JP3178618U - ヘルメット - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができるヘルメットを提供する。
【解決手段】ヘルメット1を、ヘルメット本体10と温度の変化を示すシート状の示温材20とを有し、この示温材20がヘルメット本体10の内側表面上に備えられ、かつ示温材20の一部20Aがヘルメット本体10の下端縁を超えて延出しているものとする。この延出した示温材20の温度変化を第三者が視認することが出来、ヘルメット着用者を熱中症等から保護することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ヘルメット1を、ヘルメット本体10と温度の変化を示すシート状の示温材20とを有し、この示温材20がヘルメット本体10の内側表面上に備えられ、かつ示温材20の一部20Aがヘルメット本体10の下端縁を超えて延出しているものとする。この延出した示温材20の温度変化を第三者が視認することが出来、ヘルメット着用者を熱中症等から保護することができる。
【選択図】図1
Description
本考案は、工事現場等で使用することができるヘルメットに関するものである。特に、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを防止するのに有用なヘルメットに関するものである。
危険を伴う作業場所、例えば工事現場や建設現場、製造工場等においては、頭部保護のためにヘルメットを着用するのが一般的である。また、作業場所によっては、法令によりヘルメットの着用が義務付けられている。しかるに、作業場所が直射日光のあたる屋外である場合はもちろん、工場内等の直射日光のあたらない屋内である場合においても、ヘルメット内の温度が上昇して、作業効率の低下や事故発生の原因になるおそれがある。また、特に夏場等においては、ヘルメット内の温度が上昇して、着用者が熱中症等になるおそれもある。
そこで、ヘルメット内の温度が上昇するのを緩和する目的で、さまざまなヘルメットが提案されている。例えば、特許文献1は、ヘルメットの外側表面に断熱塗料を塗布することを提案する。また、特許文献2は、特許文献1について「具体的にどのような断熱塗料がヘルメットの内側の温度上昇を緩和させるのに有効且つ好適であるか、またどのような断熱塗料を用いれば塗装の欠けや剥がれ等が生じずに従来の塗装と同等な耐久性を得ることができるかが未だ解明されていないという欠点があった」と指摘し、「ヘルメット本体(1)の少なくとも外側の面に、チタン酸化物と雲母とアクリル樹脂とから成る反射下地層(2)と、該反射下地層の上面に難燃剤とチタン酸化物と雲母と断熱材とアクリル樹脂とポリウレタン樹脂との共重合体から成る反射断熱層(3)と、該反射断熱層の上面に顔料と脂肪族ウレタン樹脂とから成る表面被覆層(4)とが形成されていることを特徴とする反射断熱性に優れたヘルメット」を提案する。さらに、特許文献3は、特許文献1について「断熱塗料を塗布したものでは、ヘルメット外表面に熱伝導を防ぐ為の断熱層が形成されており風が吹く、及び日射量の低下など外的要因が生じてヘルメット外側の温度が下がってもヘルメット内側の熱が外側に伝導しにくい為ヘルメット内の温度低下を招きにくい。また頭部自体が発熱体である為断熱層の影響を受けヘルメット内側の温度上昇を招き再度ヘルメットを脱ぐという作業の必要性が懸念される」と指摘し、「ヘルメット本体の少なくとも外側表面に無機球状粒子含有熱線遮蔽材料を塗料として塗布され波長範囲300nmから2500nmの日射反射率が85%以上あり断熱層が形成されていないことを特徴とする」ヘルメットを提案する。これらのヘルメットは、頭部保護のみを目的とした従来のヘルメットと比べると着用者が熱中症等になるのを防止するために有用であるが、当然、完全ではない。
そこで、例えば、特許文献4は、「ヘルメット本体(2)の頂部、又は/及び、略頂部に排気部(3)が突設され、前記排気部(3)は、排気部の天井部を形成する防護部(5)とヘルメット本体(2)と繋がる側部(6)と通気孔部(4)とを備え前記側部の前端部(6a)は、前記防護部の前端側部(5c)と繋がって、同防護部の前端部(5b)を支え、かつ、前記側部の後端部(6b)は、前記防護部の後端側部(5e)と繋がって、同防護部の後端部(5d)を支え、前記通気孔部(4)は、ヘルメット内の暑気が外界へ出る孔である通気孔(4a)からなるものであって、この通気孔(4a)は、前記側部の中間部(6c)と前記防護部の中間側部(5g)との間にあって、前記防護部(5)により防護され、少なくとも、前記防護部(5)は、防護部強化手段により、強化されるものであることを特徴とするヘルメット」を提案する。