JP3155805U - 機能性分光フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】色覚異常者が、簡便に色弁別ができ、ワークフローに取り込んで使用することにより、実際的な業務遂行が可能となる各種ツールを提供すること。【解決手段】色覚異常者が装着することにより特定の色の組み合わせに対する色の見分けが容易となる眼鏡レンズ(機能性分光フィルタ)。透明基材11の上側の半分近くに、色覚異常補正可能な濃度の赤色又は緑色からなる着色が施された特定着色部分13と、色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色の非特定着色部分15とを備えている。特定着色部分13と非特定着色部分15との境界が、連続的又は階層的に着色濃度が変化する着色濃度傾斜帯17とされている。【選択図】図1
Description
本考案は、色覚異常者の色覚補正を目的として、色覚異常者の色弁別(色の見えや見分け)を補助するためのツール(道具)として好適な機能性分光フィルタに係る。
ここでいうツールとは、眼鏡(レンズ)、コンタクトレンズ、眼内レンズ等特に限定されず、例えば、カメラ、フォトダイオード、モノクロカメラ等の撮像装置の前面或いは内部に配置するフィルタ及びテレビ、モニター、各種光源等の光学系の前面或いは内部に配置するフィルタ等に加えて、単にガラス板或いはプラスチック板、プラスチックフィルム等のみの場合も含まれる。
色覚異常者は、日本人男性の20人に1人(約5%)、白人男性の12人に1人(約8%)といわれている。色覚正常者に存在する3つの錐体視細胞のうちのいずれかが不完全異常であるか欠如しているため色覚異常となる。そして、赤・緑・青錐体視細胞にそれぞれ障害のあるものを、第一・第二・第三色覚異常という。
これらのうち第三色覚異常は、数百万人に一人という頻度の低さから、通常、色覚異常とは、第一・第二色覚異常を意味する。
そして、第一・第二色覚異常は、赤錐体と緑錐体との感度曲線が似ているため、色弁別が困難となる色の組み合わせ(混合色)はよく似ている。従って、第一・第二色覚異常は、赤と緑の組み合わせに対し、それらの違いを感ずることが困難とされている。即ち、色の見え方としては、第一・第二色覚異常ともに、赤および緑が暗く見えると言われている。両者の違いは、第一色覚異常が赤色がより暗く、第二色覚異常が緑色がより暗く見えることにある。
われわれの身の回りにある種々の印刷物・掲示物・電子画像等において、今日では情報の強調などを目的として、配色に様々な工夫がなされている。しかし、色覚正常者にとって目立つ配色であることにより情報認識が容易であっても、色覚異常者にとっては色弁別が困難なことにより情報の認識が困難、即ち、情報認識のバリア(障害)となることが多い。
この問題を解決するために色覚異常補正(矯正)眼鏡や色覚改善・変更手段等が種々提案されている(特許文献1〜4等参照)。
これらの方法は、「色覚異常者」が使用することにより、色の差を感じにくかった特定の色の組み合わせに対し、透過色を補正することによって、色弁別性を改善するものである。
特許等文献1の手法は、眼鏡レンズの一部を赤色に着色することにより残像を利用して色の矯正を行う手法が紹介されているが、具体的に当該レンズを作製する手法が明示されておらず、市場に提供するための手段が何ら提案されていない。また、単に着色のみの提案であり、実使用上における使い易さ・見栄え等が考慮されていない。
特許等文献2〜4の手法はいずれも、三種類ある赤・緑・青錐体視細胞の最も感度の高い波長帯の透過率の制御を行っている。
これにより、色覚異常者が識別し難いとされていた色の組み合わせに対しては、一定の効果があるが、しかし、特定の色の組み合わせに対しては識別可能となったとしても、従来は識別が可能であった色の組み合わせに対しては、補正を行うことによって逆に識別し難くなることがある。
そのため、実際に色を確認する場面では、裸眼での色の確認と、補正後の色の確認の双方が必要となり、例えば、補正フィルタを眼鏡レンズとして使用した場合、まず始めに眼鏡を装着しない状態で色(デザイン等)の確認を行い、その後、補正眼鏡を装着して色の確認を行い、また再度、眼鏡を外して色の確認を行うといった作業が必要となる。
