JP3183645B2 - パラレル配向液晶表示素子 - Google Patents
パラレル配向液晶表示素子Info
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Description
の表示性能を持つ液晶表示素子に関し、詳しくは、光学
補償ベンド(OCB)モードの液晶表示素子に関するも
のである。
電力のディスプレイ素子であり、テレビやビデオなどの
画像表示装置や、モニター、ワープロ、パーソナルコン
ピュータなどのOA機器に広く用いられている。
ィック液晶を用いたツイステッドネマティック(TN)
モ−ドの液晶表示素子が実用化されているが、応答が遅
い、視野角が狭いなどの欠点を有している。
液晶(FLC)、あるいは反強誘電性液晶(AFLC)
などの表示モ−ドもあるが耐ショック性、温度特性など
大きな欠点があり、広く実用化されるまでには至ってい
ない。また、光散乱を利用する高分子分散型液晶表示モ
−ドは偏光板を必要とせず、高輝度表示が可能である
が、本質的に位相板による視角制御が出来ないうえ、応
答特性課題を有しており、TNモードに対する優位性は
少ない。
ードとして光学補償ベンド(OCB)モ−ドが提案され
ている(特開平7−84254号公報)。このモ−ドの
液晶表示素子は、図9に示すように、透明電極2が形成
されているガラス基板1と、透明電極7が形成されてい
るガラス基板8と、基板1,8間に配置される液晶層4
とを有する。電極2,7上には、配向膜3,6が形成さ
れ、この配向膜3,6には、液晶分子を平行且つ同一方
向に配向させるべく、配向処理がなされている。また、
基板1,8の外側には、偏向板10,12がクロスニコ
ルに配設されており、この偏向板10,12と基板1,
8間には、透過光に負の位相差を与える位相補償板1
1,12が介在している。このような構造の液晶セル
は、電圧印加により、セル中央部にベンド配向あるいは
ねじれ配向を含んだベンド配向を誘起させることと、低
電圧駆動と視野角拡大のために位相補償板11,12を
配設することを特徴としたものであり、性能的には中間
調表示域においても高速応答が可能であると同時に広い
視野角特性を有している。
は、図9に示すように、スプレイ配向状態5aから、3
0V程度の電圧印加によりベンド配向状態5bにする初
期化処理を行い、その後、数V程度の電圧駆動により、
液晶表示を行っている。従って、OCBモードでは、初
期化処理が必要不可欠である。しかしながら、現状のO
CBモードの液晶表示素子では、数V程度の電圧印加に
より、初期化を行う場合に分単位の時間が必要であり、
OCBモードの課題の一つになっている。そのため、数
V程度の電圧印加により容易にベンド配向が形成され
る、転移速度の速い液晶材料が望まれている。
度の速い液晶材料を含むベンド配向モードの液晶表示素
子が、特開平8−87013号公報に開示されている。
この従来例は、液晶材料の曲げ弾性定数K33と広がり
弾性定数K11との比K33/K11が、0.1以上
で、且つ0.9以下(K11/K33で示すと、10≧
K11/K33≧10/9となる。)の液晶材料を用い
たものである。これは、K33を小さくして、ベンド配
向の転移をし易くし、転移速度の向上を図ったものと考
えられる。
ところによると、K11/K33を上記のように大きい
値とすると、却って転移速度が遅くなることがわかっ
た。これは、液晶材料としては、K11とK33とが個
別に定まるのではなく、K11が選定されれば、材料系
としてはK33が連動して定まる。よって、K33とK
11を個別に考えて、K33を小さくし、且つK11を
大きくするような液晶材料の選定は適切でないという理
由によるものと考えられる。
する際に、スプレイ配向から徐々にベンド配向に転移す
るのではなく、電圧無印加時のスプレイ配向から電圧印
加により、スプレイの程度が大きくなって、最大のスプ
レイ配向状態となり、この最大のスプレイ配向状態から
ベンド配向に転移していく。従って、スプレイ配向から
ベンド配向への転移に関して、先ず、上記の最大のスプ
レイ配向状態を達成させることが前提として必要とな
る。よって、本発明者は、K11に着目して、K11を
小さくし、最大のスプレイ配向状態が、短時間に容易に
起こることが必要であるとの考えに至った。即ち、液晶
