JP3140546B2 - 光磁界測定装置及び方法 - Google Patents

光磁界測定装置及び方法

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JP3140546B2
JP3140546B2 JP04081398A JP8139892A JP3140546B2 JP 3140546 B2 JP3140546 B2 JP 3140546B2 JP 04081398 A JP04081398 A JP 04081398A JP 8139892 A JP8139892 A JP 8139892A JP 3140546 B2 JP3140546 B2 JP 3140546B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、送電線、配電線の電流
を測定するのに好適な光磁界(電流)測定装置及び光磁
界(電流)測定方法に関し、更に詳細には、センサ部の
構造が極めて簡単であり且つ使用温度に依存しない新規
な光磁界測定装置及び光磁界測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】光磁界
センサは、光を媒体としているために、絶縁性が良好で
あり、電磁誘導の影響を受けないという特徴を持ち、送
電線の電流測定等に使用されている。図6に従来用いら
れていた磁界測定装置の一例を示す。この装置の光学系
は磁気光学素子1、光ファイバ2、2’コリメータレン
ズ3、3’、偏光子17、検光子18から構成されてい
る。光源4から射出した光はコリメータレンズ3により
平行ビームになり、偏光子17を透過して直線偏光にな
る。磁気光学素子1に磁界が印加されるとファラデー効
果によりこの直線偏光の偏光面が磁界の強度に比例して
回転する。この光が検光子18を透過すると偏光面の角
度により光量が変化し、コリメータレンズ3’により光
ファイバ2’へ集光され、受光素子19により検出され
る。ここで、検光子を通過した光の磁界周波数ωで振動
する光成分の光強度I(ω) と直流成分に相当する光成分
の光強度I0 との比は、 I(ω) /IO =2Vr LHω (式中、Hωは周波数ωで振動する被測定体の交流磁界
強度、Vr はファラデー素子のヴェルデ定数、Lはファ
ラデー素子の厚さ)により表され、磁界の強度HωはI
(ω) /IO を観測することによって簡単に求められ
る。
【0003】しかしながら、このような従来の磁界測定
装置は、磁気光学素子の両側に偏光子及び検光子を配置
する必要があり、センサ自体の構造が複雑化するという
欠点があった。また、磁気光学素子のヴェルデ定数Vr
は温度の関数であるので測定環境を一定にしなければな
らないという問題もあった。
【0004】別の従来の磁界測定装置として、例えば、
特開平1−223359号に記載されたような光電流・
磁界測定装置が知られている。この装置では、センサヘ
ッドのファラデー素子に、測定する交流磁界とは異なる
一定のバイアス磁界を別に加え、ファラデー回転子を透
過する光の該交流磁界と同一の角周波数成分(Eω)及
び該交流磁界の2倍の角周波数成分(E2ω)をそれぞ
れ取り出し、該同一の角周波数成分(Eω)に対する該
2倍の角周波数成分(E2ω)の相対値を求めることに
よって磁界を測定している。この技術では、上記の技術
とは異なり、温度の関数であるVr とは無関係に磁界強
度を知ることができるという利点があった。
【0005】しかしながら、特開平1−223359号
の磁界測定装置も、前記の従来の技術と同様に磁気光学
素子の両側に偏光子及び検光子を配置する必要があり、
さらに、バイアス磁界印加手段も必要とするのでセンサ
の構造は一層複雑化するという欠点があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、偏光子及び検光
子を必要としない簡単な構造を有する新規な光磁界測定
装置及び方法を提供することにある。また、本発明は、
偏光子及び検光子並びにバイアス印加手段をも必要とせ
ずに、送電線等の磁界を測定する装置及び方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意、検討研究した結果、回折現象を利
用した新規な磁気光学素子を用いることによって、偏光
子及び検光子を必要としない構造が簡単な光磁界測定装
