JP3143808B2 - 宇宙総合エネルギ変換システム - Google Patents

宇宙総合エネルギ変換システム

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JP3143808B2
JP3143808B2 JP04169095A JP16909592A JP3143808B2 JP 3143808 B2 JP3143808 B2 JP 3143808B2 JP 04169095 A JP04169095 A JP 04169095A JP 16909592 A JP16909592 A JP 16909592A JP 3143808 B2 JP3143808 B2 JP 3143808B2
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、宇宙総合エネルギ変換
システムに係わり、具体的には太陽エネルギや放射性同
位元素(RI)から発生する放射線エネルギを利用し
て、人工衛星、宇宙飛行体、宇宙基地、宇宙コロニ等の
宇宙設備で必要とする電力、熱源、推力等のエネルギに
変換し、浅宇宙や深宇宙への飛行を可能とするための高
効率で小型軽量化を目指した宇宙総合エネルギ変換シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば人工衛星で必要とするエネ
ルギは、太陽エネルギを光電変換する光電変換器(以
下、適宜、太陽電池と称する。)、あるいは熱電変換等
により得ている(特開昭55−136698号公報、特
開平1−190274号公報等)。
【0003】また、推力発生器としては、水素・酸素を
用いたエンジンが知られており(航空宇宙技術研究所報
告992号、「太陽熱を利用した小型液酸/液水ロケッ
トエンジン」、昭和63年8月発行)、水素と酸素は水
の電気分解により得ることが知られている(特開平3−
224897号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術によれば、次のような解決すべき課題がある。
【0005】(1)太陽電池や熱電変換素子の変換効率
が低い(10〜20%)という問題がある。そのため、装置
が大形で重量が重くなり、開発経費が増大するだけに留
まらず、ミッションの内容にも大きな制限を与え、これ
により宇宙研究活動の低迷が余儀なくされている。した
がって、太陽電池や熱電変換素子の変換効率を向上させ
るだけでなく、太陽エネルギを有効に利用すべく、エネ
ルギ変換システム全体の変換効率を向上させることが課
題となっている。
【0006】(2)太陽から離れた深宇宙へ航行する場
合については、十分な太陽エネルギが得られないから、
エネルギ自給が可能な電源等を搭載する必要があり、自
給エネルギシステムの小型軽量化及び高効率化が大きな
課題となっている。このような自給エネルギシステムと
しては、原子力発電システムが有力ではあるが、現状で
は解決すべき技術課題が多く、開発経費増とシステムの
大形化が避けられない。 本発明の目的は、エネルギ変
換効率が高く、小形で軽量な浅宇宙及び深宇宙用の宇宙
総合エネルギ変換システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】ここで、本発明のエネル
ギ変換システムの基本的な考え方について説明する。
【0008】まず、浅宇宙の領域では、エネルギ源とし
て太陽エネルギを主として利用し、赤外から可視領域に
わたる大部分のスペクトルを有する太陽光のエネルギを
有効に利用して、エネルギ変換効率を向上させる。その
ために、凹面反射鏡により太陽光を集熱器に導いて熱エ
ネルギに変換するとともに、反射鏡の表面に太陽電池を
配置して電力変換し、更に太陽光により加熱された反射
鏡と太陽電池の熱を、反射鏡の裏面に熱電変換器を配置
して電力に変換することにより、エネルギ変換効率を高
める。
【0009】熱エネルギを利用する場合は、太陽エネル
ギの熱を直接利用したり貯蔵する方が高効率化できるの
で、集熱器に熱交換器を結合して熱を取り出すようにす
るとともに、余剰熱を蓄熱器に蓄える。
【0010】地球周回軌道上の夜間等のように太陽光が
遮られる領域におけるエネルギ源としては、昼間に得ら
れる太陽エネルギを十分に貯蔵するエネルギ貯蔵システ
