JP3195377B2 - 有機溶媒選択透過膜 - Google Patents
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Description
関し、水−有機溶媒混合物から有機溶媒を効率よく透過
分離して、水の浄化もしくは有機溶媒を濃縮回収するた
めの分離膜に関するものである。
膜の利用が最近増加している。これは、例えば蒸留など
のような古くからの分離技術と比較して少ないエネルギ
ーで分離することが可能であるばかりでなく、蒸留によ
る分離法を用いると熱変性してしまうような物質,共沸
混合物あるいは異性体の分離の可能性が期待されるから
である。
は、逆浸透膜を用いた超純水の製造あるいは海水の淡水
化、限外ろ過膜による人工透析、ビール酵母の分離など
のような食品工業への応用、燃焼用や医療用の酸素富化
膜による酸素富化などがある。
有機溶媒混合物からの脱水を目的とする膜は実用化され
てはいるが、低濃度の有機溶媒を含む混合物から有機溶
媒を分離するための分離膜は実用の域に至っていない。
しかし、水−有機溶媒混合物からの有機溶媒の分離が可
能となれば、工業排水中や地下水中に含まれる、環境汚
染の原因となる物質,人体に有害な物質,再利用可能で
ある物質および目的物質である有機溶媒の分離に有効で
あるといえる。
に透過、分離させるためには水と有機溶媒を比較して有
機溶媒に親和性の高い膜素材を用いればよい。これまで
には、ポリジメチルシロキサン膜、ゼオライトシリカ含
有ポリジメチルシロキサン膜、ポリスチレン−ポリフル
オロアルキレート共重合体膜、現在のところ気体透過性
が最も高いとされているポリ[1−トリメチルシリル−
1−プロピン]膜などで、水−アルコールなどの分離が
検討されている。しかし、実用的には、この膜の分離係
数は5〜40程度であり、分離性が不足している。また、
ポリジメチルシロキサンは、機械的強度が低いため薄膜
化が困難であり、透過速度を上げるためには不利であ
る。このように有機溶媒の分離性の高い分離膜は現在の
ところ得られていない。
パレーション法(Pervaporation,浸透気化法)がある。
この方法は、蒸留などで分離困難な共沸混合物、近沸点
混合物などの分離に有効な手法である。
化されている膜は、旧西ドイツのGFT 社が開発したポリ
ビニルアルコール系の複合膜が唯一のものといえる。こ
れは、水−アルコールなどのような共沸組成混合物から
の脱水に用いられるものである。しかし、発酵などから
得られた低濃度のアルコール溶液からアルコールを分離
するのに用いられる有機溶媒選択性膜は、充分な性能の
ものが得られていない。
ている有機溶媒を回収するのに十分な性能をもつ膜もま
だ開発されていない。水よりも沸点の高い有機溶媒を低
濃度で含む原液から有機溶媒を分離するために蒸留法を
用いた場合、非常に大きなエネルギーを必要とする。ま
た吸着、抽出などを利用すると処理後に有機溶媒を単離
する工程が必要となる。
ーパレーション法を適用することを前提とした有機溶媒
選択性膜の開発が必要であるといえる。
法の持つ問題点を克服し、水−有機溶媒混合物から有機
溶媒を選択的に透過分離する分離膜を提供することを目
的としている。
に、本発明は、α,β不飽和カルボニル化合物を主モノ
マーとする重合体を含むことを特徴とする。ここで、前
記α,β不飽和カルボニル化合物が、アクリル酸エステ
ルあるいはメタクリル酸エステルでもよい。また、前記
重合体が反応性官能基をもち、該官能基を架橋剤を用い
て架橋したものであってもよい。ここで、前記反応性官
能基が、カルボキシル基,ヒドロキシル基,グリシジル
基あるいはアミノ基であってもよい。さらに、前記架橋
剤が、ポリイソシアナート,メラミン樹脂,エポキシ樹
脂,金属キレート,多価金属あるいはポリアミンであっ
てもよい。前記重合体が支持体に積層されていてもよ
い。ここで、前記支持体は平膜状あるいは管状であって
もよい。前記管状の支持体は同心円筒状であってもよ
い。前記支持体は粒子,繊維あるいは中空糸のいずれか
であってもよい。また、本発明は、α,β−不飽和カル
