JP3173319U - ろ過装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ろ過池が不要であり、原水から大量の浄水を得ることができ、確実にクリプトスポリジウムを除去できるろ過装置を提供する。
【解決手段】2個以上のろ過器(2a、3a)からろ過装置(1a)を構成する。原水は、少なくとも2個のろ過器(2a、3a)を経由してろ過されるようにする。各ろ過器(2a、3a)は圧力容器(4、5)とろ過材(6、7)から構成し、ろ過材(6、7)は下方から上方に向かって粒径が小さくなるように積層された第1のろ過部(16、17)と、この上の、上方に向かって粒径が大きく成るように積層された第2のろ過部(18、19)とから構成する。下流のろ過器(3a)における最小の粒径の粒子の層(22)は、1〜50μmの粒子からなるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】2個以上のろ過器(2a、3a)からろ過装置(1a)を構成する。原水は、少なくとも2個のろ過器(2a、3a)を経由してろ過されるようにする。各ろ過器(2a、3a)は圧力容器(4、5)とろ過材(6、7)から構成し、ろ過材(6、7)は下方から上方に向かって粒径が小さくなるように積層された第1のろ過部(16、17)と、この上の、上方に向かって粒径が大きく成るように積層された第2のろ過部(18、19)とから構成する。下流のろ過器(3a)における最小の粒径の粒子の層(22)は、1〜50μmの粒子からなるようにする。
【選択図】図1
Description
本考案は、河川、ダム、湖沼から取水され、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して、上水道等として供給される浄水を得るろ過装置に関するものである。
生活用水、飲用水等に利用される水道水、工業等で利用される低濁度水等の、いわゆる浄水は、河川、湖沼、ダム等から取水された水、あるいは地下から汲み上げられた地下水等の原水を浄化処理して得られる。原水には、微生物やごみがコロイド状に浮遊する濁質が含まれているので、水道水として提供する場合には、そのままでは飲用には不適である。そこで、原水はろ過池、あるいはろ過装置によって濁質が取り除かれ、消毒殺菌用の塩素あるいは次亜塩素酸が注入され、家庭、工場、学校等に水道水として配水される。濁質を除去するろ過材として、いわゆる膜も利用されているが高価であるし耐久性の問題もあり、大量の浄水を安価に得るのに適しているとは言えない。従って、一般的に利用されているろ過材は、安価で長期間利用することができるろ砂である。ろ過池は、ろ過材がろ砂の層からなる設備であり、緩速ろ過池と急速ろ過池が周知である。緩速ろ過池は、ろ砂の粒径が0.3〜0.45mmであり、ろ砂の層には微生物の層すなわち生物膜が形成されている。緩速ろ過池は生物膜において被ろ過水をろ過するので、ろ過速度を高速にすることはできないが、微細な濁質を除去して美味しい浄水を得ることができる。急速ろ過池は沈殿池の下流に設けられており、沈殿池においてある程度の濁質が沈下した水をろ過するようになっている。急速ろ過池は、ろ砂の粒径が1〜2mm程度であり、ろ砂の層には生物膜はほとんど形成されていない。急速ろ過池では被ろ過水を比較的高速にろ過することができるので、大量の浄水を得るのに適している。緩速ろ過池も急速ろ過池も、ろ過材の最下層は粒径の大きい砂利からなり、上層に向かって粒径が小さくなるように積層されている。そして被ろ過水は下向きにろ過されるので、濾し採られる濁質が最上層に集中して早期にろ過閉塞し易い。
ろ過材がろ砂からなるろ過装置であり、上向きに被ろ過水をろ過する、いわゆる上向きろ過装置も周知であり特許文献1に記載されている。上向きろ過装置のろ過材も、緩速ろ過池や急速ろ過池と同様に、下方から上方に向かって粒径が小さくなるように積層されているが、被ろ過水は下方から上方に流してろ過するようになっている。従って被ろ過水は最初に粒径の大きいろ砂の層でろ過され、次いで順次粒径が小さいろ砂の層でろ過されることになる。従って、ろ砂の層全体で被ろ過水をろ過することができ、濾し採られる濁質が所定の層に集中せずにろ過閉塞し難い。すなわち長期間ろ過することができる。しかしながら最小の粒径のろ砂はろ過材の最上層に積層されているので、ろ砂が水中に舞わないようにろ過速度を大きくできないという制約がある。
