JP3172992B2 - 信号増幅装置 - Google Patents

信号増幅装置

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JP3172992B2
JP3172992B2 JP15709296A JP15709296A JP3172992B2 JP 3172992 B2 JP3172992 B2 JP 3172992B2 JP 15709296 A JP15709296 A JP 15709296A JP 15709296 A JP15709296 A JP 15709296A JP 3172992 B2 JP3172992 B2 JP 3172992B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、信号増幅装置に
関し、特に、プッシュプル出力を得ることができる信号
増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レコードプレーヤーのヘッドアンプとし
て、MCアンプが知られている。MCアンプは、レコー
ドプレーヤーに用いられるムービングコイル型ヘッド
(図示せず)の出力を増幅するためのアンプである。M
Cアンプとしては、出力の正負応答特性の対称性などを
向上させるために、プッシュプル出力の増幅器を用いる
ことが好ましい。
【0003】プッシュプル出力の増幅器としては、入力
から出力に至るまで全て相補性の増幅素子を使用した、
いわゆる全段プッシュプル増幅器を用いることが望まし
い。全段プッシュプル増幅器を用いることにより、出力
の正負応答特性の完全な対称性を得ることができる。ま
た、全段プッシュプル増幅器は、入力段においても増幅
素子の並列接続と等価であるため、入力段が単一増幅素
子で構成される場合と比較して、ノイズを低減すること
ができる。
【0004】しかしながら、現実の増幅素子において
は、相補性素子といっても完全な相補性を得る事は困難
である。特に半導体増幅素子においては、使用する多数
キャリアが正孔か電子かで移動度が異なるため、相補性
素子相互の特性を一致させる事は不可能である。また、
相補性素子としてFET(電界効果型トランジスタ)を
用いようとしても、現実問題としてPチャネルFETの
品種は非常に少なく、相補性を有するNチャネルFET
およびPチャネルFETを入手することは困難である。
このため、MCアンプ等に用いるプッシュプル出力の増
幅器として、全段プッシュプル増幅器を実現することは
極めて困難である。
【0005】そこで、従来は、図11に示すように、入
力段を通常の同極性のトランジスタ(増幅素子)2を2
個用いた差動増幅回路4とし、後段でプッシュプル出力
に変換する方式のMCアンプが用いられていた。図11
の例では、前段の増幅出力をプッシュプル出力に変換す
るためにカレントミラー回路6が使用されている。な
お、2個のトランジスタ2のエミッタには定電流源8が
接続され、MCアンプの出力は帰還回路10を介して差
動増幅回路4に帰還される。このように構成することに
より、プッシュプル出力を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来のMCアンプには、次のような問題があった。ムービ
ングコイル型ヘッド(出力数10μV程度。図示せず)
は、ムービングマグネット型ヘッド(出力数mV程度)
と異なり、出力レベルが小さい。このため、ヘッド出力
をMCアンプで増幅した後、さらに、高ゲインの増幅を
行なわなければならない。したがって、MCアンプによ
る増幅時のノイズは、極力抑えておく必要がある。
【0007】しかしながら、図11に示すMCアンプの
ノイズ特性はあまりよくない。これは、入力段に差動増
幅回路4を用いているためである。図11の差動増幅回
路4を図12Aに示す。差動増幅回路4の出力電流I
(=Ia−Ib)におけるS/N比は、図12Bに示す単
一トランジスタのエミッタ接地増幅回路12の出力電流
IにおけるS/N比に比べ、3dB(デシベル)低下す
ることが知られている。ただし、トランジスタ2の変換
コンダクタンスgmは全て同一とする。また、差動増幅
回路4の2つのトランジスタ2への入力換算ノイズ電圧
については、実効値は等しく、2つのトランジスタ2間
で相関はないものと仮定している。
【0008】すなわち、差動増幅回路4を用いた場合、
単一トランジスタのエミッタ接地増幅回路12の2倍の
個数のトランジスタ2を用いているにもかかわらず、S
/N比は3dB低下する。
【0009】一方、差動増幅回路4をn個並列接続する
