以下、本考案の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、電子シンバル100の全体構成について説明する。図1は、本考案の第1実施の形態における電子シンバル100を上面側から視た分解斜視図である。図2は、電子シンバル100を下面側から視た分解斜視図である。なお、図1及び図2では、理解を容易にするために、電子シンバル100の一部が省略して図示される。
図1及び図2に示すように、電子シンバル100は、アコースティックシンバルを模擬した電子打楽器であり、打面を有する円環状の本体部材1と、その本体部材1の打面とは反対側の下面に配設されるカバー部材2と、そのカバー部材2に固定される基板3と、その基板3に一端が接続されるケーブル4と、そのケーブル4に配設されるフェライトコア5と、そのフェライトコア5を本体部材1の下面との間で挟持するための挟持部材6(図2参照)とを備える。
なお、以下の説明において、本体部材1及びカバー部材2の軸に沿った方向(図1及び図2の上下方向)を上下方向と定義し、その軸周りに沿った方向を周方向と定義する。また、その軸を含む平面に沿った方向、且つ、その軸と直角な方向を径方向と定義し、その径方向外側を外周側、径方向内側を内周側とそれぞれ定義する。
本体部材1は、所定の弾性を有する樹脂材料によって円環状に形成されるフレーム10と、そのフレーム10の中心部10aの上面に配設されると共に、打面として形成されるベル部11(図1参照)と、そのベル部11に保持されるセンサ保持部12と、ベル部11よりも外周側のフレーム10の上面に配設されると共に、打面として形成されるボウ部13とを備え、演奏者により打撃される部材である。
カバー部材2は、基板3を本体部材1に対して弾性支持するための部材であり、樹脂材料によって円環状に形成される。このカバー部材2の上面には、制御基板である基板3がねじによって固定され、この基板3には、基板3と音源装置(図示せず)とを接続するためのケーブル4が直付けされる。
ここで、直付けとは、ケーブル4を基板3から取り外すには電子シンバル100の分解(例えば、カバー部材2を本体部材1から取り外すこと)が必要であり、実質的に着脱不能に取り付けることと定義する。
このケーブル4は、一端が基板3に直付けされるケーブル部40と、そのケーブル部40の他端側に配設されると共に、音源装置に接続される端子41とを備え、カバー部材2と本体部材1との対向間から外部(カバー部材2の外周壁22よりも外周側)へ延出される。
ケーブル部40は、その内部に配線(図示せず)が設けられると共に、その配線が弾性材料によって被覆され、断面円形状に形成される。このケーブル部40は、円筒状のフェライトコア5に挿通される。このフェライトコア5は、ケーブル4でのノイズを除去するためのノイズフィルタである。
カバー部材2は、フレーム10に固定される固定部20と、その固定部20の下端から外周側へ張り出して形成される支持部21と、その支持部21の外縁から上方(フレーム10へ近接する方向。図1の上側)へ突出して形成される平板状の外周壁22と、その外周壁22よりも内周側で支持部21から上方へ突出して形成される平板状の第1リブ部23と、その第1リブ部23及び外周壁22の対向間に形成される複数(本実施の形態では、12個)の第2リブ部24とを備える。
固定部20は、カバー部材2の支持部21から上方へ突出して形成され、その突出先端側には、周方向に沿って複数の貫通孔20aが形成される。
支持部21は、基板3を支持するための部位であり、複数のめねじ孔が形成され、そのめねじ孔にねじによって基板3が固定される。基板3は、外周壁22よりも内周側に配設され、この基板3の周方向における両端部を起点にして、第1リブ部23が周方向に沿って延設される。即ち、第1リブ部23は、基板3が配設される領域においては非形成とされる。
第1リブ部23は、カバー部材2の内部へ異物が混入することを規制するためのリブであり、第2リブ部24は、ケーブル4(ケーブル部40)を保持するためのリブである。第2リブ部24は、径方向に沿って外周壁22から第1リブ部23側へ向けて突出するように平板状に形成される。
