JP3177681B2 - 力センサーの衝撃応答の評価装置 - Google Patents

力センサーの衝撃応答の評価装置

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JP3177681B2 JP09098399A JP9098399A JP3177681B2 JP 3177681 B2 JP3177681 B2 JP 3177681B2 JP 09098399 A JP09098399 A JP 09098399A JP 9098399 A JP9098399 A JP 9098399A JP 3177681 B2 JP3177681 B2 JP 3177681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は力センサーの衝撃応
答の評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、破壊試験などの分野において、力
センサーの動的応答性の評価に対する要望が強まってい
る。従来より、力センサーの動的応答評価方法として、
変動力が加わっている環境下での弾性体の歪みを正確に
計測しようとする方法、加振器と分銅の間に力センサー
をセットし分銅の慣性力を既知の変動力として利用しよ
うとする方法などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者で
は、弾性体の歪みを2つの全く異なる方法(歪ゲージと
静電容量変位センサ)で比較測定することにより、系統
誤差要因の排除に努めており、0.001〜100Hzの範囲内で
0.4%の不確かさで測定できるとしている。ただし、動的
な力と静的な力とで、弾性体の変形の様子がヒステリス
などにより変わる可能性など、問題点も残る。
【0004】後者では、力センサー自身をも振動させて
しまうため、センサ自身の慣性力の補正、その他、測定
(校正)環境の違いによる影響、などに問題点がある。
また、衝撃応答のような一発大波的な現象に関して知り
たい場合には、単一周波数の連続した振動における応答
からそれをどこまで予測できるかという問題点も残る。
【0005】一般に、見逃される系統誤差要因、もしく
は、Type-Bの不確かさ要因を排除する為には、可能な限
り様々な方法が、様々な機関・人により試みられるべき
である。力センサーの衝撃応答評価方法の確立過程の途
上にある現状においては、与えられた力積、すなわち、
作用した力の時間積分値、の真値を極めて高精度に知る
ことのできる方法は、力センサーの衝撃応答評価に使え
るだけでなく、各種動的校正方法を衝撃応答に適用する
上での妥当性の評価を行う上で役立ち、産業上のメリッ
トは極めて大きい。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、直動軸受のガイド部に支持された可動部
を力センサーに衝突させ、その間の速度変化から、力セ
ンサーに作用した真の力を測定することを特徴とする、
力センサーの衝撃応答の評価装置を提供する。
【0007】
【0008】この力センサーの衝撃応答の評価装置で
は、直動軸受に直動静圧空気軸受を用いてもよい。
【0009】 本発明は、上記課題を解決するため
に、直動軸受のガイド部に支持された可動部を力センサ
ーに衝突させ、その間の速度変化から、上記力センサー
に作用した真の力を測定する力センサーの衝撃応答の評
価装置において、上記可動部の重心の位置と、上記可動
部に設けられた衝突点とを結ぶ直線を、上記直動軸受け
の可動方向と平行に設定することを特徴とする力センサ
ーの衝撃応答の評価装置を提供する。
【0010】 本発明は、上記課題を解決するため
に、直動軸受のガイド部に支持された可動部を力センサ
ーに衝突させ、その間の速度変化から、上記力センサー
に作用した真の力を測定する力センサーの衝撃応答の評
価装置において、上記可動部に平面鏡を取付け、その傾
きの変化を姿勢測定器によりモニターすることを特徴と
する力センサーの衝撃応答の評価装置を提供する。
【0011】この力センサーの衝撃応答の評価装置は、
リニアアクチュエータにより可動部に所望の初速度を与
えるようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る力センサーの衝撃応
答の評価装置の実施の形態を実施例に基づいて図面を参
照して説明する。図1、2は実施例1を説明する図であ
る。図1の可動方向に垂直な面で切った断面図にあるよ
うに、ガイド部(2)から給気するタイプの直線軸受
(1)を用いた。可動部(3)が数μmの空気膜(2
1)で支持された静圧空気軸受(1)を用いた。可動部
(3)に所望の1cm/sから10cm/sの初速を与
えるために、リニアアクチュエータ(19)を導入して
いる。可動部(3)の質量を11kgとし、衝突点(1
7)において可動部(3)が静止するように、傾斜ステ
ージ(7)の傾きを調節した。
【0013】衝突の前後における可動部の速度の変化か
ら、可動部(3)に作用した力積、および、力センサ
(4)の受感部(5)に作用した力積を推定する方法に
おいては、2つの速度測定時刻の間に作用する外力の時
間積分量について考慮する必要がある。また、可動部
(3)の加速度から作用力の瞬時値を推定し、これと力
センサーの出力を比較しようとする場合には、ダンパー
(18)の慣性力のほか、そのとき可動部(3)あるい
は力センサーに働いている外力の瞬時値について考慮す
る必要がある。外力として、可動部(3)の運動に伴う
室内空気から受ける空気抵抗、ガイド部(2)と可動部
(3)間に作用する摩擦抵抗などが挙げられるが、特に
後者が支配的となる場合が多い。なお,センサー(4)
の受感部(5)の質量分布,加速度分布による,慣性質
量の影響は力センサー(4)を含めた力計測系側の問題
であり,本実施低ではそれ全体を校正対象とする.
