JP3180323U - 新生子豚の保温飼育装置及び該保温飼育装置に備えられる子豚検知器 - Google Patents

新生子豚の保温飼育装置及び該保温飼育装置に備えられる子豚検知器 Download PDF

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Abstract

【課題】 無看護分娩時においても、分娩直後の新生子豚の保温を適時、確実に行い、これにより、新生子豚の凍死事故や成育不良を確実に防止するとともに、暖房費用の浪費をなくすことができる新生子豚の保温飼育装置を提供する。
【解決手段】 分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚3を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置1が、新生子豚3を保温する暖房装置40(41、42)と、母豚2の周りを歩き回る新生子豚3を自動的に検知する子豚検知器50と、制御手段と、を備えている。制御手段は、子豚検知器50が母豚2の周りを歩き回る新生子豚3を検知したことを受けて、暖房装置40(41、42)を作動させる。
【選択図】 図1

Description

本願の考案は、新生子豚の保温飼育装置に関し、特に分娩豚舎において、分娩直後に母豚の周りを歩き回る新生子豚を自動的に検知する子豚検知器(センサー)を用いて、分娩直後の新生子豚の保温を適時、確実に行い、これにより、無看護分娩時であっても、新生子豚の凍死事故や成育不良を確実に防止するとともに、暖房費用の浪費をなくすようにした新生子豚の保温飼育装置に関する。
本願の考案は、また、このような保温飼育装置に備えられ、前記のように作動して、前記のような効果を招来することが可能な子豚検知器にも関する。
子豚は、生まれてから離乳するまでに要する日数が25〜30日程度であり、この間、子豚は、分娩豚舎において、最初は35℃程度で、次いで、順次、温度を落としながら、最低22〜24℃で保温してやる必要がある。
本出願人は、先に、子豚の飼育のために用いられる保温箱の改良品を考案して、実用新案登録出願をし、登録を得た(特許文献1)。この改良された子豚保温箱は、1頭の母豚から生まれる複数頭(通常は10頭前後)の子豚を、出産直後から離乳期まで、保温飼育するために使用されるものであって、加温装置(暖房装置)を装備した保温箱の側面上部に排気口を開口し、金属板からなる排気ダクトを前記保温箱の内側面下方より前記排気口に接続し、その吸込み口を同保温箱の底面よりやや上方に位置させている。
この改良された子豚保温箱によれば、子豚飼育に最適の加温温度が最小の電力で容易に維持されるとともに、子豚の生理現象に伴って発生して保温箱内の下層部に低迷している悪臭や有害ガスが、子豚出入り口より流れ込む新鮮な空気によって押され、排気ダクトの吸込み口より同ダクト内を通り、前記排気口より保温箱外に排出放散されるので、保温箱内(保温室)の換気が自然に行なわれて、保温箱内の内部空気を常に正常に保持し、子豚の育成環境を常に最良の状態に保ち、健全な子豚を早期に育てることができる。このため、国内の多くの養豚業者に受け入れられ、実績を重ねて、今日に至っている。
ところで、母豚より生まれ出た分娩直後の新生子豚は、一般に、保温箱の明かりと暖かさを求めて、保温箱に入ろうとするが、必ずしも全頭が保温箱に入るものではなく、ほとんどの場合、その3割ないし半数近くは、保温箱の外で、母豚の周りを歩き回っている。このような子豚は、そのままでは、凍死や下痢などによる成育不良を招来しかねないので、通常は、保温箱の外部に暖房装置(例えば、ガスストーブや300〜600W相当の電熱灯)を別個設置して、この暖房装置を分娩舎担当者が作動させて、保温箱の外でも、新生子豚を保温して保護してやるようにしている。
この場合において、看護分娩時には、分娩舎担当者が母豚の分娩を見届けてから、前記のようにして暖房装置を確実に作動させることができるが、無看護分娩時には、分娩舎担当者は、母豚の分娩時、そこにいないので、分娩に合わせて暖房装置を作動させることができない。そこで、分娩舎担当者は、母豚の分娩時期を予め予測し、その時期に合わせて暖房装置を作動させてから、そのままの状態にして、夜間帰宅する。しかし、その結果は、必ずしも予測通りの分娩とは行かず、母豚の体調によっては、2日、3日と遅れることがある。その間、暖房装置は作動させたままであるので、この場合には、予測時間から分娩時間までに要した暖房装置の運転費用が浪費されることとなる。
