JP3210776B2 - 非晶質磁性合金を用いた磁性材料、磁性材料の製造方法 - Google Patents

非晶質磁性合金を用いた磁性材料、磁性材料の製造方法

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JP3210776B2 JP14314093A JP14314093A JP3210776B2 JP 3210776 B2 JP3210776 B2 JP 3210776B2 JP 14314093 A JP14314093 A JP 14314093A JP 14314093 A JP14314093 A JP 14314093A JP 3210776 B2 JP3210776 B2 JP 3210776B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スイッチング電源やイ
ンバータ回路等のトランスやチョークコイルのコアとし
て用いるのに適した非晶質磁性合金を用いた磁性材料、
磁性材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電源装置の小型化、薄型化などを
目指してスイッチング素子を高周波で断続させることに
よって電力変換を行なうようにしたスイッチング電源や
インバータ回路が用いられている。この種の電源装置で
は、一層の小型化、薄型化を目的としてより高い周波化
でスイッチング素子を断続させることが望まれている。
このような要望を満たすためには、トランスやチョーク
コイルのコアとして高透磁率、低損失の材料が望まれ
る。
【0003】ところで、トランスやチョークコイルのコ
アとして用いられる高透磁率、低損失の材料としては非
晶質磁性合金が知られている。非晶質磁性合金は、上記
特性のほか高飽和磁束密度という特性も併せ持っている
から、高周波用コアとして用いるのに適している。この
ような特性をさらに有効に活用するために、非晶質磁性
合金の高周波特性の一層の改善が試みられており、とく
に有効な改善策としては非晶質磁性合金を薄帯板に形成
することが提案されている。このような薄帯板では、高
周波領域で急増する渦電流損失を抑制することができる
のである。
【0004】薄帯板の非晶質磁性合金としては数μm程
度までのものが知られており、このような薄帯板の非晶
質磁性合金をトランスやチョークコイルのコアに用いる
場合には、積層コアないし巻コアとして用いることにな
る。この場合に、層間の絶縁が行なわれていないと渦電
流が層間で流れることになり、薄肉化による渦電流の抑
制効果が低減してしまうという問題が生じる。
【0005】そこで、層間の絶縁を施すことが必要にな
る。層間を絶縁する技術としては、非晶質磁性合金の表
面に樹脂等の絶縁材料を塗布する技術や、層間に絶縁材
料のフィルムを介在させる技術や、非晶質磁性合金の表
面に電解法やプラズマ法によって酸化膜を形成する技術
が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絶縁材
料を塗布したり絶縁材料のフィルムを用いることによっ
て絶縁材料を層間に介在させる技術では、全体の体積当
たりの非晶質磁性合金の存在割合である占積率が小さく
なるという問題が生じる。また、非晶質磁性合金によっ
てコアを形成する際には、層間に絶縁材料を介装する独
立した工程が必要であって、生産効率が低くなり、コス
ト高につながるという問題が生じる。さらに、絶縁材料
がコアの磁気特性に影響を与える可能性もある。
【0007】これに対して、非晶質磁性合金の表面に酸
化膜を形成する技術を用いれば、絶縁材料を用いる場合
に比較すると占積率を大きくとることができるのである
が、電解法やプラズマ法により酸化膜を形成する場合に
は、酸化膜を形成する工程はコアの製造工程の中で独立
した工程となるから、生産効率が低いという問題は改善
されないものである。さらに、電解法やプラズマ法では
設備投資が大きくなるから、高コストになり工業的には
採用できないという問題がある。
【0008】本発明は上記問題点の解決を目的とするも
のであり、非晶質磁性材料の表面に絶縁用の酸化膜を形
成することによって占積率を大きくとることができ、し
かも低コストで生産性よく酸化膜を形成することができ
る非晶質磁性合金を用いた磁性材料を提供し、かつその
磁性材料を製造する方法を提供しようとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するために、非晶質磁性合金の熱処理過程に
おける雰囲気に酸素を導入することによって形成した酸
化膜を表面に備え、非晶質磁性合金が、Co a Fe b
