JP3143085B2 - アニオン瀝青エマルジョンにおいてアスファルトと骨材との間の接着性を向上させる方法及びその方法に使用される接着促進剤 - Google Patents

アニオン瀝青エマルジョンにおいてアスファルトと骨材との間の接着性を向上させる方法及びその方法に使用される接着促進剤

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JP3143085B2 JP09247080A JP24708097A JP3143085B2 JP 3143085 B2 JP3143085 B2 JP 3143085B2 JP 09247080 A JP09247080 A JP 09247080A JP 24708097 A JP24708097 A JP 24708097A JP 3143085 B2 JP3143085 B2 JP 3143085B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、改質されていな
い生の(straight)瀝青や、スチレンブタジエンラバー
(SBR)、スチレンブロックコポリマ(SBS)、エ
チレンビニルアセテートコポリマ(EVA)などのポリ
マやその他の適当な条件剤(modifier)を用いることによ
って改質された(modified)瀝青から製造される高速硬
化、中速硬化、低速硬化の陰イオン系エマルジョン(以
下、アニオンエマルジョン)に関する。また、この発明
は(ディーゼルオイルや灯油などの)溶剤を用いること
によって、あるいは(SBRラテックスあるいは天然ゴ
ムラテックスなどの)ポリマーラテックスを添加するこ
とによって改質されたエマルジョンに関する。さらに詳
しくは、この発明は、溶剤を含まないか又は溶剤を含ん
だアニオン瀝青エマルジョンにおいて、アスファルトと
骨材(aggregate) の間の接着性を向上させるための改良
された方法に関する。この方法においては、乳化剤とし
て、トール油脂肪酸、強化された(fortified) トール油
脂肪酸、トール油ロジン及び強化されたロジンのアルカ
リ土類塩、クラフトリグニンと非イオン(noninoic)乳化
剤の組合せが使用されている。これらの改良された方法
に用いられている新しい接着促進剤(promoter)は、ポリ
アルキレンポリアミンと、モノマのトール油脂肪酸及び
ポリマのリノレン酸とのポリアミドアミン縮合反応生成
物である。この反応にパラフォルムアルデヒド(parafor
maldehyde)を添加することによって、接着性がさらに改
善される。
【0002】
【従来の技術】舗装作業を行うときには、瀝青と骨材を
完全に混合するために、以下の三つの主な工程が用いら
れる。 (1)流動性に富む加熱されたアスファルト(アスファ
ルトセメント)を予乾燥された骨材と混合する工程。 (2)予乾燥された骨材を、周囲温度か、あるいはそれ
より若干高い温度で炭化水素溶剤で希釈されたアスファ
ルト(カットバックアスファルト、カッターストックな
ど)と混合する工程。 (3)骨材を、乳化剤を加えたアスファルトと水を激し
く撹拌することによって得られたアスファルトエマルジ
ョン(例えば水中油滴エマルジョン)と混合する工程。
【0003】エネルギや炭化水素溶剤のコストが増大し
ていることと、環境への関心が高まっていることが重な
って、道路の舗装工事においては乳化アスファルトの使
用が増えてきている。使用される乳化剤のタイプは、所
望するアスファルトエマルジョンの種類によって決ま
る。高速硬化のエマルジョン(主にチップシーリングに
用いられる)に対しては、トール油のナトリウム石鹸(s
oap)が一般的に利用される。中速硬化のエマルジョン
(未使用の骨材あるいは再生利用のアスファルト舗装材
料のコールドミックス(cold mix)において使用される)
に対しては、一般に、もっと高い濃度のトール油や改質
されたトール油の石鹸が、適切な量の炭化水素溶剤を添
加したり、あるいは添加せずに用いられる。通常、ファ
イングレードの骨材を加えたときに良好な混合安定性を
有する低速硬化エマルジョンは、ビンソル(vinsol)(ウ
ッドロジン製造の副産物)をベースとするか、クラフト
リグニンあるいはリグノスルフォン酸塩と組み合わせた
強化されたトール油ロジンをベースとするか、クラフト
リグニンあるいはリグノスルフォン酸塩をエトキシ化ア
ルキルフェノール、エトキシ化脂肪族直鎖状あるいは分
枝状アルコール及びエチレンオキサイド−プロピレンオ
キサイド−ブロックコポリマから成るクラスからの非イ
オンエマルジョンと組み合わせたものをベースとしてい
る。アニオンエマルジョンにおいては、アスファルト粒
子は、アニオン表面活性剤によって安定化される(電界
を印加すると、それらの負に帯電した表面がアノードの