【0014】図2に示すような、直動軸受(1)のガイ
ド部(2)に支持された質量がM kgの可動部(3)を手
で動かし適当な初速度を与え、定盤に固定された力セン
サーに衝突させ、衝突前後の速度(v、 v [m/s])
を光波干渉計で測定する。一方、衝突時における力セン
サーの出力Foutの時系列を記録する。直動軸受とし
ては摩擦抵抗の小さいもの、または、その大きさに再現
性があり補正ができるものが好ましい。 摩擦など外力
が無視できる条件下では、可動部の運動量変化M(v-v
)は、可動部が力センサーに与える力積に等しい。
【0015】ここで、静的な方法、あるいは、前述のよ
うな加振器を用いた方法などの動的な方法で校正された
力センサーの出力の時間積分∫Fout dtと、可動部の
運動量変化として置換測定された真の力積∫Freal
dtとの差分が、その衝突における力センサーの誤差して
知れる。
【0016】衝撃力の時系列の形状は、可動部の質量、
与える初速などの他、力センサー(4)の受感部
(5)、または、可動部(3)の衝突部(17)に取り
付けたダンパー(18)の、形状、材質、大きさなどに
より調節できる。
【0017】また、可動部(3)の加速度αを測定する
ことにより、力の瞬時値をMαとして推定することがで
きる。ダンパーの密度分布および加速度分布を考慮する
ことにより、さらに高精度に力センサー(4)の受感部
(5)に作用する力の瞬時値を推定することができる。
【0018】単一周波数で連続した振動を与える加振器
による動的応答校正法では、各周波数、各振幅に対する
振幅変化比、位相変化量が校正結果として与えられる。
そこで得られた力センサー出力Foutの時系列をフー
リエ変換し、それぞれの周波数成分に対して真値を推定
し、それら再合成することにより、力センサーに作用し
た力の真値の時系列を推定することができる。これと、
本方法で高精度に求められる力の時系列との違いを比較
することにより、力センサーの校正方法に内在する問題
点に関する情報が得られる。
【0019】衝突時に衝突点で作用する力によるモーメ
ントにより、可動部(3)の姿勢が変化する可能性に対
しては注意する必要がある。その理由は、可動部(3)
とガイド部(2)間の空気膜の形状が変化すると気流の
状態が変化し、上述のような方法で求めた摩擦特性が当
てはまらない状態となる可能性があること、具体的に
は、可動部(3)がガイド部(2)に機械的に接触する
可能性もあることが挙げられる。
【0020】そこで、後述のように図3に示す実施例2
では、衝突点(17)と可動部(3)の重心を結ぶ直線
が、可動部の運動の方向と平行となるように設定するこ
とにより、衝突において生じる力が可動部(3)の姿勢
変化に及ぼす影響を小さくするようにしている。ただ
し、特にダンパー(18)による衝撃の緩和が小さくし
たい場合、すなわち、衝撃を急峻にしピーク値を大きく
したい場合には、衝突時に衝突点(17)で生じる力の
運動方向以外の成分が無視できない大きさになることが
ある。その場合には、衝突点(17)と可動部(3)の
重心を完全に一致させる構造を取ることが有効である。
例えば、ガイド部を2本に分けるなどして可動部の重心
位置から外し、かつ、可動部を刳り抜きその重心位置に
衝突点(17)を形成する。
【0021】実施例1および実施例2は、可動部(3)
に取付けた平面鏡の傾き変化をオートコリメータ
(9),(10)で測定している。本実施例では可動方
向に垂直な面に鏡を取りつけ、その2自由度の傾きを測
定しているが、可動方向に平行な面にも鏡を取付けて、
可動部(39の剛体としての3自由度の角度すべてを測
定できるようにしてもよい。
【0022】姿勢測定器(9),(10)としては、平
行光線の被測定物からの反射光を凸レンズで集光し、そ
の焦点面上での光点の変位から傾きを求める原理のオー
トコリメータなどが適当である。光点の面内変位の測定
には、4分割センサーなどを用いてもよい。この実施例
の場合、姿勢が10マイクロラジアン以上変動した場合に
は異常と判定し、衝突点(17)の再設定、ダンパー
(18)の形状、位置の再設定を行うことにしている。
ただし,4分割センサーを用いる場合には,戻り光のク
オリティに十分に注意し,ターゲット以外からの戻り光
が無視できるほど微弱であることを確認する必要があ
る.
