JP3150321U - 副子用板材 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱せずとも使用に際して手作業で変形して患部に副子を沿わせることが容易であって、また使用に際して副子と皮膚の間に当て布等を使用せずとも使用できる副子を提供することを目的とする。【解決手段】熱可塑性樹脂を成形してなる室温にて変形可能な副子用板材であって、該副子用板材1は曲げ方向に対して平行な断面の外形状が肉厚部2と肉薄部3が交互に連続する凹凸形状であって、該副子用板材1の平面視において短冊状の肉厚部2と短冊状の肉薄部3が交互に縦縞状に配され、曲げ方向からの外力に対しては柔軟性を発揮し、曲げ方向に対して直角方向からの外力に対しては剛性を発揮することを特徴とする副子用板材により上記の課題を解決する。【選択図】図1

Description

本考案は、骨折、脱臼、捻挫などの治療に際して患部を支持するための副子用板材に関する。
副子は患部を機械的に支持して除痛と患部の治癒を促す機能を持っている。近年では旧来の木質や金属等の素材から加工が容易であって、軽量なプラスチック製や軽金属製の副子が使用されるようになっている。
本考案者は副子用板材をプラスチックで作製することの長所を他に先駆けて見出し、特許出願を行っている(特開平9−19448、特開平10−43223)。特開平9−19448では熱可塑性樹脂フィルムを多数枚重ねて加熱溶融し、穴開き板状にしてなる通気性用板材を提案している。具体的には積層された熱可塑性フィルムを加熱溶融する際に意図的に大小の気泡を樹脂中に発生させることで、最終製品に気泡を残存させ、この気泡によって副子に部分的な穴開き部分を形成して、通気性を向上させたものである。一方、特開平10−43223では、副子の必要とする軟質性状に応じて適宜選択した熱可塑性樹脂フィルムの多数枚を重ねて加熱溶融しフィルムの多数枚を重ねて加熱溶融しフィルム間の空気を含んだままの状態で平板又は湾曲した板状に成形し、補強が必要とされる部分に肉厚部分を形成してなる副子用板材を提案している。
上述の副子では、従来品に比べて比較的容易に手で副子の形状を変形し、患部の形状に沿うように変形することが可能であるが、特開平10−43223の場合、変形に際して強力ドライヤーで加熱する必要があり([0007])、また特開平9−19448の場合は表面を凹凸形状としているために、原則として副子と皮膚の間に紙や布などを介在させて使用する必要があるため煩雑であり、また室温で変形できるのは副子用板材の両端の板材が薄い部分のみであって、患部に副子用板材を十分に沿わせることができないという問題があった。
特開平9−19448 特開平10−43223
本考案は、加熱せずとも使用に際して手作業で変形して患部に副子を沿わせることが容易であって、かつ曲げ方向に対して直角方向からの外力に対しては十分な剛性を発揮する副子を提供することを目的とする。また使用に際して副子と皮膚の間に当て布等を使用せずとも使用できる副子とすることも本考案の目的である。
熱可塑性樹脂を成形してなる室温にて変形可能な副子用板材であって、該副子用板材は曲げ方向に対して平行な断面の外形状が肉厚部と肉薄部が交互に連続する凹凸形状であって、かつ、該副子用板材の平面視において短冊状の肉厚部と短冊状の肉薄部が交互に縦縞状に配され、曲げ方向からの外力に対しては柔軟性を発揮し、曲げ方向に対して直角方向からの外力に対しては剛性を発揮することを特徴とする副子用板材により上記の課題を解決する。なお、ここでいう平面とは、曲げ方向に平行な断面に対して直交する面のことを指す。
