JP3190215U - 繊維ロープを用いた繋船索 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スーパー繊維ロープの係留索と繊維からなるテールロープの組み合わせでありながらも、破断強度を格段に高めることが出来、安全で、長く使える繊維ロープを用いた繋船索を提供する。【解決手段】 係留索3の端末のカウヒッチ7該当部分とテールロープ5のカウヒッチ7該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部8、9を形成することによって、係留索3とテールロープ5の径の差を少なくし、係留索3とテールロープ5とのカウヒッチ7での交点の接触面積を拡大し、局所的な負荷の集中を回避し、また、互いの大径部8、9を介して両ロープの交点に掛かる負荷が分散され易くなるようにした。【選択図】 図1

Description

本考案は、原油や液化ガスなどのエネルギー源を運ぶオイルタンカー、LNG船や鉱石などを運ぶバラ積船等、主として大型船舶を岸壁ビットやブイと係留するために用いられる繊維ロープを用いた繋船索に関する。
従来、特にオイルタンカーやLNG船等の液体運搬船は係留時、本船側のパイプラインと陸上側のパイプラインとの接続が離脱しないようにするために、船体が上下左右或いは前後に移動することをできるだけ少なくする必要があることから、繋船索には広くワイヤーロープが用いられている。
ただし、船舶の急激な変動(前後、左右そして上下の移動)に対応するために、例えばエンドレスの輪で形成されるテールロープと称される繊維ロープ(例えばPP+PET製等)を先端に取り付ける。両ロープは夫々の端のループ(或いはアイ)同士を金属製のシャックル、例えば(公序良俗違反につき、不掲載)で繋ぎ、テールロープの反対側を桟橋や岸壁の係船(繋船)柱(ボラード)などに繋留するようにしてある。例えばワイヤーロープが直径44mmで200mの長さであればテールロープは直径85mmで11mの長さの、ナイロンロープなど伸びの大きいロープが使用される。つまり、ワイヤーロープに2%の伸びを与える負荷がかかると、テールロープは30%伸びる計算になっている。本船上のウインチから100m繰り出すなら、ワイヤーロープは2m未満しか伸びないが、テールロープは3m伸びることになり、この先端の短いテールロープで船舶の急激な変動に対応できる。つまり、ショックアブソーバーとしての機能を持たせている。
然し乍ら、ワイヤーロープは言うまでもなく、重くて錆び易く、船体を痛めたり、更にはグリスアップなどのメンテナンスも必要で、経費が掛かるなどの難点がある。
この点を解決するために、近年では、ワイヤーロープに替えて所謂スーパー繊維のロープが採用されるようになってきている。
このスーパー繊維ロープは、代表例としてはダイニーマ(商品名)を使用したもので、欧米で始まり、日本でも採用されている。その理由は、高強度、低伸度であることに加えて、ワイヤーロープにはない特性、つまり軽く、長持ちし、メンテナンスも不要等の利点を備えているためである。
但し、このスーパー繊維ロープはワイヤーロープの代わりであり、品質的にもワイヤーロープと同等の小さな伸び率であるから、必然的にテールロープを必要とすることには変わりがない。また、スーパー繊維ロープとテールロープとは、図6に示すように、金属製のシャックルで繋がれている点も従前と同様である。このシャックルも、重く、錆び易く、船舶を不用意に傷め、更には本船側の係留索としてのスーパー繊維ロープとテールロープの繋ぎ作業も手数がかかり、併せて殊にロープが破断した時などには、金属のシャックルが振り回されて、周囲に甚大な影響を及ぼすリスクを持っている。
このような現状にあって、繋船索には金属製の金具なども用いないようにしようと言う傾向が見られるようになり、その解決策が提案されている。即ち、国際的な組織であるOCIMF(石油会社国際海事評議会)が、図5に示すように、高強度・低伸度ロープからなる係留索の端末ループにナイロンロープからなるテールロープの端末をカウヒッチと言う結び方によって接続する繋船索を採用するようにとのルール或いはガイドラインを提案している。そして、またこの繋ぎ方を採用すると、ワイヤーロープと金属シャックルを用いた場合に比べてその85%までの強度効率は得られるとしている。
以上の手段を採用すれば、従前のワイヤーロープやシャックルを用いる繋船索に比べて確かに安全性が高く、しかも係留索とテールロープの繋ぎ作業が容易な繋船索が得られる。
然しながら、ここに示されるカウヒッチと言う繋ぎ方は、図5に示すように、係留索である細いスーパー繊維ロープがテールロープである太いナイロン製のロープに直に絡み合うのであるが、ロープの種類やサイズ等細かな運用基準は何も設けられていない。つまり、スーパー繊維ロープの仕様(形状、サイズ、強度他)に対するテールロープの仕様が明確に規定されていない。唯一と言ってよい数値は、このOCIMFの推奨規定にある、基本的にはオイルタンカーを対象にしたもので、ワイヤーロープ強度125%の強度のテールロープ(ただし、ナイロン製は137%)を用い、また当該テールロープの使用期間は18ヶ月と言うものであった。即ち、スーパー繊維ロープについては何も規定がないために、業界一般ではワイヤーの規定をそのまま適用したりしている例もある。合わせて、カウヒッチによる繋ぎの強度効率などについての規定、運用基準等も全く皆無であるため、テールロープの使用期間についても18ヶ月にこだわらず、長く使用している。ただ、スーパー繊維ロープの係留索を5〜10年スパンで使用している業界内の一般的な慣例を考慮すると、テールロープの使用年限は常識的に考えて1〜2年スパンであるのが望ましいと考えられる。
何れにしても強度等品質面においては、全く規定、指針更には運用基準等がないのが現状である。
このような現状を踏まえて、本考案者等は、適切な強度、安全性を備えた繋船索の開発に着手した。