中へ移動する)。
【0004】高速硬化エマルジョン(主に古くて摩耗し
たコースの修理作業に用いられる)の場合には、エマル
ジョンはすでに存在するコース表面の上へ塗布され、骨
材がその上へ撒かれる。エマルジョンの水分が蒸発した
あとに、良好な荷重耐久性を備えたアスファルトと石が
よく混じった母材が形成される。この道路は、シールを
塗布したあとすぐに車が通れるようになる。一般に、中
速硬化エマルジョンは、道路建設に使用するまえに混和
機の中で骨材と混合される。溶剤を用いると、使用する
まえに混合物を備蓄することができる。混合物は中央の
混合プラントにおいて製造され、工事現場へ輸送される
か、あるいは”現場で”製造される。低速硬化エマルジ
ョンは、良好な浸透及び湿潤が必要なところで用いられ
る。ファイングレード骨材を多く含有し、ベース安定性
及びタックコートを有する混合物が主な種類である。
【0005】アニオンエマルジョンは、マーテンズ(Me
rtens )の米国特許第3,062,829 号に開示されている。
このアニオンエマルジョンは、アスファルト中に自然に
生じる表面活性酸を鹸化するアルカリ水酸化物を使用す
ることによって製造される。これらのエマルジョンは、
粘性低下剤及び接着促進剤として、高分子量のポリアミ
ド(Versene )を含んでいる。マーテンズの米国特許第
3,108,971 号においては、同じタイプのアニオンエマル
ジョンが、親脂性を欠いたアルカノールアミンを添加す
ることによって改善されている。リグニンアミンが、ボ
ーグフェルド(Borgfeldt )の米国特許第3,123,569 号
に開示されている。水素化リチウムを用いた高酸性アス
ファルトから得られる迅速硬化エマルジョンが、マーテ
ンズの米国特許第3,240,716 号に開示されている。モン
トゴメリ(Montgomery)とピッチフォード(Pitchford
)は、米国特許第3,344,082 号において、アニオンエ
マルジョンとして、複雑な多環式芳香族ポリカルボキシ
ル酸のアルカリ金属塩について述べている。ハインツ
(Heinz )は米国特許第3,006,860 号において、トール
油などにおいて見いだされる高脂肪酸のアルカリ金属石
鹸を用いている。ムーラー(Moorer)は米国特許第3,95
6,002 号及び第4,088,505 号において、アルカリリグニ
ンあるいは含酸素アルカリリグニン、アルキルフェノー
ルのエチレンオキサイド付加物、重量で10% までのホウ
酸ナトリウムから成るアニオンエマルジョンについて述
べている。デトロイト(Detroit )は米国特許第4,293,
459 号において、部分的に脱スルホン化された含酸素リ
グノスルホン酸塩(リグノスルホネート)と非イオン表
面活性剤の組合せについて述べている。シリング(Shil
ling)らは、米国特許第4,676,927 号において、マレイ
ン化またはフマル化されたトール油脂肪酸あるいはロジ
ンのアルカリ石鹸、DIACID 1550(商品名)のア
ルカリ石鹸、スルホン化されたトール油脂肪酸のアルカ
リ石鹸を、アニオン高フロート(High float)エマルジ
ョンに対する乳化剤として開示しており、また米国特許
第4,561,901 号において、カルボキシエチル化された改
質されたトール油アミドアミンを、アニオンスラリーシ
ールに対する乳化剤として使用することについて述べて
いる。フェルム(Ferm)は米国特許第3,740,344 号にお
いて、アルキルフェノールのアリルアルキルスルホネー
ト(sulfonucts) と脂肪族アルコールのアリルアルキル
スルホネートの組合せを使用することによって、迅速硬
化のアニオンスラリーシールを製造することを述べてい
る。シュルーダース(Schreuders)は米国特許第3,615,
796 号において、石油スルホン酸塩の使用について述べ
ている。ナトリウムリグネートあるいはリグノスルホネ
ート(リグニンのスルホン酸塩)と、鹸化されたトール
油あるいはロジンの組合せがソマー(Sommer)とエバン
ス(Evans )の米国特許第3,594,201 号に開示されてい
る。米国特許第3,350,321 号において、コン(Conn)
は、アルキルあるいはアルコキシアルキルリン酸塩をア
スファルトに対する乳化剤として使用することを述べて
いる。
【0006】アニオンエマルジョンは、100%活性をベー
スとする0.2 〜10.0% の乳化剤濃度で、好ましくは(pre
ferentially)0.2 〜2%で一般に製造される。pH範囲
は、トール油及びロジン石鹸の場合には7 〜14であり、
好ましくは10〜12である。アニオンエマルジョンの利点
は、トール油をベースとした乳化剤の比較的安いコスト
にある。欠点は、いったんエマルジョンが乾燥して骨材
の表面上にアスファルトのフィルムを形成すると、骨材
