JP3207125U - 杖の自立装置 - Google Patents

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博志 政岡
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株式会社三稜精機
三浦 年仁
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Abstract

【課題】杖が地面等に接する点と、杖が机などの突出部に接する点の、二個所の接点によって、杖を容易にしっかりと自立させることができる杖の自立装置を提供する。【解決手段】横断面が馬蹄形の繋止円筒部1を、杖本体11にその有する弾性のみを利用して容易に取り付け取り外しができ、かつ取り付けた状態で杖本体11に沿い摩擦力に抗し容易に上下させ杖本体11の定位置に繋止することのできる、摩擦力と弾性をもつ素材で形成し、該繋止円筒部1の側壁に接続部2を介して横方向へ伸びる支承部3を連結し、支承部3の上面に摩擦接触部4を設けた。【選択図】図1

Description

本考案は、手から離れた杖(ステッキ等をも含む)が倒れず自立した状態を保っていられるようにした杖の自立装置に関する。
手から離れた杖を倒れないようにするものとして、一般的に広く用いられている技術は、二つのカテゴリーに大別できる。一つは杖本体に付設した固定具により机の端縁などをくわえるようにするもので、他の一つは、特許文献1にその典型例(該文献の図2を参照。)が示されているが、固定具を机の端縁などの上面に引っ掛けて杖をぶら下げておくものである。
いずれのものにしても、杖の支持は、一箇所でされているだけであるから不安定であり、地面から机の端縁までの距離より杖の下端から固定具までの距離が、短ければ杖がぶらぶらし、長ければ杖が斜めになり通り道に伸び出して通行の邪魔になってしまう。
登録実用新案第3132879号公報
本考案の技術課題は、杖が地面等に接する点と、杖が定位置にある物(以下「机など」と略称する。)の突出部に接する点の、二個所の接点によって、杖を容易にしっかりと自立させることにあり、それに加えて、机などの突出端における接触をより確実なものとし、複数の同じまたは異なるタイプの自立装置を用いて多様な使用態様に応じられる使い勝手の良いものができるようにすることにある。
本考案は、杖が地面等に接する点と、杖が机などの突出部に接する点の、二個所の接点によって、杖を容易にしっかりと自立させることができるようにするため、次の手段を採用した。
横断面が馬蹄形の繋止円筒部を、杖本体にその有する弾性のみを利用して容易に取り付け取り外しができ、かつ取り付けた状態で杖本体に沿い摩擦力に抗し容易に上下させ杖本体の定位置に繋止することのできる、摩擦力と弾性をもつ素材で形成し、該繋止円筒部の側壁に接続部を介して横方向へ伸びる支承部を連結し、支承部の上面に摩擦接触部を設けた。
本考案は、机などの突出部における接触をより確実なものとするため、特に次の手段を採用した。
接続部を弾性体で形成し、支承部が繋止円筒部の軸心に対して直交する水平面を僅かの角度上向かせた面内に位置するように、支承部を前記の弾性接続部を介して繋止円筒部に連結した。
本考案は、複数の同じ又は異なるタイプの自立装置を用いて多様な使用態様に応じられる使い勝手の良いものができるようにするため、特に次の手段を採用した。
繋止円筒部の外側面に、該円筒部の長さ方向に沿う挿入部を設けるとともに、接続部の円筒部への接続端から連結片を垂下させ、連結片を前記挿入部に対し上方から挿し込み又は抜きとりができるように形成した。
請求項1に記載の考案によれば、次の効果が奏される。
本考案の繋止円筒部は、横断面の形を馬蹄形とし、杖本体に対し容易に取り付けたり取り外したり、取り付けた状態で容易に上下させたりすることのできる摩擦力と弾性をもつ素材で形成されているから、右の操作は、力が無い人や障害のある人にとっても、容易に弱い力で行うことができる。
一般に広く使われている杖の全長は、日常生活で頻繁に出会うところの机などの突出部の高さと大差がないから、杖本体に付設する杖の自立装置(先行技術にいう「固定具」)の高さは、机などの突出端(以下「端縁」と略称する。)より下方に位置する場合が多い。
したがって、杖の使用者は、机などに近づきその端縁の位置を確かめ、端縁の下方の地面に杖の下端を突き立て、端縁が自立装置より高い位置にあるとき、自立装置を引き上げて支承部の上面に設けた摩擦接触部を端縁の下側面に対し、容易に当てつける(図を参照)ことができる。