材料の選定に際し、K11を優先的に選定すればよいと
の考えに至り、K11の適切な範囲、或いはK11と他
の変数の組み合わせ(例えば、K33との比K11/K
33、誘電率異方性Δεとの比K11/Δε等)の適切
な範囲等について、研究開発した結果、本発明に至った
ものである。
の転移を、低電圧でしかも高速に達成することができる
ようにしたパラレル配向液晶表示素子を提供することを
目的とする。
め、本発明のうち請求項1記載の発明は、一対の基板間
に挟持された液晶材料に電圧を印加し、スプレイ配向か
らベンド配向に転移させた後、このベンド配向状態で液
晶表示駆動を行うパラレル配向液晶表示素子において、
前記液晶材料の広がり弾性定数K11と曲げ弾性定数K
33との比K11/K33が、0.539以下であること
を特徴とする。
数K11と曲げ弾性定数K33との比K11/K33
を、0.539以下とするのは、以下の理由による。即
ち、従来の技術の項で述べたように、液晶材料系として
は、K11とK33とは、独立して設計することはでき
ず、K11とK33とは連動している。よって、K11
/K33を0.539よりも大きい値とすると、K11
も大きくなっしまう。その結果、最大スプレイ配向状態
への変形が充分なされないため、却って、スプレイ配向
からベンド配向への転移速度が遅くなってしまうからで
ある。
の基板間に挟持された液晶材料に電圧を印加し、スプレ
イ配向からベンド配向に転移させた後、このベンド配向
状態で液晶表示駆動を行うパラレル配向液晶表示素子に
おいて、前記液晶材料は、印加電圧を上昇および下降さ
せながら前記容量を測定したときに観測される容量−電
圧ヒステリシスの大きさSを以下の第1式で定義したと
きに、Sが1.0×104V/m以下となる、そのような液晶材料
であることを特徴とする。
圧値[V]を、bはヒステリシスの認められる上限電圧
値[V]を表し、CBSはベンドからスプレイへの変化時
のセル容量[pF]を、CSBはスプレイからベンドへの
変化時のセル容量[pF]を表している。また、Cma
xはセルの最大容量[pF]を、Cminはセルの最小
容量[pF]を表し、Lは液晶層厚[m]を表してい
る。
の大きさSが1.0×104 V/m以下とするのは、以
下の理由による。即ち、容量−電圧ヒステリシスの大き
さSは、スプレイ配向のエネルギーとベンド配向のエネ
ルギーとの差に対応しており、スプレイ配向からベンド
配向への転移の容易性に対応している。よって、ヒステ
リシスの大きさSが小さいと、転移が容易に起こるから
である。
項1または2のいずれかに記載のパラレル配向液晶表示
素子において、前記液晶材料の少なくとも一方の基板表
面におけるプレチルト角が2度以上であることを特徴と
する。
とするのは、プレチルト角が2度未満であれば、液晶分
子が立ち上がるのに時間を要することになり、転移速度
が遅くなるからである。
て図面にもとづいて説明する。本発明はスプレイ−ベン
ド(スプレイ配向からベンド配向への転移を意味す
る。)転移時間の短い液晶表示素子を提案するものであ
り、下記の実施の形態においては位相補償板を用いなか
ったが、これは実験の便宜を図るためであり、これによ
り、本発明を限定するものではない。
表示素子は、K11に着目して、このK11が10pN
以下である液晶材料を含むことを特徴とするものであ
る。以下に、K11≦10とする理由を、本発明者の実
験結果に基づき詳細に説明する。尚、実施の形態1に係
る液晶表示素子は、図9の構成を有するOCBモードの
液晶表示素子であり、後述する実施の形態2〜7に係る
液晶表示素子も同様の構成を有するOCBモードの液晶
表示素子である。
検討に用いたテスト用液晶セルの構成図である。この液
晶セルは、電圧無印加時にはスプレイ配向を示すホモジ
ニアスセルであり、電圧印加によりベンド配向に配向転
移がなされるベンド配向モードの液晶セルである。上記
液晶セルを、以下の方法で作製した。
ス基板1、8上に日産化学工業製配向膜塗料SE−74
92をスピンコート法にて塗布し、恒温槽中180℃、
1時間硬化させ配向膜3、6を形成する。その後、レー
ヨン製ラビング布を用いて、配向膜3、6の表面に、図
2に示す方向にラビング処理を施す。尚、図2におい
て、15は基板1側のラビング方向、16は基板8側の