c Si d e の組成〔ただし、a=1−(b+c+d
+e)、0≦b≦0.64、0.01≦c≦0.08、
0.06≦d≦0.18、0.2≦d+e≦0.26〕
であることを特徴とする。請求項2の発明は、薄帯板の
非晶質磁性合金を厚み方向に重合した形状に形成され、
熱処理過程における雰囲気に酸素を導入することによっ
て形成した酸化膜を各層間に備え、非晶質磁性合金が、
Co a Fe b Cr c Si d e の組成〔ただし、a=1
−(b+c+d+e)、0≦b≦0.64、0.01≦
c≦0.08、0.06≦d≦0.18、0.2≦d+
e≦0.26〕であることを特徴とする。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】請求項の発明は、20%以下の酸素を含
む雰囲気中において、非晶質磁性合金をキュリー温度以
上、結晶温度以下の温度で加熱した後に冷却する熱処理
を行い、次に、酸素濃度を所定量だけ増加させた雰囲気
中で上記熱処理を行い、以後、所望の酸素濃度の雰囲気
中で上記熱処理を行なうまで雰囲気の酸素濃度を20%
以下の所定量ずつ増加させては上記熱処理を繰り返すこ
とにより非晶質磁性合金の表面に酸化膜を形成して成る
ことを特徴とする。
【0014】請求項の発明は、20%以下の酸素を含
む雰囲気中において、非晶質磁性合金に磁界を作用させ
ると同時にキュリー温度以上、結晶温度以下の温度で加
熱した後に冷却する熱処理を行い、次に、酸素濃度を所
定量だけ増加させた雰囲気中で上記熱処理を行い、以
後、所望の酸素濃度の雰囲気中で上記熱処理を行なうま
で雰囲気の酸素濃度を20%以下の所定量ずつ増加させ
ては上記熱処理を繰り返すことにより非晶質磁性合金の
表面に酸化膜を形成して成ることを特徴とする。
【0015】請求項の発明は、請求項において、酸
素濃度が100%になるまで熱処理を繰り返すことを特
徴とする
【0016】
【0017】
【0018】
【作用】請求項1、請求項2の発明は、非晶質磁性合金
による製品の製造過程のうち、内部歪の除去等の目的で
行なう熱処理や、誘導磁気異方性の制御の目的で行なう
磁界中での熱処理などの工程を、酸素を含む雰囲気中で
行なうことによって製造過程において必須である熱処理
の過程と同時に形成した酸化膜を備えるのであって、層
間の絶縁を酸化膜によって行なうことができ、占積率を
大きくとることができて高透磁率になる。
【0019】とくに、非晶質磁性合金として請求項1、
請求項2に記載の組成のものを採用していることによっ
て、透磁率の制御が容易になる
【0020】請求項、請求項の発明によれば、雰囲
気中の酸素濃度を増加させては熱処理を行なうようにし
ているので、酸化膜の膜厚の制御が容易になり、しかも
層間に確実に酸化膜を形成することができるのである
【0021】
【0022】
【実施例】
(実施例1)本実施例では、非晶質磁性合金として、磁
気歪がゼロでありかつ高磁気特性の材料として知られて
いるCo70Fe5 Si1510という組成の材料の一部を
Crで置換して得た、(Co0.933 Fe0.067 75-x
x Si1510という組成の材料を用いる。ただし、0
<x≦8〔原子%〕である。ここに、Crの含有量をx
≦8に設定しているのは、x>8になると非晶質とする
のが困難になり、またキュリー温度が低くなりすぎて工
業的価値がなくなるからである。
【0023】上述の材料によって薄帯板を形成し、さら
に薄帯板を巻回してトロイダル状の巻コアを形成する。
この巻コアについて以下の方法で表面処理を行なう。本
実施例は表面処理の方法および原理を示す趣旨であるか
ら、表面処理を行なう装置としては簡易なものを示す。
図1に示すように、巻コア1の雰囲気を制御し、かつ巻
コア1を加熱することができるように、巻コア1を容器
となる石英管11に封入する。石英管11には真空ポン
プ12に連結された排気管13と雰囲気となる気体を導
入する導入管14とが濃度調節装置である4ポート弁1
5を介して接続されており、石英管11の中の雰囲気の
排気および雰囲気の導入を4ポート弁15によって制御
できるようにしてある。また、石英管11は加熱手段と
しての電気炉16の中に配置され、石英管11の中の巻
コア1を加熱できるようにしてある。巻コア1には巻コ
ア1の加熱温度を検出できるように熱電対17の温度検
出部を接触させてある。4ポート弁15による石英管1
1の中の酸素濃度の調節や、電気路16の温度の調節な
どは別途に設けた制御装置(図示せず)によって行なわ
れる。また、制御装置では、熱電対17により検出した
温度に基づいて巻コア1が所望の温度に保たれるように
電気炉16の加熱量を制御する。
