しかしながら、上記容器では、その蓋体に装飾的デザインが直接印刷等によって描かれているため、一度蓋体に施された装飾的デザインを容易に変更することができず、利用者が自分の好みに応じて装飾的デザインを変更することもできないという問題点があった。
本考案は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、蓋体の装飾効果を向上させつつ、そのうえ実用品として日常的な取り扱いも容易である装飾機能付き容器を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1の装飾機能付き容器は、食品等の被収容物を収容する容体と、その容体に取り付けられる蓋体とを備えている容器であって、前記蓋体とは別体に形成されその蓋体の上面部に着脱自在となっている台座枠と、その台座枠の上面側に覆設されその台座枠に着脱自在となっている透明カバーと、その透明カバーにより被覆され、その透明カバーと前記台座枠との間に設置され、その透明カバー越しに外部に表示される装飾が施された装飾用シートとを備え、その装飾用シートを前記台座枠及び透明カバーの間に挟み込んで固定するシート固定構造と、前記装飾用シートを装飾の異なる別の装飾用シートに交換することで装飾変更し、又は、表裏両面に異なる装飾が施された前記装飾用シートを表裏反転することで装飾変更する装飾変更手段とを備えている。
この請求項1の装飾機能付き容器によれば、台座枠が蓋体に装着され、この台座枠上に装飾用シートが設置される。また、透明カバーは装飾用シートの上から台座枠の上面側に装着される。すると、台座枠の上面側には透明カバーが覆設され、この透明カバーによって装飾用シートが被覆される。このとき、シート固定構造によって、装飾用シートは透明カバーと台座枠との間に挟み込まれて固定される。また、装飾用シートの上面に施された装飾は、透明カバーを透過し、この透明カバー越しに外部に表示される。
透明カバーは台座枠に着脱自在となっているので、この透明カバーが台座枠から取り外されることによって、シート固定構造が一時的に解除される。このとき、装飾変更手段によれば、装飾用シートが別の装飾用シートに交換されたり、又は、表裏両面に異なる装飾が施された装飾用シートの表裏反転させて表裏入れ替えられることで、透明カバー越しに外部に表示される装飾(デザイン)が容易に変更される。
なお、ここで言う「装飾用シートを別の装飾用シートに交換する」の用語の意義には、元からあった装飾用シート自体をそれとは別個の装飾用シートに交換することが含まれるとともに、この他にも、例えば、元からあった装飾用シートに施されていた装飾を作り替えて改変し、この改変後の新たな装飾が施された装飾用シートを実質的に別の装飾装飾用シートとして用いることが含まれている。
ところで、装飾用シートはシート状であれば、その素材の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、紙製でも、プラスチック製でも、木製でも、金属製でも良い。しかしながら、装飾用シートが防水性の乏しい紙製である場合には、蓋体に装飾用シートを取り付けたままでは、透明カバーと台座枠との隙間から浸透した水でインクが滲んで模様等を汚損させたり、装飾用シート自体がふやけて破損してしまうことがある。
一方、蓋体は、容体と同様に食品等の被収容物と接触して汚れ易いため、衛生上も使用後に洗浄することが好ましいものである。
そこで、本考案では、台座枠が蓋体とは別体に形成されており、装飾用シートが透明カバーと台座枠との間に挟み込まれた状態のままでも、台座枠を蓋体から取り外しさえすれば、装飾用シートの水濡れによる汚損や破損を心配することなく、蓋体を丸ごと水洗いすることができる構造となっている。
請求項2の装飾機能付き容器は、請求項1の装飾機能付き容器において、前記装飾用シートから上方に間隔を隔てて前記台座枠の上面側に覆設される透明な平板部と、その平板部の一部から前記装飾用シートへ向けて延出され前記台座枠との間で前記装飾用シートの一部を挟み込んで固定するシート固定部とを有する前記透明カバーと、その透明カバーの前記平板部と前記装飾用シートとの間に形成される空間であって、その装飾用シート上に形成される立体状の装飾物を収容可能な装飾用空間とを備えている。