【0023】以下、実施例1を例にとって本発明の作用
を説明する。力センサ(4)に与えられる力積、すなわ
ち、力の瞬時値の時間積分値を正確に知ることを可能と
する、力センサーの衝撃応答評価方法である。図1に示
すような、リニアガイドに支持された可動部(質量:M
kg)を手で動かし、定盤に固定された力センサーに衝突
させそこに作用する力積∫F dt [kg m/s]と、衝突前後
の速度(v、 v [m/s])を光波干渉計で測定する。
摩擦抵抗の小さなリニアベアリングとして、静圧空気直
線軸受け“エアスライド”(NTN(株)の登録商品名)を
用いる。摩擦力が無視できる条件下では、可動部の運動
量変化M(v-v)は、可動部が力センサー(4)に与え
る力積∫F dt に等しく、 ∫F dt = M(v-v) [kg m/
s] となる。
【0024】M=10.955kgでのある衝突実験における、力
センサー(4)に作用した衝撃力の時系列、および、可
動部の速度変化を見てみると、衝突により可動部の運動
エネルギーは約70% 熱エネルギーに変換されているが、
力センサーで計測した力積と光波干渉計で計測した可動
部(3)の運動量は0.5%程度の差で一致した。
【0025】ここでは、本方法の原理を説明する目的
で、ダンパー(18)として厚み約5mm、断面積約1cm
のスポンジを用い衝撃応答をかなり緩和させ、力センサ
ー(4)の静的特性と動的特性の違いがなるべくでない
ような条件とした。ここでは、力センサーとしては、半
導体歪ゲージを弾性体に張付けた構造のもの(容量9.8
N、 昭和測器(株)製)を用いた。
【0026】使用したエアスライドの静的摩擦特性、お
よび、動的摩擦特性は十分に注意深く評価されるべきで
ある。実施例1の場合、可動部(39に作用する動摩擦
力は可動部速度に比例し、可動部速度が2cm/sの時に動
摩擦抵抗は約10-Nであった。速度に比例することか
ら、衝突の前後での速度測定点が同じであれば、動摩擦
力の時間積分値は行きと帰りで相殺してゼロになる。エ
アスライド(1)のガイド部(2)と可動部(3)の間
に作用する静的な力は、約10-N/mmであった。この静
的な力は、空気膜(21)と通気溝(23)などガイド
部と可動部の間の気流の左右非対称に起因すると考えら
れる。特に、ガイド部の内側に掘られた通気溝の両サイ
ドの圧力差に起因すると考えられる。
【0027】傾斜ステージ(7)は、可動部(3)がス
ポンジ(18)にちょうど接する位置において、可動部
(3)が静止する見掛け上の水平な傾斜に設定してあ
る。この時の角度は,シリコンオイル,水銀などの液面
などを用いた水平面をリファレンスとして,オートコリ
メータ(10)により測定される.可動部に作用するこ
の力の接触している時間に渡る時間積分は、約0.00016k
gm/sとなり、これは全運動量変化量の約0.03%に相当す
る。もしも、スポンジを薄くして衝撃応答をより急峻な
ものとすれば、この静的な力による部分は減少する。力
センサー(4)に与えられる力積測定における相対標準
不確かさは、10-よりよいと推定される。
【0028】この発明では、動的な力の周波数及び振幅
の任意設定性という観点では劣るものの、力センサー
(4)に与えられる力積を可動部(3)の速度変化とし
て置換測定することにより極めて高精度に測定できると
いう、決定的長所を有している。さらに、測定対象とな
る力センサーは定盤(6)に固定されるという大きな長
所を持つ。この方法は、力センサーの衝撃応答特性の校
正に、また、一般的な動特性評価法を衝撃応答に適用す
る場合の誤差評価に、有効である。
【0029】実験では、力センサー(4)に作用した力
積の総量を、衝突前後における可動部(3)の運動量変
化として置換測定した。しかしながら、衝突期間中の可
動部の加速度を測定することにより、力センサー(4)
に作用している力の瞬時値を置換測定することも可能で