本考案の副子用板材は上述のように熱可塑性樹脂を成形してなるものである。成形は押出成形、射出成形等の公知の方法により行ってもよいし、また、後述するように、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルムを多数枚重ねて加熱溶融して成形してもよい。後者の場合は金型等の成形用の設備がなくても、実施できるので好ましい。その場合、肉厚部の断面のフィルムが渦を巻くように積層された形状とすることが好ましい。例えば、樹脂フィルムの一端を固定し、その固定点の周りを樹脂フィルムの他端が円を描くように樹脂フィルムの他方を移動させることによって、前記の断面が渦巻状のフィルムの積層体、すなわち肉厚部を形成することができる。このように形成された肉厚部ひとつひとつの断面の外形は楕円形となり、単純に短冊状に成形した中実の熱可塑性樹脂を複数枚積層した場合に比べて、肉厚部の荷重方向に対する弾力が向上し、かつ軽量とすることができるので好ましい。また、肉厚部の断面を楕円形状にすることで、肉厚部の両端の厚みが小さくなり、副子用板材を変形する際に肉厚部の端部同士が接触して、可動範囲が小さくなることがなくなる。
一つ一つの肉厚部を形成するに際して、フィルムを巻く回数を少なくして手早く肉厚部を形成したい場合には樹脂フィルムを複数枚重ねてまとめて巻き込めば肉厚部を形成する工程を短縮することができる。また、厚めの熱可塑性樹脂フィルムを使用して、巻き込みの回数を少なくしてもよい。
本考案の副子用板材の肉厚部は上述のように渦を巻くように熱可塑性樹脂を積層することが好ましいが、熱可塑性樹脂を折り返すようにして積層してもよい。いずれの場合も、積層されたフィルム間には空気を含む層(フィルム間の間隙)が形成され、荷重方向に対する弾力性と軽量化に寄与する。肉薄部は厚みが小さいため、ホットプレート上で加熱された場合、芯まで溶融するのに対して、肉厚部はホットプレート上で加熱した場合でも、厚みが大きいため芯まで加熱されず、フィルム間の空気層が熱融着によって失われてしまうことがない。
本考案の副子用板材を熱可塑性樹脂のフィルムを積層して製造する場合、肉薄部の形成はどのような方法により行っても構わないが、例えば以下のような手順により行えばよい。まず、熱可塑性樹脂フィルム(下部フィルム)の上に、フィルムが渦巻き状に積層された肉厚部のそれぞれの上端と下端が揃うように横方向に配置していく。すべての肉厚部の配置を終えたら、その上に熱可塑性樹脂フィルムを乗せて(上部フィルム)、上部フィルムと下部フィルムで肉厚部を挟み込んだ積層体を形成する。次に、この積層体を表面が平面又はU字状に湾曲したホットプレート上に載置して、加熱可能な押圧板又は重量蓋でホットプレート上に載置された積層体に対して荷重をかけながら熱溶着する。この方法によれば、各肉厚部間に設けた間隔がそのまま肉薄部となる。
前記の肉薄部には意図的に気泡を残存させて、特開平9−19448の如く、肉薄部の板材を上下(厚み方向)に貫通する大小の気泡を部分的に形成してもよい。肉薄部は副子を使用する者の皮膚に触れることがないため、前記の換気用の気泡を肉薄部に設けても、使用者の皮膚に接触して違和感を生じるおそれがない。気泡を意図的に生じさせる場合は、特開平9−19448同様に複数枚の熱可塑性樹脂フィルムを下部フィルム及び上部フィルムとして使用し、気泡を生じやすくする。また、肉厚部にドリル等を使用して、任意の数の補助的な通気孔を穿作してもよい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては加熱成形後得られた副子用板材が室温でも患部に沿うように成形することが可能な軟質合成樹脂を用いることが好ましい。このような性質をもつ合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン等の汎用の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要とされる副子の硬さに応じて適宜選択して使用すればよい。
本考案の副子用板材を熱可塑性樹脂フィルムを使用せずに製作する場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を使用して一体成形する。副子用板材の軽量化の目的で成形に際して、これらの熱可塑性樹脂を発泡させてもよい。