端縁が自立装置より低い位置にあることを察知したときは、自立装置を押し下げ、支承部の下面を端縁の上側面に当てつけるようにすればよい(図4を参照)。なお、支承部の下面に摩擦接触部を付設しておけば、そのときの接触が一層確実になることは言うまでもない。
こうして、杖は、手を離しても、支承部の上面の摩擦接触部と杖の下端との二点で、または支承部と杖の下端との二点で動かないように支持されしっかりと自立する。従来の技術にあっては、杖の先端が地面から離れてぶらぶらし、安定した支持ができなくなったりしていたが、本考案によれば、杖は、机などの端縁で支持されると同時に杖の下端が地面にしっかりと着いているから、安定した支持が確実に行なわれる。
繋止円筒部は、杖本体に容易に取り付けられ、杖本体に対する摩擦力によって一定位置にとどまっている。本考案においては、摩擦接触部と円筒部の外壁の間に若干の距離(図1(a)の「L」)があるため、円筒部を手で引き上げて摩擦接触部を机などの端縁下側面に当てつけ手を離した際に、摩擦接触部にかかる押し下げ力が杖本体に対する摩擦力に打ち勝って円筒部をずり下げる向きに働くようなことが起こらない。何故なら、横方向へ伸びる支承部と接続部は、接続部の円筒部への接続端を支点とする片持ち梁の形になるから、支承部の摩擦接触部に加わる下向きの力は、前記支点(接続端)において繋止円筒部を押し下げる力にならない。この効果は、特に接続部を弾性体で形成したときに著しい。
接続部を剛性の素材で形成したときは、自立装置の杖本体への取り付け取り外しが、梃子の原理を利用して、極めて容易になる。
支承部と接続部を繋止円筒部に対し回動できる形に構成した(例えば、接続部の接続端を繋止円筒部の側壁に軸着する)ときは、支承部を90度回動させて杖本体に添わせることができるから、支承部が横方向に常に伸び出ていて杖を突いて歩くときや杖を収納するときなどに支承部が邪魔になる、という難点を解消し、この杖を一層使い勝手の良いものにすることができる。
請求項2に記載の考案によれば、特に次の効果が奏される。
接続部を弾性体で形成したとき、摩擦接触部の位置する支承部を水平に(換言すると、摩擦接触部と支承部が繋止円筒部の軸心に直交する水平面内にあるように)設けたと仮定すると、摩擦接触部を机などの端縁の下側面に当てつけたとき、摩擦接触部には弾性体の弾力が加えられて端縁にしっかりとした接触ができることになるが、その反面、支承部はそのときは前記の水平面より下向きになっているため、机などの端縁の下側面に対し直角に押圧力を及ぼすことができなくなって、下側面に対する接触部の摩擦力が低下してしまう。
そこで本考案は、予め支承部を前記水平面より僅かな角度上向かせた面内に位置(図2(c)を参照。)させておき、机などの端縁の下側面に摩擦接触部を当てつけたときに支承部がほぼ水平になるようにして、前述した摩擦力が低下するという難点を克服した。
請求項3に記載の考案によれば、特に次の効果が奏される。
繋止円筒部、接続部、支承部もしくは摩擦接触部を、又は繋止円筒部、接続部を一体成型した支承部を、それぞれ別の生産ラインに乗せ個々に製作して後に組み立てる、等の手段により製造コストを下げることができる。
数種類の異なる接続部、支承部又は摩擦接触部から成る各種のセットを複数準備しておけば、それまで使っていた自立装置が、その後に予定される杖の使用場所や使用環境などにおいて適当でないと予想されるときは、前記の自立装置のセットを繋止円筒部から取り外し(すなわち、そのセットの接続部の連結片を円筒部の挿入部から抜き取り)、最適と思われるセットを選び、それを今までの繋止円筒部に取り付けて(すなわち、そのセットの連結片を挿入部に挿し込んで)、新たな自立装置に仕立て上げる(図3を参照。)ことが簡単にできる。
なお、セットを繋止円筒部から取り外した状態で(繋止円筒部のみを杖に付けたままの状態で)杖を使用してもよいのは勿論のことである。
さらにまた、一つの杖に対し、一個の自立装置のみならず、複数の自立装置を同時に適用することもできる。
例えば、同じタイプの自立装置を二つ杖本体に取り付けておき、一方の自立装置を机などの端縁の上側面に当てつけてから他方の自立装置を端縁の下側面に当てつけ、あるいは下側面に当てつけてから上側面に当てつけるようにする(図4を参照)。これにより机などの端縁は上と下から更にしっかり挟持される。
