JP3143740B2 - HIVのTatタンパク質に高い親和性を持つRNA - Google Patents

HIVのTatタンパク質に高い親和性を持つRNA

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト免疫不全ウイ
ルスのトランス活性化タンパク質に対して高い親和性を
持つRNAに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−
1)によってコードされる遺伝子の発現は、細胞性因子
と、HIV−1の長末端反復(LTR)に特定の調節要
素を有するウイルスのトランス活性化因子タンパク質T
atとの相互作用によって調節される(Gaynor, 199
2)。HIV−1の調節タンパク質Tatは、トランス活
性化応答領域(TAR)と呼ばれる、LTR領域の調節
要素の1つと結合する(Rosen ら,1985; Daytonら,19
86; Fisherら,1986)。この領域は、全てのウイルス転
写物の5’末端で転写開始部位のすぐ下流に位置してい
る(Berkhoutら,1989)。これ(TAR)は、59ヌクレ
オチド(nt)からなるRNA要素であり、これはTa
tのin vivo結合を可能とする安定したヘアピン構造を
形成するに足る最少モチーフである(Rosenら,1985; F
engおよびHolland, 1988; Jakobovitsら,1988)。TA
R RNAに結合した後、Tatは効果的に転写を刺激
する(Cullen, 1986; Peterlineら,1986; RiceおよびM
athews, 1988)。TAR RNAの欠失研究は、いわゆ
るバルジ(bulge)残基がTatへの特異的結合およびト
ランス活性化の両方にとって必須であること、他方ルー
プ配列はトランス活性化に必要であるがTatのin viv
o結合には必須ではないこと、を明らかにした(Fengお
よびHolland, 1988; BerkhoutおよびJeang, 1989; Ding
wellら,1989; Cordinglyら,1990; Royら, 1990; Week
sら, 1990)。
【0003】Tatは86アミノ酸からなる小さい、シス
テインに富んだ核タンパク質である。これは2つの主要
なドメイン、すなわちシステインに富んだ領域および高
度に塩基性の領域を持つ(Aryaら,1985; Sodroskiら,
1985)。システインに富んだ領域はこのタンパク質の機
能にとって必須であり(Garciaら,1988; Kubotaら,19
88)、そしてこの領域はTatの金属結合二量体化を恐
らく媒介する金属結合ドメインを有する(Frankelら,19
88)。塩基性領域は、TAR RNAへの特異的結合(W
eeksら,1990) および核の局在化(Dang およびLee, 198
9; Endoら,1989)に関与する。Tatは、それぞれの同
族体RNAを認識するためのアルギニンに富んだモチー
フを含むRNA結合タンパク質のファミリーに属する(L
azinskiら,1989)。アルギニンに富んだ領域を含む短い
ペプチドは、完全なタンパク質の特異性と類似の特異性
でTAR RNAに結合する(Weeksら,1990; Calnan
ら,1991a)。tat遺伝子産物はHIV−1遺伝子のト
ランス活性化において重要な役割を果たすばかりでな
く、宿主細胞の増殖および代謝に種々の作用を及ぼす
(Ensoliら,1990, 1993)。さらに、Tatは現在HI
V−1の効率的な逆転写にとって重要であることが知ら
れている(Harrishら,1997)。
【0004】TatによるHIVゲノム発現のトランス
活性化の刺激に関する幾つかの研究にもかかわらず、T
atが働く正確な分子作用機構はいまだにはっきりして
いない。哺乳動物細胞中でTatによって誘導されるウ
イルスmRNAおよびタンパク質の合成速度は、対照速
度よりも100倍高いと推定された(HauberおよびCullen,
1988)。Tatは抗ターミネーターとして、転写におけ
る延長因子として、および転写開始のエンハンサーとし
て機能することが報告されている(総論については、Va
ishavおよびWong-Staal, 1991; Cullen, 1992; Jeang
ら,1993参照)。Tatの正確な機能については議論の
余地があるとしても、TatはTAR RNAに結合
後、転写複合体を改変するプロモーター特異的延長因子
として機能する、という合意に達したように思われる。
幾つかの初期の研究は、Tatによる転写の刺激には細
胞性転写因子とTAR RNA配列の完全性の両方が必
須であると示した(総論については、Gaynor, 1992; Jo
nesおよびPeterlin, 1994参照)。しかし、転写複合体
の構成要素の組み立て(assembly)の順序は最近になるま
で不明であった。Tatが先ず転写因子に結合して、そ
の後TAR RNAに結合するのか、またはTatが最
初にTAR RNAに結合してその後転写因子に結合す
るのか、が初めは不明であった。Garcia-Martinezら(19
97)は、Tatタンパク質はプレ開始(preinitiation)
複合体においてRNAポリメラーゼIIと会合し、次に
動けなくなったRNAポリメラーゼIIがTAR RN
Aを通過する間に複合体化TatはTAR RNAと結
合する、と示唆した。
【0005】RNA−タンパク質相互作用の最も興味を
そそるもののうちに、Tat結合後のTAR RNAに
おけるコンホメーションの変化がある。コンホメーショ
ンの変更は、円二色性(CD)およびNMR研究によっ
て明確に観察された(TanおよびFrankel, 1992; Puglis
iら, 1992; Aboul-elaら,1995, 1996)。TARRNA
のコンホメーションにおける類似の変化は、Tatペプ
チドを用いた場合ばかりでなく、アルギニン単独によっ
ても達成された。しかし、リジンを用いた場合、または
Tatに結合できなくしたTARの変異体を用いた場
合、コンホメーションの変化は何ら観察されなかった。
アルギニンの役割を知るために設計された試験におい
て、Tat由来のペプチドおよびTAR RNAに特異
的に結合するアルギニンのホモポリマー、並びに中央に
1個のアルギニン残基を含むペプチドは、野性型トラン
ス活性化を再現するのに十分であった(Calnanら, 1991
a,b)。TAR−アルギニン複合体に関するさらなるNM
R研究は、TARはアルギニンのための特異的結合部位
を有することを示唆した(Puglisiら,1992)。アルギニ
ンは1つの構造を誘導するように思われる。この構造に
おいては、三塩基バルジにおける重要な残基U23が、
隣接するステム(stem)のA・U塩基対とフーグスティー
ン相互作用を行なう。このモデルは、TARにおけるU
・A・U結合を同形のC・G・C結合に置き換えること
によって支持される(Puglisiら,1993)。最近の修飾お
よび突然変異誘発実験もまた、フーグスティーン相互作
用がTARの構造にとって重大であるモデルを支持する
(Taoら,1997)。2つの異なる研究所由来の、(塩基対
とは別個の)塩基トリプル(triple)の形成に関するT
AR RNAのNMR研究の結果における食い違いにも
かかわらず、TAR RNAの構造に関する一般的な意
見は、主溝におけるバルジUのおおよその位置およびT
AR RNAにおける官能基の配向について一致してい
る。
【0006】Tatタンパク質はHIV−1のライフサ
イクルおよびウイルス増殖において種々の機能を持つた
め、このタンパク質はHIVに対する武器を開発する上
で重要かつ魅力的な標的である。過去において幾つかの
遺伝子的戦略が、HIVの増殖を抑制する試みにおいて
試験された。トランス優性タンパク質、一本鎖抗体、ア
