JP3157809U6 - 黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク - Google Patents

黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク Download PDF

Info

Publication number
JP3157809U6
JP3157809U6 JP2009008630U JP2009008630U JP3157809U6 JP 3157809 U6 JP3157809 U6 JP 3157809U6 JP 2009008630 U JP2009008630 U JP 2009008630U JP 2009008630 U JP2009008630 U JP 2009008630U JP 3157809 U6 JP3157809 U6 JP 3157809U6
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
graphite
heat sink
microchannels
electronic device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009008630U
Other languages
English (en)
Other versions
JP3157809U (ja
Inventor
ジュリアン ノーリー,
プラスィブ スカンダクマラン,
マシュー ジョージ ゲッツ,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Graftech International Holdings Inc
Original Assignee
Graftech International Holdings Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US11/327,832 external-priority patent/US20070158050A1/en
Application filed by Graftech International Holdings Inc filed Critical Graftech International Holdings Inc
Application granted granted Critical
Publication of JP3157809U publication Critical patent/JP3157809U/ja
Publication of JP3157809U6 publication Critical patent/JP3157809U6/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】軽量で、冷却液体に対して不活性である黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供する。
【解決手段】マイクロチャネルヒートシンクは黒鉛材料から製造される。ヒートシンク部材300Aは、電子デバイスとの熱接触を形成させるために少なくとも第1の熱接触面308Aを有する。ヒートシンク部材は、膨張黒鉛の圧縮粒子の少なくとも第1のシート302Aから構成され、第1のシートは2つの主面を有する。少なくとも1つの主面が、冷却液体を移送するために内部に形成された第1の複数のマイクロチャネル314Aを有する。各マイクロチャネルは、主面の一方と平行な長さを有し、上記長さに対して垂直な断面318を有する。断面の寸法は、約1,000ミクロン未満である。
【選択図】図1

Description

本考案は、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクに関する。ヒートシンクは、マイクロプロセッサなどの電子デバイスを冷却するための装置を提供する。本考案のヒートシンクは、2つの積層された電子デバイスの間に介在するように特に適合させることができる。
エレクトロニクス産業は、熱に制約された成長期に入っている。電子部品の熱流が増加してきており、もはや空気冷却では、マイクロプロセッサおよび他の電子部品の所望の動作温度を維持するために十分な熱を除去することができない。
従来の空気冷却によって扱うことができると一般に考えられている最大熱流は約50W/cm2である。約50W/cm2を超える熱流を発生させるマイクロプロセッサおよび他の電子デバイスが開発されているので、エレクトロニクス産業では液体冷却ヒートシンクに移行している。このような液体冷却ヒートシンクの方法の1つは、マイクロチャネルヒートシンクと呼ばれるものである。マイクロチャネルヒートシンクは、ヒートシンクが構成される材料中に形成された非常に小さい溝を有し、それによって、非常に細いマイクロチャネルによって分離された非常に薄いフィンが提供されている。これによって、放熱のためのはるかに広い表面積が得られる。強制液体循環システムと併用することで、マイクロチャネルヒートシンクは、冷却能力を増加させようというエレクトロニクス産業の要求に対する最も将来性のある解決法の1つを提供する。
現在まで、マイクロチャネルヒートシンクは、シリコン、ダイヤモンド、アルミニウム、および銅、銅−タングステン複合材料、ならびに酸化ベリリウムなどのセラミックなどの材料から構成されてきた。
Bondeらに付与された米国特許第5,099,311号明細書の詳細は参照により本明細書に組み込まれ、マイクロチャネルに冷却剤を供給するためのシステムを含むシリコンマイクロチャネルヒートシンクの典型的な構造が開示されている。
Walpoleらに付与された米国特許第5,099,910号明細書の詳細は参照により本明細書に組み込まれ、ヒートシンクの表面上により均一な温度および耐熱性をもたらすために、流体流の方向が隣接するマイクロチャネルと互い違いになるようにU字型マイクロチャネルを有するマイクロチャネルヒートシンクが開示されている。Walpoleらのヒートシンクは、シリコン、Thermcon(登録商標)などの銅−タングステン複合材料、または酸化ベリリウムなどのセラミックから製造される。
Vafaiらに付与された米国特許第6,457,515号明細書および同第6,675,875号明細書の詳細は参照により本明細書に組み込まれ、ヒートシンク全体を流れる流体の方向での温度勾配を解消するために、隣接する層と流体の流れが反対方向となっている多層マイクロチャネルヒートシンクが開示されている。
Shiomiらに付与された米国特許第5,874,775号明細書の詳細は参照により本明細書に組み込まれ、ダイヤモンドヒートシンクが開示されている。
Goodsonらに付与された米国特許出願公開第2003/0062149号明細書の詳細は参照により本明細書に組み込まれ、電気浸透マイクロチャネル冷却システムが記載されている。
従来使用されてきた材料で遭遇する問題の一部を回避するために、マイクロチャネルヒートシンク中に使用するための改善された材料が引き続き必要とされている。本考案は、マイクロチャネルヒートシンク装置を提供する。なお、本明細書には、黒鉛材料からのその製造方法が提供される。より大きなチャネルを有する従来のヒートシンクの製造に黒鉛材料が以前から使用されているが、マイクロチャネルヒートシンクにおける使用は以前には提案されていない。
黒鉛材料から製造された従来の大きさのヒートシンクの一例が、Getz,Jr.らに付与され本考案の譲受人に譲渡された米国特許第6,771,502号明細書に示されている。
Tzeng、Getz,Jr.、およびWeberに付与された米国特許第6,245,400号明細書においては、膨張黒鉛の圧縮粒子の接着剤で覆われたシートが教示されており、熱界面物品として特に有用であると記載されている。さらに、Tzengに付与された米国特許第6,482,520号明細書には、電子部品などの熱源のヒートスプレッダ(この特許においては熱界面と称する)としての膨張黒鉛の圧縮粒子のシートの使用が開示されている。実際に、このような材料は、Advanced Energy Technology Inc.Lakewood,Ohioより、eGraf(登録商標)SpreaderShieldクラスの材料として市販されている。
黒鉛は、炭素原子の六角形配列または網目構造の層面で構成されている。六角形に配列された炭素原子のこれらの層面は、実質的に平坦であり、互いに対して実質的に平行で等距離となるように配向または配列している。炭素原子の実質的に平坦で平行で等距離のシートまたは層は、グラフェン層または底面と通常呼ばれており、互いに連結または結合しており、それらの群が微結晶(crystallite)中に配列している。高度に規則的な黒鉛は、かなりの大きさの微結晶からなり、これらの微結晶は互いに高度に配列または配向しており、十分規則的な炭素層を有する。言い換えると、高度に規則的な黒鉛は、好ましい微結晶配向を高い程度で有する。黒鉛は、異方性構造を有し、したがって、熱伝導性および導電性などの方向性の高い多くの性質を示す、あるいは有することに留意されたい。