また、特許文献5は、「ヘルメット本体(2)の外周に、タテ方向の暑気排出部(3)が設けてあり、この暑気排出部(3)に、暑気出口部(4)とクッション部材(5)と通気孔部(6)があり、前記暑気出口部(4)は、ヘルメット本体に設けた全体として略長方形の穴であり、前記クッション部材(5)は、前記暑気出口部(4)をカバーする形で、ヘルメット本体(2)に設けたものであり、前記通気孔部(6)は、少なくとも、暑気排出部(3)の左右・両側に形成された通気孔(6a)からなるものであり、かつ、この通気孔(6a)は、前記の暑気出口部(4)とクッション部材(5)との間に形成されたものであることを特徴とするヘルメット」を提案する。これらの提案は、要するに、ヘルメット内外の通気性を図ってヘルメット内の温度上昇を緩和しつつも、頭部の保護というヘルメット本来の機能が劣るものとならないヘルメットを提案しようとするものである。しかしながら、ヘルメット内外の通気性を向上させたとしても、着用者が熱中症等になるのを完全に防止することはできない。
そこで、例えば、特許文献6は、「ヘルメットの内側に保冷マットを着脱自在に内装し、上記保冷マットは、冷凍によっても屈撓性を維持する気密性シートからなり、シート部の平面上に互に独立状態で区分された多数の保冷剤密封室を隣接状態に有するマット本体と、上記各保冷剤密封室内にそれぞれ封入された、冷凍により冷却熱を蓄熱できる保冷剤と、からなる、保冷マットつきヘルメット」を提案する。この提案は、保冷マットによってヘルメット内を強制冷却するものであり、熱中症等の防止効果を期待することができる。しかるに、この提案には、ヘルメットの重量が増すとの問題や、製造コストが上昇するとの問題、導入に時間がかかるとの問題、冷却状態を維持することができる時間の問題、保冷マット取替えの問題等のさまざまな問題が存在する。
本考案が解決しようとする主たる課題は、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができるヘルメットを提供することにある。
この課題を解決するための本考案は、次のとおりである。
〔請求項1記載の考案〕
ヘルメット本体と、温度の変化を示すシート状の示温材と、を有し、
前記示温材が前記ヘルメット本体の内側表面上に備えられ、かつ前記示温材の一部が前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
ことを特徴とするヘルメット。
〔請求項1記載の考案〕
ヘルメット本体と、温度の変化を示すシート状の示温材と、を有し、
前記示温材が前記ヘルメット本体の内側表面上に備えられ、かつ前記示温材の一部が前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
ことを特徴とするヘルメット。
(主な作用効果)
ヘルメット本体と温度の変化を示すシート状の示温材とを有し、この示温材がヘルメット本体の内側表面上に備えられていると、ヘルメット内の温度上昇が示温材に示される。また、当該示温材の一部がヘルメット本体の下端縁を超えて延出していると、当該延出部を着用者以外の第三者が視認することができる。したがって、本考案によると、ヘルメット内の温度上昇を第三者が視認することができ、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができる。
ヘルメット本体と温度の変化を示すシート状の示温材とを有し、この示温材がヘルメット本体の内側表面上に備えられていると、ヘルメット内の温度上昇が示温材に示される。また、当該示温材の一部がヘルメット本体の下端縁を超えて延出していると、当該延出部を着用者以外の第三者が視認することができる。したがって、本考案によると、ヘルメット内の温度上昇を第三者が視認することができ、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができる。
〔請求項2記載の考案〕
前記示温材が、帯状で、かつ前記内側表面の頭頂部から後頭部にかけて備えられ、更に当該後頭部における前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
請求項1記載のヘルメット。
前記示温材が、帯状で、かつ前記内側表面の頭頂部から後頭部にかけて備えられ、更に当該後頭部における前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
請求項1記載のヘルメット。
(主な作用効果)