に対するアスファルトの結合が弱くなることである。大
部分の骨材は負に帯電しているため、負に帯電したアス
ファルトと負に帯電した石の間の静電気反発作用によっ
て接着が粗悪になる。石英岩や花崗岩、流紋岩、そして
その他の水成岩、変性岩、火成岩の多くなどからなる高
酸性骨材に、従来の瀝青剥離問題の原因があると考えら
れている。この問題は、また、カットバックアスファル
トが使用されているときには、ホットミックスにおいて
も起きる。一般に、道路表面の品質は、化合物(composi
tion) が硬化したあとのアスファルトと骨材との間の結
合強度に依存する。劣悪な施設性能は劣悪な接着のため
であり、結果としてアスファルトが骨材表面から剥がれ
る事態を招く。アスファルトの化合物はまた、水が存在
するときには骨材へのアスファルトの接着性が比較的悪
い。骨材は優先的に水分によって湿らされるため、その
結果として水分が合成物の中へ浸透して骨材へ達し、骨
材とアスファルトの間の結合を邪魔する。こうした剥離
の結果、舗装が剥がれたり、くぼみが形成されたりす
る。
【0007】水分によってアスファルトが石表面から剥
がれる事態を減らすために、多くの場合、アスファルト
に表面活性アミンやジアミンが添加されるのが一般的で
ある。一般に、アスファルトが骨材と混合されるまえ
に、反剥離剤あるいは接着促進剤がアスファルトの中に
導入される。アニオンアスファルトエマルジョンの場合
には、エマルジョンに添加剤を添加して、高pHにおけ
る劣化を防止するのがよい。特許文献には、骨材に対す
るアスファルトの接着性を改善するのに使用できる多数
の化合物が記載されている。これらの中には、長鎖状ア
ルキルトリアミンのエチレンオキサイド縮合物(米国特
許第3,615,797 号)、アルコキシル化アミン及びその塩
(米国特許第3,347,690 号)、オゾン化不飽和脂肪酸の
ポリアルキレンアミンとの反応生成物(米国特許第3,24
6,008 号及び3,245,451 号)が含まれる。他の添加物
は、脂肪族カルボキシルクロマイト(米国特許第3,963,
509 号)、エポキシ樹脂とオニウムのホウ酸塩の組合せ
(米国特許第3,947,395 号)、トール油アルカノールア
ミン及びアミドアミン(米国特許第2,679,462 号及び4,
806,166 号)、アルカノールアミンと組み合わせた脂肪
族エーテルアミン(米国特許第3,928,061 号)、脂肪酸
アミドアミン石鹸(米国特許第2,426,220 号、第2,891,
872 号、第3,230,104 号)をベースとしている。米国特
許第3,861,933 号にはアミノアルキルポリアルコキシレ
ンが開示されている。米国特許第4,639,273 号にはアミ
ンとポリアミンとアミドのフォルムアルデヒドとの縮合
生成物が開示されている。ポリアミンとフォルムアルデ
ヒド及びアルキルフェノールとのマニッヒ(Mannich )
反応生成物が米国特許第4,789,402 号に記載されてお
り、エトキシル化ヘキサメチレン−ジアミン及びそれら
の誘導体が欧州特許願第0,077,632 号(82305420.0)に
開示されている。脂肪族第1、第2、第3アミン及びイ
ミダゾリン、それらの種々の酸(脂肪酸を含む)との反
応生成物、金属石鹸、及びロジン反応生成物を含むそれ
以外のいくつかの化合物が米国特許第3,868,263号に記
載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】こうした改善にもかか
わらず、舗装工事においては、アニオンエマルジョンに
おいて使用したときに効率のよい、ホットミックス及び
カットバックアスファルトで使用する比較的安価な接着
促進剤に対する要求が長年にわたって存在している。従
って、この発明の目的は、アニオン瀝青エマルジョンに
おいてアスファルトと骨材との間の接着性を向上させる
ための改良された方法を提供することである。この発明
の別の目的は、瀝青エマルジョンにおいて使用する改良
された接着促進剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、アニ
オン瀝青エマルジョンにポリアミドアミン接着促進剤を
添加することによって達成することができる。これらの
接着促進剤は、縮合反応においてモノマのトール油脂肪
酸とポリマのリノレン酸とのブレンドをポリアルキレン
ポリアミンと反応させることによって製造される。好ま
しいポリアミドアミン接着促進剤化合物は、縮合反応に
おいてモノマのトール油脂肪酸とポリマのリノレン酸と
のブレンドをポリアルキレンポリアミン及びパラフォル
ムアルデヒドと反応させることによって製造される。ア
スファルトと骨材との間の接着性を強化するためのこれ
らの化合物は、従来の扱いにくい高酸性の骨材といっし