また、母豚の体調変化によっては、異常早産があり得、この場合には、予測外のため、分娩舎担当者は、暖房装置を作動させておらず、分娩直後の新生子豚を保温してやることができていない。このため、特に冬季においては、新生子豚の全頭凍死という悲惨な事故に繋がったり、成育不良を招来することとなり、問題が生じていた。
なお、前記した子豚保温箱は、全体が直方体形状をなしており、その6面が壁板で囲まれ、天井板の一部は開閉扉とされ、いずれかの側板の下部に子豚の出入り口が、また、他のいずれかの側板の上部に排気口が、それぞれ開口した構造となっているが、このほかに、天井板を持たず、四周のみが壁板で囲まれただけの簡易な構造の子豚保温箱も多く使用されている。
実用新案登録第1884791号公報
本願の考案は、このような従来の新生子豚の保温飼育装置が有する問題点を解決して、無看護分娩時においても、分娩直後の新生子豚の保温を適時、確実に行い、これにより、分娩時期予測の誤判断が基で暖房装置の作動が遅れることにより従来生じていた新生子豚の凍死事故や成育不良を確実に防止するとともに、同じ原因で暖房装置の作動が早過ぎることにより従来生じていた暖房費用の浪費をなくすことができる新生子豚の保温飼育装置を提供することを課題とする。
本願の考案は、また、このような保温飼育装置に備えられ、前記のように作動して、前記のような効果を招来することが可能な子豚検知器を提供することをも課題とする。
前記のような課題は、本願の実用新案登録請求の範囲の各請求項に記載された次のような考案により解決される。
すなわち、その請求項1に記載された考案は、分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置が、前記新生子豚を保温するための暖房装置と、母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を自動的に検知する子豚検知器と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記子豚検知器が前記母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を検知したことを受けて、前記暖房装置を作動させることを特徴とする新生子豚の保温飼育装置である。
また、その請求項2に記載された考案は、前記子豚検知器が、その設置位置を自在に変更し得るようにして、また、その検知方向を3次元空間内で自在に変更し得るようにして、備えられていることを特徴とする請求項1に記載の新生子豚の保温飼育装置である。
また、その請求項3に記載された考案は、前記暖房装置が、主暖房装置と副暖房装置とからなり、分娩直後に前記新生子豚が前記母豚の一側の周りを歩き回る空間を隔てて、一方の側に、前記母豚の豚房が柵で仕切られて設けられ、他方の側に、前記新生子豚の全頭を収容可能な子豚保温箱が設けられ、前記主暖房装置は、前記子豚保温箱の内部を暖房するようにして設けられ、前記副暖房装置は、前記豚房と前記子豚保温箱との間の空間を暖房するようにして設けられ、前記制御手段は、前記子豚検知器が前記母豚の一側の周りを歩き回る前記新生子豚を検知したことを受けて、前記主暖房装置と前記副暖房装置とを同時に作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の新生子豚の保温飼育装置である。
さらに、その請求項4に記載された考案は、前記子豚検知器は、前記子豚保温箱の前記柵側の外壁板もしくは前記柵に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の新生子豚の保温飼育装置である。
また、その請求項5に記載された考案は、分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置に備えられ、母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を自動的に検知して、前記新生子豚を保温するための暖房装置を作動させる信号を出力することを特徴とする子豚検知器である。
本願の考案の新生子豚の保温飼育装置及び子豚検知器は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することができる。
子豚検知器(センサー)が、分娩直後に母豚の周りを歩き回る新生子豚を自動的に検知したことを受けて、制御手段が、新生子豚を保温するために設けられている暖房装置を作動させるので、分娩直後の新生子豚の保温を適時、確実に行うことができる。このため、無看護分娩時においても、暖房装置の作動が遅れることがなく、分娩時期予測の誤判断が基で暖房装置の作動が遅れることにより従来生じていた新生子豚の凍死事故や成育不良を確実に防止することができる。また、暖房装置の作動が早過ぎることもなく、同じ原因で暖房装置の作動が早過ぎることにより従来生じていた暖房費用の浪費をなくすことができる。
