JP3169805B2 - 和種雌牛の肥育方法 - Google Patents
和種雌牛の肥育方法Info
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たは純粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以上である交
雑種の和種牛のいずれかの雌牛の肥育方法、および前記
肥育方法により得られた和種雌牛に関する。
種、乳肉兼用種、役用種などに分類される。肉用種の代
表例としては、アバディーン・アンガス種、ヘレフォー
ド種、ショートホーン種、シャロレー種、リムジン種、
黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種などが挙げ
られる。それらの肉用種のうちでも、和種(和牛)、特
に黒毛和種(Japanese Black)は、肉の部分に脂肪が微
細に交雑した霜降り状の良好な肉質を有していて、柔ら
かくて、あまみやうま味があるところから、日本人の嗜
好に合っており、日本の消費者に好まれている。
優れた形質を持っているものの、日本人の嗜好に一層合
った、肉質のより良好な付加価値の高い和種肉用牛を育
てるには、例えば松坂牛にみるように、その肥育時に、
飼料の種類や給与方法、その他多くの点で1頭ごとに細
心の注意や管理を行って肥育する必要があり、畜産業者
にとって大きな負担を強いられている。しかも、和種肉
用牛は、肥育時に個体間で大きな差が生じやすく斉一性
に欠け、その上、体重増加が和種以外の牛に比べて低く
生産性に劣っており、そのため個体間の差の少ない品質
の揃った和種肉用牛を、集団肥育によって高い生産性で
効率よく製造することが困難であり、これが和種肉用牛
の飼育コストの上昇の一因にもなっている。
善や集団肥育(群飼)の際の怪我などのトラブルをなく
す目的で去勢が一般的に行われている。 また、雌牛の場合は、発情による食下量の低下や乗駕に
よる事故などが発生し易く、群飼が困難であることが従
来から知られており、そのため、米国のフィードロット
での群飼肥育では、事故や妊娠防止の目的で雌牛の卵巣
を摘出することが試みられている[“JOURNAL OF ANIMA
L SCIENCE”Vol.60,No.2,p358−362(1985) および
“J.Anim.Sci.”1990.68:p1469−1475,p3079−3
085]。そして、米国のフィードロットでの群飼肥育に
関する上記の文献には、卵巣の摘出によって事故や妊娠
が防止できて雌牛の群飼が可能になることが報告されて
いるものの、その一方で、卵巣を摘出して肥育を行って
も、体重増加が得られないことが報告されている。しか
も、この文献には、卵巣の摘出による雌牛の肉質への影
響などに関しては何ら説明がなされていない。
37頁(1990年5月)には、「乳用雌牛(すなわちホ
ルスタインなどの和種でない雌牛)の集団肥育を行って
いる農場で卵巣を摘出して肥育を行ったところ、卵巣を
摘出して肥育した雌牛群の方が卵巣を摘出しないで肥育
した雌牛群に比べて増体重の増加傾向があり、肥育日数
が短縮された」という内容の報告がなされている。しか
しながら、この文献には、そのような報告と同時に、
「卵巣を摘出した乳用雌牛群と卵巣を摘出しない乳用雌
牛群とで、その肉質などの点で脂肪交雑等級などではほ
とんど差がみられなかった」という内容(すなわち卵巣
の摘出が肉質の向上に寄与しないこと)の記載がある。
は、ホルスタイン種の乳用雌牛(和種でない雌牛)の卵
巣を摘出して集団肥育を行うことが記載されているが、
この公報には、卵巣摘出群の雌牛の増体重が卵巣未摘出
群の雌牛の増体重に比べて多少大きいことが記載されて
いるにとどまり、卵巣の摘出によって肉質が向上するこ
とは何ら記載も示唆もされていない。そして、ホルスタ
イン種の乳用雌牛の卵巣摘出を行っているだけであり、
卵巣の摘出が和種雌牛にどのような影響を与えるかにつ
いては一切開示がない。
好に一層合った改善された肉質を有する高品質の和種肉
用牛を、集団肥育などによって個体間の品質や体重など
