JP3199337U - 鮮度保持具とこの鮮度保持具を用いた熟成貯蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷蔵庫や寿司ネタケース等に入れられている生鮮食料品の鮮度をできるだけ長期間に亘って保持する鮮度保持具を提供する。【解決手段】金属アルミニウムからなる基体16と、基体16に被覆されている被覆体18とからなり、被覆体18がアルカリ化合物を含有している鮮度保持具10であって、冷蔵庫や寿司ネタケース等の中に設置する。アルカリ化合物としては、水とドロマイトからなる混合物にアルミニウム粉末を混合・反応させて得られたもの又はその上澄み液からなるものを使用することができる。被覆体18はアルカリ化合物と水性塗料の混合物により形成することができる。【選択図】図2
Description
本考案は、魚介類、肉類、果物類又は野菜類などの生鮮食料品の鮮度を保持させる鮮度保持具とこの鮮度保持具を用いた熟成貯蔵庫に関するものである。
一般に、魚介類は漁港から魚卸売市場に運ばれ、魚卸売市場から仲買人を介してスーパーマーケット、レストラン、居酒屋、寿司屋等に販売される。肉類はと畜場で家畜を解体することにより生産され、と畜場に併設されている食肉卸売市場から仲買人を介してスーパーマーケット、レストラン、居酒屋等に販売される。果物や野菜は生産者から直接又は卸売市場に運ばれ、卸売市場から仲買人を介してスーパーマーケット、果物店、八百屋等に販売される。
スーパーマーケット等に販売された魚介類、肉類、果物類又は野菜類等の生鮮食料品は、冷蔵庫等に保管され、必要に応じて取り出され、一般消費者に販売されている。レストラン、居酒屋等に販売された生鮮食料品は、冷蔵庫等に保管され、必要に応じて取り出され、使用されている。寿司屋では、仕入れた魚介類は寿司ネタケースに入れられ、必要に応じて取り出され、カウンターで使用されている。
このように、スーパーマーケットやレストラン等では生鮮食料品を冷蔵庫等に入れ、寿司屋では魚介類を寿司ネタケースに入れておくことにより、生鮮食料品や魚介類の鮮度の低下を遅くしている。しかし、生鮮食料品や魚介類を冷蔵庫等や寿司ネタケースに入れて保管しても、生鮮食料品に付着していた細菌は徐々に増殖し、また生鮮食料品自体の酸化も徐々に進むので、生鮮食料品の鮮度の低下自体は避けられない。
スーパーマーケット、レストラン、居酒屋、寿司屋等では、生鮮食料品をできるだけ速やかに販売したり、使い切るようにしているが、それでも仕入れの見通しを誤り、生鮮食料品を速やかに販売できなかったり、使い切れず、鮮度が許容できないレベルまで低下してしまうことがある。このような場合、鮮度の落ちた生鮮食料品は廃棄しなければならず、生鮮食料品の仕入れコストが無駄になったり、廃棄コストが余分にかかってしまうという問題がある。
本考案が解決しようとする課題は、冷蔵庫や寿司ネタケース等で生鮮食料品を低温で保管していても、生鮮食料品に付着していた細菌が時間の経過とともに徐々に増殖したり、生鮮食料品自体の酸化が徐々に進み、生鮮食料品の鮮度が次第に低下してしまう点である。
本考案は、金属アルミニウムからなる基体と、アルカリ化合物を含有している被覆体とからなる鮮度保持具を冷蔵庫や寿司ネタケース等の冷蔵設備中に設置することにより、上記課題を解決した。
ここで、該基体の材料としては金属アルミニウムを使用している。基体の形状としては、板状、スポンジ状、網状、棒状、筒状又はフィルム状の形状を採用することができるが、これらの以外の如何なる形状を採用してもよい。被覆体は水性塗料、例えばエポキシエステル樹脂などの水溶性樹脂からなり、アルカリ化合物を含有している。
アルカリ化合物としては、金属アルミニウムと反応でききるものであれば特に制限はないが、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属化合物などを挙げることができる。また、例えば、水とドロマイトからなる混合物にアルミニウム粉末を混合・反応させて得られたもの又はその上澄み液からなるものを使用してもよい。
被覆体は上述したように水性塗料からなり、被覆体に生鮮食料品が触れると生鮮食料品に被覆体の水性塗料が付くので、該基体と該被覆体は、生鮮食料品と直接触れないように、通気孔を有する収納ケース内に収納するのが好ましい。