このカバー部材2は、基板3が固定された状態でゴムブッシュ7を介して本体部材1に弾性支持される(図2参照)。それら本体部材1とカバー部材2との対向間から外周壁22よりも外周側に延出されるケーブル4のケーブル部40は、フェライトコア5に挿通され、それらケーブル部40及びフェライトコア5は、一体に成形される。フェライトコア5は、フレーム10の下面に弾性部材を介して載置されると共に、挟持部材6によってフレーム10との間に挟持される。
挟持部材6は、樹脂材料によって形成され、フェライトコア5を挟持した状態でねじによってフレーム10の下面に固定される。この挟持部材6は、カバー部材2の外周壁22とフレーム10の下面との対向間に挿入される挿入部60を備え、この挿入部60を挿入するための切欠き部22aが外周壁22に形成される。
この挿入部60の外周側にはフェライトコア5を挟持するための挟持部61が連設され、この挟持部61の内部には、フェライトコア5の外形形状に対応した収容空間が形成される。挿入部60には、かかる挟持部61の収容空間と外部とを径方向に沿って連通する開口(図示せず)がその内周側に開口形成され、この開口は、後述する開口10dと径方向で対向する位置に形成される。
挟持部61には、その挟持部61の内部の収容空間と外部とを周方向に沿って連通する開口61aと、挟持部61の下端部(図2の上側の端部)から外周壁22へ突出して形成される突出部61bとが形成され、開口61aから挟持部材6の外部にケーブル4が延出される。
突出部61bは、外周壁22の外周に沿って所定間隔を隔てて対向配置され、その突出部61bと外周壁22との対向間隔は、ケーブル部40の外径寸法よりも若干狭く形成される。
カバー部材2に対向するフレーム10には、ゴムブッシュ7を介してカバー部材2がねじによって固定される中心部10aと、その中心部10aの外縁から下方(カバー部材2側。図2の上側)へ向けて突設される突設部10bと、その突設部10bから外周側へ張り出す張出部10cとが形成される。
中心部10aは、円環状に形成されると共に、その内周から外周にかけて漸次下降傾斜して形成され、その周方向に沿って複数(本実施の形態では、4個)のゴムブッシュ7が固定される。
突設部10bは、周方向に沿って延設される壁面として形成され、その外径が外周壁22の内径よりも小径に形成される。よって、本体部材1にカバー部材2が固定された状態では、突設部10bと外周壁22とが径方向で所定間隔を隔てて対向配置される。
この突設部10bの一部が切欠かれることにより、その突設部10bの外周側と内周側とを連通する開口10dが形成される。この開口10dは、基板3から延出されるケーブル4を外周側に延出させるための開口である。この開口10dを挟んだ周方向両側には、その開口10dから突設部10bの内周側へ異物が混入することを規制するための一対の第3リブ部10eが形成される。
一対の第3リブ部10eは、張出部10c(フレーム10)の下面から下方に突出する平板状にそれぞれ形成されると共に、周方向に沿って対向配置され、挟持部材6の挿入部60は、これら一対の第3リブ部10eの対向間でフレーム10に固定される。
一対の第3リブ部10eは、突設部10bと径方向に所定間隔を隔てて対向配置される対向部10e1と、その対向部10e1の一端から突設部10b側に屈曲して形成される屈曲部10e2とをそれぞれ備える。
この屈曲部10e2は、第3リブ部10eにおける開口10dから離間する側の端部に形成され、この屈曲部10e2の突設部10b側の端部は、突設部10bと径方向に所定間隔を隔てた位置に配設される。
これにより、本体部材1にカバー部材2が固定された状態では、挿入部60(挟持部材6)と、一対の第3リブ部10eと、カバー部材2の外周壁22(切欠き部22a)とによって、開口10dの外周側が取り囲まれる。
よって、それら開口10dを取り囲む各部材によって、その開口10dから突設部10bの内周側に異物が混入することを抑制できる。即ち、フレーム10(本体部材1)とカバー部材2との対向間から外方にケーブル4を延出するために、フレーム10に開口10dを形成した場合であっても、その開口10dから異物が混入することを抑制できる。よって、フレーム10とカバー部材2との対向間に配設される基板3に異物が接触することを抑制できる。