ボニル化合物を主モノマとする重合体に少なくとも1つ
の支持体が積層されてなることを特徴とする。
またはメタクリル酸エステルを主成分とする共重合体
が、多孔質膜などの支持体上に製膜されているので、こ
の分離膜より、水−有機溶媒混合物から有機溶媒を選択
的に透過し水と有機溶媒を効率よく分離することができ
る。また、水−有機溶媒混合物中の有機溶媒の含有量が
少ない場合でも、有機溶媒を選択的に透過して高濃度の
有機溶媒を含む処理液を得ることができる。
する。
媒分離膜の構成を示す断面図である。図1において符号
1は水−有機溶媒分離膜(以下、単に分離膜という)で
ある。分離膜1は平膜状の支持体2と、この支持体2の
一表面上にコーティング等の手法により設けられた重合
体膜3とから構成されている。
孔質膜である。上記重合体膜3はアクリル酸エステルあ
るいはメタクリル酸エステルのいずれかの共重合体より
形成されている。
重合体膜3の露出面2を図2に示すように、例えば他の
支持体2により保護するようにしてもよい。この場合の
分離膜は重合体膜3の両面が2枚の平膜状の支持体2に
より保護されたサンドイッチ構造となる。
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルとして
は、側鎖が特定の有機溶媒との親和性が高いn-ブチル
基、tert- ブチル基、ベンジル基、ドデシル基などのよ
うな炭化水素系の基を有するものを挙げることができ
る。アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤とし、上
述の炭化水素系の基を有するものと例えばアクリル酸と
を酢酸エチル溶媒またはトルエン−酢酸エチル混合溶媒
(例えば、重量比でトルエン:酢酸エチル=1:20)
中において70℃で7〜8時間ラジカル重合させることに
より上述の共重合体が得られる。次にこの共重合体に分
離膜としての耐久性を要求する場合など必要に応じカル
ボキシル基と反応性のある官能基をもつ架橋剤を加える
ことができ、これにより、多孔質膜などの支持体上に例
えばコーティング等の手法を用いて製膜することにより
分離膜が得られる。
橋剤としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン
(TGXDA)などを用いることができるが、カルボキ
シル基,ヒドロキシル基,グリシジル基あるいはアミノ
基のような反応性官能基を有する重合体に対して、ポリ
イソシアナート,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,金属キ
レート,多価金属あるいはポリアミンのような架橋剤を
用いることもできる。
レーション法が用いられる。この方法は公知のものであ
り、近沸点混合物、共沸混合物、異性体などを分離する
のに有効な手段である。この方法は、膜を介して一方に
分離対象溶液を供給し、他方を真空に吸引して透過して
きた成分を冷却トラップを用いて捕集し分離するもので
ある。
(α)を用い以下のように示される。αB/A はB成分の
分離係数である。この場合、B成分が透過させたい物質
であり、A成分が除去したい物質である。分離係数
(α)は、分離される2つの物質AおよびBの濃度の比
で、透過物中の対応する物質の濃度の比を割った値とし
て定義される。濃度の単位は重量%でもモル比でもよ
い。
YA,YB:透過側のA,B成分濃度、また、透過性能を示す
値としてFlux(フラックス,流束)、およびFluxに膜厚
をかけて補正し、素材自体の性能を示した透過速度を用
いそれぞれ以下のように示される。
きいほど優れているものであり、また両者の積の大きい
膜の方が膜性能が優れているといえる。
0〜数1000、 透過速度は10-5〜10-7(kg・m/m2・hr)であ
り、水−有機溶媒混合物から有機溶媒を分離あるいは回
収するのに有効であることを示している。これは水と有
機溶媒を比較した場合、膜形成するのに用いているα,
β不飽和カルボニル化合物であるアクリル酸エステルな
どが有機溶媒の方に親和性があるためと考えられる。
明する。