置並びに該装置を用いる新規な磁界測定方法を開発する
ことに成功した。
【0008】すなわち本発明は、磁界を印加しない状態
では多磁区構造を有し且つ磁区内の光の進行方向と平行
な磁化成分が隣接する磁区では互いに異なる磁気光学素
子と、該素子に光を入射するための発光手段と、該磁気
光学素子を通過した0次回折光のうち被磁界測定体の磁
界周波数ωの2倍の周波数で振動する光成分の光強度I
(2ω) 及び該0次回折光のうちの直流成分に相当する光
成分の光強度IO とを求める手段と、比I(2ω) /IO
を求める手段とを有する光磁界測定装置である。
【0009】また、本発明の別の態様に従えば、本発明
は、磁界を発生する被磁界測定体の近傍において、磁界
を印加しない状態では多磁区構造を有し且つ磁区内の光
の進行方向と平行な磁化成分が隣接する磁区では互いに
異なる磁気光学素子に、光を入射させ、前記磁気光学素
子を通過した回折光のうち、0次回折光のみを取り出
し、該0次回折光のうち被磁界測定体の磁界周波数ωの
2倍の周波数2ωで振動する光成分の光強度I(2ω) 及
び直流成分に相当する光成分の光強度IO とをそれぞれ
測定し、それらの比I(2ω) /IO を求めることによっ
て被磁界測定体の磁界を測定する方法である。
【0010】本発明の別の態様に従えば、本発明は、磁
界を印加しない状態では多磁区構造を有し且つ磁区内の
光の進行方向と平行な磁化成分が隣接する磁区では互い
に異なる磁気光学素子と、該素子に光を入射するための
発光手段と、上記磁気光学手段に一定のバイアス磁界を
加える磁界印加手段と、該磁気光学素子を通過した0次
回折光のうち被磁界測定体の磁界周波数ωで振動する光
成分の光強度I(ω) と、その2倍の周波数2ωで振動す
る光成分の光強度I(2ω) とを測定する手段と、比I(2
ω) /I(ω) を求める手段とを有する光磁界測定装置で
ある。
【0011】本発明の別の態様に従えば、本発明は、磁
界を発生する被磁界測定体の近傍において、磁界を印加
しない状態では多磁区構造を有し且つ磁区内の光の進行
方向と平行な磁化成分が隣接する磁区では互いに異なる
磁気光学素子に、一定のバイアス磁界を印加しながら光
を入射させ、前記磁気光学素子を通過した回折光のう
ち、0次回折光のみを取り出し、該0次回折光のうち被
磁界測定体の磁界周波数ωで振動する光成分の光強度I
(ω) とその2倍の周波数で振動する光成分の光強度I
(2ω) をそれぞれ測定し、それらの比I(2ω) /I(ω)
を求めることによって被測定体の磁界強度を測定する方
法である。
【0012】本発明に用いる磁気光学素子は、磁界を印
加しないときに、多磁区構造を有する材料であって、図
3に示すように、入射光の進行方向に対する磁化ベクト
ル成分が隣接する磁区で互いに異なるように配置され
る。例えば、Biを多量置換した磁性ガーネット材料
は、通常、垂直磁化であり、同図のような多磁区構造を
有している。このような多磁区構造に、磁化方向と平行
な直線偏光の光が入射すると、ファラデー効果により偏
波面が回転し、磁化が光の進行方向と同じ向きである磁
区では光の偏波面は+θf 回転し、一方、逆向きの磁化
である磁区では−θf 回転する。このように磁区の場所
により偏波面の回転角が異なってくるため、回折が生じ
ることになる。このような多磁区構造は飽和磁界より小
さい磁界が印加されている場合に残存しており、ここに
光が入射すると、多磁区構造は回折格子として作用して
入射光の一部を回折する。その結果、検出光は回折損失
を生じることになる。ここで、回折損失が生じることに
よって回折次数nがn=0次光、すなわち直進光の光強
度Iは、実測値を良好に再現する近似式である下記
(1)式によって表される:
【数1】 I=PO (cos2 θf +(H/Hs2 sin2 θf )・・・(1) (式中、θf は飽和ファラデー回転角、Hは外部磁界、
s は飽和磁界、PO は飽和磁界以上のときの光強度、
|H|≦Hsである) なお、|H|>HsではI=PO である。従って、磁気
光学素子からの0次回折光強度Iを観測することによ
り、外部磁界Hが求められることになる。
【0013】磁気光学素子の入射光に対する配置は、図
3に示すように、隣接する磁区内の磁化方向が入射光と
平行であり且つ互いに平行であることが好ましいが、垂
直磁化を有する磁気光学素子自体を入射光に対して斜め