簡潔に述べると、黒鉛は、炭素の層状構造、すなわち、炭素原子の重なり合った複数の層または薄膜が、弱いファンデルワース力によって互いに連結したものからなる構造を特徴とすることができる。黒鉛構造を考える場合、通常、2つの軸または方向、すなわち「c」軸または方向と、「a」軸または方向とで表される。簡単にするため、「c」軸または方向は、炭素層に対して垂直の方向と見なすことができる。「a」軸または方向は、炭素層に対して平行な方向、すなわち「c」方向に対して垂直の方向と見なすことができる。可撓性黒鉛シートの製造に好適な黒鉛は、非常に高度な配向を有する。
上述したように、炭素原子の平行な層を互いに維持する結合力は、弱いファンデルワース力のみである。天然の黒鉛を処理することによって、重なり合った炭素層または薄膜の間の間隔を大きく広げることができ、それによって、層に対して垂直の方向、すなわち「c」方向で大きく膨張させ、したがって、炭素層の層状特性を実質的に維持しながら拡張または膨張した黒鉛構造を形成することができる。
大きく膨張し、特に最終厚さ、すなわち「c」方向寸法が元の「c」方向寸法よりも約80倍以上になるまで膨張した黒鉛フレークは、ウェブ、紙、ストリップ、テープ、箔、マットなどの膨張黒鉛の凝集性または一体化シート(通常「可撓性黒鉛」と呼ばれる)中にバインダーを使用せずに形成することができる。元の「c」方向寸法の約80倍以上にもなる最終厚さ、すなわち「c」寸法を有するように膨張した黒鉛粒子から、結合材料を使用せずに圧縮によって一体化された可撓性シートを形成することは、大きく膨張した黒鉛粒子の間に達成される機械的な相互連結または凝集のために可能であると考えられている。
可撓性に加えて、上述のシート材料は、高圧縮の結果、膨張した黒鉛粒子および黒鉛層の配向がシートの互いに反対側の面で実質的に平行であるため、熱伝導性に関して高い異方性を有することも分かっており、このことは熱拡散用途において特に有用となる。したがって、製造されたシート材料は優れた可撓性、良好な強度、および高度な配向を有する。
簡潔に述べると、ウェブ、紙、ストリップ、テープ、箔、マットなどの可撓性でバインダー不使用の異方性黒鉛シート材料の製造方法は、元の粒子の最大約80倍以上にもなる「c」方向寸法を有する膨張黒鉛粒子を、バインダーは使用せず所定の荷重で圧縮または緻密化して、実質的に平坦で可撓性で一体化された黒鉛シートを形成するステップを含む。全体的にワーム状または蠕虫状の外観である膨張黒鉛粒子は、一度圧縮されると、シートの互いに反対側の主面で圧縮永久ひずみおよび配列が維持される。シート材料の密度および厚さは、圧縮の程度を制御することによって変動させることができる。シート材料の密度は、約0.04g/cc〜約2.0g/ccの範囲内とすることができる。
可撓性黒鉛シート材料は、シートの互いに反対側にある平行な主面に対して黒鉛粒子が平行に配列し、配向を増加させるためにシート材料を圧縮することで異方性の程度が増加するため、かなりの大きさの異方性を示す。異方性シート材料を圧縮することによって、厚さ、すなわち互いに反対側の平行なシート面に対して垂直な方向が「c」方向を含み、長さおよび幅に沿って分布する方向、すなわち互いに反対側の主面に沿ったまたはそれらに平行な方向が「a」方向を含み、シートの熱的および電気的性質は、「c」および「a」の方向で非常に大きく異なる。
したがって、黒鉛材料でできており経済的に製造されたマイクロチャネルヒートシンクが望まれている。
したがって、本考案の目的の1つは、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
本考案の別の目的は、比較的軽量のマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
さらに、本考案の別の目的は、水および他の従来の冷却液体に対して不活性である、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
本考案のさらに別の目的は、良好な熱伝導性を有する、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
本考案のさらに別の目的は、エレクトロニクス実装において使用される典型的な半導体材料およびセラミック材料と同等の熱膨張係数を有する、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
さらに、本考案の別の目的は、ローラエンボス加工などの大量生産方法を使用してマイクロチャネルを形成することができるため、材料の費用対効果の高い製造が可能となる、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
本考案のさらに別の目的は、2つの積層された電子デバイスの間に介在させるのに好適な、黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクを提供することである。
電子デバイスを冷却するための装置であって、電子デバイスとの熱接触を形成するための少なくとも第1の熱接触面を有するヒートシンク部材を含み、上記部材が、膨張黒鉛の圧縮粒子の少なくとも第1のシートから構成され、上記シートが2つの主面を有し、少なくとも1つの上記主面が、冷却流体を移送するために内部に形成された第1の複数のマイクロチャネルを有し、上記マイクロチャネルのそれぞれは、上記1つの上記主面に平行な長さを有し、さらに上記長さに対して垂直な断面を有し、上記断面の少なくとも1つの寸法が約1,000ミクロン未満である装置を提供することによって、上記目的、および以下の説明を読めば当業者には明らかとなるであろう他の目的を達成することができる。
別の実施態様においては、装置は、膨張黒鉛の圧縮粒子の第2のシートを含み、第1および第2のシートが互いに接合して、マイクロチャネルの断面を画定する。ヒートシンク部材の互いに反対側の表面上に第1および第2の熱接触面が画定されるため、2つの積層された電子デバイスの間にヒートシンク部材を介在させることができる。
電子デバイスを冷却するための装置の別の実施態様においては、ヒートシンク部材を、膨張黒鉛の圧縮粒子の第1、第2、および第3のシートから構成することができる。3つのシートの間の界面でマイクロチャネルの2つの層が画定されるため、第1および第2の複数のマイクロチャネルが、互いに反対方向に冷却流体を移送することができる。
本考案の別の実施態様においては、高熱流密度条件下で動作可能な第1および第2の積層された電子デバイスを有する液体冷却式電子装置が提供される。ヒートシンク部材が、上記第1および第2の積層された電子デバイスの間に介在し、各電子デバイスと熱接触する。このヒートシンク部材は、可撓性黒鉛材料の少なくとも2つのシートで構成され、それらの主面が互いに接合しており、上記シートの1つの少なくとも1つの上記主面が、2つの積層された電子デバイスの間に冷却液体を移送するために内部に形成された複数のマイクロチャネルを有する。
本考案の別の実施態様においては、黒鉛材料からマイクロチャネルヒートシンクを製造する方法が提供される。各シートが2つの主面を有する可撓性黒鉛材料の第1および第2のシートが提供される。複数のマイクロチャネルは、上記第1のシートの少なくとも1つの上記主面中に形成される。第2のシートは、第1のシートの上に重ねられ、上記第1および第2のシートの隣接する主面が互いに接合することで、マイクロチャネルの断面が閉じられる。第1および第2のシートの少なくとも1つの露出主面上に、電子デバイスを取り付けるための熱接触面が設けられる。あるいは、熱接触面は、両方の露出主面状に設けることができ、それによって、2つの積層された電子デバイスの間にマイクロチャネルヒートシンクを介在させることができる。マイクロチャネルは、好ましくは、可撓性黒鉛シートをローラエンボス加工することによって形成される。
本明細書に記載の黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクは、他の材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクに対して多数の利点を有する。
利点の1つは、シリコン、アルミニウム、銅、ダイヤモンド、および従来使用されている他の材料よりも黒鉛材料が比較的軽量であることである。このように比較的小さく軽量で高性能のマイクロチャネルヒートシンク部材は、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末、および携帯電話などの比較的小型のコンピュータデバイスにおいて特に有用である。ヒートシンク部材300が構成されるそれぞれの可撓性黒鉛シートは、好ましくは約1.0g/cc〜約2.0g/ccの範囲内の密度を有する。より好ましくはシートは、約1.4g/cc〜約2.0g/ccの範囲内の密度を有する。シートの熱伝導率は、好ましくは少なくとも約140W/m°Kであり、より好ましくは少なくとも約400W/m°Kである。