【0024】非晶質磁性合金に酸化膜を形成するにあた
っては、まず、石英管11の内部の空気を真空ポンプ1
2によって排気し、石英管11の内部をほぼ真空にす
る。その後、石英管11の中に酸素を20%以下(数%
が望ましい)含む雰囲気(たとえば、窒素中に酸素を混
合した気体)を導入した状態で、電気炉16によって巻
コア1を10℃/分の昇温速度で400℃まで加熱し、
20分間、400℃に保った後に、石英管11を水中で
急冷する。
【0025】上述した熱処理は、雰囲気の酸素濃度の条
件を除けば、一般に巻コア1の内部歪の除去等の目的で
行なわれる熱処理である。すなわち、本実施例では、巻
コア1の製造過程で必須となる熱処理の工程において、
雰囲気を上記条件に設定することによって、巻コア1の
表面に望ましい厚みの酸化膜を形成する点に特徴を有し
ている。ここに、雰囲気の酸素濃度を20%以下に設定
しているのは、酸素濃度が20%以上である雰囲気(大
気、大気に酸素を混合した気体、酸素など)を用いる
と、熱処理の際に巻コア1を形成する非晶質磁性合金の
薄帯板の表面だけではなく薄帯板の内部までも酸化され
て磁気特性が劣化してしまうからである。また、昇温速
度、保持温度、保持時間などの条件に関しては、必ずし
も上記条件とする必要はなく、巻コア1を形成する非晶
質磁性合金が結晶化しない範囲で条件を設定すればよ
い。すなわち、保持温度としては結晶化温度以下に設定
することが必要になる。ただし、保持温度が巻コア1の
材料のキュリー温度よりも低いと内部歪を除去する効果
が得られないので、保持温度はキュリー温度以上に設定
することが必要である。
【0026】上述のような熱処理によって、非晶質磁性
合金の薄帯板の表面に数百〜1000Åの酸化膜が形成
され、巻コア1の層間に酸化膜が形成されることになっ
て、層間を絶縁することができる。上述したように、非
晶質磁性合金の材料中にCrを含有させ、かつ熱処理の
過程で雰囲気の酸素濃度を上述した範囲で設定すれば、
巻コア1の製造過程として必須となっている内部歪の除
去等の目的で行なわれる熱処理の過程で、同時に酸化膜
を形成することができるのであって、別工程を要するこ
となく層間の絶縁を行なうことができるのである。その
結果、層間の絶縁性が保たれることによって抵抗値が大
きくなって渦電流を減少させることができ、透磁率が高
くかつ損失の少ない巻コア1を提供できることになる。
しかも、合成樹脂による絶縁層によって層間の絶縁を行
なう場合に比較すれば占積率を大きくすることができ、
しかも酸化膜を形成するにあたって電解法やプラズマ法
を用いる場合に比較すれば、元々行なっている熱処理の
過程での酸素濃度を制御するための簡単な装置の付加だ
けで目的を達成することができるのであり、酸化膜を形
成する表面処理を大きな設備投資を行なうことなく、容
易に実現することができるのである。
【0027】実際に工業的に生産する場合には、上述し
たような石英管11や電気炉16の実験室的な装置では
なく、巻コア1の生産に従来より用いられている装置を
転用すればよく、巻コア1を熱処理する際の雰囲気の酸
素濃度を制御できるように配管系を構成しておけばよ
い。 (実施例2)本実施例では、図2に示すように、石英管
11の外部から巻コア1に対して磁界を作用させるため
の巻線18を巻コア1に巻回してある。すなわち、巻コ
ア1はトロイダル状であって中央の孔を通すようにして
周部に巻線18が巻回されており、この巻線18に通電
すれば巻コア1の内部に周方向(すなわち、非晶質磁性
合金の薄帯の長手方向)に磁束が通過することになる。
【0028】そこで、巻線18には直流電源Eを接続し
て定磁束を巻コア1に作用させた状態で電気炉16での
熱処理を行なう。熱処理における雰囲気の酸素濃度、昇
温速度、保持時間、保持温度の条件は実施例1と同様で
あって、酸素濃度20%以下の雰囲気で10℃/分の昇
温速度で400℃まで加熱し、20分間、400℃に保
つ。また、加熱後には急冷ではなく降温速度を5℃/分
以下に設定して徐冷する。
【0029】上述のような磁界を作用させながら行なう
熱処理は、雰囲気の酸素濃度を除くと誘導磁気異方性の
制御の目的で行なう磁界中での熱処理と同様であって、
巻コア1を製造する上での磁界を作用させながらの熱処
理という必須の工程において雰囲気の酸素濃度を調節す
るだけで、巻コア1の表面に酸化膜を形成することがで
きるのである。他の方法については実施例1と同様であ
る。
【0030】(実施例3)実施例2では巻コア1に対し
て周方向に磁界を作用させるために、巻コア1に巻回し
た巻線18に通電するようにしていた、本実施例は、図
3に示すように、熱処理の際に石英管11の外部に設け
