JP3163341B2 - ビタミンb▲12▼の製造方法 - Google Patents
ビタミンb▲12▼の製造方法Info
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- JP3163341B2 JP3163341B2 JP3492792A JP3492792A JP3163341B2 JP 3163341 B2 JP3163341 B2 JP 3163341B2 JP 3492792 A JP3492792 A JP 3492792A JP 3492792 A JP3492792 A JP 3492792A JP 3163341 B2 JP3163341 B2 JP 3163341B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発酵法によるビタミン
B12の製造方法に関するものである。詳しくはメタノー
ル資化性菌によるビタミンB12の製造方法に関する。
B12の製造方法に関するものである。詳しくはメタノー
ル資化性菌によるビタミンB12の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンB12は、核酸代謝、蛋白質代
謝、脂質代謝及び炭水化物の代謝において必須の因子で
あることがよく知られており、ビタミンB12欠乏症、造
血機能障害、肝機能障害、神経疾患の治療薬としての医
薬品や飼料添加物として広く実用に供されている。
謝、脂質代謝及び炭水化物の代謝において必須の因子で
あることがよく知られており、ビタミンB12欠乏症、造
血機能障害、肝機能障害、神経疾患の治療薬としての医
薬品や飼料添加物として広く実用に供されている。
【0003】ビタミンB12の生産供給については、その
構造の複雑さのために化学合成法が極めて困難で、工業
的には現在及び将来にわたって発酵法又は生化学方法に
よる生産が主流を占めるものと考えられる。微生物によ
るビタミンB12の生産については、これまでシュードモ
ナス属、プロピオニバクテリウム属、そしてストレプト
ミセス属等に属するビタミンB12生産菌による糖質から
の生産が知られていた。一方、近年、安価で大量生産さ
れているメタノールを発酵原料とするビタミンB12生産
菌が数多く報告されてきた。特にメタノール資化性の偏
性嫌気性細菌は、細胞当たりのビタミンB12含量が極め
て高いことから、新しいビタミンB12生産菌として注目
を集めている。例えば、ブチリバクテリウム・メチロト
ロフィカムATCC33266(Butyribacterium methy
lotrophicum)はメタノールを炭素源として培養すると約
7.4mg/乾燥菌体1gのビタミンB12をを蓄積した(米
国特許明細書第44430429号)。またユウバクテ
リウム・リモサムATCC8486(Eubacterium limos
um) は、メタノールの流加培養により、27mg/lのビタ
ミンB12を生産した(特開昭62−44197号)。ま
たアセトバクテリウム・ウッディDSM2396(Aceto
bacterium woodii) は、メタノール含有培地で 2.7mg/
lのビタミンB12を生産した(特開昭62−12259
号)。
構造の複雑さのために化学合成法が極めて困難で、工業
的には現在及び将来にわたって発酵法又は生化学方法に
よる生産が主流を占めるものと考えられる。微生物によ
るビタミンB12の生産については、これまでシュードモ
ナス属、プロピオニバクテリウム属、そしてストレプト
ミセス属等に属するビタミンB12生産菌による糖質から
の生産が知られていた。一方、近年、安価で大量生産さ
れているメタノールを発酵原料とするビタミンB12生産
菌が数多く報告されてきた。特にメタノール資化性の偏
性嫌気性細菌は、細胞当たりのビタミンB12含量が極め
て高いことから、新しいビタミンB12生産菌として注目
を集めている。例えば、ブチリバクテリウム・メチロト
ロフィカムATCC33266(Butyribacterium methy
lotrophicum)はメタノールを炭素源として培養すると約
7.4mg/乾燥菌体1gのビタミンB12をを蓄積した(米
国特許明細書第44430429号)。またユウバクテ
リウム・リモサムATCC8486(Eubacterium limos