黒鉛材料から形成されたヒートシンク部材の別の利点は、マイクロチャネルヒートシンクに使用される最も一般的な冷却液体である水に対して材料が不活性であることである。これは、マイクロチャネルヒートシンク用に使用されてきたアルミニウムなどの一部の他の材料とは対照的である。黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクに使用すると好ましい冷却媒体は水であるが、可撓性黒鉛シート中の樹脂を攻撃する溶媒などを含まないのであれば、他のあらゆる好適な冷却流体を使用することができる。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクの別の利点は、マイクロチャネルヒートシンク用に使用されてきたシリコンなどの一部の他の材料とは対照的に、その材料自体の熱伝導性が良好であることである。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクの別の利点は、黒鉛材料が、マイクロプロセッサおよび他の電子デバイスに従来使用されてきた半導体材料およびセラミック材料と同等の熱膨張係数を有することである。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク部材300の別の利点は、ローラエンボス加工などの大量生産方法を使用して材料内にマイクロチャネルを形成できるので、材料の費用対効果の高い製造が可能となることである。最小約100ミクロンの幅のチャネルをローラエンボス加工によって製造することができる。
以上の概要および以下の詳細な説明の両方は、本考案の実施態様を提供し、請求される本考案の理解および性質、ならびに特徴の外観または構成を提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、本考案の理解をさらに進めるために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している。これらの図面は、本考案の種々の実施態様を説明するものであり、本明細書の説明とともに、本考案の原理および操作を説明する機能を果たしている。
マイクロチャネルヒートシンクの第1の実施態様の斜視図である。 マイクロチャネルヒートシンクの第2の実施態様の斜視図である。 図1と類似のマイクロチャネルヒートシンクの端面図であり、その上に第1の電子デバイスが取り付けられ、電子デバイスとマイクロチャネルヒートシンクとの間に熱界面を有する。 図1と類似のマイクロチャネルヒートシンクの端面図であり、その互いに反対側の面上に第1および第2の積層された電子デバイスが取り付けられている。 図1と類似のマイクロチャネルヒートシンクの端面図である。 図2と類似のマイクロチャネルヒートシンクの端面図である。 可撓性黒鉛材料の3つのシートで構成される別のマイクロチャネルヒートシンクの端面図であり、2つの外部シートは、内部に形成されたマイクロチャネルを有し、中央のシートは、両方の外部シートのマイクロチャネル上のキャップを形成している。この構造によって、2つの層のマイクロチャネルが提供される。 可撓性黒鉛材料の3つのシートから構成されるマイクロチャネルヒートシンクの端面図であり、中央のシートは、その各主面上に形成されたマイクロチャネルを有し、2つの外部シートは、中央のシートのマイクロチャネル上のキャップを形成している。この構造によって、2つの層のマイクロチャネルが得られる。 可撓性黒鉛材料の4つのシートから構成されるマイクロチャネルヒートシンクの端面図であり、2つの最内シートのそれぞれは、それらの最外主面上に形成されたマイクロチャネルを有し、2つの外部シートは、2つの内部シートのマイクロチャネル上のキャップを形成している。この構造によって、2つの層のマイクロチャネルが提供される。 可撓性黒鉛材料の4つのシートから形成された本考案の別の実施態様の端面図であり、各シートが、内部に形成されたマイクロチャネルを有し、2組の隣接するシートのそれぞれのマイクロチャネルが、互いに相補的で重なり合っており、2つの層のマイクロチャネルを形成している。 エンボス加工によって内部にマイクロチャネルが形成された可撓性黒鉛材料のシートの断面の顕微鏡写真である。 樹脂を含浸させた可撓性黒鉛シートを連続的に製造するためのシステムを示している。
黒鉛は、積み重ねられた平坦な面内に共有結合した原子を含み、面の間により弱い結合を有する炭素の結晶形態の1つである。上述の可撓性黒鉛シートなどの原料物質を得る場合は、通常、天然の黒鉛フレークなどの黒鉛粒子を、硫酸および硝酸の溶液などのインターカラントで処理し、それによって黒鉛の結晶構造が反応して、黒鉛とインターカラントとの化合物を形成する。以降、処理された黒鉛粒子を、「インターカレートされた黒鉛粒子」と称する。高温に曝露すると、黒鉛中のインターカラントが分解し揮発して、インターカレートされた黒鉛粒子は、「c」方向、すなわち黒鉛の結晶面に対して垂直方向で、アコーディオンのように元の体積の最大約80倍にまで寸法が膨張する。膨張(剥離と称する場合もある)した黒鉛粒子は、外観が蠕虫状であり、そのため一般にワームと呼ばれる。ワームを互いに圧縮して可撓性シートにすることができ、これは元の黒鉛フレークとは異なり、種々の形状に形成および切断が可能であり、機械的衝撃によって変形して横方向に小さな開口部を設けることができる。
本考案における使用に好適な可撓性シートの黒鉛出発物質は、有機酸および無機酸、ならびにハロゲンをインターカレートして、続いて熱に曝露した時に膨張することができる高黒鉛状炭素質材料を含む。これらの高黒鉛状炭素質材料は、最も好ましくは約1.0の黒鉛化度を有する。本開示において使用される場合、用語「黒鉛化度」は、次式による値gを指す。
Figure 0003157809
式中、d(002)は、オングストローム単位で測定した結晶構造中の炭素の黒鉛層の間の間隔である。黒鉛層の間の間隔dは、標準的なX線回折技術によって測定される。(002)、(004)、および(006)のミラー指数に対応する回折ピーク位置を測定し、標準的な最小二乗法を使用して、これらすべてのピークの全体の誤差が最小となる間隔を導き出す。高黒鉛状炭素質材料の例としては、種々の原料による天然の黒鉛、ならびに化学蒸着、ポリマーの高温熱分解、または溶融金属溶液からの結晶化などによって調製された黒鉛などの他の炭素質材料が挙げられる。天然の黒鉛が最も好ましい。
出発物質の結晶構造が必要な黒鉛化度を維持し、剥離が可能であるなら、本考案において使用される可撓性シートの黒鉛出発物質は、非黒鉛成分を含有することができる。一般に、結晶構造が必要な黒鉛化度を有し、剥離が可能であるあらゆる炭素含有材料が、本考案での使用に好適となる。このような黒鉛は、好ましくは20重量%未満の灰分を有する。より好ましくは、本考案において使用される黒鉛は純度が少なくとも約94%である。最も好ましい実施態様においては、使用される黒鉛は純度が少なくとも約98%である。
黒鉛シートの一般的な製造方法の1つが、Shaneらにより米国特許第3,404,061号明細書に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれている。Shaneらの方法の典型的な実施においては、天然の黒鉛フレークは、100重量部の黒鉛フレーク当たり、有利には、約20〜約300重量部(pph)のインターカラントのレベルで、硝酸および硫酸の混合物などを含有する溶液中にフレークを分散させることによってインターカレートされる。インターカレーション溶液は、当技術分野において公知の酸化剤および他のインターカレート剤を含有する。例としては、硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、過塩素酸などを含有する溶液、あるいは、濃硝酸および塩素酸塩、クロム酸およびリン酸、硫酸および硝酸などの混合物、あるいは強有機酸、例えばトリフルオロ酢酸と、有機酸に可溶性な強酸化剤との混合物などの酸化剤および酸化性混合物を含有するものが挙げられる。あるいは、黒鉛を酸化させるために電位を使用することもできる。電解酸化を使用して黒鉛結晶中に導入可能な化学種としては、硫酸、およびその他の酸が挙げられる。
好ましい一実施態様においては、インターカレート剤は、硫酸、または硫酸およびリン酸と、酸化剤、すなわち硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、ヨウ素酸、または過ヨウ素酸との混合物の溶液である。あまり好ましくないが、インターカレーション溶液は、塩化第二鉄、および硫酸と混合された塩化第二鉄などの金属ハロゲン化物、あるいは臭素および硫酸の溶液として、または有機溶媒中の臭素としてのハロゲン化物を含有することができる。
インターカレーション溶液の量は、約20〜約350pphの範囲、より典型的には約40〜約160pphの範囲とすることができる。フレークをインターカレートした後、過剰の溶液をフレークから排出し、フレークの水洗が行われる。
