JP3187529U - マネキン人形の頭部 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、眼球の交換が容易なマネキン人形の頭部を提供する。
【解決手段】内側が中空で顔面に義眼露出孔が設けられた頭部本体と、頭部本体の内側に配設されて義眼露出孔から瞳部を露出させる義眼30とを備えたマネキン人形の頭部1において、頭部本体は、義眼露出孔の周縁部内側に、義眼30の球面に倣って形成された保持面を有する義眼保持部20と、義眼保持部20に設けられるとともに義眼30の背面の係合面32に係合されて義眼30を保持面に当接させて位置決め保持する係合位置P1と係合を解除して義眼30の取り外しを可能とする解除位置とを取り得る爪状部材(係止具)24と、を備える。
【選択図】図6

Description

本考案は、マネキン人形の頭部、例えば、種々のウィッグ(カツラ)を付け替えることが可能なマネキン人形の頭部に関する。
人形は、愛玩用に使用されたり、ウィッグ(カツラ)等の試着に使用されたりする。このような人形においては、目(瞳)の色を変えたり、視線を動かしたり(調整したり)することで、顔全体(頭部全体)の表情を大きく変化させることができる。
例えば、特許文献1,2では、目の色(瞳の色)の異なる眼球に交換することで、目の色を変更し、また、眼球を回転させることで視線を動かすようにしたものが開示されている。
特許文献1のものは、中空の頭部の眼球露出穴の内側に、棒状の取付部本体を後方に延びるように固定し、この取付部本体によって眼球押え部を前後方向摺動可能に支持する。眼球押え部には、眼球の後部に嵌合可能な円形の嵌め合い部が形成されていて、眼球露出穴とこの嵌め合い部との間に眼球を挟み込んだ後、取付部本体のカシメ部によって眼球押え部を固定することで、眼球を回転可能に支持している。
一方、特許文献2のものは、中空の頭部の目の裏側に円筒を配し、球体の眼球、あるいは半球状の補助器具を取り付けた眼球を入れ、スプリングが付いた蓋によって眼球を回転可能に保持している。
上述したように、特許文献1,2のものは、いずれも、眼球の交換及び視線の調整(移動)が可能となるように構成されている。
特開2006−136451号公報 特開2008−259886号公報
しかしながら、上述の特許文献1,2のものは、眼球の視線を容易に移動(調整)できるように構成しているため、その構成が複雑となり、眼球の交換作業が煩雑になるという問題があった。
そこで、本考案は、簡単な構成で、眼球の交換が容易なマネキン人形の頭部を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る考案は、内側が中空で顔面に義眼露出孔が設けられた頭部本体と、前記頭部本体の内側に配設されて前記義眼露出孔から瞳部を露出させる義眼とを備えたマネキン人形の頭部において、前記頭部本体は、前記義眼露出孔の周縁部内側に、前記義眼の球面に倣って形成された保持面を有する義眼保持部と、前記義眼保持部に設けられるとともに前記義眼の背面側に係合されて前記義眼を前記保持面に当接させて位置決め保持する係合位置と係合を解除して前記義眼の取り外しを可能とする解除位置とを取り得る係止具と、を備える、ことを特徴とする。
請求項2に係る考案は、請求項1に係るマネキン人形の頭部において、前記頭部本体は、後頭部に、作業者の手を挿入して前記義眼を着脱するための操作孔を有する、ことを特徴とする。
請求項3に係る考案は、請求項2に係るマネキン人形の頭部において、前記義眼は、前記背面側に円形の係合面を有する半球状に形成され、前記係止具は、前記係合位置に配置された際に、前記係合面の1つの直径に当接する、ことを特徴とする。
請求項4に係る考案は、請求項3に係るマネキン人形において、前記義眼は、前記瞳部の色がそれぞれ異なる2つの半球状の部分を前記係合面側で合わせて球状に形成されている、ことを特徴とする。
請求項5に係る考案は、請求項1ないし4のいずれか1項に係るマネキン人形の頭部において、前記係止具は、前記義眼保持部側に、前後方向を向いた揺動中心を有する爪状部材によって形成されている、ことを特徴とする。
請求項6に係る考案は、請求項1ないし4のいずれか1項に係るマネキン人形の頭部において、前記係止具は、両端を前記保持部に固定されて中間部を前記係合面に当接し得る、弾性を有する紐状部材によって形成されている、ことを特徴とする。
請求項1の考案によれば、係止具を解除位置に移動させることで、義眼保持部に対する義眼の着脱を行うことができ、保持面に義眼を当接させた後、係止具を係合位置に移動させることで義眼を位置決め保持することができる。つまり、簡単な構成、動作で義眼を着脱し、位置決め保持することができる。
