JP3146214B1 - 抗菌剤及びその製造方法 - Google Patents

抗菌剤及びその製造方法

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JP3146214B1
JP3146214B1 JP2000220307A JP2000220307A JP3146214B1 JP 3146214 B1 JP3146214 B1 JP 3146214B1 JP 2000220307 A JP2000220307 A JP 2000220307A JP 2000220307 A JP2000220307 A JP 2000220307A JP 3146214 B1 JP3146214 B1 JP 3146214B1
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Abstract

【要約】 【課題】 抗菌性と安全性とを高いレベルで維持できる
抗菌剤及びこの抗菌剤を含む抗菌性組成物を得る。 【解決手段】 抗菌剤は、カルボキシメチル基含有セル
ロースなどのカルボキシル基含有親水性高分子に複数の
第4級アンモニウム塩が形成され、前記塩が、(a)ベン
ゾニウム塩などのC8-16アルキルベンジルジC1-6アル
キルアンモニウム塩と、(b)ベヘニルトリメチルアンモ
ニウム塩などのC18-30アルキルトリC1-4アルキルアン
モニウム塩とで構成されている。抗菌剤のLD50は2
000mg/kg以上である。前記複数の第4級アンモ
ニウム塩の割合は、前者(a)/後者(b)=5/95〜50
/50(当量比)である

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた抗菌性を有
するとともに、安全性の高い抗菌剤、その製造方法及び
この抗菌剤を含む抗菌性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アニオン性の親水性高分子と、抗
菌性又は防カビ性などを有する第四級アンモニウム塩と
の塩を用いて、水に不溶性又は難溶性の抗菌剤が製造さ
れている。これらの抗菌剤は、抗菌性を付与すべき物質
に予め混合して使用される。
【0003】特公昭63−55522号公報及び特公昭
63−55524号公報には、カルボキシメチル基の置
換度が無水グルコース単位当たり1.5〜3.0のカル
ボキシメチルセルロースの第四級アンモニウム塩が開示
されている。
【0004】特開昭62−243601号公報には、ア
ルギン酸ナトリウム、ペクチン、カルボキシメチルセル
ロースなどのアニオンガムの第四級アンモニウム塩が開
示されており、この第四級アンモニウム塩を水溶液や懸
濁液(石炭スラリーなど)に添加すると防腐剤を特に加
える必要がないことが記載されている。
【0005】これらの抗菌剤は、高い抗菌性を有するも
のの、その安全性が未だ十分でない。また、安全性の高
い抗菌剤は、通常、抗菌性が十分でなく、安全性を向上
しようとすると抗菌性が低下する。そのため、抗菌性と
安全性とを両立するのは困難である。また、従来の方法
では、通常、抗菌剤を被処理材に添加したり、練り込む
ことによって被処理材に抗菌性を付与している。しか
し、抗菌効果は、被処理材の表面に露出した抗菌剤が作
用すると考えられるので、被処理材に抗菌剤を添加する
方法では、多量の抗菌剤を必要とし、コスト的にも不利
である。
【0006】特開昭61−246205号公報には、側
鎖に第4級窒素カチオン基を有する特定のビニル共重合
体で構成された抗菌性ポリマーが開示され、前記抗菌性
ポリマーのLD50が6400mg/kgを示すことが
記載されている。特に、ビニル共重合体としては、側鎖
にベンジル骨格を有するビニル共重合体が記載されいて
いる。しかし、前記抗菌性ポリマーは特定の構造を有す
る必要があり、ポリマーの種類が限定されているだけで
なく、この抗菌性ポリマーを得るためには、第4級窒素
カチオン基導入工程や共重合工程などの複雑な製造工程
を必要とするため、工業的に不利である。また、この文
献には、前記ポリマーが架橋性基を含んでいてもよいこ
とが記載されており、得られたポリマーは水などの媒質
中でミクロゲルを形成し、水分散性ポリマーを構成する
ことが記載されている。しかし、この水分散性ポリマー
は架橋構造を有するため、有機溶媒に不溶であり、被処
理材の表面に効率よくコーティングできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抗菌
性と安全性とを高いレベルで両立できる抗菌剤及びその
製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、高い抗菌性及び安全
性を有するとともに、有機溶媒に可溶性で、被処理材の
表面に効率よくコーティングできる抗菌剤及びこの抗菌
剤を含む抗菌性組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、アニオン性の親水性
高分子の第4級アンモニウム塩において、前記親水性高
分子の同一分子内に、抗菌性を有する第4級アンモニウ
ム塩と安全性の高い第4級アンモニウム塩とを形成した
抗菌剤を用いることにより、抗菌性と安全性とを高いレ
ベルで両立できることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明の抗菌剤は、アニオン性
の親水性高分子の同一分子内に複数の第4級アンモニウ
ム塩が形成された抗菌剤であって、この抗菌剤のLD5
0が2000mg/kg以上であり、かつ有機溶媒に可
溶である。前記複数の第4級アンモニウム塩は、(a)L
D50が1500mg/kg未満の抗菌性を有する第4
級アンモニウム塩と、(b)LD50が2000〜100
00mg/kgの第4級アンモニウム塩とで構成されて
いる。例えば、アニオン性の親水性高分子の塩は、(a)
下記式(1)又は(2)で表される第4級アンモニウム
塩と、
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1〜R6は、同一又は異なって、
アラルキル基、飽和又は不飽和C1-16脂肪族炭化水素
基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオ
キシアルキル基、アリールオキシアルキレンオキシアル
キル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示す。
5は隣接する窒素原子とともに異項環の不飽和結合を
形成する結合手であってもよい。Zは5又は6員環を示
す。ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは、アラル
キル基及び飽和又は不飽和C8-16脂肪族炭化水素基から
選択された少なくとも1つの基である)(b)下記式
