わせ保険商品あるいは会計商品又はそれらの組合せを提案する対策考案ステップとからなるリスク評価分析方法に用いるものである。そして、顧客企業の事業概要を示す企業情報書類と、顧客企業の財務諸表を示す財務計算書類と、前記選好したリスクのそれぞれに対し分析し評価した結果である損害強度と損害頻度とをそれぞれ縦軸及び横軸にプロットしてなるリスク統計マップとを用いる。これにより、対策すべきリスクの優先順位を見出すことを支援する。
また、判決例、法令を示す書類をさらに有し、前記リスク統計マップは、過去判決例、法的根拠、あるいは顧客企業の財務計算書類から算出した損害強度を金額として算出してプロットしたものとすることができる。これにより、現実の事例に基づいて損害強度を算出してリスクを評価することができる。
業界情報を示す書類をさらに有し、前記リスク統計マップは、同様の業界や同規模の過去事例に基づいて損害強度を金額として算出してプロットしたものとすることができる。これにより、損害強度の算出結果の信頼性が高まる。
評価分析対象企業の従業員からのアンケート結果の統計情報書類をさらに有し、前記リスク統計マップは、前記アンケート結果統計情報書類が示す統計情報に基づいて損害強度を金額として算出してプロットしたものとすることができる。これにより、主観的情報を加味した損害強度の算出が可能となる。
業種情報、地域情報、従業員数情報を示す書類をさらに有し、前記リスク統計マップは、評価分析対象企業の業界、業種、地域情報、従業員数のうちのいずれか又はそれらの組み合わせに基づいて、過去事例を参照し損害強度を算出してプロットしたものとすることができる。これにより、客観的なリスク評価が可能となる。
立地条件、業種、業界、従業員数の統計情報書類をさらに有し、前記リスク統計マップは、各リスクに対する発生状況を対象企業の立地条件、業種、業界、従業員数あるいは、顧客企業における従業員からのアンケートを利用した統計情報から抽出して損害頻度を算出してプロットしたものとすることができる。これにより、主観的な情報と客観的な情報とを加味したリスク評価が可能となる。
本考案に係るリスク評価分析装置を部構成にて表現すると、次のようになる。
顧客企業からの依頼に基づいて、リスク評価分析を行うリスク評価分析サーバと顧客端末とをインターネットにより接続してなるリスク評価分析装置であって、前記リスク評価分析サーバは、前記顧客企業から提供された情報に基づいて、リスク項目を選好するリスク項目選好部と、前記リスク項目選好部が選好した前記リスク項目のそれぞれについて、損害頻度を算定する損害頻度算定部と、前記リスク項目選好部が選好した前記リスク項目のそれぞれについて、損害強度を算定する損害強度算定部と、前記損害頻度算定部が算定した損害頻度と、前記損害強度算定部が算定した損害強度とに基づいて、前記リスク項目の一つ一つを二次元のグラフにプロットしてリスク統計マップを作成するリスク統計マップ作成部と、前記顧客企業から提供された財務諸表に基づいて、事業危険値を算出する事業危険値算出部と、前記顧客企業から提供された財務諸表に基づいて、保有限度額を算出する保有限度額算出部と、前記事業危険値算出部が算出した当該事業危険値及び前記保有限度額算出部が算出した当該保有限度額との大小比較、そして損害頻度の大小比較に基づいて、前記リスク統計マップ作成部が作成したリスク統計マップを複数の領域に分類する領域分類部と、前記リスク項目の一つ一つが、前記領域分類部が分類した領域のいずれに属するかに基づいて、前記リスク項目の一つ一つへ対策を施す優先順位を決定する優先順位決定部とを有することを特徴とする。
また、顧客の現在のリスクに対する対策状況とリスクの現況とを照らし合わせ保険商品あるいは会計商品又はそれらの組合せを提案する対策考案部をさらに有する。
さらに、前記リスク評価分析サーバは、企業が損害を受けたことに関する裁判所の判決例を記憶した判決例データベース部と、企業が果たすべき責任について定めた法律、政令、省令を記憶した法令データベース部とをさらに有し、前記損害強度算定部は、前記判決例データベースに記憶された過去判決例、前記法令データベース部に記憶された法的根拠、及び前記顧客企業の財務諸表から前記損害強度を算出する。
前記リスク評価分析サーバは、業界情報データベース部をさらに有し、前記損害強度算定部は、前記業界情報データベース部に記憶された同一の業界であって、同規模の企業を検索し、その検索結果の企業の過去事例に基づいて前記判決例データベースに記憶された過去判決例、前記法令データベース部に記憶された法的根拠、及び前記顧客企業の財務諸表から前記損害強度を算出する。
前記リスク評価分析サーバは、前記顧客企業の従業員にアンケート調査をしたアンケート結果の情報を記憶するアンケートデータベース部をさらに有し、前記損害強度算定部は、前記アンケートデータベース部に記憶された情報に基づいて損害強度を金額として算出する。
前記リスク評価分析サーバは、業種情報、地域情報、従業員数情報を示す情報を記憶する企業情報データベース部をさらに有し、前記損害強度算定部は、前記企業情報データベース部を参照して、評価分析対象である前記顧客企業の業界、業種、地域情報、従業員数の情報うちのいずれか又はそれらの組み合わせに基づいて、過去事例を参照し損害強度を算出する。