ここで、例えば、一対の第3リブ部10eの屈曲部10e2を突設部10bと接続して形成すると、かかる接続部分でフレーム10の剛性が高まる。即ち、フレーム10における振動伝達が場所によって不均一となり、打撃による振動の検出を適切に行うことができない。
これに対して、本実施の形態の電子シンバル100によれば、一対の第3リブ部10eの屈曲部10e2が突設部10bと所定間隔を隔てて配設されるので、フレーム10の剛性が局所的に高まることを抑制できる。即ち、フレーム10における振動伝達を場所によらず均一なものとすることで、打撃による振動の検出をより適切に行うことができる。
次いで、図3〜図5を参照して、電子シンバル100の各部の詳細構成について説明する。図3は、電子シンバル100の下面図である。図4は、図3のIV−IV線における電子シンバル100の部分拡大断面図である。図5は、電子シンバル100を下面側から視た斜視図である。なお、図3〜図5では、理解を容易にするために、電子シンバル100の一部が省略して図示される。
図3に示すように、本体部材1とカバー部材2の対向間から径方向に沿って延出されるケーブル4のケーブル部40は、挟持部材6の内部で屈曲した状態でフレーム10の下面に固定される。即ち、ケーブル部40の外周に覆設されるフェライトコア5は、平面視において、そのフェライトコア5の軸を径方向と垂直な方向に向けた姿勢で挟持部61に挟持される。
これにより、ケーブル4は、挟持部材6から周方向に沿って延出されるので、ケーブル4を巻回させやすくできる。また、ケーブル部40が屈曲された状態で挟持部材6によって固定されるので、ケーブル部40が巻回される度に繰り返し屈曲される場合に比べ、ケーブル部40の内部の配線が断線することを抑制できる。
図4及び図5に示すように、カバー部材2の外周壁22は、その上端(突出先端。図4の上側の端部)がフレーム10(本体部材1)の下面と離間して配設される。これにより、フレーム10とカバー部材2との対向間には、収納空間Sが形成される。よって、挟持部61から外部に延出されるケーブル4のケーブル部40を、フレーム10の下面と外周壁22との対向間から外周壁22の内周側に挿入し、収納空間Sに収納することができる(図5参照)。よって、基板3にケーブル4を直付けした場合であっても、非使用時の電子シンバル100の取り扱いを簡略化できる。
また、外周壁22の内周側に形成される第2リブ部24は、その支持部21からの突出高さが、外周壁22の支持部21からの突出高さよりも低く形成される(図4参照)。よって、外周壁22の突出先端部分によってケーブル部40(ケーブル4)が収容空間Sから外周側へ抜け落ちることを抑制できる。
この場合、外周壁22がフレーム10の下面から離間して配設されることにより、そのフレーム10と外周壁22との対向間から異物が混入し、本体部材1とカバー部材2との対向間に配設される基板3に異物が接触する恐れがある。
これに対して、本実施の形態の電子シンバル100によれば、外周壁22よりも内周側に配設される第1リブ部23を備えるので、フレーム10と外周壁22との対向間からの異物が混入しても、第1リブ部23よりも内周側に異物が混入することを抑制できる。よって、第1リブ部23よりも内周側に配設される基板3に異物が接触することを抑制できる。
更に、この第1リブ部23は、フレーム10の突設部10bよりも内周側に形成されると共に、その上端(支持部21からの突出先端)が、突設部10bの下端(張出部10cからの突設先端)よりも上方に位置して形成される。これにより、フレーム10の下面と外周壁22との対向間から異物が混入したとしても、その異物は突設部10bに当接し、第1リブ部23よりも外周側の支持部21へ落下する。よって、支持部21へ落下した異物が内周側に移動することを第1リブ部23によって規制することができるので、基板3側に異物が混入することをより確実に抑制できる。