この請求項2の装飾機能付き容器によれば、請求項1の装飾機能付き容器と同様に作用する上、透明カバーのシート固定部の下端と台座枠との間に装飾用シートが挟み込まれてしっかりと固定される。また、装飾用シートの上方には透明カバーの平板部が覆設され、この透明カバーの平板部と装飾用シートの上面との間には間隔が設けられる。そして、この間隔が装飾用空間として利用される。
例えば、水引、紙彫刻、デコパーツなどを用いて、装飾用シート上に立体状の装飾物が形成されたような場合には、この装飾用シート上にある立体状の装飾物は、装飾用空間内に収容された状態で、透明カバーの平板部によって被覆保護される。また、立体状の装飾物を利用することによって、装飾用シートを用いた装飾性がより一層高められる。
請求項3の装飾機能付き容器は、請求項1又は2の装飾機能付き容器において、前記台座枠は、その台座枠の上面部に凹設され前記装飾用シートが底面に敷設されて収容される収容凹部と、その収容凹部の底面に敷設される前記装飾用シートの下面から当該台座枠の下面まで貫通形成される押出孔とを備えており、当該台座枠が前記蓋体から取り外された状態において、その押出孔を通じて当該台座枠の下面側から前記装飾用シートを押し上げ可能に形成されている。
この請求項3の装飾機能付き容器によれば、請求項1又は2の装飾機能付き容器と同様に作用する上、装飾用シートは台座枠の収容凹部内に収容される。このとき、装飾用シートは収容凹部の底面に敷設される。装飾用シートを台座枠から取り外す場合は、台座枠が蓋体から取り外された後、押出孔へ指先などが差し入れて、装飾用シートがその下面側から収容凹部の外へ向けて押し上げられる。すると、装飾用シートが収容凹部から浮き上がって、収容凹部の外へ押し出され、台座枠から取り外される。
請求項4の装飾機能付き容器は、請求項3の装飾機能付き容器において、前記押出孔は、前記台座枠が前記蓋体に装着された状態にあってその蓋体とその台座枠との間に隠蔽され、かつ、その台座枠上に前記装飾用シートが設置された状態にあってその装飾用シートによって隠蔽されるものある。
請求項1の装飾機能付き容器によれば、その装飾変更手段によって、蓋体に施される装飾(デザイン)を所望のものに随時変更することができるという効果がある。特に、装飾用シートの表裏両面に異なる装飾を施した場合には、1枚の装飾用シートの表裏を入れ替えるだけで、容器の蓋体の装いを簡単に変貌させることができ、かつ、そのために必要となる操作も極めて簡易であるという効果がある。
また、装飾用シートを設置した台座枠は、蓋体の上面部に着脱自在であって蓋体とは別体に形成されるので、装飾用シートを挟み込んだ透明カバー及び台座枠を分解することなく、蓋体のみを取り外すことができる。このため、蓋体のみを取り外せば、装飾用シートを濡らして汚損や破損させることなく、汚れやすい蓋体を容体と一緒に洗浄できるので、日常的な取り扱いが極めて容易かつ便利であるという効果がある。
また、蓋体を装飾変更手段として装飾の施されたシート(薄板)である装飾用シートを用いていることから、その装飾用シートを透明カバーと台座枠との間に挟み込むという極めて簡易なシート固定構造を採用することができ、結果、透明カバー、装飾用シート及び台座枠の組立構造の高さ(厚み)を最小限に抑制することができるという効果がある。
このため、容器の蓋を、蓋体とその上に載置される台座枠とに分割した構造を採用して、台座枠なる部材を余分に設けているにも関わらず、容器の蓋が全体としてそれ程分厚くなることもなく、既存する容器及びその蓋が持つ一般的な外観を維持保全したまま、容器の蓋に対して装飾の変更機能を付与できるという効果がある。
請求項2の装飾機能付き容器によれば、請求項1の装飾機能付き容器の奏する効果に加え、装飾用シートは透明カバーによって被覆されるので、装飾用空間内にある立体状の装飾物を保護できる。このため、例えば、本考案の容器の上に他の容器を重ねて食器棚に収納するような場合でも、立体状の装飾物が潰れこともなく、立体状の装飾物が邪魔になって他の容器を重ね載せることが阻害されることもない。よって、容器自体の実用的な使い勝手を犠牲にすることなく、その装飾性能を高めることができるという効果がある。
