JP3158764U - アナライトを検出するためのデバイスおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料中に存在するアナライトを検出するためのデバイスであって、特に体液中に存在するアナライトに対して免疫アッセイを実施するのに特に有用であるデバイスを提供する。
【解決手段】移動性リガンドおよび移動性抗体を含んでおり、移動性抗体がアナライトおよび/または移動性リガンドと特異結合する、流動領域と、流動領域の下流に配置されており、移動性リガンドと結合する固定化されたトラッピング受容体を含んでいるブロッキング領域と、ブロッキング領域の下流に配置されており、移動性抗体と結合する固定化された検出受容体を含んでいる検出領域とを有する。
【選択図】図4

Description

アナライトを検出するためのデバイスおよび方法に関する。
試料中のアナライトを検出するための免疫アッセイは多様な分野で広く使用されている。免疫アッセイは、病気の診断、予後および/または治療を助けるために、様々な試料中(唾液、血液、尿、血清および汗など)のアナライトを検出するのに使用することができる。例えば、免疫アッセイは、妊娠初期の徴候、腫瘍の存在、感染症、および薬物乱用を監視するために日常的に実施される。免疫アッセイは、抗原/抗体、ハプテン/抗体およびビオチン/抗ビオチンなど免疫分子間に含まれる特異結合部位を利用して行われる。ほとんどの免疫アッセイは、ラテラルフロー試験ストリップ、ガラスもしくはプラスチックの多孔質ディスク、または免疫クロマトグラフィデバイス(immune chromatography device)上など、固相上で実施される。
免疫アッセイには2つの一般的な方式がある。すなわち、サンドイッチアッセイおよび競合アッセイである。競合免疫アッセイでは、アナライトが抗体と結合するために、標識されたアナライトと競合する。この方式は、試料中のハプテンなどの小さなアナライトを検出するのに一般に使用されている。使用される標識は、検出領域または結果読取領域内で着色バンドとしてその存在を示す標識であってよい。競合原理を用いた試薬およびデバイスがUS4,235,601、US4,442,204、US5,229,073に詳細に記載されている。競合原理を用いたデバイスでは、検出領域の色が変化しない場合、または検出領域もしくは結果読取領域内に着色バンドが現れない場合、このことは陽性結果を示し、それにより、アナライトが試料中に存在する可能性があることが示される。逆に、検出領域もしくは結果読取領域内にすでに色が存在する場合、または着色バンドが現れた場合、これは陰性結果と解釈されてよく、それにより、アナライトが試料中に存在していな可能性が示される。
陽性結果が直接に示される別のデバイスが、例えば、US5,028,535、US5,089,391、US5,627,526、US5,143,852、US5,480,792およびUS5,985,579に記載されている。このようなデバイスが例えばハプテンの検出に使用されるとき、アナライトが存在する場合またはその濃度が予想されるしきい値より高い場合は試験領域内に色が現れて陽性結果を示す。逆に、陰性結果は、アナライトが存在していないまたはアナライト濃度が予想されるしきい値より低い可能性があることを示している。上述したデバイスおよび方法は一度に複数のアナライトを検出することができるが、それでも、現在使用可能であるデバイスには多くの欠点がある。例えば、試料と、アナライトと結合するための複数の抗体とを、反応させるために、ニトロセルロース(NC)膜に加える前に約10分から15分の間、試料ウェル内に入れる必要がある。また、NC膜は個々の結果を読み取る前にくり返し洗浄される必要がある。したがって、これらのデバイスは手間がかかる上、操作が不便であり、複数のステップの反応を必要とする。
US5,451,504では、3つの特異的な領域と、流動領域(mobilization zone)と、トラップ領域と、検出領域とを有する試験ストリップが開示されている。流動領域内の着色標識(color label)に結合されている抗体がアナライトと結合して錯体(着色標識−抗体−アナライトの錯体)を形成することができる。この錯体は、液体により、リガンドが固定化されているトラップ領域まで移動され得る。この固定化されたリガンドは、すでにアナライトとともに錯体を形成している抗体に結合することができない。この錯体は安定しており、固定化されたリガンドの影響を受けることはない。リガンドは自由に遊動していて、それまでにアナライトに結合されていない抗体とは結合することができるだけである。その後、アナライト−抗体の錯体は固定化された検出受容体によって捕捉されて直接的に陽性結果を示すことができる。しかし、この特許明細書に記載されているデバイスでは、抗体とアナライトとの間の親和性が抗体とリガンドとの間の親和性より高いことが必要となる。実際、本考案に適用するために、このように制限された特徴を用いて抗体を選択することは非常に困難である。
US6,699,722では、試料適用領域と、流動領域と、第1の捕捉領域と、第2の捕捉領域とからなる試験ストリップが開示されている。このデバイスでは、これらの領域は液体流れの経路に沿って配置されており、液体は各領域を順番に通って流れる。第1の捕捉領域は第1の捕捉抗体が塗布されており、第2の捕捉領域は第2の捕捉抗体が塗布されている。標識されたアナライト類似体の分子量は試料中のアナライトの分子量より大きい。アナライトが試料中に存在している場合、標識されたアナライト類似体およびアナライトは流動液体の経路に従って移動するが、アナライトはアナライト類似体より速く移動する。その結果、アナライトは標識されたアナライト類似体より早く第1の捕捉領域に到達する。アナライトは、標識されたアナライト類似体が捕捉領域に到達する前に第1の捕捉抗体によって捕捉されて固着される。標識されたアナライト類似体は継続して流れて第1の捕捉領域を通過し、第2の捕捉抗体が塗布されている第2の捕捉領域に接触する。このとき、第2の捕捉領域の色が、標識されたアナライト類似体との結合に反応して変化して陽性結果を示す。実際には、このような試験ストリップは不便であり、また、このような試験ストリップからの結果は正確ではない。
米国特許第4,235,601号明細書 米国特許第4,442,204号明細書 米国特許第5,229,073号明細書 米国特許第5,028,535号明細書 米国特許第5,089,391号明細書 米国特許第5,627,526号明細書 米国特許第5,143,852号明細書 米国特許第5,480,792号明細書 米国特許第5,985,579号明細書 米国特許第5,451,504号明細書 米国特許第6,699,722号明細書