本出願人によって、ろ過閉塞し難く、ろ過速度を大きくできるろ過装置が特許文献2によって提案されている。特許文献2に記載のろ過装置は、ろ砂からなるろ過材が設けられており、このろ過材は下層から上層に向かって粒径が小さくなるように積層されたろ過部と、このろ過部の上部に、粒径が上層に向かって大きくなるように積層されたろ砂流出防止部とからなる。そして被ろ過水は上向きにろ過する。従って被ろ過水がろ過部においてろ過されるとき、濾し採られる濁質は特定の層に集中せずにろ過閉塞し難く、ろ砂流出防止部によってろ砂の流出が防止されるのでろ過速度を大きくすることができる。このろ過装置においてはろ過材を構成する最小の粒子を1〜50μmにすることもできる。このようにすると、緩速ろ過池、急速ろ過池等によってろ過した水をろ過する装置として使用して、浄水の濁度を0.1度以下にすることができ、浄水から確実にクリプトスポリジウムを除去することができる。クリプトスポリジウムは、河川や湖沼から取水された原水に混入していることがあり、浄水に混入してしまうと、集団食中毒を引き起こす可能性があり近年問題になっている。これを確実に除去することができるので、安全な浄水を提供することができる。
原水に大量の濁質が含まれていると、緩速ろ過池が早期にろ過閉塞してしまうし、急速ろ過池の前段の沈殿池において大量の凝集剤が必要になってしまい問題が多い。そこで本出願人によって、原水から比較的粒径の大きい濁質を効率よく除去することができるろ過装置が特許文献3によって提案されている。このろ過装置のろ過材もろ砂からなり、下層から上層に向かって粒径が小さくなるように積層されたろ過部と、このろ過部の上部に、粒径が上層に向かって大きくなるように積層されたろ砂流出防止部とからなる。最小の粒径のろ砂が、0.1〜0.5mmなので、クリプトスポリジウムは除去することができないが、比較的粒径の大きい濁質は効率よく除去することができる。従ってこのろ過装置によってろ過した水を、緩速ろ過池、急速ろ過池等に供給するとこれらの池がろ過閉塞し難くなる。
上記したような緩速ろ過池、急速ろ過池、特許文献1に記載の上向きろ過装置、特許文献2、3のそれぞれに記載のろ過装置によっても、それぞれ濁質は除去することができる。しかしながら問題点も見受けられる。具体的には、浄水設備が大きくなって広大な敷地を必要とするという問題がある。緩速ろ過池については、ろ過速度は日速数メートルであり大量の浄水を得るためには広大な面積のろ過池が必要になる。また急速ろ過池については、ろ過速度は日速100メートルで比較的早いが、沈殿池が格別に必要になる。また沈殿池で沈殿させた濁質には凝集剤が含まれているので、河川に戻すことができず、汚泥処理設備も必要になる。そうすると急速ろ過池を利用する浄水設備も、広大な面積の敷地が必要になる。特許文献1に記載の上向きろ過装置は、緩速ろ過池や急速ろ過池の代替になるが、ろ過速度が比較的遅く、大量の浄水を得るには多数のろ過装置が必要であり、これも広大な敷地を必要とする。引用文献2に記載のろ過装置は、クリプトスポリジウム除去用のろ過装置として使用する場合、急速ろ過池、緩速ろ過池等においてろ過した水を処理することを予定しているので、急速ろ過池、緩速ろ過池等を省略できず敷地を小さくすることはできない。引用文献2に記載のろ過装置によって原水を直接ろ過するようにすれば、急速ろ過池、緩速ろ過池等は不要になるが、この場合にはろ過装置が短期間でろ過閉塞してしまい実用的でない。また引用文献3に記載のろ過装置も、原水から比較的大きな濁質を除去することを目的としているので、緩速ろ過池、急速ろ過池等を格別に必要とし、これも浄水設備に必要な敷地を小さくすることはできない。
本考案は、上記したような従来の問題点あるいは課題を解決したろ過装置を提供することを目的としている。具体的には、緩速ろ過池や急速ろ過池等の従来のろ過池が不要であり、大量の浄水を得ることができるにも関わらず小さな敷地に設置することができ、河川、湖沼、ダム等から取水した水、あるいは地下水等の原水をろ過し、原水にクリプトスポリジウムが含まれていても、確実にこれを除去して安全な浄水を得ることができる、ろ過装置を提供することを目的としている。
本考案は、上記目的を達成するために、河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して浄水を得るろ過装置を、互いに接続された2個以上の複数個のろ過器からなるろ過装置として構成する。そして原水から浄水を得るのに少なくとも2個以上のろ過器を経由するように構成する。これによって上流側のろ過器によって大きな粒径の濁質を、下流側のろ過器によって微細な濁質を濾し採るようにする。そしてこれらのろ過器は、所定の容器と、該容器に入れられている砂利、ろ砂および粒子からなるろ過材とから構成し、ろ過材は、下方から上方に向かって粒径が順次小さくなるように積層されている第1のろ過部と、該第1のろ過部の上に下方から上方に向かって粒径が順次大きくなるように積層されている第2のろ過部とから構成する。すなわち最も粒径の小さい層が、ろ過材の中間に形成されるようにする。このようなろ過器のうち、最下流に位置するろ過器は、ろ過材を構成している最小の粒子の層が、粒径が1〜50μmの粒子からなるように構成する。各ろ過器において容器は圧力容器から構成して、ろ過材が圧力容器の天井に達するように充填してもよいし、第2のろ過部の上に所定の押さえ部材あるいは錘を設けてこれらによって第2のろ過部が下方に押し付けられるようにしてもよい。