ラビング方向を示す。
スペーサ5、およびストラクトボンド352A(三井東
圧化学(株)製シール樹脂の商品名)を用いて基板間隔
が5.3μmとなるように貼り合わせ、空セル9を5ケ
作成した。
液晶材料LC1〜LC5を真空注入法にて各空セル9に
それぞれ注入して、テストセルA1〜A5を作製した。
偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V矩形波
の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配向への
転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向からベン
ド配向に転移するに要する時間を求めたので、その結果
を上記表1に示す。尚、表1には、K11、K33等の
値も併記している。
N以下の液晶材料を含む液晶セルが高速なスプレイ−ベ
ンド転移を起こすことが分かる。これは、電圧印加によ
る液晶表示素子中の液晶ダイレクタ分布がK11が小さ
いほうが、より短時間で液晶層中央の液晶ダイレクタが
垂直配向となるためと思われる。この点に関し、更に考
察する。スプレイ配向からベンド配向への転移は、スプ
レイ配向から徐々にベンド配向に転移するのではなく、
電圧無印加時のスプレイ配向(図3(a))から電圧印
加により、スプレイの程度が大きくなって、図3(b)
に示すように、スプレイ変形が最大となる最大スプレイ
配向状態となり、この最大スプレイ配向状態から、図3
(c)に示すように、ベンド配向に飛び越して転移して
いくことが知られている。従って、スプレイ配向からベ
ンド配向への転移に関して、先ず、上記の最大スプレイ
配向状態を達成させることが前提として必要となる。よ
って、本発明者は、K11に着目して、K11を小さく
し、最大のスプレイ配向状態が、短時間に容易に起こる
ことが必要であるとの考えに至ったものである。尚、後
述する実施の形態におけるK11/K33、K11・K
33、K11/Δε等についても、ベンド配向への転移
速度を速めるためには、本質的には、スプレイ配向から
ベンド配向への転移の前提として、K11を小さくする
必要があるという考えに基づくものである。
数がそれぞれK11=4.0pN、K22=7.0p
N、K33=15.8pNである液晶材料とK11=1
6.0pN、K22=7.0pN、K33=15.8p
Nである液晶材料について、3Vの電圧を印加した時の
液晶ダイレクタの傾きを計算したものである。尚、図4
の縦軸は液晶ダイレクタの傾き角を示し、横軸は実際の
セルギャップの値を1としてセルの厚みを規格化した値
を示す。この図4において、例えば、液晶ダイレクタの
傾きが−50%以上の領域は、K11=16.0の場
合、50%程度であるが、K11=4.0の場合、70
%程度となっていることが認められる。このことは、K
11の小さい方が、液晶分子がより大きく立っているこ
とに起因する。従って、この図4より導かれる結論は、
前記推論を良く裏付けている。尚、計算において、液晶
材料の分子長軸方向の誘電率ε//を14.1、分子短軸
方向の誘電率εを3.8、液晶層厚を6μmとした。ま
た、基板表面での液晶プレチルト角を5度とした。
によれば、スプレイ−ベンド転移時間の短い液晶表示素
子を提供することができ、その実用的価値は極めて大き
い。尚、本実施の形態では、印加電圧として7V、1k
Hz矩形波を印加したが、他の電圧値、波形の電圧を印
加しても良いことは言うまでもない。
表示素子は、K11/K33に着目して、このK11/
K33が1.0以下である液晶材料を含むことを特徴と
するものである。以下に、K11/K33≦1.0とす
る理由を、本発明者の実験結果に基づき詳細に説明す
る。
施の形態1と同様の構成の空セル9を5ケ作成し、表2
に示す液晶材料LC6〜LC10,LC0を真空注入法
にて各空セル9にそれぞれ注入して、テストセルB1〜
B5,B0を作製した。
互いの偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V
矩形波の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配
向への転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向か