また、カメラ等の撮像素子に装着するためのフィルタとして使用する場合も同様の手順が必要となり、補正フィルタ装着有り/無しの双方での色確認によって、初めて正常色覚者に近い色の識別(色弁別)が可能となる。
本考案は、色覚異常者が、簡便に色弁別ができ、ワークフローに取り込んで使用することにより、実際的な業務遂行が可能となる各種ツールを提供することを目的とする。
本考案者らは、上記の問題を解決するために、1枚のフィルタ内に、色覚異常の補正を行う部分と、補正を行わない部分とを同時に存在させ、フィルタの脱着をすることなく、視線をずらすのみで容易に補正有り/無し双方の確認が可能となると同時に、実使用での状況を想定し、補正有り部と補正無し部の境界を、段階的に着色濃度を傾斜(漸減ないし変化)させることにより違和感なく装着することができるフィルタとすれば市場に受け入れられ易いことを見いだし、本考案に係る機能性分光フィルタに想到した。
本考案の一態様は、図1〜3に示す如く、透明基材11の一部分に、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が施された特定着色部分13と、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色(無色透明)の非特定着色部分15とを備え、前記特定着色部分13と前記非特定着色部分15との境界が、両者の中間着色濃度とされた又は連続的若しくは段階的に着色濃度が傾斜(変化ないし漸減)する着色濃度傾斜帯17とされていることを特徴とするものである。図例では、非特定着色部分15は無色透明とされている。
具体的には、透明基材11の上部側又は下部側において、上端又は下端から半分乃至1/4(望ましくは4.5/10〜3/10)のみ赤色又は緑色の特定着色部分13とされる。
そして、着色濃度傾斜帯17の幅が、着色部上下幅の1/50〜1/10(望ましくは1/30〜1/15)とされる。着色濃度傾斜帯17は、視線移動に伴う違和感を軽減させる。
即ち、本考案の機能性分光フィルタの使用態様は、色弁別が困難な組合わせに対して、先ず、無色透明部分(非特定着色部分)15で色の確認を行なった後、視線を大きくずらして特定着色部分13で再確認を行なう。その色弁別が困難な組合わせを見つける作業を行なうに際して、着色濃度傾斜帯17を使用することにより、わずかに視線をずらすのみで、無色透明部分15での見え方と特定着色部分13での見え方を同時に確認することが可能となる。
例えば、黒地に、特定の赤色および青色(緑色と波長が近い)の文字が書かれていた場合、色覚異常者が無色透明部分(非特定着色部分)のみで見た場合は、赤色が暗く見えて赤色の文字の認識困難となり青色の文字のみが認識可能である。他方、赤色着色部分(特定着色部分)のみで見た場合は、着色により青色が暗く見えて青色文字が認識困難となり、赤色文字のみが認識可能である。着色濃度傾斜帯が存在することにより、僅かな視線のずらしにより、赤色・青色の双方の文字の同時読み取りが可能となる。
前述の如く、第一・第二色覚異常は、色の見え方が似かよっているため、赤色乃至緑色の一方のみ着色でもある程度の効果は得られるが、それぞれ、赤・緑の感度が色覚正常者に比して劣っているため、色の見え方として、それぞれ赤・緑が暗く見えると言われている。したがって、第一・第二色覚異常の双方に対して、より効果的な効果を得るためには、赤色・緑色の二色着色とすることが望ましい。即ち、第一色覚異常に対しては効果の高い赤色を強調する赤色着色により、第二色覚異常に対しては効果の高い緑色を強調する緑色着色により、一枚のフィルタ(一個の眼鏡)でより効果的なツールとなる。
ここで、色覚補正可能な着色濃度は、例えば、下記の如くとする。
・赤色着色については、400nm(青色系)・500nm(緑色系)のそれぞれの波長において、透過率10%以下、650nm(赤色系)の波長において、透過率20%以上が望ましい。
・緑色着色については、500nm(緑色系)の波長において透過率10%以上、400nm(青色系)・650nm(赤色系)のそれぞれの波長において、透過率5%以下が望ましい。
着色を施す手法としては、特に限定されない。眼鏡レンズに対して従来より慣用的に行われている染料或いは顔料を溶かした溶液中に浸漬して付着させる手法、あるいは、特許等文献(例えば、特開2002−187967号公報等)で開示されている各種手法を用いることができる。
