JP3145557B2 - 汚染物質の捕捉方法 - Google Patents

汚染物質の捕捉方法

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JP3145557B2
JP3145557B2 JP03111794A JP3111794A JP3145557B2 JP 3145557 B2 JP3145557 B2 JP 3145557B2 JP 03111794 A JP03111794 A JP 03111794A JP 3111794 A JP3111794 A JP 3111794A JP 3145557 B2 JP3145557 B2 JP 3145557B2
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弘 岩佐
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に重金属に汚染さ
れ、または汚染の虞れのある領域において、汚染物質、
特に有害なクロムを効果的かつ積極的に捕捉して、周辺
環境への悪影響を防止するための汚染物質の捕捉方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業の発達および都市生活の多様
化に伴って、産業廃棄物や都市ごみの問題がクローズア
ップされてきている。特に、その廃棄物の処理量の増大
の他、産業廃棄物中に含まれる有害物質、たとえば鉛、
水銀、カドミウム、クロムなどの重金属が生活領域に、
たとえば地下水を通じて流出することが大きな問題とな
っている。
【0003】この問題に対しては、汚染されたまたは汚
染のおそれがある領域の周囲に、その領域から周辺への
汚染物質の移動を阻止する遮断壁を構築することが好適
な解決策となる。実際には、従来から、その周囲にコン
クリート壁などを構築し、さらに底に不透水性の底壁を
構築することが行われてきた。
【0004】また、重金属類を環境中に流出させないた
めの固定法としては、化学的な方法や粘土鉱物類による
方法が従来から採用されてきている。このうち、前者の
方法は、クロムを除く重金属類は、pHをアルカリ側に
それぞれの金属イオンに応じて調節すれば、水酸化物が
形成されて、難溶性、不溶性の沈殿物を生成させること
ができる。また、適当なpH条件の下にて、炭酸(HCO3
- ) を重金属に反応させることにて、難溶性、不溶性の
炭酸化物となる。
【0005】しかし重金属のうち、クロム、特に6価ク
ロム(Cr6+) は毒性が強いこと、水酸化物、炭酸化物の
生成ができないため、従来は、6価クロムを重亜硫酸ソ
ーダを用いて3価クロム(Cr3+) に還元してから凝集分
離する方法が採られる。
【0006】また、重金属類を硫黄と反応させて、たと
えば硫化カドミウム(CdS) などの不溶物として固定化す
る方法が採用される場合もある。
【0007】他方、従来、特開昭61-105500 号公報で
は、遮断壁に用いられる多孔質材料の組成として、セメ
ントベントナイトを基本材料として、その中に重金属の
捕捉材料として、粘土類、シリカ質材料、炭酸ナトリウ
ム、アルカリ金属の燐酸塩や洒石酸塩混合物を含むこと
とした遮断壁が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61-105500 号公報に示される遮断壁は、硬化後にあ
る程度のフレキシビリティーと適度の硬さを有し、遮水
性に優れている利点を有し、またカドミウムや鉛等の捕
捉または滞留を行わせることは比較的容易であるとして
も、3価または6価クロムについては、捕捉が極めて困
難であった。
【0009】そこで、本願出願人は、先の特願平4−3
17432号公報において、ナトリウムベントナイト、
高炉セメントのB種またはC種あるいはそれらの混合
物、エトリンガイトを生成させる混和材、また金属アル
ミニウムを含む混和材を所定量含有する遮断壁を提案
し、極微細なミクロポア(細孔)を形成することによっ
て、クロムイオンなどの重金属イオンを捕捉するように
した遮断壁を提案した。
【0010】確かに、前記特願平4−317432号公
報記載の遮断壁によれば、ある程度まではクロムイオン
を捕捉することが可能となる。しかし、この方法は、あ
くまでも遮断壁内に存在するクロムイオンが外部に流出
