JP3156096U - ディーゼルエンジンのコモンレール燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディーゼル内燃エンジンの排気ガス中に含まれる硝酸化物とススを減少させるディーゼルエンジンのコモンレール燃料噴射装置を提供する。【解決手段】メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズと、補助的なプレ・インジェクション(先行噴射)フェーズを具備し、補助的なプレ・インジェクションフェーズは、ディーゼルエンジンのインダクションストローク(誘導工程)の開始時に行われ、これによりコンプレッションストローク(圧縮行程)の期間中にシリンダ内の圧力が上昇し、部分的な酸化物質及び化学的親和力を伴う複合酸化物の少なくともいずれかが形成され、メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズの時間的遅れを最小にする燃焼促進材として働くことを特徴とする。【選択図】図2
Description
本考案は、ディーゼルエンジンのレール燃料噴射装置に関する。
既に知っての如く、環境保全のための努力が図られ、多くの国では内燃エンジンの排気を制御するために更に厳しい規制が試行されている。
実際におけるディーゼルエンジンに関しては、その主な問題点は、炭素化合物(CO)およびハイドロカーボン(HC)の含有率が極めて少ないのに比べて、窒素酸化物(NOx)や粉塵が排出ガス中に存在することに起因している。
ここで、特許文献1は、メイン・インジェクションフェーズと補助的なプレ・インジェクションフェーズ(パイロット・インジェクション)から成るディーゼルエンジンのレール噴射方法を開示している。また、特許文献2は、各燃焼室のための低圧及び高圧インジェクタを有する内燃エンジンのためのオペレーティング方法を開示している。この低圧インジェクタは、燃焼室がその最大容量に近づいたときに、パイロット燃料チャージを噴射するが、これはインダクションストロークの最終部において行われるものである。
しかしながら、多くの高度な成功率を有する解決手法が、硝酸化物(窒素酸化物)や粉塵の含有を減少させるために提案され、近時の規制によって益々要求される更なる低い汚染レベルを満足するための改良が叫ばれている。
本考案の目的は、ディーゼル内燃エンジンの排気ガス中に含まれる硝酸化物(窒素酸化物)とススを減少させるための装置を提供することにある。
本考案の一態様によれば、メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズと、補助的なプレ・インジェクション(先行噴射)フェーズを具備し、前記の補助的なプレ・インジェクションフェーズは、ディーゼルエンジンのインダクションストローク(誘導行程)の開始時に行われ、これによりコンプレッションストローク(圧縮行程)の期間中にシリンダ内の圧力が上昇し、部分的な酸化物質及び強い化学的親和力を伴う複合酸化物の少なくともいずれかが形成され、前記メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズの時間的遅れを最小にする燃焼促進材として働く、ことを特徴とするディーゼルエンジンのレール噴射装置が提供される。
ここで、前記プレ・インジェクションフェーズは、前記エンジンのシリンダ内に与えられた所定量の燃料を噴射することから成ることとしてもよい。加えて、前記プレ・インジェクションフェーズは、前記メイン・インジェクションフェーズ期間中における燃料の量の数パーセントに等しい量の噴射によって行われることとしてもよい。更に加えて、前記プレ・インジェクションフェーズは、中低速のエンジンスピードと、部分的な負荷または過渡状態において、中央制御ユニット手段により支配的に制御されるパラメータを用いて行われることとしてもよい。
図1は、本考案に係わるタイプのディーゼルエンジン・レイル噴射システム1の概要を示している。このシステム1の本考案の一部分が実線で示された燃料の導管(コンジット)であり、破線はその制御および計測された量の信号を供給するための電線を示している。
システム1は次の各要素から構成されている。
すなわち、 燃料(ディーゼル燃料)タンク2: このタンク2に低圧導管4によって接続した高圧供給ポンプ3;高圧ライン7に沿った圧力レギュレータ6;この圧力レギュレータ6と燃料タンク2の間の低圧燃料リターン導管8;コンジット(高圧ライン)7に接続され、それらインジェクタに接続する1つ又はそれ以上の要素を有する高圧燃料レール9;このレール9に接続し、エンジン12の各シリンダ11のための多数のインジェクタ10;このシステムの構成要素を各種のセンサからの信号に基づいて統括制御したり、マップや更新されたその制御運用手法を記憶するパワー制御ユニット(中央制御ユニット)16;エンジン12の排気マニュホールド(不図示)に接続された燃焼生成物の排出導管17;この排出導管17に沿って配された微粒子フィルタ18;インテーク(吸気)マニュホールド19;レール9上の圧力センサ20;エンジンの出力シャフト23上のエンジン速度およびストロークセンサ22;そして、カムシャフト上のサイクルセンサ24;から構成されている。
圧力レギュレータ6と、インジェクタ10と、圧力センサ20と、エンジン速度およびストロークセンサ22と、サイクルセンサ24とが電子データラインおよび制御交換ラインを介して中央制御ユニット16に接続されている。