上記着色濃度傾斜帯17を、段階的又は連続的に濃度を変化させる手法としては、溶液浸漬法ではレンズを浸漬させる際に揺動させることにより可能であるが、溶液の表面張力により必然的に境界面ににじみが発生するため、揺動無しでも境界部に連続的又は段階的な濃度を変化させることが可能となる。
転写手法及びインクジェット手法においては、予め濃度漸減させたデザインをそのままレンズに着色することも可能である。
また、図3に示す如く、透明基材11の裏面側および表面側の双方に着色C1、C2を施し、一方(裏面側)の着色C2を上端[図例]又は下端から長くなるように施す、即ち、着色C1、C2を施す範囲をずらすことでも、着色濃度傾斜帯17を形成可能である。当然、着色濃度傾斜帯17の着色濃度は、着色C2のみに依存し、着色C1、C2が重合した特定着色部分の着色濃度より低くなる。
なお、図3のように特定着色部分(染色部分)13と非特定着色部分(非染色部分)15との境界を明確にするには、非染色部分にマスキングテープ等で覆って染色処理を行うことが好ましい。
眼鏡用フレーム19に枠入れ加工された時に眼鏡レンズ11の上部となるように着色を施した場合(図4参照)、眼鏡用フレーム19と着色部分が同化し、着色が目立ちにくくなる。また、レンズ下部となるように着色を施した場合は、例えば手に持った印刷物・書籍等を見るときに視線の移動が少なくて済む。
なお、図例では、非特定着色部分15は、着色処理をしない無色透明としたが、色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色を施した構成でもよい。
本考案の別の態様は、図5に示す如く、透明基材11の全面を、赤色及び緑色の特定着色部分13a、13bで上下に分割着色してもよい。この場合の縦方向比率は、例えば赤色/緑=5/5〜1/3とされる。なお、赤色と緑色の上下関係は逆にしてもよい。
本考案の他の態様は、図6に示す如く、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が、散点状に施された特定散点着色部分21を備え、特定散点着色部分21の残余が、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色とされているものである。
本考案のさらに他の態様は、図7に示す如く、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が、格子状に施された特定格子着色部分22を備え、特定格子着色部分22の残余が、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色とされているものである。なお、格子模様は、図例の縦方向に限られず、横方向、斜め方向のいずれでもよい。
即ち、上記各実施形態の機能性分光フィルタ(眼鏡レンズ)は、着色態様が水玉模様21乃至市松模様又は格子模様22となっているものである。
ここで水玉(市松)や格子の径(大きさ)又は幅は、例えば、0.5〜3.0mm、望ましくは1.0〜2mmとする。隙間も略同一大きさとする。
水玉模様乃至市松模様又は格子模様とすることで、着色された水玉部分(市松染色部)とそれ以外の透明部分とを通して見ることにより、僅かに視線をずらすのみで色弁別確認が可能となる。なお、図例では水玉模様及び格子模様は全面であるが、図1や図2に示す如く、上側だけ下側だけ、さらには、図5に示す如く、水玉の着色も上下に二分割してもよい。また、水玉部分を非特定着色部分(無色透明)とし残余を特定着色部分としてもよい。
なお、特定散点又は格子着色部分と残余の淡色着色ないし非着色の部分との境界には、着色濃度傾斜帯は不要である。
以下、本考案の実施例について説明する。
A.実施例にて使用した材料は、それぞれ、下記市販品ないし下記のようにして調製したものである。以下の実施例で、配合単位を示す「部」は、特に断らない限り、「質量部」を意味する。
<有機ガラス基材>
有機ガラス基材は、それぞれ下記のものを使用した。
有機ガラス基材は、それぞれ下記のものを使用した。
1)有機ガラス基材A(低屈折基材:屈折率1.50)
ジエチレングリコールビスアリルカーボネイト100部に、重合開始剤(ジイソプロピルパーオキシカーボネイト)3部を混ぜ合わせ、ガラス製鋳型中に注入した。次に40℃で3時間、40〜60℃までを12時間、65〜85℃までを6時間かけて昇温し、最後に85℃にて3時間の加熱を行った後、レンズを鋳型より取り出し、さらに130℃にて2時間のアニーリング(歪み除去)を行い、有機ガラス基材を得た。