um) は、メタノールの流加培養により、27mg/lのビタ
ミンB12を生産した(特開昭62−44197号)。ま
たアセトバクテリウム・ウッディDSM2396(Aceto
bacterium woodii) は、メタノール含有培地で 2.7mg/
lのビタミンB12を生産した(特開昭62−12259
号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはメタノー
ルを基質としてビタミンB12を生産する菌株のスクリー
ニングを行い、約3mg/lのビタミンB12生産性を有す
るアセトバクテリウム属に属するBME−69株を得
た。しかしながら、このビタミンB12生産量は工業的生
産には不十分な生産量であった。従って、本発明の目的
は更に高いビタミンB12生産性を有する菌株を見出し、
工業的に有用なビタミンB12の製造方法を提供すること
である。
ルを基質としてビタミンB12を生産する菌株のスクリー
ニングを行い、約3mg/lのビタミンB12生産性を有す
るアセトバクテリウム属に属するBME−69株を得
た。しかしながら、このビタミンB12生産量は工業的生
産には不十分な生産量であった。従って、本発明の目的
は更に高いビタミンB12生産性を有する菌株を見出し、
工業的に有用なビタミンB12の製造方法を提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、メタノー
ル資化性を有し、ビタミンB12生産性を示す偏性嫌気性
菌であるBME−69株を変異処理し、四塩化炭素耐性
株を取得し、この菌株を四塩化炭素を含む培地中で培養
することにより、ビタミンB12生産量及び単位菌体当た
りのビタミンB12含量が著しく向上することを認め、本
発明を完成するに至った。
ル資化性を有し、ビタミンB12生産性を示す偏性嫌気性
菌であるBME−69株を変異処理し、四塩化炭素耐性
株を取得し、この菌株を四塩化炭素を含む培地中で培養
することにより、ビタミンB12生産量及び単位菌体当た
りのビタミンB12含量が著しく向上することを認め、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、アセトバクテリウム属
に属するBME−69株の変異株BME−69−7又は
BME−69−23を、四塩化炭素を含む培地で培養
し、培養物からビタミンB12を採取することを特徴とす
るビタミンB12の製造方法を提供するものである。
に属するBME−69株の変異株BME−69−7又は
BME−69−23を、四塩化炭素を含む培地で培養
し、培養物からビタミンB12を採取することを特徴とす
るビタミンB12の製造方法を提供するものである。
【0007】本発明に係わる変異株BME−69−7及
びBME−69−23は、アセトバクテリウム属に属す
るBME−69株を変異して得られ、メタノールを資化
し、且つ四塩化炭素耐性を有するビタミンB12生産菌で
ある。以下、本発明に用いられる菌株について説明す
る。
びBME−69−23は、アセトバクテリウム属に属す
るBME−69株を変異して得られ、メタノールを資化
し、且つ四塩化炭素耐性を有するビタミンB12生産菌で
ある。以下、本発明に用いられる菌株について説明す
る。
【0008】まず、変異株BME−69−7及びBME
−69−23を得るのに用いた親株であるBME−69
株について述べる。BME−69株をバージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマィック・バクテリオロジー第
2巻(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology v
ol.2)によって同定したところ、次の菌学的性質が得ら
れた。 (A) 形態的性質 細胞の形態 桿 菌 細胞の大きさ 1〜1.5×3〜5μm グラム染色 陽 性 胞子の有無 無 鞭毛の有無 有(周 毛) (B) 寒天上での生育 以下に示す基本培地に2%寒天を加えた寒天斜面培地で
30℃、10日間嫌気的に培養すると、形状は円形、周縁は
円滑、隆起は偏平、光沢があり、表面がスムーズ、そし