らベンド領域へと転移するに要する時間を求めたので、
その結果を上記表2に示す。尚、表2には、K11、K
33等の値も併記している。
性定数K33との比K11/K33が1.0以下の液晶
材料を含む液晶表示素子が高速なスプレイ−ベンド転移
を起こすことが分かる。これは、以下の理由によるもの
と考えられる。
変位が容易という意味では、K11/K33は大きいほ
うが良いはずである。なぜなら、K33が小さい方がベ
ンド配向への転移が容易だからである。しかしながら、
実際に本発明者が実験したところによると、K11/K
33を上記のように大きい値とすると、却って転移速度
が遅くなることがわかった。
3とが個別に定まるのではなく、K11が選定されれ
ば、材料系としてはK33が連動して定まる。よって、
K33とK11を個別に考えて、K33を小さくし、且
つK11を大きくするような液晶材料の選定は適切でな
いという理由によるものと考えられる。
K33を大きくすると、K11も大きくなってしまい、
スプレイ変形が充分なされないため、却ってスプレイ−
ベンド転移速度が遅くなってしまう。従って、K11を
小さく抑えながら、K11/K33を大きくすることに
は限界があり、K11/K33には適正な範囲が存在す
ると考えられる。このような理由に基づき、本発明者が
実験した結果、表2を得たものである。
下の液晶材料を含む液晶表示素子が高速なスプレイ−ベ
ンド転移を起こすことが認められる。
表示素子は、広がり弾性定数K11と曲げ弾性定数K3
3との積K11・K33に着目して、このK11・K3
3が比較的小さい値である液晶材料を含むことを特徴と
するものである。以下に、その理由を、本発明者の実験
結果に基づき詳細に説明する。基板間隔が5.5μmで
あること以外は実施の形態1と同様の構成の空セル9を
5ケ作成し、表3に示す液晶材料LC11〜LC15を
真空注入法にて各空セル9にそれぞれ注入して、テスト
セルC1〜C5を作製した。
偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V矩形波
の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配向への
転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向からベン
ド領域へと転移するに要する時間を求めたので、その結
果を上記表3に示す。尚、表3には、K11/K33等
の値も併記している。
33が小さい値の液晶材料を含む液晶表示素子が高速な
スプレイ−ベンド転移を起こすことが分かる。これは、
上記したようにスプレイ変形の観点からK11を小さく
する方がベンド配向への転移が容易であり、また、K3
3を小さくする方がベンド変形が容易である。よって、
各々の積K11・K33も小さい方がベンド配向への転
移が容易だからである。
り弾性定数K11と誘電率異方性Δεの比K11/Δε
に着目して、このK11/Δεが1.0pN以下である
液晶材料を含む液晶表示素子を選定することを特徴とす
るものである。以下に、K11/Δε≦1.0とする理
由を、本発明者の実験結果に基づき詳細に説明する。
施の形態1と同様の構成の空セル9を5ケ作成し、表4
に示す液晶材料LC16〜LC20を真空注入法にて各
空セル9にそれぞれ注入して、テストセルD1〜D5を
作製した。
偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V矩形波
の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配向への
転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向からベン
ド領域へと転移するに要する時間を求めたので、その結
果を上記表4に示す。
の液晶材料が高速なスプレイ−ベンド転移を起こすこと
が分かる。これは、誘電率異方性Δεを大きくすると、
液晶分子が大きく変位すること、及び上記の如くK11
を小さくすることがスプレイ−ベンド転移を容易にさせ
ることから、K11/Δεを小さくするのが好ましいか
らである。
板間隔が6.5μmであること以外は実施例1と同様の