通常のヘルメットは、側頭部においてヘルメット本体の下端縁から顎紐等が延出する。しかるに、示温材が帯状で、かつ内側表面の頭頂部から後頭部にかけて備えられ、更に当該後頭部におけるヘルメット本体の下端縁を超えて延出していると、示温材の延出部を着用者以外の第三者が確実に視認することができる。
通常のヘルメットは、側頭部においてヘルメット本体の下端縁から顎紐等が延出する。しかるに、示温材が帯状で、かつ内側表面の頭頂部から後頭部にかけて備えられ、更に当該後頭部におけるヘルメット本体の下端縁を超えて延出していると、示温材の延出部を着用者以外の第三者が確実に視認することができる。
〔請求項3記載の考案〕
前記ヘルメット本体の外側表面であって、少なくとも前記示温材が備えられた領域を覆う部位に遮熱層が設けられている、
請求項1又は請求項2記載のヘルメット。
前記ヘルメット本体の外側表面であって、少なくとも前記示温材が備えられた領域を覆う部位に遮熱層が設けられている、
請求項1又は請求項2記載のヘルメット。
(主な作用効果)
ヘルメット本体に直射日光があたると、この直射日光があたった部位に対応するヘルメット本体内の領域が、部分的、かつ一時的に温度上昇することがある。そして、当該領域に示温材が存在すると、当該示温材が温度の変化を示すことになる。しかるに、このような部分的、かつ一時的な温度の上昇は、通常、熱中症等の原因とならない。そこで、本考案においては、ヘルメット本体の外側表面であって、示温材が備えられた領域を覆う部位に遮熱層を設けている。これにより、ヘルメット本体内が部分的、かつ一時的に温度上昇し、もって示温材が影響を受けるのを防止することができ、ヘルメットの着用者が熱中症等になるおそれがない場合にまで、示温材が温度の変化を示すのを防止することができる。
ヘルメット本体に直射日光があたると、この直射日光があたった部位に対応するヘルメット本体内の領域が、部分的、かつ一時的に温度上昇することがある。そして、当該領域に示温材が存在すると、当該示温材が温度の変化を示すことになる。しかるに、このような部分的、かつ一時的な温度の上昇は、通常、熱中症等の原因とならない。そこで、本考案においては、ヘルメット本体の外側表面であって、示温材が備えられた領域を覆う部位に遮熱層を設けている。これにより、ヘルメット本体内が部分的、かつ一時的に温度上昇し、もって示温材が影響を受けるのを防止することができ、ヘルメットの着用者が熱中症等になるおそれがない場合にまで、示温材が温度の変化を示すのを防止することができる。
本考案によると、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができるヘルメットとなる。
次に、本考案を実施するための形態を説明する。
図1に示すように、本形態のヘルメット1は、ヘルメット本体10と、温度の変化を示すシート状の示温材20とを有する。なお、図1及び後述する図2〜4においては、ヘルメット本体10の内部に備わる内装部材、例えば、衝撃吸収ライナーやハンモック、顎紐等の記載を省略している。
図1に示すように、本形態のヘルメット1は、ヘルメット本体10と、温度の変化を示すシート状の示温材20とを有する。なお、図1及び後述する図2〜4においては、ヘルメット本体10の内部に備わる内装部材、例えば、衝撃吸収ライナーやハンモック、顎紐等の記載を省略している。
本形態の示温材20は、帯状とされており、ヘルメット本体10の内側表面(以下、単に「内側表面」ともいう。)に貼付さている。より具体的には、まず、示温材20の一端部20Bは、ヘルメット本体10の頭頂部に貼付されている。示温材20は、この頭頂部からヘルメット本体10の内側表面に沿って、ヘルメット本体10の後頭部に向かっている。後頭部において、示温材20の他端部20Aは、図3の(1)及び(2)に示すように、ヘルメット本体10の下端縁10xを超えて延出している。
本形態のように、示温材20がヘルメット本体10の内側表面上に備えられていると、ヘルメット本体10内の温度が変化した際に、この温度変化が示温材20に直ちに示される。また、示温材20の一部がヘルメット本体10の下端縁10xを超えて延出していると、この延出部(本形態では、他端部20A。)を着用者以外の第三者が視認することができる。したがって、本形態のヘルメット1によると、ヘルメット本体10内の温度上昇を第三者が視認することができ、ヘルメット1の着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができる。
延出部(他端部)20Aの長さLは、当該延出部20Aをヘルメット1の着用者以外の第三者が視認することができる長さであれば足り、特に限定されないが、通常、幅が2〜3cmであり、長さLが3〜20cm、好ましくは5〜15cmである。