本考案は、液体試料中におけるアナライトの有無を検出するための試験デバイスを提供するものである。
この試験デバイスは、通常、移動性リガンドおよび移動性抗体を含んでおり、移動性抗体がアナライトおよび/または移動性リガンドと特異結合する、流動領域と、流動領域の下流に配置されており、移動性リガンドと結合する固定化されたトラッピング受容体(trapping receptor)を含んでいるブロッキング領域と、ブロッキング領域の下流に配置されており、移動性抗体と結合する固定化された検出受容体を含んでいる検出領域とを有する。一実施形態では、移動性抗体は、移動性リガンドが試料に接触される前に試料に接触されるようになされる。別の実施形態では、試料は移動性リガンドに接触する前に移動性抗体に接触するように移動性リガンドは移動性抗体から空間的に分離されるようになされている。所望される場合、実用新案登録請求されるデバイスは、流動領域、ブロッキング領域および検出領域を横切る上記液体試料の流れを補助するようなラテラルフローストリップの方式を採用するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、移動性リガンドおよび移動性抗体はある間隙だけ分離されるようになされる。いくつかの実施形態では、移動性リガンドおよび移動性抗体はある垂直距離または水平距離だけ互いから分離されるようになされる。別の実施形態では、移動性リガンドはアナライトとは異なる結合対の一要素を含み、固定化されたトラッピング受容体がこの結合対の他方の要素を含む。この結合対は、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトアビジン、ならびに、ローダミンおよび抗ローダミンのグループから選択されてよい。別の実施形態では、移動性抗体は乾燥状態で存在して第1の吸水性ストリップ内に収容され、移動性リガンドは乾燥状態で存在して第2の吸水性ストリップ内に収容される。ここでは、第1のストリップは第2のストリップから物理的に分離されている。別の実施形態では、ブロッキング領域および検出領域は第2の吸水性ストリップ上に配置され、移動性リガンドの下流に配置される。
いくつかの実施形態では、移動性抗体と移動性リガンドとが第1の結合親和力を有し、アナライトと移動性抗体とが第2の結合親和力を有しており、第1の結合親和力は第2の親和定数より大きい。移動性抗体は着色粒子をさらに有していてよい。別のいくつかの実施形態では、試料が移動性抗体に接触する接触時間が、試料が移動性リガンドに接触する接触時間より長くなるように移動性リガンドおよび移動性抗体は流動領域上に構成されている。所望される場合、移動性抗体は検出可能な標識を有する。
本考案はまた、対象のデバイスを使用する方法を提供する。一実施形態では、本考案は、アナライトの有無の検出を実施するための対象の試験デバイス(本明細書で説明される試験デバイスのうちの任意の1つ)に液体試料を接触させることによって液体試料中における上記アナライトの有無を検出するための方法を提供する。一実施形態では、対象の方法は、第1の混合物を生成するために試験デバイス上の移動性抗体に液体試料を接触させ、次いで、第2の混合物を生成するために第1の混合物を移動性リガンドに接触させることによって進行し、さらに第2の混合物がブロッキング領域に接触する。
本明細書で言及するすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許および特許出願が参照より組み込まれることが明確かつ個別に示されているかのうように、参照により本明細書に組み込まれる。
本考案の新規な特徴は添付の実用新案登録請求の範囲で詳しく説明されている。本考案の原理が利用されている例示の実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、本考案の特徴および利点はより良く理解されるであろう。
本デバイスの試験ストリップの図である。 ある垂直距離だけ分離された2つのストリップを含む、本デバイスの試験ストリップの図である。 ある垂直距離だけ分離された2つのストリップを含む、本デバイスの試験ストリップの図である。 ある水平距離だけ分離された2つの部分を有する試験ストリップの代替実施形態の図である。 ある水平距離だけ分離された2つの部分を有する試験ストリップの代替実施形態の図である。 試験ストリップ用のハウジングを有するデバイスの図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。 アナライトの検出時にデバイスによって表示される結果の図である。
説明するデバイスおよび方法は、陽性結果または陰性結果を直接的に示すことによってアナライトの有無を検出するようになされて構成される。通常、試験デバイスは、例えば図1に示されているような、流動領域K、ブロッキング領域Dおよび検出領域Fを有する試験ストリップである。流動領域は、移動性リガンドと、標的アナライトまたは移動性リガンドのいずれか一方と特異結合するための移動性抗体とを含んでいる。移動性リガンドを捕捉するためのトラッピング受容体がブロッキング領域D内に存在する。通常、トラッピング受容体はリガンドを捕捉することができるが、任意のアナライト結合抗体を直接に捕捉することはできない。デバイスの検出領域は、例えば抗体が溶液に溶解された後で移動性抗体と結合することができる固定化された検出受容体をさらに含んでいる。いくつかの実施形態では、試験ストリップは、流体試料が試験ストリップを流れるのを補助するための吸水性材料を含んでいる。吸水性材料とは、流体を安定的に吸収して毛管作用によりその流体を通過させることができる材料を意味する。いくつかの実施形態では、吸水性材料は、その長手方向に沿って流体の運動および移動を補助する材料であってよい。別の実施形態では、吸水性材料は、このデバイスを通過する流体の運動を毛管作用によって引き起こすための材料である。試験ストリップは、上に抗体およびリガンドが配置されている1種類の吸水性材料を有していてよい。別法として、試験ストリップは、流体試料と共に相互的に作用することができる複数の種類の吸水性材料で構成されていてよい。吸水性材料としては、限定しないが、ニトロセルロース、ろ紙、ガラス繊維、ポリエステルが含まれる。また、この吸水性の固相は、いくつかの実施形態では、このデバイス上で試験を行うのに適した別の試薬をさらに含む。単に例としては、この固相は、pH値を調整するための緩衝溶液をさらに含んでいてよい。