あるいは、米国特許第4,895,713号明細書(この開示は、参照により本明細書に組み込まれている)に教示および記載されるように、インターカレーション溶液の量を約10〜約40pphの間に限定することで、洗浄ステップを省略することができる。
場合により、インターカレーション溶液で処理した黒鉛フレーク粒子は、例えば、混合することなどによって、25℃〜125℃の範囲内の温度で酸化性インターカレート溶液の表面被膜と反応性である、アルコール、糖、アルデヒド、およびエステルから選択される還元性有機物質と接触させることができる。好適な具体的な有機物質としては、ヘキサデカノール、オクタデカノール、1−オクタノール、2−オクタノール、デシルアルコール、1,10デカンジオール、デシルアルデヒド、1−プロパノール、1,3プロパンジオール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ジャガイモデンプン、エチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセリンモノステアレート、ジメチルオキシレート(oxylate)、ジエチルオキシレート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アスコルビン酸、およびリグノ硫酸ナトリウムなどのリグニン由来の化合物が挙げられる。有機還元剤の量は、黒鉛フレーク粒子の約0.5〜4重量%が好適である。
インターカレーションの前、最中、または直後に加えられる膨張助剤を使用することで、改善が得られることもある。特に、このような改善としては、剥離温度の低下、および膨張体積(「ワーム体積」とも呼ばれる)の増加を挙げることができる。この場合、膨張助剤は、有利には、膨張を改善するために、インターカレーション溶液に対して十分に可溶性である有機材料である。より限定すると、炭素、水素、および酸素を含有するこの種類の有機材料、好ましくはこれらの原子のみを含有するこの種類の有機材料を使用することができる。カルボン酸が特に有効であることが分かっている。膨張助剤として有用となる好適なカルボン酸は、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは最大約15個の炭素原子を有し、剥離の1つ以上の点である程度の改善を与えるのに有効な量がインターカレーション溶液に対して可溶である、芳香族、脂肪族、または脂環式で、直鎖または分岐鎖の、飽和および不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびポリカルボン酸から選択することができる。インターカレーション溶液に対する有機膨張助剤の溶解性を改善するために好適な有機溶媒を使用することができる。
飽和脂肪族カルボン酸の代表例は、式H(CH2)nCOOH(式中、nは0〜約5の数である)の酸などの酸であり、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸などである。カルボン酸の代わりに、無水物、またはアルキルエステルなどの反応性カルボン酸誘導体を使用することもできる。アルキルエステルの代表例はギ酸メチルおよびギ酸エチルである。硫酸、硝酸、およびその他の公知の水性インターカラントは、ギ酸を最終的に水および二酸化炭素に分解することができる。このため、ギ酸およびその他の敏感な膨張助剤を黒鉛フレークと接触させた後、フレークを水性インターカラント中に浸漬すると有利である。ジカルボン酸の代表例は、2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸であり、特にシュウ酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ならびにフタル酸またはテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸である。アルキルエステルの代表例は、ジメチルオキシレートおよびジエチルオキシレートである。脂環式酸の代表例は、シクロヘキサンカルボン酸であり、芳香族カルボン酸の代表例は、安息香酸、ナフトエ酸、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、o−、m−およびp−トリル酸、メトキシ安息香酸およびエトキシ安息香酸、アセトアセトアミド安息香酸、およびアセトアミド安息香酸、フェニル酢酸、ならびにナフトエ酸である。ヒドロキシ芳香族酸の代表例は、ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、および7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸である。特に優れたポリカルボン酸は、クエン酸である。
インターカレーション溶液は、水性であり、好ましくは約1〜10%の量の膨張助剤を含有し、この量は剥離を促進するために有効である。水性インターカレーション溶液に浸漬する前または後に膨張助剤を黒鉛フレークに接触させる実施態様において、膨張助剤は、Vブレンダーなどの好適な手段によって、典型的には黒鉛フレークの約0.2%〜約10重量%の量で黒鉛と混合することができる。
黒鉛フレークをインターカレートし、インターカレートした黒鉛フレークを有機還元剤と混合した後、還元剤とインターカレートした黒鉛フレークとの反応を促進するために、その混合物を25℃〜125℃の範囲内の温度に曝露することができる。加熱時間は最長で約20時間であり、上記範囲内で高い温度の場合には例えば、少なくとも約10分のより短い加熱時間となる。高い温度では半時間以下、例えば10〜25分程度の時間を使用
することができる。
黒鉛フレークのインターカレーションおよび剥離のための上記方法は、黒鉛化温度、すなわち約3000℃以上の範囲内の温度において、潤滑性添加剤をインターカラント中に含めることによって、黒鉛フレークの予備処理を行うことによって好適に促進することができる。
黒鉛フレークの予備処理、すなわちアニーリングによって、次にフレークのインターカレーションおよび剥離を行った場合に顕著に膨張が増加する(すなわち膨張体積が最大300%以上となる)。実際、望ましくは、アニーリングステップを使用しない同様の処理と比較した場合に、膨張が少なくとも約50%増加する。温度が100℃低いだけでも膨張がはるかに少なくなるため、このアニーリングステップに使用される温度は、3000℃を大きく下回るべきではない。
本考案のアニーリングは、インターカレーションおよび引き続く剥離による膨張の程度が向上したフレークを得るのに十分な時間で行われる。典型的には、必要な時間は1時間以上、好ましくは1〜3時間であり、最も有利には不活性環境中で行われる。最も有益な結果を得るためには、アニールした黒鉛フレークに対して、当技術分野において公知の膨張の程度を向上させる他の方法、すなわち、有機還元剤、有機酸などのインターカレーション助剤の存在下でのインターカレーション、およびインターカレーション後の界面活性剤による洗浄も行う。さらに、最も有益な結果を得るためには、インターカレーションステップを繰り返すことができる。
本考案のアニーリングステップは、黒鉛化の技術分野において公知であり評価されている誘導炉、または他のそのような装置中で行うことができ、3000℃の範囲内のここで使用される温度は、黒鉛化プロセス中で遭遇する範囲の上限となる。
予備インターカレーションアニーリングを行った黒鉛を使用して製造されたワームは、場合により互いに「凝集」して、面積重量均一性に対して悪影響を及ぼし得ることが観察されているので、「易流動性」ワームの形成を促進する添加剤が非常に望まれる。潤滑性添加剤をインターカレーション溶液に加えることで、黒鉛ワームを可撓性黒鉛シートに圧縮(または「カレンダー加工」)するために従来使用されるカレンダーステーションの床などの圧縮装置の床全体でワームがより均一に分布するのが促進される。これにより得られるシートは、出発黒鉛粒子が従来使用されるものより小さい場合でさえも、高い面積重量均一性および高い引張強度が得られる。潤滑性添加剤は、好ましくは長鎖炭化水素である。長鎖炭化水素基を有する他の有機化合物は、他の官能基が存在していても使用することもできる。
より好ましくは、潤滑性添加剤は油であり、鉱油は酸敗および臭気が少ないということを特に考慮すると鉱油が最も好ましく、このことは長期間の保存において重要な問題となり得る。前述の一部の膨張助剤が潤滑性添加剤の定義にも適合していることに留意されたい。これらの材料を膨張助剤として使用する場合、インターカラント中に別の潤滑性添加剤を含むことが必ずしも必要とならない。
潤滑性添加剤は、少なくとも約1.4pph、より好ましくは少なくとも約1.8pphの量でインターカラント中に存在する。潤滑性添加剤の含有の上限は下限ほど重要ではないが、約4pphを超える量の潤滑性添加剤を混入することによるさらなる顕著な利点は見られない。