また、子豚検知器が、その設置位置を自在に変更し得るようにして、また、その検知方向を3次元空間内で自在に変更し得るようにして、備えられるので、新生子豚が分娩直後に母豚の周りを歩き回る領域の変化に合わせて適切な位置及び取付け角度に子豚検知器を容易に設置することができ、新生子豚の確実な検知が容易になる。
また、暖房装置は、主暖房装置と副暖房装置とからなり、分娩直後に新生子豚が母豚の一側の周りを歩き回る空間を隔てて、一方の側に、母豚の豚房が柵で仕切られて設けられ、他方の側に、新生子豚の全頭を収容可能な子豚保温箱が設けられ、主暖房装置は、子豚保温箱の内部を暖房するようにして設けられ、副暖房装置は、豚房と子豚保温箱との間の空間を暖房するようにして設けられ、制御手段が、子豚検知器(センサー)が、分娩直後に母豚の一側の周りを歩き回る新生子豚を自動的に検知したことを受けて、新生子豚を保温するために設けられている主暖房装置と副暖房装置とを同時に作動させるので、無看護分娩時においても、子豚保温箱に入った新生子豚はもちろん、子豚保温箱に入らずに、母豚の一側の周りを歩き回っている新生子豚も、共に保温することができ、これらの新生子豚を凍死事故や成育不良から確実に守ることができる。
また、子豚保温箱が設けられているので、分娩直後の新生子豚の保護期間(通常一晩)が終わると、分娩舎担当者は、分娩を確認して、直ぐに子豚保温箱を中心とした飼育に切り替えることができ、ここの箱内での保温のみで新生子豚の順調な成育を図ることができて、暖房費用を節減することができる。また、作業能率を向上させることができる。
分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置が、新生子豚を保温する暖房装置と、母豚の周りを歩き回る新生子豚を自動的に検知する子豚検知器と、制御手段とを備えるものとする。制御手段は、子豚検知器が母豚の周りを歩き回る新生子豚を検知したことを受けて、暖房装置を作動させるようにする。子豚検知器は、その設置位置を自在に変更し得るようにして、また、その検知方向を3次元空間内で自在に変更し得るようにして、備えられるものとする。
以下、本願の考案の新生子豚の保温飼育装置及び子豚検知器の好適な一実施例を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1は、本実施例の新生子豚の保温飼育装置の概略斜視図、図2は、本実施例の子豚検知器の平面側から見た斜視図、図3は、同第1の側面側から見た斜視図、図4は、同第2の側面側から見た側面図、図5は、同背面側から見た斜視図、図6〜図8は、同子豚検知器の取付け位置及び角度の変化による検知範囲の変化を説明するための図である。
(子豚飼育装置の概略構成)
本実施例において、新生子豚の保温飼育装置1は、分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚、特に子豚保温箱に入らずに母豚の一側の周りを歩き回る新生子豚3を保温してやることによって、その健全な成育を図るために使用されるものであって、図1に示されるように、あらまし、母豚2の豚房10、子豚保温箱20、暖房装置40(41、42)、子豚検知器(センサー)50及び制御手段から構成されている。豚房10と子豚保温箱20とは、分娩直後の複数頭の新生子豚3が母豚2の一側の周りを歩き回る空間30を隔てて、その一方の側と、他方の側とに、それぞれ配置されて設けられている。制御手段は、子豚検知器50の内部に収納されている。
(豚房)
豚房10は、詳細には図示されないが、柵11で母豚2の四周を狭く囲むようにして形成されている。柵11としては、図示のように複数本の金属パイプをフレーム構造に組み立てて構成したもののほかに、金属板もしくは木材板を用いて構成しても良く、後者の場合には、空間30に臨んで、新生子豚3の出入り口が設けられる。このような構造の豚房10においては、新生子豚3が母豚2の他側の周りを歩き回ることはない。
(子豚保温箱)
子豚保温箱20は、直方体形状の箱型をなしており、独自の保温装置(暖房装置)を備えていて、新生子豚3の全頭(通常10頭前後)を収容可能である。そして、その豚房10側の外壁板である前側板21の一側の下部には、新生子豚3の出入り口22が設けられている。