てパーベーパレーション透過測定を行うのに適した装置
を示す図である。図4は図3に示したパーベーパレーシ
ョンセルの拡大断面図である。図3および図4を参照し
てパーベーパレーション(PV)透過測定の方法について説
明する。
ためのかくはんモータであり、13は供給側と透過側とを
一定温度に保つための恒温槽である。コールドトラップ
16は、下部室29の出口30から枝別れした管30A に設けら
れたニードルバルブ14を介し、すりガラスジョイント15
によって下部室29に接続されている。14A はニードルバ
ルブであり、17は真空ゲージであり、18はコールドトラ
ップである。20は他の測定系統と真空ポンプ19とを接続
するための管である。
なる耐溶剤性のガスケット25(例えば商品名:バイトン
ガスケット(Viton gasket)タイガースポリマー社製)と
濾紙27とに挟まれた薄膜26によって分離される。濾紙27
は円盤状の金属板28の上に裁置されている。濾紙27は金
属板28と薄膜26との間の緩衝材であり、濾紙の代わりに
薄いグラスフィルターを用いてもよい。スターラ21は、
溶剤が蒸発するのを防ぐための栓22(例えば商品名:マ
イティシール(Mighty Seal),藤原製作所株式会社製)に
開けられた穴に通されている。
ンセル12の供給側すなわち上部室23に注入され、スター
ラ21によってかくはんされ、透過側すなわち下部室29を
真空ポンプ19を用いて減圧することにより供給液31を透
過させ、透過によって得られた透過物を図2に示したコ
ールドトラップ16で補集する。
する。またPV(パーベーパレーション)透過測定開始直
後の供給液31および補集された透過液をそれぞれガスク
ロマトグラフィーによって分析し、透過させたい物質お
よび透過させずに除去したい物質の組成をそれぞれ決定
する。薄膜26の厚さはPV透過測定開始前に測定してお
く。これらの測定結果を、前述の式(1),(2) および(3)
に代入することにより、分離係数,Fluxおよび透過速度
を求めることができる。
わち既定濃度に調製した溶液中にテトロンメッシュで挟
んだ膜を浸漬し、恒温槽中に放置する。48時間以上放置
した後、膜の溶媒を濾紙などでぬぐい、膜の重量を秤量
し、この重量を膨潤時の重量Wwとする。この膜を48時間
以上真空中で乾燥させ、膜の重量を秤量し、乾燥時の重
量Wdとする。膨潤率W(%)は、次式(4) から計算す
る。
状のものを用いたが、例えば粒子,繊維,中空糸などを
支持体として用いることができる。
媒分離用の重合体膜を担持するための支持体として粒子
を用いた場合の複合型分離膜の作製工程を示す断面図で
ある。図5における(A) に示すように、容器40内で粒径
の揃った粒子を重合体の溶液中に浸漬させる。図5にお
ける(B) に示すように表面に重合体の溶液がコーティン
グされた粒子層41を例えばポリエチレンテレフタレート
などの仮支持部材42の上に形成する。乾燥後、図5にお
ける(C) に示すように粒子層41の上に第1の多孔質膜43
を載置したのち、仮支持部材42を取外し、図5における
(D) に示すように第2の多孔質膜44に代える。
水−有機溶媒分離能を有する粒子層41の両面が2枚の多
孔質膜43および44により挾着されているので、粒子層41
が各粒子レベルに飛散することなく、水−有機溶媒分離
を確実に行うことができる。
媒分離用の重合体膜を担持するための支持体として繊維
を用いた場合の複合型分離膜の作製工程を示す断面図で
ある。図6における(A) に示すように、まず複数本の繊
維50を用意し、例えば図5における(A) に示した容器内
の重合体の溶液中に浸漬して、繊維50の表面を重合体の
溶液でコーティングしたのち、乾燥させる。次に、図6
における(B) に示すように、第1の多孔質膜51の上に表
面コーティングされた繊維50を配置して層を形成する。
次に、繊維50の上に第2の多孔質膜52を配置して複合型
分離膜を得る。
媒分離能を有する繊維50を2枚の多孔質膜51および52が
挾み込んでいるので、繊維50が離散することなく、水−
有機溶媒分離を確実に行うことができる。