このように処理された黒鉛粒子は「インターカレートされた黒鉛粒子」と称する場合がある。少なくとも約160℃、特に約700℃〜1,000℃以上の温度などの高温に曝露すると、インターカレートされた黒鉛粒子は、c方向、すなわち構成黒鉛粒子の結晶面に対して垂直方向でアコーディオンのように元の体積の約80〜1,000倍以上にまでも膨張する。膨張した、すなわち剥離した黒鉛粒子は、外観が蠕虫状であり、したがって、一般にワームと呼ばれる。後述するように、これらのワームを互いに圧縮成形して、元の黒鉛フレークとは異なる横方向の小さな開口部を有する可撓性シートにすることができ、種々の形状に形成および切断することができる。
あるいは、本考案の可撓性黒鉛シートは、新しく膨張させたワームではなく粉砕再生した可撓性黒鉛シートの粒子を使用することもできる。これらのシートは、新しく形成されたシート材料、再利用されたシート材料、スクラップのシート材料、または他のあらゆる好適な供給源によるものであってもよい。
本明細書に記載された方法は、未使用材料および再利用材料の混合物を使用することも、すべて再利用材料を使用することもできる。
再利用材料の原料物質は、前述のように圧縮成形されたシートまたは切断されたシートの一部であってもよいし、例えば、予備カレンダーロールなどで圧縮されたシートであってもよい。さらに、原料物質は、樹脂を含浸させたがまだ硬化させていないシートまたは切断されたシートの一部、あるいは樹脂を含浸させ硬化させたシートまたは切断されたシートの一部であってもよい。原料物質は、流路板または電極などの再利用された可撓性黒鉛PEM燃料電池部品であってもよい。黒鉛の種々の供給源のそれぞれをそのまま使用することもできるし、天然の黒鉛フレークと混合することもできる。
可撓性黒鉛シートの原料物質が利用可能となれば、次にジェットミル、エアミル、ブレンダーなどの粒子を製造するための公知の方法または装置によって粉砕することができる。好ましくは、粒子の大部分が、20USメッシュを通過する直径を有し、より好ましくは大部分(約20%を超える、最も好ましくは約50%を超える)が80USメッシュを通過しない。最も好ましくは粒子が約20メッシュ以下の粒度を有する。
粉砕した粒子の大きさは、所望の熱的特性を有する黒鉛物品の機械加工性および成形性のバランスがとられるように選択することができる。したがって、小さい粒子からは機械加工および/または形成が容易な黒鉛物品が得られ、一方大きな粒子からは、高い異方性を有し、そのため面内導電率および熱伝導率が高い黒鉛物品が得られる。
原料物質が粉砕され、所望であれば任意の樹脂を除去した後に、再膨張が行われる。再膨張は、前述のインターカレーションおよび剥離のプロセス、ならびにShaneらに付与された米国特許第3,404,061号明細書およびGreinkeらに付与された米国特許第4,895,713号明細書に記載のプロセスを使用して行うことができる。
典型的には、インターカレーション後、インターカレートされた粒子を加熱炉内で加熱することによって粒子が剥離される。この剥離ステップ中、インターカレートされた天然の黒鉛フレークは、インターカレートされた再利用粒子に加えることができる。好ましくは、再膨張ステップ中、粒子は、少なくとも約100cc/g、最大約350cc/g以上の範囲の比容を有するようになるまで膨張する。最後に、再膨張ステップ後、再膨張させた粒子を、前述のように圧縮して可撓性シートにすることができる。
可撓性黒鉛シートおよび箔は、凝集性であり、良好な取扱強度を有し、好適には、例えば、圧縮成形などによって、約0.025mm〜3.75mmの厚さおよび約0.1〜1.5グラム/立方センチメートル(g/cc)の典型的な密度まで圧縮される。常に好ましいわけではないが、可撓性黒鉛シートは、樹脂で処理することが有利である場合があり、吸収された樹脂は、硬化後に、可撓性黒鉛シートの耐湿性および取扱強度、すなわち靱性を向上させ、さらにシートの形態を「固定」する。使用される場合、好適な樹脂含有率は、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは約10〜35重量%であり、好適には最大約60重量%である。本考案の実施において特に有用であることが見出されている樹脂としては、アクリル、エポキシ、およびフェノールを主成分とする樹脂系、あるいはそれらの混合物が挙げられる。好適なエポキシ樹脂系としては、ジグリシジルエーテルまたはビスフェノールA(DGEBA)を主成分とするもの、ならびにその他の多官能性樹脂系が挙げられ、使用可能なフェノール系樹脂としてはレゾールおよびノボラックフェノール樹脂が挙げられる。場合により、可撓性黒鉛は、樹脂に加えてまたは樹脂の代わりに繊維および/または塩を含浸させることもできる。さらに、性質(粘着性、材料流動性、疎水性など)を改良するために、反応性または非反応性の添加剤を樹脂系とともに使用することができる。樹脂を含浸させた材料の熱伝導性を最大にするため、樹脂を高温高圧で硬化させることができる。特に、少なくとも約90℃の温度、および少なくとも約7メガパスカル(MPa)の圧力で硬化させると、熱伝導性に優れた黒鉛材料が得られる(実際、銅よりも高い面内熱伝導率を観察することができる)。
図12を参照すると、樹脂を含浸させた可撓性黒鉛シートを連続的に製造するためのシステムが開示されており、黒鉛フレークおよび液体インターカレート剤は反応器104中に投入される。より詳細には、液体インターカレート剤を収容するための容器101が設けられる。好適にはステンレス鋼製である容器101は、管路106によって液体インターカレートを連続的に補充することができる。容器102は黒鉛フレークを含有し、容器101からのインターカレート剤とともに反応器104中に導入される。インターカレート剤および黒鉛フレークの反応器104へのそれぞれの投入速度は、弁108、107などによって制御される。容器102中の黒鉛フレークは、管路109によって連続的に補充され得る。インターカレーション促進剤、例えば、微量の酸、および有機化学物質などの添加剤は、弁111によって排出量を計量してディスペンサー110によって加えることができる。
この結果得られるインターカレートされた黒鉛粒子は、濡れて酸で覆われており、(管路112などを介して)洗浄槽114に送られて、そこで、有利には116、118において洗浄槽114を出入りする水で粒子が洗浄される。洗浄したインターカレートされた黒鉛フレークは、次に管路120などを通って乾燥室122に送られる。膨張中および使用中の剥離物の表面化学を改質するため、膨張を生じさせるガス状放出物を改質するために、緩衝剤、酸化防止剤、汚染削減化合物などの添加剤を容器119からインターカレートされた黒鉛フレークの流れに加えることができる。
インターカレートされた黒鉛フレークは、好ましくは約75℃〜約150℃の温度の乾燥機122中で乾燥され、一般に、インターカレートされた黒鉛フレークの泡沸または膨張は回避される。乾燥後、例えば、管路126によって捕集容器124に連続的に供給し
、続いて膨張容器128中の火炎200の中に2で示されるストリームとして供給することによって、インターカレートされた黒鉛フレークはストリームとして火炎200の中に供給される。浸軟させた石英ガラス繊維、炭素および黒鉛の繊維、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化ケイ素、およびマグネシアの繊維、メタケイ酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウムアルミニウム繊維、酸化アルミニウム繊維などの天然の鉱物繊維などから形成されるセラミック繊維粒子などの添加剤を、127で導入される非反応性ガス中に同伴させることによって、容器129から、インターカレートされた黒鉛粒子のストリームに加えることができる。
インターカレートされた黒鉛粒子2は、膨張室201中の火炎200を通過すると、「c」方向で80倍を超えて膨張し、「ワーム状」膨張形態5をとり、129から導入されてインターカレートされた黒鉛粒子のストリームと混合された添加剤は、火炎200の通過による影響を本質的に受けない。膨張した黒鉛粒子5は、重力分離装置130に通すことができ、そこで重灰天然鉱物粒子が膨張された黒鉛粒子から分離され、次に上部が広いホッパー132に供給される。分離装置130が不要の場合は回避することもできる。
膨張、すなわち剥離した黒鉛粒子5は、任意の添加剤とともにホッパー132を自由落下し、不規則に分散して、トラフ134などを介して圧縮ステーション136に送られる。圧縮ステーション136は、膨張し剥離した黒鉛粒子5を受け取るための、間隔を開けて配置され互いに向かい合って収束する移動多孔質ベルト157、158を含む。向かい合う移動ベルト157、158の間の間隔が減少していくため、膨張し剥離した黒鉛粒子は圧縮されて148で示される可撓性黒鉛のマットとなり、この厚さは例えば、約25.4〜0.075mm、特に約25.4〜2.5mmであり、密度は約0.08〜2.0g/cm3である。膨張室201およびホッパー132から出てくるガスを除去し清浄にするために、ガススクラバー149を使用することができる。