請求項3の装飾機能付き容器によれば、請求項1又は2の装飾機能付き容器の奏する効果に加え、台座枠の下面にある押出孔は、台座枠を蓋体から取り外せば姿を現すので、この押出孔を通じて、装飾用シートをその下面側から収容凹部の外へ向けて押し上げることによって、収容凹部内に嵌め込まれて外れ難くなっている装飾用カバーを簡単に収容凹部の外へ押し出すことができるという効果がある。
例えば、収容凹部の底面形状と装飾用シートの平面形状とぴったり合致し、装飾用シートが収容凹部の底面に全体的に敷設されて、両者間に隙間が殆どないような場合にあっては、収容凹部から装飾用シートを摘み出し難く、また、台座枠を上下逆さまにしても装飾用シートが収容凹部から抜け落ち難くなるため、装飾用シートが収容凹部から非常に取り出しに難くなるからである。
請求項4の装飾機能付き容器によれば、請求項3の装飾機能付き容器の奏する効果に加え、押出孔は、台座枠が蓋体に装着された状態で蓋体と台座枠との間に隠蔽され、かつ、収容凹部の底面に敷設される装飾用シートによっても隠蔽されるので、この押出孔が容器の使用時に不格好に露出することがなく、容器全体の美観を損ねることがないという効果がある。
以下、本考案の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本考案の一実施例である装飾機能付きの重箱1に関する外観斜視図であり、図1(b)は、(a)に示す重箱1に使用される装飾用シート6単体の外観斜視図である。図(a)に示すように、重箱1は、食品等の被収容物を収容する容体2と、その容体2に着脱自在に取り付けられる蓋体3とを備えている容器である。
なお、本実施例では、本考案の装飾機能付き容器の一例として重箱1を用いて説明するが、本考案の容器を適用する対象は必ずしも重箱1に限定されるものではなく、その他にも弁当箱などに用いられる密封容器に適用しても良い。
重箱1の蓋体3の上面部には、それとは別体に形成された台座枠4が着脱自在に積み重ねられた状態で装着されている。台座枠4は、その外周縁全体に上向きに周壁部4aが垂設されており、この周壁部4aの内周部全体が収容凹部4bとなっている。
この収容凹部4bは、台座枠4の上面部全体に凹設されており、この収容凹部4bの全体には透明な樹脂材料で形成された透明カバー5が着脱自在に嵌め込まれている。透明カバー5は、収容凹部4b内に嵌り込むことによって台座枠4の上面側に覆設されており、この透明カバー5の下側には装飾用シート6が存在している。
装飾用シート6は、台座枠4の収容凹部4b内に抜き取り可能に収容されており、この収容凹部4bに収容された状態で透明カバー5と台座枠4との間に設置されている。図1(b)に示すように、この装飾用シート6は、その表面6aに文字や模様等を用いて施された装飾Aが透明カバー5を透過して外部に表示されており、この装飾Aによって重箱1の蓋体3上面部の美観は高められている。
ここで、装飾用シート6に装飾Aとして施される文字や模様等の形成方法は、特に限定されるものではなく、各種印刷方法や手書きによる方法その他現存する模様等の形成方法を使用することができる。
また、文字や模様等の装飾Aの内容は、特に一定のものに限定される訳ではなく、例えば、正月、節分、桃の節句、春分、端午の節句、七夕、お盆、秋分その他の季節を題材としたもの、入学式、卒業式、結婚式、出産祝いその他の各種慶事を題材としたもの、又は、運動会、遠足その他の年中行事やイベントを題材としたもの、その他にも各種のキャラクターや各種の広告を内容としたものなど広範に及ぶ。
図2は、重箱1を上方から斜視した分解斜視図である。図2に示すように、容体2は、その内部に被収容物が納められる空間2aが設けられた有底無蓋の箱状体であり、この空間2aの周囲四面及び底面が周壁板2b及び底板2cによって覆い囲われ、その底板2cの上方が開口となって開放されている。
蓋体3は、容体2の開口の全体を覆い塞ぐ板状に形成されており、その外周縁全体に上向きに周壁部3aが垂設されている。この蓋体3の周壁部3aの内周部には、この周壁部3aの上端面から凹んで低まった嵌合凹部3bが凹設されている。
台座枠4の周壁部4a内周にある収容凹部4bは、台座枠4の周壁部4aの上端面から凹んで一段低まった凹窩である。収容凹部4bの底部には台座枠4の底板4cが設けられており、この台座枠4の底板4c上面が収容凹部4bの底面となっている。また、この収容凹部4bの底面の中央部には、台座枠4の底板4c下面まで上下方向に貫通した押出孔4dが開口形成されている。