この試験デバイスの試験ストリップは、試料を受け入れるための試料適用領域Aをさらに有する。試料適用領域Aは、ブロッキング領域D、試料が試験ストリップを通過した後に試料を吸収するための吸収性領域H、および、試験制御領域Gの上流に配置される。試験制御領域は、試料が検出領域を通り過ぎるのに十分な時間があるかどうかまたは試験を完了するのに十分な時間が経過したかどうかを判定するためのある量の試薬を含んでいる。この試験デバイスが使用されるときは、標的アナライトまたはある量のリガンドのどちらか一方と特異結合するある量の抗体が流動領域のアナライト結合領域上に含まれている。抗体は乾燥状態であってよい。流動領域は、流動領域の調整領域に配置されるある量のリガンドをさらに含んでいる。リガンドはアナライト結合抗体の下流に配置される。
抗体およびリガンドは試料によって溶解され得る。抗体およびリガンドは、試料が対応する領域を通過するときに、溶解された状態で、試料を含んでいる試験デバイスの領域を通るように移動する。いくつかの実施形態では、この試験デバイスにおいて、試料はまず、流動領域の抗体結合領域内に配置された抗体に接触する。抗体は試料中で溶解されて試料中のアナライトに接触する。試料は、抗体結合領域内の抗体とある時間だけ接触した状態を保つ。この時間は、抗体に結合されたアナライトすなわちアナライト−抗体の錯体から構成される第1の液体混合物を生成するのに十分な時間である。いくつかの実施形態では、アナライト結合抗体のすべてが試料中で溶解される。いくつかの実施形態では、アナライト結合抗体の少なくとも一部が試料中で溶解される。その後、第1の液体混合物は、アナライト結合領域の次に配置された調整領域まで通過する。そこで、第1の液体混合物は調整領域に配置されたリガンドと接触するようになる。このとき、リガンドは第1の液体混合物によって溶解され、第2の液体混合物が生成される。いくつかの実施形態では、試料は標的アナライトを含んでいない。このような実施形態では、第1の混合物に担持された、移動性にされた抗体は、第2の液体混合物中で溶解されている可動リガンドに結合され得、それにより抗体−リガンドの錯体が生成される。その後、この抗体−リガンドの錯体は、ブロッキング領域に配置されたある量のトラッピング受容体によって捕捉され得る。このトラッピング受容体は、ブロッキング領域に配置されたリガンドであり、移動されたリガンドと直接に結合するための特異結合部位を有する。トラッピング受容体は流動領域の下流に配置されたブロッキング領域上に固定化されている。抗体−リガンドの錯体はトラッピング受容体に結合されることから、移動性にされた抗体は一般にはブロッキング領域を通過しない。通常、第2の液体混合物中で溶解されており未結合であるいかなるリガンドも、その後、同様にブロッキング領域上のトラッピング受容体に結合される。
アナライトすなわちある量のアナライトが試料中に存在する場合、アナライトの少なくとも一部がアナライト結合領域上の移動性抗体に結合され得る。アナライトが存在する場合、アナライトは、通常、抗体−アナライトの錯体である第1の錯体を形成しており、その結果第1の液体混合物が生成される。いくつかの実施形態では、アナライト結合抗体の一部のみが標的アナライトに結合される。このような実施形態では、第1の液体混合物中に溶解されているがアナライトと未結合のままである抗体が、その後、調整領域に配置されたリガンドに結合され得る。第1の液体混合物が抗体結合領域の下流に配置されたリガンドに接触すると、第2の混合物が生成される。第2の混合物は、通常、第1の液体混合物によって溶解された、第1の抗体−アナライトの錯体およびリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、抗体−アナライトの錯体のすべてが、溶解されたリガンドから放置された状態を維持する。いくつかの実施形態では、溶解されたリガンドの一部が、第1の錯体の抗体上の結合部位と結合するためにアナライトと競合する。この場合、第1の液体混合物は、アナライト−抗体の錯体および抗体−リガンドの錯体の両方を含むことができる。その後、第2の混合物はブロッキング領域に接触する。ブロッキング領域は、通常、ある量の固定化されたトラッピング受容体を含んでいる。トラッピング受容体は、抗体の一部がアナライトと未結合である場合はリガンド−抗体の錯体と、また、リガンドの一部のみが、移動性にされた抗体に結合されている場合は未結合のリガンドのいずれか一方と結合することができる。トラッピング受容体は、通常、抗体−アナライトの錯体を捕捉しない。
その後、試料は、ブロッキング領域の下流に配置された検出領域まで通過する。アナライト−抗体の錯体は、いくつかの実施形態では、第2の液体混合物が検出領域に到達したときに、試験デバイスの検出領域上に固定化されたある量の検出分子によって捕捉される。検出領域は、アナライト結合抗体と特異結合するためのある量の固定化された受容体を有する。この受容体は通常は抗体である。いくつかの実施形態では、アナライト結合抗体は検出可能な標識と共役される。検出可能な標識の量の決定は、試験試料中のアナライトの量に関連する。通常、検出可能な標識は着色粒子である。このように、アナライトの量は、検出領域上で捕捉された着色粒子を裸眼で検出することによって直接的に判定されてよい。
第2の液体混合物が検出領域に接触すると、通常、抗体上の特異結合部位が試料中で溶解されて露出される。かなり短い時間での反応を可能にするために、抗体の露出された結合部位は、通常、アナライトによって認識可能である。第2の液体混合物は、試料中で溶解されたリガンドを含む。いくつかの実施形態では、試料中で溶解されたリガンドは、アナライトとすでに共役体形成している抗体に対してアナライトと競合する。別法として、リガンドは未結合の任意のアナライト結合抗体と直接的に結合してもよい。これは、リガンドが第1の混合物中で溶解されるときにリガンドの結合部位も露出されるためである。また、別のいくつかの実施形態では、リガンドは、アナライト結合抗体に無関係である特異的な分子結合対の一方の要素に直接的または間接的に接続、連結または共役される。このような実施形態では、リガンドの結合部位の一部が結合対の一方の要素によって覆われる。この構成により、抗体−アナライトの錯体における抗体上の結合部位に対してのリガンドとアナライトとの間の競合が減少する。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンを含む共役の一部分を有する。リガンドはまたビオチン/アビジンの共役を形成しており、ここでは、アビジンが、第2の混合物がブロッキング領域を通過するときに第2の錯体(抗体−リガンド−ビオチン)を捕捉するためにブロッキング領域上に固定化されている。別の実施形態では、リガンドは、たんぱく質と共役された一対の特異結合分子の一方のパートナーを含む共役の一部分である。