ムを構築する。
【0011】人工衛星等の宇宙飛行体の推力発生効率を
向上してエネルギ効率を高めるため、推薬の後加熱して
運動量の増強を図るシステムを構成する。
【0012】また、深宇宙の領域では、太陽エネルギが
期待できないので、浅宇宙で貯蔵したエネルギを利用す
るシステムに加え、独自のエネルギ源として放射線発生
源を搭載し、これから放射される放射線エネルギを電気
や熱エネルギに変換するシステムを設ける。
【0013】また、浅宇宙や深宇宙のいずれの領域にお
いても、電気エネルギの他に熱エネルギの効率的利用を
図る。
【0014】上記のようにして、システム全体のエネル
ギ変換効率を高めることにより、小型軽量化を図る。
【0015】このような基本的な考えに基づき、本発明
の宇宙総合エネルギ変換システムは、太陽光を受ける凹
面反射鏡と、該反射鏡により収束された太陽光を受ける
集熱器と、該集熱器の熱により水素ガスを加熱する熱交
換器と、前記反射鏡の表面に配設された光電変換器と、
前記反射鏡の裏面に配設された熱電変換器とを含んでな
る第1の発電システムと、太陽光を受ける凹面反射鏡
と、該反射鏡により収束された太陽光を受ける集熱器
と、該集熱器に熱的に結合された第1の熱電変換器と、
前記反射鏡の表面に配設された光電変換器と、前記反射
鏡の裏面に配設された第2の熱電変換器とを含んでなる
第2の発電システムと、太陽光を受ける凹面反射鏡と、
該反射鏡により収束された太陽光を受ける集熱器と、該
集熱器の熱により水を加熱する熱交換器と、前記反射鏡
の表面に配設された光電変換器と、前記反射鏡の裏面に
配設された熱電変換器とを含んでなる第3の発電システ
ムと、放射線を発する放射性同位体を有してなる放射線
源と、該放射線源から放射される放射線をそれぞれ受け
て熱に変換する第1と第2の核熱変換器と、該第1の核
熱変換器の熱により水素ガスを加熱する熱交換器と、前
記第2の核熱変換器に熱的に結合された熱電変換器とを
含んでなる第4の発電システムと、電力を蓄える蓄電池
と、前記各発電システムの光電変換器と熱電変換器によ
り変換された電力を受け、所定の負荷に電力を供給する
とともに、余剰電力を前記蓄電池に蓄える運用を行うエ
ネルギ管理システムと、前記エネルギ管理システムから
供給される電力により水を電気分解する電気分解器と、
水タンクと、該水タンクの水を前記第3の発電システム
の熱交換器により加熱して前記電気分解器に供給する管
路と、前記電気分解器で発生した酸素と水素をそれぞれ
貯蔵する酸素タンクと水素タンクとを含んでなる電気分
解システムと、浅宇宙用推力発生器と、深宇宙用推力発
生器と、前記浅宇宙用推力発生器に前記水素タンクの水
素を前記第1の発電システムの熱交換器により加熱して
供給する管路と、前記深宇宙用推力発生器に前記水素タ
ンクの水素を前記第4の発電システムの熱交換器により
加熱して供給する管路と、前記浅宇宙用推力発生器と前
記深宇宙用推力発生器に前記酸素タンクの酸素をそれぞ
れ供給する管路とを含んでなる推力発生システムと、前
記各集熱器と核熱変換器により発生した余剰熱を貯蔵す
る蓄熱器とを備えたものとすることにより、上記目的を
達成しようとするものである。
【0016】さらに、個々の光電変換素子、熱電変換素
子、集熱器、核熱変換素子、電気分解等の効率を向上さ
せ、一層の小型軽量を図るため、それらの素子等を傾斜
機能材料により構成することが好ましい。
【0017】
【作用】このように構成することにより、本発明の宇宙
総合エネルギ変換システムによれば、次の作用により前
記目的が達成される。
【0018】(1)浅宇宙では宇宙設備に十分な強度を
もった太陽光が到達する。これを第1乃至第3の発電シ
ステムにより集光し、宇宙設備で必要な電気と熱エネル
ギに変換する。それらの発電システムによれば、太陽光
を集める凹面反射鏡の表面に光電変換器を敷き詰めてい
ることから、反射鏡に入射する太陽光の内の主として可
視光が、まず光電変換器により電力に変換される。次
に、光電変換器を透過して反射鏡により反射された太陽
光は集熱器に入射して集熱器を加熱することにより熱に
変換される。この熱は熱交換器又は熱電変換器により熱
又は電気エネルギとして利用する。更に、太陽光の照射
により加熱された光電変換器と反射鏡の熱は、反射鏡の
裏面に配設された熱電変換器により電力に変換される。