押出孔4dは、台座枠4を蓋体3から取り外した状態で、この押出孔4dを通じて台座枠4の下面側から装飾用シート6を直接に押し上げて、装飾用シート6を収容凹部4bの外へ押し出すために使用される。また、透明カバー5を台座枠4の収容凹部4bから押し出す場合にも、この押出孔4dが使用される。
装飾用シート6が収容凹部4b内に不在の場合には透明カバー5を直接に、又、装飾用シート6が収容凹部4b内に存在する場合には透明カバー5を装飾用シート6越しに押し上げることで、透明カバー5が収容凹部4bの外へ押し出される。
装飾用シート6は、例えば、厚紙、ボール紙、クラフト紙、板紙、プラスチック製シートなどの比較的腰の強いシート材で形成されており、それを持ち上げても自重で折れ曲がらない程度の腰の強さを有している。例えば、厚さ1mm程度の厚紙やボール紙も用いることができる。そして、この装飾用シート6の表面6aには、上記した文字や模様等を用いた装飾Aが施されている。
透明カバー5は、装飾用シート6を被覆して保護するカバーである。この透明カバー5は、当該透明カバー5が台座枠4の収容凹部4b内に嵌り込んだ際に、その収容凹部4bの開口全体に覆設される透明な平板部5aと、この平板部5aの下面から下向きに垂設(延出)されその外周縁全体に設けられる周壁部5bとを備えている。なお、この透明カバー5が収容凹部4bから取り外されることによって、装飾用シート6は収容凹部4bから取り外し可能となる。
図3は、重箱1を下方から斜視した分解斜視図である。図3に示すように、容体2には、その底板2cの四隅にL字形状の高台2dが下向き凸状にそれぞれ設けられている。このため、容体2を別の容体2の天面上又は蓋体3の上面部に載せて、当該容体2の各L字形状の高台2dを、別の容体2の開口内側の四隅、又は、蓋体3の嵌合凹部3b内の四隅に嵌め合わせることで、当該容体2を別の容体2の周壁板2b上又は蓋体3の周壁部3a上に位置決めすることもできる。
蓋体3は、その下面部の外周縁全体に当接縁面3cが形成されており、この当接縁面3cが容体2の周壁板2bの上端面に当接載置されるようになっている。また、蓋体3の下面部における外周縁の各辺中央には当接縁面3cより僅かに凹んだ指掛凹部3dが凹設されている。
このため、図1に示すように、この指掛凹部3dと容体2の側板上端面との間には僅かな隙間Gが設けられる。よって、この隙間Gに指の爪の先を差し入れて引っ掛けることができ、蓋体3を容体2から取り外し易くなる。
さらに、蓋体3の下面部であって当接縁面3cより内側部分には、容体2の開口内に嵌合可能な嵌合凸部3eが下向き凸状に設けられている。この嵌合凸部3eが容体2の開口内に嵌合されることによって、蓋体3を容体2の天面部に位置決めできる。
台座枠4は、その下面部の外周縁全体に当接縁面4eが形成されており、この当接縁面4eが蓋体3の周壁部3aの上端面に当接載置されるようになっている。また、この台座枠4の下面部であって当接縁面4eより内側部分には、蓋体3の嵌合凹部3b内に嵌合可能な環状の高台4fが下向き凸状に設けられている。この高台4fが蓋体3の嵌合凹部3b内に嵌合されることによって、台座枠4を蓋体3の上面部に位置決めできる。
さらに、この台座枠4の下面部中央には上記した押出孔4dが貫通形成されている。押出孔4dの周囲であって高台4fより内側部分には、装飾用シート6及び透明カバー5を支える台座枠4の底板4cが形成されている。
装飾用シート6の裏面6bには、上記した表面6aに施されたものとは異なる文字や模様等の装飾Bが施されている。このように装飾用シート6のシート面6a,6bの装飾A,Bが相違する場合、透明カバー5の取り外して収容凹部4bから一旦取り出すことによって、装飾用シート6を表裏反転して表裏入れ替えた後に収容凹部4b内に再収容し、透明カバー5を嵌め直すことで、透明カバー5越しに表示される装飾A,Bを容易に変更できる(装飾変更手段)。
また、図2及び図3に示すように、別の装飾用シート16には、その表面16aに装飾Cが施されており、その裏面16bに装飾Dが施されている。よって、透明カバー5の取り外して収容凹部4bから一旦取り出すことによって、装飾用シート6を別の装飾用シート16に交換して収容凹部4b内に再収容し、透明カバー5を嵌め直すことで、透明カバー5越しに表示される装飾A,Bを装飾C,Dへと容易に変更することもできる(装飾変更手段)。