媒分離用の重合体膜を担持するための支持体として管状
または同心円筒状の中空糸を用いた場合の複合型分離膜
の作製工程を示す断面図である。図7における(A) およ
び(B) に示すように、複数本の中空糸60を用意し、例え
ば図5における(A) に示した容器内の重合体の溶液中に
浸漬して、中空糸60の外表面および内表面を重合体の溶
液でコーティングしたのち、乾燥させる。次に、図7に
おける(C) に示すようにコーティングされた中空糸60を
平膜状の第1の多孔質膜61の上に配置したのち、中空糸
60の上に同じく平膜状の第2の多孔質膜62を配置して図
7における(D) に示すように複合型分離膜を得る。さら
に、図7における(E) に示すようにこの複合型分離膜を
1ユニットとし、これを複数組立ててモジュールを作製
してもよい。
水−有機溶媒分離能を有する中空糸60を2枚の多孔質膜
61および62が挾み込んでいるので、中空糸60が離散する
ことなく、水−有機溶媒分離を確実に行うことができ
る。また、中空糸60は例えば同重量の繊維50と比較して
も、格段にコーティング面積が大きいので、繊維50より
水−有機溶媒分離能に優れたものとなる。
(C) に示した平膜状の多孔質膜61および62に代えて波板
状の多孔質膜63により中空糸60を支持するようにした複
合型分離膜の構成を示すものである。中空糸60が図7に
おける(F) に示したように波板状の多孔質膜63の谷部に
収まるように中空糸60と多孔質膜63の形状および寸法を
決定することにより、中空糸60を確実に固定できる。ま
た、図7における(F)に示した多孔質膜63の谷部にはそ
れぞれ1本の中空糸60が配設されているが、複数本の中
空糸60を配設することも可能である。
=1:20,重量比)中にアクリル酸-n- ブチル(以下、
BAという)とアクリル酸(以下、AAという)を31:3の
重量比で溶解し、さらに重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリルを添加して重合用溶液を得た。この溶液
中のBAとAAとを70℃で約8時間ラジカル重合させてアク
リル酸エステル,アクリル酸ランダム共重合体を得た。
この共重合体の分子量は重量平均分子量で70〜80万程度
であった。
量が25wt%になるようにトルエンを加え、架橋剤として
テトラグリシジルメタキシレンジアミン(TGXDA) をエポ
キシ基/カルボキシル基=1/20の割合で加え充分にかく
はんした後、厚さ38μm の剥離処理されたポリエチレン
テレフタレート(以下PET という)フィルムの剥離処理
面上に塗工により溶液をコーティングし、80℃で5分間
乾燥したのち、厚さ25μm のポリプロピレン多孔質膜の
支持体を貼り合せた。その後、PET フィルムのみを剥離
すると前記支持体上に膜厚60〜90μm の重合体膜が形成
される。さらに、この重合体膜の上にポリプロピレン多
孔質膜を貼り合せて複合型分離膜とした。
質膜に代えてポリテトラフルオロエチレン(登録商標テ
フロン)系多孔質膜,フルオロポア(住友電工社製)な
どのフッ素樹脂多孔質膜あるいは通常限外濾過膜として
用いられる酢酸セルロール多孔質膜も使用可能であっ
た。
図3および図4に示したパーベーパレーション透過測定
装置に薄膜として装着し、25℃で水−1,1,2-トリクロロ
エタン(以下、TCE という)混合溶液を上部室内に供給
し下部室内を0.05〜0.5 mmHgの減圧状態としてパーベー
パレーション法による分離を行ない次のような結果を得
た。
TCE の濃度との関係を示す。0.4wt%程度の低濃度の供
給液から、TCE が60wt%に濃縮された透過液が得られて
いることがわかる。TCE の水に対する溶解度は、0.45g/
100g(TCE/ 水) であるので、得られた透過液は2層に分
離していた。
wt%のとき、透過速度は、それぞれ1.08,1.21,1.81およ
び2.73(×10-6kg・m/m2・hr) であり、水に対するTCE の
分離係数αはそれぞれ629,373,379 および467 であっ
た。
化に対する分離係数αおよび全フラックスの関係を示