ことにより、S/N比は(平方根n)×3dB増加する
ことも知られている。したがって、差動増幅回路4を用
いて、単一トランジスタのエミッタ接地増幅回路12と
同じS/N比を得るためには、差動増幅回路4を2個並
列接続しなければならないことになる。すなわち、4個
のトランジスタ2が必要になる。これでは、構成が複雑
になり製造コストも高くなる。
【0010】この発明は、このような問題点を解決し、
簡単な構成で低雑音のプッシュプル出力を得ることがで
きる信号増幅装置を提供することを目的とする。
【0011】請求項1の信号増幅装置は、第1の端子、
第2の端子、および第1の端子と第2の端子との間に流
れる電流I1を制御する制御端子、を有する第1の増幅
手段、第1の増幅手段と同極性の増幅手段であって、第
1の端子、第2の端子、および第1の端子と第2の端子
との間に流れる電流I1’を制御する制御端子、を有す
る第2の増幅手段、増幅すべき信号を入力する端子であ
って、第1の増幅手段の制御端子と第2の増幅手段の制
御端子とに電気的に接続された信号入力端子、一定電流
01を流す電流源であって、第1の増幅手段の第2の端
子と第2の増幅手段の第2の端子とに電気的に接続され
た第1の定電流源、一定電流I02を流す電流源であっ
て、第2の増幅手段の第1の端子に電気的に接続された
第2の定電流源、前記第2の増幅手段の第1の端子と第
2の定電流源との接続点から分岐され、一定電流I02
電流I1’との差である電流I2を流す電流路、電流I1
を増幅する第3の増幅手段、電流I2を増幅する第4の
増幅手段、第3の増幅手段の増幅出力と第4の増幅手段
の増幅出力との合成出力に対応した信号を出力する信号
出力端子、前記信号出力端子と前記第2の増幅手段の第
2の端子間の信号ラインとアース間に設けられた電流I
と電流I ’の交流成分を流すためのインピーダンス
回路を備えており、信号出力端子から出力された出力信
号に基づく帰還を行なうことにより、当該出力信号を安
定させる帰還手段、を備えたことを特徴とする。
【0012】請求項2の信号増幅装置は、請求項1の信
号増幅装置において、第1の増幅手段は、1のトランジ
スタを有する1の増幅部により、または、相互に同極性
かつ同一の特性を有する当該増幅部を2以上並列に接
続することにより構成したものであり、第2の増幅手段
は、第1の増幅手段と実質的に同一の構成を有するもの
であることを特徴とする。
【0013】請求項3の信号増幅装置は、請求項1ない
し請求項2のいずれかの信号増幅装置において、前記第
1の定電流源による一定電流I01の電流値と第2の定電
流源による一定電流I02の電流値とが、同一になるよう
構成したことを特徴とする。
【0014】請求項4の信号増幅装置は、請求項1ない
し請求項3のいずれかの信号増幅装置において、前記第
3の増幅手段の増幅率と前記第4の増幅手段の増幅率と
、同一になるよう構成したことを特徴とする。
【0015】請求項5の信号増幅装置は、請求項1ない
し請求項2のいずれかの信号増幅装置において、前記第
1の定電流源による一定電流I01の電流値、第2の定電
流源による一定電流I02の電流値、前記第3の増幅手段
の増幅率、および前記第4の増幅手段の増幅率のうち、
少なくとも一つの値を調整し得るよう構成したことを特
徴とする。
【0016】請求項6の信号増幅装置は、請求項1ない
し請求項2のいずれかの信号増幅装置において、前記帰
還手段は、さらに、前記信号出力端子から出力された出
力信号に基づく帰還を行なうことにより、前記第1の定
電流源による一定電流I01の電流値と第2の定電流源に
よる一定電流I02の電流値とのうち少なくとも一方の電
流値を変化させることで、前記出力信号の直流成分値を
安定させる構成を有するものであることを特徴とするも
の。
【0017】
【発明の効果】請求項1の信号増幅装置は、信号を入力
することによりそれぞれ電流I1を出力する第1の増幅
手段および第1の増幅手段と同極性の増幅手段であって
電流I1’を出力する第2の増幅手段を用意し、第1の
増幅手段の第2の端子と第2の増幅手段の第2の端子と
に、一定電流I01を流す第1の定電流源を接続し、第2
の増幅手段の第1の端子に一定電流I02を流す第2の定
電流源を接続し、当該接続点から、一定電流I02と電流
1’との差である電流I2を流す電流路を分岐し、電流
1をさらに増幅した出力と電流I2をさらに増幅した出
力との合成出力に対応した信号を出力することを特徴と
する。
【0018】したがって、一定電流I01、一定電流
02、電流I1をさらに増幅する増幅率、および電流I2
をさらに増幅する増幅率を適当に選択することで、プッ