示温材20は、図示しない内装部材等を介してヘルメット本体10の内側表面上に備えられていてもよいが、本形態のようにヘルメット本体10の内側表面に直接貼付されている方が好ましい。また、示温材20は、一部がヘルメット本体10の下端縁10xを超えて延出していれば足り、この要件を満たす限り、示温材20の形状を、例えば、正方形状や円形状等の帯状以外の形状とすることもできる。ただし、加工の容易性やコスト削減等の観点からは、本形態のように帯状とする方が好ましい。なお、帯状の示温材は、例えば、短冊状、テープ状等の表現で市販化されていることもある。
示温材は、例えば、図2に符号21で示すように、一端部21Bがヘルメット本体10の頭頂部に配置されるものの、この頭頂部からヘルメット本体10の内側表面に沿って、ヘルメット本体10の側頭部に向かって配置されていてもよい。この形態においては、示温材21の他端部21Aが側頭部においてヘルメット本体10の下端縁10xを超えて延出している。ただし、この形態によると、側頭部においてヘルメット本体10の下端縁10xから顎紐等が延出する場合、当該顎紐等が示温材21の他端部(延出部)21Aを覆ってしまったり、絡まってしまったりするおそれがある。したがって、先に符号20で示した例のように、示温材は、頭頂部からヘルメット本体10の後頭部に向かって配置されている方が好ましい。
示温材10は、ヘルメット本体10内の温度が下がると元の状態(色等)に戻る可逆性のものであっても、元の状態(色等)に戻らない不可逆性のものであってもよい。ただし、再利用可能であり、また、一時的な温度上昇に過ぎないか否かを確認することができるという点で、可逆性である方が好ましい。
示温材10としては、例えば、あらかじめ設定された所定の温度に達すると発色して所定の温度に達したことを示すものや、変色して所定の温度に達したことを示すもの等を使用することができる。
発色又は変色(以下、単に「変色等」ともいう。)する示温材としては、所定の温度に達すると変色等する特殊な顔料を利用した示温材のほか、例えば、着色紙等の有色の基材上に、所定の温度で融解するワックス類や有機化合物、溶融性顔料(以下、単に「ワックス類等」ともいう。)を粗粒状態で積層した示温材(ワックス型示温材)を使用することができる。このワックス型示温材に使用されるワックス類等は、所定の温度に達するまでの間は、光を散乱するため、不透明であり、従って基材の色が隠蔽される。しかるに、所定の温度に達すると、当該ワックス類等が融解して基材に浸み込むため、所定の温度に達するまでの間は隠蔽されていた基材の色が視認されるようになり、変色等したように認識される。
この変色等のメカニズムから明らかなように、ワックス型示温材が変色等する温度は、ワックス類等の融点によって決まる。したがって、ワックス型示温材が変色等する温度は、ワックス類等の選択によって設定することができる。
ワックス類としては、天然ワックス類及び合成ワックス類のいずれをも使用することができ、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等を使用することができる。また、有機化合物としては、長鎖脂肪酸類やそのエステル類、アミド類等を使用することができ、例えば、トリラウリン、ミリスチン酸、ベヘン酸、ステアリン酸アミド等を使用することができる。
ワックス型示温材において、有色の基材上に粗粒状態のワックス類等を積層するにあたっては、例えば、まず、有機溶剤中にワックス類等を混入するとともに、ボールミル等を使用して分散し、もって粗粒状態のワックス類等を得る。そして、この粗粒状態のワックス類等を有色の基材上に塗工して乾燥する。これにより、有色の基材上に粗粒状態のワックス類等が積層される。
ワックス類等は、基材上の全域にわたって積層されていてもよいが、図3の(2)に示すように、延出部20Aの一端部に積層されていない領域A1を設けることや、延出部20Aの一方側部に積層されていない領域A2を設けることもできる。これらの形態によると、領域A1,A2の色とワックス類等が積層された領域の色とを対比することで温度変化を確認することができる。
示温材20としては、以上のワックス型示温材のほか、例えば、所定の温度に達すると変色するとともに数字を現わして所定の温度に達したことを示すデジタル型示温材を使用することもできる。このデジタル型示温材としては、例えば、カプセル化された液晶をポリエステルフィルム等に特殊印刷して製造したもの等が存在する。このデジタル型示温材によると、数字を読みとることができ、即座に所定の温度に達したことを把握することができる。