のばらつきなどを少なくしながら、高い生産性で効率よ
く生産することができて、消費者に経済的な価格で美味
しい和種牛肉を提供することのできる和種雌牛の肥育方
法が従来から強く求められているが、適当な方法が知ら
れていなかったというのが現状である。
は、従来の純粋種の和種雌牛よりも日本人の嗜好により
合った一層良好な改善された肉質を有していて、高品質
の付加価値の高い和種雌牛を生産することのできる肥育
方法を提供することである。また、本発明の第2の目的
は、上記した肉質の改善された和種雌牛を、個体間の差
を少なく保ちながら、集団肥育などによって生産性よく
得ることのできる和種雌牛の肥育方法を提供することで
ある。
的を達成すべく和種雌牛の肥育方法について種々検討を
重ねてきた。その結果、純粋種の和種牛または純粋種の
和種牛の遺伝子比率が50%以上である交雑種の和種牛
のいずれかの雌牛の卵巣を摘出して肥育を行うと、肉質
の一層改善された雌牛が集団肥育などによって効率よく
生産できること、そして雌牛の個体間の体重差や肉質差
などがより小さく品質が揃っていること、しかも体重増
加が大きくて短縮された肥育期間で生産性よく肥育でき
ることを見出した。そして、本発明者らによるかかる知
見、特に肉質の改善された和種雌牛を個体差を少なく保
って肥育できる点は、前記した従来既知の文献からは、
全く予想外のことである。
たは純粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以上である交
雑種の和種牛のいずれかの雌牛の卵巣を摘出して肥育す
ることを特徴とする和種雌牛の肥育方法である。そし
て、本発明は、上記の方法で肥育された和種雌牛であ
る。
する。本発明の肥育方法は、純粋種の和種牛または純粋
種の和種牛の遺伝子比率が50%以上である交雑種の和
種牛のいずれかの雌牛に対して行われる。ところで、本
明細書中で、単に「和種牛」という場合は、純粋種の和
種牛、および純粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以上
である交雑種の和種牛の両方を包含し、また単に「和種
雌牛」という場合は純粋種の和種牛の雌牛、および純粋
種の和種牛の遺伝子比率が50%以上である和種牛の雌
牛の両方を包含する。
ては、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種および無角和種
のいずれかを意味し、また純粋種の和種牛の遺伝子比率
が50%以上である交雑種の和種牛としては、前記した
純粋種の和種牛のうちの1種または2種以上に由来する
遺伝子比率が50%以上である交雑種の和種牛を意味す
る。
方法を行うのに用いる、純粋種の和種牛の遺伝子比率が
50%以上である交雑種の和種牛の雌牛の代表例として
は、 純粋種の和種牛と他の種の牛から得られる、純粋種
の和種牛の遺伝子比率が50%である交雑種の和種牛
(雑種第1代;F1)の雌牛; 純粋種の和種牛と上記したの交雑種の和種牛(雑
種第1代;F1)から得られる、純粋種の和種牛の遺伝
子比率が75%である交雑種の和種牛(雑種第2代;F
2)の雌牛;などを挙げることができる。 なお、上記において純粋種の和種牛の遺伝子比率が7
5%である交雑種の和種牛(雑種第2代;F2)を得る
に当たっては、親牛として用いる純粋種の和種牛の品種
が、雑種第1代(F1)の交雑種の和種牛(上記の交
雑種の和種牛)を得るのに用いられた和種牛の品種と、
同じであっても(いわゆる「戻し交配」)、または異な
る品種であってもよい。そして、前記したおよびの
交雑種の和種牛の雌牛を得るに当たっては、通常の交
配、人工授精、または雌牛の卵巣より取り出した卵子へ
の人工的な受精(いわゆる体外受精)等のいずれによっ
て行われたものであってもよい。
育方法は、純粋種の黒毛和種牛の雌牛、または純粋種の
黒毛和種牛の遺伝子比率が50%以上である交雑種の和
種牛の雌牛に対して特に有効であって、肉質が一層改善
されたそれらの黒毛和種牛の雌牛を、個体間の差を低く