請求項2の考案によれば、操作孔を介して義眼を着脱することができる。
請求項3の考案によれば、係止具における係合面との当接部分を基準(中心)として、義眼を回転(揺動)することができるので、瞳部の視線を変更することができる。
請求項4の考案によれば、1つの義眼を、それぞれ色の異なる瞳部を有する半球部分を合わせて構成しているので、義眼を反転することにより、瞳部の色を簡単に変更することができる。
請求項5の考案によれば、揺動可能な爪部を係合位置に配置することで、義眼を保持し、また、解除位置に配置することで、義眼の着脱が可能となる。
請求項6の考案によれば、係合位置に配置された紐状部材により、義眼を保持し、また、紐状部材を弾性変形させて解除位置に配置することで、義眼の着脱が可能となる。
図1〜図10は実施形態1を説明する図であり、図1は頭部1の正面図である。 頭部1の背面図である。 頭部1の左側面図である。 図1中のIV−IV端面図である。 図1中のV−V端面図である。 図3中のVI−VI断面拡大図である。 義眼30を前側から見た斜視図である。 義眼30を背面側から見た斜視図である。 義眼30を取り外した状態の頭部1(頭部本体10)の正面図である。 義眼30を取り外した状態の図6に相当する図である。 実施形態2を説明する図であり、(A)は義眼30を取り付けた状態の義眼保持部20を背面側から見た拡大図であり、(B)は、(A)の変形例を説明する図である。 実施形態3を説明する図であり、義眼30の係合面32の中心Dを通り、かつ左右方向に直交する平面で切った縦断面図である。 実施形態4を説明する図であり、(A)は義眼30を取り付けた状態の義眼保持部20を背面側から見た拡大図であり、(B)は、(A)の変形例を説明する図である。 実施形態5を説明する図であり、義眼40における前後方向を向いた中心軸を含む平面で切った縦断面図である。
以下、本考案を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1〜図10を参照して本考案を適用した実施形態1に係るマネキン人形の頭部(以下単に「頭部」という。)1について説明する。
図1,図2,図3は、この順に、頭部1の正面図,背面図,左側面図である。図4は、図1中のIV−IV端面図である。図5は、図1中のV−V端面図である。図6は、図3中のVI−VI断面拡大図である。図7は、義眼30を前側から見た斜視図であり、図8は、義眼30を背面側から見た斜視図である。図9は、義眼30を取り外した状態の頭部1(頭部本体10)の正面図である。図10は、義眼30を取り外した状態の図6に相当する図である。
頭部1は、図4に示すように、内側が中空の頭部本体10と、この頭部本体10の内側に配設された義眼30,30とを備えて構成されている。図1〜図3に示すように、頭部1は、その外観が人間の頭部を模して形成されている。ただし、図示例の頭部1は、例えば、ウィッグ(カツラ)の試着用に使用されるため、人間の頭髪に相当する部分は、形成されていない。なお、頭部本体10には、図3に示すように、左側面側に、ウィッグ(不図示)を頭部本体10に固定するためのピン(不図示)を挿し込むピン孔10a,10aが設けてある。なお、頭部本体10の右側面側にも同様のピン孔(不図示)が設けてある。
頭部本体10は、正面側(前側)に位置する顔面11に、目部12,12、鼻部13、口部14、耳部15,15等が設けてあり、また、背面側(後側)に位置する後頭部16には、作業者の手の出し入れが可能な操作孔17が設けてある。
これらのうち、目部12,12は、頭部本体10に穿設された義眼露出孔18,18と、これら義眼露出孔18の背面側に位置する義眼保持部20,20と、義眼30,30とを有している。
義眼露出孔18は、図9,図10に示すように、横長に形成されている。
義眼保持部20全体は、義眼露出孔18の背面側(内側)に直方体状に突出するように設けられている。義眼保持部20は、背面側(後方)に向かって開口する開口部21aを有する、略半球状の凹部21が形成されていて、この凹部21の表面は、義眼30の表面形状に倣った略球面状の保持面22となっている。保持面22の前端は、義眼露出孔18が連続していて、義眼露出孔18の周縁部の内側(背面側)に保持面22が環状に形成されている。義眼保持部20の背面23は、中央に開口部21aを有する額縁状に形成されていて、背面23の上端側及び下端側には、係止具としての2つ(一対)の爪状部材24,24が取り付けられている。