(3)又は(4)で表される第4級アンモニウム塩とで
構成されている。
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R7〜R14は、同一又は異なっ
て、飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化水素基、モノ−又
はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル
基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示し、R15
はアルキレン基を示し、Yは−C(O)NH−又は−N
HC(O)−を示す。R11及びR13は、それぞれ隣接す
る窒素原子とともに異項環の不飽和結合を形成する結合
手であってもよい。Zは5又は6員環を示す。ただし、
7〜R10のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C
18-30脂肪族炭化水素基である)親水性高分子は、親水
性多糖類又は親水性樹脂、例えば、水溶性ホモグリカン
(カルボキシル基含有セルロース、カルボキシル基含有
デンプン、ペクチン酸、アルギン酸又はこれらの誘導体
など)であってもよい。さらに、本発明には、アニオン
性の親水性高分子の同一分子内に複数の第4級アンモニ
ウム塩が形成された抗菌剤であって、複数の第4級アン
モニウム塩が、前記式(1)又は(2)で表される第4
級アンモニウム塩と、前記式(3)又は(4)で表され
る第4級アンモニウム塩とで構成された抗菌剤も含まれ
る。
【0015】本発明には、前記抗菌剤と有機溶媒とで構
成された抗菌性組成物、及び抗菌剤の製造方法も含まれ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】[アニオン性の親水性高分子]本
発明に使用されるアニオン性の親水性高分子としては、
第四級アンモニウム塩と塩を形成可能であれば、その種
類は特に制限されないが、アニオン性の親水性多糖類、
アニオン性の親水性樹脂などが挙げられる。前記アニオ
ン性の親水性多糖類としては、アニオン性の親水性基を
分子内に有する限りいずれの多糖類(ホモグリカン、ヘ
テログリカンなど)も使用できる。前記ホモグリカンと
しては、グルカン(セルロース、デンプン、グリコーゲ
ン、カロニン、ラミナラン、デキストランなど)、フル
クタン(イヌリン、レバンなど)、マンナン(ゾウゲヤ
シマンナンなど)、キシラン(イネワラのキシランな
ど)、ガラクツロナン(ペクチン酸など)、マンヌロナ
ン(アルギン酸など)、N−アセチルグルコサミン重合
体(キチンなど)、及びこれらの誘導体などが例示でき
る。前記ヘテログリカンとしては、ジヘテログリカン
(グアラン、コンニャクのマンナン、ヘパリン、コンド
ロイチン硫酸、ヒアルロン酸など)、トリヘテログリカ
ン(メスキットガム、ガッチガムなどの植物粘質物、ゴ
ム質、細菌多糖類など)、テトラヘテログリカン(アラ
ビアゴムなどの粘質物、ゴム質、細菌多糖類など)、及
びこれらの誘導体などが例示できる。
【0017】前記アニオン性の親水性基には、−COO
H,−SO3H,−OSO3H,−H 2PO4又はそれらの
誘導体、あるいはそれらのアルカリ金属塩などが含まれ
る。さらに−NH2,−CN,−OH,−NHCON
2,−(OCH2CH2)−などの他の親水性基を有し
ていてもよい。好ましい親水性基は、カルボキシル基
(−COOH)などである。
【0018】前記親水性高分子は、好ましくは前記のよ
うな親水性基を有する水溶性多糖類、さらに好ましくは
水溶性ホモグリカンであり、具体的には、カルボキシル
基含有セルロース[カルボキシメチル基含有セルロース
(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カ
ルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエ
チルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロ
ースなど)など]、カルボキシル基含有デンプン(カル
ボキシメチルデンプン(CMS)など)、ペクチン酸及
びその誘導体(ペクチン酸ナトリウムなど)、アルギン
酸及びその誘導体(アルギン酸ナトリウムなど)などが
例示できる。
【0019】前記親水性多糖類において、第四級アンモ
ニウム塩との塩を形成する上で、カルボキシル基の含有
量(平均置換度)は特に制限されず、用途に応じて選択
でき、例えば、無水グルコース基1単位当たり0.3〜
3(例えば、0.5〜2.8)程度から選択できる。特
に、有機溶媒に対して可溶性の塩を所望する場合には、
1.5以上(例えば、1.5〜3.0)、好ましくは
1.6〜2.8、さらに好ましくは1.7〜2.5程度
から選択できる。
【0020】前記カルボキシル基含有親水性高分子のう
ち、特に、カルボキシメチル基を有する親水性高分子、
例えばカルボキシメチル基含有セルロース(カルボキシ
メチルセルロース(CMC)又はその誘導体など)又は
デンプン(カルボキシメチルデンプン(CMS)又はそ
の誘導体など)などをアニオン性の親水性高分子として
使用すると、カルボキシル基の導入量を調整でき、また
後述する第四級アンモニウム塩との塩を高効率に形成で
きる。
【0021】セルロースに対するカルボキシメチル基の
導入量[カルボキシメチル基の置換度(DS)]は、無
水グルコース基1単位当たりのカルボキシル基(カルボ
キシメチル基)の平均置換度で表され、DSは抗菌性が
損なわれない広い範囲から選択でき、例えば、0.3〜
3(0.5〜2.8)程度から選択できる。特に、形成
された塩が有機溶媒に対して可溶性の塩を所望するなら
ば、1.5以上(例えば、1.5〜3.0)、好ましく
は1.6〜2.8、さらに好ましくは1.7〜2.5程
度である。また、CMSにおいてもデンプンに対するカ
ルボキシメチル基の導入量はCMCの場合と同様の範囲
から選択できる。
【0022】また、CMCの粘度平均重合度は、10〜
1500(例えば、50〜1500)、好ましくは10
0〜1500(例えば、400〜1200)程度であ
る。
【0023】前記アニオン性の親水性樹脂としては、前
記のような親水性基を有する樹脂(親水性基を有する重
合性モノマーの単独又は共重合体など)などが使用で
き、例としては、スルホン酸基又はその塩を含有するモ
ノマー(スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩な
ど)、カルボキシル基又はその塩を含有するモノマー
((メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸モノア
ルキルエステルなどのカルボキシル基含有モノマー又は
その塩など)、酸無水物基を含有するモノマー(無水マ
レイン酸など)などの単独又は共重合体などが挙げられ