の配置にすることもできる。また、光減衰量の調節等の
目的で磁気光学素子を複数枚重ね合わせて使用すること
もできる。
【0014】上記のような磁界を印加しない状態で多磁
区構造を有する材料としては、例えば、LPE法等によ
り作製したBi置換稀土類鉄ガーネット材料、稀土類鉄
ガーネット、オルソフェライト等を挙げることができる
が、特にこれらに限定されず、本発明の目的を達成でき
る範囲内で多磁区構造を有する種々の材料を用いること
ができる。これらの材料を、磁化容易軸が面と垂直な方
向となるように切り出すことによって、一般に、垂直磁
化の薄膜が得られ、本発明の素子として用いることがで
きる。特に、LPE法により作製したBi置換稀土類鉄
ガーネット膜の場合は、成長誘導磁気異方性により特別
の処理をしなくてもそのままで垂直磁化性を有してお
り、本発明の目的を達成する上で好ましい。しかも、こ
のBi置換稀土類鉄ガーネット材料はファラデー回転能
が大きいため、薄い厚さで大きな回折損失が得られると
いう点からも好適である。
【0015】本発明の第1の態様である光磁界測定装置
の一具体例を図1に示す。磁気光学素子1、該素子に光
を入射するための発光手段4と、コリメータレンズ3、
3’と、該0次回折光を受光して電気信号に変換する受
光手段19と被測定体の磁界周波数ωの2倍の周波数で
振動する光成分の光強度を測定する手段5と、該0次回
折光のうちの直流成分に相当する光成分の光強度IO
求める手段6と前記I(2ω) との比I(2ω) /IO を求
める手段7を有する。手段5として、磁界周波数ωの2
倍の周波数で振動する光成分の光強度I(2ω) を、受光
手段19を通じて電気信号強度I'(2 ω) として測定す
る手段が便利である。同様に手段6として該0次回折光
のうちの直流成分に相当する光成分の光強度IO を、受
光手段19を通じて電気信号強度I'Oとして測定する手
段が便利である。図中、2及び2’は光ファイバであ
る。0次回折光のみを取り出すには、光ファイバ2’内
にn≠0次光の回折光が入射しないように配置すればよ
く、例えば、光ファイバ2,2’としてシングルモード
ファイバを用い、コリメータレンズ3,3’により平行
ビーム光学系とすることにより実現できる。発光素子と
しては、例えば、レーザ、LED等が挙げられるが、特
にこれらに限定されず種々の光源を用いることができ
る。また、比I(2ω) /IO を求める手段7としては、
例えば、割算回路を用いることができる。
【0016】このような装置を、被磁界測定体である電
線ケーブル8の近傍に設置して、以下のような操作によ
って磁界を測定する。最初に、発光素子4から光ファイ
バ等を通じて光を磁気光学素子1に入射させ、前記磁気
光学素子を通過した回折光のうち、0次回折光のみをコ
リメータレンズ3’を通じて光ファイバ2’へ取り出
し、受光素子により電気信号に変換する。次いでこの電
気信号のうち被測定体の磁界周波数ωの2倍の周波数成
分の強度I(2ω) 及び直流成分に相当する強度IO
を、それぞれ、周波数成分検出器5及び6に入力させて
電気信号として観測する。次いでそれらの信号を割算器
7によってそれらの比k=I(2ω) /IO 並びに下記式
(2)で表されるHωを算出させる。
【数2】 Hω=(HS /tan θf )・√{2k/(1−k)} ・・・(2) (式中、Hωは被測定体の磁界強度、HS は磁気光学素
子の飽和磁界、θf は飽和ファラデー回転角である)。
【0017】kを算出して式(2)により被測定体の磁
界強度Hωが導かれることを以下に示す。被測定体であ
る送電線等の電流から生ずる磁気光学素子における磁界
Hは、次式で表される:
【数3】H=Hωsinωt・・・・・(3) (式中、ωは送電線の交流電場の周波数であり、Hωは
磁界の振幅である) (3)式を(1)式に代入して次式を得る。
【数4】 I=IO −I(2ω) cos2ωt・・・・・(6) ここに、IO =PO (cos2 θf +(Hω2 /2
S 2)sin2 θf ) I(2ω) =PO (Hω2 /2HS 2)sin2 θf であ
る。 k=I(2ω) /IO としてHωを求めると、下記(2)
式を得る。
【数5】 Hω=(HS /tan θf )・√{2k/(1−k)}・・・(2)
【0018】(2)式は、k≪1の場合は、Hω≒(H
S /tan θf )√(2k)のように一層簡単になる。こ