ンチセンス分子、リボザイム、デコイ(decoy)(総論
については、Yuら,1994参照)、および誘導可能で毒性
の遺伝子産物を産生するためのHIVのLTRの使用の
全てがHIVに感染した細胞において試験された(Harr
isonら,1992)。これらの戦略の組み合わせ(例えば、
リボザイムとデコイ)もまた検討された(Yuyamaら,19
94; Yamadaら,1996)。このような治療的分子の発現お
よび調節はin vivoでは可能であるかもしれないが、そ
れらの構成性発現は細胞毒性または宿主による操作され
た細胞への免疫応答をもたらしうる。この問題は、毒素
および自殺遺伝子の場合に特に重大である。HIV感染
に対するRNAに基づく種々の方法のうち、デコイ戦略
は短いアンチセンスRNAおよびリボザイム等の他のR
NAインヒビターの使用に較べ可能性として有利な点を
持っている。なぜなら、逸脱突然変異体(escape mutan
t)の発生はより頻度が低いかもしれない;デコイへの結
合を阻止するTatまたはRev(HIV−1タンパク
質)における変更もまた、天然の要素(例えばRRE、
すなわちRev応答性要素、およびTAR配列)への結
合を阻止すると考えられるからである。RREおよびT
ARRNAの両方がデコイとして利用され、そしてこれ
らのデコイは細胞培養物中でHIVの複製を80%〜9
7%阻害した(GrahamおよびMaio, 1990; Sullengerら,
1990; Lisziewiczら,1993)。
【0007】デコイは他の分子(アンチセンスRNAお
よびリボザイム等)よりもはるかに効率的なインヒビタ
ーとして作用するかもしれないが(ナノモル範囲以下の
i値の可能性を持って)、もしデコイが細胞性因子を
封鎖するものであるならば、特に、デコイRNAがたま
たま細胞性タンパク質と相互作用できる領域を含む場合
は、デコイは細胞に対して毒性でありうる。幾つかの以
前の研究が、TRP−185(Wu-Bearら,1995)、Ta
t−SF1(ZhouおよびSharp, 1996)、ポリメラーゼI
I(Wu-Bearら,1995, 1996) およびその他(Sheline
ら,1991; RounsevilleおよびKumar, 1992; Gatignol
ら,1991) 等の細胞性因子がTAR RNAに効率的に
結合することを示した。これらの研究にもかかわらず、
宿主細胞の細胞機能に及ぼすTAR RNAの効果は、
in vitroにおいてもin vivoにおいても詳しく分析され
ていない。また、これらの天然のTAR RNAよりも、HIV-1
のTatタンパク質に対する親和性および特異性が高いデ
コイ配列は知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、HI
VのTatタンパク質に対して、特異的にかつ高い親和性で
結合することができるRNAを提供することを目的とす
る。また、本発明は、そのようなRNAの利用方法を提供
することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは、鋭意努力した結果、HIVのTatタン
パク質に対して、特異的にかつ高い親和性で結合するこ
とができるRNAを合成することに成功し、本発明を完成
させるに至った。すなわち、本発明は、下記の二次構造
(I)を持つヌクレオチド配列を含み、HIVのTatタンパク
質と結合することができるRNAを提供する。
【0010】 (構造中、N1aおよびN1bは相補的塩基対形成が可能な少
なくとも2対の核酸塩基であり、N2aおよびN2bは相補的
塩基対形成が可能な1対の核酸塩基であり、N3およびN4
はそれぞれ独立に1または2個の任意の核酸塩基であ
り、N5aおよびN5bは相補的塩基対形成が可能な1対の核
酸塩基であり、N6aおよびN6bは相補的塩基対形成が可能
な少なくとも1対の核酸塩基であり、N7は1〜5個の任
意の核酸塩基であるか、あるいは、N7は存在しなくとも
よく、N7が存在しないときには、このRNAは二本鎖とな
り、N6aおよびN6bは相補的塩基対形成が可能な少なくと
も2対の核酸塩基であり、実線は核酸塩基間の水素結合
を表す。)
【0011】ここで、「相補的塩基対形成」とは、核酸
の塩基がアデニンとウラシル、グアニンとシトシンの間
で水素結合により対合することをいう。相補的塩基対形
成が可能な核酸塩基対としては、アデニンとウラシル、
グアニンとシトシンの組み合わせを挙げることができ
る。HIV としては、HIV-1 およびHIV-2 が知られている
が、本発明のRNAは特にHIV-1とよく結合する。本発明の
RNAは、下記の二次構造(II)を持つヌクレオチド配列か
らなる天然のTAR RNAよりも高い親和性および/または
特異性で、HIVのTatタンパク質と結合することができる
とよい。
【0012】 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)な
お、HIVのTatタンパク質との親和性および特異性は、そ
れぞれ、後述のGel-shift competitive binding assay
およびTranscription assay で測定することができる。
本発明のRNAの一例として、下記の二次構造(III)を持つ
ヌクレオチド配列を含むRNAを挙げることができる。
【0013】 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)本発
明のRNAの別の一例として、下記の二次構造(IV)を持つ
二本鎖のヌクレオチド配列を含むRNAを挙げることがで
きる。
【0014】 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)本発
明のRNAのまた別の一例として、下記の二次構造(V)を持
つヌクレオチド配列からなる請求項1記載のRNAを挙げ
ることができる。
【0015】 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
【0016】また、本発明は、上記のRNAを含む医薬組
成物を提供する。この医薬組成物により、ヒト免疫不全
ウイルスの転写を阻害することができる。従って、この
医薬組成物をヒト免疫不全ウイルスに対する抗ウイルス
剤として用い、ヒト免疫不全ウイルスが関与する疾病を
予防および/または治療することができる。また、本発
明の医薬組成物を用いてヒト免疫不全ウイルスが関与す
る疾病を診断することもできる。さらにまた、本発明
は、上記のRNAを用いて、ヒト免疫不全ウイルスの転写
を阻害する方法を提供する。この方法を実施するにあた
っては、ヒト免疫不全ウイルスを含む細胞に上記のRNA
を導入すればよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のRNAは、上記の二次構造(I) を持つヌクレオチ
ド配列を含む。このようなRNAは、図1に概略を示した
以下の方法で作製することができる。プライマー1とプ
ライマー2の結合部位にはさまれ、かつ120ヌクレオチ
ドの長さのランダムな配列を持つRNAプールとTatタンパ
ク質を試験管内で混合する。これをニトロセルロース膜
で濾過し、膜上に残ったTatタンパク質とRNAの複合体を
回収する。複合体からRNAを溶離後、逆転写反応によりc
DNAを合成する。さらにPCRでcDNAを増幅し、続いて試験
管内転写反応によりRNAを作る。以上の操作を5〜10回
繰り返すことで、Tatタンパク質に特異的に強く結合す
るRNAのみを得ることができる。
【0018】上記のようにして得られたRNAとHIV(例え
ば、HIV-1)のTatタンパク質との結合活性は、以下のよ
うにして測定することができる。32P標識したRNAとTat
タンパク質を1対1の割合で試験管内で混ぜた後、ニト