そこでまず、ポリプロピレン繊維とポリエステル繊維とからなる係留索のほぼ2倍の径のテールロープとスーパー繊維ロープの係留索を用いて引っ張り試験を行ってみた。結果は、図5上、特にA、B、Cの3箇所で、理論値以下の負荷で破断した。注目する点は、やはり、カウヒッチによる繋ぎ部分の構造であり、また、破断はロープサイズの組み合わせ方によって、スーパー繊維ロープが切れたり、テールロープが切れたり、更には両方とも切れたりした。
この破断の理由を類推するに、カウヒッチは歪な形で両ロープが絡み合う上に、両ロープの幾つかある交点では細いロープによって太いロープが受ける圧縮力は面が限定され、ここに細いロープの応力が集中し、理論値以下の負荷でも簡単に破断するのではないかと考えられる。
このように、開発の過程において、スーパー繊維ロープに適したテールロープの選定とカウヒッチによる繋ぎ部分における強度効率等品質面においては種々の条件が必要であることが分かってきた。ただ、カウヒッチは取り扱いが容易で、本考案に係る繋船索には好適であるため、基本的には繋ぎの手段としてはカウヒッチを採用することとした。
本考案は、以上の試験結果を踏まえ、破断の生じる原因が、両ロープの径の差にあることと繋船索に係る引っ張り応力が繋ぎの部分の一部に集中することに思い至り、更に試行錯誤の結果、両ロープの径の差を少なくするとともに、負荷を分散させることで、容易には破断しない好適な繋船索を開発することができるに至ったので、ここに提案する。
従って、本考案は、スーパー繊維ロープの係留索と繊維からなるテールロープの組み合わせでありながらも、破断強度を格段に高めることが出来、安全で、長く使える繊維ロープを用いた繋船索を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索は、スーパー繊維ロープからなる係留索の端末ループに一般繊維ロープからなるテールロープの端末がカウヒッチ接続されてなる繊維ロープを用いた繋船索において、前記係留索の端末のカウヒッチ該当部分とテールロープのカウヒッチ該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部が形成されて、係留索とテールロープの径の差が少なくなるように形成されたものである。
上記のように構成された本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索によって船舶を岸壁ビットやブイに係留するには、図4に示すように、本線から繰り出された係留索の端末ループにテールロープの一端を通した後、ここを広げてループを作り、このループの中にテールロープの他端を通してそのまま他端を引いてしっかりと結び付ける。次いで、このテールロープの他端を拡げてループを作り、これを岸壁のビットやブイに通して係船する。このとき、カウヒッチ部分においては、テールロープの大径部に係留索の大径部がしっかりと繋がれるようにする。
本考案の繊維ロープを用いた繋船索は、汎用されている従来のワイヤーロープに比べて、強さ、伸びは略同等若しくはそれ以上である上に、軽く、長持ちし、メンテナンス不要などのワイヤーロープにはない特性を備えているため、使い勝手が良いのは言うまでもなく、カウヒッチと言う簡便なロープの繋ぎ方で係留索とテールロープとを繋ぐので、シャックルを用いるのに比べて、リスクの解消による安全性の確保と接続作業の大幅な改善を見ることが出来るに至った。
そして殊に本考案においては、前記係留索の端末のカウヒッチ該当部分とテールロープのカウヒッチ該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部が形成されて、係留索とテールロープの径の差が少なくなるように形成したことによって、係留索とテールロープとの両ロープの交点の接触面積を拡大でき、局所的な負荷の集中を上手く回避でき、また、互いの大径部を介して両ロープの交点に掛かる負荷を上手く分散し易く、その結果、破断を上手く解消でき、また、長く使用できるようになった。
以上の構成において、本考案は、請求項2に記載のように、係留索の大径部とテールロープの大径部の径の比率は1:1〜1.3の範囲であるのが望ましい。
テールロープの大径部の係留索の大径部に対する比率が1を下回ると、破断が生じたり、また使用されるロープの素材によっては破断が生じ、効果が安定せず、逆に1.3を上回ると、製造コストが高価になる割は効果の面で、1.3以下のものとの有意な差が見られないからである。
以上の構成において、本考案は、請求項3に記載のように、テールロープの大径部は、合成繊維製の織物をスーパー繊維を用いた織られた布で覆って所定厚に縫着されたプロテクターをロープ外周に巻付けて形成されるのが望ましい。
プロテクターを介して局所的の負荷を一層的確に拡散させることができ、破断の防止と耐用年数を伸ばすことが出来るからである。
また本考案は、請求項4〜6に記載のように、係留索の大径部は、全周に所定肉厚のカバーが巻き付けられていると共に、更にこのカバーの上から所定径のロープが巻き付けられて形成されるのが望ましい。
係留索もテールロープのようにプロテクターを適用すると反って大径部同士の馴染みが悪くなり、歪が生じるが、係留索側にロープを用いることで、係留索の屈曲度合いが高まり馴染みが改善され、所期の目的を一層的確に達成できるからである。また、テールロープは一般繊維で伸びがあるから、テールロープ側にカバーとロープを採用しても、巻付けたロープがずれ易く、結果として応力集中部分が生じ、望ましくないからである。