また、カバー部材2は、ゴムブッシュ7を介してフレーム10(本体部材1)に弾性支持されるので、打面(ベル部11及びボウ部13)への打撃による振動をゴムブッシュ7によって減衰させることができる。即ち、打面への打撃による振動がカバー部材2に伝達することを抑制することにより、そのカバー部材2に配設される基板3に対しても、かかる振動が伝達することを抑制できる。
これにより、基板3とケーブル4との直付け部分に振動が伝達することを抑制できるので、電子シンバル100から音源装置に出力される検出信号に瞬断が生じることを抑制できる。よって、基板3から音源装置に出力される検出信号がデジタル信号であっても、音源装置から適切に楽音を生成することができる。
この場合、基板3側への異物の混入を抑制するためには、支持部21からの第1リブ部23の突設高さを極力高くすることが好ましい。しかしながら、打面への打撃によってカバー部材2が本体部材1に対して揺動した場合、第1リブ部23の突設高さが高すぎる(即ち、フレーム10の下面と第1リブ部23の突設先端との対向間隔が狭すぎる)と、かかる揺動によって第1リブ部23がフレーム10の下面に当接する。即ち、打撃による振動が第1リブ部23を介してカバー部材2に伝達される。
これに対して、本実施の形態では、第1リブ部23は、打面への打撃によって本体部材1に対してカバー部材2が揺動した場合に、その第1リブ部23の突出先端がフレーム10(本体部材1)の下面から離間される高さで形成される。これにより、打撃の衝撃によってカバー部材2が揺動しても、第1リブ部23がフレーム10の下面に当接することを抑制できる。即ち、打撃による振動が第1リブ部23を介してフレーム10からカバー部材2に直接伝達されることを抑制できるので、かかる振動がケーブル4と基板3との直付け部分に伝達することを抑制できる。よって、電子シンバル100から音源装置に出力される検出信号に瞬断が生じることをより確実に抑制することができる。
また、挟持部材6の挟持部61から延出されるケーブル4は、そのケーブル部40における基板3側の部位(即ち、外周壁22よりも外周側に位置するケーブル部40の根元)にフェライトコア5が取付けられ、そのフェライトコア5が挟持部材6によってフレーム10(本体部材1)の下面に固定される(図5参照)。よって、ケーブル4が揺動した場合や、ケーブル4を引っ張る方向に外力が加わったとしても、かかる揺動や外力(振動)は、フレーム10の下面とケーブル部40(フェライトコア5)との固定部分で遮断される。
これにより、ケーブル4の揺動や外力による振動が、ケーブル部40を介してケーブル4と基板3との直付け部分に伝達することを抑制できる。従って、電子シンバル100から音源装置に出力される検出信号に瞬断が生じることをより確実に抑制できると共に、ケーブル4が直付けされる基板3が破損することを抑制できる。
この場合、ケーブル4の揺動や外力による振動を遮断する(ケーブル4と基板3との直付け部分に伝達することを抑制する)ことは、ケーブル4の根元をカバー部材2側に固定させることでも達成できる。しかしながら、かかる構成では、例えば、ケーブル4を引っ張る方向に外力が加わると、その外力によってカバー部材2がフレーム10(本体部材1)に対して揺動する。よって、フレーム10とカバー部材2との間に介設されるゴムブッシュ7に過剰な負荷が加わり、その劣化が早まる。
これに対して、本実施の形態の電子シンバル100によれば、ケーブル4がフレーム10の下面に固定されるので、ケーブル4を引っ張る方向に外力が加わったとしても、その外力はフレーム10(本体部材1)側に伝達される。よって、ケーブル4がカバー部材2に固定される場合に比べ、ゴムブッシュ7に負荷が加わることを抑制できるので、電子シンバル100の耐久性を向上させることができる。
また、ケーブル部40(ケーブル4)は、その先端側(ケーブル部40における端子41側の部位)が外周壁22と挟持部61との対向間に挟持される。即ち、挟持部61は、径方向で外周壁22と所定間隔を隔てて対向配置され、その挟持部61の下端部には、外周壁22の方へ突出して形成される突出部61bが形成されるので、かかる対向間でケーブル部40を挟持すると共に、突出部61bによってケーブル部40が抜け落ちることを抑制できる。よって、非使用時の電子シンバル100の取り扱いをより簡略化できる。