また、透明カバー5の平板部5aの外周縁全体には所定厚みの周壁部5bが周設されており、この周壁部5bの下端面と平板部5aの下面との間には一定の高低差が設けられている。
図4(a)は、図1に示した重箱1についての縦断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示した透明カバー5及び装飾用シート6が装着された台座枠4を蓋体3から取り外した状態を示した縦断面図であり、図4(c)は、図4(b)に示した透明カバー5を台座枠4から取り外した状態を示した縦断面図である。
図4(a)に示すように、台座枠4の収容凹部4b内には装飾用シート6が収容されている。この装飾用シート6の上側には収容凹部4b内に嵌め込まれた透明カバー5が存在している。透明カバー5の周壁部5bは装飾用シート6へ向けて延出され、その下端面が装飾用シート6の上面外周縁に当接されている。結果、装飾用シート6は、その外周縁が透明カバー5の周壁部5bと台座枠4の底板4cとの間に挟み込まれて固定されている(シート固定構造)。
また、透明カバー5の周壁部5bの外周面に凸設される係合突起5cは、台座枠4の周壁部4aの内周面に凹設される係合凹部4gに脱着可能に係合されている。この係合によって、透明カバー5が収容凹部4bへの嵌脱方向において所定位置に位置決めされるとともに、透明カバー5が台座枠4に対して固定されている。そして、透明カバー5が台座枠4に対して固定されることで、装飾用シート6の挟み込み固定がロックされている。
なお、上記とは逆に、透明カバー5の周壁部5bの外周面に係合凹部4gを凹設し、台座枠4の周壁部4aの内周面に係合突起5cを凸設するようにしても良い。
また、このとき、透明カバー5の平板部5aの上面と台座枠4の周壁部4aの上端面とは面一となる。このため、透明カバー5と台座枠4との間に装飾用シート6を挟み込んだ状態で透明カバー5が台座枠4から不格好に飛び出すこともなく、全体としてまとまりの良い美観を作り出せる。
押出孔4dは、台座枠4が蓋体3に装着された状態であれば、蓋体3によって隠蔽される(図1参照。)。したがって、蓋体3の上面部に台座枠4を装着することによって、押出孔4dから装飾用シート6の下面側の模様が覗き見えることもなく、装飾用シート6の下面側にくる装飾A又は装飾Bが押出孔4dを通して容体2内にある被収容物との接触するなどして汚損することもない。
また、装飾用シート6は、収容凹部4bの底面全体に敷設される。このため、面積スペースの限られた収容凹部4bの底面全体を最大限に活用して装飾A,Bを施すことができる。しかも、装飾用シート6が収容凹部4bの底面全体を覆うので、収容凹部4bの底面の中央部に開口した押出孔4dを、装飾用シート6によって隠蔽することができる。よって、収容凹部4bの底面に押出孔4dが開口形成されていても、その存在が透明カバー5越しに露呈されることもなく、重箱1の美観を損なわずに済む。
図4(b)に示すように、台座枠4が蓋体3から取り外された状態にあって、押出孔4dは、台座枠4の下面側から装飾用シート6の下面側まで貫通した形態となる。このため、この押出孔4dから装飾用シート6の下面側へ指先などを挿入して、図4(c)に示すように、この装飾用シート6を収容凹部4bの上方へ向けて押し上げることができる。すると、この押し上げ力によって係合突起5cと係合凹部4gとの係合状態が解除され、透明カバー5及び装飾用シート6を台座枠4の収容凹部4bから抜き外される。
また、図4(b)に示すように、透明カバー5の周壁部5bは、透明カバー5の平板部5aから収容凹部4bの底面へ向けて下向きに垂設されている。そして、この周壁部5bの高さ分(例えば、5mm程度)の隙間が、透明カバー5の平板部5aと装飾用シート6の上面との間に設けられる。この隙間は、装飾用シート6上に形成される立体状の装飾物E(図4(b)中の2点鎖線)を収容するための装飾用空間7である。
図5は、上面に立体状の装飾物Eを形成した装飾用シート6を用いた重箱1を部分的に断面視した斜視図である。図5に示すように、装飾用空間7の高さ以下であれば、装飾用シート6の上面に立体状の装飾物Eを形成し、これを透明カバー5越しに見せることで重箱1を装飾することができる。