シュプル出力を得ることができる。また、前段の増幅部
となる第1の増幅手段と第2の増幅手段とを同極性の増
幅手段で構成している。このため、第1の増幅手段と第
2の増幅手段との特性を容易に合わせることができる。
さらに、前段の増幅部のS/N比は、同数の増幅素子を
用いた作動増幅回路に比し大きい。すなわち、簡単な構
成で低雑音のプッシュプル出力を得ることができる。
【0019】請求項2の信号増幅装置は、第1の増幅手
段および第2の増幅手段をトランジスタを用いて構成
し、第2の増幅手段と第1の増幅手段とを実質的に同一
の構成としたことを特徴とする。
【0020】したがって、第1の増幅手段および第2の
増幅手段を構成するに際し同極性のトランジスタを用意
すればよいから入手が容易である。また、第1の増幅手
段と第2の増幅手段とを実質的に同一の構成としたか
ら、入力に対する第1の増幅手段および第2の増幅手段
の出力が、ほぼ同一になる。このため、プッシュプル出
力を得ることがより容易になる。
【0021】請求項3の信号増幅装置は、第1の定電流
源による一定電流I01の電流値と第2の定電流源による
一定電流I02の電流値とが、同一になるよう構成したこ
とを特徴とする。したがって、プッシュプル出力を得る
ことがさらに容易になる。
【0022】請求項4の信号増幅装置は、第3の増幅手
段の増幅率と前記第4の増幅手段の増幅率とが、同一
なるよう構成したことを特徴とする。したがって、プッ
シュプル出力を得ることがさらに容易になる。
【0023】請求項5の信号増幅装置は、第1の定電流
源による一定電流I01の電流値、第2の定電流源による
一定電流I02の電流値、第3の増幅手段の増幅率、およ
び第4の増幅手段の増幅率のうち、少なくとも一つの値
を調整し得るよう構成したことを特徴とする。したがっ
て、いずれかの値を調整することで、出力信号の直流成
分の基準電位を所望の値に設定することができる。
【0024】請求項6の信号増幅装置は、前記帰還手段
は、さらに、信号出力端子から出力された出力信号に基
づく帰還を行なうことにより、第1の定電流源による一
定電流I01の電流値と第2の定電流源による一定電流I
02の電流値とのうち少なくとも一方の電流値を変化させ
ることで、出力信号の直流成分値を安定させる構成を有
するものであることを特徴とする。したがって、さらに
安定したプッシュプル出力を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1に、この発明の一実施形態に
よる信号増幅装置であるMCアンプ20のブロック図を
示す。MCアンプ20は、第1の増幅手段22、第2の
増幅手段24、信号入力端子26、第1の定電流源2
8、第2の定電流源30、引算部31、電流I2を流す
電流路32、第3の増幅手段34、第4の増幅手段3
6、信号出力端子38、帰還手段40を備えている。
【0026】第1の増幅手段22は、第1の端子22
a、第2の端子22b、および第1の端子22aと第2
の端子22bとの間に流れる電流I1を制御する制御端
子22cを有する。第2の増幅手段24は、第1の増幅
手段22と同極性の増幅手段であって、第1の端子24
a、第2の端子24b、および第1の端子24aと第2
の端子24bとの間に流れる電流I1’を制御する制御
端子24cを有する。
【0027】図1の実施形態においては、第1の増幅手
段22は、相互に同極性でかつほぼ同一の特性を有する
n個のトランジスタQ11〜Q1nを並列に接続したもので
ある。第2の増幅手段24は、第1の増幅手段22と実
質的に同一の構成を有する。なお、図1の実施形態にお
いては、各トランジスタがそれぞれ増幅部に該当する。
【0028】信号入力端子26は、増幅すべき信号を入
力する端子であって、第1の増幅手段22の制御端子2
2cと第2の増幅手段24の制御端子24cとに電気的
に接続されている。
【0029】第1の定電流源28は、一定電流I01を流
す電流源であって、第1の増幅手段22の第2の端子2
2bと第2の増幅手段24の第2の端子24bとに電気
的に接続されている。第2の定電流源30は、一定電流
02を流す電流源であって、第2の増幅手段24の第1
の端子24aに電気的に接続されている。
【0030】なお、図1の実施形態においては、第1の
定電流源28による一定電流I01の電流値と第2の定電
流源30による一定電流I02の電流値とが、計算上同一
になるよう構成している。このように構成することで、
回路計算が容易になる。
【0031】ただし、具体的な回路(図10参照)にお
いては、回路を構成する素子の精度のバラ付き等によ
り、一定電流I01の電流値と一定電流I02の電流値と