しようとする際に、遮断壁によって捕捉する、いわば消
極的方法によってクロムを捕捉するものである。したが
って、遮断壁に囲まれた領域内には捕捉されていない有
毒なクロムが絶えず存在することになるとともに、前記
遮断壁がクロム捕捉限界量に達した後は、遮断壁が新た
に改築されない限り、その後はクロムの捕捉が困難なも
のとなる。
【0011】そこで、本願発明の主たる課題は、特に、
遮断壁に囲まれた汚染領域内において、地下水中に溶存
しているクロムイオンを前記遮断壁による捕捉とは無関
係に、強制的に捕捉し排除し得る方法を提供するもので
ある。また、第2の課題は、早期に汚染領域を囲む遮断
壁にクロムを除く他の不溶性重金属を付着させて遮断壁
の止水性を改善する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記第1の課題は、クロ
ムが地下水中に溶解している地盤において、セメントベ
ントナイトを主体とする多孔質物質からなる杭または独
立壁を構築しこれを陽極とするとともに、対極となる陰
極部材を地盤中に設け、これら両電極間に直流電流を印
加し、地下水中に溶存しているクロム酸イオンを前記陽
極となっているセメントベントナイトを主体とする多孔
質物質からなる杭または独立壁側に集め、該多孔質物質
中に捕捉させることで解決できる。
【0013】この場合、前記陰極部材をセメントベント
ナイトを主体とする多孔質物質からなる杭または独立壁
とすれば、クロム以外の重金属類、たとえば鉛、カドミ
ウム、ニッケル等を前記陰極となっているセメントベン
トナイト系材料から構築される杭または独立壁に捕捉さ
せることができる。
【0014】前記汚染物質の捕捉方法は、クロム溶出領
域にて行われるが、主には、汚染されたまたは汚染の虞
れがある領域の周囲に、その領域から周辺への汚染物質
の移動を阻止する遮断壁を構築した領域内で行われる場
合が効果的である。
【0015】次いで、第2の課題は、汚染されたまたは
汚染の虞れがある領域の周囲に、その領域から周辺への
汚染物質の移動を阻止する遮断壁を構築し、この遮断壁
によって囲まれた領域内において、セメントベントナイ
トを主体とする多孔質物質からなる杭または独立壁を構
築しこれを陽極とするとともに、前記遮断壁を陰極と
し、これら両電極間に直流電流を印加し、地下水中に溶
存しているクロム酸イオンを前記陽極となっているセメ
ントベントナイトを主体とする多孔質物質からなる杭ま
たは独立壁側に集め、該多孔質物質中に捕捉させること
で解決できる。
【0016】これらの場合に、セメントベントナイトを
主体とする多孔質物質中に、添加材としてエトリンガイ
トを生成させる混和材、石膏、粘土鉱物、木炭、活性炭
の1種以上を含有することにより、一度捕捉したクロム
を再溶出し難くする。
【0017】また、地盤中に、透孔を複数有する中空保
持体を埋設状態で設置した後、この中空保持体内にクロ
ムを捕捉するためのセメントベントナイトを主体とする
多孔質物質塊を充填し、これを陽極とすることにより、
セメントベントナイト系材料がクロム捕捉限界量に達し
たならば、前記中空保持体内に充填されているセメント
ベントナイト系材料を掘り出して、新たなセメントベン
トナイト系材料と交換し、クロム捕捉を実行することが
できる。
【0018】本願発明に係る汚染物質捕捉方法の場合、
クロムの捕捉速度は、電解液となっている地下水の電導
度に比例するため、遮断壁によって囲まれた汚染領域内
に、電気抵抗を低下させるための無毒性のイオンを投入
することにより、クロム捕捉速度の向上を図ることがで
きる。
【0019】
【作用】本発明においては、捕捉対象地盤において、セ
メントベントナイトを主体とする多孔質物質からなる杭
または独立壁を構築しこれを陽極とするとともに、対極
となる陰極部材を地盤中に設け、これら両電極間に直流
電流を印加し、地下水中に溶存しているクロム酸イオン
を前記陽極となっているセメントベントナイトを主体と
する多孔質物質からなる杭または独立壁側に集め、該多
孔質物質中に捕捉させる。地下水中に溶出しているクロ
ムは、負の電荷を帯びた電離状態で分離している。本願
発明においては、このことに着目し、セメントベントナ
イト系材料による杭または独立壁を陽極とする電気分解
法の応用により、前記クロム酸イオ を陽極側に強制的
に集め、セメントベントナイト系材料の吸着機能によっ