ょに用いたときでも効果的である。これらの化合物を添
加することによって得られる接着促進効果は、主に、そ
の化合物がアスファルトと骨材との境界へ移動する能力
によっている。この化合物は境界において骨材表面を疎
水性にし(hydrophobize)、表面が水を弾くようにする。
また、これらの化合物物はアスファルトの中に導入され
た負の電荷のいくらかを乳化剤のアニオン特性によって
中性化することによって接着性も向上させる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいてこの発
明の実施の形態を説明する。アニオン瀝青(アスファル
ト)エマルジョンにおいてアスファルトと骨材との間の
接着性を向上させるのに有効なポリアミドアミン化合物
は、 A)1)モノマのトール油脂肪酸80〜1 重量%と、 2)ポリマのリノレン酸20〜99重量%と、から成る混合
物50〜80重量%と、 B)ポリアルキレンポリアミン50〜20重量%と、 C)最高10重量%のパラフォルムアルデヒドと、の縮合
反応によって生成される反応生成物である。
【0011】アニオン瀝青エマルジョンにおいてアスフ
ァルトと骨材との間の接着性を向上させるのに有効な好
ましいポリアミドアミン化合物は、 A)1)モノマのトール油脂肪酸60〜1 重量%と、 2)ポリマのリノレン酸40〜99重量%と、から成る混合
物50〜70重量%と、 B)ポリアルキレンポリアミン50〜30重量%と、 C)最高8 重量%のパラフォルムアルデヒドと、の縮合
反応によって生成される反応生成物である。
【0012】アニオン瀝青エマルジョンにおいてアスフ
ァルトと骨材との間の接着性を向上させるための改良さ
れた方法は、これらのポリアミドアミン化合物をエマル
ジョンへ添加することによって実現される。”トール油
脂肪酸”という用語は、天然のトール油(crude tall oi
l)の分溜によって得られる、90% 以上の脂肪酸を含んで
いる製品のクラスを一般に指している。これらの脂肪酸
は主にオレイン酸とリノレン酸の組合せであり、飽和脂
肪酸及び不飽和脂肪酸を少量含んでいる。一般的な不純
物には、ロジンや中性材料が含まれる。モノマのトール
油脂肪酸を製造したりポリマのリノレン酸を製造するた
めの様々な方法が当該分野においては周知のものであ
る。イー・イー・マクスウィーニ(E.E.McSweeney )ら
の著書「トール・オイル・アンド・イッツ・ユーシズ
II(Tall Oil and Its Uses II)」(パルプ・ケミカル
ズ・アソシエーション(Pulp Chemicals Association)
出版、1987)は、これらの方法に関する優れた参考
書である。
【0013】この発明を実現するのに適したポリマのリ
ノレン酸には、C−36ダイマ酸、C−54トリマ酸、
C−72テトラマ酸、及びそれらの組合せが含まれる。
縮合反応に利用されるC−36ダイマ酸、及びC−54
トリマ酸及び/又はC−72テトラマ酸の割合を増大さ
せることによって、アニオン瀝青エマルジョンにおける
アスファルトと骨材との間の接着性をさらに向上させる
ことができる。例えば、より好ましいポリアミドアミン
接着促進剤は、 A)1)モノマのトール油脂肪酸1 〜5 重量%と、 2)C−36ダイマ酸55〜70重量%と、 3)C−54トリマ、C−72テトラマ酸、及びそれら
の組合せから成るグループから選択されたメンバ25〜40
重量%と、から成る混合物50〜80重量%と、 B)ポリアルキレンポリアミン50〜20重量%と、 C)最高10重量%のパラフォルムアルデヒドと、の縮合
反応によって生成される反応生成物である。
【0014】これらの方法において使用するのに適した
ポリアルキレンポリアミンは、約60〜500 の範囲の平均
分子量を有している。こうしたポリアルキレンポリアミ
ンには以下のものが含まれるが、これらに限定されるわ
けではない。すなわち、アミノエチルエタノールアミ
ン、アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、
ヘキサエチレンヘプタミン、ビス−アミノプロピルアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヒドロキシエチルピペラ
ジン、ビス−ヘキサメチレントリアミン、及びそれらの
組合せである。
【0015】縮合反応にパラフォルムアルデヒドを含め
ると、得られるポリアミドアミン化合物の分子量に主と
して影響が及ぼされる。例えば、縮合反応においてまっ
たくパラフォルムアルデヒドを用いない場合には、得ら
れるポリアミドアミン反応生成物は、この方法において
使用するのに適した2,500 以下の平均分子量を有してい
るはずである。しかし、縮合反応にパラフォルムアルデ