た電磁石19によって、巻コア1に対して中心線方向
(すなわち、非晶質磁性合金の薄帯の幅方向)に磁界を
作用させるようにしてある。他の方法については、実施
例2と同様である。
【0031】(実施例4)実施例1ないし実施例3の熱
処理のみでも巻コア1の表面に酸化膜を形成することは
可能であるが、酸化膜の膜厚の厚みを増す必要があると
きには、上記熱処理と同様の熱処理を複数回繰り返すの
が望ましい。たとえば、熱処理として実施例1の処理を
採用するとすれば、上述した条件での熱処理の後に、石
英管11の中の酸素濃度が10%になるように酸素ガス
を導入管14を通して導入し、上述した温度条件で熱処
理を再度行なう。さらに、石英管11の中の酸素濃度を
10%だけ増加させて酸素濃度を20%とし、同じ温度
条件で熱処理を行なう。以後、同様にして石英管11の
中の酸素濃度を10%ずつ増しながら、同じ温度条件で
の熱処理を行い、最終的に酸素濃度を100%にして熱
処理を行なう。このような熱処理を行なえば、巻コア1
の表面に数百〜2000Å程度の酸化膜を形成すること
ができる。ここにおいて、熱処理を繰り返す際には、1
回の熱処理について酸素濃度を20%以上増加させると
望ましい酸化膜を形成することができないから、20%
以下に設定することが必要である。また、最終的に酸素
濃度を100%に設定するのは必須ではなく、所望の特
性が得られるように最終的な酸素濃度を設定すればよ
い。
【0032】上述のように形成した巻コア1について1
0MHzでの透磁率を測定したところ、図4に示すよう
な結果が得られた。図4においてaは熱処理を1回だけ
行なった場合であって酸素濃度が数%である場合、bは
複数回の熱処理を行い最後の酸素濃度を50%とした場
合、cは複数回の熱処理を行い最終的に酸素濃度が10
0%であった場合について示してある。また、図4の縦
軸は層間にシリコン樹脂などの合成樹脂による絶縁層を
形成した従来の巻コアの透磁率μpから酸化膜を層間に
形成した巻コア1の透磁率μcを減算した値(μp−μ
c)と、従来の巻コアの透磁率μpとの比(μp−μ
c)/μpであって、この値が負になれば酸化膜を有す
る巻コア1のほうが透磁率が大きいことになる。また、
図4の横軸は材料中のCrの含有量を原子濃度(単位は
原子%)で示してある。ここで、巻コアを形成するのに
用いた非晶質磁性合金の薄帯の厚みは5μmであって、
従来の巻コアとは、酸化膜を形成した巻コア1と同材料
の薄帯板の表面に合成樹脂を塗布した後に巻回し、窒素
雰囲気において上記温度条件での熱処理を行なったもの
を意味している。この場合、材料の磁気歪は非常に小さ
いから合成樹脂の絶縁層による応力は磁気特性にほとん
ど影響を与えないと考える。
【0033】図4により明らかなように、Crを含んで
いない場合でも雰囲気の最終的な酸素濃度が高くなるほ
ど透磁率が高くなり、またCrの含有量が多いほど透磁
率が高くなることがわかる。とくに、Crの含有率があ
る程度以上(たとえば、雰囲気の酸素濃度が100%で
はCrの含有量が2.5%以上)になると、合成樹脂の
絶縁層を設けた従来の巻コアよりも透磁率が高くなる。
【0034】4MHzでの透磁率は、図5に示すように
なる。図5における縦軸および横軸の意味、a〜cの符
号を付した各曲線の酸素濃度については図4と同じであ
る。図5を見れば明らかなように、傾向としては図4に
示した10MHzの場合と同様であって、雰囲気の最終
的な酸素濃度が高くなるほど、またCrの含有量が多く
なるほど透磁率が高くなる。
【0035】このように、図4、図5によれば、熱処理
を施す際に形成された酸化膜を有する巻コア1は、合成
樹脂による絶縁層を形成した従来の巻コアと同程度に層
間の絶縁を保つ機能があるから、巻コア1の状態で形成
した酸化膜であるにもかかわらず酸化膜が層間の絶縁に
寄与することがわかる。しかも、材料中のCrの含有量
によっては合成樹脂の絶縁層を形成する場合よりも層間
絶縁の効果が高くなるのである。
【0036】上記各実施例では、製品形状が巻コア1で
ある場合について示しているが、積層コアなどでもよ
い。
【0037】
【発明の効果】請求項1、請求項2の発明は、非晶質磁
性合金による製品の製造過程のうち、内部歪の除去等の
目的で行なう熱処理や、誘導磁気異方性の制御の目的で
行なう磁界中での熱処理などの工程を、酸素を含む雰囲
気中で行なうことによって製造過程において必須である
熱処理の過程と同時に形成した酸化膜を備えるので、層
間の絶縁を酸化膜によって行なうことができ、占積率を
大きくとることができて高透磁率になるという利点があ
る。
【0038】とくに、非晶質磁性合金として請求項1、
請求項2に記載の組成のものを採用しているので、透磁