構成の液晶セルを5ケ作成し、表5に示す液晶LC21
〜LC25を真空注入法にて注入し、テストセルE1〜
E5とした。
完全にベンド配向とした後、20mVに電圧を降下さ
せ、電極部全面がスプレイ配向となるのに要する時間を
測定したところ、表5に示すように、それぞれ127
秒、84秒、45秒、33秒及び25秒であった。一
方、セルE1〜E5に7Vを印加し、スプレイ配向から
ベンド配向に要する時間を目視観察により別途測定した
結果では、それぞれ1秒、2秒、5秒、18秒、33秒
であった。スプレイ配向からベンド配向への転移が容易
(高速)な系では、両者のエネルギー差が小さいため、
逆にベンド配向からスプレイ配向への転移は遅くなる。
本実施例より明らかなように、ベンド配向からスプレイ
配向に転移するのに要する時間が45秒以上の液晶材料
が高速なスプレイ−ベンド転移を示す。
表示素子は、容量−電圧(C−V)特性のヒステリシス
の大きさSに着目して、このヒステリシスの大きさSが
1.0×104 V/m以下である液晶材料を含むことを
特徴とするものである。尚、従来は、一般的にはベンド
配向モードの液晶表示素子では、ヒステリシスが存在し
ていないと考えられていた。しかし、本発明者が、ベン
ド配向モードの液晶表示素子の開発実験中において、ヒ
ステリシスが存在していることを見いだした。そこで、
かかるヒステリシスの大きさSに着目して鋭意研究した
結果、ベンド配向への転移の速い液晶表示素子を得るに
至ったものである。以下に、S≦1.0×104 とする
理由を、本発明者の実験結果に基づき詳細に説明する。
施の形態1と同様の構成の空セル9を5ケ作成し、表6
に示す液晶材料LC26〜LC30を真空注入法にて各
空セル9にそれぞれ注入して、テストセルF1〜F5を
作製した。
図5に示すように階段状に印加電圧を上昇させ、各設定
電圧に対するセル容量の時間変化を測定した。尚、セル
容量の測定は、精密LCRメータ(ヒューレット・パッ
カード社製HP−4284A)を用いて行い、印加電圧
波形は正弦波1kHzであった。また、電圧を降下させ
て、セル容量の時間変化を測定した。尚、電圧を降下さ
せる場合には、一旦30V(確実にベンド配向に転移す
る電圧値)を印加し、ベンド配向を目視で確認してか
ら、図5の割合で電圧を階段状に降下させた。尚、電圧
を降下させる場合には、一旦30Vを印加しベンド配向
を目視で確認してから図5の割合で電圧を階段状に降下
させた。各設定電圧に対するセルF5の容量の時間変化
は、図6及び図7に示す。
後595秒〜600秒間の平均容量でもって定義し、容
量−電圧(C−V)特性を求めた。このような容量−電
圧(C−V)特性をグラフ化したものが図8に示されて
いる。ここで、595秒〜600秒としたのは、特定設
定電圧値(図6中の2.6V、2.7V)を除いて、電
圧印加後に完全に容量変化が完了しており、容量が安定
した時間として、例えば595秒〜600を選んだもの
である。尚、特定設定電圧値の場合に、容量が増加して
いるのは、最大スプレイ配向からベンド配向への飛び越
し、いわゆる配向の緩和が生じているためである。図7
に示すように、電圧降下時においても、595秒〜60
0秒の平均容量値としたのは、上記電圧上昇時における
理由と同様である。但し、図7において、容量が減少す
る特定設定電圧値(図7中の1.8V、1.6V)の場
合に、容量が減少しているのは、ベンド配向から最大ス
プレイ配向への飛び越し、いわゆる配向の緩和が生じて
いるためである。尚、特定設定電圧値は、電圧上昇時に
おいては図8のヒステリシスの上限付近の電圧値に相当
し、電圧降下時においては図8のヒステリシスの下限付
近の電圧値に相当する。このことは、スプレイ配向とベ
ンド配向との間には、エネルギー差があることを意味す
る。
曲線で囲まれる領域の広さはスプレイ配向のエネルギー
とベンド配向のエネルギーとの差に対応しており、スプ
レイ−ベンド転移の容易性に対応している。これは、ベ
ンド配向からスプレイ配向への転移の場合、本来的には
電圧を0Vにすれば自動的に転移する。このことは、配
向エネルギーの観点からすると、ベンド配向からスプレ
イ配向への転移は、電圧を0Vとすると、急激に転移が
生じるものと考えられ、図8において、ラインL2は急
激に低下していることが分かる。よって、スプレイ配向