る。また、前記アニオン性の親水性樹脂は、前記例示の
アニオン性基含有モノマーと他の共重合性モノマーとの
共重合体としても使用できる。
【0024】前記共重合性モノマーとしては、例えば、
オレフィン類又はジエン類(例えば、エチレン、プロピ
レン、ブタジエンなど)、マレイン酸ジアルキルエステ
ル、(メタ)アクリル系単量体(例えば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの
アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリロニトリルなどのシアン化ビニルなど)、アリル系
単量体(例えば、アリルアルコール、アリルイソシアネ
ート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ含有モ
ノマーなど)、ビニル系単量体(ビニルイソシアネー
ト、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、ビニルピロリ
ドン、ビニルイミダゾールなどの複素環式ビニルアミン
類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビ
ニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニ
ルトリスアルコキシシランなどの加水分解性シリル基含
有モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲ
ン含有ビニル単量体など)などが挙げられる。これらの
共重合性モノマーは、単独又は二種以上を組合せて使用
できる。共重合性モノマーの使用量は、カルボキシル基
含有単量体100重量部に対して、0〜500重量部程
度の範囲から選択できる。
【0025】好ましい前記親水性樹脂はカルボキシル基
含有親水性樹脂などであり、(メタ)アクリル酸の単独
又は共重合体、(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマ
ーとの共重合体が特に好ましい。
【0026】前記のような親水性高分子は単独又は二種
以上組合せて使用できる。
【0027】前記親水性高分子は、1重量%水溶液の粘
度が10〜1500mPa・s、好ましくは50〜1000
mPa・s、さらに好ましくは50〜500mPa・s(例え
ば、100〜300mPa・s)程度である。 [第4級アンモニウム塩]本発明では、アニオン性で親
水性の高分子の塩を使用しても、有機溶媒に可溶性で、
抗菌性及び安全性に優れた抗菌剤を得ることができる。
抗菌剤は、アニオン性の親水性高分子と、この親水性高
分子のアニオン性基と複数の第4級アンモニウム塩化合
物(例えば、第4級アンモニウムハライドなど)とで形
成された第4級アンモニウム塩とで形成される。前記複
数の第4級アンモニウム塩は、例えば、(a)抗菌性を有
する第4級アンモニウム塩(例えば、LD50が150
0mg/kg未満の第4級アンモニウム塩)と、(b)L
D50が1500mg/kg以上(例えば、2000〜
10000mg/kgの第4級アンモニウム塩との混合
塩で構成され、前記親水性高分子の同一分子内に前記
(a)及び(b)の第4級アンモニウム塩を有している。
【0028】(a)抗菌性を有する第4級アンモニウム塩
は、下記式(1)又は(2)で表される。
【0029】
【化5】
【0030】(式中、R1〜R6は、同一又は異なって、
アラルキル基、飽和又は不飽和C1-16脂肪族炭化水素
基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオ
キシアルキル基、アリールオキシアルキレンオキシアル
キル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示す。
5は隣接する窒素原子とともに異項環の不飽和結合を
形成する結合手であってもよい。Zは5又は6員環を示
す。ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは、アラル
キル基及び飽和又は不飽和C8-16脂肪族炭化水素基から
選択された少なくとも1つの基である) R1〜R6で表されるアラルキル基としては、ベンジル、
ジフェニルメチル基などが挙げられる。飽和又は不飽和
1-16脂肪族炭化水素基としては、アルキル基(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、
ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシ
ル、ヘキサデシルなどのC1-16アルキル基など)、アル
ケニル基(例えば、アリル、イソプロペニル、ヘキセニ
ル、デセニルなどのC1-16アルケニル基など)などが挙
げられる。なお、式(1)で表される第4級アンモニウ
ム塩において、R1〜R4のうち少なくとも1つはアラル
キル基(特に、ベンゾイル基)及び/又は飽和又は不飽
和C8-16脂肪族炭化水素基(例えば、オクチル、デシ
ル、ドデシル、テトラデシルなどのC8-16アルキル基、
好ましくはC9-14アルキル基など)である。また、式
(2)で表される第4級アンモニウム塩において、Zで
表される異項環としては、窒素原子が不飽和結合を形成
する異項環(例えば、2H−ピロールなどの5員環、ピ
リジンなどの6員環など)、窒素原子が不飽和結合を形
成しない異項環(例えば、ピロール、ピロリドン、ピロ
リンなどの5員環、ピペリジンなどの6員環など)が挙
げられる。好ましい異項環としては、ピリジン環などが
挙げられる。
【0031】(a)抗菌性の高い前記第四級アンモニウム
塩には、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩
(C8-16アルキルトリメチルアンモニウム塩など)、ア
ルケニルトリメチルアンモニウム塩(C8-16アルケニル
トリメチルアンモニウム塩など)、ジアルキルジメチル
アンモニウム塩(ジデシルジメチルアンモニウム塩など
のジ−C8-16アルキルジメチルアンモニウム塩など)、
ジアルケニルジメチルアンモニウム塩(ジ−C8-16アル
ケニルジメチルアンモニウム塩など)、下記式(3): [C65CH2N(CH3216+ (3) (式中、R16はアルキル基を示す)で表されるアルキル
ベンジルジメチルアンモニウム塩[C8-16アルキルベン
ジルジメチルアンモニウム塩(例えば、ベンザルコニウ
ム塩)、4−C1-9アルキルフェニルオキシエトキシエ
チルベンジルジメチルアンモニウム塩(例えば、ベンゼ
トニウム塩など)など]、及びアルキルピリジニウム塩
(セチルピリジウム塩などのN−C8-16アルキルピリジ
ニウムブロミドなど)、アルキルピペリジニウム塩、ア
ルキルピロリウム塩、アルキルピロリジニウム塩などの
環状第四級アンモニウム塩などが含まれる。これらの第