すなわち、請求項1に記載の考案は、上記目的を達成するために、河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して浄水を得るろ過装置であって、該ろ過装置は、互いに接続された2個以上のろ過器からなり、原水から浄水を得るのに少なくとも2個以上のろ過器を経由するようになっており、それぞれの前記ろ過器は、所定の容器と、該容器に入れられている砂利、ろ砂および粒子からなるろ過材とから構成され、該ろ過材は、下方から上方に向かって粒径が順次小さくなるように積層されている第1のろ過部と、該第1のろ過部の上に下方から上方に向かって粒径が順次大きくなるように積層されている第2のろ過部とから構成されており、最下流に位置するろ過器において、前記ろ過材の前記第1のろ過部を構成している最小の粒子の層は、粒径が1〜50μmの粒子からなることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器の容器は圧力容器からなり、前記ろ過材は該圧力容器の天井に達するように充填されていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項3に記載の考案は、請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器のろ過材は、前記第2のろ過部が所定の押さえ部材あるいは錘によって下方に押し付けられていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項4に記載の考案は、請求項1〜3のいずれかの項に記載のろ過装置において、前記ろ過器をろ過される水は、下方から上方に向かって流れてろ過されるようになっていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項5に記載の考案は、請求項1〜4のいずれかの項に記載のろ過装置において、原水は0.05MPa以上の水圧で供給されるようになっていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器の容器は圧力容器からなり、前記ろ過材は該圧力容器の天井に達するように充填されていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項3に記載の考案は、請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器のろ過材は、前記第2のろ過部が所定の押さえ部材あるいは錘によって下方に押し付けられていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項4に記載の考案は、請求項1〜3のいずれかの項に記載のろ過装置において、前記ろ過器をろ過される水は、下方から上方に向かって流れてろ過されるようになっていることを特徴とするろ過装置として構成される。
請求項5に記載の考案は、請求項1〜4のいずれかの項に記載のろ過装置において、原水は0.05MPa以上の水圧で供給されるようになっていることを特徴とするろ過装置として構成される。
以上のように本考案によると、河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して浄水を得るろ過装置として構成され、ろ過装置を構成している各ろ過器は、それぞれ所定の容器と、該容器に入れられている砂利、ろ砂および粒子からなるろ過材とから構成されている。そしてこれらのろ過材は、下方から上方に向かって粒径が順次小さくなるように積層されている第1のろ過部と、第1のろ過部の上に下方から上方に向かって粒径が順次大きくなるように積層されている第2のろ過部とから構成されている。そうすると、各ろ過器において被ろ過水を上方向、下方向のいずれの方向に流しても、被ろ過水は粒径が小さくなる方向に流れて、その後粒径が大きくなる方向に流れることになる。