子豚保温箱20としては、好ましくは、本出願人の考案になるもの(特許文献1参照)が使用されるが、このほかに、天井板を持たず、四周のみが壁板で囲まれて床板上に区画された室を構成する、簡易な保温室構造のもの(天井板のない子豚保温箱)も使用可能である。本明細書において、「子豚保温箱」とは、このような構造のものを含むものとする。
(暖房装置)
新生子豚3を保温する暖房装置40は、主暖房装置41と副暖房装置42とからなっている。主暖房装置41は、子豚保温箱20の内部を暖房するようにして配置され、吊るし鎖45を図示しない支柱により吊るすか、子豚保温箱20の外壁板の上部に引っ掛けたりして保持されている。また、副暖房装置42は、豚房10と子豚保温箱20との間の空間、すなわち、新生子豚3が母豚2の一側の周りを歩き回る空間30を暖房するようにして配置され、同じく吊るし鎖46を図示しない支柱により吊るすなどして保持されている。
主暖房装置41、副暖房装置42としては、普通、電熱ヒーターが用いられ、各ヒーターの出力は、300Wである。なお、主暖房装置41としては、子豚保温箱20に備え付けの暖房装置が兼用されても良い。このような暖房装置は、通常、子豚保温箱20の天井板(不図示)に固定して取り付けられている。図1において、符号23は、天井板の一部を割いて設けられた開閉扉を示す。
(子豚検知器)
子豚検知器50は、赤外線センサーからなり、母豚2の一側の周りを歩き回る新生子豚3を自動的に検知するようにして設置される。そのために、子豚保温箱20の前側板21の上部に取付け・取り外し自在に取り付けられている。また、その検知器本体部分の首振り角度も、3次元空間内で自在に変更し得るようになっている。したがって、子豚検知器50は、その設置位置を自在に変更することができるとともに、その検知方向を3次元空間内で自在に変更することができる。
なお、子豚検知器50は、柵11の上部パイプ(柵11が柵板で構成される場合には、その柵板の上端部)に取り付けられても良く、また、独自の支持脚が用いられても良い。子豚検知器50の詳細については、後述する。
(制御手段)
制御手段は、子豚検知器50の内部に収納されており、子豚検知器50が母豚2の一側の周りを歩き回る新生子豚3を検知し、その検知を知らせる信号を出力すると、この信号を受けて、主暖房装置41、副暖房装置42を同時に作動させる。なお、これらの暖房装置の作動の停止は、分娩舎担当者が行うようになっている。
看護分娩時に、分娩舎担当者が主暖房装置41(子豚保温箱20に備え付けのもの)を作動させることによって、子豚保温箱20が明るさと暖かさを保っていると、母豚2から生まれ出た分娩直後の新生子豚3は、その明るさと暖かさを求めて、子豚保温箱20に入ろうとするが、必ずしも全頭が子豚保温箱20に入るものではなく、ほとんどの場合、その3割ないし半数近くは、子豚保温箱20の外で母豚2の一側の周りを歩き回っている。これらの新生子豚3が子豚保温箱20に入らない理由は、定かでないが、生まれつきの成育状態の良否に拠るものとも考えられる。
ましてや、無看護分娩時に、主暖房装置41が作動しておらず、子豚保温箱20が明るさや暖かさを保っていないと、母豚2から生まれ出た分娩直後の新生子豚3は、その多くが、子豚保温箱20に入らずに、その外で母豚2の一側の周りを歩き回っている。
このように、子豚保温箱20の外で母豚2の一側の周りを歩き回っている新生子豚3は、子豚検知器50により検知され、この検知を受けて、制御装置が、暖房装置42を作動させることにより保温される。これにより、これらの新生子豚3は、凍死や下痢などによる成育不良から救われる。また、制御装置は、暖房装置41も同時に作動させるので、子豚保温箱20に入った新生子豚3も、同じようにして救われることはもちろんである。
(分娩豚舎)
豚房10、子豚保温箱20、空間30を囲む領域は、新生子豚の保温飼育装置1の1ユニットを構成しており、通常、柵パイプ等で仕切られて区画されている。分娩豚舎は、このような新生子豚の保温飼育装置1の1ユニットだけで構成されることもあるが、多くは、このようなユニットが複数台収容されて構成されている。大規模な養豚畜舎では、このようなユニットが数十台並設される。
(子豚検知器の詳細構造)
次に、子豚検知器50の構造を詳しく説明する。
子豚検知器50は、図2〜図5に示されるように、検知器本体部51と、該検知器本体部51を子豚保温箱20の外壁板や柵11に取り付けるための取付け部とから成っている。