本考案で用いる熱可塑性樹脂フィルムの厚さと枚数については次の通りである。まず、熱可塑性樹脂フィルムの厚みについては3〜80μmとすることが好ましく、5〜50μmとすることがより好ましい。フィルムの厚みが3μm未満では製作時のフィルムの取扱いが難しくなるし、80μmを越える厚みになると空気の含み具合が少なくなり肉厚部の荷重方向への弾力が失われてしまい、副子用板材の全体が硬くなりすぎる。使用する熱可塑性フィルムの枚数(1枚を渦巻き状に巻き込んで使用する場合及び折り返して使用する場合は、重なり合う枚数)については、肉厚部については30〜70枚程度、肉薄部については上部フィルムと下部フィルムを併せて20〜40枚程度とするとよい。肉厚部の枚数が目安として30枚未満となると折り曲げ方向に対して直交する方向に対する剛性が不足するとともに、荷重方向に対する弾力性が十分確保できなくなるし、目安として70枚を超えると副子用板材の厚みが必要以上に厚くなり、材料費、製造費がかさむだけで効率的ではない。また、肉薄部については目安として40枚を超えると、肉薄部が厚くなるため手作業での変形が困難となるだけでなく、肉薄部を介した通気性(皮膚と副子用板材の間の凹溝の深さが小さくなるため)が悪くなってしまう。また、目安として20枚を下回ると強度が不足し変形時に副子用板材が破断する原因となる。
上述の通り、肉薄部は熱可塑性樹脂フィルムを上部フィルムと下部フィルムを上下合わせて20〜40枚となるように積層して形成するが、上部フィルム又は下部フィルムは1枚の熱可塑性樹脂フィルムを折り返して、所定の積層枚数となるようにしてもよいし、ギプスの最終形状の大きさに合わせて裁断した複数枚の熱可塑性樹脂フィルムを積層して形成してもよい。
本考案の肉厚部の幅は、目安として15mmを下回ると副子用板材の曲げ方向に対して直角方向からの外力に対する剛性が不足し、目安として40mmを越えると、副子用板材の湾曲点が少なくなり、副子用板材を患部に適した形状に変形することが難しくなるため、本考案の肉厚部の幅は15〜40mm、より好ましくは20〜35mmとするとよい。また、本考案の肉薄部の幅については特に限定されないが、肉薄部の幅が目安として3mmを下回ると副子用板材を変形する際の変形範囲が制約されてしまうし、目安として10mmを越えると副子用板材の剛性が不足してしまうため、3〜10mmとすることが好ましく、5〜7mmとするとより好ましい。
本考案のU字状に湾曲させた副子用板材の肉薄部にV字状の切れ込みを入れることで、切れ込みを入れた部分で直径を調整自在にすることができる。切れ込みは肉薄部に鋏等を用いて容易に形成することができる。
また、本考案の副子用板材に、肉厚部と肉薄部の中間の厚みとなる中肉部を設けてもよい。膝、肘、股関節、肩関節等の間接に副子用板材が当接する部分に中肉部を配置して中肉部に鋏等により切れ込みを設けることにより、副子用板材の形状を患部の形状に応じて自在に変形することが可能となる。例えば、上腕に本考案の副子用板材を適用するに際しては、肩関節に副子用板材が当接する部分を中肉部とし、該中肉部にV字状の切れ込みを数カ所入れれば、副子用板材の形状を肩関節の形状に容易に沿わせることができるし、脚の下腿部に対して副子用板材を適用するに際しては、膝蓋骨に副子用板材が当接する部分を中肉部としてそこにU字状の切れ込みを入れておけば、膝蓋骨の凸形状により副子用板材が脛部に対して浮いてしまうことがなくなる。