て色調は黄褐色のコロニーを形成する。基本培地 メタノール 5ml NH4Cl 1.0g KH2PO4 0.68g MgSO4・7H2O 0.224g NaHCO3 10g システイン塩酸(一水塩) 0.5g Na2S・9H2O 0.25g 酵母エキス 0.2g レザズリン 1.0mg 5,6-ジメチルベンズイミダゾール 10mg CoCl2 ・6H2O 10mg ニトリロ三酢酸 10mg MnSO4 ・4H2O 11mg NaCl 20mg FeSO4 ・7H2O 2mg CaCl2 ・2H2O 2.8mg ZnSO4 ・7H2O 3.6mg CuSO4 1.2mg Al・K(SO4)・12H2O 3.6mg H2BO4 2.0mg NaMoO4・2H2O 0.66mg NiCl2 ・6H2O 0.48mg ビオチン 0.04mg 葉酸 0.04mg ピリドキシン 0.2mg チアミン 0.1mg リボフラビン 0.1mg ニコチン酸 0.1mg パントテン酸Ca 0.1mg p−アミノ安息香酸 0.1mg チオクト酸 0.02mg 脱イオン水 100ml pH 7.8 培養気相を窒素:炭酸ガス(2:1)で置換する。 (C) 生理学的性質 酸素に対する態度 偏性嫌気性 生育温度 生育温度範囲 20〜30℃ 至適温度 30℃ ビタミン要求性 なし 色素の生産 なし カタラーゼ なし デンプン分解性 なし ゼラチン液化性 なし (D) 炭素源の資化性 資化する グルコース、フルクトース、マンノース、ソルボース、
リボース、マルトース、ガラクトース、アラビノース、
キシロース、セロビオース、ギ酸、乳酸、ピルビン酸、
グリセリン、メタノール 二酸化炭素+水素 資化しない メリビオース、ラムノース、ソルビトール、ラクトー
ス、ラフィノース、トレハロース、メレジトース、エタ
ノール (E) 資化する炭素源からの有機酸の生産 資化する炭素源から酢酸のみを生産する。 (F) 四塩化炭素濃度と生育状況 前記基本培地に表1に示す濃度の四塩化炭素を添加した
場合のBME−69株の生育状況を示す。
−69−23を得るのに用いた親株であるBME−69
株について述べる。BME−69株をバージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマィック・バクテリオロジー第
2巻(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology v
ol.2)によって同定したところ、次の菌学的性質が得ら
れた。 (A) 形態的性質 細胞の形態 桿 菌 細胞の大きさ 1〜1.5×3〜5μm グラム染色 陽 性 胞子の有無 無 鞭毛の有無 有(周 毛) (B) 寒天上での生育 以下に示す基本培地に2%寒天を加えた寒天斜面培地で
30℃、10日間嫌気的に培養すると、形状は円形、周縁は
円滑、隆起は偏平、光沢があり、表面がスムーズ、そし
て色調は黄褐色のコロニーを形成する。基本培地 メタノール 5ml NH4Cl 1.0g KH2PO4 0.68g MgSO4・7H2O 0.224g NaHCO3 10g システイン塩酸(一水塩) 0.5g Na2S・9H2O 0.25g 酵母エキス 0.2g レザズリン 1.0mg 5,6-ジメチルベンズイミダゾール 10mg CoCl2 ・6H2O 10mg ニトリロ三酢酸 10mg MnSO4 ・4H2O 11mg NaCl 20mg FeSO4 ・7H2O 2mg CaCl2 ・2H2O 2.8mg ZnSO4 ・7H2O 3.6mg CuSO4 1.2mg Al・K(SO4)・12H2O 3.6mg H2BO4 2.0mg NaMoO4・2H2O 0.66mg NiCl2 ・6H2O 0.48mg ビオチン 0.04mg 葉酸 0.04mg ピリドキシン 0.2mg チアミン 0.1mg リボフラビン 0.1mg ニコチン酸 0.1mg パントテン酸Ca 0.1mg p−アミノ安息香酸 0.1mg チオクト酸 0.02mg 脱イオン水 100ml pH 7.8 培養気相を窒素:炭酸ガス(2:1)で置換する。 (C) 生理学的性質 酸素に対する態度 偏性嫌気性 生育温度 生育温度範囲 20〜30℃ 至適温度 30℃ ビタミン要求性 なし 色素の生産 なし カタラーゼ なし デンプン分解性 なし ゼラチン液化性 なし (D) 炭素源の資化性 資化する グルコース、フルクトース、マンノース、ソルボース、