ヒドを含めると、得られるポリアミドアミン反応生成物
は、もっと大きな平均分子量になり得る(そして、機能
不能な(inoperable)ゲルの形成によってのみ制限され
る)。
【0016】実施のためには、液体の形をした接着促進
剤を製造するのが好ましい。従って、ある調合物の粘性
を、溶剤を添加することによって調節する必要があるか
もしれない(十分、技術者の能力の範囲内のプロセスで
ある)。この方法で使用するのに適した溶剤には以下の
ものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
アルカノールアミン、及びそれらの組合せである。溶剤
として使用するのに適したアルカノールアミンには、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、及びそれらの組合せなどが含まれる。
【0017】アニオンアスファルトエマルジョンに対す
る粘性低下剤及び接着改善剤として、ジリノレン酸のあ
るポリアミド(商品名「VERSAMIDES」としてゼネラル・
ミルズ・インコーポレーテッド(General Mills, Inc.
)によって製造されているポリアミド)を利用するこ
とが、ライト(Wright)とマーテンズの米国特許第3,6
2,829号に記載されている。しかし、これらの生成物は
分子量の範囲が3,000 〜6,500 であることに留意すべき
である。また、こうした生成物は、a)溶融したアスフ
ァルトへ添加してから乳化される必要があったり、b)
酸価が約85になるように調節し、連続した水相への添加
に先だってアルカリに溶解させてから乳化される必要が
ある。
【0018】これに対して、この発明によるダイマ酸誘
導の接着促進剤は、分子量と前駆物質であるダイマ化さ
れた脂肪酸におけるカルボキシル基の数とに基づく過剰
なポリアミンを用いて得られた完全に反応したダイマ酸
アミドアミンである。それらの酸価は10以下であり、ア
ルカリに溶けない。さらに、平均分子量はベルサミド−
ポリアミド(Versamide-polyamides)のそれよりもかなり
小さい(2,500 以下)。これらの特性により、仕上がっ
たエマルジョンを骨材に塗布するまえにこの促進剤へ添
加することが可能になり、従ってより融通がきくことに
なる。以下の実施例は、この発明をさらに説明するため
のものであり、如何なる意味においてもこの発明を制限
するものではない。
【0019】実施例1 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップ(Dean Stark trap )を有する還流凝縮器を
備えた清浄な2 リットルの三口フラスコに、(トリエチ
レンテトラミンとアミノエチルピペラジンとを主体とし
て成る)ポリアミンブレンドと、DIMER 1500
(ダイマ酸と、トリマ酸と、少量のテトラマ酸とから成
る、ウエストバコ・インコーポレーテッド(Westvaco,
Inc.)から入手可能なポリマのリノレン酸ブレンド)と
が、それぞれ重量で100 部及び100 〜150 部の割合で投
入された。縮合のすべての水分が回収されるまで(3 〜
6 時間)、反応物が240 〜260 ℃に加熱された。得られ
たポリアミドアミン化合物は120 ℃まで冷却され、排出
された。(もし、同じ化合物でもっと粘性が小さいもの
を希望する場合には、この温度で生成物を十分な量のエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはト
リエタノールアミンで希釈する。)得られた接着促進剤
を以下AP#1と呼ぶことにする。
【0020】実施例2 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、テトラエチレンペンタミンと、D
IMER 1500(ダイマ酸と、トリマ酸と、少量の
テトラマ酸とから成る、ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なポリマのリノレン酸ブレンド)と
が、それぞれ重量で100 部及び100 〜150 部の割合で投
入された。縮合のすべての水分が回収されるまで(3 〜
6 時間)、反応物が240 〜260 ℃に加熱された。得られ
たポリアミドアミン化合物は120 ℃まで冷却され、排出
された。得られた接着促進剤を以下AP#2と呼ぶこと
にする。
【0021】実施例3 この実施例は、ジョージアの花崗岩質の骨材、あるいは
サウスカロライナの石英岩の川砂利と組み合わせてトー
ル油(M28B)のナトリウム石鹸を用いて製造したア
ニオンエマルジョンにおいて上述した接着促進剤を用い
たこの発明の方法を示している。エマルジョンは、pH
11.5の0.8%トール油石鹸(エマルジョン重量をベースと