各爪状部材24は、図6に示すように、その基端部24aを貫通するねじ25によって揺動自在に支持されている。上側のねじ25、及び下側のねじ25は、義眼保持部20の背面23における、開口部21aの中心Cの直上及び直下に、後方から前方に向けて螺合されている。したがって、ねじ25,25によって揺動自在に支持された爪状部材24,24は、前後方向に対して直交する平面上(背面23が位置する平面と略一致)で揺動できるように構成されており、開口部21aに突出されて後述する義眼30の係合面(背面側)32に係合して義眼30の当接面31を保持面22に当接させて位置決め保持する係合位置P1と、開口部21aから退避して義眼30に対する係合を解除し、義眼保持部20に対する義眼30の着脱を可能にする解除位置P2とを取ることができる。ここで、図6に示す例では、各爪状部材24は、それぞれの先端部24bを、開口部21aの中心Cに向けた姿勢で係合位置P1に配置されている。また、図10に示す例では、各爪状部材24は、それぞれの先端部24bを左方に向けた姿勢で解除位置P2に配置されている。なお、係合位置P1、解除位置P2のいずれも、図6,図10に示す姿勢に限定されず、前者の係合位置P1については、各爪状部材24が、義眼30の係合面32に係合して義眼30を位置決め保持できる位置であれば十分であり、後者の解除位置P2については、各爪状部材24が開口部21aから退避して、義眼30の着脱ができる位置であれば十分である。
各義眼30は、図7,図8に示すように、略半球状に形成されていて、前面側には、球面状の当接面31を有し、後面側には円形の係合面32を有している。また、当接面31の中央には、瞳部33が設けられている。義眼30としては、この瞳部33の色がそれぞれ異なる複数種のもの、例えば、瞳部33の色が黒、茶色、青等のものがあらかじめ準備されている。義眼30は、その当接面31が、上述の義眼保持部20の凹部21の保持面22に倣って形成されており、したがって、義眼30を凹部21に取り付けた際には、義眼30側の当接面31が、凹部21側の保持面22に万遍なく接触(当接)するようになっている。義眼30は、この当接状態において、その係合面32が義眼保持部20の背面23と略一致するようになっている。各義眼30は、上述のように、略半球状に形成されていて、また、瞳部33が当接面31の中央に設けてあるので、前後についての方向性があるのみで、上下及び左右についての方向性はない。つまり、上下及び左右については対称に構成されている。このため、義眼30を義眼保持部20に取り付ける際に、義眼30の当接面31を、義眼保持部20の背面23側から保持面22に当接させさえすれば、義眼30の上下左右、さらには前後の位置決めを行うことができる。この状態で、爪状部材24を解除位P2から係合位置P1に移動させて、義眼30の係合面32に係合させさえすれば、義眼30を所定の位置に、簡単に位置決め保持することができる。また、この逆に、位置決め保持した義眼30を取り外す際には、爪状部材24を係合位置P1から解除位置P2に移動させさえすれば、義眼30を簡単に、義眼保持部20から取り外すことができる。このように、義眼保持部20に対する義眼30の着脱は、極めて容易であるため、着脱作業中の手先を視認することなく、指先の感覚のみで行うことができる。このため、次に説明する操作孔17の大きさや位置についての制約が少なくなる。
上述のように、頭部本体10における後頭部16には、操作孔17が穿設されている。この操作孔17は、作業者が頭部本体10の内側に手を挿入し、爪状部材24を操作することにより、つまり爪状部材24を係合位置P1や解除位置P2に移動させることにより、義眼30を位置決め保持させたり、取り外したりするためのものである。操作孔17は、従来技術のもの(特許文献1,2)とは異なり、頭頂部10bを外して、頭頂部10bよりも後方に、比較的(特許文献1,2と比較して)立った状態(垂直に近い傾斜状態)で設けられている。しかも、上述のように、義眼30の着脱作業に際して、手先を視認する必要がないので、作業者の片手が挿入可能な小さい大きさに形成することができる。操作孔17は、このように、頭頂部10bよりも後方に、垂直に近い傾斜状態で設けられ、しかも大きさを小さくすることが可能である。このため、操作孔17は、特に、蓋部材を設けないでも、上述のピン孔10aを利用して頭部1にウィッグを被せた際に、例えば、ウィッグにおける操作孔17に対応する部分が陥没したりすることなく、ウィッグの自然な状態を維持することができる。つまり、蓋部が無いにもかかわらず、蓋部を設けて、ウィッグを被せた状態と同様な状態を創り出すことが可能である。なお、頭部1が、例えば、ウィッグや帽子類の試着用に使用されるものではなく、操作孔17が露出されるおそれがある場合には、適宜、操作孔17を閉蓋する蓋部を設けるようにしてもよい。