保ちつつ、大きな増体重を達成しながら、集団肥育など
によって生産性よく得ることができる。
和種雌牛は、子牛を産む前の未経産雌牛であっても、ま
たは子牛を産んだことのある経産雌牛であってもよい。
卵巣の摘出時期は特に制限されず、肥育の前または肥育
期間の途中に行うことができるが、卵巣の摘出によって
和種雌牛の成長が阻害されないようにし、しかも卵巣摘
出による肥育効果を充分に発揮させるためには、生後約
6ケ月令〜約18ケ月令の間に行うのが好ましく、約8
ケ月令〜約14ケ月令の間に行うのが特に好ましい。
体(母体)に大きなダメージを与えたり、その成長の妨
げにならない方法であればいずれでもよく特に制限され
ない。特に、卵巣の摘出に当たって、卵巣摘出具とし
て、卵巣と子宮をつなぐ血管などの生体連結管類を一時
的に締め付けて卵巣への血管を挫滅させたままの状態
で、卵巣組織部を切断して卵巣を摘出することができ、
場合によって卵巣切除後に薬液を腹腔内などへ投与する
ことのできる卵巣摘出具を使用するのが特に好ましく、
したがって、本発明はかかる卵巣摘出具を使用して和種
雌牛の卵巣を摘出して肥育する方法をその好ましい態様
として包含する。
は、本出願人が先に出願した特願平6−218367号
の卵巣摘出具などが好ましく用いられる。該特願平6−
218367号の明細書および図面に記載されている卵
巣摘出具は、先端が開口し且つ側面に開口を持つ外管;
先端に旋孔具を有し且つ前記外管と同形の開口を側面に
持つ前記外管の内部に摺動自在に挿入された内管;およ
び前記内管の摺動によって連通孔が閉孔したときに内管
の内部で摺動されて卵巣外組織部を切断する前記内管の
内部に摺動自在に挿入された卵巣切除具を備えている。
より具体的には、上記した卵巣摘出具は、図1に示すよ
うに、先端に開口部11を有し且つ側面に卵巣採取口1
2および支持ハンドル13を有する外管10;先端に膣
壁穿孔具21を固定し、該膣壁穿孔具21の後部に卵巣
収容部22を有し、側面に卵巣採取口23と血管挫滅作
業用ハンドル24を有し且つ前記外管10の支持ハンド
ル13よりも後方に膣壁穿孔作業用ハンドル25を固定
した内管20;並びに先端に卵巣切除刃物31を固定し
且つ前記内管20から後方に突出した後端に卵巣切除押
圧板32を取り付けてある卵巣切除管30;を備え、更
に好ましくは卵巣切除後に薬液を腹腔内などへ投与する
ことのできる手段(薬液注入口34および薬液流出口3
5)を有していて、そして、前記支持ハンドル13と前
記膣壁穿孔作業用ハンドル25との間隔および前記支持
ハンドル13と前記血管挫滅作業用ハンドル24との間
隔がそれぞれ片手の親指とその他の指との間で把持でき
る距離に設定してあるという構造上の特徴を有してい
る。
摘出を行うに当たっては、支持ハンドル13と膣壁穿孔
作業用ハンドル25とを片手の指で把持して接近させる
ことにより、内管20の先端の膣壁穿孔具21が外管1
0の先端開口部11から突出して膣壁を穿孔し、その孔
から卵巣摘出具を腹腔内に突出させ、外管10と内管2
0の卵巣採取口12,23を腹腔内に入れ、支持ハンド
ル13と血管挫滅作業用ハンドル24との間隔を片手の
指で把持して接近させることにより、内管20が外管1
0内を摺動して外管10の卵巣採取口12と内管20の
卵巣採取口23とが相対的に移動し、両方の卵巣採取口
12,23の連通孔が徐々に閉孔して、内管20の中に
収納された卵巣に接続している血管などの卵巣外組織部
を両方の巣採取口12,23の縁部で締め付けて、卵巣
への血管を挫滅させ、その状態で卵巣切除押圧板32を
手術者の腹部などにあてて押圧することにより卵巣切除
具30が内管20内を前進し、卵巣への血管を押さえた
まま、卵巣切除刃物31を前進させて、卵巣組織部を切
断して卵巣を摘出する。そのより詳細な構造および操作
方法などについては、前記した特願平6−218367
号の明細書および図面に記載されている。
した上記特願平6−218367号におけるような卵巣
摘出具を用いて和種雌牛の卵巣の摘出を行った場合に
は、切断装置(切断刃)を回転させて生体組織を卵巣の