更に、外周壁22と張出部10cとの対向間から異物が混入するのを規制するための部材、ケーブル部40の端子41側の部位を保持するための部材、及び、ケーブル部40の基板3側の部位をフレーム10の下面に固定するための部材を挟持部材6に兼用させることができる。よって、部品点数が減少するので、電子シンバル100の製品コストを低減できる。
図1に戻って説明する。フレーム10の中心部10aの外周側には、周方向に沿って等間隔に複数(本実施の形態では、6個)の貫通孔10fが形成され、この貫通孔10fにベル部11の突起部11aが嵌合される。この突起部11aは、ベル部11の外周側の下端から下方に突出して形成されると共に、周方向に沿って等間隔に複数(本実施の形態では、6個)形成される。
ベル部11は、センサ保持部12を保持した状態でフレーム10の中心部10aに固定され、センサ保持部12には、ベル部11の打撃を検出するための第1センサ8が配設される。ボウ部13は、フレーム10の張出部10cの上面全体に覆設される。これらベル部11及びボウ部13は、打面として構成される部位であり、弾性材料によってそれぞれ円環状に形成される。
ここで、図6及び図7を参照して、ベル部11及びボウ部13の詳細構成について説明する。図6は、カバー部材2を取り外した状態を示す電子シンバル100の下面図である。図7は、図6のVII−VII線における電子シンバル100の部分拡大断面図である。なお、図6及び図7では、理解を容易にするために、電子シンバル100の一部が省略して図示される。
図6に示すように、フレーム10の中心部10aの下面には、両面テープによって第2センサ9が貼り付けられる。この第2センサ9は、ボウ部13の打撃を検出するためのセンサであり、ピエゾピックアップ(圧電素子)から構成される。
図7に示すように、ベル部11は、その内周から外周にかけて漸次下降傾斜して形成され、その内縁および外縁に一対に形成される嵌合部11bを備える。突起部11aは、ベル部11の外縁側の嵌合部11bの下面から突出して形成される。
一対の嵌合部11bは、ベル部11の外縁および内縁に縦断面略コの字状にそれぞれ形成され、それら一対の嵌合部11bの突出先端が対向する姿勢で形成される。この一対の嵌合部11bにセンサ保持部12が嵌合されることにより、センサ保持部12は、ベル部11の下面側に弾性支持される。
センサ保持部12は、樹脂材料によって円環状に形成され、その内周から外周にかけて漸次下降傾斜して形成され、このセンサ保持部12の下面には、ピエゾピックアップ(圧電素子)から構成される第1センサ8が両面テープによって貼付けられる。
本実施の形態では、これらベル部11側に配設される第1センサ8と、ボウ部13側に配設される第2センサ9とで検出される信号のレベル比(検出される打撃信号の強弱)に基づき、ベル部11又はボウ部13のいずれに対する打撃なのかが基板3において判断される。
この場合、フレーム10に対してベル部11を介して第1センサ8を弾性的に分離する(弾性材料によって形成されるベル部11にセンサ保持部12を弾性支持し、そのセンサ保持部12に第1センサ8を配設する)ことにより、ボウ部13が打撃された場合のフレーム10の振動は、ベル部11の弾性力によって減衰されて第1センサ8に伝達されるのに対し、第2センサ9には、弾性部材を介することなく(フレーム10を介して)伝達される。よって、ボウ部13が打撃された場合には、第1センサ8よりも第2センサ9で強い振動が検出されやすい。
また、ベル部11が打撃された場合は、ベル部11自体が弾性部材であるので、第2センサ9に伝達される振動は、ベル部11によって減衰される。よって、ベル部11が打撃された場合には、第2センサ9よりも第1センサ8で強い振動が検出されやすい。従って、第1センサ8と第2センサ9とで検出される信号のレベル比に基づいて判断することにより、ベル部11又はボウ部13のいずれに対する打撃なのかを精度よく検出することができる。