ある。さらに高精度に力の瞬時値を推定したい場合、ダ
ンパー内部の慣性質量分布、および、その加速度分布を
考慮しその影響を補正することも考えられる。
【0030】実際の校正装置デザインにおいては、衝突
点(17)と可動部(3)の重心を結ぶ直線が、可動方
向と平行となるように設定することにより、衝突時にお
ける可動部の姿勢変化を小さく押さえられる。衝突時に
おける可動部の姿勢変化、可動部とガイド部の機械的接
触、それにより生じるガイド部と可動部との間の力の作
用に対しては十分な注意を払う必要がある。
【0031】可動部(3)の姿勢角度は、運動の状態に
よって、オートコリメータ以外の方法も用いることが出
来る。鏡はオートコリメータの測定光に対して殆ど垂直
である必要があり使用時に、オートコリメータまたは鏡
をかなり正確に、アライメント(光軸合せ)する必要が
あるために、測定環境が安定せず鏡、オートコリメータ
の方向がドリフトしやすい(ズレやすい)場合には、取
り扱いにくい物となってしまう。その場合には、運動方
向に対して垂直の面内に配置された、複数のコーナーキ
ューブプリズムの移動距離を光干渉計で同時に測定し、
その差から角度変化を導出する方法が有利になるであろ
う。
【0032】移動距離の差をコーナーキューブプリズム
の間隔で割り算した物が、角度変化となる。速度測定に
用いる干渉計を併用することが出来るなどの利点もあ
る。特に急峻な衝撃応答における姿勢変動を測定したい
場合、光波干渉計は高速サンプリングに対応しやすいの
で、複数のコーナーキューブプリズムの相対位置から姿
勢を求める方法は有効である。
【0033】可動部の速度測定に用いる干渉計を構成す
るコーナーキューブプリズムは、可動部の姿勢変化に対
するサイン誤差(別名アッベ誤差)と呼ばれる測定誤差
を少なくするためには、運動方向に関して被校正力セン
サーと同軸上にあることが望ましい。こうすることによ
ってコサイン誤差のみになり、姿勢変化に極めて強くな
る。
【0034】速度測定に用いる干渉計は高速の場合に
は、ドップラーシフトを測定する物、低速の場合には、
干渉出力の光の明暗の位相を直接読みとる方法が有利と
なる。双方を組み合わせて用い、その信号の状態によ
り、より高精度な信号を選び出しながら用いると、一般
的な場合に応用範囲が広がる。
【0035】次ぎに、図3を用いて実施例2について説
明する。姿勢変化量の許容範囲の探索には、図2のよう
に、互いに対向させ2つの直動軸受(1)、(1')の
可動部(3)、(3')を衝突させ、そのときの両者の
加速度の時系列、運動量の変化量から、摩擦状態の異常
を検知する方法を用いている。
【0036】衝突点(17),(17’)の位置、ダン
パー(18)の形状,材質,個数、可動部質量、初速な
どを変えて衝突させ、そのときの姿勢変化挙動と、運動
量変化を計測する。通常のやり方で摩擦の影響を補正し
た2つの可動部の運動量の変化量の和が十分に小さくな
い場合、それは姿勢変化による機械的接触が発生したた
めとみなされる。
【0037】ダンパー(18)としては、スポンジ、ゴ
ム、紙、プラスチック、バネ、などいろいろな材質、お
よび、構造が適用できる。急峻な衝撃力を微妙に整形し
たい場合には、薄くて堅いダンパーに、ピエゾ素子を直
列に張り付け、衝突期間中にその電圧をコントロールす
る方法も有効である。
【0038】また、本実施例では、衝撃力の形の調整は
主としてダンパー(18)で行った。しかし、実際の破
壊試験など力センサーが使われる場面では、一発大波的
な衝撃以外にも、ごく短い時間の間に段階的に違った形
の衝撃力が作用するということもある。そのような場合
に対応するために、可動部を一体型の剛体でなく、弾性
体、機械構造体などの複雑な内部構造を持たせることも
有効である。
【0039】こうして、衝突により可動部(3)の内部
構造が適当な変形・破壊をするようにして、衝突により