が、計算通りに完全に同一となることはほとんどない。
また、設計上の都合や部品調達上の都合から、上記一定
電流I01の電流値と一定電流I02の電流値とが、計算上
も、やや異なるよう構成する場合がある。しかし、結果
として、一定電流I01の電流値と一定電流I02の電流値
とが、ある程度の許容範囲内で同一となるのであればな
んら問題はなく、容易にプッシュプル出力を得ることが
できる。なお、上記許容範囲を越える場合であっても、
この発明を適用することができることは、いうまでもな
い。
【0032】電流路32は、第2の増幅手段24の第1
の端子24aと第2の定電流源30との接続点に配置さ
れた引算部31から分岐され、一定電流I02と電流
1’との差である電流I2を流す。
【0033】第3の増幅手段34は、電流I1を増幅す
る。第4の増幅手段36は、電流I2を増幅する。な
お、図1の実施形態においては、第3の増幅手段34の
増幅率と第4の増幅手段36の増幅率とが、計算上同一
になるよう構成している。このように構成することで、
回路計算が容易になる。
【0034】ただし、具体的な回路(図10参照)にお
いては、回路を構成する素子の精度のバラ付き等によ
り、第3の増幅手段34の増幅率と第4の増幅手段36
の増幅率とが、計算通りに完全に同一となることはほと
んどない。また、設計上の都合や部品調達上の都合か
ら、上記第3の増幅手段34の増幅率と第4の増幅手段
36の増幅率とが、計算上も、やや異なるよう構成する
場合がある。しかし、結果として、第3の増幅手段34
の増幅率と第4の増幅手段36の増幅率とが、ある程度
の許容範囲内で同一となるのであればなんら問題はな
く、容易にプッシュプル出力を得ることができる。な
お、上記許容範囲を越える場合であっても、この発明を
適用することができることは、いうまでもない。
【0035】信号出力端子38は、第3の増幅手段34
の増幅出力と第4の増幅手段36の増幅出力との合成出
力に対応した信号を出力する。帰還手段40は、信号出
力端子38から出力された出力信号に基づく帰還を行な
うことにより、当該出力信号を安定させる。
【0036】図2は、図1のMCアンプ20の開ループ
時の等価回路を示すブロック図である。図2に基づい
て、MCアンプ20の動作を説明する。なお、説明の便
宜のため、第1の増幅手段22および第2の増幅手段2
4は、それぞれ1個のトランジスタQ1、Q1’のみによ
り構成されているものとする。
【0037】図2において、第3の増幅手段34の入力
電圧をvC1、コンダクタンスをG1、電流利得をH1
し、第4の増幅手段36の入力電圧をvC2、コンダクタ
ンスをG2、電流利得をH2とすると、それぞれ次の関係
が成立する、 G1・vC1=H1・I1、 G2・vC2=H2・I2、 したがって、出力抵抗をRLとすると、信号出力端子3
8の出力電圧voは、次式で表わされる、 vo=(G1・vC1−G2・vC2)×RL =(H1・I1−H2・I2)×RL ・・・(1)。
【0038】まず、直流成分の処理について説明する。
電流I1、電流I1’、電流I2の直流成分を、それぞれ
1(DC)、I1(DC)’、I2(DC)とすると、 I1(DC)+I1(DC)’=I01、 I2(DC)=I02−I1(DC)’ より、 I2(DC)=I02−(I01−I1(DC)) =I02−I01+I1(DC) ・・・(2)。
【0039】出力電圧voの直流成分(出力DCバイア
ス電圧)をvo(DC)とすると、式(1)、(2)より、 vo(DC)=(H1・I1(DC)−H2・I2(DC))×RL ={(H1−H2)・I1(DC)−H2・(I02−I01)}・RL ・・・(3)。
【0040】ここで、トランジスタQ1、Q1’は同極
性で特性の揃ったトランジスタペアーであるとすると、 I1(DC)≒I1(DC)’ が成立するので、 I1(DC)≒I1(DC)’≒I01/2 となる。これと、式(3)より、 vo(DC)≒{(H1−H2)・I01/2−H2・(I02−I01)}・RL ={(H1+H2)/2・I01−H2・I02}・RL・・・(4)。
【0041】したがって、出力DCバイアス電圧v
o(DC)は、H1、H2、I01、I02、RLにより決定され
る。仮に、コンダクタンスG1、G2(すなわち増幅率H
1、H2)の対称性がよく、 H1=H2=H ・・・(5) が成り立つならば、vo(DC)=H・(I01−I02)・RL
となる。さらに、 I01=I02 ・・・(6) とすると、 vo(DC)=0 ・・・(7) すなわち、出力DCオフセットを生じなくすることがで
きる。なお、H1=H2の条件は電流帰還や調整などによ