マット148は、容器150に通されて、スプレーノズル138からの液体樹脂が含浸され、樹脂は有利には真空室139によって「マットを通過して引き抜かれ」、その後、樹脂を好ましくは乾燥機160中で乾燥されることで、樹脂の粘着性を低下させ、次に、樹脂を含浸させたマット143は、カレンダーミル170内でロールプレスされた可撓性黒鉛シート147となることで緻密化される。容器150および乾燥機160からのガスおよび煙は、好ましくは回収されて、スクラバー165内で清浄にされる。
緻密化の後、可撓性黒鉛シート147中の樹脂は、硬化オーブン180中で少なくとも部分的に硬化される。あるいは、部分的硬化は緻密化前に行うこともできるが、緻密化後の硬化が好ましい。
しかし、本考案の一実施態様においては、可撓性黒鉛シートには樹脂が含浸されず、その場合には容器150、乾燥機160、および硬化オーブン180を除去することができる。
樹脂を含浸させたシートは、出発密度が約0.1〜約1.1g/ccであり、次に加工されてシートの空隙状態を変化させる。空隙状態とは、一般に取り込まれた空気の形態で見られる空隙によって表されるシートのパーセント値を意味する。一般に、これは、例えば、カレンダーミルまたはプラテンプレスなどでシートに圧力を加える(これによりシートの緻密化も起こる)ことでシート内の空隙レベルを減少させることによって実現される。有利には、可撓性黒鉛シートは、(系中の樹脂の存在を使用することでそれほど高レベルの緻密化を必要とせずに空隙を減少させることができるが)少なくとも約1.3g/ccの密度まで緻密化される。
最終エンボス加工物品の形態および機能的特性を有利に制御および調整するために、空隙状態を利用することができる。例えば、エンボス加工前のシートの空隙状態(および通常は密度)を制御することによって、熱伝導性および導電性、浸透速度、ならびに浸出特性を生じさせ場合によっては制御することができる。したがって、最終エンボス加工物品の一連の所望の特性を、空隙状態の操作の前に認識できるのであれば、それらの特性を可能な程度で達成するために空隙状態を調整することができる。
特に最終エンボス加工物品が、電気化学燃料電池の構成要素としての使用が意図されている場合、導電性および熱伝導性を最適化するために比較的空隙がなくなるように樹脂を含浸させた可撓性黒鉛シートの操作が有利に行われる。一般に、これは、比較的空隙のない状態を示す少なくとも約1.4g/cc、より好ましくは少なくとも約1.6g/ccの密度(樹脂含有率に依存する)を達成することよって行うことができる。シートの熱伝導率は、好ましくは少なくとも約140W/m°K、より好ましくは少なくとも約400W/m°Kである。
カレンダー加工された可撓性黒鉛シートは、次に、本明細書で後述するエンボス加工装置に通され、その後、オーブン中で加熱して樹脂を硬化させる。使用される樹脂系の性質、ならびに特に使用される溶媒の種類および量(当業者には公知のように特定の樹脂系に有利に調整される)に依存するが、蒸発乾燥ステップは、エンボス加工ステップの前に行うことができる。この乾燥ステップ中、樹脂を含浸させた可撓性黒鉛シートを熱に曝露することで、樹脂系を硬化させずに、溶媒の一部またはすべてを気化させることで除去する。このようにして、表面成形中にシートの緻密化によってシート中に閉じ込められた溶媒が気化することによって生じ得る硬化ステップ中のふくれが回避される。加熱の程度および時間は、溶媒の性質および量によって変動し、この目的の場合、好ましくは少なくとも約65℃の温度、より好ましくは約80℃〜約95℃で、約3〜約20分間である。
樹脂の含浸およびカレンダー加工を行った可撓性黒鉛シートを連続的に形成する装置の一実施態様が国際公開第WO00/64808号パンフレットに示されおり、この開示は参照により本明細書に組み込まれている。
これより図1を参照すると、電子デバイスを冷却する装置と称することもできるヒートシンク部材300Aの第1の実施態様が示されている。ヒートシンク部材300Aは、膨張黒鉛の圧縮粒子の第1および第2のシート302Aおよび304Aで構成される。シート302Aおよび304Aは、可撓性黒鉛シートと表現することもできる。
シート302Aおよび304Aのそれぞれは、図1中の大きな平らな上面および下面である2つの主面を有する。図1では、第2のシート304Aの上主面306Aを見ることができる。
熱接触面308Aは、主面306A上に画定されており、略長方形の想像線310Aで示されている。熱接触面308Aは、図3に示される電子デバイスなどのデバイス312と熱接触を形成するために設けられている。
図1の実施態様において、第1のシート302Aの上主面303Aは、水などの冷却流体を移送するために内部に形成された第1の複数のマイクロチャネル314Aを有する。マイクロチャネル314Aのそれぞれは、主面と平行な長さ316を有し、長さ316に対して垂直な断面318を有する。断面318は、深さ320および幅322を有し、これらは断面の寸法である。断面318は、約1,000ミクロン未満の少なくとも1つのこのような寸法を有する。例えば、幅322が約1,000ミクロン未満であってもよい。多くの場合、幅および深さの両方が1,000ミクロン未満であり、そのためマイクロチャネルの断面積は106平方ミクロン未満となる。
好ましくは、幅322などの上記1つの寸法が少なくとも約100ミクロンである。場合によっては、幅322などの上記1つの寸法が100ミクロン未満であってもよい。
すべての図面中で、マイクロチャネルはある程度概略的な形態で示されており、可撓性黒鉛材料のシートの幅、厚さ、および長さの比較が縮尺通りの寸法ではないことを理解されたい。
第2のシート304Aが第1のシート302Aと結合することで、第1および第2のシートを合わせたものが、マイクロチャネル314Aの断面318を画定する。図1の実施態様においては、第2のシート304Aはマイクロチャネルを有さない平坦シートであり、第1のシート302Aのマイクロチャネル上のキャップを画定している。
第1および第2のシート302Aおよび304Aは、隣接する主面が重なり合い互いに結合することによって互いに接合している。この接合は、一方または両方の主面に樹脂を塗布することによって形成することができ、また、樹脂を含浸させた可撓性黒鉛シートの場合には、既にシート中に樹脂が存在し、シートを硬化させる間にシートを密接に接触させて維持することによってこれらが互いに接合する。
これより図5の端面図を参照すると、第1のシート302Aは、それぞれ上主面303Aおよび下主面305Aを有する。第2のシート304Aは、上主面306Aおよび下主面309Aを有する。
これより図2および5に戻ると、マイクロチャネルヒートシンクの別の一実施態様が符号300Bで示されている。ヒートシンク部材300Bは、第1のシート302Bおよび第2のシート304Bから構成される。図2のヒートシンク部材300Bと図1の300Aとの違いは、図2の実施態様においては第2のシート300Bも内部に形成されたマイクロチャネル315Bを有することである。マイクロチャネル315Bは、第1のシート302Bのマイクロチャネル314Bと相補的なパターンで画定され、第1のシート302Bのマイクロチャネル314Bの上に重ねられることで、ヒートシンク部材300Bを通過する各マイクロチャネルは、マイクロチャネル315Bの1つによって画定される上部半分と、マイクロチャネル314Bの1つによって画定される底部半分とを有する。
図2の実施態様、および引き続く図7〜10の実施態様の要素の符号付けにおいて、類似の構成要素に類似の符号が使用されており、各実施態様で異なる文字A、B、Cなどが追記されていることが理解できる。
図7は、符号300Cで示される別の一実施態様のヒートシンク部材の端面図を示している。ヒートシンク部材300Cは、第1のシート302C、第2の可撓性黒鉛シート304C、および第3の可撓性黒鉛シート324Cで構成される。
第1のシート302Cは、内部に画定された第1の複数のマイクロチャネル314Cを有する。第3のシート324Cは、第2の複数のマイクロチャネル326Cを有する。中間シート304Cは、第1および第3のシート302Cおよび324Cの間に挟まれた平坦シートであり、第1および第3のシートのそれぞれのマイクロチャネル上のキャップとして機能し、それによってマイクロチャネル314Cおよび第2の複数のマイクロチャネル326Cが、平行であるが分離した2つの層のマイクロチャネルを画定している。したがって、図7の実施態様において、流体を、第1の層のマイクロチャネル314Cにある方向で流し、第2の層のマイクロチャネル326Cに反対方向で流すことが可能となる。当業者であれば理解しているように、交互の層のマイクロチャネルで互いに反対側の流れを提供することによって、より均一な熱分配がヒートシンク部材全体で得られる。これは、マイクロチャネル内を流れる流体流は、マイクロチャネルを通過する時に温度が上昇し、したがって、マイクロチャネルの長さに沿って熱勾配が生じるからである。2つの平行な層のマイクロチャネルを互いに反対側に流れる流体を有することによって、各層の熱勾配が、隣接層と反対方向で増加し、したがってヒートシンク部材全体にわたって温度が比較的均一になる。