次に、上述構成の頭部1における、義眼30の着脱について説明する。瞳部33が黒い義眼30を着脱する場合を例に説明する。
まず、頭部本体10の義眼保持部20の爪状部材24を解除位置P2に配置する。
次に、一方の手(例えば、右手)に義眼30を持ち、操作孔17から頭部本体10の内側に手を入れる。義眼30をその当接面31が前側を向くようにして、義眼保持部20の凹部21に嵌めて、当接面31を凹部21の保持面22に当接させる。これにより、頭部本体10に対する(義眼保持部20に対する)義眼30の位置決めが終了する。その後、解除位置P2に配置されていた爪状部材24を、指先で、係合位置Pに移動させて、義眼30の係合面32に当接させる。以上の簡単な取り付け作業により、義眼30を位置決め保持することができる。こうして一方の義眼30を取り付けた後、他方の義眼30についても同様にして取り付ける。
義眼保持部20から義眼30と取り外すには、上述の取り付け時と逆の作業を行う。すなわち、係合位置P1に配置されている爪状部材24を、指先で解除位置P2に移動させて、開口部21aから退避させる。その後、義眼30を指先でつまんで、操作孔17から取り出す。なお、本実施形態によれば、上述のように義眼30を位置決め保持するための構成が簡単で、義眼30の着脱動作も容易であるため、例えば、2つの義眼30の取り付けに際し、1つずつの個別ではなく、2つを同時に手で持って、その手を操作孔17から挿入して、1つの義眼30の取り付けを終了した後、操作孔17から手を抜くことなく、引き続き、2つ目の義眼30を同様に取り付けることができる。なお、2つの義眼の取り外しに際しても同様である。すなわち、一度、操作孔17から挿入した手を1つの義眼30を取り外した後に、操作孔17から引き抜くことなく、そのまま引き続き2つ目の義眼30を取り外し、その後、手を操作孔17から引き抜いて、2つの義眼30を同時に引き出すことができる。なお、上述の義眼30の着脱は、着脱のための構成が上述のように簡素に構成されているため、指先を目視する必要がなく、指先の感覚のみで行うことが可能である。
以上の、瞳部33が黒い義眼30は、例えば、毛髪が黒いウィッグを頭部1に被せる際に使用する。
一方、毛髪が金髪であるウィッグを頭部1に被せる場合には、例えば、瞳部33が青い義眼30を取り付ける。なお、この義眼30は、瞳部33の色が上述の黒とは異なり青である点を除いて、形状的には、瞳部33が黒い義眼30と同形であるので、着脱動作については上述と同様である。
さらに、例えば、瞳部33が茶色の義眼30等を準備するようにしてもよい。
本実施形態の係る頭部1は、簡単な構成であり、しかも、義眼30の位置決め保持や着脱が極めて容易である。このため、操作孔17の大きさや位置についての大きな制約がなく、必要最小限の大きさ、例えば、作業者の片手がぎりぎり入る程度の大きさに抑えることができ、また、位置についても、頭頂部10bを外して、頭頂部10bよりも後方の後頭部に、比較的立った状態で設けることができる。このため、操作孔17に対して、特にこれを閉蓋するための蓋部を設けることなく、ウィッグを被せたときに、操作孔17を覆い隠し、しかも、ウィッグの外観が操作孔17に対応して陥没するようなことがなく、自然な外観を維持することができる。
以上の説明では、2つ(一対)の爪状部材24を、義眼保持部20の額縁状の背面23の上端側及び下端側に上下に配置した例を説明したが、これに限定されず、例えば、左端側及び右端側に左右に配置してもよく、さらには、上下や左右の間の斜めに配置するようにしてもよい。さらに、2つの爪状部材24を使用する例を説明したが、これに限らず、例えば、1つの大きめの爪状部材24、例えば、係合位置に配置した際に、先端部24bが、義眼30の円形の係合面32の中心を覆うような大きさの爪状部材24を設けるようにしてもよい。
<実施形態2>
図11(A),(B)を参照して、本考案を適用した実施形態2に係るマネキン人形の頭部(以下単に「頭部」という。)について説明する。ここで、図11(A)は、義眼30を取り付けた状態の義眼保持部20を背面側から見た拡大図である。また、図11(B)は、図11(A)の変形例を説明する図である。
本実施形態においては、係止具として、上述の実施形態1では爪状部材24を使用していたのに代えて、棒状部材26を使用している。これにより、義眼30の視線を移動(調整)することができるようにしている。なお、他の構成は、上述の実施形態1と同様であるので説明は省略する。