り、実現することができる。
【0042】つぎに、交流成分の処理について説明す
る。交流信号esが入力された場合、図2のトランジス
タQ1、Q1’には、上述の直流成分I1(DC)
1(DC)’に加えて、交流成分I1(AC)、I1(AC)’が、
それぞれ流れる。なお、交流成分I1(AC)、I1(AC)
は、トランジスタQ1、Q1’の共通エミッタに接続し
た回路Zに流れる。
【0043】出力電圧voの交流成分をvo(AC)とする
と、上述の直流成分同様、 vo(AC)=(H1・I1(AC)−H2・I2(AC))×RL ・・・(8) ここで、交流信号esの有無にかかわらずI02は一定で
あるから、 I2(AC)=−I1(AC)’ ・・・(9) したがって、式(8)、(9)より、 vo(AC)=(H1・I1(AC)+H2・I1(AC)’)×RL ・・・(10)。
【0044】前述のように、トランジスタQ1、Q1’
は同極性で特性の揃ったトランジスタペアーであるとす
ると、 I1(AC)≒I1(AC)’ ・・・(11) となる。式(10)、(11)より、 vo(AC)=(H1+H2)・I1(AC)×RL ・・・(12) さらに上述の式(5)が、成立するとするば、式(1
2)は、 vo(AC)=2H・I1(AC)×RL ・・・(13) となる。
【0045】式(13)から明らかなように、図2(図
1)に示すMCアンプ20は増幅作用を有する。また、
アンプ前段の増幅方式は、通常のエミッタ接地(図12
B参照)と同じであるから、従来の差動増幅構成に比べ
て増幅素子のノイズの影響等が少なくできる。例えば、
トランジスタ2個使用する場合、図2のように構成する
と、図12Aの差動増幅構成とした場合に比し、増幅素
子の入力換算ノイズレベルにおいて6dB小さくするこ
とができる。
【0046】つぎに、前述の式(6)を実現する回路例
を、図3に示す。図3において、両トランジスタのベー
ス・エミッタ間電圧を、それぞれVBE1、VBE2とすれ
ば、 I01=(VB1−VBE1)/RE102=(VB2−VBE2)/RE2 が成立する。したがって、VB1、VB2、RE1、RE2を適
当に選択することにより 、 I01=I02 ・・・(6) を実現することができる。
【0047】つぎに、式(6)を実現する別の回路例
を、図4に示す。図4は、2つのカレントミラー回路C
M1、CM2を用いた回路である。各トランジスタのベ
ース電流を無視することができると仮定すれば、図4の
回路は式(6)を満足する。
【0048】つぎに、前述の式(5)を実現する回路例
を、図5に示す。図5において、両トランジスタのベー
ス・エミッタ間電圧を、それぞれVBE3、VBE4とし、出
力電流を、それぞれIX、IYとすれば、 IX=(RC1・I1−VBE3)/RE3Y=(RC2・I2−VBE4)/RE4 が成立する。したがって、RC1、RC2、RE3、RE4を適
当に選択することにより、 I1=I2 のとき、 IX=IY となるように設定することができる。このように設定す
ることで、 H1=H2=H ・・・(5) を実現することができる。
【0049】一方、式(7)を実現するためには、必ず
しも H1=H2 である必要はない。
【0050】H1≠H2 であっても、式(4)より、 I02=(H1+H2)/(2H2)・I01 ・・・(14) を満足するよう、I01、I02、H1、H2のいずれかを調
整することにより、 vo(DC)=0 ・・・(7) を実現することができる。
【0051】たとえば、I01、I02を調整する場合、図
3の回路では、VB1、VB2、RE1、RE2の少なくとも1
つを調整し得るよう構成すればよい。また、図4の回路
では、カレントミラー回路CM1、CM2の少なくとも
一方の電流帰還抵抗値を図6Aまたは図6Bのように可
変にすればよい。
【0052】つぎに、出力DCバイアス電圧vo(DC)
基準電圧との差を検出し、充分大きな列得で増幅し、そ
の出力でI01、I02のいずれか一方、もしくは両方をそ
れぞれ逆方向に調整するような直流帰還ループを構成す
る事で、出力DCバイアス電圧vo(DC)を基準電圧とほ
ぼ同じにすることも可能である。その基本構成を図7に
示す。
【0053】つぎに、図1における引算部31 I2=I02−I1’ は、図3の回路を用いた場合には、図8Aまたは図8B
に示す回路で実現できる。ただし、図8Bにおいては、
下記の条件が必要である、 VB3>VB2+0.6V。
【0054】また、図1における引算部31は、図4の
回路を用いた場合には、図9Aまたは図9Bに示す回路
で実現できる。ただし、図9Bにおいては、下記の条件