ロセルロース膜で濾過後、膜をよく洗浄後、膜上に残っ
32P量を測定する。残存RNA量/使用RNA量(%)を結
合活性(%)とする。本発明のRNAは、上記の二次構造
(II)を持つヌクレオチド配列からなる天然のTAR RNAよ
りも、HIV(例えば、HIV-1)のTatタンパク質に対する高
い結合親和性を有するが、HIV-1 のTatタンパク質に対
する結合親和性は、以下のようにして測定することがで
きる。
【0019】32P標識したRNA(III)(又はRNA(IV))と標
識していない天然TAR RNA(II) を1対1で混ぜる。そこ
へ、RNA(III)(又はRNA(IV))とTAR RNAの濃度比1:1
から1:200 までの種々の混液を加える。更にTatタン
パク質の結合領域に相当するペプチド(RE)を一定量加
え、30℃ 12時間保温後ポリアクリルアミドゲル電気泳
動で、RNAとRNAペプチド複合体を分離し、複合体の割合
を出す。タテ軸にこの複合体の割合をヨコ軸にTAR RNA
/RNA(III)の比率をとったグラフを描き、50%複合体を
形成する時の比率から特異性を算出する。
【0020】さらに、本発明のRNAは、上記の二次構造
(II)を持つヌクレオチド配列からなる天然のTAR RNAよ
りも、HIV(例えば、HIV-1)のTatタンパク質に対する特
異性が高いが、HIV-1 のTatタンパク質に対する特異性
は、以下のようにして測定することができる。HeLa細胞
核抽出物中で、サイトメガロウイルス(CMV)DNAを鋳型に
CMVプロモーターからの転写を行う(364 ヌクレオチ
ド)。この時同時に、TAR RNA又はRNA(III)(又はRNA
(IV))を添加し、転写産物の量を比較する。本発明のRNA
はHIV(例えば、HIV-1)の転写阻害活性を有するが、HIV-
1の転写阻害活性は以下のようにして測定することがで
きる。HIV-1 LTRをゲノム中に組み込んだHeLa細胞に、
プロモーター下流に本RNA遺伝子を持つプラスミド1とT
atタンパク質を発現するプラスミド2を同時にトランス
フェクトし、LTRの下流に組み込んであるルシフェレー
スの発現量を測定することにより、転写阻害活性を測定
する。
【0021】HIVを含む細胞に本発明のRNAを導入するこ
とにより、該細胞中のHIVの転写を阻害することができ
る。例えば、本発明のRNAをリポソームに封入し、これ
を生体に投与して、HIVを含む細胞内に取り込ませるこ
とにより、HIVの転写を阻害することができる。このよ
うな方法については、"Lipidic vector systems for ge
ne transfer"(1997) R. J. Lee and L. Huang Crit. R
ev. Ther. Drug CarrierSyst 14, 173-206.に記載され
ている。また、本発明のRNAをコードするDNAをウイルス
などのベクターに組み込んで、HIVを含む細胞内に導入
し、該細胞内でこのベクターを発現させ、本発明のRNA
を産生させることにより、HIVの転写を阻害することも
できる。このような方法については、"Viral vectors i
n gene therapy"(1997) A. E. Smith Annu. Rev. Mic
robiol 49, 807-838. に記載されている。これらの方法
の詳細およびこれらの方法に用いられる材料は、遺伝子
治療の分野で知られており、それらを本発明においても
用いることができる。
【0022】HIVの転写を阻害することにより、HIVが関
与する疾病を予防および/または治療することができ
る。HIVが関与する疾病としては、後天性免疫不全症候
群(AIDS)を挙げることができる。投与は、疾病の状態の
重篤度や生体の応答性によるが、治療の有効性が認めら
れるまで、あるいは疾病状態の軽減が達成されるまでの
期間にわたり、適当な用量、投与方法、頻度で行えばよ
い。また、本発明のRNAを用いて、HIVが関与する疾病を
診断することができる。本発明のRNAを抗体の代わりに
利用することができる。本発明のRNAを蛍光などで標識
しておき、HIVに感染している細胞の抽出液又は細胞を
つぶした物と混ぜ、ニトロセルロース膜で濾過する。HI
V由来のTatタンパク質が細胞内に存在すれば、膜上にト
ラップされ、検出できる。
【0023】
〔実施例1〕
Tatタンパク質に高い親和性を持つRNAアプタマー
(aptamer)の単離(図1) HIV−1のTAR RNAは細胞中で幾つかの細胞性
因子と結合する。上に観察されるような非関連遺伝子の
転写に及ぼすその阻害効果を考えると、真のTAR R
NAはTatの最も適切なアンタゴニストおよび特異的
インヒビターではないかもしれない。Tatに特異的
に、かつ高い親和性で結合するRNAモチーフを単離す
るため、本発明者らは120 nt (120 N)の大きいランダム
コア配列を有するRNA分子のプールを用いた、in vit
ro遺伝子選択のための戦略を利用した。
【0024】第1の選択サイクルでは、約1014個のRN
A配列をHIV−1 Tatタンパク質に、タンパク質
のRNAに対するモル比を1:10として、結合緩衝液
中で結合させた。以後のサイクルにおいては、選択のス
トリンジェンシーを増大させるため、TatとRNA
〔上記120 N プール、特異的競合体(TAR RNA、
またはTatへの約5%の結合能を有する、12〜18 nt
のランダムコア領域を持つ選択されたプールRNA)お
よび非特異的競合体、すなわちtRNA〕のモル比を操
作した(表1)。2サイクルの各セットの選択が済むた
びに、Tatへの結合を調べるフィルター結合アッセイ
によりRNAプールを分析した。サイクルが進むにつ
れ、Tatに結合した特異的RNAアプタマーのレベル
はプール中で1%から9%に増加した。120 N プール中
の1014個の変異体は、可能性のある変異体(1072)の全
範囲を包含することはできなかったので、第9サイクル
の後に突然変異誘発PCRを導入して機能性分子の多様
性を増大させた。しかし、突然変異誘発PCRの導入に
より、プール中の結合種の数は恐らく重要な残基の突然
変異の数として減少した。したがって、本発明者らは配
列分析のため第9および第11サイクル由来の産物をクロ
ーン化した。
【0025】全部で、第9および第11サイクル由来の37
クローンを配列決定し、第11サイクル由来の配列を4ク
ラスに分けた。配列の2つの主要クラス(2つの代表的
配列である11G−22および11G−31を図2に示
す)は、多くの配列が非関連性であった第9サイクルに
較べ、第11サイクルのRNAプールに由来していた。こ
れらのRNA配列をMulfold プログラム(Zuker, 1989)
により折り畳んだ時、プール中の集団の約40% に相当す
る15クローンがそれらのランダム化領域にTAR様モチ
ーフ(全てのコア要素を含む)を持っていた。しかし、
これらクローンの幾つかは2つのTAR様モチーフ、例
えば11G−31を持つ(図2参照)。TARコア要素
のコンビナトリアル分析は、各2.16 x 105ヌクレオチド
について少なくとも1つの配列が見いだされるはずであ
ると予測している(Ferbeyreら,1997)。TARコア要
素の分布のこのように低い確率にもかかわらず、本発明
者らはランダムプールからTAR様の要素を、そして二
重TAR要素までも、単離することができた。これは恐
らく全選択手順を通して選択圧が維持されたためであ
る。上記2つの主要クラスに属していた主な選択された
アプタマーは、HIV−1のTARが3つのバルジ残基
を含むのに対し、2つのバルジ残基(UCまたはUU)
を含んでいたが、人工変異による分析は少なくとも2つ
のバルジ残基がTatの認識に必要であることを明らか
にした(WeeksおよびCrothers, 1991)。さらに、HIV