従って粒径が小さくなる方向に流れるときに、濁質が粒径に応じてそれぞれの層で濾し採られることになり、効率よくろ過することができ、ろ過閉塞もし難い。そして最小の粒径の層はろ過材の中間に位置することになり、それより大きい粒径の層によってサンドイッチされるので、粒子は流出しない。つまりろ過速度を大きくしても安定してろ過することができる。またろ過器においてろ過材を洗浄するとき、すなわち逆方向に浄水を流してろ過材中に蓄積された濁質を洗い流す場合においても、ろ過材の各層の配置は変化しない。つまり容易にろ過材を洗浄でき、各層を積層し直す必要がない。そして本考案によると、原水から浄水を得るのに少なくとも2個以上のろ過器を経由するようになっている。上流のろ過器において比較的大きな濁質を濾し採り、下流のろ過器において小さな濁質を濾し採るようにして、各ろ過器がろ過閉塞し難くなるように構成することができる。従って各ろ過器だけで、大きさの異なる濁質を効率よく除去できるので、格別に緩速ろ過池や急速ろ過池を必要とせず、大量の浄水を得る場合であっても広大な敷地は不要になる。さらに最下流に位置するろ過器において、ろ過材の第1のろ過部を構成している最小の粒子の層は、粒径が1〜50μmの粒子からなるので、最終的に得られる浄水の濁度は0.1以下になり、クリプトスポリジウムは完全に除去することができる。また本考案においては、原水には薬品は注入されないので、ろ過材を浄水によって洗浄して排出される濁質を含んだ排水は、直接河川に戻すことができる。
他の考案によると、ろ過器の容器は圧力容器からなり、ろ過材は該圧力容器の天井に達するように充填されている。また他の考案によると、ろ過器のろ過材は、第2のろ過部が所定の押さえ部材あるいは錘によって下方に押し付けられている。そうすると、これらのろ過器は、ろ過速度を高速にしても、ろ過材の洗浄時に浄水を逆向きに高速に流しても、ろ過材を構成している各層は配置が変化せずろ過材は安定することが保障される。また他の考案によると、ろ過器をろ過される水は、下方から上方に向かって流れてろ過されるようになっていることを特徴とする上水道用のろ過装置として構成されている。そうすると濁質は第1のろ過部において濾し採られることになる。そうすると浄水を上方から下方に向かって流してろ過材を洗浄するとき、濁質の多くは比重が大きいので容易に濁質を除去することができる。さらに他の考案によると、原水は0.05MPa以上の水圧で供給されるようになっている。そうすると効率よく原水がろ過されて、大量の浄水を得ることができる。
以下、図1によって本考案の第1の実施の形態に係るろ過装置1aを説明する。ろ過装置1aは、河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して浄水を得る上水道用のろ過装置として構成され、被ろ過水を上向きにろ過する2個の上向きろ過器2a、3aから構成されている。これらの上向きろ過器2a、3aは、直列に接続されており、上流側が比較的大きな濁質だけを除去する粗ろ過器2aに、下流側が微細な濁質を除去する微細ろ過器3aになっている。これらのろ過器2a、3aはそれぞれ所定の形状の中空の圧力容器4、5と、容器内に設けられているろ過材6、7とから構成されている。圧力容器4、5は、所定の肉厚の鋼板から円筒状に形成されている胴部8、9と、ドーム状を呈し、この胴部8、9の上部に液密的に取り付けられているヘッド部11、12と、同様にドーム状を呈し、胴部8、9の下部に液密的に取り付けられているボトム部13、14とから構成されている。このような形状に形成されているので、圧力容器4、5は内圧に対して高い耐性を備えている。また圧力容器4、5は容易に分解することができるので、ろ過材6、7をメンテナンスしたり、交換するのも容易に実施できる。
本実施の形態に係る粗ろ過器2aと微細ろ過器3aのろ過材6、7は、砂利、ろ砂等から構成されているが、これらは積層方法に特徴がある。すなわち、ろ過材6、7は、下方の第1のろ過部16、17と、この第1のろ過部16、17の上に設けられている第2のろ過部18、19とから構成されており、第1のろ過部16、17は下方から上方に向かって粒径が順次小さくなるように積層され、第2のろ過部18、19は下方から上方に向かって粒径が順次大きくなるように積層されている。これによってろ過材6、7における最小の粒径の粒子の層21、22は、第1のろ過部16、17の最上層に設けられることになる。つまり最小の粒径の粒子の層21、22はろ過材6、7の略中央に配置され、それより大きい粒径の粒子の層がその上下に配置され、さらに大きい粒子の層がその上下に配置され、順次下方向と上方向に向かうに従って粒径が大きくなるようにろ砂、砂利の層が配置されている。