付近で切断して卵巣を切除するようになっている、前記
した「家畜診療」第323号 第34〜37頁(199
0年5月)に記載の方法で用いている従来の卵巣摘出具
(KIMBERLING−RAUPP SPAY)並び
に前記した特開平3−247331号公報に記載されて
いる従来の卵巣摘出具を用いた場合に比べて、 (i) 卵巣の摘出が短時間ですみ、しかも卵巣の摘出
作業中に生体組織の損傷が少なく、出血や痛みが少ない
ので、雌牛に対してストレスがかからず、その肉質およ
び増体重が一層良好になる; (ii) 卵巣の摘出を簡単に且つ確実に行うことができ
ることにより、卵巣の摘出時の失敗がなく完全に卵巣を
摘出することができ、卵巣の不完全摘出(摘出失敗)に
伴う雌牛の発情による乗駕などが生じず、その肉質や増
体重が一層良好なる; という極めて優れた効果が奏される。
よび摘出した後の和種雌牛の肥育を1頭ずつ隔離して行
っても(単独飼肥育)よいが、本発明の目的を充分に達
成するためには、卵巣を摘出した後の和種雌牛のみを数
頭〜数十頭まとめて柵などで囲って集団で肥育する(群
飼)のが好ましい。そして群飼を行う場合は、純粋種の
和種雌牛のみをまとめて肥育しても、純粋種の和種牛の
遺伝子比率が50%以上である交雑種の和種牛の雌牛の
みをまとめて肥育しても、または純粋種の和種雌牛と純
粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以上である交雑種の
和種牛の雌牛とを一緒にして肥育してもよい。特に本発
明による場合は、群飼を行っても発情による他の牛への
乗駕等の心配がなくなり、そのため事故やストレスなど
が少なくなって群飼に適した状態となるので、生産性が
向上する。
肥育に用いる飼料などは、和種雌牛に対して従来から行
われている公知の肥育方法、飼料のいずれもが使用でき
る。そして、本発明の方法で肥育した和種雌牛は、従来
法で肥育した和種雌牛と同様にして出荷することができ
るが、本発明の方法による場合は、従来よりも増体重が
大きく、短期間で従来と同様の体重にまで肥育すること
ができるので、場合によっては、従来よりも早めに肉牛
として出荷してもよい。
明するが、本発明は以下の例により何ら制限されない。
体重507kg)の左右の卵巣を前記した図1に示す卵
巣摘出具を用いて摘出した後、黒毛和種雌牛の肥育で用
いる通常の飼料を給与して、卵巣摘出後185日間に亙
って肥育を行って出荷した(出荷時の雌牛の年齢88ケ
月令、体重632kg)。肥育期間中の1日当たりの平
均増体重を求めたところ、下記の表6に示すように0.
68kgであった。 (2) 出荷した上記の黒毛和種牛の経産雌牛につい
て、その枝肉の重量を下記のようにして測定すると共
に、枝肉の歩留等級並びに肉質等級の判定を、「新しい
牛枝肉取引規格」(昭和63年4月 社団法人 日本食肉
格付協会発行)に記載されている方法にしたがって、下
記のようにして行ったところ、下記の表6に示すとおり
の結果であった。
皮、頭部切断、内臓割去、前肢切断、後肢切断、尾切
断、枝肉の切断)して得られた枝肉の重量をそのまま測
定する。
規格」に記載されている方法にしたがって、左半丸枝肉
を第6〜第7肋骨間で切開し、切開面における胸最長筋
(ロース芯)面積(cm2)、ばらの厚さ(cm)、皮
下脂肪の厚さ(cm)および半丸枝肉重量(冷屠体重
量)(kg)の4項目の数値を、下記の数式に入れて計
算して、歩留基準値を求め、下記の表1に示す歩留等級
の区分に基づいて等級付けを行う。
筋面積(cm2)]+[0.667×「ばら」の厚さ(c
m)]−[0.025×冷屠体重量(半丸枝肉)(k
g)]−[0.896×皮下脂肪の厚さ(cm)]+
2.049
7肋骨間で平直に切開して、その切開部分の肉における
『脂肪交雑』、『肉の色沢』、『肉の締まり及びきめ』
並びに『脂肪の色沢と質』の4項目のそれぞれについて
下記のようにして5段階評価(等級付け)を行った後、
それらの結果から下記のようにして肉質等級の判定を行
う。
果、脂肪交雑評価基準の「1-〜1」の範囲に頭数が最
も多く分布し、と畜頭数の約40%を占めることとなる