リボース、マルトース、ガラクトース、アラビノース、
キシロース、セロビオース、ギ酸、乳酸、ピルビン酸、
グリセリン、メタノール 二酸化炭素+水素 資化しない メリビオース、ラムノース、ソルビトール、ラクトー
ス、ラフィノース、トレハロース、メレジトース、エタ
ノール (E) 資化する炭素源からの有機酸の生産 資化する炭素源から酢酸のみを生産する。 (F) 四塩化炭素濃度と生育状況 前記基本培地に表1に示す濃度の四塩化炭素を添加した
場合のBME−69株の生育状況を示す。
【0009】
【表1】
【0010】本菌株は、偏性嫌気性で、グラム染色陽性
の桿菌で、胞子を形成せず、資化する炭素源から酢酸の
みを生産することから、アセトバクテリウム属に属する
ものと認められた。また、その他の従来知られている菌
種と比較したところ、アセトバクテリウム・ウッディの
タイプストレインDSM1030とは炭素源の資化性が
非常に異なっていたが、Deutsche Sammulung von Mikro
orgnismen に保存されているアセトバクテリウム・ウッ
ディDSM2396とは炭素源の資化性を含め、その菌
学的性質がほとんど一致していた。従って、本菌種を、
アセトバクテリウム・ウッディBME−69と同定し
た。
の桿菌で、胞子を形成せず、資化する炭素源から酢酸の
みを生産することから、アセトバクテリウム属に属する
ものと認められた。また、その他の従来知られている菌
種と比較したところ、アセトバクテリウム・ウッディの
タイプストレインDSM1030とは炭素源の資化性が
非常に異なっていたが、Deutsche Sammulung von Mikro
orgnismen に保存されているアセトバクテリウム・ウッ
ディDSM2396とは炭素源の資化性を含め、その菌
学的性質がほとんど一致していた。従って、本菌種を、
アセトバクテリウム・ウッディBME−69と同定し
た。
【0011】次いで、本発明に用いられる変異株である
BME−69−7及びBME−69−23について説明
する。本発明に用いられるBME−69−7及びBME
−69−23は、メタノールを資化し、ビタミンB12生
産性が高く、しかも四塩化炭素耐性を有する菌株であ
る。これらの変異株は、BME−69を変異させて得ら
れるものであり、例えば、BME−69の7日間培養液
に変異剤であるエチルメタンスルホン酸を 0.5%の濃度
になるように添加し、処理した後、気相を窒素と二酸化
炭素で置換し、生理食塩水で希釈し、この希釈液と四塩
化炭素を含む寒天培地で嫌気的に培養する。出現してき
たコロニーを液体培地で培養することによって得られ
る。上記のような方法によってBME−69株を変異し
て得た、BME−69−7、BME−69−23の2株
は四塩化炭素耐性が親株であるBME−69株に比べ強
く、その他の菌学的性質は親株のBME−69株と全く
同じである。本発明に用いられるBME−69−7は微
工研菌寄第12730号及びBME−69−23は微工
研菌寄第12731号として登録されている。
BME−69−7及びBME−69−23について説明
する。本発明に用いられるBME−69−7及びBME
−69−23は、メタノールを資化し、ビタミンB12生
産性が高く、しかも四塩化炭素耐性を有する菌株であ
る。これらの変異株は、BME−69を変異させて得ら
れるものであり、例えば、BME−69の7日間培養液
に変異剤であるエチルメタンスルホン酸を 0.5%の濃度
になるように添加し、処理した後、気相を窒素と二酸化
炭素で置換し、生理食塩水で希釈し、この希釈液と四塩
化炭素を含む寒天培地で嫌気的に培養する。出現してき
たコロニーを液体培地で培養することによって得られ
る。上記のような方法によってBME−69株を変異し
て得た、BME−69−7、BME−69−23の2株
は四塩化炭素耐性が親株であるBME−69株に比べ強
く、その他の菌学的性質は親株のBME−69株と全く
同じである。本発明に用いられるBME−69−7は微
工研菌寄第12730号及びBME−69−23は微工
研菌寄第12731号として登録されている。
【0012】本発明に使用する発酵培地は、炭素源とし
てメタノールを含み、これに四塩化炭素、窒素源、イオ