して)を用いて、65% アスファルト残留で、Amoco
EB−20アスファルトあるいはEXXON 120
/150浸透アスファルトから製造された。エマルジョ
ンは140 ℃まで冷却された。この温度において、接着促
進剤(エマルジョン重量をベースとして一般に0.3%)が
エマルジョンへ添加され、少なくとも1時間この温度に
維持された。次に、これが4.75mmあるいは2.83mm(米国
標準シーブNo.4あるいは8)のシーブに保持された
骨材と混合された。骨材を均一にコーティングするのに
十分なエマルジョンが使用された。この混合物は周囲温
度で2 日間乾燥された。各接着促進剤の性能を決定する
ために、硬化した混合物をバスケット内に入れ、バスケ
ットを10分間、沸騰水の中に入れた。バスケットを取り
除いたあと、骨材はきれいなペーパータオルの上に広げ
られ、冷却された。冷水を満たした浅いガラスパンの中
にサンプルを入れ、コーティングされた骨材の表面を60
ワットのランプで照明することによって、骨材の上に保
持されているアスファルトコーティングの割合を目視で
判断した。この結果を、以下の、花崗岩及び石英岩を用
いたアニオンアスファルトエマルジョンにおける接着促
進剤の評価に関する表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1に示されている結果は、ここに記載さ
れている新しい接着促進剤を使用した方法では、特に従
来の接着促進剤と比べたときに、効率が向上しているこ
とを明瞭に示している。
【0024】実施例4 INDULIN AS(ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なアミドアミンをベースとしたトー
ル油脂肪酸)を用いて製造した低速硬化アニオンエマル
ジョンにおいてDimer 1500から製造したこの
発明の接着促進剤の効率を示すために、上の実施例3で
述べた評価手続きを用いて一連の試験を行った。エマル
ジョンは、11.5のpHと60% 残留で、AC−20アスフ
ァルト(ニュー・メキシコ(New Mexico)から入手し
た)及びAMOCO EB−20アスファルトの両方を
用いて製造された。乳化剤濃度は3%であった。結果を、
以下の、花崗岩あるいは石英岩を用いた低速硬化アニオ
ンアスファルトエマルジョンにおける接着促進剤の評価
に関する表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2に記載されている結果は、ここで述べ
た新しい接着促進剤を用いた方法の効率を明瞭に示して
いる。INDULIN ASを用いて製造した低速硬化
のアニオンエマルジョンは、花崗岩や石英岩などの非常
に反応性の高い骨材を用いたとき一般に非常に良好な混
合安定性を示している。しかし、乾燥した混合物に対し
て沸騰水試験を行ったとき、骨材の上にアスファルトコ
ーティングを保持することは非常に困難である。
【0027】実施例5 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、トリエチレンテトラミンとアミノ
エチルピペラジンとを主体として成るポリアミンブレン
ドと、DTC−195(ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なトール油約5%及びダイマ/トリマ
酸約95%を含むブレンド)とが、それぞれ重量で100 部
及び150 部の割合で投入された。縮合のすべての水分が
回収されるまで(2 〜4 時間)反応混合物が240 〜260
℃に加熱され、この温度に維持された。生成物は120 ℃
まで冷却され、排出された。得られた接着促進剤を以下
AP#3と呼ぶことにする。
【0028】実施例6 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、トリエチレンテトラミンとアミノ
エチルピペラジンとを主体として成るポリアミンブレン
ドと、DTC−155(ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なトール油約50% およびダイマ/ト
リマ酸約50% を含むブレンド)とが、それぞれ重量で10
0 部及び125 部の割合で投入された。縮合のすべての水
分が回収されるまで(2 〜4 時間)反応混合物が240 〜
260 ℃に加熱され、この温度に維持された。生成物は12
0 ℃まで冷却され、排出された。得られた接着促進剤を
以下AP#4と呼ぶことにする。
【0029】実施例7 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、トリエチレンテトラミンとアミノ
エチルピペラジンとを主体として成るポリアミンブレン