ジエチレングリコールビスアリルカーボネイト100部に、重合開始剤(ジイソプロピルパーオキシカーボネイト)3部を混ぜ合わせ、ガラス製鋳型中に注入した。次に40℃で3時間、40〜60℃までを12時間、65〜85℃までを6時間かけて昇温し、最後に85℃にて3時間の加熱を行った後、レンズを鋳型より取り出し、さらに130℃にて2時間のアニーリング(歪み除去)を行い、有機ガラス基材を得た。
2)有機ガラス基材B(高屈折基材:屈折率1.60)
市販チオウレタン系有機ガラス
市販チオウレタン系有機ガラス
3)有機ガラス基材C(超高屈折基材:屈折率1.74)
市販チオエポキシ系有機ガラス
市販チオエポキシ系有機ガラス
<媒体樹脂塗料>
アクリルレジン『ダイヤナールBR-80』(登録商標、三菱レイヨン社製)9部をジアセトンアルコール21部に溶解させた後、メチルエチルケトン30部、レベリング剤として『SILWET L-7001』(登録商標、日本ユニカー社製)0.01部を混合し、均一な状態となるまで攪拌し調製した。
アクリルレジン『ダイヤナールBR-80』(登録商標、三菱レイヨン社製)9部をジアセトンアルコール21部に溶解させた後、メチルエチルケトン30部、レベリング剤として『SILWET L-7001』(登録商標、日本ユニカー社製)0.01部を混合し、均一な状態となるまで攪拌し調製した。
<染料(含有)媒体樹脂塗料>
染料『スミカロンレッドE-RPD』(登録商標、住友化学社製)10部にメチルケトン12部、ジオキサン12部を加え、約10分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾過を行い、非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR-80』3.2部をトルエン12.8部に溶解させた樹脂溶液を調製し、そこへ、上記塗料の溶解液、及びレベリング剤として『SILWET L-7001』0.01部を混合し、均一な状態となるまで攪拌し調製した。
染料『スミカロンレッドE-RPD』(登録商標、住友化学社製)10部にメチルケトン12部、ジオキサン12部を加え、約10分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾過を行い、非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR-80』3.2部をトルエン12.8部に溶解させた樹脂溶液を調製し、そこへ、上記塗料の溶解液、及びレベリング剤として『SILWET L-7001』0.01部を混合し、均一な状態となるまで攪拌し調製した。
<染色浴>
1)染色浴I
水1000部に『スミカロンレッド E-RPD』2部、界面活性剤として『レベノールV-700』(登録商標、花王社製)3部を加え、攪拌した後90℃まで加熱して調製した。
1)染色浴I
水1000部に『スミカロンレッド E-RPD』2部、界面活性剤として『レベノールV-700』(登録商標、花王社製)3部を加え、攪拌した後90℃まで加熱して調製した。
2)染色浴II
水1000部に『スミカロンレッド E-RPD』1部、染料溶解剤としてイソプロピルアルコール25部、界面活性剤として『レベノールV-700』3部、キャリアー剤としてベンジルアルコール25部を加え攪拌した後、60℃まで加熱して調製した。
水1000部に『スミカロンレッド E-RPD』1部、染料溶解剤としてイソプロピルアルコール25部、界面活性剤として『レベノールV-700』3部、キャリアー剤としてベンジルアルコール25部を加え攪拌した後、60℃まで加熱して調製した。
<ハードコート液>
1)ハードコート液a(低屈折液:屈折率1.50)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100部、MeOH 200部、10-2N HCl 1100部を2時間環流にて加水分解後、メタノールシリカゾール1200部、アセチルアセトンアルミニウム7部、「FC-430」(住友3M社製フッ素系界面活性剤)0.4部を加え調製した。