検知器本体部51は、直方体形状の外殻構造をなし、その正面板(子豚検知器50のセット時、下方を向く板)には、図2に示されるように、赤外線センサー54と、センサー作動表示ランプ55とが取り付けられている。センサー作動表示ランプ55は、センサーの作動を表示するとともに、夜間、分娩直後の新生子豚3を暖房装置41、42の下方に誘導する役目も果たすことができる。
また、検知器本体部51の一側面板には、図2、図3及び図5に示されるように、検知器用電源接続コード52aを接続する電源接続部52と、安全ヒューズ53とが取り付けられている。さらに、その底面板には、後述する子豚検知器50の取付け部のほかに、図2、図3及び図5に示されるように、主暖房装置41、副暖房装置42の電源接続コード43、44(図1参照)の端子プラグの差込み口であるコンセント56が設けられている。
子豚検知器50の取付け部は、次のように構成されている。
検知器本体部51の底面板には、図2〜図5に示されるように、T字状の第1の取付け金具58が、そのT字の脚片を底面板から直立させて、固着されている。また、目玉クリップ57の一対の把持板の一方には、L字状の第2の取付け金具59が、L字の一方の折片を該一方の把持板から直立させて、固着されている。そして、これら第1の取付け金具58と第2の取付け金具59との間には、2つのL字状の中間金具60、61が介在させられていて、これら両中間金具60、61が、これら両取付け金具58、59を、それらの相対的な角度関係が3次元空間内で変幻自在になるようにして、連結接続している。
目玉クリップ57は、その把持部が、子豚保温箱20の前側板21の上方端部や柵11の上方パイプを挟み付けて把持することにより、子豚検知器50を、これらの固定部に対して支持する。
ここで、第1の取付け金具58と第1の中間金具60とは、ボルトとナットとの組合せからなる第1の固着具62により、X軸方向の軸周りに相対回動自在に連結されている。また、第1の中間金具60と第2の中間金具61とは、同様の第2の固着具63により、Y軸方向の軸周りに相対回動自在に連結されている。さらに、第2の中間金具61と第2の取付け金具59とは、同様の第3の固着具64により、Z軸方向の軸周りに相対回動自在に連結されている。ここで、X軸とY軸とは、子豚検知器50の初期設置姿勢において、水平面内での直交2軸であり、Z軸は、同じく垂直軸である(図2、図5参照)。
したがって、これら3つの固着具62、63、64を適宜緩めたり、締めたりして、第1の取付け金具58と第1の中間金具60との取付け角度関係、第1の中間金具60と第2の中間金具61との取付け角度関係、第2の中間金具61と第2の取付け金具59との取付け角度関係を適宜変えることにより、検知器本体部51の姿勢を、子豚保温箱20の前側板21の上方端部や柵11を挟み付けることによって固定された目玉クリップ57に対して、3次元空間内で自在に変更することができる。これにより、子豚検知器50の検知方向を3次元空間内で自在に変更することが可能になる。
図6〜図8には、このようにして子豚検知器50の姿勢(取付け角度)を種々に変化させた場合の子豚検知範囲の変化が示されている。
図6は、直方体形状の検知器本体部51の長軸方向をX軸に沿うようにして、また、その短軸方向をY軸に沿うようにして、子豚検知器50を子豚保温箱20の前側板21の上方端部に取り付け、その正面(赤外線の放射面)を真下に向けて、赤外線を照射させた場合の子豚検知範囲を示している。なお、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図である。
図6の場合、子豚検知器50の取付け高さは60cmであり、赤外線の照射範囲を示す楕円の長軸方向に50cm、短軸方向に、楕円の半分近くが前側板21で切除された残りの30cmにより囲まれた領域が子豚検知範囲となる。
また、図7の場合、子豚検知器50の取付け高さは同じく60cmであり、検知器本体部51は、X軸回りに60度回転させられて、楕円の長軸方向に70cm、短軸方向に同じく30cmにより囲まれた領域が子豚検知範囲となっている。
さらに、図8の場合、子豚検知器50の取付け高さは30cmであり、検知器本体部51は、X軸周りに70度回転させられて、楕円の長軸方向に120cm、短軸方向に同じく30cmにより囲まれた領域が子豚検知範囲となっている。
このように、新生子豚3が母豚2の一側の周りを歩き回る空間領域30の広狭、形状に応じて、子豚検知器50の取付け高さ位置及び取付け角度を種々に調節することにより、新生子豚3を確実に検知することができる。
(子豚検知器の操作)
次に、子豚検知器50の操作について説明する。
