JP3213671U - 標準貫入試験用非接触貫入移動距離測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハンマの落下にともなう衝撃に影響されない、利便性と信頼性の高い貫入移動距離測定装置を提供する。【解決手段】標準貫入試験装置の本体装置とは別に構成され、レーザ変位計等の非接触変位センサ14を収納するケース8に、延長ロッド12と腕部材13を介して非接触変位センサ14を固定し、ハンマ4の打撃を受けて貫入移動する部品3の移動距離を測定する。非接触変位センサ14は、ハンマ4の打撃による貫入移動距離を測定するものであり、測定する反射面5に対して、鉛直上方からの測定、鉛直下方からの測定が可能で、脱着移動自在に設置できる。【選択図】図1
Description
本考案は、JIS A1219号に規定された地盤の標準貫入試験を行うために使用する貫入移動距離測定装置に関するものである。
地盤の硬軟を評価するJIS A1219号に規定された地盤の標準貫入試験は、重さ63.5kgのハンマを76cm自由落下させ、前記JISに規定されたサンプラを地盤中に30cm貫入させる回数を測定するものである。この試験におけるハンマの76cmの自由落下の方法は、ハンマを上方に移動させて76cm上方に設けられたトリガとなる部品と、ハンマを把持する部品を接触させ、ハンマの把持が解放されて行われる。
また、当該標準貫入試験にあって、30cmの貫入距離と打撃回数の管理は、作業者が巻き尺で測り、野帳に手書きで記録する方法が一般的で、信頼性が高いとはいえない。信頼性を高める測定方法として、貫入移動する部品にワイヤを固定し、ワイヤの巻き出し量をロータリエンコーダで測定する方法があるが、ハンマの落下にともなう衝撃によるワイヤの断絶、センサの破損する欠点がある。
ロータリエンコーダに拠らず、レーザ変位センサなどの非接触変位センサを、標準貫入試験装置の本体など、ハンマの落下にともなう衝撃が影響する部分に固定する技術によって当該貫入量を測定する場合、センサの精度を損なう、またはセンサが短期間破損などの短所がある。
一方、試験の結果の情報管理については、作業者が野帳に記録する方法の場合、誤記等の人為的なミスを排除することはできず、また、試験の結果は容易に改ざん可能である。さらに、試験終了後に、試験結果を伝達するため、即時状況評価するには、評価技術者が現地に立ち会う必要がある。こうした、情報管理について、時間、コスト、信頼性の面で短所がある。
この考案の先行技術文献として、特許文献1を挙げることができる。同文献にはノッキングブロックの近傍位置にスケールを取付け、スケールを撮像手段により撮像し、撮像手段が撮像した画像情報とドライブハンマーの打撃数に基いて、標準貫入試験を行う技術が開示されている。
本考案は、ハンマの落下にともなう衝撃に影響されない、標準貫入試験装置の測定技術のデジタル化と、その測定値のデジタル信号を、測定と同時に通信することによって得られる、利便性と信頼性の高い貫入移動距離測定装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本考案は次の構成を採用した。すなわち、レーザ変位センサなどの非接触変位センサを使用し、標準貫入試験におけるハンマの自由落下後の貫入距離を測定する技術において、ハンマの落下にともなう衝撃に影響されないよう、標準貫入試験装置の本体とは別構成の装置にセンサを固定して、前記距離を測定し、測定値であるデジタル信号は、無線をもってオペレータの端末装置に記録して作表作図するとともに、関係するクラウドメモリに通信し、遠隔地にあっても、オンタイムで標準貫入試験の状況情報が共有化されて、改ざんや誤記が防止される。
また、前記オペレータの使用する端末装置は、標準貫入試験の測定開始、測定終了などの操作をもおこなうリモコン装置を兼ねている。