本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索を示し、要部を一部拡大して表した使用説明図である。 係留索の大径部を示す要部の一部切欠き分解説明図である。 テールロープの大径部を示し、(A)はプロテクターを開いた状態の拡大平面図、(B)はプロテクターを装着した時の拡大平面図である。 カウヒッチの結び方の手順を示し、(A)はテールロープの一端を係留索の端部ループに挿入した状態を、(B)はテールロープの他端を一端のループに挿入した状態を、(C)はテールロープの他端を引き締めて係留索に繋ぐ直前の状態を示す要部の作用図である。 比較例を示し、図1中の拡大表示された部分に対応する説明図である。 従来の係留の仕方を示し、一部を取り出して拡大した拡大図を含む説明図である。
以下、本考案の実施例を説明する。
繋船索1は、図1に示すように、本船2側に繋がれる係留索3とこの係留索3の繰り出し側端末に繋がれ、他端が桟橋や岸壁の係船(繋船)柱(ボラード)4などに繋留されるテールロープ5とからなる。このテールロープ5は、係留索3端末のループ6〔図4(A)、(B)参照〕にカウヒッチ7を介して繋がれる。
このように係留索3とテールロープ5をカウヒッチ7で繋ぐ手段は既に特に大型の船舶、例えば原油や液化天然ガスなどのエネルギー源を運ぶオイルタンカー、LNG船や鉱石などを運ぶバラ積船等で行われている。
また、係留索3にスーパー繊維、例えばケプラー、ペクトラン、更にはダイニーマ(何れも商品名)等を用いて得られた繊維ロープが近年使用されるようになっている。このスーパー繊維ロープそのものは高価であるため、船価の高いこれら大型船で使用されるようになってきている。また、テールロープ5は、ナイロン製で比較的伸びのある繊維で作られたロープ(一般繊維ロープの一例)が採用されている。
本考案において、係留索3は、基本的にはダイニーマ(商品名)、具体的は超高分子ポリエチレン・ダイニーマを用いて得られるロープで、ワイヤーロープに比較してはるかに軽量で、ワイヤーロープ並の高強度、更には低伸度を備えたものである。ロープ径は50mm、強度1770kNである。また、テールロープ5は、高強度ポリプロピレン糸とナイロン糸を使用した船舶用複合ロープで、伸度を抑え、また、水に沈まず、水中で強度が低下せず、使用後も硬くならないという特性を持つものが採用されている。ロープ径は95mm、強度は2370kNである。この強度はエンドレスの輪の形状を採用したためである。
これら係留索3とテールロープ5における前記カウヒッチ7部分では所定の範囲にわたって、夫々大径部8、9が形成されている。
係留索3の大径部8は、図2に示すように、全周に所定肉厚のカバー10が巻き付けられていると共に、更にこのカバー10の上から所定径のロープ11が巻き付けられて形成されている。カバー10は合成繊維からなるストランドを撚り合わせて当該係留索3の周囲を囲繞した表皮層で、係留索3の径の16%の厚みに形成される。また、このカバー10の上に巻き付けられる前記ロープ11は合成繊維のストランドを撚り合わせて得られたロープで、ロープ径は係留索3の径の32%である。従って、例えば係留索3の直径を50mmとした場合、カバー10の厚みは約8mm、ロープは約16mmで、大径部8の直径は約98mmとなる。
また、テールロープ5の大径部9は、図3に示すように、合成緯繊維製(例えばポリエステル)の織物をスーパー繊維、具体的にはダイニーマ(商品名)繊維を用いて織られた布12で覆って、約8mmの所定厚に逢着されたプロテクター13をこのテールロープ5の外周に巻付けて形成される。従って、例えばテールロープ5の直径を95mmとした場合、プロテクター13の厚みは8mmで、大径部9の直径は約111mmとなる。布12にはテールロープ5を囲繞した際に両端がオーバーラップする程度の幅(一例として155mm程)に形成され、このオーバーラップ部分に布テープ14が逢着されていて、テールロープ5の囲繞を容易にしている。
以上のように構成された係留索3とテールロープ5を用いて船舶を岸壁の係留柱(図1にはボラードを示す)4に繋留するには、図4(A)〜(C)に示すように、カウヒッチと言う繋ぎ方によって結ばれる。
即ち、先ず同図(A)に示すように、本船2から繰り出された係留索3の端末ループ6にテールロープ5の一端を通し、その後、この一端を広げてループ5Aを作り、次いで同図(B)に示すように、このループ5Aの中にこのテールロープ5の他端を通してそのままこの他端を引き、同図(C)に示すように、更にしっかり引っぱり、最終的には図1の拡大部分で示すように、互いの大径部8、9がしっかりと絡み合うように繋ぎ合わせる。次いで、このテールロープの他端を拡げてループ5Bを作り、これを岸壁の係留柱4に通して係船する。
大径部を備えない係留索とテールロープとをカウヒッチで直に繋ぐと、船舶の大きさによっても異なるが、概ね両者の径の差は1対1.9〜1対2.0程になる。しかし、本考案に係る係留索3とテールロープ5を用いると大径部8、9の寸法差は、上述の通り、1対1.13となり、係留索3とテールロープ5とのカウヒッチ7部分における径の差の比率を大幅に小さくできる。その結果、カウヒッチ7部分における係留索3とテールロープ5との接触面積を広げることが出来、負荷が局所的に集中するのを上手く回避できるようになった。また、カバー10やロープ11で係留索3を、またプロテクター13でテールロープ5を夫々覆うことによって、負荷をこれらの覆い物を介して上手く分散させることができ、その結果、更に前記負荷が局所的に集中するのを効果的に防止できるようになり、所期の目的を上手く達成できた。即ち、スーパー繊維ロープの係留索と繊維からなるテールロープの組み合わせでありながらも、破断強度を格段に高めることが出来、安全で、長く使える繊維ロープを用いた繋船索を提供出来るに至った。
本考案を実施例を挙げてさらに説明する。しかし、本考案はこれに限定されないことは言うまでもない。
先ず、係留索3としては、ダイニーマ(商品名)を用いてえられたストランドを12本撚り合わせて内層ロープ15を形成し、得られた内層ロープ15の外側を、同じくダイニーマ(商品名)とポリエステルを複合して撚り合わせたストランド3本を16本撚り合わせて得た外層ロープ16を配して直径50mmのダイニーマ(商品名)を主体とした係留索3(ファイナルMラインJ:商品名)を得た。