小分子用の、特に薬物乱用の検出のための現代のアッセイでは、通常の医学的治療を受けている患者から薬物乱用者を区別するために、最も低い濃度すなわちカットオフ値を変更しなければならない。例えば、アナライトの存在を調べるために患者の血液が分析される場合、患者の血液は標準的なカットオフ値より高い濃度のアナライトを含んでいる可能性がある。試料中の標的アナライトの濃度が標準的なカットオフ値より高くても、必ずしもこの患者が薬物使用者であるということにはならない。患者は、単に治療の一環としてそのアナライトを摂取したということで高い濃度のアナライトを有している場合もある。このような状況では、アナライトの濃度をこのデバイスで検出できず、一般の人におけるアナライトの標準的なレベルと比較することができない。可能性のある薬物使用者を特定する際、カットオフ値がより高いデバイスを使用することでより正確となる。いくつかの実施形態では、デバイスは、流動領域に配置されたアナライト結合抗体を含んでおり、この抗体は、リガンドと結合するための結合親和力K2より低い、標的アナライトと結合するための結合親和力K1を有する。K1がK2より低い場合、第2の液体混合物内で、移動性抗体上に配置された結合部位に対して移動性リガンドと競合するためには、高濃度のアナライトが必要となる。それにより、たとえアナライトの濃度が患者の体液(body fluid)中の標準的なレベルより高い場合でも、偽陽性結果ではなく適切な陰性結果が検出領域上に得られる。結合親和力K1がK2以下である抗体が通常使用される。
アナライトと特異結合するための抗体、および、リガンドは、両方とも、液体試料に接触される前は乾燥相であってよい。別法として、抗体は試料に接触される前は液相であってもよい。抗体およびリガンドは、通常、試験デバイスの単一のストリップ上に乾燥相で収容される。液体試料が流動領域を通るように移動するとき、抗体およびリガンドは、液体試料中で溶解され、液体試料によって担持され得る。
アナライトと特異結合することができる移動性抗体は、検出可能な標識と共役され得る。この標識は、限定しないが、酵素、非水溶性粒子、コロイド金粒子、ラテックス粒子、またはこれらの任意の組み合わせから選択されてよい。いくつかの実施形態では、この標識は水溶性物質または蛍光物質である。この標識は、抗体を標識するのに適した任意の標識であってよい。
この試験デバイスは、直接的に陽性結果または陰性結果を表示することによって試料中の標的アナライトの有無を示すために、免疫アッセイで採用される競合原理を用いてアナライトを検出するのに使用され得る。具体的には、対象のデバイスは、免疫アッセイで発生する光信号を検出する電子式読取装置を有していてよい。
1.デバイス
図1は試験デバイスの一実施形態を示している。この試験デバイスは、示されるように、試料受取領域(sample reception zone)Aと、通常はある量の抗体および着色標識を含んでいるアナライト結合領域Bと、ビオチンと共役されている共役の一部分としてある量のリガンドを含んでいる調整領域Cと、ニトロセルロース膜Eとを有する試験ストリップ100を有する。ニトロセルロース膜は、ある量の固定化されたアビジンを含んでいるブロッキング領域Dと、検出領域Fと、結果制御領域Gとをさらに有する。通常、流動領域Kから制御領域Gまで通過する液体を吸収するための吸収領域Hが存在する。流動領域Kは、アナライト結合領域Bおよび調整領域Cの両方を取り囲んでいる。アナライト結合領域および調整領域上のアナライトおよびリガンドは、それぞれ、試料によって溶解されて試験ストリップに沿って運ばれ得る。
試料受取領域Aは通常、流動領域の下流に配置される。試料受取領域Aはまた、アナライトと抗体との間の反応条件を向上させるまたは調整することができる化学試薬で処理され得る。使用される化学試薬としては、限定しないが、従来技術で知られている、反応しやすいpH値、イオン濃度、試料中の一部の干渉物質の除去、または、他の任意適当な化学試薬、あるいはこれらの任意の組み合わせが含まれる。吸収性領域Hは、通常、液体の流れを促進しさらには強めるために検出領域の下流に配置される。吸収性領域に適した材料としては、限定しないが、ろ紙または他の任意の吸収性材料が含まれる。
流動領域Kは、標的アナライトまたはある量のリガンドのいずれか一方と結合するためのある量の抗体を含んでいる。抗体は乾燥状態で流動領域内に収容される。流動領域は、アナライト結合抗体の下流の流動領域上にある量のリガンドをさらに含んでいる。抗体およびリガンドは、試料が対応する領域を通過するときに試料によって移動されて試料中で溶解され得る。ある量のリガンドが、アナライト結合領域Bの下流に配置された調整領域C上に収容されていてよい。加えて、アナライトと特に結合するある量の抗体が、アナライト結合領域B上に乾燥状態で収容されていてよい。液体試料は通常ストリップ100に付加される。その後、試料はアナライト結合領域B上に配置される、アナライト結合抗体にある時間だけ接触する。次いで、試料は、試料がアナライト結合領域Bに接触した時間より短い時間だけ調整領域C上のリガンドに接触する。アナライトおよびアナライト結合抗体は抗体結合領域内で第1の混合物を形成し、この混合物は、アナライト結合抗体の下流に配置されたリガンドに接触する前にある時間だけ抗体結合領域内に維持されてよい。第1の混合物が、アナライト結合抗体に通常接触する時間は、第2の混合物が移動性リガンドに接触する時間より長い。いくつかの実施形態では、第1の混合物が、アナライト結合抗体に接触する時間は約1秒から約60秒の間である。いくつかの実施形態では、この時間は約10秒から約30秒の間である。いくつかの実施形態では、この時間は60秒を超える。
試験ストリップは、通常、アナライト結合領域Bと調整領域Cとをさらに有しており、間隙102がアナライト結合領域Bと調整領域Cとの間を分離している。間隙102は通常、吸水性材料を含んでいる。本明細書に記載するデバイスのいくつかの実施形態では、2つ以上の間隙が存在する。間隙が試験ストリップ上の調整領域とブロッキング領域との間に配置されてよい。このような実施形態では、第2の間隙は第1の間隙より短い。したがって、液体試料が、アナライト結合抗体と反応するためにアナライト結合領域に接触する時間は、試料がリガンドに接触する時間より長くなる。時間の長さの違いにより、液体試料中でのアナライト結合抗体とアナライトとの間の結合は、第2の液体混合物中でのリガンドと、アナライト抗体との間の結合と比較してより完全となる。