このようにして、太陽エネルギを効果的に電気または熱
に変換することから、総合的なエネルギ変換効率が高め
られる。
【0019】(2)近くの惑星等によって太陽光が遮ら
れる陰影部、すなわち、夜間部におけるエネルギ源とし
ては、昼間部に太陽エネルギから変換して蓄えられた蓄
電池と蓄熱器のエネルギが使用できる。
【0020】(3)浅宇宙又は深宇宙用の推力発生器
は、推薬としての水素を酸素で燃焼して推力を得る。こ
れにより、深宇宙への航行を継続することが可能にな
る。推力発生器に供給される水素は、第1の発電システ
ムの集熱器の熱エネルギ又は第4の発電システムの核熱
変換器の熱エネルギにより加熱され、推力が増強され
る。その結果、推力発生器を小型化できるとともに、推
薬である水素と酸素の量を低減できる。それら水素と酸
素は水の電気分解器により必要な量を得る。水の電気分
解に必要な電力はエネルギ管理システムを介して各発電
システムから供給される。また、電気分解に用いる水
は、集熱器や蓄熱器からの熱により加熱され、高温水蒸
気として電解質型の電気分解器に供給される。このよう
に、水を搭載して電気分解により水素と酸素を得るよう
にして、推薬の供給システムを小型化するとともに、上
記のシステムによる水素の加熱による推薬量の低減効果
により、全体としてシステムの小型軽量化を実現してい
るのである。
【0021】(4)深宇宙では太陽エネルギの利用は期
待出来なく、飛行途中の浅宇宙で太陽エネルギから変換
したエネルギを貯蔵する蓄電池と蓄熱器が貴重なエネル
ギ源となる。貯蔵エネルギを使い果たした後は、第4の
発電システムのエネルギを利用する。第4の発電システ
ムによれば、放射性同位体を含む放射線発生源から放射
される放射線が核熱変換器により熱エネルギに変換され
る。つまり、搭載されている放射線発生源から発生する
放射線を核熱変換により熱エネルギに変換して推薬の水
素の加熱に利用し、一方において熱電変換器により電力
に変換して必要な電気エネルギを得る。
【0022】発生する放射線量は、ほぼ一定で長期的に
は指数関数的に減少していくので、変換される電力もほ
ぼ一定となる。したがって、余剰電力は蓄電池に貯蔵
し、凹凸のある電力プロファイルに対応を可能とする。
【0023】これにより、太陽エネルギの利用が殆ど不
可能な深宇宙においても、必要なエネルギを自給でき、
かつ自給エネルギシステムの小型軽量化及び高効率化が
達成できる。
【0024】(5)エネルギ管理システムは、第1乃至
第4の発電システムにより発生された電力と熱エネルギ
の運用を管理し、熱エネルギも含めた電力の最適制御が
行われる。
【0025】放射線発生源は常時放射線を発生している
ので、浅宇宙において変換された電力はエネルギ管理シ
ステムにより貯蔵などの管理がなされる。
【0026】(6)夜間部において必要とするエネルギ
の供給源として、又は電気分解で得られた余剰の水素と
酸素の有効活用手段として、水素と酸素を利用した燃料
電池よりなる補助発電システムを設けることが望まし
い。また、燃料電池の副産物である水は、電気分解に使
用される水の貯蔵タンクに戻すことで資源の再利用を図
ることが望ましい。水タンクに貯蔵される水量は、推力
発生に必要とする水素と酸素の量でほぼ決まる。これ
は、補助発電システムとしての燃料電池に使用する水素
と酸素は燃焼後再び水に戻るので再利用が可能だからで
ある。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。
【0028】図1に、本発明の一実施例の宇宙総合エネ
ルギ変換システムの全体構成図を示す。本実施例は、人
工衛星に搭載される宇宙総合エネルギ変換システムの構
成例である。
【0029】図示のように、本実施例の宇宙総合エネル
ギ変換システムは、第1乃至第4の発電システム1、
7、14、31と、これらにより変換された電力、熱エ
ネルギを運用管理するエネルギ管理システム20と、余
剰の電力、熱をそれぞれ貯蔵する蓄電池21、蓄熱器2
2と、推薬である水素と酸素を発生する電気分解器24
を含んでなる電気分解システムと、推力を発生する推力
発生器29と30を含んでなる推力発生システムと、補
助エネルギシステムとしての燃料電池27等を含んで構
成されている。
【0030】第1の発電システム7は、太陽光を受ける