そして、この係留索3の先端に形成された端末ループ6部分でカウヒッチ7によってテールロープ5が接触する部分の所定範囲の外周に、前記カバー10とロープ11を配した。カバー10は、ユニロン繊維を用いた得たストランドを24本撚り合わせて前記所定範囲の外周を囲繞する、厚みは約8mmの大径部外層ロープ層で形成される。さらに、この大径部外層ロープ層、つまりカバ―10の外周を、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂繊維を素材にして得られたストランドを16本撚り合わせて得た直径約16mmのロープ11で囲繞することで、直径約98mmとなる大径部8を形成した。
また、テールロープ5としては、ポリプロピレンとナイロン(低伸度型)との複合繊維を撚り合わせて得られたストランド2本を更に6本撚り合わせて、直径95mmのロープ(ベルミックスGサザンクロス:商品名)を得、これを所要長さ(約23m程)に切断し、切断端末を結合して長さ11mのエンドレス、つまりリング(輪)にした。
そして、これらのテールロープ5の一端側でカウヒッチ7によって前記係留索3が接触する部分の所定範囲の外周に、前記プロテクター13を囲繞した。
このプロテクター13は、合成緯繊維製(例えばポリエステル)の織物をスーパー繊維、具体的にはダイニーマ(商品名)繊維で織られた布12で包蔵して、約8mm厚に逢着して得られる。この布12で、このテールロープ5の係留索3が接触する部分の所定範囲の外周を囲繞することで、直径約111mmの大径部9を形成した。更に、この布12にはテールロープ5を囲繞した際に両端がオーバーラップする程度の幅(一例として155mm程)に形成して、このオーバーラップ部分に布テープ14を逢着することによって、囲繞作業が容易になるようしてある。
更に、上記以外にも、直径約88〜147mmの範囲、つまり、大径部の比率を係留索側を1 としてテールロープ側を0.9〜1.5となる範囲で係留索3の径を順次ランダムに変えて8本を用意し、都合9本のサンプルを用意した。
実施例2では、係留索3の大径部8のロープ11としてナイロン素材を用いた直径約13mmを使用した。その他の構造、形状等は実施例1と同じにし、また、テールロープ5の条件も実施例1と同様にした。
実施例3では、テールロープ5をポリプロピレンとポリエステルとの複合繊維を撚り合わせて得られたストランド2本を更に6本撚り合わせて、同じく95mmのロープを得、これを、実施例1と同様に、所要長さ(約23m程)に切断し、切断端末を結合して長さ11mのエンドレスにしてテールロープ5(ベルミックスサザンクロス:商品名)を得た。また、実施例1と同様に、上記以外にも、直径約88〜147mmの範囲、つまり、大径部の比率を係留索側を1 としてテールロープ側を0.9〜1.5となる範囲で係留索3の径を順次ランダムに変えて8本を用意し、都合9本のサンプルを用意した。更に、このサンプルに繋ぐ係留索3は実施例1と同様のものを用いた。
また、実施例4では、実施例2の係留索3と実施例3のテールロープ5を組み合わせたものを用意した。
以上のようにして得た各実施例の係留索とテールロープとをカウヒッチで繋いで繋船索を得、夫々を引っ張り試験機に掛けて強度を測定した。
引っ張り試験機によって繋船索に負荷される引っ張り力は、ワイヤーロープに適用される引っ張り力を参照して同等の負荷を与えた。
結果を表1に示す。
Figure 0003190215
結果は、実施例1〜4の何れにおいても、試験例の3〜9の範囲、つまり係留索3の大径部対テールロープの大径部の径の比が1:1〜1.48の範囲であるのが望ましいことが分かった。
係留索3の大径部に対するテールロープの大径部の径の比が0.9より下回ると、何れの実施例においても破断の生じることが分かった。また、0.97では素材の種類によって破断が生じたり、生じなかったりして、安定性に欠けることが分かった。
逆に1.48を上回る場合には、破断は生じないが、プロテクターの製造コストが高価になり、また、高価な割には、得られる効果には1.48以下の場合との有意な差が認められなかった。
以上の引っ張り試験結果から、係留索3の大径部とテールロープの大径部の径の比率は0.9〜1.48の範囲であるのが望ましいが、安全性と経済効果とを勘案した結果、好ましい範囲は1〜1.3の範囲であることが分かった。
なお、本考案の上記実施例に示されたテールロープ5は、エンドレスの輪に形成されたものを採用しているが、一本のロープの両端に夫々リング、つまりアイを形成したものも採用してみたが、上記実施例と同様の作用効果を発揮することが分かった。
従って、このアイと前記テールロープ5のループ5A、5Bとは互いに同等の機能を発揮するものであるから、本考案では、これらを便宜的にループと称する。
また、係留索3にあっても、一本のロープの繰り出し側端末にアイを形成するタイプも採用でき、上記と同様にこのアイも便宜的にループと称する。
1…繋船索
2…本船
3…係留索
4…係留柱
5…テールロープ
6…ループ
7…カウヒッチ
8…係留索の大径部
9…テールロープの大径部
10…カバー
11…ローブ
13…プロテクター
特表2008−534349号公報 特開2005−96585号公報 図5 図6
本考案は、原油や液化ガスなどのエネルギー源を運ぶオイルタンカー、LNG船や鉱石などを運ぶバラ積船等、主として大型船舶を岸壁ビットやブイと係留するために用いられる繊維ロープを用いた繋船索に関する。
従来、特にオイルタンカーやLNG船等の液体運搬船は係留時、本船側のパイプラインと陸上側のパイプラインとの接続が離脱しないようにするために、船体が上下左右或いは前後に移動することをできるだけ少なくする必要があることから、繋船索には広くワイヤーロープが用いられている。