1)ハードコート液a(低屈折液:屈折率1.50)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100部、MeOH 200部、10-2N HCl 1100部を2時間環流にて加水分解後、メタノールシリカゾール1200部、アセチルアセトンアルミニウム7部、「FC-430」(住友3M社製フッ素系界面活性剤)0.4部を加え調製した。
2)ハードコート液b(高屈折液:屈折率1.60)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、MeOH 230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部を滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子360部、イタコン酸40部、ジシアンジアミド20部、レベリング剤1部を添加し室温で約24時間攪拌し調製した。
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、MeOH 230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部を滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子360部、イタコン酸40部、ジシアンジアミド20部、レベリング剤1部を添加し室温で約24時間攪拌し調製した。
3)ハードコート液c(超高屈折液:屈折率1.66)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、MeOH 230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部を滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子700部、イタコン酸40部、ジシアンジアミド20部、レベリング剤1部を添加し、室温で約24時間攪拌して調製した。
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、MeOH 230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部を滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子700部、イタコン酸40部、ジシアンジアミド20部、レベリング剤1部を添加し、室温で約24時間攪拌して調製した。
<反射防止/反射増加膜>
1)反射防止膜
真空蒸着装置の真空室を60℃に加熱しながら、1.33×10-3Paとなるまで真空ポンプにて排気を行い、イオン銃を用いて酸素イオンクリーニングを行った後、光学膜厚設計(SiO2:26nm、ZrO2: 81nm、SiO2:22nm、ZrO2: 132nm、SiO2:131nm)に従って真空蒸着を行い、最後にフッ素シラン化合物にて撥水処理を行う。
1)反射防止膜
真空蒸着装置の真空室を60℃に加熱しながら、1.33×10-3Paとなるまで真空ポンプにて排気を行い、イオン銃を用いて酸素イオンクリーニングを行った後、光学膜厚設計(SiO2:26nm、ZrO2: 81nm、SiO2:22nm、ZrO2: 132nm、SiO2:131nm)に従って真空蒸着を行い、最後にフッ素シラン化合物にて撥水処理を行う。
2)反射増加膜
真空蒸着装置の真空室を60℃に加熱しながら、1.33×10-3Paとなるまで真空ポンプにて排気を行い、イオン銃を用いて酸素イオンクリーニングを行った後、光学膜厚設計(ZrO2: 130nm、SiO2:130nm、ZrO2:130nm、SiO2:130nm、ZrO2:130nm、SiO2:130nm)に従って真空蒸着を行い、最後にフッ素シラン化合物にて撥水処理を行う。
真空蒸着装置の真空室を60℃に加熱しながら、1.33×10-3Paとなるまで真空ポンプにて排気を行い、イオン銃を用いて酸素イオンクリーニングを行った後、光学膜厚設計(ZrO2: 130nm、SiO2:130nm、ZrO2:130nm、SiO2:130nm、ZrO2:130nm、SiO2:130nm)に従って真空蒸着を行い、最後にフッ素シラン化合物にて撥水処理を行う。
B.上記各有機ガラス基材上に上記各材料ないし方法を使用して、下記各実施例の着色眼鏡レンズ(着色有機ガラスコート加工品:機能性分光フィルタ)を得た。