凹面反射鏡2と、反射鏡2により収束された太陽光を受
ける集熱器3と、集熱器3の熱により水素ガスを加熱す
るヒートパイプ6aを含んでなる熱交換器6と、反射鏡
2の表面に配設された光電変換器3と、反射鏡2の裏面
に配設された熱電変換器4とを含んで構成される。
【0031】第2の発電システム7は、太陽光を受ける
凹面反射鏡8と、反射鏡8により収束された太陽光を受
ける集熱器11と、集熱器11にヒートパイプ12を介
して熱的に結合された熱電変換器13と、反射鏡8の表
面に配設された光電変換器9と、反射鏡8の裏面に配設
された熱電変換器10とを含んで構成される。
【0032】第3の発電システム14は、太陽光を受け
る凹面反射鏡15と、反射鏡15により収束された太陽
光を受ける集熱器18と、集熱器18の熱により水を加
熱するヒートパイプ19aを含んでなる熱交換器19
と、反射鏡15の表面に配設された光電変換器16と、
反射鏡15の裏面に配設された熱電変換器17とを含ん
で構成される。
【0033】第4の発電システム31は、放射線を発す
る放射性同位体を有してなる放射線源(RI源)32
と、放射線源32から放射される放射線をそれぞれ受け
て熱に変換する第1と第2の核熱変換器33,35と、
第1の核熱変換器33の熱により水素ガスを加熱するヒ
ートパイプ34aを含んでなる熱交換器34と、第2の
核熱変換器35にヒートパイプ36を介して熱的に結合
された熱電変換器37とを含んで構成される。
【0034】エネルギ管理システム20は、前記各発電
システム1,7,14,31の光電変換器3,9,16
と熱電変換器4,10,13,17,37により変換さ
れた電力を受け、所定の負荷に電力を供給するととも
に、余剰電力を蓄電池21に蓄えるように構成されてい
る。また、図示していないが、前記各発電システム1,
7,14,31により変換された熱エネルギの余剰分
を、蓄熱器22に蓄えるように構成されている。
【0035】電気分解システムは、エネルギ管理システ
ム20から供給される電力により水を電気分解する電気
分解器24と、水タンク23と、水タンク23の水を第
3の発電システムの熱交換器19により加熱し、これに
より発生する水蒸気を電気分解器24に供給する管路
と、電気分解器24で発生した酸素と水素をそれぞれ貯
蔵する酸素タンク25と水素タンク26とを含んでな
る。
【0036】推力発生システムは、浅宇宙用推力発生器
29と深宇宙用推力発生器30を有してなる。浅宇宙用
推力発生器29には水素タンク25から第1の発電シス
テムの熱交換器6を通して加熱された水素が供給され
る。一方、深宇宙用推力発生器30には、水素タンク2
5から第4の発電システムの熱交換器34を通して加熱
して加熱された水素が供給される。また、浅宇宙用推力
発生器29と深宇宙用推力発生器30には、酸素タンク
26の酸素が調整弁28を介してそれぞれ供給される。
【0037】このように構成される実施例の宇宙総合エ
ネルギ変換システムの動作について次に説明する。
【0038】発電システム1,7,14に太陽光が入射
されると、反射鏡2,8,15の前面に配設された太陽
電池3,9,16により、主として可視光が電気に変換
される。太陽電池3,9,16と反射鏡2,8,15で
反射される主として赤外線や遠赤外線は集熱器5,1
1,18に熱エネルギとして集められる。また、太陽電
池と反射鏡に吸収された熱は、裏面の熱電変換器4,1
0,17で電気に変換される。
【0039】集熱器5で集められた熱エネルギは、これ
と結合している熱交換器6で浅宇宙用推力発生器29を
加熱する熱源として用いられる。また、集熱器11で集
められた熱エネルギは、これと結合しているヒートパイ
プ12を介して熱電変換器13に伝達され、これにより
電気に変換されてエネルギ管理システム20に送られ
る。また、集熱器18集められた熱エネルギは、これと
結合している熱交換器19を介して、電気分解器24に
供給する水を加熱して水蒸気にする熱源として用いられ
る。
【0040】電気分解器24は電解質型であり、エネル
ギ管理システム20から供給される電力で、発電システ
ム14の熱交換器19から供給される高温の水蒸気を水
素ガスと酸素ガスに電気分解する。これによりえられる
水素と酸素は、それぞれ水素タンク25と酸素タンク2
