JP3160621B2 - 脳波測定装置 - Google Patents

脳波測定装置

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政俊 中村
浩 柴崎
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  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脳波測定装置、特に
アーチファクトの影響が除去された脳波の時系列データ
を高精度に実時間で測定できる脳波測定装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】脳波測定は、人間の脳の活動により発生
する電気的変化を頭皮上において電位変化として検出す
ることにより行われる。一般的に、記録された脳波中に
は脳の活動以外の筋活動や眼球運動等の他の現象に起因
する電位変化(アーチファクト)が同時に記録されるた
め、アーチファクトの混入を防ぐように細心の注意が払
われている。特に、眼球運動に起因するアーチファク
ト、とりわけ瞬目動作に起因するアーチファクトは振幅
が比較的大きいため、記録した脳波の判読及び解析にお
いて大きな妨げとなっている。このため、脳波の測定中
に混入した瞬目アーチファクトを処理する方法の開発が
強く要請されている。
【0003】従来、脳波に混入した瞬目アーチファクト
を除去する方法として、眼球運動に付随する電位変化を
単一電流源に由来する電位分布より推定し、脳波の時系
列記録データから瞬目アーチファクトの推定波形が除去
されたデータから脳波の判読が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】眼球運動に起因する電
流分布を単一の電流源で近似した場合、その仮定に基づ
く脳表上の電位分布は必ずしも実際に記録した波形と正
確に対応しない場合もあり、測定精度を一層改良するこ
とが望まれている。また、従来の方法では、単一電流源
を推定するため、信号雑音比の高い記録データを予め入
手し、予備記録時の電位分布と実際の記録時の電位分布
とを対応させるため、測定の頭位、眼球運動の質が一定
である要件が課せられ、測定及び判読における精度に難
点があった。さらに、測定が終了した後に瞬目アーチフ
ァクトの除去を行うため、実時間測定を行うには、実際
的に不可能であった。
【0005】従って、本発明の目的は、脳波測定中に瞬
目アーチファクトが混入しても、その影響を高精度に除
去できると共に脳波測定を実時間で実行できる脳波測定
装置を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による脳波測定装
置は、眼球運動に起因するアーチファクトが除去された
脳波を検出する脳波測定装置であって、脳波を時系列の
電位信号として測定すると共に脳波測定と並行して眼球
運動に起因する電位変化を眼電図として測定する脳波計
と、測定された眼電図の電位変化から瞬目の発生を検出
する手段と、検出された瞬目に対する眼電図から正規化
パラメータを求め、得られた正規化パラメータを用いて
脳波測定の時系列のデータ中の瞬目が発生している部分
のデータを正規化する手段と、正規化された脳波データ
について加算平均を行う手段と、加算平均された脳波デ
ータについて、前記正規化処理で用いた正規化パラメー
タを用いて逆正規化処理を行い、瞬目の発生した時間に
対応する瞬目アーチファクトの推定波形を求める手段
と、測定された脳波の時系列データから前記推定波形を
除去する手段とを具えることを特徴とする。
【0007】本発明者が脳波測定について種々の実験及
び解析を行った結果、記録された脳波データ中に混入し
た大きな振幅のアーチファクトと眼電図により測定した
眼球運動によるアーチファクトとの間に対応関係がある
ことが判明した。このような認識に基づき、本発明では
脳波の時系列の測定と並行して眼球運動に起因する電位
変化を眼電図として検出する。そして、眼電図の波形か
ら瞬目の発生を検出し、脳波上に波及した瞬目アーチフ
ァクトを検出する。
【0008】しかしながら、検出される瞬目アーチファ
クトの波形は、持続期間及び振幅に大きなバラツキがあ
るため、単純に頂点同期加算平均を行っても正確な波形
を捉えることができない。そこで、本発明では、記録さ
れた脳波データについて正規化処理を行う。正規化に際
し、瞬目アーチファクトについて眼電図として測定され
たデータから正規化のためのパラメータを取り出す。正
規化のパラメータとしては、本発明者による瞬目アーチ
ファクトについての種々の実験及び解析の結果、検出さ
れた瞬目に起因するアーチファクトの持続時間及び振幅