前記企業情報データベース部は、立地条件、業種、業界、従業員数の統計情報をさらに有し、前記損害頻度算定部は、各リスクに対する発生状況を対象企業の立地条件、業種、業界、従業員数あるいは、前記アンケートデータベース部に記憶された顧客企業における従業員からのアンケートを利用した統計情報から抽出して損害頻度を算出する。
また、前記リスク評価分析装置は、さらに、インターネットにより接続された判決例サーバ、法令サーバ、業界情報サーバ、統計情報サーバを有し、前記リスク評価分析サーバは、定期的に又は必要に応じて、他のサーバとやりとりをして、情報を更新し、それに基づくリスクの評価分析を行うように構成することが望ましい。
本考案を用いれば、企業は、リスクへの対策を適切な優先順位に従って、適切に行って、安定的な、かつサステイナブルな経営(持続的に成長可能な経営)を実行することが可能になる。
事業概要を示す企業情報書類の一例を示す図である。所在地情報、創業年数、事業内容などの情報が載っている。 財務諸表を示す財務計算書類の一例を示す図である。図2(a)は、貸借対照表、図2(b)は、損益計算書である。 リスク統計マップの一例を示す図である。 本考案に係るリスク評価分析装置を用いて、調査、分析、優先順位決定、対策考案を進める手順を示す図である。 装置のハードウェア構成を示す図である。 リスク評価分析サーバの内部構成を示す図である。 リスク評価分析サーバの依頼受付処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバのリスク項目選好処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバのリスク統計マップ作成処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバの領域分類処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバの優先順位決定処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバの対策提案及び報告書類作成処理を示すフローチャートである。 リスク評価分析サーバが他のコンピュータと連携して動作する様子をしめすシーケンス図である。
以下、添付図面を参照しながら、本考案の装置を実現するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は、事業概要を示す企業情報書類の一例を示す図である。所在地情報、創業年数、事業内容などの情報が載っている。所在地情報は、○○県○○市○○町など住所表示などにより当該企業の所在地を示す情報である。創業年数は、当該企業の創業から現在に至るまでどれだけの年数を経過したかを示す情報である。事業内容は、○○の製造販売、など、具体的な事業の中身を示す情報である。
図2は、財務諸表を示す財務計算書類の一例を示す図である。図2(a)は、貸借対照表、図2(b)は、損益計算書である。貸借対照表は、バランスシートと呼ばれるものであり、企業や団体の、ある時点(普通は会計上の期末)の財務状態を、資産の部を左側に、負債及び資本(基金)の部を右側に記し、総合的な損益額も明らかになるようにまとめた表である。損益計算書は、企業や団体の、一定期間における費目別の収益と費用とを対照表示し、当期純損益がわかるようにまとめた表である。
≪リスク統計マップの説明≫
図3は、リスク統計マップの一例を示す図である。
リスク統計マップは、縦軸に「損害強度」、横軸に「損害頻度」を取って、それぞれのリスク項目についてプロットしてなる統計マップである。
縦軸に取る損害強度は、金額で評価される。下限を0とし、補助線として「リスク境界値」つまり企業より受領する財務計算書類の中より「自己資本額」を、同様に「事業危険値」として「経常利益額」を取り、かつキャッシュフロー計算書を企業から受領可能な場合は、その額を「キャッシュフロー値」として補助線として設定する。ただし、企業よりキャッシュフロー計算書を受領できない場合は、「事業危険値」つまり企業の経常利益額の1/12をキャッシュフロー値として仮定し補助線を設定する。これは、一ヶ月分の経常利益という意味合いである。さらに、企業経営者との相談により、会計論でいうところの「重要性の原則」を決定し、「保有限度額」を補助線として設ける。「保有限度額」について、経営者の判断を仰げない場合に限って、本リスク評価分析装置利用者は、基本的に設定された「キャッシュフロー値」の1/10を「保有限度額」として仮設定する。
横軸に取る損害頻度は、時間で評価される。右限を0とし、当該リスクが何年に一度の頻度で発生する可能性があるかを決定する指標である。左限の上限は30年とし、これを超過するリスクについては全て上限値25年にて設定するものとする。