ウ源、無機塩、そして必要に応じて他の栄養素、微量要
素、コバルト塩、そして5,6−ジメチルベンズイミダ
ゾールのようなビタミンB12生合成の前駆体を含み、さ
らに還元剤などを添加して嫌気的雰囲気にした培地が使
用される。本発明に用いられる培地は四塩化炭素を必須
として含むものであるが、培地に四塩化炭素を添加しな
い場合もBME−69−7株及びBME−69−23株
はビタミンB12を生産する。しかしながらその量は親株
のBME−69株と変わらず、培地に四塩化炭素を添加
することによってBME−69−7株及びBME−69
−23株のビタミンB12生産量は増加する。培地中の四
塩化炭素の濃度は、1×10-5〜1×10-7Mの範囲が適当
である。炭素源として使用するメタノール濃度は 0.5〜
3体積%が好ましい。しかしながら、メタノール濃度が
高まると微生物の生育を阻害するので、培養中のメタノ
ール濃度を0.05〜1体積%に維持し、逐次メタノールを
添加し、培養することもできる。窒素源としては、通常
の微生物の培養に用いられる硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニ
ウム、硝酸ナトリウム等が用いられる。無機塩として
は、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、セレン酸ナトリウ
ム、塩化マンガン等のほかに、亜鉛、ホウ酸、銅、ニッ
ケル、モリブデン、タングステン等の金属塩の添加が有
効である。微量要素としては、ビオチン、葉酸、ビタミ
ンB1 ,B2 ,B6 、ニコチン酸、パントテン酸、p−
アミノ安息香酸、リポ一酸などのビタミン類が用いられ
るほか、天然の栄養源としてコーン・スティーブ・リカ
ー、酵母エキス、ペプトンなども添加できる。また、コ
バルト塩を添加することにより、ビタミンB12生産量を
高めることができるが、その濃度は 2.5〜 250μMが望
ましく、より好ましくは5〜80μM が望ましい。さら
に、ビタミンB12生合成の前駆体として5,6−ジメチ
ルベンズイミダゾール等を添加してビタミンB12生産を
促進することができる。また、還元剤としては、本発明
においてはハイドロサイファイトナトリウムが有効であ
る。ハイドロサルファイトナトリウムは強力な還元力を
持ち、硫化金属のような不溶物を形成せず、有毒なガス
を生じない利点を有しており、更には、アセトバクテリ
ウム属細菌を用いるメタノールからのビタミンB12生産
の場合、ビタミンB12生産量及び単位菌体当たりのビタ
ミンB12含量を著しく向上させる特徴を有している。ハ
イドロサルファイトナトリウムの添加量は25〜 150mg/
lがよい。さらに好適には、50〜 100mg/lが好まし
い。また、ハイドロサルファイトナトリウム以外の還元
剤をビタミンB12生産及び菌の生育を阻害しない範囲で
ハイドロサルファイトナトリウムと共に添加することも
可能である。
てメタノールを含み、これに四塩化炭素、窒素源、イオ
ウ源、無機塩、そして必要に応じて他の栄養素、微量要
素、コバルト塩、そして5,6−ジメチルベンズイミダ
ゾールのようなビタミンB12生合成の前駆体を含み、さ
らに還元剤などを添加して嫌気的雰囲気にした培地が使
用される。本発明に用いられる培地は四塩化炭素を必須
として含むものであるが、培地に四塩化炭素を添加しな
い場合もBME−69−7株及びBME−69−23株
はビタミンB12を生産する。しかしながらその量は親株
のBME−69株と変わらず、培地に四塩化炭素を添加
することによってBME−69−7株及びBME−69
−23株のビタミンB12生産量は増加する。培地中の四
塩化炭素の濃度は、1×10-5〜1×10-7Mの範囲が適当
である。炭素源として使用するメタノール濃度は 0.5〜
3体積%が好ましい。しかしながら、メタノール濃度が
高まると微生物の生育を阻害するので、培養中のメタノ
ール濃度を0.05〜1体積%に維持し、逐次メタノールを
添加し、培養することもできる。窒素源としては、通常
の微生物の培養に用いられる硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニ
ウム、硝酸ナトリウム等が用いられる。無機塩として