ここで、立体状の装飾物Eには、例えば、伝統的な水引をはじめ、デコレーションパーツやシール等の現代的な装飾具、その種類は多種多様なものがある。ところが、水引については僅かな力で型くずれし易く、いわゆるデコレーションパーツは個々のパーツが接着不良等の原因により紛失し易い。したがって、これらの立体状の装飾物Eは、重箱1や弁当箱などの容器の外面に直接取り付けて使用するには不向きである。
もっとも、本実施例の重箱1であれば、水引やデコレーションパーツを用いた立体状の装飾物Eであっても、透明カバー5で覆われた装飾用空間7内にディスプレイすることができるので、水引の型くずれやデコレーションパーツの紛失等を気にすることなく、重箱1を装飾することができる。
次に、図6から図9を参照して、上記した実施例の変形例について説明する。図6から図9において、図6(a)から図9(a)は、第1から第4変形例の重箱20,30,40,50を部分的に断面視した斜視図であって台座枠、透明カバー及び装飾用シートの組立構造を図示したものであり、図6(b)から図9(b)は、図6(a)から図9(a)に示した組立構造の分解斜視図である。以下、上記実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
図6から図9に示している各変形例の重箱20,30,40,50は、上記実施例に対し、台座枠及び透明カバーによって装飾用シートを挟み込み固定するシート固定構造の具体的態様を変更したものであり、この変更に応じて透明カバー及び台座枠の形態にも必要な変更が施されている。
図6に示すように、第1変形例の重箱20によれば、透明カバー25には、その平板部25a下面の外周縁全体に外周壁部25bが下向きに垂設され、かつ、この外周壁部25bから内周側に一定の間隔を隔てて平板部25a下面の周囲全体に内周壁部25cが下向きに垂設されている。
また、台座枠24の上面側にはその外周縁全体に当接縁面24aが形成されており、この当接縁面24aは透明カバー25の外周壁部25bの下端面に当接している。また、台座枠24の上面側の周囲全体には当接縁面24aよりも内側に周壁部24bが上向きに垂設されている。この台座枠24の周壁部24bは、上記した透明カバー25の外周壁部25b及び内周壁部25cの間に嵌め込まれており、この嵌め込みによって透明カバー25が台座枠24に対し固定されている。
また、透明カバー25の内周壁部25cは、台座枠24の収容凹部24cに収容される装飾用シート6へ向けて延出されている。この透明カバー25の内周壁部25cの下端面は、装飾用シート6の上面外周縁に当接されており、この結果、装飾用シート6の外周縁が透明カバー25の内周壁部25cと台座枠24の底板24dとの間に挟み込まれて固定されている(シート固定構造)。
なお、上記実施例のように透明カバー25を台座枠24に固定するため、透明カバー25の外周壁部25bの内周面若しくは内周壁部25cの外周面に係合突起5c又は係合凹部4gの一方を設けるとともに、台座枠24の周壁部24bの外周面若しくは内周面に係合突起5c又は係合凹部4gの他方を設けるようにしても良いが、図6では、これら係合突起5c及び係合凹部4gの図示を便宜上省略している。
図7に示すように、第2変形例の重箱30によれば、透明カバー35の下面側には、その外周縁全体に周壁部35aが下向きに垂設されており、この周壁部35aの内周沿いに一定の幅をもった断面視逆凹字形の嵌合溝35bが周回して凹設されている。また、透明カバー35の下面側は、嵌合溝35bより内周側にある部分の全体が装飾用シート6に当接して押止するシート固定部35cとなっている。装飾用シート6は、この透明カバー35のシート固定部35cの下端面と台座枠24の底板24dとの間に挟み込まれることによって固定されている(シート固定構造)。
台座枠24は、上記した第1変形例のものと同形態をしている。この台座枠24はその上面側に当接縁面24aと周壁部24bと収容凹部24cとが設けられており、その当接縁面24aには透明カバー35の周壁部35aの下端面が当接されている。また、透明カバー35の嵌合溝35b内に台座枠24の周壁部24bが嵌め込まれ、透明カバー35のシート固定部35cが台座枠24の収容凹部24c内に嵌め込まれることによって、透明カバー35は台座枠24に対し固定されている。