ため、「1-〜1」を等級「3」として定め、これを中
心に正規分布するようにして、下記の表2に示すように
全体を5区分し、これと脂肪交雑の連続的変化を示す1
2個の基準[ビーフ・マーブリング・スタンダード(以
下「B.M.S」と略称する)]とにより、下記の表2
に記載した等級区分に基づいて『脂肪交雑』の等級付け
を行う。
(以下「B.C.S.」と略称する)で、光沢は、肉眼
で判定して下記の表3に記載した等級区分に基づいて
『肉の色沢』の等級付けを行う。
きめを判定して、下記の表4に記載した等級区分に基づ
いて『肉のしまり及びきめ』の等級付けを行う。
脂肪色基準(以下「B.F.S.」と略称する)によ
り、脂肪の光沢と質は肉眼で判定して、下記の表5に記
載した等級区分に基づいて『脂肪の色沢と質』の等級付
けを行う。
雑』、『肉の色沢』、『肉の締まり及びきめ』並びに
『脂肪の色沢と質』の各項目の等級付けの結果に基づい
て、判定項目のすべてが該当する等級の条件を満たして
いる等級(最も低い等級)に格付けする。例えば、『脂
肪交雑』の等級が4、『肉の色沢』の等級が4、『肉の
締まり及びきめ』の等級が3で、『脂肪の色沢と質』の
等級が4の場合には、肉質の等級を、それらのうちで最
も低い等級である等級「3」に格付けする。
体重398kg)を、卵巣を摘出することなく実施例1
で使用したのと同じ飼料を給与して216日間に亙って
肥育を行って、出荷した(出荷時の雌牛の年齢104ケ
月令、体重491kg)。肥育期間中の1日当たりの平
均増体重を求めたところ、下記の表6に示すように0.
43kgであった。 (2) 出荷した上記の黒毛和種牛の経産雌牛につい
て、枝肉の重量の測定、枝肉の歩留基準値の算出、およ
び枝肉の歩留等級と肉質等級の判定を、実施例1におけ
るのと同様にして行ったところ、下記の表6に示すとお
りであった。
体重377kg)を、卵巣を摘出することなく実施例1
で用いたのと同じ飼料を給与して232日間に亙って肥
育を行って、出荷した(出荷時の雌牛の年齢79ケ月
令、体重520kg)。肥育期間中の1日当たりの平均
増体重を求めたところ、下記の表6に示すように0.6
2kgであった。 (2) 出荷した上記の黒毛和種牛の経産雌牛につい
て、枝肉の重量の測定、枝肉の歩留基準値の算出、およ
び枝肉の歩留等級と肉質等級の判定を、実施例1におけ
るのと同様にして行ったところ、下記の表6に示すとお
りであった。
体重364kg)を、卵巣を摘出することなく実施例1
で用いたのと同じ飼料を給与して232日間に亙って肥
育を行って、出荷した(出荷時の雌牛の年齢75ケ月
令、体重495kg)。肥育期間中の1日当たりの平均
増体重を求めたところ、下記の表6に示すように0.5
6kgであった。 (2) 出荷した上記の黒毛和種牛の経産雌牛につい
て、枝肉の重量の測定、枝肉の歩留基準値の算出、およ
び枝肉の歩留等級と肉質等級の判定を、実施例1におけ
るのと同様にして行ったところ、下記の表6に示すとお
りであった。
枝肉重量、胸最長筋面積に比べてかなり厚く、「もも」
の厚みに欠け、且つ「まえ」と「もも」の釣り合いが著
しく欠けているので、前記した「新しい牛枝肉取引規
格」に基づいて歩留等級をBと判定した。
育を行った実施例1の場合には、卵巣を摘出せずにその
まま肥育した比較例1〜3の場合に比べて、肉質が良好
であって、しかも肥育時の増体重(1日当たりの平均増
体重)が大きく、且つ枝肉歩留の高い、高品質の商品価
値の高い黒毛和種雌牛を、より短い肥育期間で効率よく
生産できることがわかる。
牛27頭を準備した(約12ケ月令;平均体重272k
g)。 (2) 上記(1)で準備した雌牛27頭を、卵巣摘出
区14頭(7頭ずつ2群に分けて群飼)および卵巣未摘
出区13頭(7頭と6頭の2群に分けて群飼)に分け
た。 (3) 上記(2)における卵巣摘出区のそれぞれの雌
牛に対しては、前記した図1で示した卵巣摘出具を使用
して、左右の卵巣の摘出手術を行った(実施例2)。
巣未摘出区(比較例4)の雌牛に対して、黒毛和種雌牛
の肥育で用いる通常の飼料を同様に給与して、卵巣摘出