粗ろ過器2aのろ過材6の最小の粒径の粒子の層21は、0.1〜2mmのろ砂の層から、より好ましくは0.1〜0.5mmのろ砂の層からなる。そして微細ろ過器3aのろ過材7の最小の粒径の粒子の層22は、1〜50μmの粒子の層からなる。なお、これらの最小の粒径の粒子の層21、22の厚さは適宜選定することができるが、例えば微細ろ過器3aにおける最小の粒径の粒子の層21は、5mm程度あれば十分にクリプトスポリジウムを捕捉することができる。このように構成されているろ過材16、17は、本実施の第1の形態において、圧力容器4、5の天井に達するように充填されている。このように充填されているのでろ過速度を大きくしても、洗浄時に高圧で浄水を流しても、ろ過材16、17は各層の配置が崩れることなく積層状態が安定することになる。
原水は、ポンプ24によって加圧されて、第1の開閉弁26が介装された原水管28によってろ過装置1aに供給されるようになっている。具体的には原水管28は、粗ろ過器2aの入口、つまり下端部に接続されている。粗ろ過器2aの出口、つまり粗ろ過器2aの上端部には、ろ過した水を流すための管路すなわち連絡管31が接続され、この連絡管31は、第2の開閉弁29が介装され、微細ろ過器3aの入口、つまり下端部に接続されている。微細ろ過器3aの出口、つまり上端部にはろ過された浄水を送水するための送水管33が接続され、送水管33には第3の開閉弁34が介装されている。これらの粗ろ過器2aと微細ろ過器3aの上端部のそれぞれには、ろ過材6、7を洗浄するための洗浄管36、37が、第4、5の開閉弁38、39を介して接続されている。そしてこれらの粗ろ過器2aと微細ろ過器3aの下端部のそれぞれには、ろ過材6、7を洗浄した排水を排出する排出管41、42が接続され、排出管41、42には第6、7の開閉弁43、44が介装されている。
本実施の形態に係るろ過装置1aの作用を説明する。河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水から浄水を得る方法について説明する。第1〜3の開閉弁26、29、34を開く。第4〜7の開閉弁38、39、43、44を閉じる。ポンプ24を駆動して原水をろ過装置1aに圧送する。圧送する水圧は、ろ過速度を大きくしたいときには大きくする必要があるが、概ね0.05MPa以上あれば効率よくろ過することができる。原水はまず、粗ろ過器2aにおいて上向きにろ過され、第1のろ過部16において比較的粒径の大きい濁質が濾し採られる。粗ろ過器2aでろ過された水は微細ろ過器3aにおいて再び上向きにろ過される。第1のろ過部17において濁質が濾し採られるが、最小の粒径の粒子の層22は、1〜50μmの粒子からなるので、最終的に得られるろ過水すなわち浄水の濁質は0.1度以下になり、実質的にクリプトスポリジウムは完全に除去される。本実施の形態に係るろ過装置1aは、粗ろ過器2aにおいて比較的大きな濁質を、微細ろ過器3aにおいて微細な濁質を除去するようになっているので、いずれのろ過器2a、3aもろ過閉塞し難い。従って長期に渡って使用することができる。本実施の形態に係るろ過装置1aは、広大な面積を必要とする緩速ろ過池、急速ろ過池等のろ過池を必要としないし、原水に薬品を注入する必要もない。安価に大量の浄水を得ることができる。
本実施の形態に係るろ過装置1aを長期間運転すると、ろ過材6、7に濁質が溜まってくる。これらを洗浄する方法を説明する。ポンプ24を停止する。第1〜3の開閉弁26、29、34を閉じる。第4〜7の開閉弁38、39、43、44を開く。図示されないポンプによって、洗浄管36、37から洗浄用の浄水すなわち洗浄水を圧送する。そうすると粗ろ過器2aと、微細ろ過器3aにおいて洗浄水は下向きに流れる。第1のろ過部16、17において濾し採られた濁質は洗浄水によって下向きに押し流される。濁質の比重は1よりも大きいので容易に下方に押し流される。濁質を含んだ洗浄水、すなわち排水は排水管41、42から外部に排出される。この排水には、薬品が添加されていないので、換言すると原水由来の物質しか含まれていないので、排水は河川に廃棄することができる。これによって従来浄水場に必要とされていた汚泥処理設備も不要になる。洗浄が完了したら、前記したように運転して原水を処理して浄水を得ることができる。