4級アンモニウム塩は、単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。
【0032】(b)安全性の高い(例えば、LD50が1
500mg/kg以上)第4級アンモニウム塩は、下記
式(3)又は(4)で表される。
【0033】
【化6】
【0034】(式中、R7〜R14は、同一又は異なっ
て、飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化水素基、モノ−又
はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル
基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示し、R15
はアルキレン基を示し、Yは−C(O)NH−又は−N
HC(O)−を示す。R11及びR13は、それぞれ隣接す
る窒素原子とともに異項環の不飽和結合を形成する結合
手であってもよい。Zは5又は6員環を示す。ただし、
7〜R10のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C
18-30脂肪族炭化水素基である) R7〜R14で表される飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化
水素基としては、前記例示のアルキル基(例えば、メチ
ル、エチル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシルなどC1-16アルキル基)、C17-30アルキル
基(例えば、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル
など)、前記例示のアルケニル基(例えば、アリル、イ
ソプロペニルなどのC1-16アルケニル基など)、C
17-30アルケニル基(例えば、ヘプタデセニル、オクタ
デセニル、ノナデセニル、ドコセニル、ヘキサコセニル
などのC17-30アルケニル)などが挙げられる。なお、
7〜R10のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C
18-30脂肪族炭化水素基(例えば、オクタデシル、ノナ
デシル、エイコシル、ベヘニル、ヘキサコシル(セリ
ル)、トリアコンチルなどのC18-30アルキル(好まし
くはC18-26アルキル)、オクタデセニル、ノナデセニ
ル、ドコセニル、ヘキサコセニルなどのC18-30アルケ
ニル(好ましくはC18-26アルケニル)など)である。
【0035】式(3)で表される第4級アンモニウム塩
において、R15で表されるアルキレン基としては、メチ
レン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、
ヘキシレンなどのC1-10、好ましくはC4-8アルキレン
基などが挙げられる。
【0036】Zとしては前記例示の環(特に、ピリジン
環など)が挙げられる。
【0037】(b)安全性の高い第4級アンモニウム塩と
しては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩
(ベヘニルトリメチルアンモニウム塩などのC18-30
ルキルトリメチルアンモニウム塩など)、アルケニルト
リメチルアンモニウム塩(C18 -30アルケニルトリメチ
ルアンモニウム塩など)、ジアルキルジメチルアンモニ
ウム塩(ジ−C18-30アルキルジメチルアンモニウム塩
など)、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩(ジ−C
18-30アルケニルジメチルアンモニウム塩など)、4,
4’−(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−
アルキルピリジニウム塩)(例えば、4,4’−(テト
ラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピ
リジニウム塩)など)、N,N’−アルキレンビス(4
−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)(例え
ば、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム塩)など)などの環状第四級
アンモニウム塩などが含まれる。これらの第4級アンモ
ニウム塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。
【0038】好ましい第4級アンモニウム塩は、(a)ベ
ンザルコニウム塩又はベンゾトニウム塩と、(b)C18-30
アルキルトリメチルアンモニウム塩、4,4’−(C
4-8アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−C
8-20(好ましくはC8-16)アルキルピリジニウム塩)及
びN,N’−C4-8アルキレンビス(4−カルバモイル
−1−C8-20(好ましくはC8-16)アルキルピリジニウ
ム塩)から選択された少なくとも1種の塩とで構成され
ている。
【0039】好ましい抗菌剤としては、カルボキシメチ
ル基含有セルロース及びカルボキシメチル基含有デンプ
ンから選択された少なくとも一種のカルボキシル基含有
親水性高分子に複数の第4級アンモニウム塩が形成され
た抗菌剤であって、同じ親水性高分子に(a)C8-16アル
キルベンジルジC1-6アルキルアンモニウム塩と、(b)C
18-30アルキルトリC1-4アルキルアンモニウム塩及び
4,4’−(C4-8アルキレンジカルボニルジアミノ)
ビス(1−C8-16アルキルピリジニウム塩)から選択さ
れた少なくとも1種とを有し、前記親水性高分子の無水
グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度が
1.5以上である抗菌剤が挙げられる。 [複数の第4級アンモニウム塩の割合]同一の親水性高
分子において、混合塩を構成する複数の第4級アンモニ
ウム塩の割合は、得られた抗菌剤のLD50が2000
mg/kg以上になる範囲から選択され、例えば、(a)
抗菌性を有する第4級アンモニウム塩(例えば、LD5
0が1500mg/kg未満の第4級アンモニウム塩)
と(b)安全性の高い(例えば、LD50が1500mg
/kg以上)第4級アンモニウム塩との割合は、前者
(a)/後者(b)=5/95〜50/50(当量比)、好ま
しくは10/90〜40/60(当量比)、20/80
〜35/65(当量比)程度である。
【0040】なお、親水性高分子のアニオン性基の塩の
形成割合は、例えば、90〜100%、好ましくは95
〜100%、さらに好ましくは98〜100%程度であ
る。
【0041】なお、本発明の抗菌剤には、さらに有機溶