す。図9の曲線Aは分離係数αの変化を示し、図10の曲
線Bは全フラックスの変化を示す。
おける分離係数αは他の濃度における分離係数αの約2
倍になっている。PV透過法における分離係数αは、透過
液中のそれぞれの成分の組成比を供給液中のそれぞれの
成分の組成比で割った値となっているので、どちらかが
非常に低濃度の場合にわずかの濃度変化によって分離係
数αの変動が大きくなる。ガスクロマトグラフィーの低
濃度における検出精度によって分離係数αの変動が大き
くなるとも考えられる。透過速度は図10の曲線Bに示す
フラックスに膜厚をかけて算出されたものである。
クス,水のフラックスおよび全フラックスの関係を示
す。これは供給液中におけるTCE 濃度の増加により、図
9および図10に示したように全フラックスおよび分離係
数αが増加することを示すために、それぞれの成分に分
けて示したものである。図11において、曲線CはTCE の
フラックス、曲線Dは水のフラックス、曲線Eは全フラ
ックスの変化を示す。
の変化に対してほとんど変化していないことがわかる。
曲線CからTCE のフラックスは数倍の変化があることが
わかる。フラックスを求める式には各成分の濃度に依存
する項が含まれているので、曲線CおよびEのような変
化を示すものと考えられる。また、水のフラックスが一
定でTCE のフラックスが増加するので、透過液中のTCE
の割合も増加し、これに伴って分離係数αも増加すると
考えられる。
過速度はそれぞれ1.81,3.90,8.74および18.0(×10-7kg
・m/m2・hr) であった。
PV透過測定を行ない次のような結果を得た。
のとき、透過速度3.08(×10-6kg・m/m2・hr) 、水に対す
る分離係数(α)は316 であった。以下同様に55℃、0.
14wt%のとき透過速度は6.56(×10-6kg・m/m2・hr) 、分
離係数αは239 であり、70℃、0.15wt%のとき透過速度
は1.44(×10-5kg・m/m2・hr) 、分離係数αは145 であっ
た。また透過液は2層に分離して得られ、TCE の透過速
度は40,55 および70℃のときそれぞれ1.12,1.64 および
2.49(×10-6kg・m/m2・hr) であった。
ックスおよび全フラックスの関係を示す。図12におい
て、曲線FはTCE のフラックス、曲線Gは水のフラック
ス、曲線Hは全フラックスの変化を示す。曲線Fに示す
ようにTCE のフラックスは温度変化に対して比例してい
るが、曲線Gに示すように水のフラックスは指数関数的
に増加している。このため、曲線Hに示すように全フラ
ックスは温度変化に対して大きく変化している。
ル(LaMA)に替えた他は、同様の手順により得た分離膜で
PV透過測定を行ない次のような結果を得た。膜厚および
膜面積は実施例1と同様とした。
度は6.66(×10-7kg・m/m2・hr) 、水に対するTCE の分離
係数αは2264であった。また透過液は2層に分離して得
られ、TCE の透過速度は5.24(×10-7kg・m/m2・hr) であ
った。
供給してパーベーパレーション法による分離(25℃)を
行い、次のような結果を得た。
2.14, 5.33, 7.33wt %のとき、混合液の透過速度はそ
れぞれ0.0998, 0.245, 1.25, 2.34 ( ×10-5kg・m/m2・h
r) であり、水に対する酢酸エチルの分離係数αはそれ
ぞれ29.1, 59.3, 123, 96.3 であった。また透過液は2
層に分離して得られ、酢酸エチルの透過速度は0.00445,
0.138, 1.09, 2.07 (×10-5kg・m/m2・hr) であった。こ
れらの結果として透過液濃度の供給液濃度依存性を図13
に分離係数αおよびフラックスの供給液濃度依存性を図
14および図15に示す。
を供給してパーベーパレーション法による分離(25℃)
を行い次のような結果を得た。
7, 0.155, 0.470wt%のとき、透過速度はそれぞれ0.81
1, 1.07, 2.32 ( ×10-6kg・m/m2・hr) であり、水に対す