てこれを捕捉するため、従来のように、クロムイオンが
遮断壁に吸着されるのを待つのではなく、積極的に地盤
中にクロムを捕捉回収することができる。
【0020】また、汚染領域を囲む遮断壁が構築された
区域内に、前記セメントベントナイト系材料による杭ま
たは独立壁を構築しこれを陽極とし、前記遮断壁を陰極
としてクロムの捕捉を行うことにより、陽極側のセメン
トベントナイト系材料からなる杭等にクロムを捕捉させ
る一方、Pb2+ ,Cd2+ , Ni2+ 等の各陽イオンを遮断壁の
内壁に捕捉させて不溶性の重金属層を形成することによ
り、クロムの捕捉と同時に、遮断壁の止水性を向上させ
ることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳述する。図1
において、たとえば廃棄物の捨場の周囲を取り囲んで遮
断壁2が構築されている。遮断壁2、2は、汚染された
または汚染の虞れがある領域の周囲に、その領域から周
辺への汚染物質の移動を阻止するために設けられるもの
で、好ましくは下部に不透水層3が存在する場合には、
遮断壁2の下端が不透水層3に達するように構築され
る。また、不透水層3を有しない、あるいは下方に地下
水に乗って浸透の虞れがある場合には、汚染領域の下部
に遮断壁と同様の底壁を適宜の手段により構築すること
ができる。その場合、その底壁は遮断壁2と連続してい
ることが望ましい。さらに、必要により、遮断壁2また
は底壁の内部には、不透液性シートを配設することもで
きる。
【0022】さて、前記遮断壁2に囲まれた領域内の地
下水中は、鉛、カドミウム、ニッケル、クロム分子が電
離して、Pb2+ ,Cd2+ , Ni2+ 、CrO4 2-等の陽または陰イ
オン状態となって溶出している。本発明においては、前
記遮断壁2、2の領域内において、セメントベントナイ
トを主体とする多孔質物質からなるセメントベントナイ
ト杭6、7(以下、単にCB杭ともいう。)が構築され
る。CB杭6、7は、図3に示されるように、それぞれ
内部に埋設された電極芯4、5に対して直流電源にそれ
ぞれ連結され、前記CB杭6を陽極、CB杭7を陰極と
し、かつ地下水を電解液とする電気分解モデルが形成さ
れている。なお、前記CB杭6、7の代わりに、独立壁
を構築することでもよい。
【0023】前述した状態で、直流電源を印加すると、
図2に示されるように、地下水中のクロム酸イオン(Cr
O4 2-)や硫酸イオン(SO4 2- ) が陽極たるCB杭6側に
移動し、一方、Pb2+ ,Cd2+ , Ni2+ 等の各陽イオンが陰
極たるCB杭7側に向かってそれぞれ移動する。その
後、前記CB杭6側に向かって移動したクロム酸イオン
(CrO4 2-)等は、CB杭6のセメントベントナイト系材
料による多孔質組織中に捕捉され、Pb2+ ,Cd2+ , Ni2+
等の陽イオンは、CB杭7の多孔質組織中に捕捉され
る。
【0024】前記セメントベントCB杭6、7の組成と
しては、純粋にセメントベントナイトからなる材料より
構築する場合のほか、これにエトリンガイトを生成させ
る混和材、石膏、粘土鉱物、木炭、活性炭の1種以上を
含有する材料、またたとえば特開昭61-105500 号公報に
示されるような、ベントナイト−セメントを基本材料と
して、その中に重金属の捕捉材料として、粘土類、シリ
カ質材料、炭酸ナトリウム、アルカリ金属の燐酸塩や洒
石酸塩などを混合した材料、さらには本出願人が先の特
願平4−317432号公報において開示した組成、ナ
トリウムベントナイト、高炉セメントのB種またはC種
あるいはそれらの混合物、エトリンガイトを生成させる
混和材、また金属アルミニウムを含む混和材を所定量含
有することにより、6価クロムの捕捉能を向上させた材
料などを用いることができる。
【0025】なお、クロムの捕捉のみを目的とするので
あれば、前記陰極となるCB杭7をあえて設けることな
く、単にI型鋼、H型鋼等を地盤中に挿入して陰極とす
ることもできる。
【0026】次いで、第2の方法は、図4に示されるよ
うに、汚染領域を囲む遮断壁2、2の内側領域に陽極と
なるCB杭6、6…を造成し、前記遮断壁2、2を陰極
として直流電流を印加する方法が挙げられる。この方法
の場合には、前記CB杭6、6…によってクロムを捕捉
する一方、Pb2+ ,Cd2+ , Ni2+ 等の各陽イオンを遮断壁