6に貯蔵される。
【0041】燃料電池27は補助発電システムであり、
水素タンク25と酸素タンク26からそれぞれ供給を受
ける水素と酸素とを燃料とする発電システムである。浅
宇宙の夜間における場合、また、深宇宙における電力不
足を補助するのに利用される。水素と酸素の燃焼によっ
て得られる水は、再利用のため水タンク23に戻され
る。
【0042】蓄電池21の電力は、浅宇宙の夜間におけ
る場合、または、深宇宙における電力供給に利用され
る。
【0043】蓄熱器22は、発電システム14の集熱器
18により発生する高温水蒸気のうち、電気分解器24
に供給された残余の高温水蒸気、または電気分解に使用
されない高温水蒸気の供給を受け、熱エネルギとして貯
蔵する。なお、使用済みの水蒸気は水タンク23に貯蔵
される。蓄熱器22の蓄熱は、浅宇宙の夜間における場
合、または、深宇宙における水の加熱に利用される。
【0044】浅宇宙用推力発生器29は人工衛星が深宇
宙へ向かって重力にさからって飛行する推力を発生する
ためのものである。水素タンク25からの水素は熱交換
器6で加熱され、加熱された水素は酸素タンク26から
調整弁28を介して供給される酸素と反応しその反応熱
により推力が発生する。浅宇宙領域ではかなりの推力を
必要とするが、その領域では太陽エネルギが相当強いの
で、水素を高温に加熱できるから、強力な推力の増強が
可能である。
【0045】第4の発電システム31は、主として、太
陽エネルギの利用が期待出来ない深宇宙において、電力
源および深宇宙用推力発生器30の推薬である水素の加
熱源として機能する。放射線発生源32は常時放射線を
発生しているので、浅宇宙において変換された電力はエ
ネルギ管理システム20により貯蔵などの管理がなされ
る。
【0046】また、深宇宙用推力発生器30は深宇宙に
おける人工衛星の推力を得るものである。深宇宙におい
ては、地球からの重力の影響も少なく、むしろ近くの星
からの引力に対する制御が重要になってくる。そのよう
な星からの引力の影響をできるだけ少なくあるいは逆に
利用して飛行することが深宇宙における飛行技術であ
る。したがって、一般にはわずかな推力で済む。なお、
推力の増強には浅宇宙用推力発生器29と同様である。
【0047】以上説明したように、本実施例によれば、
次ぎのように総合的なエネルギ変換効率の向上があり、
これによりシステムの小型化、軽量化が達成される。
【0048】まず、浅宇宙の領域では、十分強力な太陽
エネルギを主として利用し、赤外から可視領域にわたる
大部分のスペクトルを有する太陽光を、凹面反射鏡によ
り太陽光を集熱器に導いて熱エネルギに変換するととも
に、反射鏡の表面に太陽電池を配置して電力変換し、更
に太陽光により加熱された反射鏡と太陽電池の熱を、反
射鏡の裏面に熱電変換器を配置して電力に変換している
ことから、エネルギ変換効率を高めることができる。
【0049】また、反射鏡2、8、15を、赤外線や遠
赤外線に対して高い反射特性をもたせて、主として可視
光を太陽電池3、9、16で電気に変換し、さらに残余
の光と太陽電池3、9、16で発生する熱から熱電変換
器4、10、17により電気に変換することで太陽エネ
ルギを効率よく電気と熱エネルギに変換できる。
【0050】また、集熱器5,18に熱交換器6,19
を結合して、太陽エネルギの熱を直接利用して、水素や
水を加熱していることから、電気に変換して加熱に使用
するよりも高効率化できる。
【0051】また、近くの惑星等によって太陽光が遮ら
れる陰影部、すなわち、夜間部におけるエネルギ源とし
ては、昼間部に太陽エネルギから変換して蓄えられた蓄
電池と蓄熱器のエネルギが使用できる。
【0052】浅宇宙又は深宇宙用の推力は、水を電気分
解して得られる水素を酸素で燃焼して得ていることか
ら、深宇宙への航行を継続することが可能になる。しか
も、水素を集熱器5の熱エネルギ又は核熱変換器33の
熱エネルギにより直接加熱していることから、推力が増
強されるとともに熱エネルギの利用効率を高くできる。
その結果、推力発生器を小型化でき、かつ水素と酸素の
量を低減できるから、電気分解システムを小型化するこ
とができる。
【0053】また、深宇宙では太陽エネルギの利用は期
待出来ないが、蓄電池と蓄熱器の貯蔵エネルギを利用で
きる。この貯蔵エネルギを使い果たした後は、第4の発