図2には、第2の実施の形態に係るろ過装置1bが示されている。第2の実施の形態に係るろ過装置1bは、第1の実施の形態に係るろ過装置1aを変形したろ過装置であり、同様の作用を奏する部材には同じ参照番号を付して説明を省略する。第2の実施の形態に係るろ過装置1bにおいて、粗ろ過器2bと微細ろ過器3bは、いずれもろ過材16、17は圧力容器4、5の天井に達していない。その代わりに、圧力容器4、5の天井にはスプリング48、49が設けられ、押さえ板50、51がスプリング48、49によって下方に付勢されている。押さえ板50、51には、所定の大きさの孔が多数明けられており、水は通すが砂利、ろ砂等は通さないようになっている。このような押さえ板50、51によってろ過材6、7が下方に押し付けられている。第2の実施の形態においても、前実施の形態と同様に原水をろ過して浄水を得ることができるし、ろ過材6、7の積層状態は安定しているので、前実施の形態と同様の方法によってろ過材6、7を洗浄することができる。バネ付勢された押さえ板50、51を、重量の大きい所定の部材に交換して、この部材によってろ過材16、17を下方に押し付けるようにしてもよい。このように構成しても同様の作用を奏するのは明らかである。
図3には、第3の実施の形態に係るろ過装置1cが示されている。この実施の形態に係るろ過装置1cは、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同様に構成されており、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同様の部材には同じ参照番号が付されている。第3の実施の形態に係るろ過装置1cにおいては、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと、水をろ過する方向が相違している。すなわち粗ろ過器2cと微細ろ過器3cにおいて、水は上方から下方に向かってろ過するようになっている。このようにろ過する場合、濁質は第2のろ過部18、19によって濾し採られることになる。そしてろ過材6、7を洗浄する場合には、洗浄水をろ過器2c、3cの下方から供給して上方向に流して洗浄することになる。
本実施の形態に係るろ過装置は、他の変形も可能であり、例えばろ過器を3個以上直列に接続することもできる。図4には3個のろ過器が接続された第4の実施の形態に係るろ過装置1dが示されている。このろ過装置1dは、図1に示されている第1の実施の形態に係るろ過装置1aの上流側に、新たなろ過器53が接続されている。図4において、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同じ作用を奏する部材、装置には同じ参照番号が付されている。新たに接続されている最上流のろ過器53は、大きな濁質だけを濾し採る高濁質用ろ過器53になっており、内部に充填されているろ過材54も、粗ろ過器2dや微細ろ過器3dと同様に積層されている。すなわちろ過材54は、下方の第1のろ過材55と上方の第2のろ過材56とからなり、第1のろ過材55は下方から上方に向かって粒径が小さくなるように積層され、第2のろ過材56は下方から上方に向かって粒径が大きくなるように積層されている。そして第1のろ過材55の最上層にあたる最小の粒径の粒子の層57は、粒径が1〜5mmのろ砂から構成されている。第4の実施の形態に係るろ過装置1dも、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同様に原水をろ過して浄水を得ることができる。そしてこのろ過装置1dにおいては、大きな濁質が高濁質用ろ過器53において濾し採られるので、粗ろ過器2d、微細ろ過器3dには濁質が溜まりにくく、さらに長期間運転が可能になる。なお図4においては、各ろ過器53、2d、3dのろ過材53、6、7を洗浄するための管路や、管路に介装されている開閉弁は示されていないが、第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同様に、洗浄水を逆向きに流してろ過材53、6、7を洗浄することができる。
本考案のろ過装置は、原水から浄水を得るのに少なくとも2個以上のろ過器を経由するようになっていればよく、一部のろ過器は並列に接続されていてもよい。図5には、2個の粗ろ過器2eと1個の微細ろ過器3eからなる第5の実施の形態に係るろ過装置1eが示されている。図において第1の実施の形態に係るろ過装置1aと同じ作用を奏する部材、装置には同じ参照番号が付されている。このろ過装置1eにおいて、原水管28は分岐して、2個の粗ろ過器2eに原水が供給されるようになっている。すなわち2個の粗ろ過器2eは並列に接続されている。そしてこれらの粗ろ過器2eでろ過された水は、1個の微細ろ過器3eによってろ過されるようになっている。図5には、ろ過材6、7を洗浄するための洗浄管や開閉弁等は示されていないが、第1の実施の形態と同様に、この第5の実施の形態に係るろ過装置1eも、原水をろ過して浄水を得ることも、ろ過材6、7を洗浄することもできる。なお図5において、各ろ過器2e、3eにおいてろ過される水は上向きに流れるように示されているが、当業者であれば容易に理解できるように、管路の接続を変更して、各ろ過器2e、3eにおいて水を下向きに流すようにしてろ過することも可能である。