るクロロホルムの分離係数αはそれぞれ433, 467, 758
であった。またクロロホルムの透過速度は0.210, 0.45
0, 1.81 (×10-6kg・m/m2・hr) であった。
度依存性を図16に分離係数αおよびフラックスの供給液
濃度依存性を図17および図18に示す。
(二塩化エチレン,EDC)混合溶液を供給してパーベー
パレーション法による分離(25℃)を行い次のような結
果を得た。
0.500wt%のとき、透過速度は1.32, 1.70, 3.43(×10
-6kg・m/m2・hr) であり、水に対する1,2-ジクロロエタン
の分離係数αは246, 320, 441 であった。また1,2-ジク
ロロエタンの透過速度は0.243, 0.611, 2.36(×10-6kg
・m/m2・hr) であった。
度依存性を図19に分離係数αおよびフラックスの供給液
濃度依存性を図20および図21に示す。
(以下トリクレン)混合溶液を供給してパーベーパレー
ション法による分離(25℃)を行い次のような結果を得
た。
9, 0.0798wt%のとき、透過速度は1.15, 1.25, 1.46,
1.53 (×10-6kg・m/m2・hr) であり、水に対するトリクレ
ンの分離係数αは833, 804, 804, 838であった。またト
リクレンの透過速度は0.135, 0.240, 0.436, 0.614 (×
10-6kg・m/m2・hr) であった。
度依存性を図22に分離係数αおよびフラックスの供給液
濃度依存性を図23および図24に示す。
(以下パークレン)混合溶液を供給してパーベーパレー
ション法による分離(25℃)を行い次のような結果を得
た。
ppm のとき、透過速度は10.0, 9.03, 9.75, 9.94 (×10
-7kg・m/m2・hr) であり、水に対するパークレンの分離係
数αは2682, 1177, 905, 977であった。またパークレン
の透過速度は0.290, 0.359,0.543, 0.824 (×10-7kg・m/
m2・hr) であった。
度依存性を図25に分離係数およびフラックスの供給液濃
度依存性を図26および図27に示す。
過測定を行ない以下のような結果を得た。
05(×10-8kg・m/m2・hr) であった。透過液中のTCE は検
出限界以下であり、従って分離係数αは算出不能であっ
た。
PV透過測定を行ない以下の結果を得た。
(×10-8kg・m/m2・hr)、水に対するTCE の分離係数αは
3629であった。TCE の透過速度は4.50(×10-8kg・m/m2・
hr)であった。
い以下の結果を得た。
(×10-8kg・m/m2・hr) 、TCE は検出限界以下であり、比
較例1と同様に分離係数αは算出不能であった。
供給液は水−TCE 混合系であり、実施例4においては、
水−酢酸エチル混合系である。また、実施例5では水−
クロロホルム混合系であり、実施例6では水−EDC 混合
系であり、実施例7では水−トリクレン混合系であり、
実施例8では水−パークレン混合系である。
おける水−TCE 混合系の測定結果を示し、表2に実施例
4〜8における水−有機溶媒混合系の測定結果を示す。
例における(透過速度×α)の値が大きく、本実施例に
おいて作製された分離膜は優れた透過性を有することが
わかる。
た有機溶媒の濃度は0.05 〜0.08wt%(供給側濃度0.2w
t %,3時間測定後)であり、水−有機溶媒混合物中の
有機溶媒が効率よく回収されるとともに水が浄化され
る。
ブチル(tert-BA) ,アクリル酸シクロヘキシル(CHA) お
よびアクリル酸ベンジル(BeA) に替えそれぞれアクリル
酸(AA)との共重合体を合成した。これらと、実施例1お
よび3における薄膜BA-AA およびLaMA-AA とを比較する
ために、種々の測定値を表3に示す。
が厚くなると、拡散抵抗が増加し物質が透過しにくくな
る。Fluxは単位時間,単位面積あたりの透過量であるた
め、膜厚が異なる場合同じ素材であっても異なる結果が
得られる。よって膜厚が異なる場合は、これを考慮しな
いと透過性の差が側鎖の影響によるものなのか、膜厚に