2、2の内壁に捕捉させ、前記遮断壁2の内壁に不溶性
の重金属層を形成することにより、遮断壁の止水性を向
上させることができる。
【0027】次いで、図5に示される第3の方法は、C
B杭がクロム捕捉限界量に達した段階で、セメントベン
トナイト系材料を交換できるようにした例である。以
下、この手順について図6〜図11に基づき詳述する。
先ず、図6に示されるように、公知の現場打設杭の構築
手順に従って、ベントナイトなどの安定液12を用いな
がらアースドリル工法、リバースサーキュレーション工
法等の方法により掘削孔11を形成する。次いで、図7
に示されるように、多数の透孔13aを有する中空保持
体、たとえば中空管13を掘削孔11内に挿入する。こ
の場合、振れ止め用のスペーサ14を中空管13の周囲
に固定しておき挿入すると、芯出しが容易である。スペ
ーサ14は後に除去するか埋殺ししておくことができ
る。
【0028】その後、図8に示すように、底付中空の空
間形成管15を中空管13内に挿入する。この場合、空
間形成管15を中空管13とともに掘削孔11内に挿入
してもよい。空間形成管15は、安定液12が下部から
侵入しないように、底付きであるのが望ましい。空間形
成管15に代えて、中実のものでもよい。
【0029】空間形成管15の挿入を終了したならば、
前記の安定液12に硬化用添加剤を添加して攪拌し硬化
を図るか、安定液12をたとえばセメントと置換するな
どして、図9に示すように、固化性材料16の固化を図
る。
【0030】この固化性材料16の流動性が無くなっ
た、または固化した後、図10に示すように、空間形成
管15を引抜き、電極芯14を挿入する。その後、図1
1に示すように、中空管13内にクロムを捕捉するため
のセメントベントナイト材料を主体とする多孔質物質塊
18(以下、CB塊ペレットという。)を充填して、図
5に示される交換型CB杭8、9を構築する。上記例に
おいて、中空管13および空間形成管15は金属管のほ
か、塩化ビニルなどのプラスチック管などとすることが
できる。空間形成管15の撤去の容易化を図るために、
中空管13の内面または空間形成管15の外面に、ある
いは両者に、油系統の離型剤を塗布しておくことができ
る。
【0031】その後、前記CB杭8を陽極、CB杭9を
陰極として直流電流を通電し、前記CB塊ペレット1
8、18が夫々クロム、その他の重金属類を吸着して捕
捉限界量に達したならば、中空管13内に充填されてい
るCB塊ペレット18をバケット等により掘り出し、新
規のCB塊ペレット18を充填し直し、再び汚染物質の
捕捉を行う。
【0032】交換型CB杭の他の造成方法としては、図
12に示すように、掘削孔12を形成した後、孔付中空
管13を建込み、電極芯14を挿入した状態で、セメン
トベントナイト系材料を注入し、図13に示すように、
掘削孔12全体を埋めるCB杭19を形成する。その
後、直流電流を通電し、CB杭19がクロムを吸着し
て、その捕捉限界量に達したならば、中空管13内のセ
メントベントナイト系材料をオーガー等により掘り出
し、中空管13内に新たにセメントベントナイト系材料
を充填してCB杭19とする。
【0033】次に、本発明の効果を実験により明らかに
することとする。 (実施例1) 水1m3 当り高炉B種セメント−250kg、ベントナイ
ト♯250−60kgを添加して製造したセメントベント
ナイト材料によりテストピース20、21(φ5cm×1
0cm)を作成し、図14に示されるように、Cr6+の1
5mg/L濃度溶液および100mg/L濃度溶液中に浸漬した
状態で、直流12Vを印加し、Cr6+溶液の濃度変化を
観察した。また、比較例として非通電時におけるCr6+
溶液の濃度変化を観察し、直流電流印加の場合と対比し
てみた。その結果を図15および図16に示す。
【0034】実験結果より、単にCBテストピースをC
6+溶液中に浸漬した場合でも、CBテストピース内に
Cr6+が捕捉され、Cr6+濃度が次第に減少することが
確認されるが、本発明に従い直流電流を通電した場合に
は、明らかにCr6+の捕捉速度が大きくなり、最終的な
溶液濃度が大幅に低下することが判明される。
【0035】(実施例2) 実施例2においては、CBテストピースを、純粋に水と
セメントとベントナイトとで作製した場合と、種々の添
加物を混合した場合とで、Cr6+捕捉能力の違いを調査