剤可溶性の有機高分子が含まれていてもよい。親水性高
分子の第4級アンモニウム塩と有機溶剤に可溶性の有機
高分子との割合は、抗菌剤全体として、LD50が20
00mg/kgとなるように選択され、例えば、前者/
後者(重量比)=5/95〜50/50、好ましくは1
0/90〜50/50、さらに好ましくは15/85〜
40/60程度である。
【0042】有機溶剤可溶性の有機高分子としては、熱
可塑性樹脂[例えば、セルロース誘導体(メチルセルロ
ース、エチルセルロース、ブチルセルロースなどのC
1-6アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシエチルセルロースなどのカルボキシC
1-4アルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC
1-4アルキルセルロースなどのセルロースエーテル類;
カルボキシメチルニトロセルロース、アセチルセルロー
ス、ニトロセルロースなどのセルロースエステル類な
ど)、アクリル系樹脂(ポリメチル(メタ)アクリレー
トなどのポリC1-6アルキル(メタ)アクリレート、ポ
リ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリロニトリル
など)、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニ
ル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
などのビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニルなどのハロゲン含有ビニル系樹脂)、
オレフィン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルなど)、ポリエステル
系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキ
レンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロ
ン6、ナイロン66など)、ポリウレタン系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂など]、熱硬化性樹脂[ウレタン系
樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ樹脂、シリコーン系樹脂
など]が使用できる。また、低重合度ポリマー(例え
ば、低重合度ナイロンなど)などを使用してもよい。好
ましい有機高分子としては、前記親水性高分子の塩との
相溶性などの点からアルキルセルロース類、特にエチル
セルロース類(例えば、エチルセルロース、メチルエチ
ルセルロース、ブチルエチルセルロース、エチルアセチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)など
が挙げられる。 [抗菌剤]本発明の抗菌剤では、抗菌性の高い塩と安全
性の高い塩とを組み合わせて使用するので、高い抗菌性
を維持しつつ、安全性を大きく改善できる。抗菌剤のL
D50は2000mg/kg以上(例えば、2000〜
10000mg/kg)程度である。LD50が200
0mg/kg未満、特に1500mg/kg未満では、
その安全性が十分でない。
【0043】なお、LD50とは、同一母集団に属する
多数の動物の半数を死亡させる投薬量をいう。例えば、
ラットに対して、LD50を評価できる。 [抗菌剤の製造方法]本発明の抗菌剤は、前記アニオン
性の親水性高分子又はその誘導体(アルカリ金属又はア
ルカリ土類金属との塩など)と、複数の第4級アンモニ
ウム塩化合物(前記第4級アンモニウム塩(a)及び(b)に
対応する化合物)とを混合又は反応させることによって
調製できる。例えば、前記親水性高分子又はその誘導体
に、第4級アンモニウム塩化合物の混合物を添加するこ
とにより、前記親水性高分子の同一分子内に異なる複数
の第4級アンモニウム塩(a)及び(b)が形成された抗菌剤
を得ることができる。なお、第4級アンモニウム塩(a)
及び(b)の混合物に、親水性高分子又はその誘導体を添
加してもよい。
【0044】親水性高分子の誘導体が、アルカリ金属塩
又はアルカリ土類金属塩の場合、前記反応は室温でも円
滑に行える。また、遊離のアニオン性基を有する親水性
高分子を使用する場合、触媒(例えば、アルカリ金属の
水酸化物など)を使用してもよい。第4級アンモニウム
塩化合物としては、前記第4級アンモニウム塩(a)及び
(b)に対応するアンモニウムクロライド、アンモニウム
ブロマイドなどのハライド化合物などが使用できる。
【0045】また、前記親水性高分子のアルカリ金属塩
又はアルカリ土類金属塩と、第4級アンモニウム塩ハラ
イドとの反応により生成する金属ハライドを、必要によ
り除去してもよい。
【0046】混合又は反応温度は、特に制限されず、室
温〜100℃、好ましくは15〜70℃程度である。混
合又は反応は、空気中でおこなってもよく、必要によ
り、不活性ガス中で行ってもよい。また、各成分は、前
述の第4級アンモニウム塩の割合及び親水性高分子の塩
形成割合に対応する割合で使用できる。各成分は、溶媒
を用いて、溶液又は分散体の形態で使用してもよい。溶
媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトンなど
のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ
ーテル類;エステル類;メチルセロソルブエチルセロソ
ルブ、n−プロピルセロソルブなどのセロソルブ類;炭
化水素類などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は
二種以上組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。
また、溶媒は、水混和性(水溶性)溶媒であってもよ
い。
【0047】本発明の抗菌剤は、有機溶媒に可溶性であ
り、有機溶媒と組み合わせて抗菌性組成物を構成しても
よい。抗菌性組成物は、前記抗菌剤と有機溶媒とを混合
することによって得られる。前記抗菌性組成物を使用す
れば、被処理材の表面を効率よくコーティングすること
ができ、塗布性(作業性)に優れ、均一で表面平滑性の
高い抗菌性皮膜を形成できる。
【0048】使用できる溶媒としては、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ペンタ
ノールなどのアルコール類;アセトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキ
サン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル類;メチルセロソルブエ