<実施例1>
エチルアルコールを浸した布で直径75mmの有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上げ、染色浴Iにレンズ径の1/3にあたるレンズ端より25mmの位置まで浸漬させ、25
mmの範囲のみ染色された有機ガラス基材を得た。その際、染色部分(特定着色部分)と非染色部分(非特定着色部分)との境界は、液体の表面張力によりはっきりとした境界線とはなっておらず、段階的に色が変化しているのが見受けられた。
エチルアルコールを浸した布で直径75mmの有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上げ、染色浴Iにレンズ径の1/3にあたるレンズ端より25mmの位置まで浸漬させ、25
mmの範囲のみ染色された有機ガラス基材を得た。その際、染色部分(特定着色部分)と非染色部分(非特定着色部分)との境界は、液体の表面張力によりはっきりとした境界線とはなっておらず、段階的に色が変化しているのが見受けられた。
染色部分の濃度を測定した結果、650nm(赤色系)の波長の透過率は約25%、500nm(緑色系)の波長の透過率は約1%であった。
その後、ハードコート液a(低屈折液)に浸漬させ、105mm/minで引き上げて95℃で20分の仮硬化の後、100℃で2時間の硬化を行った。次に、真空蒸着法にて凹面、凸面の順に反射防止膜の成膜を行い、着色眼鏡レンズを得た。
<実施例2>
エチルアルコールを浸した布で直径75mmの有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上げ、レンズの凸面にレンズ径の1/3にあたるレンズ端より25mmの部分を残して、他の部分をマスキングテープによりマスキングを行った。また、レンズの凹面についても、レンズ端より27mmの部分を残して、他の部分をマスキングテープによりマスキングを行った。
エチルアルコールを浸した布で直径75mmの有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上げ、レンズの凸面にレンズ径の1/3にあたるレンズ端より25mmの部分を残して、他の部分をマスキングテープによりマスキングを行った。また、レンズの凹面についても、レンズ端より27mmの部分を残して、他の部分をマスキングテープによりマスキングを行った。
その後、該レンズの凹面にスピンコート法(ステップ1:1500rpm×5秒、ステップ2:2000rpm×5秒)により、前記媒体樹脂塗料を塗布し、エアーオーブンにて100℃×5分の熱処理を行った(塗膜厚0.15μm)。次いで、凸面も同様に媒体樹脂塗料を塗布し熱処理をしてガラス基材上に媒体樹脂塗膜(塗膜厚0.15μm)を形成した。
次に、染色浴IIに10分間浸漬して媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とし、浸漬後のガラス基材上に媒体樹脂塗膜と同条件で保護膜を形成した。
その後、エアオーブンにて130℃×100分の加熱を行った後、レンズに貼り付けたマスキングテープを剥がして、温水(60℃)に2分、次いでアセトンに1分浸漬させ、染料媒体膜及び保護膜を脱膜、次いで、40℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度10%)に浸漬させ,純水にて洗浄後、水切りを行い、眼鏡レンズ基材を得た。
その際、図3に示すように、レンズ凸面側はレンズ上端より25mmのみ着色、レンズ凹面側についてはレンズ上端より27mmのみ着色されているのが確認できた。
その後、ハードコート液a(低屈折液)に浸漬させ、105mm/minで引き上げて95℃で20分の仮硬化の後、100℃で2時間の硬化を行った。次に、真空蒸着法にて凹面、凸面の順に反射防止膜の成膜を行い、着色眼鏡レンズを得た。
<実施例3>
ハードコートの形成工程までは、実施例1と同様に加工を行った後、真空蒸着装置にて凹面には反射防止膜、凸面には反射増加膜の成膜を行い、着色有機ガラスコート品を得た。
ハードコートの形成工程までは、実施例1と同様に加工を行った後、真空蒸着装置にて凹面には反射防止膜、凸面には反射増加膜の成膜を行い、着色有機ガラスコート品を得た。