電システム31の放射線発生源32から放射される放射
線エネルギを電気や熱エネルギに変換することによりエ
ネルギを自給できる。この余剰電力は蓄電池21に貯蔵
し、凹凸のある電力プロファイルに対応を可能とする。
これにより、太陽エネルギの利用が殆ど不可能な深宇宙
においても、必要なエネルギを自給でき、かつ自給エネ
ルギシステムの小型軽量化及び高効率化が達成できる。
【0054】また、燃料電池よりなる補助発電システム
を設けていることから、夜間又は深宇宙における電力の
不足を補うことができる。また、副生物の水を水の貯蔵
タンクに戻すことで資源の再利用を図っていることか
ら、システムを小形、軽量化できる。
【0055】また、熱交換器6、19、34をヒートパ
イプ式としていることから、熱効率を高めることができ
る。
【0056】さらに、個々の太陽電池3,9,16、熱
電変換器4,10,13,17,37、集熱器5,1
1,18、核熱変換器33,35、推力発生器29,3
0、燃料電池27、電気分解器24等の効率を向上さ
せ、一層の小型軽量を図るため、それらの変換素子等を
傾斜機能材料(FGM)により構成することが好まし
い。
【0057】例えば、太陽電池において、非晶質シリコ
ンのP型層とN型層の間に、複数の非晶質シリコン層と
多結晶ゲルマニウム層とを交互に積層してなる光活性層
を設け、その光活性層の各積層膜厚を光入射側から離れ
るに従って順次厚くなるように傾斜させて形成する。そ
の傾斜は、プラズマCVD法又は固相成長法により形成
できる。このような傾斜機能を持たせたものによれば、
電池のバンドギャップが広がり、光電変換効率を高上で
きる。
【0058】太陽電池が、ガラス基板と、金属酸化物の
透明電極と、非晶質シリコン層と、金属裏面電極との構
成要素を順次積層してなるものにおいて、切削又はレー
ザ加工により各構成要素の表面のテクスチャ度を調整
し、各構成要素の表面のテクスチャ度を光入射側から金
属裏面電極に向かうにつれて順次粗になるように傾斜さ
せて形成する。
【0059】太陽電池の非晶質シリコン層のP型層を、
P型非晶質シリコン層と非晶質炭素層とを交互に積層し
た構成とし、P型非晶質シリコン層の硼素等の不純物ド
ープ量濃度を、光入射側から離れるに従って傾斜状に変
化して形成する。
【0060】また、熱電変換器においては、熱電変換素
子を構成する元素組成を傾斜状に変化させて形成する。
【0061】また、集熱器が、光入射側に配設される光
透過に複数のヒートパイプを熱的に結合してなる場合、
光透過体の屈折率の分布を、各ヒートパイプに光を収束
させるように傾斜させて形成する。シリカ系光学ガラス
の場合、GeO2、P25、Al23等を添加すると屈
折率を高くでき、B23、Fを添加すると低くなる。
【0062】核熱変換器は、核断面積の異なる2種以上
の物質を順次積層してなる核断面積傾斜分布型構造に形
成する。
【0063】その他、電気分解器は、傾斜機能材料によ
り形成された電解質を有する傾斜電解質型とし、推力発
生器は、傾斜機能材料により形成する。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
浅宇宙では太陽エネルギから、深宇宙では飛行途中の浅
宇宙で得た貯蔵エネルギと放射線発生源からの放射線エ
ネルギを利用する高効率な宇宙総合エネルギ変換システ
ムが構成でき、小型軽量な宇宙総合エネルギ変換システ
ムが実現できる。
【0065】また、太陽電池、熱電変換器、蓄熱器、集
熱器、核熱変換器、推力発生器、燃料電池、電気分解器
を、傾斜機能材料を用いて形成することにより、能力ア
ップを図ることができ、一層の高効率化と装置の小型軽
量化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の宇宙総合エネルギ変換シス
テムの構成図である。
【符号の説明】