本考案で説明するデバイスの別の態様では、図2Aに示すように抗体とリガンドとの間にある垂直距離が存在する。このような実施形態では、アナライト結合領域201は吸水性ストリップ20の第1の部片上に配置され、調整領域203は第2の吸水性ストリップ21上に配置される。これら2つのストリップ20、21の間には間隙202が存在する。第1のストリップ20は、通常、第2のストリップ21の上方に配置されて第2のストリップ21から物理的に分離される。第1のストリップは、第1および第2のストリップが物理的に分離されている限りにおいて、第2のストリップに対して任意適当な位置に配置されてよい。試料は、第1のストリップ20上に配置された試料適用領域200のところでデバイスに付加される。試料は、第1のストリップ20に接触して、アナライト結合領域201内のアナライト結合抗体を液相へと溶解させ、それにより第1のアナライト−抗体の混合物が生成される。この混合物はアナライト結合領域内にある時間だけ維持されてよい。その後、第1のストリップ20は、図2Bに示すように、第2のストリップ21に隣接するように配置されて第2のストリップ21と流体連通するようになる。第1のストリップ20が第2のストリップ21に接触したときに、試料が、アナライト結合領域201から調整領域203を介して、第1のストリップ20から第2のストリップ21へと流れる。第1のストリップ20と第2のストリップ21とが接触した後、アナライト−抗体の混合物が、第2のストリップ21上に配置された調整領域203に接触する。抗体−アナライトの混合物はさらに調整領域203上に収容されているリガンドを溶解させ、それにより第2の混合物が生成される。第2の混合物は、通常、第1の混合物が生成される時間より短い時間で生成される。
ブロッキング領域204は、通常、検出デバイス内の調整領域203の下流に配置される。調整領域内の第2の液体混合物は、その後、試験ストリップの長手方向に沿ってブロッキング領域まで流れる。代替実施形態では、第1のストリップは、それ以前に第2のストリップに流体連通されている。このような実施形態では、液体混合物は、液体試料の重力により自然に落下して調整領域201内に到達する。
いくつかの実施形態では、ある量のトラッピング受容体がブロッキング領域上に固定化されている。固定化されたトラッピング受容体は、リガンドと結合するが第2の液体混合物中の、どのアナライト結合抗体とも直接的には結合しない特異的部位を有する。トラッピング受容体は、抗体、抗体フラグメント、移動性リガンドとは無関係である一部の特異的な分子対の一方のパートナー、または、他の任意適当なトラッピング受容体から選択されてよい。一対の特異的な分子の一方のパートナーがブロッキング領域上に固定化されている場合、この特異的な分子対の他方のパートナーがリガンドと共役され、調整領域上に収容され得る。特異的な分子対は、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトアビジン、抗体および抗原(標的アナライトと結合するための抗体およびアナライト自体は除く)、ローダミンおよび抗ローダミン、マウスIgGおよび抗マウスIgG、または、他の任意適当な分子対から選択されてよい。詳細には、流動領域で移動性リガンドにビオチンが付加または標識または結合された場合、ブロッキング領域は、リガンドと共役された共役の一部分としての、ビオチンと特異結合するためのある量のアビジンによってリガンドを固定化する。
別の実施形態では、移動性リガンド(抗原−リガンド)はたんぱく質と共役される。一般に、1つのたんぱく質分子は、単分子の抗原リガンドがアナライト用の複数の受容体に結合され得るように、複数の小さな抗原と共役され得る。抗原リガンドはビオチンにも連結され得る。陰性状態では、抗原リガンドはアナライト抗体と反応して錯体を形成(アナライト−抗体−ビオチンの錯体)する。錯体が、液体が流れる固相まで動いて、ストレプトアビジン−IgGの錯体に結合される場合、ストレプトアビジン−IgGの1つの単分子錯体は4つの分子状ビオチンに結合され得る。この多点での共役は、アナライトおよび抗体がこの固相を通過するのを防止してしまう。抗体またはアナライトをできるだけ少なく防止する機能があると、それに応じて偽陽性の可能性は低下する。また、試験の質を上げるために、別の試薬がブロッキング領域上またはその上流に配置されていてもよい。また、ブロッキング領域は、いくつかの実施形態では、限定しないが、ろ紙、セルロース膜、ナイロン膜、または他の任意適当な材料が含まれる固体材料上に配置される。いくつかの実施形態では、ブロッキング領域はセルロース膜上に配置される。
アナライト結合領域301と調整領域303との間に水平方向の間隙が存在するデバイスが図3Aに示されている。アナライト結合領域301は第1のストリップ30上に配置され、調整領域303は第2のストリップ31上に収容される。第1のストリップ30は、第2のストリップ31から、水平軸に沿って、これらの2つのストリップの間にある間隙302の分だけ分離されている。試料は試料適用領域のところで第1のストリップ30に付加される。試料は第1のストリップ30上のアナライト結合領域301に接触する。次いで、アナライト結合領域301内に配置された抗体が試料中で溶解されて第1の試料混合物が生成される。第1の試料混合物は、ある時間だけアナライト結合領域内に維持され得る。その後、第1のストリップ30は、図3Bに示すように、第2のストリップ31に隣接するように配置されてよい。アナライト結合領域301が調整領域303と流体連通するように配置されると、試料がアナライト結合領域301から調整領域へと流れて、そこで第2の液体混合物が生成される。アナライト結合領域301と調整領域303との間の間隙は、限定しないが特定の感度を含めた種々の要求基準、および、現行のデバイスを用いて1つの標的アナライトを試験するときの特異性に関する要求基準(specificity requirement)に適合するように設計され得る。いくつかの実施形態では、間隙302の幅は約1から100ミリメートルの間である。いくつかの実施形態では、この間隙の幅は少なくとも1ミリメートル、2ミリメートル、3ミリメートル、4ミリメートル、5ミリメートル、6ミリメートル、7ミリメートル、8ミリメートル、9ミリメートルまたは10ミリメートルである。いくつかの実施形態では、この間隙は100ミリメートルを超える。