中肉部の形成はどのような方法により形成しても構わないが、熱可塑性樹脂フィルムを積層する方法により形成する場合は、上述の肉薄部を形成する上部フィルムと下部フィルムを多少大きめに裁断して、その上部フィルムと下部フィルムが余った部分に所定の枚数又は所定の回数折り返した熱可塑性樹脂フィルムを配置して、前記上部フィルムと下部フィルムで挟み込むように熱融着すればよい。中肉部のフィルムの積層枚数は上部フィルム、下部フィルム、その間に配置される追加の熱可塑性フィルムを併せて40〜60枚程度とするとよい。目安として60枚を超えると中肉部の切断が困難となるし、また室温にて手作業で変形することが困難となるからである。一方、目安として40枚を下回ると中肉部の剛性が不十分となり、本考案の副子用板材を固定することが困難となる。上記枚数のフィルムを用いれば中肉部の厚みはだいたい0.6〜0.9mmとなる。
本考案の副子用板材は患部に副子を適用した後、包帯、ベルト、粘着テープ、テーピング用の固定テープ等の適宜の固定手段により固定して使用される。
肉厚部と肉薄部を交互に設けることにより、患部の形状や体格に応じた副子用板材の変形を室温にて簡便に行うことが可能となる。
肉薄部にのみ副子用板材を上下に貫通する気泡を意図的に生じさせることで、副子用板材の通気性を向上し、かつ、副子の使用者の皮膚に前記気泡による凹凸が接触することがないため、副子が使用者に違和感を与えるおそれがない。
肉薄部が凹溝となり、この凹溝が通気溝の役割を果たし、蒸れを生じることが少ない。
肉厚部は熱可塑性樹脂フィルムを渦状に積層して熱融着して形成することで、荷重方向に対して弾力を持った肉厚部とすることができる。
肉薄部にV字状の切れ込みを入れることによって、副子用板材の端部の直径を自在に変更することが可能となり、患部の形状に合わせて、副子用板材の形状を調節することが容易となる。
本考案の副子用板材に中肉部を設け、この部分に切れ込みを入れることによって、より大きな患部の形状の変化に対しても副子用板材の形状を変化させて副子を患部に沿わせることが可能となる。
本考案の副子用板材には肉薄部を設けてあるため、副子用板材を小児に対して使用する場合は肉薄部に沿って、副子用板材を切断することで小児の身体に適合するように副子用板材の大きさを容易に調節することができる。
本考案の副子用板材1の斜視図である。 図1のA−A断面を示した断面図である。 図2のD部分の拡大図である。なお、肉厚部2、肉薄部3のフィルムの積層枚数は作図の都合上、必ずしも正確ではない。 上の図は肉薄部8にV字状の切れ込み9を入れた副子用板材6の模式図である。下の図は切れ込み9を入れた後、副子用板材6の直径を絞った状態を示した模式図である。なお、図中の点線E−Eは切り取り線を示す。 脚部用の副子用板材6の一実施例を患者の脚12に装着した状態を示した模式図である。 断面U字状の副子用板材6を2つ組み合わせて、略円形の副子とした状態を示す模式図である。 中肉部17を設けた副子用板材14の斜視図である。 中肉部17にV字状の切れ込み19を入れた副子用板材14を示した模式図である。 図8の副子用板材14を上腕を骨折した患者に装着した状態を示す模式図である。 中肉部27にU字状の切れ込み28を入れた脚部用の副子用板材24を示した模式図である。 患者の脚部12に図10の副子用板材24を装着した状態を模式的に示した図である。
以下、本考案の一実施例を図を参照しながら説明する。本実施例では表面が平らなホットプレート上に、熱可塑性樹脂がホットプレートにこびり付くのを防ぐ目的でシリコンフィルムを敷き、その上に熱可塑性樹脂フィルム5として長方形(650mm×1,440mm)の低密度ポリエチレン(LDPE)製ゴミ袋(厚さ27μm/フィルム2枚)を8回折り返して低密度ポリエチレンフィルムが16枚重なった積層体(650mm×180mm)とし、その積層体を2つ重ねて配置した(下部フィルム)。続いて、下部フィルムの上にLDPE製のゴミ袋(650mm×800mm)を巻き込んでフィルムが多重(本実施例では約64枚)に重なるように形成した幅25mmの肉厚部3を一定の間隔(5mm)を開けて6つ横方向に配置した。さらにその上に、下部フィルムを形成するのと同じ要領でLDPE製のゴミ袋(650mm×1,440mm)を8回折り返して作製した低密度ポリエチレンフィルムが16枚重なった積層体(650mm×180mm)を1つ配置して、ホットプレートを165℃に加熱し、重り(鉄板)を載せたアルミトレーで加圧しながら15分加熱溶融し、その後、副子用板材が素手で触れる程度に冷えてから、外径100mmの鉄パイプにまだホットプレート保護用のシリコンフィルムがついたままの副子用板材を巻きつけて冷却しながらU字状に変形した。完全に硬化する前にシリコンフィルムを剥がして本実施例の副子用板材1とした。本実施例では、肉厚部2にドリルを用いて、直径4.5mmの通気孔4を45mmの間隔をあけて穿作した(図1参照)。