1 第1の発電システム、 2 凹面反射鏡、 3 太陽電池、 4 熱電変換器、 5 集熱器、 6 熱交換器、 7 第2の発電システム、 8 凹面反射鏡、 9 太陽電池、 10 熱電変換器、 11 集熱器、 12 ヒートパイプ、 13 熱電変換器、 14 第3の発電システム、 5 凹面反射鏡、 16 太陽電池、 17 熱電変換器、 18 集熱器、 19 熱交換器、 20 エネルギ管理システム、 21 蓄電池、 22 蓄熱器、 23 水タンク、 24 電気分解器、 25 水素タンク、 26 酸素タンク、 27 燃料電池、 28 調整弁、 29 浅宇宙用推力発生器、 30 深宇宙用推力発生器、 31 第4の発電システム、 32 放射線源、 33,35 核熱変換器、 34 熱交換器、 36 ヒートパイプ、 37 熱電変換器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新野 正之 宮城県仙台市若林区南小泉1丁目3番7 号 (72)発明者 若松 義男 宮城県柴田郡柴田町西船迫2丁目6番33 号 (72)発明者 毛呂 明夫 宮城県柴田郡柴田町大字船岡字迫34−36 (72)発明者 塩田 一路 東京都目黒区中目黒2丁目3番12号 科 学技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 宮本 欽生 兵庫県川西市緑台1丁目8番37号 (72)発明者 近崎 充夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 芦田 章 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社 日立製作所内 (72)発明者 和田 靭彦 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平1−190274(JP,A) 特開 昭62−274677(JP,A) 特開 平3−224897(JP,A) 実開 平3−115600(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B64G 1/42 - 1/44 F24J 2/00 H02J 15/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太陽光を受ける凹面反射鏡と、該反射鏡
    により収束された太陽光を受ける集熱器と、該集熱器の
    熱により水素ガスを加熱する熱交換器と、前記反射鏡の
    表面に配設された光電変換器と、前記反射鏡の裏面に配
    設された熱電変換器とを含んでなる第1の発電システム
    と、 太陽光を受ける凹面反射鏡と、該反射鏡により収束され
    た太陽光を受ける集熱器と、該集熱器に熱的に結合され
    た第1の熱電変換器と、前記反射鏡の表面に配設された
    光電変換器と、前記反射鏡の裏面に配設された第2の熱
    電変換器とを含んでなる第2の発電システムと、 太陽光を受ける凹面反射鏡と、該反射鏡により収束され
    た太陽光を受ける集熱器と、該集熱器の熱により水を加
    熱する熱交換器と、前記反射鏡の表面に配設された光電
    変換器と、前記反射鏡の裏面に配設された熱電変換器と
    を含んでなる第3の発電システムと、 放射線を発する放射性同位体を有してなる放射線源と、
    該放射線源から放射される放射線をそれぞれ受けて熱に
    変換する第1と第2の核熱変換器と、該第1の核熱変換
    器の熱により水素ガスを加熱する熱交換器と、前記第2
    の核熱変換器に熱的に結合された熱電変換器とを含んで
    なる第4の発電システムと、 電力を蓄える蓄電池と、 前記各発電システムの光電変換器と熱電変換器により変
    換された電力を受け、所定の負荷に電力を供給するとと
    もに、余剰電力を前記蓄電池に蓄える運用を行うエネル
    ギ管理システムと、 前記エネルギ管理システムから供給される電力により水
    を電気分解する電気分解器と、水タンクと、該水タンク
    の水を前記第3の発電システムの熱交換器により加熱し
    て前記電気分解器に供給する管路と、前記電気分解器で
    発生した酸素と水素をそれぞれ貯蔵する酸素タンクと水
    素タンクとを含んでなる電気分解システムと、 浅宇宙用推力発生器と、該浅宇宙用推力発生器に前記水
    素タンクの水素を前記第1の発電システムの熱交換器に
    より加熱して供給する管路と、深宇宙用推力発生器と、
    該深宇宙用推力発生器に前記水素タンクの水素を前記第
    4の発電システムの熱交換器により加熱して供給する管
    路と、前記浅宇宙用推力発生器と前記深宇宙用推力発生