チルセロソルブ、n−プロピルセロソルブなどのセロソ
ルブ類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキ
サンなどの脂環族炭化水素;ヘキサンなどの脂肪族炭化
水素などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は二種
以上組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。抗菌
性組成物中の前記抗菌剤の含有量は、有機溶媒100重
量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜40重
量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度である。
【0049】本発明の抗菌性組成物は、他の添加剤を含
んでいてもよい。他の添加剤としては、界面活性剤や分
散剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填
剤、帯電防止剤、着色剤、防黴剤、他の抗菌剤などを含
有していてもよい。
【0050】本発明の抗菌剤組成物は、慣用の塗布方
法、例えば、ハケ塗り、筆塗り、浸漬、エアーナイフコ
ート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレード
コート法、ディップコート法、スプレー法などにより被
処理材に塗布(コーティング)してもよい。また、抗菌
剤組成物の塗膜の厚みは、0.01〜500μm、好ま
しくは0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜50
μm程度である。
【0051】本発明の抗菌剤組成物は、種々の被処理
材、例えば、金属、木材、紙、繊維、不織布、プラスチ
ック成形品、フィルム、シートなどに使用できる。本発
明の抗菌剤は、安全性に優れているので、特に高度に安
全性が要求される被処理材での使用に適している。ま
た、本発明の抗菌剤は、薬事法の対象となっている被処
理材又は薬事法の対象外となっているが、抗菌製品技術
協議会などの業界で認めた自主基準で安全性の高いこと
が要求される被処理材に使用され、例えば、建材、塗
料、壁紙、台所、トイレなどの抗菌・滅菌にも使用され
る。
【0052】
【発明の効果】本発明では、抗菌性の高い第4級アンモ
ニウム塩と、安全性の高い第4級アンモニウム塩とを同
一分子内に有するアニオン性の親水性高分子の塩を使用
するので、抗菌性と安全性とを高いレベルで両立でき
る。さらに、本発明の抗菌剤は、有機溶媒に可溶性であ
るので、有機溶媒と組み合わせてコーティング剤(抗菌
性組成物)として使用でき、被処理材の表面に抗菌剤を
効率よく塗布でき、均一な抗菌性皮膜を形成できる。
【0053】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0054】実施例及び比較例で用いたアニオン性の親
水性高分子、第四級アンモニウム塩、有機溶剤可溶性高
分子及び有機溶媒は以下の通りである。 [アニオン性の親水性高分子] (A−1)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
(DS:1.82、1重量%水溶液粘度:87mPa・
s、水分:5.2重量%、純度:98.5%、LD−5
0:27000mg/kg(ラット)、ダイセル化学工
業(株)製) [第四級アンモニウム塩化合物] (B−1)N−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベン
ジル・アンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウ
ム)(50重量%水溶液、LD−50:350mg/k
g(マウス)、東邦化学工業(株)製) (B−2)塩化ベヘニル・トリメチルアンモニウム(商
品名:DC−80、純度:78.7%、LD−50:1
670mg/kg、東邦化学工業(株)製) (B−3)4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジ
アミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)
(商品名:ダイマー136、純度:97.5%、LD−
50:2000mg/kg以上(ラット)、イヌイ
(株)製) [有機溶剤可溶性高分子] (C−1)エチルセルロース(商品名:STD−45、
純度:98%、ダウケミカル社製) [有機溶媒] (D−1)エチルアルコール(和光純薬(株)製、純
度:99.5%) (D−2)イソプロピルアルコール(IPA、和光純薬
(株)製、純度:99%) (D−3)トルエン(和光純薬(株)製、純度99%) 実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた抗菌剤のコー
ティング性能、抗菌性能及び安全性を以下の基準で評価
した。 [コーティング性能評価法]本発明の実施例及び比較例
の抗菌剤を、所定の有機溶剤に2重量%の濃度で溶解し
て、シャーレに約1mmの厚みで流延し、55℃で1時
間乾燥してフィルム化し、そのフィルムの透明性、付着
性等の評価を行い、その後、前記シャーレに純水を満た
して24時間室温で放置後、水を除き、フィルムの透明
性、付着性等の変化を観察して耐水性の評価を行った。 [抗菌性能試験法] (菌株) (E−1)大腸菌(Escherichia coli IFO 3972) (E−2)黄色ブドウ球菌(Stapylococcus aureus IFO
12732) (試験法)日本化学療法学会標準法に基づき、寒天平板
塗抹法で実施した。 (評価法)被試験料濃度が、25、50、100、20
0、400、800、1600、3200μg/ml
で、それぞれの菌株の生菌数が2〜4万個/mlに接種
して調製した試験寒天平板を、37℃にて48時間培養
させた後、菌の増殖状態を観察して最小発育阻止濃度
(MIC:μg/ml)を測定して評価した。 [安全性評価:LD−50]ラットを用いて、経口によ
る急性毒性試験を実施して、その試験結果によるLD−
50で安全性を評価した。
【0055】実施例1 カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)
(A−1)19.77gを純水980gに溶解し2重量
%水溶液を調製した。一方、DC−80(B−2)4
1.15gを70重量%イソプロピルアルコール(IP
A)水溶液150.0gに溶解させ、この溶液に塩化ベ
ンザルコニウム(B−1)25.21gを混合した。得
られた溶液を、CMC溶液に少量ずつ攪拌しながら添加
し、沈殿を生成させた。得られた沈殿を濾過し、さらに
純水約1Lで洗浄して精製した。生成物を55℃で乾燥
し、さらに55℃で真空乾燥して粉砕し、抗菌剤53.