いくつかの実施形態では、試験デバイスは、図4に描かれた、試験ストリップ100を入れるためのハウジング400を有する。ハウジング400は、試料がストリップ100に導入されるときに通過する試料ウェル41を有する。図4に示されるように、ハウジング400は、試料適用領域Aに位置合わせされた試料ウェル41と、検出領域Fおよび制御領域Gに位置合わせされた窓42とを有する。検出領域F上に示される結果は、透明の目視窓42を介して読み取ることができる。ブロッキング領域Dおよび流動領域K(図1に示したものと同様)は、通常、ハウジングの不透明壁によって隠される。いくつかの実施形態では、ブロッキング領域および流動領域は、壁が透明であるデバイスを用いることによって目視可能となる。
2.方法
本明細書ではまた、この試験デバイスを使用する方法が提供される。この試験デバイスを使用する一方法は、直接的な陽性結果または陰性結果によって液体試料中の標的アナライトの有無を検出するステップを含む。この方法は、第1の液体混合物を生成するために、標的アナライトまたはある量のリガンドと特異結合するためのある量のアナライト結合抗体に試料を接触させるステップを含む。標的アナライトが存在する場合、この第1の混合物は抗体−アナライトの錯体を含む。第1の液体混合物は、アナライトの量が抗体の量より少ない場合はある量の抗体を、または、アナライトの量が抗体の量より多い場合はある量のアナライトをさらに含む。第1の混合物は、通常、第2の液体混合物を生成するために、ある量のリガンドに接触する前に第1の時間だけ温置または維持される。第2の液体混合物中のリガンドは、実質的に液相の状態で、抗体−アナライトの錯体の抗体に結合するためにアナライトと競合する。第2の液体混合物は、通常、第1の時間より短い第2の時間だけ温置または維持される。この第2の時間において、第2の液体混合物は、未結合のリガンドまたはリガンド−抗体の錯体を含んでおり、リガンドを第2の液体混合物から抽出するためのある量のトラッピング受容体を含んだブロッキング領域を有する固相に接触する。アナライト結合抗体は、この第2の液体混合物中では直接的には結合されない。この試験結果は抗体−アナライトの錯体の量と相互関係がある。
別の実施形態では、この方法は、アナライト結合領域と、アナライト結合領域から分離されておりその下流にある調整領域と、ブロッキング領域と、検出領域とを有する固相に液体試料を付加するステップを含む。ある量のアナライト結合抗体が乾燥状態でアナライト結合領域上に収容されている。ある量のリガンドが乾燥状態で調整領域上に収容されている。アナライト結合抗体およびリガンドは液相中で溶解され、液体試料によって担持され得る。ブロッキング領域は、リガンドと結合するがどのアナライト結合抗体とも直接的に結合しないある量の固定化されたトラッピング受容体を含んでいる。
本明細書ではまた、アナライトの有無を検出するための方法が提供される。試料中におけるアナライトの有無を検出するための一方法は、第1の混合物を生成するために、ある量の標的アナライトまたはある量のリガンドのどちらか一方と特異結合するためのある量の抗体に試料を接触させるステップと、第2の混合物を生成するために第1の混合物をある量のリガンドに接触させるステップと、ブロッキング領域を有する固相に第2の混合物を接触させるステップにおいて、ブロッキング領域が、リガンドと特異結合するが第1の混合物の抗体とは直接的には結合しないある量の固定化されたトラッピング受容体を含んでいる、ステップと、第2の混合物中の抗体の量を測定するステップにおいて、検出される抗体の量が液体試料中のアナライトの量に対応する、ステップとを含む。いくつかの実施形態では、この固相はラテラルフローストリップを有する。いくつかの実施形態では、リガンド、および、アナライトと結合するための抗体の両方が、ラテラルフローストリップ上で乾燥されており、ブロッキング領域の上流に配置されている。この方法ではさらに、アナライトと無関係であるリガンドを含んでいる分子共役を生成することが可能であり、それによりトラッピング受容体が第2の混合物中に生成される。この分子共役は、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトアビジン、または、ローダミンおよび抗ローダミンから選択されてよい。また、この分子共役は検出可能な標識をさらに含んでいる。検出可能な標識は、コロイド金、ラテックス粒子または発色団からなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、移動性抗体と移動性リガンドとの間の親和定数は、アナライトと移動性抗体との間に存在する親和定数より大きい。いくつかの実施形態では、試料がアナライト結合抗体と接触する時間の長さは、第1の液体混合物がリガンドに接触する時間の長さより大きい。
3.実施例
本考案の単に実施例であることのみを意図しており本考案を限定することを意図しない以下の実施例によって本考案をさらに説明する。
実施例1:尿中のコカインの検出
コロイド金と共役されたコカイン抗体を含む共役の準備
対称形である適切な粒子(直径が20nm−40nm)を含む3Lの金コロイド溶液を清潔なガラス容器内に用意した。最初に、この金コロイド溶液をかき混ぜた。次に、pH=7.0であるリン酸塩緩衝溶液を金コロイド溶液に加えて、コロイド金溶液のpHが約6.8となるように調整した。次いで、25mgのCOC単クローン抗体をこの混合物に加えた。この溶液を連続して約1時間かき混ぜた。溶液をかき混ぜた後、反応を阻止するために35mlの10%BSAを加えた。その後再び、溶液をさらなる時間かき混ぜた。続けて、このブロッキング溶液を11000rpmで約35分間だけ遠心分離機にかけた。次いで上清を除去した。その後、堆積物を0.003mol/Lの0.02%BSA/リン酸塩溶液(洗浄緩衝液)に溶解し、その溶液を再び遠心分離機にかけた。上清を再びデカントして、堆積物を収集した。こうすることにより、以後、金コロイド溶液の濃度を必要に応じて調節することができる。こうして、540nm未満の波長における溶液のOD値を測定した。
コカインおよびビオチンを含む共役(COC−BSA−ビオチン)の準備
BSA−コカインの共役2.5mg/ml(Immunetic Inc.より購入)を1000mlのNaHCO緩衝溶液(pH=8.0)中で4時間透析して溶液(1)を生成した。蒸留水で10mMの濃度までビオチンを希釈した後、47μlのビオチン溶液と溶液(1)とを混ぜ合わせて室温で1時間攪拌することにより溶液(2)を生成した。溶液(2)を1000mlのリン酸塩緩衝溶液(phosphate buffered solution)(pH=7.4)中で12時間透析して溶液(3)を生成した。次いで、分光測光器内の655nm未満の波長のコカイン−BSA−ビオチンの濃度を希釈して溶液(4)とし、濃度が0.5mg/mlの最終溶液を生成した。
