JP3181688B2 - 電気泳動用検体塗布先の洗浄装置 - Google Patents

電気泳動用検体塗布先の洗浄装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来技術】本発明は、検査支持体上に検体塗布先を用
いて検体を塗布して電気泳動による分析を繰り返して行
う電気泳動における血清塗布先の洗浄装置に関する。
【0002】
【産業上の利用分野】従来、血清の電気泳動分析装置に
おいての血清塗布先の洗浄の方式として、まず、実開昭
50−154792号公報、実公昭57−353 号公報において示さ
れる通り、洗浄水を噴出させる多数の小孔またはスリッ
トを有したパイプを洗浄用水槽内に配置することによ
り、そのパイプ中に送り込んだ洗浄液を使用済みの血清
塗布先に噴き付けて洗浄させるものである。
【0003】また、実開昭51−11094 号公報のものは、
洗浄用水槽内に洗浄液を溜め、この洗浄液を攪拌し、そ
の水流等の作用により血清塗布先を洗浄せしめるものも
ある。このように、従来のものにあっては、いずれも洗
浄液の水流を利用して塗布先を洗浄している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動電気泳動装置にお
いて、血清の電気泳動分析を行なう場合には、コンタミ
ネーションを防止するため、血清塗布先は一回の検体
(血清)の吸着、塗布毎に洗浄しなければならない。ま
た、この動作(作業)を行なっても、血清塗布先の溝な
どに付着した微量の蛋白質や粘性の高いものは、効率的
に、落としきれないため、定期的に念入りな洗浄が必要
である。
【0005】実開昭50−154792号公報や実公昭57−353
号公報のものの場合、短時間で自動的に血清塗布先の洗
浄を行なおうとするには、容量の大きなポンプを使うな
どして噴流の強さを高めなければならない。また、この
場合には、使用する洗浄液の量も多くなるという欠点が
ある。
【0006】また、実開昭51−11094 号公報のものにお
いて、短時間で自動的に血清塗布先の洗浄を行なおうと
する場合、その水流を大きくしなければならず、攪拌用
モータの出力を大きくしなければならない。このときに
は、洗浄液の飛び散りがないよう、特に、考慮する必要
がある。水流を利用した血清塗布先の洗浄であると、そ
の血清塗布先の溝などに、こびり付いた検体を効率的に
洗い流すことができないという欠点があった。
【0007】本発明は、前記課題に着目してなされたも
ので、その目的とするところは、検体塗布先に付着した
検体(血清)を短時間で洗い落すことができる電気泳動
用検体塗布先の洗浄装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、検
体塗布先を用いて支持体上に検体を塗布して電気泳動に
よる分析を繰り返して行う電気泳動における検体塗布先
の洗浄装置において、緩衝液を収容する収容部と、検体
塗布先を保持してこれを移送する移送手段と、この移送
手段により前記検体塗布先の先端が少なくとも前記収容
部内の緩衝液に接触した状態でその検体塗布先へ前記検
体が電気泳動を行う電流を流す通電手段とを備えるもの
である。これは、電気泳動(溶液中にある粒子が電場の
もとで移動する現象)を利用して検体塗布先を洗浄する
ものである。
【0009】
【実施例】図1ないし図3は、本発明の第1の実施例を
示すものである。図1において、11は電気的絶縁体に
よって形成された洗浄用容器であり、後述する緩衝液1
2を収容する収容部を形成している。洗浄用容器11に
は吸引チューブ13と排出チューブ14を通じて緩衝液
容器15が接続されている。吸引チューブ13の途中に
はポンプ16と逆止弁17が介装されている。排出チュ
ーブ14の途中には開閉用電磁弁18が介装されてい
る。
【0010】そして、ポンプ16を駆動することにより
緩衝液容器15内の緩衝液12を洗浄用容器11へ送り
込み、逆止弁17はその逆流を阻止する。開閉用電磁弁
18は排出チューブ14の通路を遮断または開放し、開
放することにより洗浄用容器11の緩衝液12を緩衝液
容器15に戻すようになっている。
【0011】緩衝液12としては、ベロナール・ベロナ
ールナトリウムや酢酸希釈液等、ある特定のpHをもつ
電解質溶液なら何でもよいが、血清蛋白質のもつ等電点
と同じpHのものは避ける。これは等電点が緩衝液と同
じ蛋白質は電気泳動により移動しないからである。
【0012】洗浄用容器11に緩衝液12を満たすとき
には開閉用電磁弁18を遮断して、一定時間、ポンプ1
6を運転することにより、緩衝液容器15内の緩衝液1
2を必要量、洗浄用容器11内に送り込めばよい。ま
た、洗浄用容器11内の緩衝液12を緩衝液容器15に
回収する場合は、ポンプ16を停止し、電磁弁18を開
くことによって行なう。ポンプ16の運転および電磁弁
18の開閉は図示しない制御回路の指令にて行なわれ
る。
【0013】緩衝液容器15の上部位置には塗布具ユニ
ット21が設置されている。この塗布具ユニット21は
図2で示すように支持腕22に対して水平方向へ等間隔
で並べられた多数の塗布具23を保持しなり、各塗布具