した。添加物としては、炭酸ソーダ(Na2CO3) 、デンカ
CSA、石膏、粘土鉱物、木炭、活性炭を添加した。各
添加物の添加量は水1m3 に対して24kgである。その
結果を図17に示す。
【0036】図17より明らかなように、純粋CBと、
デンカCSAを添加した場合や石膏を添加した場合とで
は、Cr6+捕捉能に顕著な相違は見られなかった。ま
た、活性炭を添加した場合には、若干ではあるがCr6+
捕捉能に劣る結果となっているが、この場合にも大きな
違いは見られない。しかし、これらに対して炭酸ソーダ
を添加した場合には明らかにCr6+捕捉能が低下するこ
とが判明している。
【0037】デンカCSA、石膏、粘土鉱物、木炭、活
性炭を添加した場合には、内部組織の緻密化が図られる
ため、一旦捕捉したクロムを再分離し難くする特徴を有
するため、クロム捕捉能が低下しない限り、これらの添
加剤を添加することが望ましい。しかし、炭酸ソーダを
添加する場合には、セメントベントナイト組織が高度に
緻密化され過ぎた結果であると思われるが、クロム捕捉
能が極端に低下することになるため、添加剤の選択に当
たっては、内部組織が必要以上に緻密化されない添加材
を用いることが望ましい。
【0038】ところで、前記実施例1および実施例2に
おける実験では、CB電極間の電流値は概ね図18に示
されるような経時変化となっている。CrO4 2-の電導度
は、10mg/L濃度で40μS/cm(マイクロジーメンス
/cm)程度と小さいが、CBテストピースよりCa2+,Na
+ ,SO4 2-などのイオンが溶出した結果、溶液電導度は2
〜4mS/cm(ミリジーメンス/cm)の間で推移してい
る。なお、溶液電導度が経時日数の増大に伴って減少す
るのは、一旦溶液中に溶出したCa2+,Na + ,SO4 2-などの
イオンが陰極側のCBテストピースに吸着されて溶液中
のイオンが減少するためである。
【0039】(実施例3) 次に、印加電圧とCr6+捕捉能との関係について調査し
た。図19に示されるように、模擬砂質地盤中に、CB
テストピース20、21を並べて埋設し、直流電流12
Vと24Vを印加した場合の、極間電流の推移、Cr6+
濃度の変化を違いを調べた。その結果を図20および図
21に示す。
【0040】図20に示されるように、極間電流は、通
電後の推移をみると、1日〜2日目に最大値を示し、以
後は低下する傾向にある。印加電圧24Vと12Vの場
合のラインを比較すると、当然の事ではあるが、印加電
圧24Vと12Vのラインはほぼ平行な線となってお
り、印加電圧が高いほど極間電流が高くなっている。C
6+濃度の変化は、図21に示されるように、印加電圧
12Vと24Vとでは、大幅な違いが見られた。印加電
圧24Vの方がはるかにCr6+捕捉能が高いことが判明
される。
【0041】以上より、Cr6+のCB電極への捕捉速度
は、電極間の電流の大きさに比例することが判明される
ため、印加電圧を上げることが、クロム捕捉能の改善に
有効であることが判明されるほか、逆に、クロム汚染域
に電気抵抗を低下させるために無毒のイオン、たとえば
食塩水または海水等を投入することにより、電解液たる
地下水の電導度を向上させ、通電性を改善することによ
り、クロム捕捉能の向上を図ることもできる。
【0042】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、特
には遮断壁に囲まれた汚染領域内において、地下水中に
溶存しているクロム酸イオンを前記遮断壁による捕捉と
は無関係に、強制的に捕捉し除去することが可能とな
る。また、遮断壁を陰極とすることにより、汚染領域を
囲む遮断壁にクロムを除く他の不溶性重金属を付着させ
て遮断壁の止水性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚染物質捕捉方法の第1の例を示
す概要図である。
【図2】本発明に係る汚染物質捕捉方法の捕捉概念図で
ある。
【図3】CB杭の平面図である。
【図4】本発明に係る汚染物質捕捉方法の第2の例を示
す概要図である。
【図5】本発明に係る汚染物質捕捉方法の第3の例を示
す概要図である。
【図6】第3例の施工手順の第1工程の概要断面図であ
る。
【図7】第3例の施工手順の第2工程の概要断面図であ
る。
【図8】第3例の施工手順の第3工程の概要断面図であ
る。