8gを得た。実施例1の抗菌剤の組成、有機溶剤への溶
解性、コーティング性能、抗菌性能及び安全性を表1に
示す。
【0056】実施例2 (A−1)19.77gを純水980gに溶解し2重量
%水溶液を調製した。一方、DC−80(B−2)4
9.97gを70重量%IPA水溶液150.0gに溶
解し、次いで塩化ベンザルコニウム(B−1)12.6
1gを混合した。得られた溶液を前記CMC溶液に少量
づつ攪拌しながら添加して沈殿を生成させた。得られた
沈殿を濾過し、さらに純水約1Lで洗浄して精製した。
生成物を55℃で乾燥し、さらに55℃で真空乾燥して
粉砕して、抗菌剤55.2gを得た。得られた抗菌剤の
組成、有機溶剤への溶解性、コーティング性能、抗菌性
能、安全性は表1にまとめて記載した。
【0057】実施例3 ダイマー136(B−3)30.49gを60重量%メ
タノール水溶液1760gに溶解し、この溶液に塩化ベ
ンザルコニウム(B−1)25.21gを混合した。得
られた溶液にCMC(A−1)19.77gを少量づつ
攪拌しながら添加して溶解させ、この溶液を、純水約
7.5L液に少量づつ攪拌しながら添加して沈殿を生成
させた。得られた沈殿を濾過し、さらに純水約1Lで洗
浄して精製した。生成物を40℃で乾燥し、さらに40
℃で真空乾燥して粉砕し、抗菌剤48.6gを得た。実
施例3の抗菌剤の組成、有機溶剤への溶解性、コーティ
ング性能、抗菌性能、安全性を表1に示す。
【0058】実施例4及び比較例1〜2 CMC(A−1)59.31gを純水約2905gに溶
解し、2重量%水溶液を調製した。一方、DC−80
(B−2)17.64gを70重量%IPA水溶液10
0.0gに溶解させ、次いでこの溶液に塩化ベンザルコ
ニウム(B−1)227gを混合した。このIPA水溶
液を、前記CMC溶液に少量づつ攪拌しながら添加して
沈殿を生成させた。得られた沈殿を濾過し、さらに純水
約3Lで洗浄して精製した。生成物を55℃で概ね乾燥
し、さらに55℃で真空乾燥して粉砕し、抗菌剤(比較
例1)162.5gを得た。得られた粉末状の抗菌剤3
0gに、エチルセルロース(C−1)の粉末70gを均
一に混合して、抗菌剤(実施例4)を得た。さらに、比
較例1の抗菌剤60gに、エチルセルロース(C−1)
の粉末40gを均一に混合して、抗菌剤(比較例2)を
得た。実施例4及び比較例1、比較例2の抗菌剤の組
成、有機溶剤への溶解性、コーティング性能、抗菌性
能、安全性を表1に示す。
【0059】比較例3 (A−1)19.77gを、純水980gに溶解し2重
量%水溶液を調製した。一方、DC−80(B−2)2
3.52gを、70重量%IPA水溶液150.0gに
溶解し、この溶液に(B−1)50.40gを混合し
た。得られた溶液を、CMC溶液に少量づつ攪拌しなが
ら添加して沈殿を生成させた。得られた沈殿を濾過し、
さらに純水約1Lで洗浄して精製した。生成物を55℃
で乾燥し、さらに55℃で真空乾燥して粉砕して、抗菌
剤53.5gを得た。比較例3の抗菌剤の組成、有機溶
剤への溶解性、コーティング性能、抗菌性能、安全性を
表1に示す。
【0060】比較例4 CMC(A−1)19.77gを、純水980gに溶解
し2重量%水溶液を調製した。DC−80(B−2)5
8.79gを、70重量%IPA水溶液150.0gに
溶解し、この溶液を、CMC溶液に少量づつ攪拌しなが
ら添加して沈殿を生成させた。得られた沈殿を濾過し、
さらに純水約1Lで洗浄して精製した。生成物を55℃
で乾燥し、さらに55℃で真空乾燥して粉砕して、抗菌
剤55.7gを得た。比較例4の抗菌剤の組成、有機溶
剤への溶解性、コーティング性能、抗菌性能、安全性を
表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1から明らかなように、実施例の抗菌剤
は、比較例に比べて、優れた有機溶剤溶解性、コーティ
ング性能及び抗菌性能を有する。また、実施例の抗菌剤
は、安全性において、LD−50が2000mg/kg
(主要な抗菌剤関連業者で構成している抗菌製品技術協
議会の指導の基に設定した抗菌剤の安全基準)以上であ
り、安全性の高い抗菌剤である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−43409(JP,A) 特開 昭62−281805(JP,A) 特開 昭62−277303(JP,A) 特開 昭62−138501(JP,A) 特開 昭61−16901(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 33/12 101 A01N 43/40 101 A01N 61/00 CA(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン性の親水性高分子の同一分子内
    に複数の第4級アンモニウム塩が形成された抗菌剤であ
    って、前記複数の第4級アンモニウム塩が、(a)LD5
    0が1500mg/kg未満の抗菌性を有する第4級ア
    ンモニウム塩と、(b)LD50が2000〜10000
    mg/kgの第4級アンモニウム塩とで構成され、かつ
    前記抗菌剤のLD50が2000mg/kg以上であ
    り、有機溶媒に可溶である抗菌剤。
  2. 【請求項2】 アニオン性の親水性高分子の同一分子内
    に複数の第4級アンモニウム塩が形成された抗菌剤であ
    って、前記複数の第4級アンモニウム塩が、(a)下記式
    (1)又は(2)で表される第4級アンモニウム塩と、 【化1】 (式中、R1〜R6は、同一又は異なって、アラルキル