23はそれぞれ上下方向に沿うスリット状の溝孔23a
を有し、これに嵌め込む頭付ねじ24によって前記支持
腕22に上下位置調節自在に固定されている。
【0014】各塗布具23の下端部にはそれぞれ導電性
の検体塗布先25がねじ26を用いて着脱自在に取り付
けられている。図3で示すように、検体塗布先25は導
電性材料からなる薄い板状をなしており、その先端(下
端)形状の一例を示すと、その先端面に溝27を形成し
て表面張力にて検体(血清等)を付着させるようにして
いる。また、検体塗布先25の中間部には四角形にくり
抜かれた開口28が形成されている。前記溝27はその
開口28に連通している。
【0015】塗布具ユニット21は、後述する移送機構
(手段)30の水平ラック軸31の一端に取着されたブ
ロック32に止めねじ33によって固定されている。水
平ラック軸31はハウジング34に水平1方向に移動自
在に取り付けられている。水平ラック軸31を支持する
ハウジング34はガイド35を介して上下ラック軸36
に対して上下自在に取り付けられている。水平ラック軸
31のラック37はハウジング34に組み込んだ正逆回
転可能なモータ38によって駆動されるピニオンギア3
9が噛合しており、そのモータ38を運転することによ
りハウジング34に対して水平ラック軸31を水平1方
向に移動させる。また、上下ラック軸36のラック41
は正逆回転可能なモータ42によって駆動されるピニオ
ンギア43が噛合しており、そのモータ42を運転する
ことにより上下ラック軸36を垂直方向に移動するよう
になっている。
【0016】しかして、塗布具ユニット21は、図示し
ない制御部の指令によってその移送機構30のモータ3
8,42を適宜運転することにより、水平1方向と上下
方向へのサイクル運動をさせることができる。
【0017】塗布具ユニット21の水平移動方向の一端
側位置には、検体(血清)46を載せた血清皿47が設
置されており、また、洗浄用容器11とその血清皿47
との間の位置にはローラ48によって適宜搬送される検
体支持体49が設置されている。
【0018】一方、前記洗浄用容器11内には白金等の
材質からなる電極線51が前記検体塗布先25の長手方
向へ平行に直線的に張られて配設されている。この電極
線51と前記塗布具ユニット21の検体塗布先25との
間には電源52が結線されている。つまり、電源52の
他端側はそれぞれ導電性の水平ラック軸31、ブロック
32、支持腕22および塗布具23などを通じて検体塗
布先25に導通している。
【0019】そして、図示しない制御部によって操作ス
イッチ53を閉成することにより、その間に電圧を印加
すれば、検体塗布先25と電極線51の間に電位差が生
じる。これにより後述する使用時において前記検体塗布
先25の先端が少なくとも前記洗浄用容器11の収容部
内の緩衝液12に接触した状態でその検体塗布先25へ
前記検体46が電気泳動を行う電流を流す通電手段を構
成する。
【0020】次に、この装置の作用を説明する。最初
に、移送機構30のモータ42を駆動することにより上
下ラック軸36を上昇させて塗布具ユニット21の検体
塗布先25を上昇させる。ついで、モータ38を駆動し
て、検体塗布先25を図1の紙面上右方向へ移動させ
る。そして、検体皿47の上部にて停止させ、再び、モ
ータ42の回転によって下降せしめ、検体塗布先25に
検体46を表面張力作用を利用して付着させる。
【0021】この付着後、再び、検体塗布先25を上昇
させ、図1の紙面上の左側に移動し、検体塗布先25を
支持体49上にて停止させる。ついで、下降させ、その
検体塗布先25によって支持体49上に検体46を塗布
する。この塗布後、再び、検体塗布先25を上昇させた
上で、さらに図1の紙面上の左側に移動し、洗浄用容器
11上にて停止させ、下降させる。この後、電磁弁18
を閉じ、ポンプ16を一定時間運転させ、洗浄用容器1
1中に検体塗布先25が浸されるように緩衝液12を入
れる。
【0022】この後、操作スイッチ53を閉じて、電極
線51と検体塗布先25の間に電位差が生じる。する
と、電気泳動現象を起こし、検体塗布先25の先端の溝
27などに付着した蛋白質等が緩衝液中に遊離する。こ
のことによって検体塗布先25の先端部の溝27などに
付着した血清蛋白質等は電気泳動現象により溶液中に流
れ出し、洗浄されることになる。
【0023】この場合、電気易動度については、蛋白
質、核酸などでは10-4〜10-5cm/cec ・V程度であ
る。緩衝液12により、加える電圧は一定ではないが検
体塗布先25の先端の溝27から血清蛋白質が緩衝液1
2の中に遊離すればよいため、泳動時間は短時間で良
い。
【0024】その後、操作スイッチ53を開き、電磁弁
18を開き、容器11中の緩衝液12を容器15に返
し、洗浄用容器11内を空にする。その後、図示しない
ヒーターによって検体塗布先25を乾かす。そして、次
の支持体49がローラ48によって送られると、また、
同様な動作を繰り返す。
【0025】また、緩衝液12は電気泳動装置の染色液
の脱色に使用する酢酸希釈液や、支持体49の電気泳動
用緩衝液であるベロナール・ベロナールナトリウムを併
用することが可能であるため、別の検体塗布先の洗浄用