本鮮度保持具を設置する冷蔵設備内ではある程度の湿度が必要であり、湿度が足りない場合は容器に水を入れて一緒に置いておくのが好ましい。本鮮度保持具は冷蔵庫内で次のように作用する。すなわち、被覆体中に含有されているアルカリ化合物が水分(湿度)の存在下で基体(Al)に式(1)のように作用し、活性の高い水素Hを発生させる。
2Al+Ca(OH)2+6H2O → Ca[Al(OH)4]2+6H ………(1)
活性の高い水素Hは冷蔵庫内の酸素に式(2)のように作用し、冷蔵庫内の酸素濃度を低下させる。
6H+(3/2)O2→ 3H2O ………(2)
2Al+Ca(OH)2+6H2O → Ca[Al(OH)4]2+6H ………(1)
活性の高い水素Hは冷蔵庫内の酸素に式(2)のように作用し、冷蔵庫内の酸素濃度を低下させる。
6H+(3/2)O2→ 3H2O ………(2)
また、魚や肉類に含まれるタンパク質やATPは、魚や肉類に含まれている酵素によって、時間の経過とともに分解され、うまみ成分であるグルタミン酸やイノシン酸の含有量が増える。果物や野菜でも、時間の経過とともに熟し、うま味成分であるグルタミン酸の含有量が増える。チーズや生ハムなども熟成期間中にたんぱく質が分解されることによってアミノ酸が増加してうま味成分であるグルタミン酸が増える。
本考案に係る鮮度保持具は、生鮮食料品を保管している冷蔵設備内に設置した場合、水分の存在下で活性の高い水素を発生させ、この水素が冷蔵設備内の酸素と反応して冷蔵設備内の酸素濃度を低下させ、生鮮食料品に付着している細菌の増殖を抑え、酸化を防止するので、生鮮食料品の鮮度を新鮮に保つことができるという利点がある。
本考案に係る熟成貯蔵庫は、生鮮食料品に付着している細菌の増殖を抑えることができるので、生鮮食料品を腐敗させることなく長期間に亘って熟成させることができ、その生鮮食料品に含まれているタンパク質を含有酵素によってグルタミン酸に分解させたり、肉類中にエネルギー源として蓄えられていたATPをイノシン酸に分解させることができ、従って、生鮮食料品をおいしく熟成させることができるという利点がある。
本考案は、保管庫や保管ケース内に保管されている食料品の鮮度をできるだけ新鮮に保つという目的を、簡単な構成部材で、生鮮食料品に悪い影響を与えることなく実現した。
図1はこの考案の一実施例に係る鮮度保持具の斜視図、図2は図1の鮮度保持具の断面図、図3はこの考案の他の実施例に係る鮮度保持具の斜視図、図4は図3の鮮度保持具の断面図である。これらの図において、10は鮮度保持具であり、鮮度保持具10は、収納ケース12と、収納ケース12の内部に収納された鮮度保持体14とからなる。
収納ケース12には複数の通気孔12aが形成され、収納ケース12の内外の空気が出入りすることができるようになっている。鮮度保持体14は、金属アルミニウムからなる基体16と、基体16の表面を被覆する被覆体18とからなる。基体16は、板状、スポンジ状、網状、棒状、筒状又はフィルム状のものを使用することができる。
被覆体18はアルカリ化合物を含む水性塗料からなる。アルカリ化合物としては、金属アルミニウムと反応でききるものであれば特に制限はないが、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物などが挙げられる。また、例えば、水とドロマイトからなる混合物にアルミニウム粉末を混合・反応させて得られたもの又はその上澄み液からなるものを一例として使用することができる。
この鮮度保持具10は次のようにして使用する。すなわち、図1及び図2に示すタイプの鮮度保持具10は、冷蔵庫等の空いた場所に平置きで設置する。また、図3及び図4に示すタイプの鮮度保持具10は冷蔵庫内に吊すようにして設置する。本鮮度保持具10を設置する冷蔵設備内ではある程度の湿度が必要であり、湿度が足りない場合は容器に水を入れて一緒に置いておくのが好ましい。
本鮮度保持具10は冷蔵庫内で次のように作用する。すなわち、被覆体18中に含有されているアルカリ化合物、例えばCa(OH)2、が水分(湿度)の存在下で基体(Al)に式(1)のように作用し、活性の高い水素Hを発生させる。
2Al+Ca(OH)2+6H2O → Ca[Al(OH)4]2+6H ………(1)
2Al+Ca(OH)2+6H2O → Ca[Al(OH)4]2+6H ………(1)