請求項1の標準貫入試験用非接触変位センサを固定する装置は、具体的には、屋外での現場作業を想定したジュラルミンケースなどの、軽量で強固な持ち運び容易な収納ケースに、安定を調整する4方向に伸縮自在な脚部を底面に備え、ケース側面には、上方に向けて継ぎ足して高さを調整するロッドの取り付け部があって複数のロッドが接続でき、ロッドの任意の高さにセンサを固定するセンサの腕部材と、センサの電源と電算機と通信機からなる制御装置が収納ケースに収納されて、構成されている。
標準貫入試験、すなわち63.5kgのハンマを76cmの上方から自由落下させてアンビルに衝突させて、アンビルに接続したボーリングロッド、ボーリングロッドに接続したSPTサンプラを地盤に貫入させ、貫入抵抗によって地盤強度を評価する試験であり、前記の貫入抵抗とは、30cmの地盤への貫入に要した自由落下の回数をN値と定義して評価する地盤強度を評価する試験である。軟弱な堆積物で成る地盤では、標準貫入試験装置の重さで30cm貫入してしまうときは、自沈といってN値=0であり、関東平野を広く覆う関東ローム層ではN値=10程度、礫層や岩盤であればN値=50を超えることもある。
ここで、30cmの貫入距離と自由落下の回数の管理が重要であるが、レーザ変位センサを用いて、30cmを精度よくでき、ハンマの自由落下が断続的に繰り返されることから、レーザ変位センサの測定する貫入距離も断続的に変位するため、移動距離の断続の回数、すなわちハンマの自由落下の回数がN値であり、レーザ変位センサの測定値がデジタル信号であることから、電算機に自動記録される制御により、人為的な誤記等は生じない。
オペレータが持つ携帯端末が、測定装置のリモコンであり、測定したデータは、電算機から通信され、携帯端末に作図作表され、オペレータは試験の状況を理解することができるとともに、同時にクラウドメモリに通信され、遠隔地から可視化されて標準貫入試験を管理することができ、ときに、複数に同時に実施されている標準貫入試験を、ハブとなる管理者が管理することもできる。
以上の説明から明らかなように、本考案よって、簡易な装置の設置によって、高精度な標準貫入試験が効率よく実施され、すなわち、適切な地盤強度を評価できることになる。また、標準貫入試験を実施に立ち会わない、遠隔地にいる管理技術者がオンタイムで試験の状況を把握でき、情報伝達の不具合も解消され、試験の信頼性が向上する。
以下、図面に表した本考案の一実施形態について説明する。
本実施形態における標準貫入試験装置は、地面に貫入する先端をなすSPTサンプラ1、深度増加にともなってSPTサンプラ1に接続するボーリングロッド2、地上部にあってボーリングロッド2に接続しハンマの衝撃力を受けるアンビル3、アンビル3に自由落下して衝撃力を生じさせるハンマ4、アンビル3の下面に備える反射面5、ハンマ4を所定の高さに持ち上げる油圧シリンダ6からなる。
ここで、アンビル3の上方に油圧シリンダ6は接続されていて、アンビル3の鉛直下方への移動に等しく追従し、油圧シリンダ6には、図示しないが、ハンマ4を把持するグリッパが備えられている。
また、標準貫入試験試験装置を支持し、ボーリングロッド2とSPTサンプラ1を昇降させる昇降マスト7があって、この標準貫入試験装置と昇降マスト7によって標準貫入試験装置の本体装置が構成される。
本実施形態における非接触貫入移動距離測定装置の収納した状態の正面図を図2に、非接触貫入移動距離測定装置の収納した状態の平面図を図3に示す。
本実施形態における非接触貫入移動距離測定装置は、当該装置の収納ケース8、収納ケース8の下部にあって、設置場所の状況によって任意に収縮する収縮脚9、収縮脚9の先端にあって水平を調整するスクリュジャッキ10、収納ケース8に固定ロッド11を備え、延長ロッド12を任意の本数接続でき、レーザ変位計14を、延長ロッド12に固定するセンサアーム13がある。
センサアーム13は、延長ロッド12を挟み締め付ける形状であり、延長ロッド12の任意の位置に固定でき、レーザ変位計14はレーザ波を下向きに照射してアンビルに備えた反射面との距離を測定する。
収縮脚9には長穴9aがあって、その長穴の長さ分水平方向へのスライドが可能で、非接触貫入移動距離測定装置を安定して設置でき、先端に備えたクリュジャッキ10の垂直方向への出し入れによって、非接触貫入移動距離測定装置の水平を調整する。