率の制御が容易になるという利点がある
【0039】請求項、請求項の発明は、雰囲気中の
酸素濃度を増加させては熱処理を行なうようにしている
ので、酸化膜の膜厚の制御が容易になり、しかも層間に
確実に酸化膜を形成することができるという利点があ
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の製造装置を示す概略構成図である。
【図2】実施例2の製造装置を示す概略構成図である。
【図3】実施例3の製造装置を示す概略構成図である。
【図4】実施例の特性を示す図である。
【図5】実施例の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 コア 11 石英管 12 真空ポンプ 13 排気管 14 導入管 15 4ポート弁 16 電気炉 17 熱電対 18 巻線 19 電磁石 E 直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 1/18 H01F 1/14 C 27/25 27/24 B (56)参考文献 特開 昭61−250162(JP,A) 特開 昭59−43882(JP,A) 特開 平2−236259(JP,A) 特開 昭53−108026(JP,A) 電気学会研究会資料(マグネティック ス研究会 MAG−92−270)1992年12 月18日 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/12 C21D 6/00 C22C 33/02 C22C 45/02 H01F 1/153 H01F 1/18 H01F 27/25

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質磁性合金の熱処理過程における雰
    囲気に酸素を導入することによって形成した酸化膜を表
    面に備え、非晶質磁性合金は、Co a Fe b Cr c Si
    d e の組成〔ただし、a=1−(b+c+d+e)、
    0≦b≦0.64、0.01≦c≦0.08、0.06
    ≦d≦0.18、0.2≦d+e≦0.26〕である
    とを特徴とする非晶質磁性合金を用いた磁性材料。
  2. 【請求項2】 薄帯板の非晶質磁性合金を厚み方向に重
    合した形状に形成され、熱処理過程における雰囲気に酸
    素を導入することによって形成した酸化膜を各層間に備
    、非晶質磁性合金は、Co a Fe b Cr c Si d e
    の組成〔ただし、a=1−(b+c+d+e)、0≦b
    ≦0.64、0.01≦c≦0.08、0.06≦d≦
    0.18、0.2≦d+e≦0.26〕であることを特
    徴とする非晶質磁性合金を用いた磁性材料。
  3. 【請求項3】 20%以下の酸素を含む雰囲気中におい
    て、非晶質磁性合金をキュリー温度以上、結晶温度以下
    の温度で加熱した後に冷却する熱処理を行い、次に、酸
    素濃度を所定量だけ増加させた雰囲気中で上記熱処理を
    行い、以後、所望の酸素濃度の雰囲気中で上記熱処理を
    行なうまで雰囲気の酸素濃度を20%以下の所定量ずつ
    増加させては上記熱処理を繰り返すことにより非晶質磁
    性合金の表面に酸化膜を形成して成ることを特徴とする
    磁性材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 20%以下の酸素を含む雰囲気中におい
    て、非晶質磁性合金に磁界を作用させると同時にキュリ
    ー温度以上、結晶温度以下の温度で加熱した後に冷却す
    る熱処理を行い、次に、酸素濃度を所定量だけ増加させ
    た雰囲気中で上記熱処理を行い、以後、所望の酸素濃度
    の雰囲気中で上記熱処理を行なうまで雰囲気の酸素濃度
    を20%以下の所定量ずつ増加させては上記熱処理を繰
    り返すことにより非晶質磁性合金の表面に酸化膜を形成
    して成ることを特徴とする磁性材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸素濃度が100%になるまで熱処理を
    繰り返すことを特徴とする請求項4記載の磁性材料の製
    造方法。
JP14314093A 1993-06-15 1993-06-15 非晶質磁性合金を用いた磁性材料、磁性材料の製造方法 Expired - Fee Related JP3210776B2 (ja)

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