この場合、ベル部11は、その下面に突設される複数の突起部11aを介してフレーム10に支持されるので、フレーム10とベル部11との接触面積を低減させることができる。これにより、ベル部11とフレーム10との間の振動伝達経路を減少させる(即ち、ベル部11側における振動とボウ部13側における振動とを分離させる)ことができる。よって、ボウ部13への打撃が第1センサ8で検出されること、及び、ベル部11への打撃が第2センサ9で検出されることをより確実に抑制することができる。
次いで、図8を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、フレーム10の下面とカバー部材2の外周壁22との対向間からケーブル4のケーブル部40が挿入される場合を説明したが、第2実施の形態では、フレーム210の下面に形成される第4リブ部210gとカバー部材202の外周壁222との対向間からケーブル4のケーブル部40が挿入される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8は、第2実施の形態における電子シンバル200の部分拡大断面図である。なお、図8では、理解を容易にするために、電子シンバル200の一部が省略して図示されると共に、電子シンバル200が模式的に図示される。
図8に示すように、第2実施の形態では、カバー部材202がゴム状弾性体によって形成され、基板(図示せず)は、本体部材1側に固定される。フレーム210の下面には、その周方向に沿って形成されると共に、下方(カバー部材202側。図8の下側)へ突設される第4リブ部210gが形成される。この第4リブ部210gは、カバー部材202の外周壁222と上下方向に沿って所定間隔を隔てて対向配置される。
これら外周壁222と第4リブ部210gとの対向間隔は、内周側から外周側へかけて漸次広くなる態様で形成されると共に、内周側の対向間隔がケーブル4のケーブル部40の外径よりも若干狭く形成される。
カバー部材202の支持部221からフレーム10側へ突出して形成される第1リブ部223は、その突出先端がフレーム10の下面に当接するように配設される。また、第1リブ部223には、その内周側および外周側を連通する貫通孔(図示せず)が形成され、その貫通孔からケーブル4が第1リブ部223の外周側に延出されると共に、そのケーブル4は、第1リブ部223の外周に沿って巻回される。
これにより、電子シンバル100の非使用時には、カバー部材202の外周壁222とフレーム210の第4リブ部210gとの対向間からケーブル4を挿入し、外周壁222の内周側にケーブル4を収納することができる。よって、基板にケーブル4を直付けした場合であっても、非使用時の電子シンバル100の取り扱いを簡略化できる。
この場合、外周壁222と第4リブ部210gとの対向間隔が、内周側から外周側へかけて漸次広くなる態様で形成されるので、かかる対向間からケーブル4を容易に収納できる。
また、外周壁222と第4リブ部210gとの内周側における対向間隔が、ケーブル部40の外径よりも若干狭く形成されることにより、ケーブル4を引き出すには所定の力が必要となる。よって、ケーブル4が外周壁222と第4リブ部210gとの対向間から抜け落ちることを抑制できる。
また、第1リブ部223は、その突出先端がフレーム10の下面に当接して配設されるので、外周壁222と第4リブ部210gとの対向間から異物が混入しても、第1リブ部223よりも内周側に異物が混入することをより確実に抑制することができる。よって、第1リブ部223よりも内周側に配設される基板に異物が接触することをより確実に抑制できる。
以上、実施の形態に基づき本考案を説明したが、本考案は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記第1実施の形態では、ケーブル4にフェライトコア5が取付けられ、そのフェライトコア5が挟持部材6に挟持されてフレーム10の下面に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ケーブル4(ケーブル部40)をフレーム10の下面に直接接着しても良い。また、ケーブル部40の外径よりも若干狭い内径を有するケーブルクランプをケーブル4に装着し、そのケーブルクランプをねじによってフレーム10の下面に固定しても良い。即ち、少なくともフレーム10とカバー部材2との対向間から延出されるケーブル4の根元(フレーム10とカバー部材2との対向間から延出される基端側の部位)付近をフレーム10の下面に固定すればよい。これにより、ケーブル部40を介してケーブル4と基板3との直付け部分に振動が伝達することを抑制できる。