これらを基に作成されたリスク統計マップは、「領域1」「領域2」「領域3」「領域4」あるいは、「保有額未満(領域5)」のランクに分類され、それぞれ事業危険値以上の損害強度かつ、10年以内の発生可能性を持つものを「領域1」に、事業危険値以上の損害強度かつ、11年以上の発生可能性を持つものを「領域2」、さらに事業危険値未満であり保有限度額以上の損害強度を持ち10年以内の発生可能性を持つものを「領域3」、事業危険値未満であり保有限度額以上の損害強度を持ちかつ11年以上の発生可能性を持つものを「領域4」、最後に保有限度額未満のものを「保有限度額未満(領域5)」と分類する。
当分類はリスク評価分析装置の対策フェーズにおいて、対策の優先順位を決定するための指標として、「領域1」乃至「領域4」のランクを使用し、企業への財務的影響度がより重大であると考えられる「領域1」のランクに分類されたリスクを最優先として、次いで「領域2」、「領域3」、「領域4」と対策の優先順位を決定していくものである。なお、「保有限度額未満(領域5)」に分類されるものは、対策の優先度として最も低いものと考えられ、そのため「保有限度額未満(領域5)」ランクに分類されるリスクに関しては、一切の対策を講じないと考える場合も多い。
≪フロー図の説明≫
図4は、本考案に係るリスク評価分析装置を用いて、調査、分析、優先順位決定、対策考案を進める手順を示す図である。
本リスク評価分析装置を用いて行うリスク評価分析方法は、(導入ステップと、)調査ステップと、分析ステップと、優先順位決定ステップと、対策考案ステップとからなる。導入ステップは、企業情報および財務情報を収集する段階である。調査ステップは、リスク項目を選好する段階である。分析ステップは、過去の裁判判決例や法的な根拠、業種や業界の情報、地域的情報、あるいは企業(顧客)からアンケートやヒアリングによって知り得た情報などから損害予想強度あるいは損害発生可能性を予想する段階である。優先順位決定ステップは、分析ステップにて算出された「損害予想強度」および「損害予想頻度」を元に「リスク統計マップ」を作成し、それを利用して領域領域1、領域領域2、領域領域3、領域領域4の順にリスク対策を講じる順位を決定する段階である。対策考案ステップは、優先順位を基礎とし、企業の現在のリスクに対する対策状況を加味し、本リスク評価分析装置利用者が所有する損害保険、生命保険、会計処理及びその他の知識を活用し、適当な対策手法を企業に提案する段階である。
本リスク評価分析装置においては、企業情報書類、財務計算書類、リスク統計マップの3つは、必須の構成要素である。他に用いる可能性のある書類としては、客観的ものとして、判決例、法令を示す書類、業界情報を示す書類、業種情報、地域情報、従業員数情報を示す書類、立地条件、業種、業界、従業員数の統計情報書類などを用いることができる。また、主観的なものとして評価分析対象企業の従業員からのアンケート資料、ヒアリング資料をもちいることができる。
これらの客観的な書類、主観的な書類について、どれを用いるかによってそれぞれのリスク項目の損害強度(損害予想強度)、損害頻度(損害予想頻度)は、変更され得る。したがって、リスク統計マップ上で、それらのリスク項目がどの領域にプロットされることになるかにも影響がある。
当該評価分析対象企業について、どの書類をどこまで用いて評価分析を行うかについては、分析を行うコンピュータを用いる者の知識、経験、スキルに負うことになるが、どのような処理をしたら不適切な評価分析となるか、どのような処理をしたら適切な評価分析となるかを学習し、蓄積することにより、今後の評価分析に生かしていくことが可能となる。
図5は、装置のハードウェア構成を示す図である。図5の中央部に描かれている長円は、インターネット(網)を示している。本考案において、中心的な役割を果たすリスク評価分析サーバ110、判決例(特に、企業の賠償責任が問われた判決例)を記憶する判決例サーバ210、法令(特に、企業の責任を定めた法律、政令、省令、条例など)を記憶する法令サーバ220、業界の情報を記憶する業界情報サーバ230、各種の統計情報を記憶する統計情報サーバ240が、インターネットを介して、接続され、連携して動作する。リスク評価サーバ110の運営者は、運営者端末120を操作することにより、リスク評価サーバ110を機能させる。リスク評価分析サーバ110に、企業のリスク評価を依頼する顧客は、顧客端末130を操作して、リスク評価分析サーバ110に、評価を依頼する。図5に描いた顧客端末は、1台であるが、代表して1台を描いたものであって、実際には、多数の顧客がいて、複数台の顧客端末を介してそれぞれリスク評価サーバ110にアクセス可能である。
ここで、サーバは、サーバコンピュータの意味であり、原則として、24時間、365日稼動可能なコンピュータである。また、端末は、端末機器あるいは端末コンピュータであり、サーバコンピュータに処理を依頼する入力機器の役割と、サーバコンピュータが処理した結果の出力を得て、それを表示したり、印刷したりする出力機器の役割とを併せ持つコンピュータである。端末機器は、いわゆるデスクトップコンピュータ、ノートブックパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン、などのうちのいずれかを用いることができる。
図6は、リスク評価分析サーバ110の内部構成を示す図である。