そして、活性の高い水素Hは冷蔵庫内の酸素に式(2)のように作用し、冷蔵庫内の酸素濃度が低下する。
6H+(3/2)O2→ 3H2O ………(2)
6H+(3/2)O2→ 3H2O ………(2)
また、魚や肉類に含まれるタンパク質やATPは、魚や肉類に含まれている酵素によって、時間の経過とともに分解され、うまみ成分であるグルタミン酸やイノシン酸の含有量が増える。果物や野菜でも、時間の経過とともに熟し、うま味成分であるグルタミン酸の含有量が増える。チーズや生ハムなども熟成期間中にたんぱく質が分解されることによってアミノ酸が増加してうま味成分であるグルタミン酸が増える。
冷蔵庫内にサケの切り身と本鮮度保持具を入れ、30日後に冷蔵庫内のサケの切り身を取り出し、外観を観察したところ、腐っている様には見えなかった。また、サケの切り身の臭いを嗅いでみたが、腐っている臭いはしなかった。そして、このサケの切り身を焼いて食べたところ、とてもおいしかった。しかも、食べた後、食当たりになることもなかった。
冷蔵庫内に生牡蠣と本鮮度保持具を入れ、30日後に冷蔵庫内の生牡蠣を取り出し、外観を観察したところ、腐っている様には見えなかった。また、生牡蠣の臭いを嗅いでみたが、腐っている臭いはしなかった。そして、この生牡蠣を焼いて食べたところ、とてもおいしかった。しかも、食べた後、食当たりになることもなかった。
冷蔵庫内に生の豚肉と本鮮度保持具を入れ、30日後に冷蔵庫内の豚肉を取り出し、外観を観察したところ、腐っている様には見えなかった。また、豚肉の臭いを嗅いでみたが、腐っている臭いはしなかった。そして、この豚肉を焼いて食べたところ、とてもおいしかった。しかも、食べた後、食当たりになることもなかった。
冷蔵庫内にみかんとトマトと本鮮度保持具を入れ、30日後に冷蔵庫内のみかんとトマトを取り出し、外観を観察したところ、いずれも腐っている様には見えなかった。また、みかんとトマトの臭いを嗅いでみたが、腐っている臭いはしなかった。そして、このみかんとトマトを食べたところ、とてもおいしかった。しかも、食べた後、食当たりになることもなかった。
本鮮度保持具は、生鮮食料品の鮮度を保持するため、卸売市場、スーパーマーケット、デパートの地下店、レストラン、居酒屋、果物屋等の冷蔵設備又は冷蔵庫、寿司屋のカウンターの寿司ネタケース、熟成貯蔵庫等に入れて、使用することができる。
10 鮮度保持具
12 収納ケース
12a 通気孔
14 鮮度保持体
16 基体
18 被覆体
12 収納ケース
12a 通気孔
14 鮮度保持体
16 基体
18 被覆体
Claims (7)
- 金属アルミニウムからなる基体と、該基体に被覆されている被覆体とを備え、該被覆体がアルカリ化合物を含有していることを特徴とする鮮度保持具。
- 前記アルカリ化合物が、水とドロマイトからなる混合物にアルミニウム粉末を混合・反応させて得られたもの又はその上澄み液からなることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持具。
- 前記酸化被覆がアルカリ化合物と水性塗料の混合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の鮮度保持具。
- 前記基体が板状、スポンジ状、網状、棒状、筒状又はフィルム状になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鮮度保持具。
- 前記基体が収納ケース内に収納され、該収納ケースに通気孔が開いていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の鮮度保持具。
- 前記請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持具を備えた保管庫からなることを特徴とする熟成用保管庫。
- 前記保管庫が冷蔵庫であることを特徴とする請求項6に記載の熟成用保管庫。
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JP2015001894U JP3199337U (ja) | 2015-04-16 | 2015-04-16 | 鮮度保持具とこの鮮度保持具を用いた熟成貯蔵庫 |
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