こで温度に対して安定にHωを測定するためには(HS
/tan θf )の温度依存性を小さくすればよい。温度を
Tとして、
【0019】
【数6】
【0020】例えば、組成Bi1.51.5 Fe512
磁気光学素子では、
【数7】 このように材料組成とファラデー回転角θf (すなわち
厚さ)を適宜調整することにより、磁気光学素子を周囲
温度に依存しないようにすることができる。
【0021】この本発明の方法及び装置は、従来技術に
比べて偏光子及び検光子を必要とせず、さらに特開平1
−223359号の技術のようなバイアス磁界を印加す
ることなく装置の温度依存性を解消することができるた
め、磁界の測定が一層容易である。また、装置自体を一
層簡略にすることができる。
【0022】次に、本発明の第2の態様に従う光磁界測
定装置の一具体例を図4に示す。同図は、図1の本発明
の光磁界測定装置において、磁気光学素子1の両側に磁
界印加手段9を設置し、図1の装置のIO の代わりにI
(ω) を測定する装置を、また、比I(2ω) /IO を算
出する手段の代わりに比I(2ω) /I(ω) を求める手段
を設置した以外は図1と同様の装置である。ここで、磁
界印加手段としては、例えば、円筒状永久磁石、コイル
等を用いることができるが、特にそれらに限定されず磁
気光学素子1に一定の磁界を印加することができる手段
ならば種々のものを用いることができる。I(ω) を測定
する装置としては、例えば、I(2ω) と同様に周波数成
分検出器を、比I(2ω) /I(ω) を算出する装置として
は、例えば、割算器を用いることができる。
【0023】図4に示すような装置を被磁界測定体であ
る電線ケーブル8の近傍に設置して磁界を測定する。磁
界の測定方法は、図1に示した装置の場合と基本的に同
様であるが、この方法においては、磁界印加手段によっ
て磁気光学素子に一定の磁界を印加しながら磁気光学素
子からの0次回折光を観測する。ここで観測する回折光
の光成分として、被測定体である送電線の電圧の周波数
ωで振動する光成分とその2倍の周波数2ωで振動する
光成分の光の強度I(ω) 及びI(2ω) をそれぞれ測定す
る。そして下記式(5):
【数8】 Hω=(4I(2ω) /I(ω) )Hb ・・・・・(5) (式中、Hbはバイアス磁界強度である) を用いて送電線の磁界強度Hωを算出することができ
る。式(5)を用いる磁界Hωの算出原理を以下に説明
する。この場合、バイアス磁界が被磁界測定体からの磁
界とは別に磁気光学素子に印加されているので、磁気光
学素子が受ける磁界は全体として次のようになる。
【数9】H=Hb+Hωsinωt この磁界Hを、0次回折光強度を求める式(1)に代入
して下記式(4)を得る。
【数10】 I=IO +I(ω) sinωt−I(2ω) cos2ωt・・・(4) ここで、
【数11】 IO =PO (cos2 θf +{(Hb2 +Hω2 /2)/HS 2}sin2 θf I(ω) =PO (2HbHω/HS 2)sin2 θf I(2ω) =PO (Hω2 /2HS 2)sin2 θf そしてI(ω) とI(2ω) の比を計算すると、I(ω) /I
(2ω) =4Hb/Hωとなり、上記(5)式が求まる。
【0024】このようにHωは、I(2ω) /I(ω) 、H
bから求めることができ、(5)式は、θf 、Hsを含
まないため、磁気光学素子の温度特性にまったく依存せ
ず、Hωを安定に測定できる。但し、Hb自体の温度依
存性を充分小さくしておく必要がある。なお、測定可能
な磁界Hωの範囲はHω<Hs−Hbである。
【0025】本発明の光磁界測定装置及び方法を図1及
び図4を用いて説明してきたが、磁気光学素子、発光手
段及び受光手段等の配置はそれらの図に限定されること
なく種々の配置を採用することができる。例えば、磁気
光学素子の一端に鏡を密着配置または隔離配置して入射
光を鏡により入射方向に戻すことも可能である。また、
図5に示すように、磁界測定装置の検光部において、反
射鏡を備えたガラスプリズム12を設置したような配置
も可能である。図5では、光ファイバから出射した光は
コリメータレンズ3で平行ビームとなり、反射膜14で
反射され、磁気光学素子1を透過後、反射鏡13で反射
される。反射光はほぼ同じ光路を通り、コリメータレン
ズ3により光ファイバ2’に集光される。また、磁気光
学素子は1枚に限らず複数枚を重ねて光の進行方向に配