−2のTAR RNAもまた、HIV−1 Tatペプ
チドへの効率的な結合を可能とする2つの(2個のTA
Rモチーフ中にUUまたはUA)バルジ残基を含む(Ch
angおよびJeang, 1992)。30 nt のランダムコアを有す
るRNAプールを用いた同様の選択手順は、別の構造形
の単離をもたらした(TuerkおよびMacDougal-Waugh, 199
3)。この場合、選択は固定配列(増幅のための)にかか
る短いランダムコア領域によって妨げられたかもしれな
い。
【0026】
【表1】
【0027】a Tatタンパク質の存在下(P)または
不在下(NP)で結合アッセイを実施した。Tatおよ
び異なるサイクル由来の個別に標識したRNAプールの
両方を共にインキュベートし、次に10倍過剰の非特異的
競合体(tRNA)の存在下で100 μlの結合緩衝液[50
mM Tris-HCl (pH 7.5), 50 mM KCl]中でのin vitro選
択の際に用いたのと類似の条件下で濾過した。# 特異的
RNA競合体(実験手順参照)。
【0028】〔実施例2〕ミニ11G−31 RNAは
Tat由来ペプチドと効率的に結合する。アルギニンに
富む領域を含む短いペプチドは、完全なタンパク質の特
異性に類似した特異性でTAR RNAに結合するので
(Weeksら, 1990; Calnanら,1991a)、本発明者らは以
後の試験においてCQ(アミノ酸37〜72)およびRE
(アミノ酸49〜86)ペプチドの両方を用いた。これらの
ペプチドは化学的に合成し、均質(純度 >95%)になるま
で逆相HPLCにより精製した。
【0029】最初に、各クラス由来の代表的クローン
を、Tat由来ペプチド(CQまたはRE;実験手順参
照)および真のTAR RNAの存在下で競合結合アッ
セイにかけた。TAR様モチーフを2個持つRNAモチ
ーフ(11G−31 RNA等)のみが、Tatペプチ
ドへの結合についてTARと競合するように思われた
(データは本明細書には示していない)。11G−31
RNA(Tatペプチドに高い親和性を持つRNA分
子の1つ)における結合領域を突き止めるため、本発明
者らはTAR様モチーフを2個有する最小RNA(ミニ
11G−31;37量体)を化学的に合成し、天然のゲ
ルを用いてTatペプチドへのその結合を分析した。C
QおよびREの両ペプチドはミニ11G−31 RNA
に効率的に結合した(図3AおよびB参照)。
【0030】アプタマー、ミニ11G−31およびTA
R RNAのCQおよびREペプチドとの結合親和性を
比較するため、本発明者らは結合アッセイを実施した。
このアッセイでは、標識したRNAを種々の濃度のCQ
またはREペプチドと共にインキュベートし、次に20%
の非変性ポリアクリルアミドゲルを用いて複合体化RN
Aおよび遊離のRNAを分離した(図3A参照)。形成
された各複合体の量をゲル上のバンドの強度から直接計
算した。真のTAR RNAは、56 nM CQペプチドの
存在下で約50% のレベルで複合体を形成した(図3A−
1参照)。他方、ミニ11G−31 RNAは、CQペ
プチドの濃度が14 nMでも同じ量の複合体を効率的に形
成した(図3A−3参照)。REペプチドを用いて同様
の分析を行なった時、真のTAR RNAは23 nM RE
ペプチドの存在下で約50% のレベルで複合体を形成した
(図3A−2参照)。他方、ミニ11G−31 RNA
は、REペプチドの濃度が3 nMでも同じ量の複合体を形
成した(図3A−4参照)。これらの結果は、選択され
たアプタマーがTatペプチドに高い親和性を有してい
たことを示唆する。
【0031】バルジ残基の重要性を評価するため、本発
明者らはミニ11G−31 RNAにおいてバルジ残基
を欠くRNAを合成し、CQおよびREペプチドを用い
たゲルシフトアッセイによってこのRNAの結合を分析
した。CQペプチドの高濃度においても(200 nM)、複
合体は全く形成されなかった(図3B−1参照)。しか
し、REペプチドの高濃度において(>80 nM)、少量の
複合体が形成された(図3B−2参照)。真のTAR
RNAおよびバルジ突然変異RNAを用いて同様の実験
を実施し、REおよびCQペプチドへの結合を調べた。
そして、本発明者らはREペプチドに較べてCQペプチ
ドは効率的にバルジ変異体を区別することを観察した。
この結果は以前の観察と一致していた(Churcherら,19
93)。これらの試験から、ミニ11G−31におけるバ
ルジ残基はTatペプチドの認識にとって重要であるよ
うに思われる。
【0032】本発明者らの種々の試験は、TAR RN
Aのコア要素が2つの主要クラスに属する単離されたア
プタマー中に良く保存されていることを示し、このこと
は保存された残基の重要性を示唆していた。選択された
RNAの配列、すなわち一重または二重TARモチーフ
を含む配列は、真のTAR RNAのTatとの結合に
必要であると以前に同定されたコア要素全ての詳細を確
認する。ミニ11G−31 RNAからのバルジ残基の
削除は、Tatタンパク質の結合を完全に廃止した。さ
らに、バルジU残基が一重および二重TARモチーフ中
に見いだされた。このモチーフは恐らく、(ワトソン−
クリック型に結合した)A−U残基と共にフーグスティ
ーン型塩基対を形成して、アルギニンまたはTatペプ
チドおよびTAR RNAの複合体として提案されてい
る塩基トリプルU・A・Uを形成する。これらを考え合
わせると、Tao ら(1997)の最近の突然変異による結果、
および本発明者らのこの度の結果は、TARのアルギニ
ン結合モチーフは5’UXnGA(ここで、U残基はA
残基とフーグスティーン相互作用をなすと予想され、X
nは塩基対を形成していない少なくとも1個のヌクレオ
チドを示し、G残基はアルギニンの結合のためのポケッ
トを形成する)と要約できることを示唆する。
【0033】〔実施例3〕Tatペプチドに対するTA
Rおよびミニ11G−31の相対的親和性の比較真のT
AR RNAおよびミニ11G−31 RNAを種々の
量のTatペプチドで力価測定した場合、アプタマーが
効率的にTatペプチドに結合するのが観察された。次
に、本発明者らは真のTAR RNAおよびミニ11G
−31RNAの親和性を直接比較するために競合結合ア
ッセイを実施した。標識化アプタマーおよびTAR R
NAを1:1の比で種々のモル比(40〜8,000 nMの範
囲)の非標識アプタマーおよびTAR RNAと共に、
80 nM のREペプチドの存在下でインキュベートした。
反応混合物を30℃で12時間平衡化させ、20% の非変性ポ
リアクリルアミドゲル上で分析した。アプタマーとRE
ペプチドによって形成された複合体の量を種々の比につ
いて計算し、その結果、本発明者らはモル比が1対8
(ミニ11G−31:TAR= 40 nM : 3,200 nM)の
時、アプタマー−ペプチド複合体の量が50% 減少するこ
とを見いだした。これらの結果は、アプタマーのREペ
プチドに対する親和性が、真のTAR RNAの親和性
よりも80倍高い(D1/2≒ 3.2μM )かもしれないことを
示唆していた。対照的に、非標識アプタマーの非標識T
AR RNAに対するモル比が1:1の場合、TAR−
ペプチド複合体は全く検出されなかった。より初期の研
究においては、HIV−1のアルギニンに富んだ領域に
由来するペプチドは、16 pM から40 nM の濃度で真のT
AR RNAに結合するように思われた(Churcherら, 1
993; LongおよびCrothers, 1995)。Tatペプチドの力
価測定、および競合結合アッセイの両方の結果は、単離
されたアプタマーはTat/TAR相互作用を妨げたば
かりでなく、ナノモル以下の濃度でTatペプチドを効
率的にトラップしたことを示唆している。この特性は、
ウイルスタンパク質の効果的なデコイにとって明らかに