示温材20としては、以上のワックス型示温材やデジタル型示温材のほか、例えば、化学反応型示温材等も使用することができる。この化学反応型示温材は、例えば、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を、樹脂中に分散し、あるいはマイクロカプセルに封入したうえで、紙やフィルム等の基材上に塗工することで得ることができる。化学反応型示温材は、所定の温度に達すると、化学反応して発色、変色、消色等し、所定の温度に達したことを示す。
示温材20としては、以上のワックス型示温材や、デジタル型示温材、化学反応型示温材のメカニズムを適宜組み合わせたものを使用することもできる。
示温材20の厚みは、例えば、0.3〜0.5mmとするのが好ましい。示温材20の厚みがこの範囲であると、感度が良く、所定の温度に達したことを確実に示すことができる。示温材20の厚みが0.5mmを上回ると、熱の伝わりが遅くなり、特に示温材20の延出部(他端部)20Aが所定の温度に達したことを示すまでにタイムラグが生じるおそれがある。他方、示温材20の厚みが0.3mmを下回ると、特にワックス型示温材を使用した場合は、変色等を視認し難くなるおそれがある。
本形態において、所定の温度を何度(℃)とするかは特に限定されず、熱中症等の防止という観点から適宜設定することができる。ただし、所定の温度は、30〜50℃とするのが好ましい。所定の温度がこの範囲であると、35℃程度の夏場の大気温でも変色等するおそれがなく、他方、熱中症等は確実に防止することができる。
示温材20は、例えば、耐熱性フィルム等で密封して、水、薬品、油等の影響を受けないようにするのが好ましい。また、温度の検知はヘルメット本体10内で行われことから、延出部20Aは、外気温の影響を受けない構造とするのがより好ましい。
示温材20をヘルメット本体10の内側表面等に貼付する方法としては、例えば、示温材20の裏面(ヘルメット本体10の内側表面に対向する面)に耐熱性粘着剤層を設けておく方法や、示温材20の裏面及びヘルメット本体10の内側表面のうち、一方の面にフック面を形成し、かつ他方の面にループ面を形成しておく面ファスナー型とする方法等を採用することができる。
示温材20は、例えば、ヘルメット本体10の内側表面を図示しない放射性金属膜で覆っておき、この放射性金属膜の上から備えることもできる。ヘルメット本体10の内側表面を放射性金属膜で覆っておくと、直射日光を原因とするヘルメット本体10内の温度上昇を緩和することができる。また、放射性金属膜をヘルメット本体10の内側表面上に備えることで、紫外線劣化が生じ難くなり、また、後述する遮熱層30等の形成も可能になる。
放射性金属膜の原材料となる金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、真鍮、クロム、コバルト、銅、錫、亜鉛、ステンレス、これらの合金等の放射性の高い金属を使用するのが好ましい。ただし、放射性の低い金属であっても、当該金属を無機剤、有機剤等によって硬化させて使用することができる。
ヘルメット本体10の外側表面には、後述する遮熱層30とともに、あるいは当該遮熱層30に変えて、図示しない断熱層を設けることもできる。断熱層を設けることで、直射日光の大部分が反射され、また、反射されなかった残部もほとんどが断熱層において吸収されるため、ヘルメット本体10内の温度上昇を抑制することができる。
断熱層は、例えば、ヘルメット本体10の外側表面に断熱塗料を例えば400μm以上の塗膜厚さとなるように塗布して形成することができる。断熱塗料としては、例えば、シリカ、セラミック等の微粒子をアクリル結合剤とともに硬質のラッテクスのベースに浸液した混合物を使用することができる。
もっとも、ヘルメット本体10の外側表面に断熱層を設けると上記したような利点があるものの、同時に熱伝導性が低下する。したがって、風が吹いたり、日射量が低下したりしてヘルメット本体10外の温度が下がったとしても、ヘルメット本体10内の温度が下がり難くなる。また、そもそも頭部自体が発熱体であるため、断熱層の存在によって熱伝導性が低下すると、ヘルメット本体10内に熱がこもり易くなる。そこで、図3の(1)に示すように、ヘルメット本体10の外側表面に遮熱層30を設ける方が好ましい。ヘルメット本体10の外側表面に遮熱層30を設けることで、直射日光が反射されるため、ヘルメット本体10内の温度上昇が抑制される。しかも、前述した断熱層と異なり、熱伝導性を大きく低下することがないため、ヘルメット本体10内に熱がこもるおそれもない。
遮熱層30は、例えば、波長300〜2500nmの日射反射率が85%以上であるのが好ましい。