日を0日として、その後161日間に亙って肥育を行っ
た。そして、卵巣摘出日(0日目)、48日目、94日
目、161日目に、各区の雌牛の体重を1頭ごとに測定
して、各区の黒毛和種雌牛の平均体重を求めると共に、
0日目〜48日目、48日目〜94日目および94日目
〜161日目のそれぞれの肥育期間における平均増体重
および1日当たりの平均増体重を求めたところ、下記の
表7に示すとおりであった。 (5) また、上記した卵巣摘出後0日目〜161日目
の肥育期間における各区の個体間の体重のばらつき度合
(体重の変動係数の推移)を下記の方法により測定し
て、その推移をグラフにしたところ、図2に示すとおり
であった。
法: (1) 卵巣摘出区の14頭の黒毛和種雌牛について、
卵巣摘出後0日目におけるそれぞれの雌牛の体重を測定
して、14頭の平均体重を求めた。次いで、下記の数式
により、卵巣摘出後0日目(卵巣摘出直後)における試
料(供試牛)の体重の標準偏差を求め、下記の数式によ
り卵巣摘出後0日目における体重の変動係数を算出して
それを図2のグラフにプロットした。 (2) 卵巣摘出後48日目、94日目および161日
目についても上記(1)と同様にして体重の変動係数を
算出して図2のグラフにプロットした。 (3) 卵巣未摘出区の13頭の黒毛和種雌牛について
も、上記(1)および(2)で述べたのと同様にして、体重
の変動係数を算出して、それぞれの値を図2のグラフに
プロットした。
を行った実施例2の卵巣摘出区では、卵巣の摘出を行わ
ないで群飼肥育を行った卵巣未摘出区(比較例4)に比
べて、個体間の体重差が小さく、体重の揃った均斉度の
高い黒毛和種牛の雌牛を群飼肥育によって効率よく生産
できることがわかる。また、上記の表7の結果からは、
卵巣を摘出して黒毛和種牛の雌牛の肥育を行った実施例
2の場合には、肥育時の増体重が大きく、肥育が促進さ
れることがわかる。
牛10頭(約12ケ月令;平均体重266kg)を準備
し、これを卵巣摘出区(発明区)5頭(個体記号;
a1,a2,a3,a4,a5)および卵巣未摘出区(対照
区)5頭(個体記号;b1,b2,b3,b4,b5)に分
けた。 (2) 上記(1)で分けた卵巣摘出区の黒毛和種牛の
5頭の未経産雌牛(個体記号;a1,a2,a3,a4,a
5)に対しては、前記した図1で示した卵巣摘出具を用
いて左右の卵巣の摘出手術を行った。 (3) 次いで、卵巣摘出区の5頭の未経産雌牛(個体
記号;a1,a2,a3,a4,a5)と、卵巣未摘出区の
5頭の未経産雌牛(個体記号;b1,b2,b3,b4,b
5)に対して、黒毛和種牛の雌牛の肥育で用いられる通
常の飼料を同じように給与して、卵巣摘出日を試験開始
日(0日)として、下記の表8に示す日数にわたって、
それぞれの区ごとに集団肥育を行った後に出荷した。 (4) 出荷時に、各雌牛ごとの体重(出荷時体重)を
測定して、その増体重および肥育期間中の1日当たりの
増体重を求めたところ、下記の表8および表9に示すと
おりであった。 (5) また、出荷したそれぞれの雌牛ごとに、枝肉重
量の測定、枝肉の歩留基準値の算出、および枝肉の歩留
等級と肉質等級の判定を、実施例1におけるのと同様に
して行ったところ、下記の表8および表9に示すとおり
であった。
摘出して肥育した卵巣摘出区(発明区)の黒毛和種牛の
未経産雌牛(個体記号;a1,a2,a3,a4,a5)
は、卵巣を摘出せずに肥育した卵巣未摘出区(対照区)
の黒毛和種牛(個体記号;b1,b2,b3,b4,b5)
に比べて、出荷までの肥育日数が同じであるかまたはそ
れよりかなり短くなっており、それにも拘わらず、全体
的に肥育時1日当たりの増体重がかなり大きくて、短い
日数で生産性よく肥育できることがわかる。また、表8
および表9の結果から、卵巣を摘出して肥育した卵巣摘
出区(発明区)の黒毛和種牛の未経産雌牛(個体記号;
a1,a2,a3,a4,a5)は、卵巣を摘出せずに肥育
した卵巣未摘出区(対照区)の黒毛和種牛(個体記号;
b1,b2,b3,b4,b5)に比べて、出荷時(肥育終