このようにして形成した本考案の副子用板材1は曲げ方向(図1の矢印C)に対して平行な断面(図1のA−A断面)の外形状が肉厚部2と肉薄部3が交互に連続する凹凸形状であって(図2参照)、かつ、該副子用板材の正面視において短冊状の肉厚部2と短冊状の肉薄部3が交互に縦縞状に配される形状を有していた。前記の肉厚部2の断面を観察したところ、表面の樹脂フィルムだけが溶融して一体化しており、内部はフィルム間に空気層をもった状態が保たれていた。一方、肉薄部3は芯まで加熱されたためか、フィルム間の空隙は見られなかった。この副子用板材1は曲げ方向に対して直角方向(図1の矢印B)においては副子として、患部を固定するのに十分な剛性を有しており、かつ曲げ方向(図1の矢印C)においては、室温においても手作業で副子用板材1を変形できる程度の柔軟性を有していた。また、肉厚部2のフィルムは渦巻き状(図3参照)になっているため、フィルム間に空気層を残しており、荷重方向(図3の矢印E)に対して弾性を有していた。さらに、肉薄部3においては大小の気泡の跡が残存し、部分的に板材を上下(厚み方向)に貫通する孔が観察された(図示略)。この気泡は肉厚部2においてはほとんど形成されておらず、肉厚部2の表面は滑らかに保たれていた。これは、肉薄部3はその名の通り、肉薄であるため加熱されやすく多数の気泡が生じたのに対して、肉厚部2は肉厚であるがために肉薄部3に比して加熱されにくく気泡の発生が抑制されたものと推測される。
上記の副子用板材1を上腕を骨折した患者に使用させたところ、常温での柔軟性のおかげで、極めて短時間かつ簡便に患部を固定することができた。また、副子としての強度、固定効果も必要十分であって、1.5ヵ月後には骨折が完治していた。さらには、肉薄部3に部分的に形成された大小の気泡による通気効果、肉薄部3の凹溝による通気効果及び肉厚部2にドリルを用いて穿作した通気孔11による通気効果により副子内部に蒸れを生ずることがなく、また皮膚に接触する肉厚部2の表面がなめらかであるために患者に着用時の不快感を与えることもなかった。
次に別実施例として、副子用板材を低発泡ポリスチレンを使用して押出成形により製造した。具体的には幅25mm、厚み7mmの肉厚部と幅5mm、厚み1.5mmの肉薄部を交互に配置した凸凹の副子用板材の外形状(図3の副子用板材の断面と同じ形状)を有するダイに溶融した低発泡ポリスチレンを通過させて形を与え、これを水によって冷却固化させて本考案の副子用板材とした。肉厚部には通気孔を40mmの間隔をあけて穿作した。なお、本実施例の副子用板材の図示は省略するが、副子用板材の肉厚部及び肉薄部に発泡に由来する気泡が観察される点を除いては、図1〜図3の副子用板材と同様の形状とした。
上記の低発泡ポリスチレンで制作した副子用板材を上腕を骨折した患者に使用させたところ、常温での柔軟性のおかげで、極めて短時間かつ簡便に患部を固定することができた。また、副子としての強度、固定効果も必要十分であって、1.5ヵ月後には骨折が完治していた。また、肉厚部2に設けた通気孔及び肉薄部3の凹溝による通気孔により副子内部に蒸れを生ずることがなかった。