とベンド配向間における転移は、ラインL2が理想であ
る。従って、スプレイ配向からベンド配向への転移を示
すラインL1は、本来的にはラインL2と同様となるべ
きである。しかしながら、スプレイ配向からベンド配向
への転移に要するエネルギーと、ベンド配向からスプレ
イ配向への転移に要するエネルギーとに差があるため、
ラインL1は緩やかに立ち上がる。よって、ラインL1
がラインL2に近づく方が、スプレイ配向からベンド配
向への転移が容易であると考えられる。
で定義し、広さSを算出した。
限[V]を、bはヒステリシスの認められる電圧上限
[V]を表し、CBSはベンドからスプレイへの変化時の
セル容量[pF]、CSBはスプレイからベンドへの変化
時のセル容量[pF]を表している。また、Cmax、
Cminはそれぞれセルの最大容量[pF]、最小容量
[pF]を表し、Lは液晶層厚[m]を表している。他
のテストセルについても、測定したC−V特性よりS値
を求めた。上記算出結果を上記表6に示す。
を印加した時のスプレイ配向からベンド配向への転移に
要する時間を目視観察した結果を上記表6に併せて記
す。表6から明らかなように、S≦1.0×104 V/
mの液晶材料が高速なスプレイ−ベンド転移を示す。本
実施の形態5におけるS値は、(配向膜のアンカリング
エネルギーA/弾性定数K)の関数であり、液晶材料の
プレチルト角によっても変化する。特にプレチルト角を
大きくするとS値は小さくなり、スプレイ−ベンド転移
が容易になる。
材料がピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、およびビ
フェニル系からなる群から選ばれる少なくとも一種の液
晶系を含有していることを特徴とするものである。以下
に、材料を特定した理由を、本発明者の実験結果に基づ
き詳細に説明する。
施の形態1と同様の構成の空セル9を3ケ作成し、表7
に示す液晶材料LC31〜LC33を真空注入法にて各
空セル9にそれぞれ注入して、テストセルG1〜G3を
作製した。また、表7に示す液晶材料LC40を真空注
入法にて空セル9に注入して、テストセルJを作製し
た。
液晶構造によるスプレイ−ベンド転移の容易性を評価す
るため、それぞれを液晶骨格が同一である同族列液晶で
構成したものである。
いの偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V矩
形波の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配向
への転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向から
ベンド領域へと転移するに要する時間を求めたので、そ
の結果を上記表7に示す。
晶やビフェニル系液晶およびピリミジン系液晶は高速な
転移を示すことが分かる。これは、これら液晶の広がり
の弾性定数K11がフェニルシクロヘキサン系液晶に比
べて、相対的に小さいことによるものと思われる。この
ことは、その他エタン系液晶などにも当てはまる。通常
の液晶組成物は液晶温度範囲、屈折率異方性、および誘
電率異方性などの調整のため、数種〜20種の液晶化合
物の混合物で構成されるが、本実施の形態の結果よりピ
リミジン系液晶やジオキサン系液晶あるいはビフェニル
系液晶を含む液晶組成物が高速なスプレイ−ベンド転移
を示すことは明らかである。一般に、異種骨格の液晶分
子の混合により液晶組成物の弾性定数は、各液晶分子の
弾性定数の、加成性で計算される値よりも小さな値にな
るため、ピリミジン系液晶、ビフェニル系液晶あるいは
ジオキサン系液晶の添加は極めて有効である。
表示素子は、プレチルト角に着目して、少なくとも一方
の基板表面におけるプレチルト角が2度以上であること
を特徴とするものである。以下に、プレチルト角が2度
以上とする理由を、本発明者の実験結果に基づき詳細に
説明する。
製した。透明電極2、7を有する2枚のガラス基板1、
8上にJSR製配向膜塗料JALS−246をスピンコ
ート法にて塗布し、恒温槽中150℃、1時間硬化させ
配向膜3、6を形成する。その後、レーヨン製ラビング
布を用いて図2に示す方向にラビング処理を施し、積水
ファインケミカル(株)製スペーサ5、およびストラク
トボンド352A(三井東圧化学(株)製シール樹脂の