係止具としての棒状部材26は、円柱状に形成されている。棒状部材26は、義眼保持部20の背面23の上端側と下端側とにそれぞれ設けてあり、その基端部26aがねじ25によって揺動自在に支持されて、係合位置P1(実線で図示)と解除位置P2(二点鎖線で図示)との間の移動できる。さらに、背面23にはストッパ27が突設されていて、解除位置P2にある棒状部材26を移動させてストッパ27に当接させると、係合位置P1に配置されるようになっている。このとき係合位置P1に配置された棒状部材26は、円柱状の側面を、義眼30の係合面32における上下方向の直径D1に直線状に当接する。このため、義眼30は、これら棒状部材26を基準として、揺動することが可能となり、例えば、義眼30の係合面32の右端側Aを前方に押すと、瞳部33(図7参照)の視線が左向きに変更され、一方、係合面32の左端側Bを前方に押すと、瞳部33の視線が右向きに変更される。つまり、図11(A)の構成によると、簡単な構成でありながら、上述の実施形態1と同様の効果に加え、さらに、瞳部33の視線を左右に変更することができるという効果を奏する。
図11(B)に示すように、背面23における左端側と右端側とにそれぞれ棒状部材26を揺動可能に設け、係合位置P1に配置された棒状部材26が、義眼30の係合面32の左右方向の直径D2に当接するようにしてもよい。この場合には、義眼30の係合面32の上端側を前方に押すと瞳部33の視線を下向きに変更し、逆に、義眼30の係合面32の下端側を前方に押すと瞳部33の視線を上向きに変更することができる。つまり、図11(B)の構成によると、簡単な構成でありながら、上述の実施形態1と同様の効果に加え、さらに、瞳部33の視線を上下に変更することができるという効果を奏する。
<実施形態3>
図12を参照して、本考案を適用した実施形態3に係るマネキン人形の頭部(以下単に「頭部」という。)について説明する。ここで、図12は、義眼30の係合面32の中心Dを通り、かつ左右方向に直交する平面で切った縦断面図である。
本実施形態においては、係止具として、上述の実施形態1では一対の爪状部材24を使用していたのに代えて、大きな1つの爪状部材28を使用している。これにより、義眼30の視線を変更(移動)することができるようにしている。なお、他の構成は、上述の実施形態1と同様であるので説明は省略する。
係止具としての爪状部材28は、その基端部28aがスペーサ28dを介してねじ25により、背面23に揺動可能に取り付けられ、また、先端部28bに、義眼30の係合面32の中心Dに係脱可能な半球状の突起28cを有している。この突起28cは、爪状部材28が係合位置P1に配置された際に、係合面32の中心Dに当接して、義眼30を位置決め保持する。本実施形態によれば、上述の実施形態1の効果に加え、さらに、義眼30の瞳部33の視線を変更(移動)できるという効果を奏する。すなわち、義眼30の係合面32における中心Dを除く部分を前方に押すことにより、突起28cを中心として義眼30を回転(揺動)させて、押したのと同方向に瞳部33の視線を変更することができる。係合面32における押す位置が上端側の場合は、視線を下向きに、また、下端側の場合は上向きに、また、左端側の場合は右向きに、そして、右端側の場合は左向きにそれぞれ変更することができる。さらに、本実施形態では、係合面32における押す部分を適宜に選択することにより、瞳部33の視線を、上下左右ばかりでなく、斜めにも変更することが可能である。
<実施形態4>
図13(A),(B)を参照して、本考案を適用した実施形態4に係るマネキン人形の頭部(以下単に「頭部」という。)について説明する。ここで、図13(A)は、義眼30を取り付けた状態の義眼保持部20を背面側から見た拡大図である。また、図13(B)は、図13(A)の変形例を説明する図である。
本実施形態においては、係止具として、上述の実施形態1では爪状部材24を使用していたのに代えて、紐状部材29を使用している。これにより、義眼30の視線を変更(移動)することができるようにしている。なお、他の構成は、上述の実施形態1と同様であるので説明は省略する。
図13(A)に示すように、紐状部材29は、例えば、伸縮可能なゴム紐及びこれに相当する部材によって構成されている。紐状部材29はその両端部がねじ25によって義眼保持部20の背面23のおける上端側及び下端側に固定されるとともに、中間部が、義眼30の係合面32における上下方向の直径と一致している。この位置が、紐状部材29の係合位置P1である。なお、紐状部材29の解除位置P2は、義眼保持部20に対して義眼30を着脱する際に、着脱を可能とすべく、弾性変形した際の紐状部材29の位置が解除位置P2に相当し、特に、位置的に決まってはいない。図13(A)に示す例では、義眼30は、紐状部材29を基準として、左右方向に揺動することができ、これにより、瞳部33の視線を左右方向に変更(移動)することができる。