<実施例4>
基材を有機ガラス基材B、ハードコート液をハードコート液bとした以外は、実施例2と同様に加工を行い、着色眼鏡レンズを得た。
基材を有機ガラス基材B、ハードコート液をハードコート液bとした以外は、実施例2と同様に加工を行い、着色眼鏡レンズを得た。
<実施例5>
基材を有機ガラス基材C、ハードコート液をハードコート液cとした以外は、実施例2と同様に加工を行い、着色眼鏡レンズを得た。
基材を有機ガラス基材C、ハードコート液をハードコート液cとした以外は、実施例2と同様に加工を行い、着色眼鏡レンズを得た。
上記各実施例で得た着色眼鏡レンズを用いて、図4に示すような眼鏡とし、複数人の色覚異常者にかけてもらい、各種色覚検査表、及び任意の色でのカラーパッチでの判別試験を行い、いずれも色覚正常者と同様の判別が可能であるとの結果を得た。
11 透明基材
13 特定着色部分(染色部分)
15 非特定着色部分(非染色部分:透明部分)
17 着色濃度傾斜帯
19 眼鏡フレーム
21 特定散点着色部分(水玉模様部分)
22 特定格子着色部分
13 特定着色部分(染色部分)
15 非特定着色部分(非染色部分:透明部分)
17 着色濃度傾斜帯
19 眼鏡フレーム
21 特定散点着色部分(水玉模様部分)
22 特定格子着色部分
Claims (8)
- 色覚異常者が装着することにより特定の色の組み合わせに対する色弁別が容易となる機能性分光フィルタであって、透明基材の一部分に、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が施された特定着色部分と、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色の非特定着色部分とを備え、前記特定着色部分と前記非特定着色部分との境界が、両者の中間着色濃度の又は連続的若しくは段階的に着色濃度が傾斜する着色濃度傾斜帯とされていることを特徴とする機能性分光フィルタ。
- 前記着色が、透明基材の上部側又は下部側において、上端又は下端から半分乃至1/4のみ施されており、前記着色濃度傾斜帯の幅が前記特定着色部分の上下幅の1/50〜1/10であることを特徴とする請求項1記載の機能性分光フィルタ。
- 前記着色が裏面側および表面側の双方に一方が上端又は下端から長くなるように施されて、前記着色濃度傾斜帯が形成されていることを特徴とする請求項2記載の機能性分光フィルタ。
- 色覚異常者が装着することにより特定の色の組み合わせに対する色弁別が容易となる機能性分光フィルタであって、透明基材の全面が、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の特定着色部分で上下に分割して着色されていることを特徴とする機能性分光フィルタ。
- 色覚異常者が装着することにより特定の色の組み合わせに対する色弁別が容易となる機能性分光フィルタであって、
透明基材の全面或いは一部分に、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が散点状に施された特定散点着色部分を備え、特定散点着色部分の残余が、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色とされていることを特徴とする機能性分光フィルタ。 - 色覚異常者が装着することにより特定の色の組み合わせに対する色弁別が容易となる機能性分光フィルタであって、
透明基材の全面或いは一部分に、色覚異常補正が可能な濃度の赤色及び緑色の着色の一方又は双方が格子状に施された特定格子着色部分を備え、特定格子着色部分の残余が、前記色覚異常補正に影響を与えない濃度の淡色着色が施された又は非着色とされていることを特徴とする機能性分光フィルタ。 - さらに、反射防止膜ないし反射増大膜が施されていることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか一記載機能性分光フィルタ。
- 請求項1〜7のいずれか一記載の機能性分光フィルタでレンズが形成されていることを特徴とする色覚異常者用眼鏡。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2009
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