力センサー(4)に作用する力の時系列の形を複雑なも
のとすることができる。こうした場合には、衝突の前と
後とでの定常状態、あるいは、弾性体の場合には振動中
心が分かり、衝突の前後での可動部全体の運動量変化の
総量が分かれば、それが力センサに作用した力積の総量
に等しい。さらに、可動部各部の加速度と慣性力の瞬時
値を見積もることができれば、力センサーに作用する力
の瞬時値についても知ることができる。
【0040】自動車など大型構造物のクラッシュ試験に
おいては、構造物全体を直動ベアリング上に乗せて、全
運動量変化を精密測定することにより、それを力センサ
ーで測定した力積と比較することにより、力センサー出
力の誤差を総量において知ることができる。また,本実
施例において,片方または両方の衝突点(17),(1
7’)に力センサーを取付け,衝突時の応答波形を速
度,姿勢などのデータとともに記録することにより,力
センサー(4)が固定されていない場合の応答について
調べることもできる.この場合,力センサーのリード線
(信号線,電源線)を可動部から取り出すに当たって
は,力が掛からないように可動距離に対して十分に弛ま
せるなどの工夫が必要である.あるいは,可動部に増幅
器,送信機装置一式を乗せ,電磁波(電波,赤外線な
ど)により記録装置と繋いでもよい.
【0041】図4を用いて実施例3について説明する。
この装置の場合、2本の円柱状のガイド部(2)によ
り、直動ガイドされた可動部(3)の重心位置に衝突点
(17)を設けている。これにより、衝突時に発生する
力の可動方向に垂直な成分が、可動部の姿勢変化に寄与
する影響を小さくしている。衝突点と可動部重心位置を
一致させる理由は、衝突時の可動部の姿勢変動を小さく
押さえるためである。
【0042】本装置の製作、使用に当たっては、使用す
る直動軸受(1)の摩擦に関しては、十分に注意を払う
必要がある。この静圧空気軸受(1)の摩擦特性評価法
については印刷工程にある参考文献(Y. Fujii、 H. Fu
jimoto: Measurements of frictional characteristics
of a pneumatic linear bearing、 Meas. Sci. Techno
l.、 Vol.10、 No.5、 pp. 362-366、 1999)に詳しく
記載している。
【0043】以下、参考として、実施例1および実施例
2で使用した直動軸受の摩擦特性評価方法について述べ
る。エアスライド(NTN(株))などのリニア空気軸受
は、高精度な運動特性、および、小さな摩擦といった特
徴を有している。エアスライドは左右対称のクエット流
れの空気膜(21)で支持されるため、理想的には静止
摩擦はゼロであり、動摩擦は空気の粘性摩擦抵抗とな
る。しかしながら、実際のエアスライドにおいては、ガ
イド部(2)の傾斜角に、可動部(3)が静止状態を保
つ範囲が存在し、かつ、その中心値は大きな変化をす
る。残念ながら、この摩擦特性に関する文献は見当たら
ない。
【0044】一方、本発明者らは無重力環境下における
質量測定法の研究を行っているが、地上での予備実験に
おいて摩擦の小さな直線運動を実現させる目的で、エア
スライド(1)を利用している。また、本発明者らが提
案している力センサーの衝撃応答評価方法においても、
直動静圧軸受(1)の摩擦特性は極めて重要な要素であ
る。さらに、質量の量子標準化を目指す超伝導磁気浮上
法においては、超伝導浮上体の姿勢変化が大きな問題と
なっており、その安定化のために超伝導直動ベアリング
の導入が検討されている。
【0045】そこで、エアスライドに代表される摩擦の
小さな直動軸受(1)の、静的、および、動的な摩擦特
性の計測法として、時間的、空間的に定常な加速度場と
しての重力加速度gを利用する方法を開発した。なお、
超伝導磁気浮上法において導入予定の直動軸受は高真