図8は、300Dで示されるさらに別の一実施態様を示しており、第1のシート302D、第2のシート304D、および第3のシート324Dから構成される。
この場合、第1のシート304Dは、その上主面中に形成された第1の複数のマイクロチャネル314Dと、その下主面中に形成された第2の複数のマイクロチャネル326Dとを有する。第2および第3のシート304Dおよび324Dのそれぞれは平坦シートであり、それぞれがマイクロチャネル314Dおよび326D上のキャップとして機能する。したがって、図8の実施態様も、隣接する層中を反対方向に流体が流れることができる2つの平行な層のマイクロチャネルが得られる。
ここで図9に注目すると、ヒートシンク部材の別の実施態様が符号300Eで示されている。ヒートシンク部材300Eは第1のシート302Eおよび第2のシート304Eを含み、これらは、図1および5のヒートシンク部材300Aの第1および第2のシートと類似の構成である。ヒートシンク部材300Eは、第3および第4のシート324Eおよび328Eをさらに含む。第3のシート324Eは、内部に画定された第2の複数のマイクロチャネル326Eを有する。第4のシート328Eは平坦シートであり、マイクロチャネル326Eのキャップとして機能する。
図10は、符号300Fで示されるヒートシンク部材のさらに別の一実施態様を示している。ヒートシンク部材300Fは、4つの可撓性黒鉛シート302F、304F、324F、および328Fを含む。この場合、各シートが、内部に画定された複数のマイクロチャネルを有する。第1および第2のシート302Fおよび304Fのマイクロチャネルは、図2および6のシート302Bおよび304Bと同様に、互いに相補的であり互いの上に積み重ねられている。第2の組のシート324Fおよび328Fも、内部に画定された相補的なマイクロチャネルを有するため、4つのシートを合わせると、間隔の開いたマイクロチャネルの2つの層が形成され、したがって、ヒートシンク部材300Fは、2つの層中で反対方向に流体を移送することが可能となる。
ここで図3に戻ると、図2および6のヒートシンク部材300Bの端面図が示されている。マイクロプロセッサチップまたは他の従来の電子デバイスであってもよい電子デバイス312が熱接触面308上に取り付けられて示されている。
異方性可撓性黒鉛材料のシートによって形成された熱界面330が、ヒートシンク部材300Bの第2のシート304Bに取り付けられ、ヒートシンク部材300Bの第1の熱接触面308を画定している。熱界面330の使用は任意であることが理解できる。熱界面330の好ましい構成が、本考案の譲受人に譲渡された米国特許第6,746,768号明細書に示されており、その記載内容は参照により本明細書に組み込まれている。
図4に示されるように、ヒートシンク部材300Bは、2つの積層された電子デバイス312および332の間に介在させることができる。シート302Bの底面305B上に画定される第2の熱接触面334上に第2の電子デバイス332が取り付けられる。ヒートシンク部材300Bと、電子デバイス312および332のいずれかまたは両方との間に330などの熱界面を設けることができる。
図4と類似の配列によって、非常に高密度の電子デバイスを設けながら、マイクロチャネルヒートシンク部材300Bの使用によってそれらの間が十分に冷却されることが分かる。図5〜10に示されるヒートシンク部材300の種々の代替構造のいずれも、1つの電子デバイス312を取り付けることもできるし、図3および4にそれぞれ示される2つの電子デバイス312および332の間に介在させることもできる。
本考案のマイクロチャネルヒートシンクは、一般に50W/cm2を超えると考えられる高い熱流密度の条件下で動作する電子デバイス312および332と併用することを特に意図している。
内部にマイクロチャネルが画定されたシート302Aなどの各シートは、好ましくは約0.4mm〜約3.75mmの範囲内の厚さを有する。好ましくはシートは約2.0mm以下の厚さを有する。さらにより好ましくはシートは約1.0mm以下の厚さを有する。
本明細書に記載の黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクは、他の材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクに対して多数の利点を有する。
利点の1つは、シリコン、アルミニウム、銅、ダイヤモンド、および従来使用されている他の材料よりも黒鉛材料が比較的軽量であることである。このように比較的小さく軽量で高性能のマイクロチャネルヒートシンク部材は、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末、および携帯電話などの比較的小型のコンピュータデバイスにおいて特に有用である。ヒートシンク部材300が構成されるそれぞれの可撓性黒鉛シートは、好ましくは約1.0g/cc〜約2.0g/ccの範囲内の密度を有する。より好ましくはシートは、約1.4g/cc〜約2.0g/ccの範囲内の密度を有する。シートの熱伝導率は、好ましくは少なくとも約140W/m°Kであり、より好ましくは少なくとも約400W/m°Kである。
黒鉛材料から形成されたヒートシンク部材の別の利点は、マイクロチャネルヒートシンクに使用される最も一般的な冷却液体である水に対して材料が不活性であることである。これは、マイクロチャネルヒートシンク用に使用されてきたアルミニウムなどの一部の他の材料とは対照的である。黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクに使用すると好ましい冷却媒体は水であるが、可撓性黒鉛シート中の樹脂を攻撃する溶媒などを含まないのであれば、他のあらゆる好適な冷却流体を使用することができる。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクの別の利点は、マイクロチャネルヒートシンク用に使用されてきたシリコンなどの一部の他の材料とは対照的に、その材料自体の熱伝導性が良好であることである。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンクの別の利点は、黒鉛材料が、マイクロプロセッサおよび他の電子デバイスに従来使用されてきた半導体材料およびセラミック材料と同等の熱膨張係数を有することである。
黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク部材300の別の利点は、ローラエンボス加工などの大量生産方法を使用して材料内にマイクロチャネルを形成できるので、材料の費用対効果の高い製造が可能となることである。最小約100ミクロンの幅のチャネルをローラエンボス加工によって製造することができる。
樹脂を含浸させた黒鉛シートを使用する場合、黒鉛シートは好ましくは少なくとも5重量%の樹脂含有率を有する。より好ましくは約10重量%〜約35重量%の範囲内の樹脂含有率を有する。好適には、樹脂含有率を最大約60重量%とすることができる。
可撓性黒鉛材料のシート中にマイクロチャネルを形成するために、多くの他の方法を使用することができる。他の方法としては、機械加工、酸エッチングなどのエッチング、エアスクライビング、超音波加工、レーザーアブレーション、スタンピング、フォトリソグラフィなどを挙げることができる。
マイクロチャネルヒートシンク300Aの製造方法の1つは、一般に以下のステップを含むものとして表現することができる:
(a)2つの主面303Aおよび305Aを有する黒鉛材料の第1のシート302Aを提供するステップ、
(b)第1のシート302Aの一方の主面303A中に複数のマイクロチャネル314Aを形成するステップ、
(c)第1のシート302Aの上に第2のシート304Aを重ね、第1および第2のシートの隣接する主面303Aおよび309Aを互いに接合させて、マイクロチャネル314Aの断面を閉じるステップ、および
(d)電子デバイス312を取り付けるために、第2のシート304Aの306Aなどの露出主面上に熱接触面308Aを設けるステップ。
別の実施態様においては、マイクロチャネルヒートシンク部材300A〜300Fのいずれも、マイクロチャネルに水などの液体を満たし、その両端を閉じることによって、単に熱伝達部材として利用することができる。本実施態様においては、この流体は、マイクロチャネル内を流動しないが、マイクロチャネル内に流体が存在することで、マイクロチャネルヒートシンクを非常に効率的なヒートパイプまたは熱伝達部材として機能させる熱伝達媒体となる。
図11は、それぞれ1つおよび2つの主面中にエンボス加工することによって形成されたマイクロチャネルを有する302Aなどの可撓性黒鉛シートの断面を撮影した顕微鏡写真である。図11の写真は、0.25mmのスケールを有する。可撓性黒鉛シートの厚さは約0.9mm〜約1.2mmである。内部に形成されたマイクロチャネルの深さは0.4〜0.5mmであり、幅は0.6〜1.0mmである。