よるものなのかの判定ができない。そこで、フラックス
に膜厚をかけて補正した透過速度を示した。BA-AA 膜お
よびLaMA-AA 膜の透過速度が残りの3種と比較して高い
のは、ガラス転移温度(Tg)が低いからであると考えられ
る。BA-AA 膜のTgは227.4K、LaMA-AA 膜のTgは216.5Kで
あり、残りの3種のTgは室温程度かそれ以上である。
高いと考えられているが、tert-BA-AA膜,CHA-AA膜およ
びBeA-AA膜は、透過速度が低いにもかかわらず分離係数
αも低い。これはTgがBA-AA 膜およびLaMA-AA 膜と比較
して高いためであると考えられる。
速度の高いもの程膨潤率が高いことがわかる。
様の手順により得た膜のPV透過測定を行い、次のような
結果を得た。
速度は1.97 (×10-6kg・m/m2・hr) 、水に対するTCE の分
離係数αは731 であった。また、TCE の透過速度は1.17
(×10-6kg・m/m2・hr) であった。
リル酸メチル(MA):アクリル酸-2- ヒドロキシエチル(H
EA)=60:30:10(重量比)、架橋剤をトリメチロールプ
ロパンアダクトトルイレンジイソシアナート(以下TMPT
DI)(イソシアナート基/ヒドロキシル基=1/20)に替え
た他は同様の手順により得た膜のPV透過測定を行い、次
のような結果を得た。
過速度は2.47 (×10-6kg・m/m2・hr)、水に対するTCE
の分離係数αは473 であった。またTCEの透過速度は
1.22(10-6kg・m/m2・hr) であった。
架橋剤をTMPTDI(イソシアナート基/ヒドロキシル基=
1/20) とした他は、同様の手順により得た膜のPV透過測
定を行い、次のような結果を得た。
速度は2.56 (×10-6kg・m/m2・hr) 、水に対するTCE の分
離係数αは639 であった。また、TCE の透過速度は1.43
(×10-6kg・m/m2・hr) であった。
クリル酸メチル(MMA):アクリル酸−2− ヒドロ
キシエチル(HEA)=78:15:7(重量比)、架橋剤をTMPTDI
(イソシアナート基/ヒドロキシル基=1/20)に替えた
他は、同様の手順にて得た膜のPV透過測定を行い次のよ
うな結果を得た。
速度は2.32 (×10-6kg・m/m2・hr) 、水に対するTCE の分
離係数αは667 であった。またTCE の透過速度は1.32
(×10-6kg・m/m2・hr) であった。
の実験結果を表4に示す。
においては以下のような効果がある。
エステルおよびメタクリル酸エステルを用いることによ
り高い分離性をもっている。
ができるので、水を浄化することができ、また有機物を
再利用することができる。
グなどの手法により容易に薄膜形成可能である。
ジメチルシロキサンに対しても、薄膜化が可能であり、
この素材との複合化が可能である。
構成を示す概略断面図である。
する水−有機溶媒分離膜の構成を示す概略断面図であ
る。
ついてパーベーパレーション透過測定を行うのに適した
装置の構成を示す概略立面図である。
の構成を示す拡大断面図である。
重合体膜を担持するための支持体として粒子を用いた場
合の複合型分離膜の作製工程を示す断面図である。
重合体膜を担持するための支持体として繊維を用いた場
合の複合型分離膜の作製工程を示す断面図である。
重合体膜を担持するための支持体として管状または同心
円筒状の中空糸を用いた場合の複合型分離膜の作製工程
を示す断面図である。
用いたパーベーパレーション法による水−有機溶媒の分
離における供給液中のTCE 濃度と透過液中のTCE 濃度と
の関係を示すグラフである。
用いたパーベーパレーション法による水−有機溶媒の分
離における供給液中のTCE 濃度と水に対するTCE の分離
係数との関係を示すグラフである。
を用いたパーベーパレーション法による水−有機溶媒の
分離における供給液中のTCE 濃度とフラックスとの関係
を示すグラフである。
を用いたパーベーパレーション法による水−有機溶媒の
分離における供給液中のTCE 濃度と全フラックス,水お
よびTCE フラックスとの関係を示すグラフである。