ただし、船舶の急激な変動(前後、左右そして上下の移動)に対応するために、例えばエンドレスの輪で形成されるテールロープと称される繊維ロープ(例えばPP+PET製等)を先端に取り付ける。両ロープは夫々の端のループ(或いはアイ)同士を金属製のシャックルで繋ぎ、テールロープの反対側を桟橋や岸壁の係船(繋船)柱(ボラード)などに繋留するようにしてある。例えばワイヤーロープが直径44mmで200mの長さであればテールロープは直径85mmで11mの長さの、ナイロンロープなど伸びの大きいロープが使用される。つまり、ワイヤーロープに2%の伸びを与える負荷がかかると、テールロープは30%伸びる計算になっている。本船上のウインチから100m繰り出すなら、ワイヤーロープは2m未満しか伸びないが、テールロープは3m伸びることになり、この先端の短いテールロープで船舶の急激な変動に対応できる。つまり、ショックアブソーバーとしての機能を持たせている。
然し乍ら、ワイヤーロープは言うまでもなく、重くて錆び易く、船体を痛めたり、更にはグリスアップなどのメンテナンスも必要で、経費が掛かるなどの難点がある。
この点を解決するために、近年では、ワイヤーロープに替えて所謂スーパー繊維のロープが採用されるようになってきている。
の理由は、高強度、低伸度であることに加えて、ワイヤーロープにはない特性、つまり軽く、長持ちし、メンテナンスも不要等の利点を備えているためである。
但し、このスーパー繊維ロープはワイヤーロープの代わりであり、品質的にもワイヤーロープと同等の小さな伸び率であるから、必然的にテールロープを必要とすることには変わりがない。また、スーパー繊維ロープとテールロープとは、図6に示すように、金属製のシャックルで繋がれている点も従前と同様である。このシャックルも、重く、錆び易く、船舶を不用意に傷め、更には本船側の係留索としてのスーパー繊維ロープとテールロープの繋ぎ作業も手数がかかり、併せて殊にロープが破断した時などには、金属のシャックルが振り回されて、周囲に甚大な影響を及ぼすリスクを持っている。
このような現状にあって、繋船索には金属製の金具なども用いないようにしようと言う傾向が見られるようになり、その解決策が提案されている。即ち、国際的な組織であるOCIMF(石油会社国際海事評議会)が、図5に示すように、高強度・低伸度ロープからなる係留索の端末ループにナイロンロープからなるテールロープの端末をカウヒッチと言う結び方によって接続する繋船索を採用するようにとのルール或いはガイドラインを提案している。そして、またこの繋ぎ方を採用すると、ワイヤーロープと金属シャックルを用いた場合に比べてその85%までの強度効率は得られるとしている。
以上の手段を採用すれば、従前のワイヤーロープやシャックルを用いる繋船索に比べて確かに安全性が高く、しかも係留索とテールロープの繋ぎ作業が容易な繋船索が得られる。
然しながら、ここに示されるカウヒッチと言う繋ぎ方は、図5に示すように、係留索である細いスーパー繊維ロープがテールロープである太いナイロン製のロープに直に絡み合うのであるが、ロープの種類やサイズ等細かな運用基準は何も設けられていない。つまり、スーパー繊維ロープの仕様(形状、サイズ、強度他)に対するテールロープの仕様が明確に規定されていない。唯一と言ってよい数値は、このOCIMFの推奨規定にある、基本的にはオイルタンカーを対象にしたもので、ワイヤーロープ強度125%の強度のテールロープ(ただし、ナイロン製は137%)を用い、また当該テールロープの使用期間は18ヶ月と言うものであった。即ち、スーパー繊維ロープについては何も規定がないために、業界一般ではワイヤーの規定をそのまま適用したりしている例もある。合わせて、カウヒッチによる繋ぎの強度効率などについての規定、運用基準等も全く皆無であるため、テールロープの使用期間についても18ヶ月にこだわらず、長く使用している。ただ、スーパー繊維ロープの係留索を5〜10年スパンで使用している業界内の一般的な慣例を考慮すると、テールロープの使用年限は常識的に考えて1〜2年スパンであるのが望ましいと考えられる。
何れにしても強度等品質面においては、全く規定、指針更には運用基準等がないのが現状である。
このような現状を踏まえて、本考案者等は、適切な強度、安全性を備えた繋船索の開発に着手した。
そこでまず、ポリプロピレン繊維とポリエステル繊維とからなる係留索のほぼ2倍の径のテールロープとスーパー繊維ロープの係留索を用いて引っ張り試験を行ってみた。結果は、図5上、特にA、B、Cの3箇所で、理論値以下の負荷で破断した。注目する点は、やはり、カウヒッチによる繋ぎ部分の構造であり、また、破断はロープサイズの組み合わせ方によって、スーパー繊維ロープが切れたり、テールロープが切れたり、更には両方と
も切れたりした。
この破断の理由を類推するに、カウヒッチは歪な形で両ロープが絡み合う上に、両ロープの幾つかある交点では細いロープによって太いロープが受ける圧縮力は面が限定され、ここに細いロープの応力が集中し、理論値以下の負荷でも簡単に破断するのではないかと考えられる。
このように、開発の過程において、スーパー繊維ロープに適したテールロープの選定とカウヒッチによる繋ぎ部分における強度効率等品質面においては種々の条件が必要であることが分かってきた。ただ、カウヒッチは取り扱いが容易で、本考案に係る繋船索には好適であるため、基本的には繋ぎの手段としてはカウヒッチを採用することとした。
本考案は、以上の試験結果を踏まえ、破断の生じる原因が、両ロープの径の差にあることと繋船索に係る引っ張り応力が繋ぎの部分の一部に集中することに思い至り、更に試行錯誤の結果、両ロープの径の差を少なくするとともに、負荷を分散させることで、容易には破断しない好適な繋船索を開発することができるに至ったので、ここに提案する。