は、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、セレン酸ナトリウ
ム、塩化マンガン等のほかに、亜鉛、ホウ酸、銅、ニッ
ケル、モリブデン、タングステン等の金属塩の添加が有
効である。微量要素としては、ビオチン、葉酸、ビタミ
ンB1 ,B2 ,B6 、ニコチン酸、パントテン酸、p−
アミノ安息香酸、リポ一酸などのビタミン類が用いられ
るほか、天然の栄養源としてコーン・スティーブ・リカ
ー、酵母エキス、ペプトンなども添加できる。また、コ
バルト塩を添加することにより、ビタミンB12生産量を
高めることができるが、その濃度は 2.5〜 250μMが望
ましく、より好ましくは5〜80μM が望ましい。さら
に、ビタミンB12生合成の前駆体として5,6−ジメチ
ルベンズイミダゾール等を添加してビタミンB12生産を
促進することができる。また、還元剤としては、本発明
においてはハイドロサイファイトナトリウムが有効であ
る。ハイドロサルファイトナトリウムは強力な還元力を
持ち、硫化金属のような不溶物を形成せず、有毒なガス
を生じない利点を有しており、更には、アセトバクテリ
ウム属細菌を用いるメタノールからのビタミンB12生産
の場合、ビタミンB12生産量及び単位菌体当たりのビタ
ミンB12含量を著しく向上させる特徴を有している。ハ
イドロサルファイトナトリウムの添加量は25〜 150mg/
lがよい。さらに好適には、50〜 100mg/lが好まし
い。また、ハイドロサルファイトナトリウム以外の還元
剤をビタミンB12生産及び菌の生育を阻害しない範囲で
ハイドロサルファイトナトリウムと共に添加することも
可能である。
【0013】本発明において、培養は嫌気的に行う必要
がある。培養を嫌気的に行うには、培地中にハイドロサ
ルファイトナトリウム等の還元剤を加えるほか、酸素を
除去した窒素ガスや炭酸ガスあるいはこれらの混合気体
培地中に通気し、更に培養容器の気相中に酸素が混入し
ないようにすることが望ましい。培養温度は25〜40℃で
行うが、28〜33℃が望ましい。pHは 6.8〜7.3 に調節す
ることが望ましい。培養は、通常4〜8日で終了する
が、他の培養条件の変更に応じ、適当に変えることがで
きる。
がある。培養を嫌気的に行うには、培地中にハイドロサ
ルファイトナトリウム等の還元剤を加えるほか、酸素を
除去した窒素ガスや炭酸ガスあるいはこれらの混合気体
培地中に通気し、更に培養容器の気相中に酸素が混入し
ないようにすることが望ましい。培養温度は25〜40℃で
行うが、28〜33℃が望ましい。pHは 6.8〜7.3 に調節す
ることが望ましい。培養は、通常4〜8日で終了する
が、他の培養条件の変更に応じ、適当に変えることがで
きる。
【0014】培養物からのビタミンB12の採取は従来法
と同様に行うことができる。すなわち、ビタミンB12は
主として菌体内に蓄積されるので、例えば、培養物をま
ず遠心分離して菌体を得た後、シアノ型ビタミンB12と
して培養物から分離するために、菌体にシアンイオンを
加え、塩酸等の酸でpH 4.5〜5に調整して煮沸すること
により抽出できる。なお、菌体中のメチルコバラミン
(CH3 −B12)として培養物から分離する場合には、
80%エタノールを用いる沸点での抽出、冷50%アセトン
での抽出、20%ピリジンを用いる抽出などが用いられて
いる。培養物から抽出されたビタミンB12の精製は、フ
ェノール抽出あるいは各種のイオン交換樹脂、イオン交
換セルロース等を用いるカラムクロマトグラフィーなど
を適宜組み合わせて行うことができる。
と同様に行うことができる。すなわち、ビタミンB12は
主として菌体内に蓄積されるので、例えば、培養物をま
ず遠心分離して菌体を得た後、シアノ型ビタミンB12と
して培養物から分離するために、菌体にシアンイオンを
加え、塩酸等の酸でpH 4.5〜5に調整して煮沸すること
により抽出できる。なお、菌体中のメチルコバラミン
(CH3 −B12)として培養物から分離する場合には、
80%エタノールを用いる沸点での抽出、冷50%アセトン
での抽出、20%ピリジンを用いる抽出などが用いられて
いる。培養物から抽出されたビタミンB12の精製は、フ
ェノール抽出あるいは各種のイオン交換樹脂、イオン交
換セルロース等を用いるカラムクロマトグラフィーなど
を適宜組み合わせて行うことができる。