本明細書において、「〇〇部」というときには、当該コンピュータのCPU(中央処理部)が必要なプログラムを読み込んで実行する状態についてそのように呼ぶものである。したがって、一個のCPUがいくつもの部の役割を果たす。もっとも、複数のCPUにこれらの機能を分担させることも可能である。一つのサーバコンピュータが、複数のCPUを有する場合のみならず、リスク評価分析サーバ110を、複数のサーバコンピュータの連携により、構成することも可能である。一つのCPUがすべての部の機能を有する場合をも、複数のCPUまたは複数のサーバがそれらの部の機能を分担する場合をも含めて、複数の「〇〇部」が連携して働いて、リスク評価分析サーバ110の働きを実現する。
セキュリティ管理部50は、権限ある者によるリスク評価分析サーバ110へのアクセスを許可し、権限なき者によるリスク評価分析サーバ110へのアクセスを拒絶する部である。ログイン認証部51は、ID、パスワードなどにより、権限ある者のログインを認証する部である。依頼受付部52は、顧客からリスク評価分析の依頼を受付ける部である。あらかじめ顧客登録した顧客がログインして依頼するのが、考えやすいが、依頼の受付を幅広く受け入れて、依頼した顧客の登録をあとから実施することとしてもよい。依頼の際に受け取る企業情報は、企業情報DB70に格納され、財務諸表の情報は、財務諸表DB71に格納される。依頼した企業の従業員にアンケートした結果は、アンケートDB78に格納され、依頼した企業の担当者にヒアリングして得た情報は、ヒアリングDB79に格納される。
リスク項目選好部53は、リスク評価分析を依頼した顧客の企業について、リスク項目として選好すべきものを選び出す処理を実行する部である。リスク項目DB72には、業種や、従業員数に紐付けられて多くのリスク項目があらかじめ格納されており、それらの中から、依頼をした企業の業種や、従業員数に基づいて、リスク項目が選好される。その選好処理を実行するのが、リスク項目選好部53である。
損害頻度算定部54は、リスク項目選好部53により選好された一つ一つのリスク項目について、当該企業における損害頻度、すなわちどれぐらいの期間(時間)が経過したら起こる可能性があるかを算定する部である。このとき統計資料DB73に格納された各種統計資料、事故情報DB76に格納された過去の事故の情報、アンケートDB78に格納された当該企業の従業員へのアンケート結果、ヒアリングDB79に格納された当該企業の担当者からのヒアリング結果に基づいて、それぞれのリスク項目の損害頻度を算定する。この処理を実行するのが、損害頻度算定部54である。。
損害強度算定部55は、リスク項目選好部53により選好された一つ一つのリスク項目について、当該企業における損害強度、すなわちどれぐらいの金額の損害が見込まれるかを算定する部である。このとき参照する資料は、統計資料DB73に格納された各種統計資料、判決例DB74に格納された判決例、法令DB75に格納された法律、政令、省令など、事故情報DB76に格納された事故情報、アンケートDB78に格納されたアンケート結果、ヒアリングDB79に格納されたヒアリング結果、業界情報DB80に格納された業界情報などである。
事業危険値算定部56は、財務諸表DB71を参照して、経常利益額を引っ張ってくる。そして、それを「事業危険値」とする。また、自己資本額を引っ張って、それを「リスク境界値」とする。キャッシュフロー計算書を企業から受領可能な場合は、その額を「キャッシュフロー値」として設定する。、企業よりキャッシュフロー計算書を受領できない場合は、「事業危険値」つまり企業の経常利益額の1/12をキャッシュフロー値として設定する。これは、一ヶ月分の経常利益という意味合いである。
保有限度額算定部57は、あらかじめ企業経営者にヒアリングして会計論でいうところの「重要性の原則」を決定して得た保有限度額を格納してあるヒアリングDB79を参照し、保有限度額を算定、設定する処理を実行する部である。経営者の判断を仰げない場合には、財務諸表DB71設定された「キャッシュフロー値」の1/10を「保有限度額」として設定することができる。
リスク統計マップ作成部58は、リスク項目選好部53により選好したリスクのそれぞれに対し分析し評価した結果である損害強度と損害頻度とをそれぞれ縦軸及び横軸にプロットしてなるリスク統計マップを作成する部である。このリスク統計マップは、コンピュータのモニタ画面上に表示することができる。また、電子データとして、引渡すこと、印刷用紙にプリントアウトすることも可能である。
領域分類部59は、リスク統計マップ作成部58が作成したリスク統計マップに数本の補助線を引いて、いくつかの領域に分類する部である。補助線は、損害強度と、損害頻度とについて、それぞれ設けることができる。損害強度については、リスク境界値、事業危険値、キャッシュフロー値、保有限度額を補助線として設定できる(図3参照)。リスク境界値としては、自己資本額を取る。事業危険値としては、経常利益額を取る。キャッシュフロー値としては、キャッシュフロー計算書を企業から受領可能な場合は、キャッシュフローの額を取る。キャッシュフローの額をキャッシュフロー計算書などから入手できない場合には、経常利益額の12分の1をキャッシュフロー値としてとることができる。キャッシュフロー値として設定する。キャッシュフロー値の10分の1を保有限度額として設定する。これらの損害強度の数値は、当該企業の事情、要望などを考慮して、変更し得る。また、何本の補助線を引くかについても、変更し得る。