を用いることができる。特に、検出された瞬目の前側端
縁からピーク発生瞬時までの時間期間(Df (i) )、ピ
ーク発生瞬時から瞬目の後側端縁までの時間期間(Db
(i) )、瞬目の前側端縁における電位を基準としたピー
ク振幅(Hf (i) )、及び後側端縁における電位を基準
としたピーク振幅(Hb (i) )、眼電図測定における瞬
目のピーク時刻(L(i) )の5個のパラメータを用いる
ことによりより精度の高い正規化処理を行うことができ
る。すなわち、これら5個のパラメータを用いれば、検
出された瞬目の持続時間及び振幅に種々のバラツキが生
じても正確な正規化処理を行うことができる。
【0009】正規化処理の後、記録されたデータの瞬目
が発生している部分の脳波の波形について加算平均処理
を行い、瞬目に起因する推定脳波波形(アーチファクト
推定波形)を作成する。この加算平均処理により瞬目に
起因する推定脳波波形を一層正確に把握することができ
る。
【0010】次に、加算平均により得られたアーチファ
クト推定波形について、正規化処理において用いられた
パラメータを用いて逆正規化を行い、各瞬目に起因する
アーチファクト推定波形を測定された脳波の時系列の電
位信号に戻す。
【0011】最後に、除去処理を行い、測定した脳波の
時系列データから前記推定波形を除去し、瞬目アーチフ
ァクトが除去された脳波の時系列データを得る。
【0012】これら正規化及び加算平均処理を行うこと
により、瞬目アーチファクトによる波形を一層正確に認
定でき、脳波の測定精度を一層改善することができる。
又、これらのデータ処理は脳波の測定中にリアルタイム
で実行することも可能である。この結果、リアルタイム
での脳波の判読が可能になり、脳波の自動判読装置の実
現が可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による脳波測定方法のアル
ゴリズムについて説明する。アルゴリズムの説明におい
て、脳波計を用いて実際に測定したデータ等を用いて説
明する。脳波測定を行うため、5個の電極が接続されて
いる脳波計を用い、各電極を被検者の頭皮上の部位FP
Z 、FZ 、CZ 、PZ 、C3 、C4 に配置し、これらの
電極により脳波を電位変化として検出する。この電極配
置を図1に示す。脳波測定と並行して眼球運動に起因す
る電位変化も並行して測定する。測定された脳波データ
及び眼電図のデータは、A /D変換器を介してディジ
タル信号に変換し、処理装置(コンピュータ)において
以下のアルゴリズムにしたがって処理を行う。
【0014】図2にサンプリング周波数400Hzの条
件で5秒間にわたって測定された脳波の記録データ及び
眼電図(EOG)を一例として示す。記録された脳波の
測定信号中に矢印で示すアーチファクトが混入されてお
り、このアーチファクトは眼電図に記録された信号と時
間的に正確に対応している。
【0015】次に、検出処理について説明する。初めに
脳波測定と並行して記録した眼電図の情報をもとに瞬目
の自動検出を行う。まず、眼電図中より高周波成分およ
びドリフト、トレンド成分を除去する目的で1.5−1
0.0HzのDFT−IDFTフィルタをかける。瞬目
アーチファクトは、立ち上がりの鋭い高振幅な波である
ため、この特徴を考慮して検出を行う。具体的な検出手
順を図3に示す。任意の時刻t秒とt+0.12秒にお
ける振幅の差をHとし、あらかじめ用意した瞬目標準波
形との相関係数をPとしたときとしたとき、 H≧70〔μV〕 (1) P≧0.8 (2) の2式を満たした場合に、瞬目ありと判定する。時刻t
+0.12秒の直後の頂点を瞬目の頂点時刻と定め、頂
点時刻の直前と直後の頂点時刻の差を瞬目の存在区域と
定めた。
【0016】次に、正規化処理を行う。瞬目アーチファ
クトは1つ1つの波形の形状、すなわち持続時間及び振
幅にばらつきが大きいため、単純に頂点同期加算平均を
してもその形状が正しく捉えられない。そこで、眼電図
測定により検出された瞬目より振幅と持続時間に関する
情報を取り出し、それらの値をそろえることで各波形の
ばらつきを抑える。個々の瞬目を立ち上がりと立ち下が
りの部分に分け、それぞれの持続時間及び振幅を一定の
大きさにそろえる。瞬目の正規化のためのパラメータを
図4に示す。Hf (i) は前側端縁を基準にした瞬目時の
眼電値の振幅を表し、Hb (i) は後側端縁を基準にした
瞬目眼電図の振幅を表し、Df (i) は瞬目の前側端縁か
らピーク瞬時までの持続時間を表し、Db (i) はピーク
発生瞬時から後側端縁までの持続時間を表し、L(i) は
瞬目の出現時刻を表わす。検出されたそれぞれの瞬目時
の眼電値より上記の5つのパラメータを求め、正規化と
逆正規化を行う際のパラメータとする。正規化波形は、