が必要である、 VB3>I0・re2+1.8V。
【0055】つぎに、図10に、図1のMCアンプ20
の具体的な回路の一例を示す。図10に示す回路におい
ては、第1の増幅手段22は、相互に同極性でかつほぼ
同一の特性を有する2個の電界効果型トランジスタ(F
ET)Q11、Q12を、ともに抵抗Rtを介して、並列に
接続したものである。第2の増幅手段24は、第1の増
幅手段22と実質的に同一の構成を有する。なお、図1
0においては、各トランジスタとこれに接続された各抵
抗Rtとにより、それぞれ増幅部を構成している。
【0056】また、第1の定電流源28は、トランジス
タQ2、抵抗RE1、3個の発光ダイオードLEDにより
構成されている。3個の発光ダイオードLEDを直列に
接続することにより、一定電圧VB1を実現している。し
たがって、抵抗RE1を流れる電流I01は一定となる。
【0057】図1に示す第2の定電流源30および引算
部31は、トランジスタQ3、抵抗RE2(=RE1)、3
個の発光ダイオードLEDにより構成されている。3個
の発光ダイオードLEDを直列に接続することにより、
一定電圧VB2(=VB1)を実現している。これにより、
抵抗RE2を流れる電流I02は一定となる。また、電流路
32には、 I2=I02−I1’ の電流が流れる。
【0058】第3の増幅手段34は、トランジスタ
4、抵抗RE3により構成されている。第4の増幅手段
36は、トランジスタQ5、抵抗RE4(=RE3)により
構成されている。この実施形態においては、トランジス
タQ4、Q5の出力をさらに、トランジスタQ6、Q7を用
いて増幅している。
【0059】帰還手段40(β回路)は、抵抗とコンデ
ンサとを用いて構成され、出力の直流成分および交流成
分の帰還を行なうよう構成されている。
【0060】なお、上述の実施形態においては、第1の
定電流源による一定電流I01の電流値と第2の定電流源
による一定電流I02の電流値とがほぼ同一になるよう構
成したが、第1の定電流源による一定電流I01の電流値
と第2の定電流源による一定電流I02の電流値とが異な
るよう構成することもできる。
【0061】また、上述の実施形態においては、第3の
増幅手段の増幅率と第4の増幅手段の増幅率とがほぼ同
一になるよう構成したが、第3の増幅手段の増幅率と第
4の増幅手段の増幅率とが異なるよう構成することもで
きる。
【0062】また、上述の実施形態においては、図6に
おいて、第1の定電流源による一定電流I01の電流値、
または第2の定電流源による一定電流I02の電流値を調
整し得るよう構成した場合の例を説明したが、第3の増
幅手段の増幅率、または第4の増幅手段の増幅率の値を
調整し得るよう構成することもできる。また、I01の電
流値、I02の電流値、第3の増幅手段の増幅率、第4の
増幅手段の増幅率の全ての値を調整し得るよう構成する
こともできる。
【0063】また、上述の実施形態においては、増幅手
段としてトランジスタを用いた場合を例に説明したが、
増幅手段としては、トランジスタ以外のもの、たとえば
真空管等を用いることもできる。
【0064】また、上述の実施形態においては、MCア
ンプ20の各機能を、トランジスタ、抵抗、発光ダイオ
ード、コンデンサ等を用いて実現した場合を例に説明し
たが、当該各機能の一部または全部を、CPU(中央処
理装置)等を用いて実現するよう構成することもでき
る。
【0065】なお、上述の実施形態においては、MCア
ンプを例に説明したが、この発明はMCアンプに限定さ
れるものではなく、信号増幅装置一般に適用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による信号増幅装置であ
るMCアンプ20のブロック図である。
【図2】図1のMCアンプ20の開ループ時の等価回路
を示すブロック図である。
【図3】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図4】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図5】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図6】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図7】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図8】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図9】図1のMCアンプ20の機能の一部を実現する