空、低温(4。2K)環境下で動作する必要があるため、
この摩擦特性評価法をクライオスタット内で行うことも
検討している。
【0046】ガイド部給気方式の直動静圧軸受“エアス
ライド”(NTN(株)製:可動距離90mm、可動部最大質量2
7kg、無負荷時の設計空気膜圧8mm、空気膜剛性70Nmm
-、ガイド部の真直度0.3mm/100mm)を評価対象とし
た.エアスライドを可変傾斜ステージに乗せ、ステージ
上での位置は目視でスケールより読み取る。スケール上
にX=15mmから75mmまで10mm間隔で5点の測定点を設け、
X=15mmの点を基準点(Position-A)とする。可動部(3)
の速度は光波干渉計で測定する。また、その質量は分銅
の着脱により変えられる(可動部全質量:M=2kg、 6k
g)。
【0047】可動部が静止状態を保つガイド部(2)の
傾斜角度の範囲(q min、 q max)を可動部の可
動各位置xにおいて測定した。合計6セットの計測を行
い、各セットにおいてPosition-Aを原点(ゼロ点)とし
た。その中心値q=(q max+q min)/2は、M=2kg
においてX=75mm点では実に150mrad以上となった。真直
度は0.3mm/100mmであることより、qにおいてガイド
部(2)に作用する流体力と重力が釣り合うと考えられ
る。その流体力Mgqの可動部各位置での変化の様子と
して、Position-Aを基準とするとX=75mm点とでは、-3mN
程度の力が作用している。
【0048】また、可動部(3)の質量による依存性が
小さいことから、この現象は“角度”ではなくて“力”
が本質的なものであると考えられる。この流体力の発生
原因としては、設計上唯一の非対称気流が生じる通機溝
(23)の左右両壁面の圧力差が考えられる。この場
合、力は常に可動部を中心位置X=45mmに向かわせるよう
作用し、先に述べた力の向きと一致する。
【0049】可動部(3)が静止状態を保つ角度範囲の
半幅q= (q max - q in)/2について
は、 Mgsinqが見かけ上の最大静止摩擦力を表す。
可動部(4)の質量による依存性が小さいことから、
“力”が本質的なものであると考えられる。この静止摩
擦力の発生原因としては、ガイド部と可動部(3)の間
に生じる微細なポテンシャルの凹凸が考えられる。すな
わち、この微細なポテンシャルの谷一つ一つを乗り越え
るのに、ある大きさの力を必要とするということが考え
られる。このポテンシャルの凹凸は,可動部(3)とガ
イド部(4)が空気膜を挟んで互いに接する面内の微小
な凹凸,オイルなどの付着物質の状態によるものと考え
られる.
【0050】動的な摩擦特性は、ガイド部(2)の傾斜
設定角度範囲qStage=1-3mradにおいて、ガイド部
上での可動部(3)の自由落下の上りと下りにおける運
動方程式を解くことにより得られる。(上りと下りと
で、動摩擦力の方向は逆、重力の方向は同一であること
を利用する。)ガイド(2)の幾何学的傾斜角度qが小
さいとき、可動部(3)の加速度aを、動摩擦力Fをと
して、 M a = - M g q + F、 となる.
【0051】動摩擦力Fが、クエット流の粘性摩擦抵
抗FDf に等しいとすると、 mairを空気の粘性係数
として F =FDf = - mair S v/h、
動摩擦力Fは、可動部(3)とガイド部(2)が通気
溝(23)を含む空気膜(21)を挟んで互いに接する
内面表面積S、可動部速度vに比例し、膜圧hに反比例し
たものとなる。
【0052】登りと降りについて時間平均化(添字:m)
を施すと、 M aup、m = - M g qup、m - |FD、up、m| M adown = - M g qdown、m + |F
D、down、m|、 (2)?式を考慮して、 FD、up、m / FD、down、m = vup、m / v
down、m.