緩衝液を用意する必要はない。また、短時間で検体塗布
先25を洗浄することができるため、支持体49の塗布
時間の間隔が短くてよい。また、コンタミネーションに
よる電気泳動像およびデータへの悪影響が除外できる。
【0026】図4は本発明の第2の実施例の構成を説明
する図である。前述と同様に塗布具ユニット21が構成
されている。つまり、検体塗布先25は塗布具23に固
定されており、これが複数個並列に支持腕22に取付け
られている。これを止めねじ33によって洗浄用容器6
1における梁62に対して着脱自在に取着する。この容
器61に取付ける塗布具ユニット21は前述したものと
同様に止めねじ33、支持腕22、頭付ねじ24、塗布
具23、検体塗布先25の部分と同様であって、これら
は導電性の材料によって形成されている。容器61には
電極線51が張られており、また検体塗布先25が浸る
ように緩衝液12が入っている。また、電源52の一端
側を電極線51に接続され、他端側は導電性クリップ6
4に操作スイッチ53を介して結線する。
【0027】しかして、支持腕22にクリップ64を取
り付け、操作スイッチ53を閉じると、電源52によ
り、検体塗布先25と電極線63の間で電流が流れ、電
気泳動現象を起こし、検体塗布先25に付着した血清蛋
白質を緩衝液12の中に遊離する。
【0028】この実施例の装置は、特に塗布具ユニット
21を外して定期的に洗浄する場合など用いられ、洗浄
用容器61を用いて電気泳動、洗浄を行なうものであ
る。これにより、従来の洗浄液12に長時間の間、検体
塗布先25を浸しておくなどの時間が省け、また、ブラ
シで検体塗布先25の溝27を擦るなどの作業が必要で
なくなるため、この作業による検体塗布先25の破損を
防止することができる。
【0029】なお、前述した各実施例において、塗布具
ユニット21全体の材質が導電性材料であるような表記
であるが、検体塗布先25のみを導電性材料であれば、
電源52からの線を各検体塗布先25に中継しながら結
線すればよい。また、緩衝液の入っている容器は絶縁材
料でできており、これに電極線51を張っているが容器
11,61自体を導電性材料として、この容器11,6
1と検体塗布先25の間に電流をかけて、電気泳動現象
を起こさせることも可能である。このように本発明は上
記実施例のものに限定されるものでなく、その要旨を変
更しない範囲で種々変更し得るものである。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、検体塗布先に付着した
検体(血清)を短時間で洗い落すことができるととも
に、その検体塗布先の洗浄に必要な緩衝液が微量ですむ
ため、ランニングコストがかからない。また、検体塗布
先の洗浄構造が比較的安価にて簡単に構成できるため、
低価格な洗浄装置を提供することができる。さらに、短
時間で洗浄を行なうことができるから、装置の効率的な
運用に寄与できるだけでなく、コンタミネーションの影
響のない泳動像が得られ、それによるデータについても
信頼性のおけるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を適用した検体塗布装置
の概略的な構成の説明図。
【図2】同じくその検体塗布装置における洗浄装置部の
概略的な構成の説明図。
【図3】同じくその検体塗布装置における塗布具ユニッ
ト部の概略的な説明図。
【図4】本発明の第2の実施例を適用した検体塗布装置
の洗浄装置部の概略的な構成の説明図。
【符号の説明】
11…洗浄用容器、12…緩衝液、15…緩衝液容器、
21…塗布具ユニット、25…検体塗布先、30…移送
機構、51…電極線、52…電源、53…操作スイッ
チ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/447

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体塗布先を用いて支持体上に検体を塗
    布して電気泳動による分析を繰り返して行う電気泳動に
    おける検体塗布先の洗浄装置において、緩衝液を収容す
    る収容部と、検体塗布先を保持してこれを移送する移送
    手段と、この移送手段により前記検体塗布先の先端が少
    なくとも前記収容部内の緩衝液に接触した状態でその検
    体塗布先に前記検体が電気泳動を行う電流を流す通電手
    段とを備えることを特徴とする電気泳動用塗布先の洗浄
    装置。
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DE3829111A1 (de) * 1988-08-27 1990-03-01 Hoechst Ag Verfahren und vorrichtung zum elektrophoretischen trennen, reinigen und anreichern von geladenen oder polarisierbaren makromolekuelen

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