眼電図情報から得られたHf (i) ,Hb (i) ,Df (i)
,Db (i) ,L(i) を用い、
【数1】 で計算する。x(t) は眼電図と同時記録した処理の対象
となる脳波時系列である。また、τは瞬目アーチファク
トの発生している区間を〔0.2〕の区間に規格化する
ためのパラメータである。
【0017】次に、加算平均を行なう。正規化された各
波形を頂点同期加算平均することでアーチファクトの推
定波形を求める。その式は
【数2】 で表される。xi * (t) は(3)式で求められた正規化
後の脳波時系列、Nは検出されたアーチファクト個数、
【外1】 は瞬目アーチファクト基準推定波形となる。
【0018】次に、逆正規化を行う。加算平均により得
られ推定波形をもとに、各アーチファクトについて、正
規化及び加算処理されたデータの振幅及び持続時間につ
いて脳波計により記録された脳波のデータレベルに戻
す。個々のアーチファクト推定波形を求める手順は、正
規化の工程で得られたパラメータHf (i) ,Hb (i) ,
f (i) ,Db (i) ,L(i) を用い、
【数3】 で計算する。ここで、図2に示す脳波の記録データにつ
いて逆正規化を行った後に得られた推定波形を図5に示
す。
【0019】次に、除去を行なう。逆正規化で得られた
個々のアーチファクト推定波形
【外2】 を原脳波時系列信号xi (t) から頂点同期して差し引く
ことによって瞬目アーチファクトの除去を行った。その
式は、
【数4】 で、
【外3】 が処理データとなる。
【0020】このようにして瞬目アーチファクトが除去
された脳波の測定データを図6に示す。図6から明かな
ように、脳波計により記録された脳波の時系列データか
ら瞬目アーチファクトに起因するノイズ成分が明瞭に除
去されていることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】頭皮上における電極配置を示す線図である。
【図2】脳波計により記録された脳波の時系列データ及
び並行して記録された眼電図を示すグラフである。
【図3】眼電図による瞬目の検出を示す線図である。
【図4】眼電図における正規化パラメータを示すグラフ
である。
【図5】正規化及び加算平均処理後の推定波形を示すグ
ラフである。
【図6】図1に示す脳波データから除去処理の後に得ら
れた脳波データを示すグラフである。
【符号の説明】
FPZ 、FZ 、CZ 、PZ 、C3 、C4 電極の配置位
置 Hf (i) 前側端縁を基準にした振幅 Hb (i) 後側端縁を基準にした振幅 Df (i) 前側端縁からピーク瞬時までの持続期間 Db (i) ピーク瞬時から後側端縁までの持続期間 L(i) 瞬目ピーク時刻

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼球運動に起因するアーチファクトが除
    去された脳波を検出する脳波測定装置であって、 脳波を時系列の電位信号として測定すると共に脳波測定
    と並行して眼球運動に起因する電位変化を眼電図として
    測定する脳波計と、 測定された眼電図の電位変化から瞬目の発生を検出する
    手段と、 検出された瞬目に対する眼電図から正規化パラメータを
    求め、得られた正規化パラメータを用いて脳波測定の時
    系列のデータ中の瞬目が発生している部分のデータを正
    規化する手段と、 正規化された脳波データについて加算平均を行う手段
    と、 加算平均された脳波データについて、前記正規化処理で
    用いた正規化パラメータを用いて逆正規化処理を行い、
    瞬目の発生した時間に対応する瞬目アーチファクトの推
    定波形を求める手段と、 測定された脳波の時系列データから前記推定波形を除去
    する手段とを具えることを特徴とする脳波測定装置。
  2. 【請求項2】 前記正規化パラメータを、検出された瞬
    目アーチファクトの振幅及び持続時間から決定すること
    を特徴とする請求項1に記載の脳波測定装置。
  3. 【請求項3】 前記正規化パラメータとして、検出され
    た瞬目の前側端縁から瞬目のピーク発生瞬時までの時間
    期間(Df (i) )、瞬目のピーク発生瞬時から瞬目の後
    側端縁までの時間期間(Db (i) )、前記瞬目の前側端
    縁における電位を基準としてピーク振幅(Hf (i) )、
    及び前記後側端縁における電位を基準としてピーク振幅
    (Hb (i) )、及び眼電図の瞬目ピーク時刻(L i))
    の5個のパラメータを用いることを特徴とする請求項2
    に記載の脳波測定装置。
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