図13(B)に示す例は、紐状部材29の両端部が、背面23における左端側及び右端側にねじ25によって固定されていて、中間部が、義眼30の係合面32の左右方向の直径と一致するようになっている。図13(B)に示す例では、義眼30は、左右方向を向いた紐状部材29を基準として、上下方向に揺動することができ、これにより、瞳部33の視線を上下方向に変更(移動)することができる。
<実施形態5>
図14を参照して、本考案を適用した実施形態5に係るマネキン人形の頭部(以下単に「頭部」という。)について説明する。ここで、図14は、義眼40における前後方向を向いた中心軸を含む平面で切った縦断面図である。
本実施形態においては、2つの半球状の義眼30,30を連結して全体として球状の義眼40を構成している。なお、他の構成は、上述の実施形態1と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、例えば、瞳部33が黒色である義眼30と、青色である義眼30とを、それぞれの係合面32を円柱状の連結部で連結している。2つの義眼30,30のそれぞれの係合面32,32の間には、全周にわたって溝41が形成され、この溝41の側面42(係合面32に相当)に爪状部材24が係脱される。
本実施形態によれば、上述の実施形態1の効果に加え、さらに、球形の義眼40の前後を反転して、爪状部材24を係合位置P1に配置することより、瞳部33の色を簡単に変更することができる。
なお、係止具として、図14に示す爪状部材24に代えて、上述の実施形態2の図11(A),(B)に示す棒状部材26を使用することも可能である。この場合には、瞳部33の視線を上下方向や左右方向に変更することができる。
1 実施形態1のマネキン人形の頭部
10 頭部本体
17 操作孔
18 義眼露出孔
20 義眼保持部
22 保持面
24 爪状部材(係止具)
26 棒状部材(係止具)
28 爪状部材(係止具)
29 紐状部材(係止具)
30 義眼
31 当接面
32 係合面(義眼の背面側)
33 瞳部
40 義眼
D1 係合面における上下方向の直径(係合面の1つの直径)
D2 係合面における左右方向の直径(係合面の1つの直径)
P1 係合位置
P2 解除位置
請求項4に係る考案は、請求項3に係るマネキン人形の頭部において、前記義眼は、前記瞳部の色がそれぞれ異なる2つの半球状の部分を前記係合面側で合わせて球状に形成されている、ことを特徴とする。

Claims (6)

  1. 内側が中空で顔面に義眼露出孔が設けられた頭部本体と、前記頭部本体の内側に配設されて前記義眼露出孔から瞳部を露出させる義眼とを備えたマネキン人形の頭部において、
    前記頭部本体は、前記義眼露出孔の周縁部内側に、前記義眼の球面に倣って形成された保持面を有する義眼保持部と、前記義眼保持部に設けられるとともに前記義眼の背面側に係合されて前記義眼を前記保持面に当接させて位置決め保持する係合位置と係合を解除して前記義眼の取り外しを可能とする解除位置とを取り得る係止具と、を備える、
    ことを特徴とするマネキン人形の頭部。
  2. 前記頭部本体は、後頭部に、作業者の手を挿入して前記義眼を着脱するための操作孔を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマネキン人形の頭部。
  3. 前記義眼は、前記背面側に円形の係合面を有する半球状に形成され、
    前記係止具は、前記係合位置に配置された際に、前記係合面の1つの直径に当接する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のマネキン人形の頭部。
  4. 前記義眼は、前記瞳部の色がそれぞれ異なる2つの半球状の部分を前記係合面側で合わせて球状に形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のマネキン人形。
  5. 前記係止具は、前記義眼保持部側に、前後方向を向いた揺動中心を有する爪状部材によって形成されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマネキン人形の頭部。
  6. 前記係止具は、両端を前記保持部に固定されて中間部を前記係合面に当接し得る、弾性を有する紐状部材によって形成されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマネキン人形の頭部。
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