第1〜5の実施の形態に係るろ過装置1a〜1eにおいて、粗ろ過器2a〜2eと微細ろ過器3a〜3eは、いずれも圧力容器4、5から構成されているように説明したが、必ずしも圧力容器から構成しなければならない理由はない。図6には、天井が開放されている容器58からなる粗ろ過器2f、あるいは微細ろ過器3fが示されている。容器58には底部にろ床59が設けられ、この上にろ過材6(7)が設けられている。ろ過材6(7)は、下方から上方に向かって粒径が小さくなるように積層された第1のろ過部16(17)と、この第1のろ過部16(17)の上に積層され、下方から上方に向かって粒径が大きくなるように積層された第2のろ過部18(19)とからなる。この第2のろ過部18(19)の上には、重量の大きいろ砂押さえ部材61が載せられており、これによってろ過材6(7)は下方に押し付けられている。従ってろ過するときにも、ろ過材6(7)を洗浄するときにもろ過材6(7)の積層状態は変化せず安定することになる。なお、このろ過器2f(3f)においては、ろ過材6(7)を洗浄するための洗浄管62が第2のろ過部18(19)の所定の層に埋められ、洗浄管62には多数の孔が明けられている。ポンプ63によって洗浄管62から洗浄水を供給すると、洗浄水は第2のろ過部18(19)内に供給されてろ過材6(7)を効率よく洗浄することができる。このような粗ろ過器2f、あるいは微細ろ過器3fによっても、本考案に係るろ過装置を構成することができる。なお、この実施の形態に係る粗ろ過器2f、あるいは微細ろ過器3fは、ろ過材6(7)はろ砂押さえ部材61によって下方に押さえられているが、重量の大きい小石等を最上部に積層して、それによってろ過材6(7)を押さえるようにしても、同様にろ過したり、ろ過材6(7)を洗浄することが可能である。
1 ろ過装置
2 粗ろ過器
3 微細ろ過器
4、5 圧力容器
6、7 ろ過材
16、17、55 第1のろ過部
18、19、56 第2のろ過部
21、22、57 最小の粒径の粒子の層
48、49 スプリング
50、51 押さえ板
53 高濁質用ろ過器
58 容器
59 ろ床
61 ろ砂押さえ部材
2 粗ろ過器
3 微細ろ過器
4、5 圧力容器
6、7 ろ過材
16、17、55 第1のろ過部
18、19、56 第2のろ過部
21、22、57 最小の粒径の粒子の層
48、49 スプリング
50、51 押さえ板
53 高濁質用ろ過器
58 容器
59 ろ床
61 ろ砂押さえ部材
Claims (5)
- 河川、湖沼、ダムから取水された、あるいは地下から汲み上げられた原水をろ過して浄水を得るろ過装置であって、
該ろ過装置は、互いに接続された2個以上のろ過器からなり、原水から浄水を得るのに少なくとも2個以上のろ過器を経由するようになっており、
それぞれの前記ろ過器は、所定の容器と、該容器に入れられている砂利、ろ砂および粒子からなるろ過材とから構成され、
該ろ過材は、下方から上方に向かって粒径が順次小さくなるように積層されている第1のろ過部と、該第1のろ過部の上に下方から上方に向かって粒径が順次大きくなるように積層されている第2のろ過部とから構成されており、
最下流に位置するろ過器において、前記ろ過材の前記第1のろ過部を構成している最小の粒子の層は、粒径が1〜50μmの粒子からなることを特徴とするろ過装置。 - 請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器の容器は圧力容器からなり、前記ろ過材は該圧力容器の天井に達するように充填されていることを特徴とするろ過装置。
- 請求項1に記載のろ過装置において、前記ろ過器のろ過材は、前記第2のろ過部が所定の押さえ部材あるいは錘によって下方に押し付けられていることを特徴とするろ過装置。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載のろ過装置において、前記ろ過器をろ過される水は、下方から上方に向かって流れてろ過されるようになっていることを特徴とするろ過装置。
- 請求項1〜4のいずれかの項に記載のろ過装置において、原水は0.05MPa以上の水圧で供給されるようになっていることを特徴とするろ過装置。
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