    基、飽和又は不飽和C1-16脂肪族炭化水素基、モノ−又
    はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル
    基、アリールオキシアルキレンオキシアルキル基、トリ
    アルキルアンモニウムアルキル基を示す。R5は隣接す
    る窒素原子とともに異項環の不飽和結合を形成する結合
    手であってもよい。Zは5又は6員環を示す。ただし、
    1〜R4のうち少なくとも1つは、アラルキル基及び飽
    和又は不飽和C8-16脂肪族炭化水素基から選択された少
    なくとも1つの基である)(b)下記式(3)又は(4)
    で表される第4級アンモニウム塩とで構成されている抗
    菌剤。 【化2】 (式中、R7〜R14は、同一又は異なって、飽和又は不
    飽和C1-30脂肪族炭化水素基、モノ−又はジアルキルフ
    ェノキシ基、アルキレンオキシアルキル基、トリアルキ
    ルアンモニウムアルキル基を示し、R15はアルキレン基
    を示し、Yは−C(O)NH−又は−NHC(O)−を
    示す。R11及びR13は、それぞれ隣接する窒素原子とと
    もに異項環の不飽和結合を形成する結合手であってもよ
    い。Zは5又は6員環を示す。ただし、R7〜R10のう
    ち少なくとも1つは飽和又は不飽和C18-30脂肪族炭化
    水素基である)
  3. 【請求項3】 複数の第4級アンモニウム塩が、(a)C
    8-16アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩と、(b)
    18-30アルキルトリメチルアンモニウム塩、4,4’
    −(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アル
    キルピリジニウム塩)及びN,N’−アルキレンビス
    (4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)か
    ら選択された少なくとも1種の塩とで構成されている請
    求項1又は2記載の抗菌剤。
  4. 【請求項4】 (a)LD50が1500mg/kg未満
    の抗菌性を有する第4級アンモニウム塩と(b)LD50
    2000〜10000mg/kgの第4級アンモニウ
    ム塩との割合が、前者(a)/後者(b)=5/95〜50/
    50(当量比)である請求項1記載の抗菌剤。
  5. 【請求項5】 親水性高分子が水溶性ホモグリカンであ
    る請求項記載の抗菌剤。
  6. 【請求項6】 親水性高分子が、カルボキシル基含有セ
    ルロース、カルボキシル基含有デンプン、ペクチン酸、
    アルギン酸及びこれらの誘導体から選択された少なくと
    も一種である請求項記載の抗菌剤。
  7. 【請求項7】 カルボキシメチル基の置換度が1.5以
    上のカルボキシメチルセルロースの同一分子内に複数の
    第4級アンモニウム塩が形成された抗菌剤であって、前
    記複数の第4級アンモニウム塩が、(a)LD50が15
    00mg/kg未満の抗菌性を有する第4級アンモニウ
    ム塩と、(b)LD50が2000〜10000mg/k
    gの第4級アンモニウム塩とで構成され、かつ前記抗菌
    剤のLD50が2000mg/kg以上であり、有機溶
    媒に可溶である請求項1記載の抗菌剤。
  8. 【請求項8】 カルボキシメチル基含有セルロース及び
    カルボキシメチル基含有デンプンから選択された少なく
    とも一種のカルボキシル基含有親水性高分子の同一分子
    に複数の第4級アンモニウム塩が形成された抗菌剤で
    あって、前記複数の第4級アンモニウム塩が、(a)C
    8-16アルキルベンジルジC1-6アルキルアンモニウム塩
    と、(b)C18-30アルキルトリC1-4アルキルアンモニウ
    ム塩及び4,4’−(C4-8アルキレンジカルボニルジ
    アミノ)ビス(1−C8-16アルキルピリジニウム塩)か
    ら選択された少なくとも1種の塩とで構成され、前記親
    水性高分子の無水グルコース単位当たりのカルボキシメ
    チル基の置換度が1.5以上である請求項1又は2記載
    の抗菌剤。
  9. 【請求項9】 被処理基材の表面に塗布して抗菌性を付
    与するための抗菌性組成物であって、請求項1〜のい
    ずれかの項に記載の抗菌剤と有機溶媒とで構成された抗
    菌性組成物。
  10. 【請求項10】 アニオン性の親水性高分子又はその
    と、(a)LD50が1500mg/kg未満の抗菌性を
    有する第4級アンモニウム塩及び(b)LD50が200
    0〜10000mg/kgの第4級アンモニウム塩とを
    混合又は反応させることにより、請求項1記載の抗菌剤
    を製造する方法。
  11. 【請求項11】 カルボキシメチル基の置換度が1.5
    以上であるカルボキシメチルセルロース水溶液と、(a)
    LD50が1500mg/kg未満で抗菌性を有する第
    4級アンモニウム塩水溶液及び(b)LD50が2000
    〜10000mg/kgの第4級アンモニウム塩水溶液
    とを攪拌して混合し、反応させて沈殿を生じ物させ、こ
    の沈殿を水で洗浄し、乾燥する請求項10記載の製造方
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