望ましい。
【0034】〔実施例4〕二重TAR様RNAモチーフ
はTatペプチドへの親和性を増強した。Tatペプチ
ドとの効率的な結合における二重TAR様RNAモチー
フの重要性を明確に規定するため、本発明者らは二本の
鎖を分離し、ループ配列を削除した(図5参照)。化学
的に合成した2つの5’および3’オリゴマー(20量
体)をアニーリングすることにより、ミニ11G−31
RNAを模倣することができる二本鎖RNA Iを調
製した。3’△UCおよび5’RNAオリゴマーをアニ
ーリングすることにより、二本鎖RNA II(3’バル
ジ残基UおよびCが欠失している)を調製した。3’お
よび5’△UUオリゴマーをアニーリングすることによ
り、二本鎖RNA III(5’バルジ残基UUが欠失し
ている)を調製した。二本鎖RNA IV(バルジ残基の
両方の対が欠失している)を調製するため、3’△UC
および5’△UUオリゴマーの両方をアニーリングし
た。各二本鎖のオリゴマーの5’末端を標識した後、各
二本鎖を用いてCQペプチド(40 nM)を結合緩衝液中で
30℃で1 時間平衡化した。生成物を非変性ポリアクリル
アミドゲル上で分析し(図6参照)、各複合体の量を上
記のように計算した。両方のバルジを含む二本鎖構造物
(二本鎖RNA I)は、40 nM の濃度で約80% のレベ
ルで複合体を形成し、またミニ11G−31 RNAは
類似した量の複合体を形成した。3’末端バルジ残基U
U(二本鎖RNA II)(図6、レーン8)または5’
末端バルジ残基UC(二本鎖RNA III)(図6、レー
ン10)の削除は、CQペプチドとの間に形成される複合
体の量を約50% 減少させた。二本鎖中のバルジ残基の両
方の対を削除する(二本鎖RNA IV)と、CQペプチ
ドの存在下で複合体は全く形成されなかった(図6、レ
ーン4)。得られた結果は、複合体におけるペプチドに
対するアプタマーの比は1対1であったこと、およびバ
ルジ残基の両方の対がCQペプチドとの効果的な結合に
おいて実際に重要な役割を果たしたこと、を示唆する。
【0035】〔実施例5〕 無細胞転写アッセイにおけるミニ11G−31 RNA
の効果 関係のない鋳型の転写に及ぼす単離したアプタマー(ミ
ニ11G−31)の効果を調べるため、本発明者らはHe
La細胞核の抽出物を用いて転写アッセイを実施した(図
7参照)。外因性の真のTAR RNA(100 pmole)の
添加は、CMVに由来する鋳型の転写を約50〜60% 阻害
した(図7、レーン3および4)(Yamamotoら,199
7)。100 pmole のtRNA(酵母由来の全tRNA)の
不在下(図7、レーン1)または存在下(図7、レーン
2)、および100 pmole のミニ11G−31 RNAの
存在下(図7、レーン5)におけるCMVプロモーター
からの転写は、影響を受けなかったか、あるいはわずか
に影響されたのみであった。3つの独立した転写実験の
結果を定量化したところ、TAR RNAのみが有意義
な程度まで転写を阻害したことが明らかになった(図8
参照)。このように、単離されたアプタマーは、真のT
AR RNAに較べて高い親和性でTatペプチドに結
合した。そして該アプタマーは、in vitroにおける転写
結果から判断されるように、関係のない遺伝子の転写に
何らネガティブな影響を及ぼさなかった。したがって、
ミニ11G−31 RNAはTat特異的デコイとして
非常に有用であると思われる。
【0036】結論 in vitro遺伝子選択という戦略を用いて、本発明者らは
HIV−1のTatタンパク質に高い親和性を持つRN
Aアプタマー11G−31を単離した。全長11G−3
1 RNAおよびミニ11G−31の両方が、類似した
効率でTatペプチドと結合するようである。単離され
たアプタマーは、互いに向かい合った、2つのTAR様
RNAモチーフを持っており、これらのモチーフはアプ
タマーとTatペプチドとの高親和性結合を助けること
が判明した。真のTAR RNAは転写を阻害するのに
対して、アプタマーは転写への阻害作用がないことか
ら、ミニ11G−31 RNAはHIV−1感染におけ
る可能性のあるTatデコイとしてのさらなる分析にか
きたてる魅力的な分子であると言える。上記の実施例に
おいて行った種々の実験の手順を以下に示す。
【0037】〔TARおよび突然変異体TAR RNA
の調製〕DNA合成装置(392A型、Applied Biosystem
s, USA)を用いて、T7プロモーターおよび図1に示す
RNAに対応する配列を含むオリゴデオキシリボヌクレ
オチド鋳型を合成した。リバースプライマー 5'-GGGTTC
CCTAGTTAGCCAGA-3'(配列番号5) の存在下で、Taq
DNAポリメラーゼ(Nippon Gene, Japan)により一本
鎖DNAオリゴヌクレオチドを二本鎖DNAに変換し
た。各反応は、10 mM Tris-HCl (pH 8.8)、50 mM KCl、
1.5 mM MgCl2、0.1% Triton X-100、0.2 mM dNTPs、100
pmole のリバーズプライマー、78 pmoleのDNAオリ
ゴヌクレオチド、および2.5 単位のTaq DNAポリ
メラーゼ(Takara, Japan) を含む100μlの混合物中で実
施した。この反応混合物を、所望のサイズの産物が得ら
れるまで、94℃で1分間、45℃で1分間、および68℃で
2分間からなるサイクルにかけた。得られたdsDNA鋳
型をエタノール中で沈殿させ、T7 RNAポリメラー
ゼによって転写させてTAR RNAまたは突然変異体
TAR RNAを生成させた。in vitroにおける転写
は、T7 Ampliscribe kit (Epicentre Technologies, US
A)を用いた37℃で2時間のインキュベーションの間に完
了した。RNAを合成し、DNアーゼIで処理した後、
10% 変性ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動(P
AGE)によって反応混合物を分画した。エタノール沈
殿の後、RNAをゲルから抽出し、回収した。
【0038】〔TAR RNAおよびミニ11G−31
RNAの存在下におけるin vitro転写アッセイ〕転写
レベルにおけるTAR RNAの細胞機能に及ぼす効果
を調べるため、本発明者らはエンハンサー要素を含む、
または欠くサイトメガロウイルス(CMV)即時型初期
プロモーター(immediate early promoter) を用いた。
本発明者らは、鋳型のLTR非依存性転写に及ぼすTA
R RNAの効果を評価するための鋳型として、1例と
してCMV DNAを選んだ。特異的プライマー[5'-TT
AGTCATCGCTATTACCATGG-3'(配列番号6) および 5'-AGGC
CT GGATTCACAGGACGGGTG-3'(配列番号7)]を用いて、T
aq DNAポリメラーゼにより、PCR(94℃3分
間、50℃ 1.15分、および72℃3分間;30サイクル)に
よって、CMV初期プロモーター領域(nt -238から36
4)を増幅した。得られたPCR産物(602 nt) をエタノ
ール沈殿により回収し、転写アッセイに使用した。[α-
32P]CTPの存在下で、HeLa細胞核の抽出物 (Promega, US
A) を用いて転写反応を実施した。先ず13単位の核抽出
物、3 mM MgCl2、0.4 mMの各ATP、GTPおよびUTP、およ
び16μM CTP、並びに10μCi[α-32P]CTP (3,000 Ci/mmo
le; Amersham, U.K.)を緩衝液[20 mMHEPES (pH 7.9)、1
00 mM KCl、0.2 mM EDTA、0.5 mM DTTおよび20% グリセ
リン] 中で混合し、これを100 pmole のTAR RN