損害頻度については、何年に一度の頻度で発生する可能性があるかという時間で評価する。たとえば、10年以内の発生可能性のあるもの、11年以上の発生可能性のあるものと分類するための補助線を引くことができる。発生可能頻度の年数の値をいずれにするか、何本の補助線を引くかは、変更可能である。
損害強度と損害頻度とのそれぞれについて、何本かの補助線を設けることにより、リスク統計マップをいくつかの領域に分類することが可能である。図3に示す例では、領域1を事業危険値以上の損害強度かつ10年以内に一度の頻度で発生する可能性をもつものとし、領域2を事業危険値以上の損害強度かつ11年以上に一度の頻度で発生する可能性をもつものとする。領域3を事業危険値未満、保有限度以上の損害強度を持ち10年以内に一度の頻度で発生する可能性をもつものとし、領域4を事業危険値未満、保有限度以上の損害強度を持ち11年以上に一度の頻度で発生する可能性をもつものとする。領域5を損害強度が保有限度額未満のものとする。
補助線の数を調整することにより、領域をさらに細分化することも可能である。
優先順位決定部60は、リスクに対する対策を講じる優先順位を決定する部である。リスク統計マップの各領域にプロットされたリスクのそれぞれについて、当該リスクがいずれの領域にプロットされているかによって、そのリスクに対する対策を講じる優先順位を決定する部である。たとえば、領域1に分類されたリスクを最優先として、領域2、領域3、領域4と対策の優先順位を決定し、領域5に分類されたリスクについては、対策を講じないとすることが可能である。
領域の数を多くして、こまかな分類をすることにより、同一の領域に属するリスクが多数のものになることを回避することができる。
報告書類作成部61は、リスク統計マップ、領域分類、優先順位の決定、そして後述する対策提案などを、当該企業に対して報告する書類を作成する部である。あらかじめ定めたフォームにしたがって、リスク評価分析サーバ110が処理した内容を記載するものである。
対策提案部62は、保険情報DB77を参照して、損害保険、生命保険、会計処理の対策などを提案する部である。保険情報DB部77には、当該企業が現に加入している保険と、それ以外の保険との情報を蓄積しており、総合的な対策を提案することが可能となっている。
企業情報DB(部)70、財務諸表DB(部)71、リスク項目DB(部)72、統計資料DB(部)73、判決例DB(部)74、法令DB(部)75、事故情報DB(部)76、保険情報DB(部)77、アンケートDB(部)78、ヒアリングDB(部)79、業界情報DB(部)80は、それぞれの情報をさまざまな項目に紐付けて検索可能な状態で格納したものであって、必要に応じて、リスク評価分析サーバ110がこれらのDB部を参照して、情報を取り出す。
また、これらのDB部は、図5に示すように、統計情報サーバ240、業界情報サーバ230、法令サーバ220、判決例サーバ210などのサーバに定期的にアクセスして、最新の情報をダウンロードするなどして、情報を更新することが望ましい。
ここで、DB部は、情報を格納する記憶部のみならず、それらにアクセスするためのコンピュータプログラム(アプリケーションソフト)をも含めたものと考える。コンピュータプログラムは、CPU(中央処理部)に読み込まれて機能するものであるので、CPUが機能する状態をとらえて、DB部と表現する。
図7は、リスク評価分析サーバ110の依頼受付処理を示すフローチャートである。
依頼受付部52が、リスク評価分析サーバ110にアクセスするユーザ(又は潜在的ユーザ)に対して申し込みフォームを表示する(ステップ701)。ユーザ(又は潜在的ユーザ)は、そのフォームに入力すると(ステップ702でYES)、依頼受付部52は、それが合式(方式に適合している)かどうかを判定する(ステップ703)。合式である場合には、既にそのユーザが会員であるかを問い(ステップ704)、会員である場合は、ID、パスワードの入力を求め(図示を省略)、フォームに入力された情報を企業情報DB部70、財務諸表DB部71、アンケートDB部78、ヒアリングDB部79などのDB部にDB登録して、リスク評価分析サーバ110内の各部が利用可能にする(ステップ705)。
ステップ704で会員でない場合には、会員登録処理(ステップ706)をした後、ステップ705に進む。
ステップ702、ステップ703でNOの場合は、再びフォームへの入力を促す(ステップ702)。
図8は、リスク評価分析サーバ110のリスク項目選好処理を示すフローチャートである。