なお、上記実施例のように透明カバー35を台座枠24に固定するため、透明カバー35の周壁部35aの内周面若しくはシート固定部35cの外周面に係合突起5c又は係合凹部4gの一方を設けるとともに、台座枠24の周壁部24bの外周面若しくは内周面に係合突起5c又は係合凹部4gの他方を設けるようにしても良いが、図7では、これら係合突起5c及び係合凹部4gの図示を便宜上省略している。
図8に示すように、第3変形例の重箱40によれば、透明カバー45は厚板状に形成されており、透明カバー45全体が台座枠4の収容凹部4b内に嵌め込まれている。この収容凹部4bへの嵌め込みによって透明カバー45が台座枠4に固定されており、この透明カバー45の全体が装飾用シート6に当接して押止する固定手段となっている。
このように装飾用シート6は、透明カバー45全体と台座枠4の底板4cとの間に挟み込まれることによって固定されている(シート固定構造)。また、台座枠4は、上記実施例と同一形態をしており、透明カバー45の上面は、装飾用シート6の上に載置された状態で台座枠4の周壁部4aの上端面と面一となっている。
なお、上記実施例のように透明カバー45を台座枠4に固定するため、透明カバー45の外周面に係合突起5c又は係合凹部4gの一方を設けるとともに、台座枠4の周壁部4aの内周面に係合突起5c又は係合凹部4gの他方を設けるようにしても良いが、図8では、これら係合突起5c及び係合凹部4gの図示を便宜上省略している。
図9に示すように、第4変形例の重箱50によれば、透明カバー5は、上記した実施例のものと同形態をしている。よって、この透明カバー5は、台座枠54の上面側に覆設される平板部5aと、その平板部5a下面の外周縁全体に下向きに周設される周壁部5bとを備えている。一方、台座枠54の上面側の外周縁全体には、透明カバー5の周壁部5bの下端面と当接する当接縁面54aが形成されており、この当接縁面54aより内周側には当接縁面54aより一段高い平坦状のシート設置部54bが形成されている。
この台座枠54のシート設置部54bの上面にはその全体に装飾用シート6が設置されており、装飾用シート6は、透明カバー5の平板部5aの下面と台座枠54のシート設置部54bとの間に挟み込まれることによって固定されている(シート固定構造)。また、台座枠54は、そのシート設置部54bが透明カバー5の周壁部5bの内周に嵌り込み可能に形成されており、この嵌り込みによって、透明カバー5は台座枠54に対して固定されている。
なお、上記実施例のように透明カバー5を台座枠54に固定するため、透明カバー5の周壁部5bの内周面に係合突起5c又は係合凹部4gの一方を設けるとともに、台座枠54のシート設置部54bの外周面に係合突起5c又は係合凹部4gの他方を設けるようにしても良いが、図9では、これら係合突起5c及び係合凹部4gの図示を便宜上省略している。
図10は、上記した実施例の第5変形例である重箱60を部分的に断面視した斜視図である。以下、上記実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
図10に示すように、第5変形例の重箱60によれば、上記実施例のように係合突起5c及び係合凹部4gによって透明カバー5を台座枠4に固定するのではなく、透明カバー5の四隅を台座枠4にネジ止めするようにしている。この場合、透明カバー5及び装飾用シート6の四隅にはネジ68の軸部を貫通させる通孔65a,66aを穿設するとともに、台座枠4の収容凹部4bの四隅には、ネジ68の軸部が螺合される雌ネジ穴64aが凹設されている。
以上、実施例に基づき本考案を説明したが、本考案は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例及びその変形例では、重箱1,20,30,40,50,60の形状が方形状であったが、かかる形状は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、円柱状や他の多角柱状であっても良い。また、本実施例の装飾用シート6は、その表面6aと裏面6bとにそれぞれ異なる装飾A,Bが施されていたが、例えば、両面の装飾をそれぞれ同一のものとしても良い。