A、ミニ11G−31 RNA、または酵母由来の全t
RNA(Boehringer Mannheim, Germany) と混合し、30
℃で15分間平衡化させた。この反応混合物にPCRのた
めの鋳型DNA 100 ngを補充し、最終反応容量を25μl
とし、30℃でさらに45分間インキュベーションを継続
した。175 μlの停止溶液〔0.3 M Tris-HCl (pH 7.4)、
0.3 M 酢酸ナトリウム、0.5% SDS、2 mM EDTA および3
mg/ml のtRNA〕を添加して反応を停止させ、エタノ
ール中で沈殿させる前に反応産物をいったんフェノール
およびクロロホルムで抽出した。新たに合成されたRN
Aをローディング緩衝液〔25 mM EDTAおよび4.5 M 尿
素〕中で90℃で5分間変性させ、7 M 尿素を含有する6%
ポリアクリルアミドゲルにのせ、電気泳動によって分画
した。イメージアナライザー(BAS 2000; Fuji Film, Ja
pan)を用いてゲル上のバンドを定量した。
【0039】〔Tat由来ペプチドの合成およびゲルシ
フトアッセイ〕Tatタンパク質のアルギニンに富んだ
領域にまたがる2個のTat由来ペプチドを化学的に合
成した。すなわち、CQ(アミノ酸37〜72、CFTTKALGIS
YGR KKRRQRRRPPQGSQTHQVSLSKQ(配列番号8) 、36量体)
およびRE(アミノ酸49〜86、RKKRRQRRRPPQGSQTHQVSLS
KQPTSQSRGDPTGPKE (配列番号9) 、38量体)である。こ
れらのペプチドをHPLCにより精製し、加水分解の
後、逆相HPLCによりそれらの組成を確認した。
【0040】CQペプチドを、8 μl の結合反応液〔10
mM Tris-HCl (pH 8.0)、70 mM NaCl、2 mM EDTA、40 n
M 酵母由来全tRNA(Boehringer)および0.01% Nonide
t P-40 (Shell Chemicals, USA)]中で5’標識化TAR
または変異体に対して力価測定した。最初に、各標識化
TAR RNAを94℃で2分間変性させ、種々の濃度の
ペプチドと混合する前に室温で10分間平衡化させた。混
合物を30℃で1 時間インキュベートし、15% 非変性ゲル
を用いてPAGEによって複合体と遊離のRNAを分離
した。イメージアナライザーを用いてゲル上の各複合体
の量を定量した。
【0041】〔Tatタンパク質およびRNAプール〕
本発明者らが選択のために用いたHIV−1のTatタ
ンパク質は、RepliGen(USA)から購入した。最初に、HeL
a細胞核抽出物を用いた無細胞転写アッセイにおいて、
このTatタンパク質のLTR依存性トランス活性化を
試験した。その結果、上記調製物は効率的にトランス活
性化を支持することが示された。また、TARとの効率
的な結合についても上記調製物を分析した。その特性よ
り、本発明者らは上記調製物は高純度の(>90%) 活性T
atタンパク質を含んでいると推論した。
【0042】プール中のRNAは、増幅のための2つの
定常領域に挟まれた120 nt (N)のランダムコア領域を以
下のように含んでいた(Ellington およびSzostak, 199
2):5'--GGGAGAAUUCCGACCAGAAGCUU--120N--CAUAUG UGCG
UCUACAUGGAUCCUCA--3'(配列番号10) 。プールの増幅
に用いたプライマーは、5'-AGTAATACGACTCACTATAGGGAGA
ATTCCGACCAGAAG-3'(39.169と称する; 配列番号11) およ
び5'-TGAGGATCCATGTAGACGCACATA-3'(24.169 と称する;
配列番号12) であった。選択サイクルにおいては、非特
異的競合体として酵母tRNA(Boehringer Mannheim)
を用いた。
【0043】〔in vitro選択〕in vitro選択のため本発
明者らが従ったプロトコールは、Urvilら(1997)によっ
て報告されたものにほぼ同じである。第1の選択サイク
ルは、5.0 μM(最終濃度) のRNA(約4 x 1013個のR
NA配列に相当する) および0.5 μM Tatタンパク質
(HIV−1)を含有する結合緩衝液中で実施した。T
atタンパク質とプールRNAを混合する前に、最初に
プール中のRNAを結合緩衝液中で90℃で2分間変性さ
せ、次に室温で10分間冷却して異なる構造異性体の平衡
化を促進した。文献に記述されているように(Urvilら,
1997) 反応混合物を1時間インキュベートして濾過し
た。次の5サイクルの各々が終わる度に、プールRNA
の濃度を操作し、徐々に濃度を上げた非特異的RNA
(大腸菌tRNA)および特異的競合体RNA(+18 か
ら+44 までのヌクレオチドを含むTAR RNA)の存
在下で60サイクルまでプールRNAをTatとの結合に
ついて競合させた。第7から第11サイクルで、プールR
NAをさらに別の競合体RNAの特異的プール〔選択さ
れたプール(12〜18 Nプール、約5%のTat結合能を有
する)]と競合させた。最後の2サイクルでは、Tatタ
ンパク質の濃度を有意に低下させた。結合緩衝液は、50
mM Tris-HCl (pH 7.8) および50 mM KCl からなってい
た。プール0 RNAを、"Pop-top"フィルターホールダ
ー(Nucleopore, USA)に装着した、あらかじめ湿らせた
ニトロセルロースアセテートフィルター(HAWP フィルタ
ー、0.45μm、直径 13.0 mm; Millipore, USA)を用いて
前濾過し、選択的にフィルターと結合したRNAを選択
した。この前濾過は、各付加的サイクルの後で実施し
た。1 mlの結合緩衝液を用いて洗浄することにより、各
選択サイクル後、Tat−RNA複合体をフィルター上
に集めた。0.4 M 酢酸ナトリウム、5 mM EDTAおよび7 M
尿素(pH 5.5)を90℃で5分にわたって用いて、結合し
たRNAをフィルターから溶離した。エタノール沈殿の
後、AMV逆転写酵素(Seikagaku, Japan) およびTa
q DNAポリメラーゼ(Nippon Gene)をそれぞれ用い
て、逆転写およびPCRによる増幅を文献に記述されて
いるように実施した(Urvilら,1997)。
【0044】さらに、第9、10および11サイクルでは突
然変異誘発性PCRプロトコール(Leungら,1989)も採
用した。これらのサイクルでは、cDNA反応混合物の
半分を先に記述したように増幅し、残りの半分は100 μ
lのPCR反応混合物〔67 mMTris-HCl (pH 8.8)、16.6
mM (NH4)2SO4、6.1 mM MgCl2、6.7 mM EDTA (pH 8.0)、
0.17 mg/ml BSA、10 mM β-メルカプトエタノール、1%
DMSO、0.2 mM dATP、各1 mMのdCTP、dGTPおよびdTTP、
0.5 mM MnCl2、5 UのTaq DNAポリメラーゼおよ
び0.4 mMの各プライマーを含む〕中で増幅した。反応混
合物を、適切なサイズの産物バンドが生成されるのに必
要なサイクル数だけ、94℃で1.15分間、50℃で1.15分間
および72℃で2.15分間からなる増幅サイクルにかけた。
T7 RNAポリメラーゼを用いた転写に先立って、こ
のPCRによる産物(約0.25μg)を標準的PCRの産物
(約1.0 μg)と混合した。
【0045】第11選択サイクルの後、PCRの産物をIn
vitrogenによって提供されたプロトコールに従って直接
pCRIIベクター(Invitrogen, USA)に連結した。アルカ
リ溶解法によって各クローンからDNAを単離し、Dye
Terminator Sequencing Kit[Applied Biosystems Inc.