リスク項目選好部53が、企業情報DB部70を参照して業種を取得する(ステップ801)。たとえば、定款に記載された事業内容から業種を特定することができる。同様に、リスク項目選好部53が、企業情報DB部70を参照して従業員数を取得する(ステップ802)。図7に示す依頼受付処理にて入力された内容を利用可能である。次に、リスク項目選好部53は、取得した業種、従業員数が、リスク項目を選好する上で十分であるか否かを判断する(ステップ803)。顧客企業が申請する業種、従業員数が必ずしもリスク項目選好の目的に、適っているとは限らない。たとえば、業種をもう少し広く捉える必要が在る場合がある。また、顧客企業が正社員のみを従業員として申請したが、アルバイトやパート社員を多く雇っている場合には、不釣合いである場合がある。業種、従業員数の情報が不十分の場合(ステップ803)、他のDB部(アンケートDB部78、ヒアリングDB部79、業界情報DB80)などを参照して補う(ステップ804)。ここで、ウェブ上に企業情報提供会社が提供している企業情報データベースを参照することとしてもよい。
業種、従業員数がリスク項目選好に適ったものとなると(ステップ803でYES)、リスク項目DB部72を検索して、リスク項目を選好する(ステップ805)。リスク項目の数が、報告書作成の上で十分な数であるか否かを判断する(ステップ806)。
あらかじめ定めた所定の数よりも少ない場合には(ステップ806でNO)、他の業種を追加する(ステップ807)。他の業種の追加は、たとえば当該顧客企業のウェブページから、他の業種と解釈され得るものを抽出することによってなされる。また、同等の他の企業が業種としているもの、これまでのリスク評価分析サーバの実績において同様の場合に加えることでよい結果が得られたものなどを業種追加対象リストに蓄積しておき、そのリストから順次、加えることとしてもよい。
業種追加(ステップ807)、リスク項目DBを検索(ステップ805)、リスク項目数が十分かの判断(ステップ806)を必要に応じて何度かくり返して、十分な数になったところで(ステップ806でYES)、検索結果を保存し(ステップ808)、リスク項目選好処理を終了する。
図9は、リスク評価分析サーバのリスク統計マップ作成処理を示すフローチャートである。リスク統計マップ作成処理は、リスク統計マップ作成部が、損害頻度算定部54、損害強度算定部55と協働して実行する処理である。損害強度算定部55、損害頻度算定部54は、いくつかのDB部にアクセスし、情報を収集して、当該リスク項目の当該会社(依頼会社)における損害強度、損害頻度を算定した上で、リスク統計マップ作成部に提供する。
リスク項目選好処理にて保存されたリスク項目を取得する(ステップ901)。当該リスク項目についての損害強度を算定する(ステップ902)。損害強度の算定は、統計資料DB73、判決例DB74、法令DB75、事故情報DB76などを参照し、当該企業の会社規模と照らし合わせて算定する。
同様に、当該リスク項目についての損害頻度を算定する(ステップ903)。損害頻度の算定は、統計資料DB73、事故情報DB76、保険情報DB77、アンケートDB78、ヒアリングDB79、業界情報DB80などを参照し、当該企業の会社規模と照らし合わせて算定する。
リスク項目について、損害強度及び損害頻度の算定がなされると、それに基づいて当該リスク項目のプロットをする(ステップ904)。このプロットは、損害頻度を横軸に、損害強度を縦軸にとった平面の上に当該リスク項目を対応付けることである。
次に、すべてのリスク項目についてのプロットがなされたかどうかを判断する(ステップ905)。リスク項目選好処理にて保存されたリスク項目のなかにまだプロットしていないものがあれば、ステップ901からステップ904を繰返し実行し、再度ステップ905の判断をする。すべてのリスク項目についてのプロットがなされると(ステップ905でYES)、リスク統計マップを作成する(ステップ906)。そして、それを保存する(ステップ907)。リスク統計マップは、顧客企業に報告する報告書類のなかで重要な書類であって、選好したリスクのすべてを損害頻度−損害強度平面にプロットしたものである。
図10は、リスク評価分析サーバの領域分類処理を示すフローチャートである。
図9に示すリスク統計マップ作成処理の次に、図10に示す領域分類処理を実行する。リスク統計マップに数本の補助線を引いて、いくつかの領域に分類する処理である。補助線を損害強度と損害頻度とのそれぞれについて設けるべく、まず損害強度の境界値を算出し(ステップ1001)、次に損害頻度の境界値を設定する(ステップ1102)。
前述したように、損害強度については、リスク境界値、事業危険値、キャッシュフロー値、保有限度額を補助線として設定できる(図3参照)。
また、損害頻度については、年数に基づき補助線を引くための境界値を設定する。
損害強度、損害頻度についての境界値を取得できたらそれらを保存する(ステップ1103)。
そして、リスク統計マップに補助線を引いたものを、リスク評価分析サーバがモニター画面に表示する(ステップ1004)。
適切か否かを判断する(ステップ1005)。この判断は、たとえば、各領域(縦横の補助線に囲まれた四角形の領域)に含まれるリスク項目がいくつになるかを数えることによってなされる。それぞれのリスク項目の損害強度、損害頻度と、補助線を引くための境界値との大小比較を繰返し実行することにより、各リスク項目がどの領域に属するかを知る。そして、各領域に含まれるリスク項目の数を数える。ある領域に含まれるリスク項目の数があらかじめ決めた数(たとえば、3個)よりも多い場合には(ステップ1005でNo)、補助線を増やすことにより、その数を減らすことができる(ステップ1006)。この修正処理は、たとえば、損害頻度の補助線を増やすこと、または損害強度の補助線を増やすこと、さらには、双方の補助線を増やすことによってなされ得る。それぞれの領域に含まれるリスク項目の数が適切な値になるまでステップ1004、ステップ1005、ステップ1006を繰返し、適切な値になったら(ステップ1005でYes)、リスク統計マップを更新し(ステップ1007)、リスク統計マップを保存する(ステップ1008)。