了時)に個体間の体重差が小さくなっていて揃っている
こと、しかも枝肉の歩留等級および肉質等級の両方にお
いて優れており、商品価値が高いことがわかる。
毛和種牛とホルスタイン種牛とを交配させて産まれた純
粋種の黒毛和種牛の遺伝子比率が50%である交雑種の
和種牛の雌牛10頭(約15ケ月令;平均体重445k
g)を準備し、これを卵巣摘出区(発明区)5頭(個体
記号;c1,c2,c3,c4,c5)および卵巣未摘出区
(対照区)5頭(個体記号;d1,d2,d3,d4,
d5)に分けた。 (2) 上記(1)で分けた卵巣摘出区の雌牛5頭(個
体記号;c1,c2,c3,c4,c5)に対しては、前記
した図1で示した卵巣摘出具を用いて左右の卵巣の摘出
手術を行った。 (3) 次いで、卵巣摘出区の5頭の雌牛(個体記号;
c1,c2,c3,c4,c5)と、卵巣未摘出区の5頭の
雌牛(個体記号;d1,d2,d3,d4,d5)に対し
て、黒毛和種牛の雌牛の肥育で用いられる通常の飼料を
同じように給与して、卵巣摘出日を試験開始日(0日)
として、下記の表9に示す日数にわたって、それぞれの
区ごとに集団肥育を行って出荷した。 (4) 出荷時に、各雌牛ごとの体重(出荷時体重)を
測定して、その増体重および肥育期間中の1日当たりの
増体重を求めたところ、下記の表10および表11に示
すとおりであった。 (5) また、出荷したそれぞれの雌牛ごとに、枝肉重
量の測定、枝肉の歩留基準値の算出、および枝肉の歩留
等級と肉質等級の判定を、実施例1におけるのと同様に
して行ったところ、下記の表10および表11に示すと
おりであった。
巣を摘出して肥育した卵巣摘出区(発明区)の交雑種の
雌牛(個体記号;c1,c2,c3,c4,c5)は、卵巣
を摘出せずに肥育した卵巣未摘出区(対照区)の交雑種
の雌牛(個体記号;d1,d2,d3,d4,d5)に比べ
て、全体的に肥育時1日当たりの増体重がかなり大き
く、生産性よく肥育できることがわかる。また、表10
および表11の結果から、卵巣を摘出して肥育した卵巣
摘出区(発明区)の交雑種の雌牛(個体記号;c1,
c2,c3,c4,c5)は、卵巣を摘出せずに肥育した卵
巣未摘出区(対照区)の交雑種の雌牛(個体記号;
d1,d2,d3,d4,d5)に比べて、出荷時(肥育終
了時)に個体間の体重差が小さくなっていて揃っている
こと、しかも枝肉の歩留等級に優れていること、そして
特に肉質が大きく改良されていて、肉質等級が大幅に上
回っていることがわかる。
牛または純粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以上であ
る交雑種の和種牛のそれぞれの雌牛を肥育した場合は、
従来の和種雌牛におけるよりも一層良好な肉質を有して
いて、脂肪交雑が良好な、日本人の嗜好に一層適合する
高品質の和種雌牛を生産することができる。更に、本発
明の肥育方法による場合は、個体間の差が少なく、品質
の揃った均斉な和種雌牛を、集団肥育(群肥育)によっ
て、効率よく生産することができる。
肥育時の増体重が大きく、短期間で所定の体重にまで肥
育することができるので、前記した改善された肉質を有
し、且つ個体間で差の少ない品質の揃った和種雌牛を、
極めて高い生産性で得ることができる。特に和種雌牛が
黒毛和種牛の雌牛である場合には、以上の効果がより顕
著に奏され、和種雌牛が純粋種の黒毛和種牛の遺伝子比
率が50%以上である交雑種の和種牛では、その肉質が
大幅に向上して、純粋種の黒毛和種牛に一層近い良好な
ものとなる。
雌牛の卵巣の摘出を、前記した図1に記載されているよ
うな、卵巣と子宮をつなぐ血管などの連結管類を一時的
に押しつけて圧迫し、その状態で卵巣組織部を切断して
卵巣を摘出することのできる卵巣摘出具を使用した場合
には、卵巣の摘出を簡単な操作によって短時間で行うこ
とができて出血や痛みが少なく、雌牛に与えるストレス
が少なく、しかも卵巣の不完全摘出などの卵巣摘出の失
敗が生じないので、肉質の一層良好で増体重の一層大き
い、優れた和種雌牛を得ることができる。
に用いるのに適する卵巣摘出具の一例を示す図である。