(ABI)] を用いてDNAシークエンサー(373A型; ABI)
により配列を決定した。
【0046】〔フィルター結合アッセイ〕異なる選択サ
イクルからのプールRNAの結合活性および各アプタマ
ーの結合活性を評価するため、0.5 μCi/ml [α-32P]CT
Pを用いて内部標識されたRNAを調製した。結合およ
びin vitro転写の条件は、RNAのTatに対するモル
比を1:1(330 nM:330 nM)とした以外は、選択に用い
た条件と同じであった。1mlの結合緩衝液を用いてフィ
ルターを洗浄し、空気乾燥し、イメージアナライザー(B
AS2000)を用いてフィルター上の放射能を定量した。結
合が特異的なことを確実にするために、10倍モル過剰の
tRNAを非特異的競合体として各結合反応に添加し
た。
【0047】〔ゲルシフト競合結合アッセイ〕5’末端
標識化ミニ11G−31 RNAおよびTAR RNA
を最初1:1のモル比で混合した。非標識ミニ11G−
31 RNAおよびTAR RNAを用いて濃度を調製
した後、ミニ11G−31 RNA対TARの種々の比
(1:1から1:200 の範囲)を準備した(40 nM ミニ
11G−31および40〜8,000nMまで徐々に増大する濃
度のTAR RNA)。両方のRNAを94℃で2 分間変
性させ、次に周囲温度で平衡化させた。次にRNAサン
プルを30℃で12時間80 nM REペプチドと結合させ、平
衡点におけるRNA−タンパク質複合体の定量を可能と
した。反応生成物を非変性ゲル上で分離し、2つのRN
Aによって形成された複合体の量を分析した。第11選択
サイクルからの各アプタマーを特徴づけるため、本発明
者らは同様の競合結合アッセイを実施した。このアッセ
イでは、各RNA(10 〜100 nM)を100nM CQペプチド
の存在下で真のTARと競合させた。
【0048】〔ミニ11G−31 RNA二本鎖の合
成〕Tat由来ペプチド(CQ)との効率的結合のため
の11G−31の二重TAR様モチーフの重要性を確立
するために、オリゴリボヌクレオチドの4本の鎖を化学
的に合成し、ミニ11G−31 RNAからループ配列
を削除した後、4つの二本鎖RNAを調製した。それら
の配列は以下の通りである:5’RNAオリゴ(5'-ACG
AAGCUUGAUCCCGAGAC-3' (配列番号3))、3’RNAオ
リゴ (5'-GUCUCGGUCGAUCGCUUCGU-3' (配列番号1
3))、5’△UU RNAオリゴ(5'-ACGAAGCGAUCCC
GAGAC-3' (配列番号14))、および3’△UC RN
Aオリゴ(5'-GUCUCGGGAUCGCUUCGU-3' (配列番号1
5))。これらのオリゴの官能基を確立されたプロトコ
ール(ABIマニュアル)により脱保護し、20% ポリアクリ
ルアミドゲルを用いて精製した。
【0049】
【発明の効果】本発明により、HIV-1のTatタンパク質に
対して、特異的にかつ高い親和性で結合することができ
るRNAが提供された。このRNAは、HIV-1の転写阻害に利
用することができる。
【0050】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:59 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムRNA 配列: GGGUCUCUCU GGUUAGACCA GAUUUGAGCC UGGGAGCUCU CUGGCUAACU AGGGAACCC 59
【0051】配列番号:2 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列: ACGAAGCUUG AUCCCGUUUG CCGGUCGAUC GCUUCGA 37
【0052】配列番号:3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列の特徴: 存在位置:8..9 他の情報:相補鎖が存在しない 存在位置:13..14 他の情報:相補鎖は3'→5'方向にこの位置からのびる一
本鎖RNA「3'-CU-5'」を有する 配列: ACGAAGCUUG AUCCCGAGAC 20
【0053】配列番号:4 配列の長さ:165 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列: GGGAGAAUUC CGACCAGAAG CUUGAUCCCG UUUGCCGGUC GAUCGCUGUA UGUAUCGUUU 60 AAACGAACCU GGAUGUUCCU GUCUUUGCUU UAUGCGUCGU GUUGACCCGA GACUGGGGAA 120 UUCUUUAAUU UCGUGUAGUC AUAUGUGCGU CUACAUGGAU CCUCA
【0054】配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: GGGTTCCCTA GTTAGCCAGA 20
【0055】配列番号:6 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: TTAGTCATCG CTATTACCAT GG 22
【0056】配列番号:7 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: AGGCCTGGAT TCACAGGACG GGTG 24
【0057】配列番号:8 配列の長さ:36 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Cys Phe Thr Thr Lys Ala Leu Gly Ile Ser Tyr Gly Arg Lys Lys Arg 16 Arg Gln Arg Arg Arg Pro Pro Gln Gly Ser Gln Thr His Gln Val Ser 32 Leu Ser Lys Gln 36
【0058】配列番号:9 配列の長さ:38 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg Pro Pro Gln Gly Ser Gln Thr 16 His Gln Val Ser Leu Ser Lys Gln Pro Thr Ser Gln Ser Arg Gly Asp 32 Pro Thr Gly Pro Lys Glu 38
【0059】配列番号:10 配列の長さ:169 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列の特徴: 特徴を表す記号:unsure 存在位置:24..143 配列: GGGAGAAUUC CGACCAGAAG CUUNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN 60 NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN 120 NNNNNNNNNN NNNNNNNNNN NNNCAUAUGU GCGUCUACAU GGAUCCUCA 169
【0060】配列番号:11 配列の長さ:39 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: AGTAATACGA CTCACTATAG GGAGAATTCC GACCAGAAG 39
【0061】配列番号:12 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: TGAGGATCCA TGTAGACGCA CATA 24
【0062】配列番号:13 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列: GUCUCGGUCG AUCGCUUCGU 20
【0063】配列番号:14 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列: ACGAAGCGAU CCCGAGAC 18
【0064】配列番号:15 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成RNA 配列: GUCUCGGGAU CGCUUCGU 18