また、摩擦接触部を当てつける机などの端縁の上側面と下側面との形状や性質などが異なると予想されるときには、その端縁の下側面と上側面に適合するタイプの異なる自立装置を二つ杖本体に取り付けておいて、その机などの端縁を上と下から挟持するようにすることもできる。
なお、一個の繋止円筒部を太さの異なる二本の杖に兼用させるようにして、本考案の利用範囲を拡張することも容易にできる。
例えば、太い杖用の繋止円筒部を細い杖に適用するには、細い杖に適した内径と太い杖用の円筒部の内径に等しい外径とをもつスペーサーを別途準備する。そして、必要に応じてそのスペーサーを太い杖用の繋止円筒部の内側に嵌め込むようにすれば、一つの自立装置を太さの異なる二本の杖に容易に兼用させることができる。
本考案の代表的実施例の概要を示し、(a)はその側面図、(b)はA−A断面図、(c)は他の実施例についてのA−A断面図である。 弾性体で形成された接続部の例であり、(a)は側面から見た形がU字形になるものを、(b)はZ形になるものを示し、(c)は支承部が僅かな角度α上向きになっている状態を示す側面図である。 繋止円筒部の側面に設けられた空洞部と、接続部の円筒部への接続端から垂下する連結片との関係を示す模式図である。 本考案の使用方法の一例を図解した模式図であり、机の端縁を上下から挟み込んだところを示す。
以下、本考案の実施の形態について説明する。
以下、添付図面に従い説明する。
繋止円筒部1の素材は、その期待される特性からみて、ポリプロピレンまたはポリカーボネートの樹脂が推奨される。円筒部1の馬蹄形は、適用される杖本体11のサイズや表面の状態等を勘案し、素材の弾性と相俟って、杖本体11に取り付け取り外しができかつ杖本体11に沿って上げたり下げたりすることができ、かつ杖本体の定位置に摩擦力のみで繋止できるような形にしなければならない。
特にその馬蹄形の開口部分12(図1(b)を参照。)の離隔距離の設計には注意を要する。狭過ぎればそこを杖本体に11押し当ててもそれ以上は進められずに取り付けることができず、広過ぎれば取り付けた後すぐに外れてしまうからである。なお、開口部分の形を外方に反らした外反形状に(図1(c)を参照。)すれば、取り付け取り外しは一層容易になる。
支承部3に設ける摩擦接触部4の素材は、ゴム質の摩擦抵抗力の大きなものにする。その形は、山形、谷形、平板形等さまざまなものが考えられるが、使用場所や使用者が出会う頻度の高い机などの形その他を考慮して最適なものが選ばれるべきである。
接続部2を弾性体としたときの支承部3の上向きの角度α(図2(c)を参照)は、通常広く使用される杖においては7度程度の角度が見安になる。またその弾性体の形や弾力の強さなどについても、さまざまなものが考えられるが、製作のしやすさや製造コストなどを考慮すると、一般的には図示のものが推奨される。なお、弾性の面からいえば、U字形よりZ形の方が優れている。
本考案は、杖やステッキ等の機能を拡張し使い勝手を良くしその有用性を高める産業において利用される。身体障害者、特に目の見えない人用の機器の生産に向けられた機械産業において、操作面、機能面、経済面等からみて、その利用価値は高い。
1 繋止円筒部
2 接続部
3 支承部
4 摩擦接触部
5 空洞部
6 連結片
11 杖本体
12 馬蹄形の開口部分
13 円筒部の軸心

Claims (3)

  1. 横断面が馬蹄形の繋止円筒部を、杖本体にその有する弾性のみを利用して容易に取り付け取り外しができ、かつ取り付けた状態で杖本体に沿い摩擦力に抗し容易に上下させ杖本体の定位置に繋止することのできる、摩擦力と弾性をもつ素材で形成し、該繋止円筒部の側壁に接続部を介して横方向へ伸びる支承部を連結し、支承部の上面に摩擦接触部を設けた杖の自立装置。
  2. 接続部を弾性体で形成し、支承部が繋止円筒部の軸心に対して直交する水平面を僅かの角度上向かせた面内に位置するように、支承部を前記の弾性接続部を介し繋止円筒部に連結したことを特徴とする請求項1に記載の杖の自立装置。
  3. 繋止円筒部の外側面に、該円筒部の長さ方向に沿う挿入部を設けるとともに、接続部の円筒部への接続端から連結片を垂下させ、連結片を前記挿入部に対して上方から挿し込み又は抜きとりができるように形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の杖の自立装置。
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