収納ケース8には、制御機器16とレーザ変位計14を接続するケーブルコネクタ15があって、接続と分離が自在であり、バッテリ17が収納されているため、発電機等の準備が不要である。移動時等にあっては、延長ロッド12、センサアーム13を収納し、持ち運び容易である。
測定時にオペレータ19は、携帯端末18を操作して標準貫入試験を実施する。携帯端末18は、図示しない油圧源の電磁弁を遠隔操作できるリモコン機能を有している。
すなわち、油圧シリンダ6に備えた図示していないグリッパに油圧力を与える操作によってハンマを把持し、油圧シリンダ6を伸ばす操作によってハンマ4を76cm上方に移動させ、グリッパの油圧を開放する操作によってハンマ4は自由落下する、しかるのちに油圧シリンダ6を収縮させる操作によってハンマ4を把持する位置に戻る。この一連の工程を電磁弁の開閉によりおこない、30cmに達する貫入を測定し、その一連の工程の回数をカウントする機能である。
30cmの貫入距離の測定は、レーザ変位計14によって、レーザ変位計14と自由落下前の反射面5との距離を測定し、同様に自由落下後の反射面5との距離を測定し、その距離の差を貫入距離として記録し、その距離の差を積算しておこなう。その30cmに達するに自由落下の回数がN値として記録される。
それらの記録は、制御機器16を介して携帯端末18に表示され、オペレータは試験の状況を図表で認識できる。図5は貫入状況を示すグラフの一例であり、縦軸が30cmの貫入に対する前記距離の積算の状況、横軸が自由落下の回数、すなわちN値である。前記の自由落下に係る一連の工程をカウントするとともに、貫入距離を積算した状態を示している。
掘削装置の仕様、あるいは、現場状況の都合により、アンビル3が地上から高い位置となり、鉛直下方への測定が不安定な場合など、図4に示すように、センサアーム14の固定向きを逆にすることにより、鉛直方向上向きにも測定でき、安定した測定が可能である。
また、携帯端末18に受信したデータは、任意のクラウドメモリ20に受信と同時に送信され、遠隔地にいる管理技術者22はパソコン21等により、オンタイムで標準貫入試験の実施を管理することができる。
また、この非接触貫入移動距離測定装置を複数地点で利用することにより、管理技術者22は、遠隔地にあって複数の標準貫入試験を管理することができ、合理性が高い。この測定方法によれば、当然にして、一回の貫入距離が記録されるため、より詳細に地盤の状況を評価でき、人為的な情報管理上の不具合がなく、正確な地盤評価できる。
1:SPTサンプラ 2:ボーリングロッド 3:アンビル 4:ハンマ 5:反射面 6:油圧シリンダ 7:昇降マスト 8:収納ケース 9:収縮脚 9a:収納脚の長穴 10:スクリュジャッキ 11:固定ロッド 12:延長ロッド 13:センサアーム 14:レーザ変位計 15:ケーブルコネクタ 16:制御機器 17:バッテリ 18:携帯端末 19:オペレータ 20:クラウドメモリ 21:パソコン 22:管理技術者
Claims (3)
- 標準貫入試験装置の本体装置とは別に構成され、レーザ変位計等の非接触変位センサを収納するケースに、延長ロッドと腕部材を介して前記非接触変位センサを固定し、ハンマの打撃を受けて貫入移動する部品の移動距離を測定することを特徴とする標準貫入試験用非接触貫入移動距離測定装置。
- 前記非接触変位センサは、ハンマの打撃による貫入移動距離を測定するものであり、測定する反射面に対して、鉛直上方からの測定、鉛直下方からの測定が可能で、脱着移動自在に設置できることを特徴とする請求項1記載の標準貫入試験用非接触貫入移動距離測定装置。
- 前記非接触変位センサを固定する前記収納ケースは、安定を調整する伸縮自在な脚部を備えた持ち歩き可能な収納ケースであって、前記非接触変位センサ、センサ固定用部品、制御装置、電源等を収納でき、設置収納移動が容易なことを特徴とする請求項1又は2記載の標準貫入試験用非接触貫入移動距離測定装置。
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