先ず、新生子豚3が母豚2の一側の周りを歩き回る空間領域30を想定し、その領域がカバーできるように、子豚検知器50の取付け高さ位置及び取付け角度を調節してセットする。次いで、主暖房装置41、副暖房装置42のスイッチをオンにし、それらの電源接続コード43、44の端子を子豚検知器50のコンセント56に差し込む。次いで、子豚検知器50自体の電源をオンにする。そうすると、センサー作動表示ランプ55が点滅を開始するが、やがて点滅が止んで連続点灯に変わると、子豚検知が可能な状態になり、子豚検知器50の設定が完了する。
(変形例)
本実施例において、子豚検知器50の取付け部は、多数の折曲金具部材を用いた複雑な構造のものとされたが、これに代えて、図9に示されるように、自在継手(ユニバーサルジョイント)70、コの字状取付け金具80、固定ねじ81等を用いて、構造を簡単化することが可能である。
この変形例において、自在継手70の軸体71の基端部は、コの字状取付け金具80に固着され、その軸体71の先端部は、球形にされて、検知器本体部51のケーシングに固着された軸受筒部72に収容されている。軸受筒部72には、筒中心を対称にして所定長のスリット73が軸方向に一対形成されており、この一対のスリット73を結ぶ面に直交するようにして、回転角度調整ねじ74が、軸受筒部72にねじ込まれている。したがって、この回転角度調整ねじ74を緩めたり締めたりして、各スリット73の幅を広げたり狭めたりすることによって、軸体71の回転角度位置を種々に変更することができ、自在継手70の3次元空間内での姿勢を所望の姿勢に調整、固定することができる。これにより、子豚検知器50の検知方向を3次元空間内で自在に変更することが可能になる。
なお、本変形例においては、検知器用電源接続コード52aを接続する電源接続部52と安全ヒューズ53との取付け位置が、検知器本体部51の側面板上の位置から底面板上の位置に変更されている。
(作用、効果)
本実施例は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することができる。
子豚検知器(センサー)50が、分娩直後に母豚2の一側の周りを歩き回る新生子豚3を自動的に検知したことを受けて、制御手段が、新生子豚3を保温するために設けられている暖房装置40(41、42)を作動させるので、分娩直後の新生子豚3の保温を適時、確実に行うことができる。このため、無看護分娩時においても、暖房装置40(41、42)の作動が遅れることがなく、分娩時期予測の誤判断が基で暖房装置40(41、42)の作動が遅れることにより従来生じていた新生子豚3の凍死事故や成育不良を確実に防止することができる。また、暖房装置40(41、42)の作動が早過ぎることもなく、同じ原因で暖房装置40(41、42)の作動が早過ぎることにより従来生じていた暖房費用の浪費をなくすことができる。
また、子豚検知器50が、その設置位置を自在に変更し得るようにして、また、その検知方向を3次元空間内で自在に変更し得るようにして、備えられているので、新生子豚3が分娩直後に母豚2の周りを歩き回る領域の変化に合わせて適切な位置及び取付け角度に子豚検知器50を容易に設置することができ、新生子豚3の確実な検知が容易になる。
また、暖房装置40(41、42)は、主暖房装置41と副暖房装置42とからなり、分娩直後に新生子豚3が母豚2の一側の周りを歩き回る空間30を隔てて、一方の側に、母豚2の豚房10が柵11で仕切られて設けられ、他方の側に、新生子豚3の全頭を収容可能な子豚保温箱20が設けられ、主暖房装置41は、子豚保温箱20の内部を暖房するようにして設けられ、副暖房装置42は、豚房10と子豚保温箱20との間の空間30を暖房するようにして設けられ、制御手段が、子豚検知器50が分娩直後に母豚2の一側の周りを歩き回る新生子豚3を自動的に検知したことを受けて、新生子豚3を保温するために設けられた主暖房装置41と副暖房装置42とを同時に作動させるので、無看護分娩時においても、子豚保温箱20に入った新生子豚3はもちろん、子豚保温箱20に入らずに、母豚2の一側の周りを歩き回っている新生子豚3も、共に保温することができ、これらの新生子豚3を凍死事故や成育不良から確実に守ることができる。
また、子豚保温箱20が設けられているので、分娩直後の新生子豚3の保護期間(通常一晩)が終わると、分娩舎担当者は、分娩を確認し、直ぐに子豚保温箱20を中心とした保温飼育に切り替えることができ、ここの箱内での保温のみで新生子豚3の順調な成育を図ることができ、暖房費用を節減することができる。また、作業能率を向上させることができる。
また、子豚検知器50の取付け部に自在継手(ユニバーサルジョイント)70が用いられる場合には、この部分の構造をきわめて簡単化することができ、子豚検知器50の取付け角度調整がきわめて容易になる。