【0015】
【実施例】以下実施例にて本発明を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】実施例1(1) 四塩化炭素耐性株の取得法 四塩化炭素耐性のある変異株の取得方法を示す。BME
−69の7日間培養液に変異剤であるエチルメタンスル
ホン酸を 0.5%の濃度になるように添加し、緩やかに攪
拌した。30℃、10分処理した後、気相をN2:CO2 =2:
1に置換した生理食塩水で10-5〜10-8に希釈した。この
希釈液1mlと四塩化炭素を10-5M含む寒天培地19mlを混
合してプレートにする。このプレートを嫌気ジャーに入
れ、N2:CO2 =2:1に置換した後、30℃、7日間培養
する。出現してきたコロニーを液体培地10mlに移し、30
℃、7日間培養した後、そのビタミンB12生産性を評価
した。その結果BME−69株から四塩化炭素耐性を有
するビタミンB12高生産株としてBME−69−7、B
ME−69−23の2株を得た。
−69の7日間培養液に変異剤であるエチルメタンスル
ホン酸を 0.5%の濃度になるように添加し、緩やかに攪
拌した。30℃、10分処理した後、気相をN2:CO2 =2:
1に置換した生理食塩水で10-5〜10-8に希釈した。この
希釈液1mlと四塩化炭素を10-5M含む寒天培地19mlを混
合してプレートにする。このプレートを嫌気ジャーに入
れ、N2:CO2 =2:1に置換した後、30℃、7日間培養
する。出現してきたコロニーを液体培地10mlに移し、30
℃、7日間培養した後、そのビタミンB12生産性を評価
した。その結果BME−69株から四塩化炭素耐性を有
するビタミンB12高生産株としてBME−69−7、B
ME−69−23の2株を得た。
【0017】(2) 四塩化炭素耐性株の四塩化炭素耐性 ビタミンB12高生産株として得たBME−69−7、B
ME−69−23に対して四塩化炭素濃度を1×10-4M
〜1×10-7M、無添加の条件で添加してそれぞれの生育
をみた。結果を表2及び表3に示す。
ME−69−23に対して四塩化炭素濃度を1×10-4M
〜1×10-7M、無添加の条件で添加してそれぞれの生育
をみた。結果を表2及び表3に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】BME−69−7、BME−69−23株
共に1×10-4M添加での生育は見られず、濃度を1×10
-5〜1×10-7Mとした時、無添加の時、その生育に差は
見られず、600nm の吸収で1.0 〜1.2 の生育を見せた。
前述したように、親株であるBME−69は四塩化炭素
耐性が弱く、BME−69−7株、BME−69−23
株が変異株であることを認定した。
共に1×10-4M添加での生育は見られず、濃度を1×10
-5〜1×10-7Mとした時、無添加の時、その生育に差は
見られず、600nm の吸収で1.0 〜1.2 の生育を見せた。
前述したように、親株であるBME−69は四塩化炭素
耐性が弱く、BME−69−7株、BME−69−23
株が変異株であることを認定した。
【0021】(3) 四塩化炭素耐性株のビタミンB12生産性 前述の基本培地に、四塩化炭素10-5Mを添加し、硫化ナ
トリウム0.25gとシステイン塩酸 0.5gをハイドロサル
ファイトナトリウム75mgに変えた培地10mlを、直径18m
m、長さ180mm の試験管に入れ、気相を窒素67%、二酸
化炭素33%の雰囲気下で嫌気状態とした後、 120℃で15
分間蒸気滅菌した。これに予め基本培地で30℃、7日間
培地で静置培養したBME−69−7、BME−69−
23株の菌懸濁液 0.1mlを植菌し、30℃で7日間静置培
養した。培養終了後、菌体を集め、洗浄後、 0.1%のKC
N を含有する 0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)を加え、 120℃
で10分間加熱抽出した。抽出されたビタミンB12量は55
0nm の吸光度により測定した。また、乾燥菌体量は濁度
計に直接試験管を挿入し、600nm の波長で濁度を測定し
た後、乾燥菌体量に換算した。また、濁度が測定範囲を
超える場合には、0.05%システイン・塩酸・一水塩と0.