さらに別の実施例として、上記の上腕用の副子用板材1と同様の要領で、低密度ポリエチレンフィルム(ゴミ袋)を積層して、ホットプレートで熱融着して脚部用の副子用板材6を作製した(図4及び図5参照)。脚部には上腕部より大きな負荷がかかるため、肉厚部7の積層枚数は70枚、肉薄部8の積層枚数は40枚、肉厚部7の幅は40mm、肉薄部8の幅は8mmとした。また、踵を固定するために副子用板材6が熱いうちに下端部11を湾曲させた(図5参照)。その後、ドリルで肉厚部に直径4mmの通気孔を40mm間隔で穿作し(図示略)、また副子用板材6の上下の端部10、11の肉薄部8に鋏を用いてV字状の切れ込み9(図4、図5参照)を入れて、切れ込み9を入れた部分で直径を調整自在にした円筒形状の副子用板材6を作製した。切れ込み9を入れた副子用板材6の上下の端部10、11が皮膚を傷つけないように図4の点線Eの部分で先端を切断し端部を揃えた後、テーピングに使用される非伸縮性の固定テープを使用して(図示略)、前記切断部分をカバーした。
この副子用板材6を図6に示されるように2枚組見合わせて略円形に組み合わせるようにして脛を骨折した患者に図5のように装着させたところ、常温での柔軟性により極めて簡単に患者の脚12に副子用板材6を装着できただけでなく、肉薄部8に設けた切れ込み9のおかげで、脛から膝にかけて脚12が細くなる部分や足13の足根部からつま先にかけて足13が細くなる部分に対して、副子の直径を最適に変更することができた。また、副子用板材6にV字状の切れ込み9を入れる際においても、肉薄部8のみに鋏を入れるため、大きな労力を必要とすることなく、簡単にV字状の切れ込み9を形成することができた。また、副子用板材6としての強度も十分であり、1.5ヵ月後には骨折が完治していた。なお、本実施例では副子用板材6を装着後に切れ込み9を入れた副子用板材6の上端部10、下端部11が開かないように上端部10及び下端部11の上から固定テープを巻きつけて固定してある。
さらに別実施例として、中肉部17を有する副子用板材14を作製した(図7参照)。作製方法は中肉部17を形成するために、肉薄部16の上部フィルムと下部フィルムを曲げ方向に直交する方向に160mm、曲げ方向に80mm大きめにして(フィルム全体の大きさは810mm×1520mm)、上述の上腕部用の副子用板材1と同様に8回折り返して低密度ポリエチレンフィルムが16枚重なった積層体(810mm×190mm)とし、フィルムを大きめにすることにより余った上部フィルムと下部フィルム(肉厚部15は上述の上腕部用副子用板材1と同じサイズとするため、810−650=160mmが余る)の間に10枚重ねとなるように折り返したLDPE製のゴミ袋を挟み込んで熱融着して中肉部17を形成する以外は上述の上腕用の副子用板材1の作製方法と同様とした。なお、下部フィルムが2つ(16×2=32枚)、上部フィルムが1つ(16枚)、上部フィルムと下部フィルムの間に挟み込んだフィルムが10枚で中肉部の熱可塑性樹脂フィルムの枚数は計58枚である。
この副子用板材14の上端部20と下端部21の中肉部17にV字状の切れ込み19(図8参照)を入れて、図9のように上腕を骨折した患者に装着した。中肉部17に設けたV字状の切れ込み19により、肩関節22から肘部分23に至るまで上腕部分をしっかりと固定できた。上述の上腕用の副子用板材1と同様に肉厚部15に設けた通気孔(図示略)、肉薄部16に残存した大小の気泡跡(図示略)の通気効果により通気性も申し分なかった。
さらに別実施例として、上述の脚部用の副子用板材6を作成するのと同じ要領で中肉部27を有する副子用板材24を作成した。中肉部27を形成するために肉薄部26の上部フィルムと下部フィルムを曲げ方向に直交する方向に160mm、曲げ方向に80mm大きめに(フィルム全体の大きさは810mm×2880mm)して、その余った上部フィルムと下部フィルムの間に10枚重ねとなるように折り返したLDPE製のゴミ袋を挟み込んで熱融着する以外は上述の脚部用の副子用板材6の作製方法と同様とした。