試験ストリップの準備
図1に示した試験ストリップを用意した。
試料適用パッドの準備
ガラス繊維から作られた試料適用パッドMを使用した。まず、このガラス繊維を緩衝溶液(buffered solution)(Borax0.05M、pH9.3、表面活性試薬:2%S−17:(RHODASURF(R)ON−870))で処理して、オーブンを用いて37℃で乾燥させた。
標識パッドBの準備
次いで、ポリエステル膜を緩衝溶液(buffered solution)(PVA 5g/L、NaHPO、7.1g/L、S−14(Triton−X−100)0.1%、BSA 5g/L、NaN 0.2g/L)で処理した。この膜をオーブンを用いて37℃で乾燥させた。この膜を、抗COCで標識されており、濃度が10OD未満でありかつ1ul/cmという条件のコロイド金粒子および自動スプレー用マイクロプロセッサ(automatic spray microprocessor)で処理して標識パッド1を生成した。次いで、標識パッド1をオーブンを用いて37℃で乾燥させた。
標識パッドCの準備
このポリエステル膜を緩衝溶液(buffered solution)(PVA 5g/L、NaHPO、7.1g/L、S−14(Triton−X−100)0.1%、BSA 5g/L、NaN 0.2g/L)で処理し、オーブンを用いて37℃で乾燥させた。次に、この膜を基準値2.5ul/cm未満の0.5mg/mlのビオチン−BSA−COC溶液4および自動スプレー用マイクロプロセッサで処理して標識パッド2を生成した。次いで、標識パッド2をオーブンを用いて37℃で乾燥させた。
ニトロセルロース膜の準備
ニトロセルロース(NC)膜Eのブロッキング領域Dを、濃度が0.6mg/mlであり2.5ul/cmという条件のストレプトアビジン−IgG(Yingkelong Biotechnology Co. Ltd.(杭州))および3バンドの自動スプレー用マイクロスプレー膜プロセッサ(3 bands automatic spray microspray−membrane processor)で処理した。検出領域Fを、濃度が0.6mg/mlであり1.0ul/cmという基準条件のヤギ抗マウス抗体IgG(Fitzgerald Inc.より購入)および1バンドの自動スプレー用マイクロスプレー膜プロセッサ(1 bands automatic spray microspray−membrane processor)で処理した。次いで、このNC膜Eをオーブンを用いて37℃で乾燥させた。
試料パッド、標識パッドおよびNC膜を備える試験ストリップの構築
用意した部品をおよそ0.4×10cmの試験ストリップに切断した。試料適用領域A、標識パッド1B、標識パッド2C、NC膜Eおよび吸収性ろ紙Hを、連続するように組み合わせた。標識パッド1Bおよび標識パッド2Cが、試料適用領域A、標識パッド1B、標識パッド2CおよびNC膜Eから距離102だけ隔離された状態を維持するようにした。これらのすべての部品を吸水性材料の上に付着させた。
コカイン検出溶液の希釈
コカインを陰性尿で希釈して、検出溶液の濃度を0ng/ml、150ng/ml、50ng/ml、100ng/ml、150ng/ml、450ng/mlおよび900ng/ml未満とする。
検出結果を表1にまとめた。
Figure 0003158764
コカイン試験ストリップでの結果を図5Aに示した。この試験により、尿試料中の複数のコカイン濃度における検出領域Jでの結果が示される。試料のコカイン濃度は、左から右に0ng/ml、150ng/ml、450ng/mlおよび900ng/mlである。I:吸収領域、J:検出領域、K:ブロッキング領域、L:標識領域、M:試料受取領域。
結果の分析
この検出結果は、本考案が提供する方法およびデバイスにより、検出感度を最大50ng/ml程度まで向上させることができることを示している。偽陰性は見られなかった。
実施例2:尿中のフェンシクリジン(PCP)の検出
実施例1で説明した試験ストリップを用意した。採用した実験計画は実施例1と同じであるが、いくつかの部分が異なる:(1)COCをPCPに置き換えた、(2)試料適用パッドAを処理するための緩衝溶液(buffered solution)をTRIS緩衝溶液(TRIS buffered solution)とし、具体的処方では、0.1MのTRIS塩(pH=8.0)と、1%S−7(RHODASURF(R)ON−870)、1%S−9(RHODASURF(R)ON−870)および1%BSAを含む表面活性試薬とが含まれる、(3)標識パッドCを処理するためのビオチン−BSA−PCPの濃度を1mg/ml、処理基準値を2.5ul/cmとし、標識パッドCをオーブンを用いて37℃で乾燥させた、(4)NC膜Eを用意するときに、検出領域Fの下流にあり吸収性パッドHに近接する検出結果処理領域Gにヤギ抗ウサギIgGが塗布される。この塗布手法は、実施例1の検出領域Fの場合と同じである。
PCP溶液の希釈
PCPを陰性尿で希釈して、検出溶液の濃度を0ng/ml、12.5ng/ml、37.5ng/ml未満とする。
標識パッド1を、ラビットIgGと、濃度が0.6mg/ml未満であるコロイド金粒子と、自動スプレー用マイクロプロセッサとで処理した。次いで、標識パッド1をオーブンを用いて37℃で乾燥させた。他の試薬の濃度および手法は実施例1の場合と同じである。
検出結果
図5Bは、PCPが尿試料中に存在しない場合に、検出領域5内にバンドが現れないことにより陰性結果(左から右に、第1の結果および第2の結果)が直接的に示されている様子を説明している。PCPが存在する場合は検出領域内にバンドが現れ、このバンドの色は濃度が上がるにつれて暗くなっている。
実施例3:尿中のメチルアンフェタミン(MET)の検出
使用した試験ストリップの処置は実施例1で説明した処置と同じである。採用した実験計画は、PCPがメチルアンフェタミン(MET)に置き換えられ、このMET希釈液が、METを陰性尿で希釈することによって得られ、それにより濃度が0ng/ml、150ng/ml、450ng/mlおよび900ng/mlの検出溶液が得られることを除いて、実施例2で説明した実験計画に類似する。
検出結果