なお、本願の考案は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形されてよいことは言うまでもない。
本願の考案の一実施例の新生子豚の保温飼育装置の概略斜視図である。 本願の考案の一実施例の子豚検知器の平面側から見た斜視図である。 同第1の側面側から見た斜視図である。 同第2の側面側から見た側面図である。 同背面側から見た斜視図である。 同子豚検知器の取付け位置及び角度の変化による検知範囲の変化を説明するための図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。 同子豚検知器の取付け位置及び角度の変化による検知範囲の変化を説明するための他の図である。 同子豚検知器の取付け位置及び角度の変化による検知範囲の変化を説明するためのさらに他の図である。 子豚検知器の取付け部の変形例を示す図である。
1…新生子豚の保温飼育装置、2…母豚、3…新生子豚、10…豚房、11…柵、20…子豚保温箱、21…前側板、22…出入り口、23…開閉扉、30…空間(空間領域)、40…暖房装置、41…主暖房装置、42…副暖房装置、43、44…暖房装置用電源接続コード、45、46…吊るし鎖、50…子豚検知器(センサー)、51…検知器本体部、52…検知器用電源接続部、52a…検知器用電源接続コード、53…安全ヒューズ、54…赤外線センサー、55…センサー作動表示ランプ、56…コンセント、57…目玉クリップ、58…第1の取付け金具、59…第2の取付け金具、60、61…中間金具、62…第1の固着具、63…第2の固着具、64…第3の固着具、70…自在継手(ユニバーサルジョイント)、71…軸体、72…軸受筒部、73…スリット、74…回転角度調整ねじ、80…取付け金具、81…固定ねじ。









Claims (5)

  1. 分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置が、
    前記新生子豚を保温するための暖房装置と、
    母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を自動的に検知する子豚検知器と、
    制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記子豚検知器が前記母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を検知したことを受けて、前記暖房装置を作動させる
    ことを特徴とする新生子豚の保温飼育装置。
  2. 前記子豚検知器は、その設置位置を自在に変更し得るようにして、また、その検知方向を3次元空間内で自在に変更し得るようにして、備えられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の新生子豚の保温飼育装置。
  3. 前記暖房装置は、主暖房装置と副暖房装置とからなり、
    分娩直後に前記新生子豚が前記母豚の一側の周りを歩き回る空間を隔てて、一方の側に、前記母豚の豚房が柵で仕切られて設けられ、他方の側に、前記新生子豚の全頭を収容可能な子豚保温箱が設けられ、
    前記主暖房装置は、前記子豚保温箱の内部を暖房するようにして設けられ、
    前記副暖房装置は、前記豚房と前記子豚保温箱との間の空間を暖房するようにして設けられ、
    前記制御手段は、前記子豚検知器が前記母豚の一側の周りを歩き回る前記新生子豚を検知したことを受けて、前記主暖房装置と前記副暖房装置とを同時に作動させる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の新生子豚の保温飼育装置。
  4. 前記子豚検知器は、前記子豚保温箱の前記柵側の外壁板もしくは前記柵に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の新生子豚の保温飼育装置。
  5. 分娩豚舎において、分娩直後の新生子豚を保温して、その健全な成育を図るために使用される新生子豚の保温飼育装置に備えられ、
    母豚の周りを歩き回る前記新生子豚を自動的に検知して、前記新生子豚を保温するための暖房装置を作動させる信号を出力する
    ことを特徴とする子豚検知器。






















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