図11は、リスク評価分析サーバの優先順位決定処理を示すフローチャートである。まず、縦横の補助線によって区切られた各領域に順位をつける(ステップ1101)。あらかじめ準備されたルールにしたがって、領域の順位が決められる。たとえば、最も損害強度が高いものについて、損害頻度の高い(頻繁に起こるもの)から順位をつけていく。最も損害強度が高いものについての順位をつけ終えたら、次に損害強度が高いものについて、損害頻度の高い順に順位をつける。同様にして、すべての領域に順位をつける。その結果、領域1、領域2、領域3、…というように各領域に優先順位がつく。
次に、リスク統計マップにプロットされた各リスク項目に順位をつける(ステップ1102)。リスク統計マップにプロットされた各リスク項目は、それぞれ損害強度と損害頻度とを有している。したがって、領域分類に用いた境界値との大小比較処理を繰返し実行することにより、どの領域にそのリスク項目が属するかを知ることができる。各リスク項目がどの領域に属するかという情報と、各領域の優先順位とを対応させることにより、各リスク項目の順位が得られる。
こうして得られた順位を保存する(ステップ1103)。
図12は、リスク評価分析サーバの対策提案及び報告書類作成処理を示すフローチャートである。
まず、リスク項目を取得する(ステップ1201)。このリスク項目は、損害強度及び損害頻度のデータを有し、優先順位をつけられたリスク項目である。リスク項目を優先順位の高い順に取得する。
次に、各種DB(判決例DB74、法令DB75、統計資料DB73、事故情報DB76、保険情報DB77、業界情報DB80など)を参照する(ステップ1202)。
そして対策立案する(ステップ1203)。対策は、保険の適用、会計手法の適用などの中から選択される。
すべてのリスク項目について対策が立案されたかを判断する(ステップ1204)。まだ対策の立案がなされていないリスク項目があれば(ステップ1204でNo)、ステップ1201からステップ1204までをくり返す。すべてのリスク項目についての対策が立案されると(ステップ1204でYes)、報告書類作成(ステップ1205)をして、おわる。
なお、立案する対策のなかには、「リスクを保有する」という対策も含むこととする。保険などをかけないままにしておき、損害が生じ場合には、損害引当金などで会計処理をする対応をするものである。
図13は、リスク評価分析サーバが他のコンピュータと連携して動作する様子をしめすシーケンス図である。
図13のシーケンス図には、顧客端末、リスク評価分析サーバ、運営者端末、判決例サーバ、法令サーバ、業界情報サーバ、統計情報サーバのみを描いている。他のサーバもも同様に、リスク評価分析サーバと連携して動作し得る。
リスク評価分析サーバは、顧客端末から依頼を受付けると、リスク項目選好、マップ作成、領域分割、優先順位決定、対策立案、報告書類をまとめる、という処理を次々に実行していく。その際に、特に、リスク項目選好処理、マップ作成処理(損害強度、損害頻度の算定、決定)、対策立案(損害保険の商品や、会計手法の適用)において、判決例サーバ、法令サーバ、業界情報サーバ、統計情報サーバなどを参照して、情報を収集し、それに基づく処理を実行する。
運営者端末は、リスク評価分析サーバの処理を管理、監督するために用いられる。図13においては、運営者端末の関わりを描くと、煩雑になりすぎるため、省略している。
≪変形実施例について≫
判決例、法令、業界情報、統計情報などは、日々更新されて新たな情報が追記されていくものなので、顧客からの依頼があるなしに関わらず、定期的に情報を更新して、コンピュータ管理されるデータベースとして扱うのが好ましい。
本考案の装置は、中小企業の経理を担当する部署において、又は中小企業にリスクマネジメント、リスク管理会計を提案するコンサルタント業などにおいて利用することができる。
50 セキュリティ管理部
51 ログイン認証部
52 依頼受付部
53 リスク項目選好部
54 損害頻度算定部
55 損害強度算定部
56 事業危険値算定部
57 保有限度額算定部
58 リスク統計マップ作成部
59 領域分類部
60 優先順位決定部
61 報告書類作成部
62 対策提案部
70 企業情報DB部
71 財務諸表DB部
72 リスク項目DB部
73 統計資料DB部
74 判決例DB部
75 法令DB部
76 事故情報DB部
77 保険情報DB部
78 アンケートDB部
79 ヒアリングDB部
80 業界情報DB部
110 リスク評価分析サーバ
120 運営者端末
130 顧客端末
210 判決例サーバ
220 法令サーバ
230 業界サーバ
240 統計情報サーバ

領域1 事業危険値以上の損害強度かつ10年以内の発生可能性をもつリスク項目の領域