本考案によれば、中央制御ユニット16によって通常に制御されているメイン・インジェクションフェーズに加えて、このインジェクションシステム1はまた、インダクションストロークの開始に際して、シリンダ11中への燃料のプレ・インジェクション(先行噴射)をも提供している。図2に概念的に示すように、第1のグラフは各シリンダの様々なストロークにおける圧力を示し、第2のグラフは、プレ・インジェクション(30)とメイン・インジェクション(31)フェーズを示しており;TDCはトップデッドセンタ(上死点)、BDCはボトムデッドセンタ(下死点)、INDはインダクションストローク(吸気行程)、COMPはコンプレッションストローク(圧縮行程)、EXPはイクスパンションストローク(膨張行程)、そしてEXはイクスヒューストストローク(排気行程)をそれぞれ示している。また、図2中のプレ・インジェクションおよびメイン・インジェクションフェーズの左右への矢印は、それらのロケーションと長さにおける変化の可能性を示唆しており、例えばタイミングが、示された例に比べて進んだとか遅れたとか、又は長くなったとか短くなったとかを、そのメイン・インジェクションフェーズを引き立てるために、エンジンのオペレーションコンディション(稼動条件)を考慮する。
本考案によれば、このプレ・インジェクションフェーズは、シリンダへのインダクションストロークINDにおける少量の燃料噴射から構成されており、これは所望により良好な混合状態を確実なものにするためインダクションストロークINDの開始において行われる。このようにして、コンプレッションストロークCOMPの期間中にシリンダ内の圧力が上昇すると、部分的な酸化物質および/または、強い化学的親和力を伴う複合過酸化物が形成され、そしてこれらは、メイン・インジェクションフェーズのイグニッション・ラグ(時間的遅れ)を最小にする燃焼促進材として働く。更に詳しくは、この燃焼促進材がエアーサプライ中に存在することにより、このメイン・インジェクションフェーズにおいて噴射される燃料混合気の早いイグニッション(着火)を提供し、このように安定的な燃焼が基本的に制御された変化率を伴い、多量な燃料の制御されない自然発火を引き起こす。より安定的であるためには、メインジェット(主噴射)のタイミングの改善もまた効果があり、したがって、このような燃焼が窒素酸化物およびススの形成の減少をもたらしてくれる。
メイン・インジェクションフェーズでは、プレ・インジェクション・パラメータ(燃料量、持続時間、点火時期の進み)は、エンジンの稼動条件、即ち、エンジン速度N(センサ22により決定される値)や、エンジン負荷、流体温度(データはその中央制御ユニットにより遂行された他の処理機能をすでに可能にした通常のもの)および、この中央制御ユニット自体に格納されたマップを所望により使用して、これらに基づいて中央制御ユニット16によって決定される。
出願人の経験においては、本考案によるプレ・インジェクションフェーズは、特に中低速のエンジンスピードおよび、部分的な負荷条件下(50−60%以下)において有益であるとするが、また、他の条件下、特に過渡状態下においても採用されてよい。
実際上において、本考案によるプレ・インジェクションフェーズの機能は、化合物(混合物)を減少させるイグニッション・ラグの供給によりシリンダ11内部の環境を準備することから成っているので、これは、中央制御ユニット16の存在によってその稼動条件が与えられたときに、すべてのシリンダに有利に実施される。
記載したタイプの電子式レール噴射システムを用いれば、プレ・インジェクションフェーズは、中央ユニット16によってインジェクタ10へ供給された制御信号により何らの困難も無く実行され、そして、このエンジンストロークに関係するタイミングは極めてフレキシブルであり、また、このシステムにおいては固有な特性によって何らの制限も無く行われる。
本考案の効果は前述の記載から明らかであろう。特に、インジェクション分の優秀な燃料量および燃焼特性の改善により、本考案によるプレ・インジェクションは、このエンジン(即ち、知っての如く増加する燃料の消耗を結果として引き起こすもの)から下流の如何なる排気フィルタのクロギング(閉塞・詰まり)の削減を、実質的に燃料消費の増加を伴わないで提供する。
なお、ここに記述し図示したような方法は、本考案の要旨から逸脱しない範囲で変形が加えられてもよいことは明らかである。特に、既に前述した如く、プレ・インジェクションフェーズは、最適な稼動条件を保証するためには、例示のものと比べて異なるタイミングであってもよい。
Claims (4)
- メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズと、補助的なプレ・インジェクション(先行噴射)フェーズを具備し、前記の補助的なプレ・インジェクションフェーズは、ディーゼルエンジンのインダクションストローク(誘導行程)の開始時に行われ、これによりコンプレッションストローク(圧縮行程)の期間中にシリンダ内の圧力が上昇し、部分的な酸化物質及び強い化学的親和力を伴う複合酸化物の少なくともいずれかが形成され、前記メイン・インジェクション(主要噴射)フェーズの時間的遅れを最小にする燃焼促進材として働く、ことを特徴とするディーゼルエンジンのレール噴射装置。
- 前記プレ・インジェクションフェーズは、前記エンジンのシリンダ内に与えられた所定量の燃料を噴射することから成ることを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジンのレール噴射装置。
- 前記プレ・インジェクションフェーズは、前記メイン・インジェクションフェーズ期間中における燃料の量の数パーセントに等しい量の噴射によって行われることを特徴 とする、請求項2に記載のディーゼルエンジンのレール噴射装置。
- 前記プレ・インジェクションフェーズは、中低速のエンジンスピードと、部分的な負荷または過渡状態において、中央制御ユニット手段により支配的に制御されるパラメータを用いて行われることを特徴とする、先行する何れかの請求項に記載されたディーゼルエンジンのレール噴射装置。
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