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uester trans-activator proteins such as Tat and Re
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【図面の簡単な説明】
【図1】in vitro遺伝子選択のスキーム。
【図2】RNAの各クラスの代表的配列および二次構
造。
【図3】AはTat由来ペプチド(CQおよびRE)と
TAR RNAまたはミニ11G−31 RNAとの複
合体の形成。結合反応液は、5’末端標識化RNA(1
5,000 cpm) および5、10、20、40、60、80または100 nM
のTat由来ペプチドを含んでいた。複合体は、20% 非
変性ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動によって
未結合RNAから分離した。(A−1)TAR RNA
およびCQペプチド;(A−2)TAR RNAおよび
REペプチド;(A−3)ミニ11G−31 RNAお
よびCQペプチド;(A−4)ミニ11G−31 RN
AおよびREペプチド。Bは、バルジ欠失変異体、すな
わちミニ11G−31 RNAにおいてバルジ残基を欠
くRNA、とTat由来ペプチド(CQおよびRE)の
間の複合体の形成。(B−1)ミニ11G−31 RN
Aにおいてバルジ残基を欠くRNAおよびCQペプチ
ド;(B−2)ミニ11G−31 RNAにおいてバル
ジ残基を欠くRNAおよびREペプチド。
【図4】競合結合アッセイの結果。5’末端標識化ミニ
11G−31 RNA(20,000cpm) 、非標識化ミニ1
1G−31 RNA(40 nM) および非標識の真のTAR
RNAの種々の濃度(40から8,000 nM)の混合物をRE
ペプチド(80 nM)と30℃で12時間結合させた場合の複合
体の形成。上記混合物を、図3の説明文に述べたよう
に、非変性ゲル上で分画した。
【図5】合成ミニ11G−31 RNA二本鎖。二本鎖
のミニ11G−31 RNAから削除された塩基を四角
で示す。
【図6】Tat由来ペプチドCQと、二本鎖RNA I
(ミニ11G−31)、二本鎖RNA II、二本鎖RN
A III、または二本鎖RNA IV との複合体の形成。反
応混合物は、二重鎖1本またはRNA(1個の標識化R
NA、通常は5’末端標識化オリゴマーおよび非標識化
第2鎖)単独を含んでいるか、または40 nM のCQペプ
チドの存在下にあった。複合体は、20% 非変性ポリアク
リルアミドゲルを用いた電気泳動によって未結合RNA
から分離した。3’△UC RNAオリゴ単独(レーン
1)またはCQペプチド(40 nM)の存在下(レーン
2);二本鎖RNA IV単独(レーン3)またはCQの
存在下(レーン4);3’RNAオリゴ単独(レーン
5)またはCQの存在下(レーン6);二本鎖RNA I
II単独(レーン7)またはCQの存在下(レーン8);
二本鎖RNA II単独(レーン9)またはCQの存在下
(レーン10);二本鎖RNA I単独(レーン11)また
はCQの存在下(レーン12)。大小の矢じりは、二本鎖
RNAとCQペプチドの複合体、および二本鎖RNAを
それぞれ示す。
【図7】HeLa細胞核抽出物における、ミニ11G−31
および真のTAR RNAによる、CMV初期プロモー
ターによって駆動される鋳型からの転写の阻害。CMV
の初期プロモーターを含む鋳型を、100 pmole のTAR
RNAの不在下(レーン1)および存在下(レーン3
および4)、100 pmole のtRNAの存在下(酵母由来
の全tRNA;レーン2)、または100 pmole のミニ1
1G−31の存在下で転写した。一本鎖DNAマーカー
をレーンMにのせた。新しく合成された転写物を矢印で
示す。
【図8】in vitroで合成された転写物(364 nt)の相対
的レベルを、3つの独立した実験で定量した(実験の偏
差を誤差バーで示す)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 諭 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技 術院 生命工学工業技術研究所内 (56)参考文献 特表 平8−501943(JP,A) Gene,Vol.137,No.1 (1993)p.33−39 Nucleic Acids Sym p.Ser.,No.34(1995)p. 145−146 Nucleic Acids Re s.,Vol.25,No.17(1997.S ep.)p.3445−3450 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/11 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) JICSTファイル(JOIS) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト免疫不全ウイルスのトランス活性化
    タンパク質と結合することができ、かつ下記の二次構造
    (I)によって表されるヌクレオチド配列を含むリボ核
    酸。 (構造中、N1aおよびN1bは相補的塩基対形成が可能な少
    なくとも2対の核酸塩基であり、N2aおよびN2bは相補的
    塩基対形成が可能な少なくとも1対の核酸塩基であり、
    N3およびN4はそれぞれ独立に1または2個の核酸塩基で
    あり、N5aおよびN5bは相補的塩基対形成が可能な少なく
    とも1対の核酸塩基であり、N6aおよびN6bは相補的塩基
    対形成が可能な少なくとも1対の核酸塩基であり、N7
    0〜5個の核酸塩基であり、N7が存在しないときには、
    このリボ核酸は二本鎖となり、N6aおよびN6bは相補的塩
    基対形成が可能な少なくとも2対の核酸塩基であり、そ
    して実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  2. 【請求項2】 下記の二次構造(II)によって表されるヌ
    クレオチド配列からなる天然のトランス活性化応答領域
    リボ核酸よりも高い親和性で、ヒト免疫不全ウイルスの
    トランス活性化タンパク質と結合することができる、請
    求項1記載のリボ核酸。 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  3. 【請求項3】 下記の二次構造(II)によって表されるヌ
    クレオチド配列からなる天然のトランス活性化応答領域
    リボ核酸よりも高い特異性で、ヒト免疫不全ウイルスの
    トランス活性化タンパク質と結合することができる、請
    求項1または2記載のリボ核酸。 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  4. 【請求項4】 下記の二次構造(III)によって表される
    ヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のリボ核酸。 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  5. 【請求項5】 下記の二次構造(IV)によって表される二
    本鎖のヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のリボ核
    酸。 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  6. 【請求項6】 下記の二次構造(V)によって表されるヌ
    クレオチド配列からなる、請求項1記載のリボ核酸。 (構造中、実線は核酸塩基間の水素結合を表す。)
  7. 【請求項7】 請求項1記載のリボ核酸を用いて、in v
    itroにおけるヒト免疫不全ウイルスの転写を阻害する方
    法。
  8. 【請求項8】ヒト免疫不全ウイルスを含む細胞に請求項
    1記載のリボ核酸を導入することを含む、請求項7記載
    の方法。
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