従って、本考案は、スーパー繊維ロープの係留索と繊維からなるテールロープの組み合わせでありながらも、破断強度を格段に高めることが出来、安全で、長く使える繊維ロープを用いた繋船索を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索は、スーパー繊維ロープからなる係留索の端末ループに一般繊維ロープからなるテールロープの端末がカウヒッチ接続されてなる繊維ロープを用いた繋船索において、前記係留索の端末のカウヒッチ該当部分とテールロープのカウヒッチ該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部が形成されて、係留索とテールロープの径の差が少なくなるように形成されたものである。
上記のように構成された本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索によって船舶を岸壁ビットやブイに係留するには、図4に示すように、本線から繰り出された係留索の端末ループにテールロープの一端を通した後、ここを広げてループを作り、このループの中にテールロープの他端を通してそのまま他端を引いてしっかりと結び付ける。次いで、このテールロープの他端を拡げてループを作り、これを岸壁のビットやブイに通して係船する。このとき、カウヒッチ部分においては、テールロープの大径部に係留索の大径部がしっかりと繋がれるようにする。
本考案の繊維ロープを用いた繋船索は、汎用されている従来のワイヤーロープに比べて、強さ、伸びは略同等若しくはそれ以上である上に、軽く、長持ちし、メンテナンス不要などのワイヤーロープにはない特性を備えているため、使い勝手が良いのは言うまでもなく、カウヒッチと言う簡便なロープの繋ぎ方で係留索とテールロープとを繋ぐので、シャックルを用いるのに比べて、リスクの解消による安全性の確保と接続作業の大幅な改善を見ることが出来るに至った。
そして殊に本考案においては、前記係留索の端末のカウヒッチ該当部分とテールロープのカウヒッチ該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部が形成されて、係留索とテールロープの径の差が少なくなるように形成したことによって、係留索とテールロープとの両ロープの交点の接触面積を拡大でき、局所的な負荷の集中を上手く回避でき、また、互いの大径部を介して両ロープの交点に掛かる負荷を上手く分散し易く、その結果、破断を上手く解消でき、また、長く使用できるようになった。
以上の構成において、本考案は、請求項2に記載のように、係留索の大径部とテールロープの大径部の径の比率は1:1〜1.3の範囲であるのが望ましい。
テールロープの大径部の係留索の大径部に対する比率が1を下回ると、破断が生じたり、また使用されるロープの素材によっては破断が生じ、効果が安定せず、逆に1.3を上回ると、製造コストが高価になる割は効果の面で、1.3以下のものとの有意な差が見られないからである。
以上の構成において、本考案は、請求項3に記載のように、テールロープの大径部は、合成繊維製の織物をスーパー繊維を用いた織られた布で覆って所定厚に縫着されたプロテクターをロープ外周に巻付けて形成されるのが望ましい。
プロテクターを介して局所的の負荷を一層的確に拡散させることができ、破断の防止と耐用年数を伸ばすことが出来るからである。
また本考案は、請求項4〜6に記載のように、係留索の大径部は、全周に所定肉厚のカバーが巻き付けられていると共に、更にこのカバーの上から所定径のロープが巻き付けられて形成されるのが望ましい。
係留索もテールロープのようにプロテクターを適用すると反って大径部同士の馴染みが悪くなり、歪が生じるが、係留索側にロープを用いることで、係留索の屈曲度合いが高まり馴染みが改善され、所期の目的を一層的確に達成できるからである。また、テールロープは一般繊維で伸びがあるから、テールロープ側にカバーとロープを採用しても、巻付けたロープがずれ易く、結果として応力集中部分が生じ、望ましくないからである。
本考案に係る繊維ロープを用いた繋船索を示し、要部を一部拡大して表した使用説明図である。 係留索の大径部を示す要部の一部切欠き分解説明図である。 テールロープの大径部を示し、(A)はプロテクターを開いた状態の拡大平面図、(B)はプロテクターを装着した時の拡大平面図である。 カウヒッチの結び方の手順を示し、(A)はテールロープの一端を係留索の端部ループに挿入した状態を、(B)はテールロープの他端を一端のループに挿入した状態を、(C)はテールロープの他端を引き締めて係留索に繋ぐ直前の状態を示す要部の作用図である。 比較例を示し、図1中の拡大表示された部分に対応する説明図である。 従来の係留の仕方を示し、一部を取り出して拡大した拡大図を含む説明図である。
以下、本考案の実施例を説明する。
繋船索1は、図1に示すように、本船2側に繋がれる係留索3とこの係留索3の繰り出し側端末に繋がれ、他端が桟橋や岸壁の係船(繋船)柱(ボラード)4などに繋留されるテールロープ5とからなる。このテールロープ5は、係留索3端末のループ6〔図4(A)、(B)参照〕にカウヒッチ7を介して繋がれる。
このように係留索3とテールロープ5をカウヒッチ7で繋ぐ手段は既に特に大型の船舶、例えば原油や液化天然ガスなどのエネルギー源を運ぶオイルタンカー、LNG船や鉱石
などを運ぶバラ積船等で行われている。
また、係留索3にスーパー繊維、例えばケラー(登録商標)クトラン(登録商標)、更には超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)を用いて得られた繊維ロープが近年使用されるようになっている。このスーパー繊維ロープそのものは高価であるため、船価の高いこれら大型船で使用されるようになってきている。また、テールロープ5は、ナイロン製で比較的伸びのある繊維で作られたロープ(一般繊維ロープの一例)が採用されている。