ドと、DTC−155(ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なトール油約50% 及びダイマ/トリ
マ酸約50% を含むブレンド)と、パラフォルムアルデヒ
ドとが、それぞれ重量で100 部、150 部及び15部の割合
で投入された。縮合のすべての水分が回収されるまで
(2〜4 時間)反応混合物が240 〜260 ℃に加熱され、
この温度に維持された。生成物は120 ℃まで冷却され、
排出された。得られた接着促進剤を以下AP#5と呼ぶ
ことにする。
【0030】実施例8 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、トリエチレンテトラミンとアミノ
エチルピペラジンとを主体として成るポリアミンブレン
ドと、DTC−155(ウエストバコ・インコーポレー
テッドから入手可能なトール油約50% 及びダイマ/トリ
マ酸約50% を含むブレンド)と、パラフォルムアルデヒ
ドとが、それぞれ重量で100 部、150 部及び10部の割合
で投入された。縮合のすべての水分が回収されるまで
(2〜4 時間)反応混合物が240 〜260 ℃に加熱され、
この温度に維持された。生成物は120 ℃まで冷却され、
排出された。得られた接着促進剤を以下AP#6と呼ぶ
ことにする。
【0031】実施例9 ポリアミドアミン接着促進剤を以下の方法を用いて製造
した。撹拌機と、サーモメータと、ディーン・スターク
・トラップを有する還流凝縮器を備えた清浄な2 リット
ルの三口フラスコに、トリエチレンテトラミンとアミノ
エチルピペラジンとを主体として成るポリアミンブレン
ドと、L−5(ウエストバコ・インコーポレーテッドか
ら入手可能なトール油脂肪酸ブレンド)と、DTC−1
55(ウエストバコ・インコーポレーテッドから入手可
能なトール油約50% 及びダイマ/トリマ酸約50% を含む
ブレンド)と、パラフォルムアルデヒドとが、それぞれ
重量で100 部、50部、150 部及び10部の割合で投入され
た。縮合のすべての水分が回収されるまで(2 〜4 時
間)反応混合物が240 〜260 ℃に加熱され、この温度に
維持された。生成物は120 ℃まで冷却され、排出され
た。得られた接着促進剤を以下AP#7と呼ぶことにす
る。
【0032】実施例10 花崗岩及び石英岩川砂利と組み合わせてExxon12
5/150浸透アスファルトから製造したエマルジョン
の中で評価したこの発明の接着促進剤の改善された性能
を示すために、上の例3で述べた評価手続きを用いて一
連の試験を行った。この結果を、以下の花崗岩及び石英
岩川砂利と組み合わせたアニオンアスファルトエマルジ
ョンにおける接着促進剤の評価に関する表3に要約す
る。
【0033】
【表3】
【0034】表3に記載されている結果は、ここで述べ
た新しい接着促進剤を用いた方法の効率を明瞭に示して
いる。パラフォルムアルデヒドを含めて(これによって
エマルジョンを困難な石英岩川砂利と組み合わせたとき
にこれらの促進剤は非常に効率がよくなる)製造したア
ミドアミンの性能が改善されていることに留意すべきで
ある。ここに開示されている新しい接着促進剤は、アス
ファルト/骨材調合物に用いられている従来の接着促進
剤に比べて優れた結果を達成していることは明かであ
る。この発明の多くの修正及び変形は、上述した説明を
考慮すれば当該分野の技術者には明瞭であろう。この発
明の範囲は上述した説明によって制限されることはな
く、添付されている特許請求の範囲によって決まるもの
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 61/32 C08L 61/32 77/08 77/08 (56)参考文献 特開 平5−156004(JP,A) 特開 平4−236225(JP,A) 特開 昭60−13848(JP,A) 特開 昭59−78259(JP,A) 特開 昭57−195776(JP,A) 米国特許5160453(US,A) 米国特許4639273(US,A) 欧州特許出願公開113492(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 95/00 C08G 12/06 - 12/08 C08G 69/34 C08G 69/50 C08K 3/00 - 3/40 C08L 61/32 C08L 77/06 - 77/08 CA(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン瀝青エマルジョンにおいてアス
    ファルトと骨材との間の接着性を向上させる方法であっ
    て、 A)1)モノマのトール油脂肪酸80〜1重量%と、 2)ポリマのリノレン酸20〜99重量%と、 から成る混合物50〜80重量%と、 B)60〜500の範囲の平均分子量を有するポリアルキレ