図5Cは、METが尿試料中に存在しない場合に、検出領域15内にバンドが現れないことにより陰性結果(左から右に、第1の結果および第2の結果)が直接的に示されている様子を説明している。METが存在する場合は検出領域内にバンドが現れ、このバンドの色は濃度が上がるにつれて暗くなっている。
実施例4:尿中のモルヒネの検出
使用した試験ストリップの処置は実施例1で説明した処置と同じである。採用した実験計画は、PCPがモルヒネに置き換えられることを除いて実施例2で説明した実験計画に類似する。モルヒネ希釈溶液はMOPを陰性尿で希釈することによって生成され、それにより、濃度が0ng/ml、105ng/ml、450ng/mlおよび900ng/mlの検出溶液が得られる。
検出結果
図5Dは、MOPが尿試料中に存在しない場合に、検出領域25内にバンドが現れないことにより陰性結果(左から右に、第1の結果および第2の結果)が直接的に示されている様子を説明している。MOPが存在する場合は検出領域内にバンドが現れ、このバンドの色は濃度が上がるにつれて暗くなっている。
実施例5:尿中のアンフェタミン(AMP)の検出
使用した試験ストリップの処置は実施例1で説明した処理と同じである。採用した実験計画は、PCPがアンフェタミン(AMP)に置き換えられることを除いて実施例2で説明した実験計画に類似する。このAMP希釈液はAMPを陰性尿で希釈することによって生成され、それにより、濃度が0ng/ml、150ng/ml、1500ng/mlおよび3000ng/mlの検出溶液が得られる。
検出結果
図5Eは、AMPが尿試料中に存在しない場合に、検出領域35内にバンドが現れないことにより陰性結果(左から右に、第1の結果および第2の結果)が直接的に示されている様子を説明している。AMPが存在する場合は検出領域内にバンドが現れ、このバンドの色は濃度が上がるにつれて暗くなっている。
実施例6:尿中のテトラヒドロカナビノール(THC)の検出
使用した試験ストリップの処置は実施例1で説明した処置と同じである。採用した実験計画は、PCPがテトラヒドロカナビノール(THC)に置き換えられることを除いて実施例2で説明した実験計画に類似する。このTHC希釈液はTHCを陰性尿で希釈することによって生成され、それにより、濃度が0ng/ml、17.5ng/ml、75ng/ml、および150ng/mlの検出溶液が得られる。
検出結果
図5Fは、THCが尿試料中に存在しない場合に、検出領域45内にバンドが現れないことにより陰性結果(左から右に、第1の結果および第2の結果)が直接的に示されている様子を説明している。THCが存在する場合は検出領域内にバンドが現れ、このバンドの色は濃度が上がるにつれて暗くなっている。
本明細書では本考案の好適な実施形態を示して説明してきたが、これらの実施形態が単に例として提示されていることは当業者には明白である。当業者には多数の変形形態、変更および置き換えが本考案から逸脱することなく直ちに思いつくであろう。本明細書で説明した本考案の実施形態に対する種々の代替形態が本考案を実施するのに採用され得ることを理解されたい。添付の実用新案登録請求の範囲が本考案の範囲を定義すること、ならびに、これらの実用新案登録請求の範囲内にある方法および構造とそれらの均等物とがそれによって保護され得ることが意図される。

Claims (16)

  1. 液体試料中におけるアナライトの有無を検出するための試験デバイスであって、
    移動性リガンドおよび移動性抗体を含んでおり、移動性抗体がアナライトおよび/または移動性リガンドと特異結合する、流動領域と、
    流動領域の下流に配置されており、移動性リガンドと結合する固定化されたトラッピング受容体を含んでいるブロッキング領域と、
    ブロッキング領域の下流に配置されており、移動性抗体と結合する固定化された検出受容体を含んでいる検出領域と
    を有する、試験デバイス。
  2. 移動性抗体が、移動性リガンドが試料に接触される前に試料に接触されるようになされる、請求項1に記載のデバイス。
  3. 試料が移動性リガンドに接触する前に移動性抗体に接触するように、移動性リガンドが移動性抗体から空間的に分離されるようになされている、請求項1に記載のデバイス。
  4. 流動領域、ブロッキング領域および検出領域を横切る前記液体試料の流れを補助するようなラテラルフローストリップの方式を採用するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
  5. 移動性リガンドおよび移動性抗体がある間隙だけ分離されるようになされる、請求項1に記載のデバイス
  6. 移動性リガンドがアナライトとは異なる結合対の一要素を含み、固定化されたトラッピング受容体が結合対の他方の要素を含む、請求項1に記載のデバイス。
  7. 結合対が、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびステレプトアビジン、ならびに、ローダミンおよび抗ローダミンのグループから選択される、請求項6に記載のデバイス。
  8. 結合対がビオチンおよびストレプトアビジンから構成される、請求項6に記載のデバイス。
  9. 移動性リガンドおよび移動性抗体がある垂直距離または水平距離だけ互いから分離されるようになされる、請求項1に記載のデバイス。
  10. 移動性リガンドおよび移動性抗体がある水平距離だけ互いから分離されるようになされる、請求項1に記載のデバイス。
  11. 移動性抗体が乾燥状態で存在して第1の吸水性ストリップ内に収容され、移動性リガンドが乾燥状態で存在して第2の吸水性ストリップ内に収容されており、第1のストリップが第2のストリップから物理的に分離されている、請求項1に記載のデバイス。
  12. ブロッキング領域および検出領域が第2の吸水性ストリップ上に配置され、移動性リガンドの下流に配置される、請求項11に記載のデバイス。
  13. 移動性抗体と移動性リガンドとが第1の結合親和力を有し、アナライトと移動性抗体とが第2の結合親和力を有しており、第1の結合親和力が第2の親和定数より大きい、請求項1に記載のデバイス。
  14. 移動性抗体が着色粒子をさらに有する、請求項1に記載のデバイス。
  15. 試料が移動性抗体に接触する接触時間が、試料が移動性リガンドに接触する接触時間より長くなるように、移動性リガンドおよび移動性抗体が流動領域上に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
  16. 移動性抗体が検出可能な標識を有する、請求項1に記載のデバイス。
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