本考案において、係留索3は具体的は超高分子ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)を用いて得られるロープで、ワイヤーロープに比較してはるかに軽量で、ワイヤーロープ並の高強度、更には低伸度を備えたものである。ロープ径は50mm、強度1770kNである。また、テールロープ5は、高強度ポリプロピレン糸とナイロン糸を使用した船舶用複合ロープで、伸度を抑え、また、水に沈まず、水中で強度が低下せず、使用後も硬くならないという特性を持つものが採用されている。ロープ径は95mm、強度は2370kNである。この強度はエンドレスの輪の形状を採用したためである。
これら係留索3とテールロープ5における前記カウヒッチ7部分では所定の範囲にわたって、夫々大径部8、9が形成されている。
係留索3の大径部8は、図2に示すように、全周に所定肉厚のカバー10が巻き付けられていると共に、更にこのカバー10の上から所定径のロープ11が巻き付けられて形成されている。カバー10は合成繊維からなるストランドを撚り合わせて当該係留索3の周囲を囲繞した表皮層で、係留索3の径の16%の厚みに形成される。また、このカバー10の上に巻き付けられる前記ロープ11は合成繊維のストランドを撚り合わせて得られたロープで、ロープ径は係留索3の径の32%である。従って、例えば係留索3の直径を50mmとした場合、カバー10の厚みは約8mm、ロープは約16mmで、大径部8の直径は約98mmとなる。
また、テールロープ5の大径部9は、図3に示すように、合成緯繊維製(例えばポリエステル)の織物をスーパー繊維、具体的には超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)繊維を用いて織られた布12で覆って、約8mmの所定厚に逢着されたプロテクター13をこのテールロープ5の外周に巻付けて形成される。従って、例えばテールロープ5の直径を95mmとした場合、プロテクター13の厚みは8mmで、大径部9の直径は約111mmとなる。布12にはテールロープ5を囲繞した際に両端がオーバーラップする程度の幅(一例として155mm程)に形成され、このオーバーラップ部分に布テープ14が逢着されていて、テールロープ5の囲繞を容易にしている。
以上のように構成された係留索3とテールロープ5を用いて船舶を岸壁の係留柱(図1にはボラードを示す)4に繋留するには、図4(A)〜(C)に示すように、カウヒッチと言う繋ぎ方によって結ばれる。
即ち、先ず同図(A)に示すように、本船2から繰り出された係留索3の端末ループ6にテールロープ5の一端を通し、その後、この一端を広げてループ5Aを作り、次いで同図(B)に示すように、このループ5Aの中にこのテールロープ5の他端を通してそのままこの他端を引き、同図(C)に示すように、更にしっかり引っぱり、最終的には図1の拡大部分で示すように、互いの大径部8、9がしっかりと絡み合うように繋ぎ合わせる。次いで、このテールロープの他端を拡げてループ5Bを作り、これを岸壁の係留柱4に通して係船する。
大径部を備えない係留索とテールロープとをカウヒッチで直に繋ぐと、船舶の大きさによっても異なるが、概ね両者の径の差は1対1.9〜1対2.0程になる。しかし、本考
案に係る係留索3とテールロープ5を用いると大径部8、9の寸法差は、上述の通り、1対1.13となり、係留索3とテールロープ5とのカウヒッチ7部分における径の差の比率を大幅に小さくできる。その結果、カウヒッチ7部分における係留索3とテールロープ5との接触面積を広げることが出来、負荷が局所的に集中するのを上手く回避できるようになった。また、カバー10やロープ11で係留索3を、またプロテクター13でテールロープ5を夫々覆うことによって、負荷をこれらの覆い物を介して上手く分散させることができ、その結果、更に前記負荷が局所的に集中するのを効果的に防止できるようになり、所期の目的を上手く達成できた。即ち、スーパー繊維ロープの係留索と繊維からなるテールロープの組み合わせでありながらも、破断強度を格段に高めることが出来、安全で、長く使える繊維ロープを用いた繋船索を提供出来るに至った。
本考案を実施例を挙げてさらに説明する。しかし、本考案はこれに限定されないことは言うまでもない。
先ず、係留索3としては、超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)を用いてえられたストランドを12本撚り合わせて内層ロープ15を形成し、得られた内層ロープ15の外側を、同じく超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)とポリエステルを複合して撚り合わせたストランド3本を16本撚り合わせて得た外層ロープ16を配して直径50mmの超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)を主体とした係留索3(ファイナルMラインJ:ナロック株式会社製 登録商標)を得た。
そして、この係留索3の先端に形成された端末ループ6部分でカウヒッチ7によってテールロープ5が接触する部分の所定範囲の外周に、前記カバー10とロープ11を配した。カバー10は、ユニロン繊維を用いた得たストランドを24本撚り合わせて前記所定範囲の外周を囲繞する、厚みは約8mmの大径部外層ロープ層で形成される。さらに、この大径部外層ロープ層、つまりカバ―10の外周を、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂繊維を素材にして得られたストランドを16本撚り合わせて得た直径約16mmのロープ11で囲繞することで、直径約98mmとなる大径部8を形成した。
また、テールロープ5としては、ポリプロピレンとナイロン(低伸度型)との複合繊維を撚り合わせて得られたストランド2本を更に6本撚り合わせて、直径95mmのロープ(ベルミックスGサザンクロス:ナロック株式会社製 登録商標を所要長さ(約23m程)に切断し、切断端末を結合して長さ11mのエンドレス、つまりリング(輪)にした。