    器に前記酸素タンクの酸素をそれぞれ供給する管路とを
    含んでなる推力発生システムと、 前記各集熱器と核熱変換器により発生した余剰熱を貯蔵
    する蓄熱器とを備えてなる宇宙総合エネルギ変換システ
    ム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記各熱交換器が、前記集熱器と核熱変換器とにそれぞ
    れ熱的に結合されたヒートパイプを有し、該ヒートパイ
    プを介して熱交換するものであり、 前記各熱電変換器が、前記集熱器と核熱変換器とにそれ
    ぞれヒートパイプを介して熱的に結合されたことを特徴
    とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記光電変換器が、複数の非晶質シリコン層と多結晶ゲ
    ルマニウム層とを交互に積層してなる光活性層を含んで
    なり、該光活性層の各積層膜厚を光入射側から離れるに
    従って順次厚くなるように傾斜させて形成したことを特
    徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記光電変換器が、ガラス基板と、金属酸化物の透明電
    極と、非晶質シリコン層と、金属裏面電極との構成要素
    を順次積層してなり、各構成要素の表面テクスチャ度が
    光入射側から金属裏面電極に向かうにつれて順次粗にな
    るように傾斜させて形成されたことを特徴とする宇宙総
    合エネルギ変換システム。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 前記光電変換器が、ガラス基板と、金属酸化物の透明電
    極と、非晶質シリコン層と、金属裏面電極との構成要素
    を順次積層してなり、前記非晶質シリコン層のP型層が
    P型非晶質シリコン層と非晶質炭素層とを交互に積層し
    た構成とし、P型非晶質シリコン層のドープ量濃度が、
    光入射側から離れるに従って傾斜状に変化されてなるこ
    とを特徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  6. 【請求項6】 請求項1において、 前記熱電変換器の熱電変換素子が、素子を構成する元素
    組成を傾斜状に変化させてなることを特徴とする宇宙総
    合エネルギ変換システム。
  7. 【請求項7】 請求項1において、 前記集熱器が、光入射側に配設された光透過体と、該光
    透過体に熱的に結合された複数のヒートパイプとを含ん
    でなり、前記光透過体の屈折率の分布が、前記各ヒート
    パイプに光を収束させるように傾斜させて形成されてな
    ることを特徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  8. 【請求項8】 請求項1において、 前記核熱変換器が、核断面積の異なる2種以上の物質を
    順次積層してなる核断面積傾斜分布型構造に形成されて
    なることを特徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  9. 【請求項9】 請求項1において、 前記電気分解器が、傾斜機能材料により形成された電解
    質を有する傾斜電解質型であることを特徴とする宇宙総
    合エネルギ変換システム。
  10. 【請求項10】 請求項1において、 前記推力発生器が、傾斜機能材料により形成されたこと
    を特徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至7に記載のいずれかにお
    いて、 前記酸素タンクと前記水素タンクの酸素と水素とを反応
    させて電気を発生する燃料電池を設け、該発生電力を前
    記エネルギ管理システムにより運用することを特徴とす
    る宇宙総合エネルギ変換システム。
  12. 【請求項12】 請求項11において、 燃料電池の反応により生じる水を水タンクに戻すことを
    特徴とする宇宙総合エネルギ変換システム。
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