回路例を示す図面である。
【図10】図1のMCアンプ20の具体的な回路の一例
を示す図面である。
【図11】従来のMCアンプの回路の一例を示す図面で
ある。
【図12】従来のMCアンプの動作を説明するための図
面である。
【符号の説明】
22・・・・・第1の増幅手段 24・・・・・第2の増幅手段 24a・・・・第2の増幅手段の第1の端子 28・・・・・第1の定電流源 30・・・・・第2の定電流源 31・・・・・引算部 32・・・・・電流路 34・・・・・第3の増幅手段 36・・・・・第4の増幅手段 38・・・・・信号出力端子 40・・・・・帰還手段

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の端子、第2の端子、および第1の端
    子と第2の端子との間に流れる電流I1を制御する制御
    端子、を有する第1の増幅手段、 第1の増幅手段と同極性の増幅手段であって、第1の端
    子、第2の端子、および第1の端子と第2の端子との間
    に流れる電流I1’を制御する制御端子、を有する第2
    の増幅手段、 増幅すべき信号を入力する端子であって、第1の増幅手
    段の制御端子と第2の増幅手段の制御端子とに電気的に
    接続された信号入力端子、 一定電流I01を流す電流源であって、第1の増幅手段の
    第2の端子と第2の増幅手段の第2の端子とに電気的に
    接続された第1の定電流源、 一定電流I02を流す電流源であって、第2の増幅手段の
    第1の端子に電気的に接続された第2の定電流源、 前記第2の増幅手段の第1の端子と第2の定電流源との
    接続点から分岐され、一定電流I02と電流I1’との差
    である電流I2を流す電流路、 電流I1を増幅する第3の増幅手段、 電流I2を増幅する第4の増幅手段、 第3の増幅手段の増幅出力と第4の増幅手段の増幅出力
    との合成出力に対応した信号を出力する信号出力端子、前記信号出力端子と前記第2の増幅手段の第2の端子間
    の信号ラインとアース間に設けられた電流I と電流I
    ’の交流成分を流すためのインピーダンス回路を備え
    ており、 信号出力端子から出力された出力信号に基づく
    帰還を行なうことにより、当該出力信号を安定させる帰
    還手段、 を備えたことを特徴とする信号増幅装置。
  2. 【請求項2】請求項1の信号増幅装置において、 第1の増幅手段は、1のトランジスタを有する1の増幅
    部により、または、相互に同極性でかつ同一の特性を有
    する当該増幅部を2以上並列に接続することにより構成
    したものであり、 第2の増幅手段は、第1の増幅手段と実質的に同一の構
    成を有するものであることを特徴とするもの。
  3. 【請求項3】請求項1ないし請求項2のいずれかの信号
    増幅装置において、 前記第1の定電流源による一定電流I01の電流値と第2
    の定電流源による一定電流I02の電流値とが、同一にな
    るよう構成したことを特徴とするもの。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかの信号
    増幅装置において、 前記第3の増幅手段の増幅率と前記第4の増幅手段の増
    幅率とが、同一になるよう構成したことを特徴とするも
    の。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項2のいずれかの信号
    増幅装置において、 前記第1の定電流源による一定電流I01の電流値、第2
    の定電流源による一定電流I02の電流値、前記第3の増
    幅手段の増幅率、および前記第4の増幅手段の増幅率の
    うち、少なくとも一つの値を調整し得るよう構成したこ
    とを特徴とするもの。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項2のいずれかの信号
    増幅装置において、 前記帰還手段は、さらに、前記信号出力端子から出力さ
    れた出力信号に基づく帰還を行なうことにより、前記第
    1の定電流源による一定電流I01の電流値と第2の定電
    流源による一定電流I02の電流値とのうち少なくとも一
    方の電流値を変化させることで、前記出力信号の直流成
    分値を安定させる構成を有するものであることを特徴と
    するもの。
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