そして、これらのテールロープ5の一端側でカウヒッチ7によって前記係留索3が接触する部分の所定範囲の外周に、前記プロテクター13を囲繞した。
このプロテクター13は、合成緯繊維製(例えばポリエステル)の織物をスーパー繊維、具体的には超高分子量ポリエチレン・ダイニーマ(登録商標)繊維で織られた布12で包蔵して、約8mm厚に逢着して得られる。この布12で、このテールロープ5の係留索3が接触する部分の所定範囲の外周を囲繞することで、直径約111mmの大径部9を形成した。更に、この布12にはテールロープ5を囲繞した際に両端がオーバーラップする程度の幅(一例として155mm程)に形成して、このオーバーラップ部分に布テープ14を逢着することによって、囲繞作業が容易になるようしてある。
更に、上記以外にも、直径約88〜147mmの範囲、つまり、大径部の比率を係留索側を1 としてテールロープ側を0.9〜1.5となる範囲で係留索3の径を順次ランダムに変えて8本を用意し、都合9本のサンプルを用意した。
実施例2では、係留索3の大径部8のロープ11としてナイロン素材を用いた直径約1
3mmを使用した。その他の構造、形状等は実施例1と同じにし、また、テールロープ5の条件も実施例1と同様にした。
実施例3では、テールロープ5をポリプロピレンとポリエステルとの複合繊維を撚り合わせて得られたストランド2本を更に6本撚り合わせて、同じく95mmのロープを得、これを、実施例1と同様に、所要長さ(約23m程)に切断し、切断端末を結合して長さ11mのエンドレスにしてテールロープ5(ベルミックスサザンクロス:ナロック株式会社製 登録商標)を得た。また、実施例1と同様に、上記以外にも、直径約88〜147mmの範囲、つまり、大径部の比率を係留索側を1 としてテールロープ側を0.9〜1.5となる範囲で係留索3の径を順次ランダムに変えて8本を用意し、都合9本のサンプルを用意した。更に、このサンプルに繋ぐ係留索3は実施例1と同様のものを用いた。
また、実施例4では、実施例2の係留索3と実施例3のテールロープ5を組み合わせたものを用意した。
以上のようにして得た各実施例の係留索とテールロープとをカウヒッチで繋いで繋船索を得、夫々を引っ張り試験機に掛けて強度を測定した。
引っ張り試験機によって繋船索に負荷される引っ張り力は、ワイヤーロープに適用される引っ張り力を参照して同等の負荷を与えた。
結果を表1に示す。
Figure 0003190215
結果は、実施例1〜4の何れにおいても、試験例の3〜9の範囲、つまり係留索3の大径部対テールロープの大径部の径の比が1:1〜1.48の範囲であるのが望ましいことが分かった。
係留索3の大径部に対するテールロープの大径部の径の比が0.9より下回ると、何れの実施例においても破断の生じることが分かった。また、0.97では素材の種類によって破断が生じたり、生じなかったりして、安定性に欠けることが分かった。
逆に1.48を上回る場合には、破断は生じないが、プロテクターの製造コストが高価になり、また、高価な割には、得られる効果には1.48以下の場合との有意な差が認められなかった。
以上の引っ張り試験結果から、係留索3の大径部とテールロープの大径部の径の比率は0.9〜1.48の範囲であるのが望ましいが、安全性と経済効果とを勘案した結果、好ましい範囲は1〜1.3の範囲であることが分かった。
なお、本考案の上記実施例に示されたテールロープ5は、エンドレスの輪に形成されたものを採用しているが、一本のロープの両端に夫々リング、つまりアイを形成したものも採用してみたが、上記実施例と同様の作用効果を発揮することが分かった。
従って、このアイと前記テールロープ5のループ5A、5Bとは互いに同等の機能を発揮するものであるから、本考案では、これらを便宜的にループと称する。
また、係留索3にあっても、一本のロープの繰り出し側端末にアイを形成するタイプも採用でき、上記と同様にこのアイも便宜的にループと称する。
1…繋船索
2…本船
3…係留索
4…係留柱
5…テールロープ
6…ループ
7…カウヒッチ
8…係留索の大径部
9…テールロープの大径部
10…カバー
11…ローブ
13…プロテクター
特表2008−534349号公報 特開2005−96585号公報 図5 図6

Claims (6)

  1. スーパー繊維ロープからなる係留索の端末ループに一般繊維ロープからなるテールロープの端末がカウヒッチ接続されてなる繊維ロープを用いた繋船索において、前記係留索の端末のカウヒッチ該当部分とテールロープのカウヒッチ該当部分に夫々所定範囲にわたって大径部が形成されて、係留索とテールロープの径の差が少なくなるように形成されていることを特徴とする
  2. 係留索の大径部とテールロープの大径部の径の比率は1:1〜1.3の範囲である請求項1記載の繊維ロープを用いた繋船索。
  3. テールロープの大径部は、合成繊維製の織物をスーパー繊維を用いた織られた布で覆って所定厚に縫着されたプロテクターをロープ外周に巻付けて形成されたものである請求項1又は2 の何れかに記載の繊維ロープを用いた繋船索。
  4. 係留索の大径部は、全周に所定肉厚のカバーが巻き付けられていると共に、更にこのカバーの上から所定径のロープが巻き付けられて形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の繊維ロープを用いた繋船索。
  5. カバーは、合成繊維からなるストランド24本を撚り合わせて当該係留索の周囲を囲繞した表皮層である請求項4記載の繊維ロープを用いた繋船索。
  6. カバーの上から巻き付けられるロープは合成繊維のストランド16本を撚り合わせて得られたロープである前記4又は5のいずれかに記載の繊維ロープを用いた繋船索。
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