商品名)を用いて基板間隔が5.8μmとなるように貼
り合わせ、空セル9を5ヶ作成した。この時、ラビング
強度を変化させて、それぞれの液晶プレチルト角が異な
るようにした。
空注入法にて各空セル9にそれぞれ注入して、テストセ
ルH1〜H5とした。
偏光軸方向が直交するよう偏光板を貼合し、7V矩形波
の電圧を印加しながらスプレイ配向からベンド配向への
転移を目視観察し、全電極領域がスプレイ配向からベン
ド領域へと転移するに要する時間を求めたので、この結
果を表9に示す。尚、別途測定した液晶プレチルト角
も、併せて表9に記す。
起こさせるためには、プレチルト角として2度以上が好
ましいことが分かる。これは、プレチルト角が大きい
と、電圧印加によるスプレイ配向の変位が大きく、その
ため、スプレイ−ベンド転移が容易に起こるからであ
る。尚、プレチルト角を大きくすることにより、駆動電
圧を低減でき、更に初期化電圧を低減できるという効果
も奏する。
ルト角は、プレチルト角の安定性や電圧−透過率特性の
安定性に懸念が生ずるため、適切なプレチルト角を設定
する必要がある。従って、プレチルト角の安定性等を考
慮すれば、プレチルト角は、2度以上、6度以下とする
のが、望ましい。
子においては、負の位相補償板であっても、正の補償位
相板であってもよい。但し、表示特性の点からすれば、
負の位相補償板の方が望ましい。また、位相補償板は、
一対の基板の外側にそれぞれ配設されていてもよく、ま
た、一方の基板の外側にのみ配設されていてもよい。
によるスプレイ配向からベンド配向への転移が極めて速
い光学補償ベンド(OCB)モードの液晶表示素子を実
現できる。
間評価に用いたテストセルの構成図である。
間評価に用いたテストセル基板のラビング方向を示す図
である。
過程を説明するための図である。
加持の液晶ダイレクタ分布の違いを説明するための図で
ある。
圧の時間変化を表すタイミングチャート図である。
に、図5のタイミングで電圧を印加した時の、各電圧値
切換後の容量の時間変化を示す図である。
に、図5と同様のタイミングで電圧を降下させた時の、
各電圧値切換後の容量の時間変化を示す図である。
の容量−電圧(C−V)ヒステリシス特性を示す図であ
る。
構成、および液晶ダイレクタの配列を説明するための図
である。
Claims (3)
- 【請求項1】一対の基板間に挟持された液晶材料に電圧
を印加し、スプレイ配向からベンド配向に転移させた
後、このベンド配向状態で液晶表示駆動を行うパラレル
配向液晶表示素子において、前記液晶材料の広がり弾性
定数K11と曲げ弾性定数K33との比K11/K33
が、0.539以下であることを特徴とするパラレル配
向液晶表示素子。 - 【請求項2】一対の基板間に挟持された液晶材料に電圧
を印加し、スプレイ配向からベンド配向に転移させた
後、このベンド配向状態で液晶表示駆動を行うパラレル
配向液晶表示素子において、前記液晶材料は、印加電圧
を上昇および下降させながら前記容量を測定したときに
観測される容量−電圧ヒステリシスの大きさSを以下の
第1式で定義したときに、Sが1.0×104V/m以下となる、
そのような液晶材料であることを特徴とするパラレル配
向液晶表示素子。 【数1】 尚、aはヒステリシスの認められる下限電圧値[V]を、b
はヒステリシスの認められる上限電圧値[V]を表し、CBS
はベンドからスプレイへの変化時のセル容量[pF]を、CS
Bはスプレイからベンドへの変化時のセル容量[pF]を表
している。また、Cmaxはセルの最大容量[pF]を、Cminは
セルの最小容量[pF]を表し、Lは液晶層厚[m]を表してい
る。 - 【請求項3】前記液晶材料の少なくとも一方の基板表面
におけるプレチルト角が2度以上であることを特徴とす
る請求項1または2のいずれかに記載のパラレル配向液
晶表示素子。
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- 1999-04-05 JP JP9773299A patent/JP3183645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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