和種牛の雌牛の体重の変動係数の推移、および比較例4
(卵巣未摘出区)における純粋種の黒毛和種牛の雌牛の
体重の変動係数の推移を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 純粋種の和種牛、または純粋種の和種牛
の遺伝子比率が50%以上である交雑種の和種牛のいず
れかの雌牛の卵巣を摘出して肥育することを特徴とする
和種雌牛の肥育方法。 - 【請求項2】 純粋種の和種牛の遺伝子比率が50%以
上である交雑種の和種牛が、(i) 純粋種の和種牛と
他種牛から得られる第1世代の交雑種の和種牛;および
(ii) 上記第1世代の交雑種の和種牛と純粋種の和種
牛から得られる第2世代の交雑種の和種牛;のいずれか
一方から選ばれる請求項1記載の和種雌牛の肥育方法。 - 【請求項3】 和種牛が、黒毛和種牛である請求項1ま
たは2記載の肥育方法。 - 【請求項4】 卵巣の摘出に当たって、卵巣摘出具とし
て、卵巣と子宮をつなぐ血管などの生体連結管類を一時
的に締め付けて挫滅させたままの状態で、卵巣組織部を
切断して卵巣を摘出することができ、場合によって卵巣
切除後に薬液を腹腔内などへ投与することのできる卵巣
摘出具を使用する請求項1〜3のいずれか1項記載の肥
育方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法
で肥育された和種雌牛。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP27861594 | 1994-10-19 | ||
JP6-278615 | 1994-10-19 | ||
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08168326A JPH08168326A (ja) | 1996-07-02 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23205095A Expired - Fee Related JP3169805B2 (ja) | 1994-10-19 | 1995-08-18 | 和種雌牛の肥育方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3169805B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109169496A (zh) * | 2018-07-20 | 2019-01-11 | 马边下溪镇青山莲畜禽养殖专业合作社 | 一种提高肉牛繁殖率的养殖方法 |
KR101938320B1 (ko) * | 2011-12-26 | 2019-04-10 | 코웨이 주식회사 | 2단 원심압축기를 포함하는 진공청소기 |
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---|---|---|---|---|
KR101307171B1 (ko) * | 2013-07-22 | 2013-09-11 | 윤창석 | 대동물 난소 적출기 |
-
1995
- 1995-08-18 JP JP23205095A patent/JP3169805B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR101938320B1 (ko) * | 2011-12-26 | 2019-04-10 | 코웨이 주식회사 | 2단 원심압축기를 포함하는 진공청소기 |
CN109169496A (zh) * | 2018-07-20 | 2019-01-11 | 马边下溪镇青山莲畜禽养殖专业合作社 | 一种提高肉牛繁殖率的养殖方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08168326A (ja) | 1996-07-02 |
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