【0053】登りと降りにおける傾斜角の時間平均は、
ほとんど等しく、qと置ける。従って、上記3つの方
程式は、FD、up、m、FD、down、m、q、の
3つを未知数として解ける。結果は、実験により得られ
た動摩擦力は理論値と一致した。また、同時に求められ
た傾斜角qは、見掛け上の傾斜角(-q )の時間平均
値(-q )とガイド部(2)の設定傾斜角q
Stageの和、((-q ) +qStage)、と一致
した。このことから、可動部静止状態で作用した流体力
Mgqは、可動部(3)が動いているときにも同じ様に
作用することが分かる。
【0054】この方法では、直動静圧空気軸受(1)の
静的、および、動的な摩擦特性の計測に、時間的、空間
的に定常な加速度場としての重力加速度gを利用する。
可動部(3)に作用する力としては、静止摩擦力、動摩
擦力のほか、気流の非対称性により生じる力について
も、考慮する必要がある。
【0055】以上の測定により、ガイド部(2)と可動
部(3)とが空気膜(21)を介して互いに作用させあ
う力を見積もり、それが無視できないほど大きい場合に
は補正する必要がある。一般的に衝突時間が短く、衝突
の前後における速度測定の時間間隔が小さければ、この
摩擦に関する補正は不要である場合が多い。例えば、力
センサー(4)の衝撃応答特性評価の目標精度が0.1%程
度である場合には、この摩擦に関する補正は不要である
場合が多い。
【0056】
【発明の効果】本発明により、力センサー(4)に与え
られた力積、すなわち、作用した力の時間積分値、の真
値を極めて高精度に知ることのできる装置を提供するこ
とが可能となった この装置は、力センサー(4)の衝
撃応答評価に使えるだけでなく、各種動的校正方法を衝
撃応答に適用する上での妥当性の評価を行う上で役立
ち、産業上のメリットは極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を説明するための図
【図2】本発明の実施例1を説明するための図
【図3】本発明の実施例2を説明するための図
【図4】本発明の実施例3を説明するための図
【符号の説明】
1 直動軸受 2 直動軸受のガイド部 3 直動軸受の可動部全体 4 力センサー 5 力センサーの受感部 6 定盤(台座) 7 可変傾斜ステージ 8 可動部の速度を測定するための測定器(光波干渉計
など) 9 可動部の姿勢を測定するための測定器(オートコリ
メータなど) 10 ガイド部の姿勢を測定するための測定器(オート
コリメータなど) 11 コーナー・キューブ・プリズム(可動部の速度を
測定するための測定点を与える.) 12 傾斜角度を測定するために可動部に取付けられた
平面鏡 13 傾斜角度を測定するためにガイド部に取付けられ
た平面鏡 14 光波干渉計のレーザ光線 15 オートコリメータの平行光線 16 オートコリメータの平行光線 17 可動部に設けられた衝突点 18 ダンパー(可動部上,もしくは,衝突点上に張付
ける) 19 リニアアクチュエータ 20 ガイド部の内部を通る通気管 21 空気膜 22 空気吹き出し口 23 通気溝 24 空気導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 石井 哲 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 1/00 - 25/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直動軸受のガイド部に支持された可動
    部を力センサーに衝突させ、その間の速度変化から、上
    記力センサーに作用した真の力を測定することを特徴と
    する力センサーの衝撃応答の評価装置。
  2. 【請求項2】 上記直動軸受に直動静圧空気軸受を用
    いることを特徴とする請求項1記載の力センサーの衝撃
    応答の評価装置。
  3. 【請求項3】 直動軸受のガイド部に支持された可動
    部を力センサーに衝突させ、その間の速度変化から、上
    記力センサーに作用した真の力を測定する力センサーの
    衝撃応答の評価装置において、 上記可動部の重心の位置と、上記可動部に設けられた衝
    突点とを結ぶ直線を、上記直動軸受けの可動方向と平行
    に設定することを特徴とする力センサーの衝撃応答の評
    価装置。
  4. 【請求項4】 直動軸受のガイド部に支持された可動
    部を力センサーに衝突させ、その間の速度変化から、上
    記力センサーに作用した真の力を測定する力センサーの
    衝撃応答の評価装置において、 上記可動部に平面鏡を取付け、その傾きの変化を姿勢測
    定器によりモニターすることを特徴とする力センサーの
    衝撃応答の評価装置。
  5. 【請求項5】 リニアアクチュエータにより上記可動
    部に所望の初速度を与えることを特徴とする請求項1記
    載の力センサーの衝撃応答の評価装置。
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