を用いたパーベーパレーション法による水−有機溶媒の
分離における全フラックス,水およびTCE フラックスの
温度依存性を示すグラフである。
(BA-AA) を用いたパーベーパレーション法による水−有
機溶媒の分離における供給液中の酢酸エチル濃度と透過
液中の同溶媒濃度との関係を示すグラフである。
チル濃度と、水に対する酢酸エチルの分離係数との関係
を示すグラフである。
チル濃度とフラックスとの関係を示すグラフである。
(BA-AA) を用いたパーベーパレーション法による水−有
機溶媒の分離における供給液中のクロロホルム濃度と透
過溶液中の同溶媒濃度との関係を示すグラフである。
ホルムと、水に対する同溶媒の分離係数との関係を示す
グラフである。
ホルム濃度と、フラックスとの関係を示すグラフであ
る。
(BA-AA) を用いたパーベーパレーション法による水−有
機溶媒の分離における供給液中のEDC 濃度と透過溶液中
の同溶媒濃度との関係を示すグラフである。
度と、水に対する同溶媒の分離係数との関係を示すグラ
フである。
度と、フラックスとの関係を示すグラフである。
(BA−AA) を用いたパーベーパレーション法によ
る水−有機溶媒の分離における供給液中のトリクレン濃
度と透過液中の同溶媒濃度との関係を示すグラフであ
る。
液中のトリクレン濃度と、水に対するトクリレンの分離
係数との関係を示すグラフである。
液中のトリクレン濃度とフラックスとの関係を示す図で
ある。
(BA-AA) を用いたパーベーパレーション法による水−有
機溶媒の分離における供給液中のパークレン濃度と透過
溶液中の同溶媒濃度との関係を示すグラフである。
液中のパークレン濃度と、水に対するパークレンの分離
係数との関係を示すグラフである。
液中のパークレン濃度とフラックスとの関係を示すグラ
フである。
Claims (9)
- 【請求項1】 アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルを主モノマーとする重合体を含むことを特徴と
する有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項2】 前記重合体が反応性官能基をもち、該官
能基を架橋剤を用いて架橋してなることを特徴とする請
求項1記載の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項3】 前記反応性官能基が、カルボキシル基,
ヒドロキシル基,グリシジル基あるいはアミノ基である
ことを特徴とする請求項2記載の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項4】 前記架橋剤が、ポリイソシアナート,メ
ラミン樹脂,エポキシ樹脂,金属キレート,多価金属あ
るいはポリアミンであることを特徴とする請求項2記載
の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項5】 前記重合体が支持体に積層されてなるこ
とを特徴とする請求項1記載の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項6】 前記支持体は平膜状あるいは管状である
ことを特徴とする請求項5記載の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項7】 前記管状の支持体は同心円筒状であるこ
とを特徴とする請求項6記載の有機溶媒選択透過膜。 - 【請求項8】 前記支持体は粒子,繊維あるいは中空糸
のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の有機
溶媒選択透過膜。 - 【請求項9】 アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルを主モノマーとする重合体に少なくとも1つの
支持体が積層されてなることを特徴とする有機溶媒選択
透過膜。
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