05%硫化ナトリウム・九水塩を含む生理食塩水で適当に
希釈し、測定した。その結果、BME−69−7株は
8.0mg/lで24.2mg/(乾燥菌体1g)、BME−69
−23株は 6.2mg/lで20.0mg/(乾燥菌体1g)のビ
タミンB12生産量を示した。
トリウム0.25gとシステイン塩酸 0.5gをハイドロサル
ファイトナトリウム75mgに変えた培地10mlを、直径18m
m、長さ180mm の試験管に入れ、気相を窒素67%、二酸
化炭素33%の雰囲気下で嫌気状態とした後、 120℃で15
分間蒸気滅菌した。これに予め基本培地で30℃、7日間
培地で静置培養したBME−69−7、BME−69−
23株の菌懸濁液 0.1mlを植菌し、30℃で7日間静置培
養した。培養終了後、菌体を集め、洗浄後、 0.1%のKC
N を含有する 0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)を加え、 120℃
で10分間加熱抽出した。抽出されたビタミンB12量は55
0nm の吸光度により測定した。また、乾燥菌体量は濁度
計に直接試験管を挿入し、600nm の波長で濁度を測定し
た後、乾燥菌体量に換算した。また、濁度が測定範囲を
超える場合には、0.05%システイン・塩酸・一水塩と0.
05%硫化ナトリウム・九水塩を含む生理食塩水で適当に
希釈し、測定した。その結果、BME−69−7株は
8.0mg/lで24.2mg/(乾燥菌体1g)、BME−69
−23株は 6.2mg/lで20.0mg/(乾燥菌体1g)のビ
タミンB12生産量を示した。
【0022】比較例1 基本培地のシステイン・塩酸・一水塩 0.5g/lと硫化
ナトリウム0.25g/lをハイドロサルファイトナトリウ
ム75mg/lに代え、BME−69株を30℃で7日管培養
した。その結果、ビタミンB12生産量は 3.0mg/l、1
1.7mg/(乾燥菌体1g)であった。
ナトリウム0.25g/lをハイドロサルファイトナトリウ
ム75mg/lに代え、BME−69株を30℃で7日管培養
した。その結果、ビタミンB12生産量は 3.0mg/l、1
1.7mg/(乾燥菌体1g)であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 克哉 茨城県つくば市千現1丁目14−14 パー クハイツ千現301 (72)発明者 蔭山 貞夫 東京都杉並区荻窪1丁目39−13 審査官 甲斐 順子 (56)参考文献 特開 平3−65179(JP,A) 特開 平3−87194(JP,A) 特開 昭62−122593(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64
Claims (1)
- 【請求項1】 アセトバクテリウム属に属するBME−
69株の変異株であるFERM P−12730又はF
ERM P−12731を、四塩化炭素を含む培地で培
養し、培養物からビタミンB12を採取することを特徴
とするビタミンB12の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3492792A JP3163341B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | ビタミンb▲12▼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3492792A JP3163341B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | ビタミンb▲12▼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0690777A JPH0690777A (ja) | 1994-04-05 |
JP3163341B2 true JP3163341B2 (ja) | 2001-05-08 |
Family
ID=12427835
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3492792A Expired - Lifetime JP3163341B2 (ja) | 1992-02-21 | 1992-02-21 | ビタミンb▲12▼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3163341B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-21 JP JP3492792A patent/JP3163341B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0690777A (ja) | 1994-04-05 |
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