上記第1実施の形態では、直付けとして、ケーブル4が基板3に直接接続される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、基板3に接続されるコネクタとケーブル部40に接続されるコネクタとをそれぞれ設け、そのコネクタ同士を接続する構成でも良い。この場合には、かかるコネクタ同士が接続された状態を維持するための抜け止めをコネクタに形成すれば良い。また、ケーブル4を基板3に直接半田付けしても良い。
即ち、請求項1における「直付け」とは、電子シンバル100の非使用時においても基板3にケーブル4が実質的に着脱不能に接続されることを要件とするものであり、その接続方法(直付けの方法)は限定されるものではない。
よって、例えば、上記した基板3及びケーブル4のコネクタ同士を接続する構成によって基板3にケーブル4を直付けする場合には、かかるコネクタ同士の接続部分よりもケーブル部40の先端側(フレーム10とカバー部材2との対向間から延出されるケーブル4の根元付近)をフレーム10の下面に固定すればよい。これにより、コネクタ同士の接続部分に振動が伝達することを抑制できるので、かかる接続部分で瞬断が生じることを抑制できる。
上記第1実施の形態では、ケーブル4の先端側(ケーブル部40における端子41側の端部)が外周壁22と挟持部61との対向間に挟持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ケーブル部40の断面形状に対応した形状の係合部(例えば、フレーム10の下面から一対に突設される係合突起や、挟持部材6の下面(又は外周側の面)に凹設される凹溝)を別途設ける構成でも良い。
上記第1実施の形態では、カバー部材2の第1リブ部23は、その周方向に沿って一部非形成とされ、その第1リブ部23が非形成とされる領域に基板3が配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1リブ部23をカバー部材2の周方向に沿って全周に渡って延設し、基板3の全体が第1リブ部23の内周側に位置する構成でも良い。これにより、基板3に異物が接触することをより確実に抑制できる。
この場合には、第1リブ部23の内周側と外周側を連通する開口を第1リブ部23に形成し、その開口を突設部10bの開口10dに径方向で対向する位置に配置すれば良い。これにより、第1リブ部23の開口と開口10dとから外部へケーブル4を延出させることができる。
上記第1実施の形態では、挟持部材6の挿入部60と、フレーム10の突設部10b(開口10dが形成される部位)とが径方向で所定間隔を隔てて対向配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、挿入部60と、突設部10b(開口10dが形成される部位)とを密着させる構成でも良い。これにより、挿入部60と突設部10bとの対向間から異物が混入することを抑制できるので、この場合には、一対の第3リブ部10eを省略する(非形成とする)ことができる。よって、フレーム10の剛性が局所的に高まることを抑制できる。
上記各実施の形態では、本体部材1,201とカバー部材2,202との対向間に基板3が配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、フレーム10,210の下面にカバー部材2,202や挟持部材6に相当する保持部材(基板3を被覆して保持する部材)を別途設け、その保持部材とフレーム10,210の下面との間に基板3を保持した状態で、保持部材をフレーム10、210の下面に固定しても良い。この場合にも、その保持部材から延出されるケーブル4を本体部材1,201とカバー部材2,202との対向間に収納することで電子シンバル100,200の非使用における取り扱いを簡略化できる。