上端部29と下端部30の中肉部27にU字状の切れ込み28を入れた副子用板材24(図10、図11参照)と中肉部に切れ込みを入れていない副子用板材24を図6のように2つ組み合わせて、図11のように患者の脚部に装着した。上端部29及び下端部30の中肉部27に設けたU字状の切れ込み28により、副子用板材24の上端部29及び下端部30が膝蓋31及び足13の足根部32に当接することもなく、副子用板材24を患者の脚に対して容易に密着させることができた。また、肉厚部25に設けた通気孔(図示略)、肉薄部26に残存した大小の気泡跡(図示略)の通気効果により通気性も申し分なかった。さらに、中肉部27は肉厚部25に比して、肉薄なため切れ込み28も容易に形成することができた。
1 副子用板材
2 肉厚部
3 肉薄部
4 通気孔
5 熱可塑性樹脂フィルム
6 副子用板材
7 肉厚部
8 肉薄部
9 切れ込み
10 上端部
11 下端部
12 脚
13 足
14 副子用板材
15 肉厚部
16 肉薄部
17 中肉部
18 通気孔
19 切れ込み
20 上端部
21 下端部
22 肩関節
23 肘
24 副子用板材
25 肉厚部
26 肉薄部
27 中肉部
28 切れ込み
29 上端部
30 下端部
31 膝蓋
32 足根部

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂を成形してなる室温にて変形可能な副子用板材において、
    該副子用板材は曲げ方向に対して平行な断面の外形状が肉厚部と肉薄部が交互に連続する凹凸形状であって、該副子用板材の平面視において短冊状の肉厚部と短冊状の肉薄部が交互に縦縞状に配され、
    曲げ方向からの外力に対しては柔軟性を発揮し、曲げ方向に対して直角方向からの外力に対しては剛性を発揮することを特徴とする副子用板材。
  2. 熱可塑性樹脂成形体は熱可塑性樹脂フィルムを多数枚重ねて加熱溶融してなる副子用板材であって、肉厚部は熱可塑性フィルムを渦状に巻き込むようにして形成された断面楕円形の熱可塑性樹脂の積層体からなる請求項1に記載の副子用板材。
  3. 肉薄部に板材の厚み方向に貫通する大小の気泡を部分的に形成することで、前記気泡を使用者の皮膚に接触しない通気孔とした請求項1に記載の副子用板材。
  4. 肉薄部に切れ込みを入れることにより、切れ込みを入れた部分で直径を調整自在にした請求項1に記載の副子用板材。
  5. 請求項1に記載の副子用板材に加えて、切れ込みを入れた中肉部を有する副子用板材。
  6. 肉厚部に通気孔を穿作した請求項1に記載の副子用板材。
  7. 熱可塑性樹脂フィルムを多数枚重ねて加熱溶融してなる室温にて変形可能な副子用板材において、
    該副子用板材は曲げ方向に対して平行な断面の外形状が肉厚部と肉薄部が交互に連続する凹凸形状であって、該副子用板材の平面視において短冊状の肉厚部と短冊状の肉薄部が交互に縦縞状に配される形状を有し、
    前記肉厚部は熱可塑性フィルムを渦状に巻き込むようにして形成された断面楕円形の熱可塑性樹脂の積層体に通気孔を穿作したものであり、
    前記肉薄部は板材の厚み方向に貫通する大小の気泡を部分的に形成して使用者の皮膚に接触しない通気孔を有し、肉薄部分に切れ込みを形成することにより該切れ込みを入れた部分で直径を調整自在にした副子用板材。
  8. 熱可塑性樹脂フィルムを多数枚重ねて加熱溶融してなる室温にて変形可能な副子用板材において、
    該副子用板材は曲げ方向に対して平行な断面の外形状が肉厚部と肉薄部が交互に連続する凹凸形状であって、該副子用板材の平面視において短冊状の肉厚部と短冊状の肉薄部が交互に縦縞状に配される形状を有し、
    前記肉厚部は熱可塑性フィルムを渦状に巻き込むようにして形成された断面楕円形の熱可塑性樹脂の積層体に通気孔を穿作したものであり、
    前記肉薄部は板材の厚み方向に貫通する大小の気泡を部分的に形成して使用者の皮膚に接触しない通気孔とし、
    前記の肉厚部と肉薄部に加えて、切れ込みを入れた中肉部を有する副子用板材。

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