領域2 事業危険値以上の損害強度かつ11年以上の発生可能性をもつリスク項目の領域
領域3 事業危険値未満であり保有限度額以上の損害強度を持ち10年以内の発生可能性をもつリスク項目の領域
領域4 事業危険値未満であり保有限度額以上の損害強度を持ちかつ11年以上の発生可能性をもつリスク項目の領域
領域5 保有限度額未満のリスク項目の領域

Claims (7)

  1. 顧客企業からの依頼に基づいて、リスク評価分析を行うリスク評価分析サーバと顧客端末とをインターネットにより接続してなるリスク評価分析装置であって、
    前記リスク評価分析サーバは、
    前記顧客企業から提供された情報に基づいて、リスク項目を選好するリスク項目選好部と、
    前記リスク項目選好部が選好した前記リスク項目のそれぞれについて、損害頻度を算定する損害頻度算定部と、
    前記リスク項目選好部が選好した前記リスク項目のそれぞれについて、損害強度を算定する損害強度算定部と、
    前記損害頻度算定部が算定した損害頻度と、前記損害強度算定部が算定した損害強度とに基づいて、前記リスク項目の一つ一つを二次元のグラフにプロットしてリスク統計マップを作成するリスク統計マップ作成部と、
    前記顧客企業から提供された財務諸表に基づいて、事業危険値を算出する事業危険値算出部と、
    前記顧客企業から提供された財務諸表に基づいて、保有限度額を算出する保有限度額算出部と、
    前記事業危険値算出部が算出した当該事業危険値及び前記保有限度額算出部が算出した当該保有限度額との大小比較、そして損害頻度の大小比較に基づいて、前記リスク統計マップ作成部が作成したリスク統計マップを複数の領域に分類する領域分類部と、
    前記リスク項目の一つ一つが、前記領域分類部が分類した領域のいずれに属するかに基づいて、前記リスク項目の一つ一つへ対策を施す優先順位を決定する優先順位決定部と
    を有することを特徴とするリスク評価分析装置。
  2. 顧客の現在のリスクに対する対策状況とリスクの現況とを照らし合わせ保険商品あるいは会計商品又はそれらの組合せを提案する対策考案部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載したリスク評価分析装置。
  3. 前記リスク評価分析サーバは、
    企業が損害を受けたことに関する裁判所の判決例を記憶した判決例データベース部と、
    企業が果たすべき責任について定めた法律、政令、省令を記憶した法令データベース部と
    をさらに有し、
    前記損害強度算定部は、前記判決例データベースに記憶された過去判決例、前記法令データベース部に記憶された法的根拠、及び前記顧客企業の財務諸表から前記損害強度を算出することを特徴とする請求項1に記載のリスク評価分析装置。
  4. 前記リスク評価分析サーバは、
    業界情報データベース部をさらに有し、
    前記損害強度算定部は、前記業界情報データベース部に記憶された同一の業界であって、同規模の企業を検索し、その検索結果の企業の過去事例に基づいて前記判決例データベースに記憶された過去判決例、前記法令データベース部に記憶された法的根拠、及び前記顧客企業の財務諸表から前記損害強度を算出することを特徴とする請求項3に記載のリスク評価分析装置。
  5. 前記リスク評価分析サーバは、
    前記顧客企業の従業員にアンケート調査をしたアンケート結果の情報を記憶するアンケートデータベース部をさらに有し、
    前記損害強度算定部は、前記アンケートデータベース部に記憶された情報に基づいて損害強度を金額として算出することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のリスク評価分析装置。
  6. 前記リスク評価分析サーバは、
    業種情報、地域情報、従業員数情報を示す情報を記憶する企業情報データベース部をさらに有し、
    前記損害強度算定部は、前記企業情報データベース部を参照して、評価分析対象である前記顧客企業の業界、業種、地域情報、従業員数の情報うちのいずれか又はそれらの組み合わせに基づいて、過去事例を参照し損害強度を算出することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のリスク評価分析装置。
  7. 前記企業情報データベース部は、立地条件、業種、業界、従業員数の統計情報をさらに有し、
    前記損害頻度算定部は、各リスクに対する発生状況を対象企業の立地条件、業種、業界、従業員数あるいは、前記アンケートデータベース部に記憶された顧客企業における従業員からのアンケートを利用した統計情報から抽出して損害頻度を算出することを特徴とする請求項6に記載のリスク評価分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113780813A (zh) * 2021-09-10 2021-12-10 广东电网有限责任公司 一种生产环境危险性评估方法、装置及存储介质

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