また、遮熱層30は、例えば、ヘルメット本体10の外側表面に遮熱塗料を所望の塗膜厚さとなるように塗布して形成することができる。この塗布は、例えば、スプレーガンを使用して行うことができ、1個のヘルメットに対して10〜20gの遮熱塗料を35〜50秒間(掃射時間)吹き付けて形成することができる。
遮熱塗料としては、例えば、アクリル共重合エマルジョン等を基材とし、チタン酸化物や無機球状粒子等が混合された塗料を使用することができる。遮熱塗料には、例えば、消泡剤、分散剤、防腐剤等の添加剤が添加されていてもよい。また、例えば、遮熱層30とヘルメット本体10の外側表面との密着性を向上させるために、あるいは遮熱層30によるヘルメット本体10の劣化を防止するために、遮熱層30とヘルメット本体10の外側表面との間にベース層(下地層)等を設けることができる。
遮熱層30は、ヘルメット本体10の外側表面全域にわたって設けられていてもよいが、少なくとも前述した示温材30が備えられた領域を覆う部位に設けられているのが好ましい。示温材30が備えられた領域を覆う部位に遮熱層30が設けられていると、ヘルメット本体10内が部分的、かつ一時的に温度上昇し、示温材30が影響を受けるのが防止され、着用者が熱中症等になるおそれがない場合にまで、示温材20が温度の変化を示すのを防止することができる。
(その他)
本形態において、ヘルメット本体10は、通常のヘルメットと同様のものを使用することができる。また、ヘルメット本体10の外側表面には、組織名や、着用者名、着用者の血液型、安全マーク等を表示することもできる。さらに、必要により、ヘルメット本体10の適宜の部位に通気孔を設けることもできる。
本形態において、ヘルメット本体10は、通常のヘルメットと同様のものを使用することができる。また、ヘルメット本体10の外側表面には、組織名や、着用者名、着用者の血液型、安全マーク等を表示することもできる。さらに、必要により、ヘルメット本体10の適宜の部位に通気孔を設けることもできる。
また、前述したヘルメット1のヘルメット本体10は、図1及び図2に示すように、前頭部の鍔11が大きなものとされているものの、側頭部や後頭部の鍔12が小さなものとされている。しかるに、本考案は、この形態のヘルメット以外にも適用可能である。例えば、図4に示すヘルメット1xのヘルメット本体40のように、前頭部の鍔41が大きなものとされ、更に側頭部や後頭部の鍔42も大きなものとされているヘルメット等にも本考案を適用することができる。この点、示温材20の一部(図示例では延出部20A)がヘルメット本体40の下端縁を超えて延出していれば、第三者が視認可能であり、着用者が熱中症等になるのを確実に防止することができる。
本考案は、工事現場等で使用することができるヘルメットとして適用可能である。特に、ヘルメットの着用者が熱中症等になるのを防止するのに有用なヘルメットとして適用可能である。
1,1X…ヘルメット、10,40…ヘルメット本体、20,21…示温材、30…遮熱層。
Claims (3)
- ヘルメット本体と、温度の変化を示すシート状の示温材と、を有し、
前記示温材が前記ヘルメット本体の内側表面上に備えられ、かつ前記示温材の一部が前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
ことを特徴とするヘルメット。 - 前記示温材が、帯状で、かつ前記内側表面の頭頂部から後頭部にかけて備えられ、更に当該後頭部における前記ヘルメット本体の下端縁を超えて延出している、
請求項1記載のヘルメット。 - 前記ヘルメット本体の外側表面であって、少なくとも前記示温材が備えられた領域を覆う部位に遮熱層が設けられている、
請求項1又は請求項2記載のヘルメット。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210000345U (ko) * | 2019-08-05 | 2021-02-17 | 민정호 | 기능성 안전모 및 기능성 안전모 사고방지 시스템 |
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2012
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KR20210000345U (ko) * | 2019-08-05 | 2021-02-17 | 민정호 | 기능성 안전모 및 기능성 안전모 사고방지 시스템 |
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