    ンポリアミン50〜20重量%と、 C)最高10重量%のパラフォルムアルデヒドと、 のポリアミドアミン縮合反応生成物から成る接着促進剤
    をエマルジョンへ添加する段階を有する方法。
  2. 【請求項2】 前記接着促進剤が、 A)1)モノマのトール油脂肪酸60〜1重量%と、 2)ポリマのリノレン酸40〜99重量%と、 から成る混合物50〜70重量%と、 B)60〜500の範囲の平均分子量を有するポリアルキレ
    ンポリアミン50〜30重量%と、 C)最高8重量%のパラフォルムアルデヒドと、 のポリアミドアミン縮合反応物から成る請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 前記接着促進剤が A)1)モノマのトール油脂肪酸1〜5重量%と、 2)C−36ダイマ酸55〜70重量%と、 3)C−54トリマ酸、C−72テトラマ酸、及びそれ
    らの組合せから成るグループから選択されたメンバ25〜
    40重量%と、 から成る混合物50〜80重量%と、 B)60〜500の範囲の平均分子量を有するポリアルキレ
    ンポリアミン50〜20重量%と、 C)最高10重量%のパラフォルムアルデヒドと、 のポリアミドアミン縮合反応物から成る請求項1記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 前記ポリマのリノレン酸が、C−36ダ
    イマ酸、C−54トリマ酸、C−72テトラマ酸、及
    それらの組合せから成るグループから選択されたメンバ
    である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記ポリアルキレンポリアミンが、アミ
    ノエチルエタノールアミン、アミノエチルピペラジン、
    ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テト
    ラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ビ
    ス−アミノプロピルアミン、ペンタメチレンジアミン、
    ヒドロキシエチルピペラジン、ビス−ヘキサメチレント
    リアミン、及びそれらの組合せから成るグループから選
    択されたメンバである請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】前記接着促進剤が、エチレングリコール、
    ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロ
    ピレングリコール、アルカノールアミン、及びそれらの
    組合せから成るグループから選択された溶剤の中に分散
    されている請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記アルカノールアミンが、モノエタノ
    ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
    ン、及びそれらの組合せから成るグループから選択され
    たメンバである請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 アニオン瀝青エマルジョンにおいてアス
    ファルトと骨材との間の接着性を向上させるための接着
    促進剤であって、 A)1)モノマのトール油脂肪酸80〜1 重量%と、 2)ポリマのリノレン酸20〜99重量%と、 から成る混合物50〜80重量%と、 B)60〜500 の範囲の平均分子量を有するポリアルキレ
    ンポリアミン50〜20重量%と、 C)最高10重量%のパラフォルムアルデヒドと、 のポリアミドアミン縮合反応生成物から成る接着促進
  9. 【請求項9】 前記縮合反応にパラフォルムアルデヒド
    が含まれていない請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 アニオン瀝青エマルジョンにおいてア
    スファルトと骨材との間の接着性を向上させるための接
    着促進剤であって、 A)1)モノマのトール油脂肪酸80〜1 重量%と、 2)ポリマのリノレン酸20〜99重量%と、 から成る混合物50〜80重量%と、 B)60〜500 の範囲の平均分子量を有するポリアルキレ
    ンポリアミン50〜20重量%と、 のポリアミドアミン縮合反応生成物から成る接着促進
  11. 【請求項11】 2,500 以下の平均分子量を有する請求
    項10記載の接着促進剤
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