【図9】第3例の施工手順の第4工程の概要断面図であ
る。
【図10】第3例の施工手順の第5工程の概要断面図で
ある。
【図11】第3例の施工手順の第6工程の概要断面図で
ある。
【図12】他の交換型CB杭の造成方法の施工手順の概
要断面図である。
【図13】他の交換型CB杭の造成方法の施工手順の概
要断面図である。
【図14】実施例1の実験要領を示す概略図である。
【図15】実施例1の結果を示す図である。
【図16】実施例1の結果を示す図である。
【図17】実施例2の結果を示す図である。
【図18】実施例1および実施例2における極間電流推
移および電導度推移を示す図である。
【図19】実施例3の実験要領を示す概略図である。
【図20】実施例3の結果を示す図である。
【図21】実施例3の結果を示す図である。
【符号の説明】
2…遮断壁、3…不透水層、4・5…電極芯、6・7…
CB杭、13…中空管、15…空間形成管、18…CB
塊ペレット、20・21…CBテストピース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−52914(JP,A) 特開 平1−154916(JP,A) 特開 平2−136420(JP,A) 特開 平2−269268(JP,A) 特開 平5−59716(JP,A) 特開 平6−166556(JP,A) 特開 平6−158635(JP,A) 特開 平6−218355(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09C 1/04 B09B 1/00 E02D 5/00 E02D 3/11

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロムが地下水中に溶解している地盤にお
    いて、セメントベントナイトを主体とする多孔質物質か
    らなる杭または独立壁を構築しこれを陽極とするととも
    に、対極となる陰極部材を地盤中に設け、これら両電極
    間に直流電流を印加し、地下水中に溶存しているクロム
    酸イオンを前記陽極となっているセメントベントナイト
    を主体とする多孔質物質からなる杭または独立壁側に集
    め、該多孔質物質中に捕捉させることを特徴とする汚染
    物質の捕捉方法。
  2. 【請求項2】前記陰極部材がセメントベントナイトを主
    体とする多孔質物質からなる杭または独立壁である請求
    項1記載の汚染物質の捕捉方法。
  3. 【請求項3】汚染されたまたは汚染の虞れがある領域の
    周囲に、その領域から周辺への汚染物質の移動を阻止す
    る遮断壁を構築し、この遮断壁によって囲まれた領域内
    で行う請求項1、2記載の汚染物質の捕捉方法。
  4. 【請求項4】汚染されたまたは汚染の虞れがある領域の
    周囲に、その領域から周辺への汚染物質の移動を阻止す
    る遮断壁を構築し、この遮断壁によって囲まれた領域内
    において、セメントベントナイトを主体とする多孔質物
    質からなる杭または独立壁を構築しこれを陽極とすると
    ともに、前記遮断壁を陰極とし、これら両電極間に直流
    電流を印加し、地下水中に溶存しているクロム酸イオン
    を前記陽極となっているセメントベントナイトを主体と
    する多孔質物質からなる杭または独立壁側に集め、該多
    孔質物質中に捕捉させることを特徴とする汚染物質の捕
    捉方法。
  5. 【請求項5】セメントベントナイトを主体とする多孔質
    物質中に、添加材としてエトリンガイトを生成させる混
    和材、石膏、粘土鉱物、木炭、活性炭の1種以上を含有
    する請求項1〜4記載の汚染物質の捕捉方法。
  6. 【請求項6】地盤中に、透孔を複数有する中空保持体を
    埋設状態で設置した後、この中空保持体内にクロムを捕
    捉するためのセメントベントナイトを主体とする多孔質
    物質塊を充填し、これを陽極とする請求項1〜5記載の
    汚染物質の捕捉方法。
  7. 【請求項7】遮断壁によって囲まれた汚染領域内に、電
    気抵抗を低下させるための無毒性のイオンを投入する請
    求項1〜6記載の汚染物質の捕捉方法。
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