黒鉛のマイクロチャネルをエンボス加工できることと、シリコン材料に必要なより費用のかかる機械加工または酸エッチングとを比較すれば、黒鉛マイクロチャネルヒートシンクが軽量であることと合わせて、本考案のさらなる利点が得られる。
本明細書は、マイクロプロセッサなどの電子デバイスを冷却するためのマイクロチャネルヒートシンクの用途に関して記述されているが、本明細書に記載された方法およびヒートシンクが、他の熱源にも同様に適用可能であることは認識される。
以下のような様々な実施態様が含まれる:
・前記部材が、膨張黒鉛の圧縮粒子の第2のシートを含み、前記第1および第2のシートが互いに接合されることで、前記マイクロチャネルの前記断面が画定される。
・前記第2のシートが、マイクロチャネルを有さない平坦シートであり、前記第1のシートの前記マイクロチャネル上のキャップを画定する。
・前記第2のシートが、前記第1のシートの前記マイクロチャネルと相補的なパターンで内部に画定され、前記第1のシートの前記マイクロチャネル上に重ねられる複数のマイクロチャネルを有する。
・前記第1の熱接触面が、前記マイクロチャネルとは反対側の前記第1のシートの前記主面上に画定され、前記第2のシートが、第2の電子デバイスとの熱接触を形成するための第2の熱接触面を有し、それによって前記ヒートシンク部材を、2つの積層された電子デバイスの間に介在させることができる。
・前記部材が、膨張黒鉛の圧縮粒子の第3のシートを含み、前記第3のシートが、前記第1および第2のシートの一方に接合され、前記第3のシートと前記第1および第2のシートの前記一方とが、それらの間に画定され前記第1の複数のマイクロチャネルとは分離した第2の複数のマイクロチャネルを有し、それによって前記第1および第2の複数のマイクロチャネルが、互いに反対方向に冷却流体を移送することができる。
・前記部材が、前記第1の熱接触面の反対側に第2の熱接触面を含む。
・第1および第2の積層された電子デバイスとともに使用され、前記第1および第2の電子デバイスが、それぞれ前記第1および第2の熱接触面上に取り付けられる。
・前記断面の前記少なくとも1つの寸法が少なくとも約100ミクロンである。
・前記第1のシートが約1.0g/cc〜約2.0g/ccの範囲内の密度を有する。
・前記第1のシートが約0.4mm〜約3.75mmの範囲内の厚さを有する。
・前記第1のシートが約2.0mm以下の厚さを有する。
・前記第1のシートが約1.0mm以下の厚さを有する。
・前記第1のシートに樹脂が含浸され、前記第1のシートが少なくとも約5重量%の樹脂含有率を有する。
・前記ヒートシンク部材に取り付けられた異方性可撓性黒鉛材料のシートから形成され、前記第1の熱接触面を画定する熱界面をさらに含む。
・前記電子デバイスとともに使用され、前記電子デバイスが前記第1の熱接触面上に取り付けられる。
・ローラエンボス加工によって、前記マイクロチャネルが前記第1のシート中に形成される。
・約1,000ミクロン未満の前記少なくとも1つの寸法が、前記断面の幅を含む。
本明細書において参照されるすべての引用特許および刊行物が、参照により本明細書に組み込まれている。
本考案を以上のように説明してきたが、多くの方法で変更可能なことは明らかである。このような変更は、本考案の精神および範囲から逸脱すると見なすべきではなく、このようなすべての修正は、当業者には明らかなように、特許請求の範囲内に含まれることを意図している。

Claims (7)

  1. 電子デバイスとの熱接触を形成するための第1の熱接触面を有するヒートシンク部材を含む電子デバイス冷却装置であって、
    前記部材が、少なくとも膨張黒鉛の圧縮粒子の第1のシートを有し、
    前記第1のシートが、2つの主面を有し、
    前記第1のシートを形成する粒子の大部分が、少なくとも20%が80USメッシュを通過しない大きさの直径を有し、
    前記主面のうち少なくとも1つが、冷却流体を移送するために内部に形成された第1の複数のマイクロチャネルを有し、
    前記マイクロチャネルのそれぞれが、前記主面のうち1つに平行な長さを有すると共に、前記長さに対して垂直な断面を有し、そして、
    前記断面の少なくとも1つの寸法が、約1,000ミクロン未満である
    ことを特徴とする電子デバイス冷却装置。
  2. 前記部材が、膨張黒鉛の圧縮粒子の第2のシートを含み、そして、
    前記第1および第2のシートが互いに接合されて、前記マイクロチャネルの前記断面を形成する、請求項1に記載の電子デバイス冷却装置。
  3. 前記装置が、第1および第2の積層された電子デバイスと共に使用され、そして、前記第1および第2の電子デバイスが、前記装置の第1及び第2の熱接触面上に取り付けられる、請求項1に記載の電子デバイス冷却装置。
  4. 前記断面の前記少なくとも1つの寸法が、約100ミクロン以上である、請求項1に記載の電子デバイス冷却装置。
  5. 前記第1のシートが、約0.4mm〜約3.75mmの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の電子デバイス冷却装置。
  6. 前記第1のシートが、約2.0mm以下の厚さを有する、請求項5に記載の電子デバイス冷却装置。
  7. 高熱流密度条件下で動作可能な第1および第2の積層された電子デバイスと、
    前記第1および第2の電子デバイスの間に介在し、かつ、前記第1および第2の積
    層された電子デバイスのそれぞれと熱接触するヒートシンク部材と、
    を含む液体冷却式電子装置であって、
    前記部材が、第1のシート及び第2のシートを有し、
    前記第1及び第2のシートが、それぞれ2つの主面を有し、
    前記第1のシートが、膨張黒鉛の圧縮粒子のシートを含み、
    前記第1のシートを形成する前記粒子の大部分が、少なくとも20%が80USメッシュを通過しない大きさの直径を有し、
    前記第1のシートが、冷却流体を移送するために内部に形成された複数のマイクロチャネルを有し、
    前記マイクロチャネルのそれぞれが、前記主面のうち1つに平行な長さを有すると共に、前記長さに対して垂直な断面を有し、そして、
    前記断面の少なくとも1つの寸法が、約1,000ミクロン未満である
    ことを特徴とする液体冷却式電子装置。
JP2009008630U 2006-01-06 2009-12-04 黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク Expired - Fee Related JP3157809U6 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11/327,832 2006-01-06
US11/327,832 US20070158050A1 (en) 2006-01-06 2006-01-06 Microchannel heat sink manufactured from graphite materials

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008549518A Continuation JP2009522808A (ja) 2006-01-06 2006-12-04 黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3157809U JP3157809U (ja) 2010-03-04
JP3157809U6 true JP3157809U6 (ja) 2010-04-22

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009522808A (ja) 黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク
US7494712B2 (en) Resin-impregnated flexible graphite articles
KR101061262B1 (ko) 샌드위치식 핀스톡
US7161809B2 (en) Integral heat spreader
CA2557497C (en) Treatment of flexible graphite material and method thereof
KR20070048137A (ko) 금속 베이스와 그래파이트 핀을 구비한 복합재료의 히트싱크
JP5277173B2 (ja) 寸法安定性及び漏れ防止特性を有する黒鉛材
KR20070083642A (ko) 히트 라이저
US7108917B2 (en) Variably impregnated flexible graphite material and method
US20060099406A1 (en) Heat spreader for printed circuit boards
JP3157809U6 (ja) 黒鉛材料から製造されたマイクロチャネルヒートシンク