置することもできる。以下に、本発明の実施例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
【実施例】実施例1 図2に示すような本発明の光磁界測定装置を作製した。
同図の装置では、磁気光学素子1として、厚さが80μ
mのLPE法により作製した組成Bi1.51. 5 Fe5
12の光学素子を用いた。この素子の一端に反射膜14
を蒸着法により形成した。もう一方の端部に、接着層1
5である紫外線硬化樹脂を介してレンズ(SML)を付
着した。このレンズのもう一方の側にガラス管で支持し
た入射用及び射出用の光ファイバをそれぞれ装着し、こ
のガラス管及び光ファイバ部分を同図に示すようにSU
Sスリーブにより包囲した。発光源として波長が1.3
μmのLED光を用いた(図示しない)。また受光素子
としてフォトダイオードを用いて(図示しない)、そし
て被磁界測定体の周波数ω、2ω及び直流成分に対応す
る光の強度I(ω) 、I(2ω) 及びIO をそれぞれ周波数
成分検出器を用いて観測した。さらに磁気光学素子に磁
界を印加する手段9としてコイルを、同図に示すように
かかる素子の両側に配置した。
【0027】(1)バイアス磁界がない場合の磁界測定 図2の装置に磁界印加手段9により50Hzの外部磁界
を印加して、光の強度I(2ω) 及びIO を測定し、k=
I(2ω) /IO を測定した。Hωが小さいとき、外部磁
界の振幅Hωとkの関係式(2)から次のように求めら
れた。
【数12】Hω(Oe)=3150×√k この関係は周囲の温度によってもほとんど変化しないこ
とがわかった。
【0028】(2)バイアス磁界がある場合の磁界測定 永久磁石を用いてバイアス磁界として500(Oe)の
一定磁界を上記の装置に印加した状態で、上記(1)と
同様にして磁界印加手段から50Hzの外部磁界を印加
した。I(2ω) 、I(ω) 及びその比I(2ω) /I(ω) を
測定して、(5)式の関係より下記式:
【数13】Hω(Oe)=2000×I(2ω) /I(ω) が求められ、これにより外部磁界Hωが容易に求められ
ることを確認した。
【0029】
【発明の効果】本発明の光磁界測定装置は、偏光子、検
光子を用いないため、構造が簡単であり、小型化するこ
とができ、その製造も容易である。また、偏光子、検光
子を用いていないので、光ファイバを伝搬する光の偏波
面が変動しても光量の変化はなく、安定に測定できる。
また、I(2ω) /I(ω) 、I(2ω) /IO のように光量
の比を測定するため、環境変化により光ファイバを伝搬
する光量及び周囲温度が変化しても安定に測定できる。
さらに本発明の第1の光磁界測定装置にあってはバイア
ス磁界を必要とせずに温度安定化を図れるために、装置
の構造が一層簡単であり、それによる測定方法も一層容
易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の光磁界測定装置の具体例を示
す。
【図2】本発明の実施例で用いた光磁界測定装置のセン
サ部を示す。
【図3】本発明で用いる多磁区構造を有する磁気光学素
子を示す。
【図4】バイアス磁界を印加する本発明の第2の光磁界
測定装置の一具体例を示す。
【図5】反射鏡を備えたガラスプリズムを用いた本発明
の光磁界測定装置のセンサ部を示す。
【図6】偏光子、検光子及びファラデー回転子を用いる
従来の光磁界センサの配置を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気光学素子 2 光ファイバ 3 コリメータレンズ 4 発光素子(光源) 5,6 周波数成分検出器 7 割算器7 8 電線ケーブル 9 磁界印加手段 12 プリズム 13 反射鏡 14 反射膜 15 接着層 17 偏光子 18 検光子 19 受光素子 20 トランス 21 プリアンプ 22 DCアンプ 23 ACアンプ 24 割算器 25 ガラス管 26 SUSスリーブ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 15/00 - 17/22 G01R 33/00 - 33/18 G02F 1/00 - 1/125

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界を印加しない状態では多磁区構造を
    有し且つ磁区内の光の進行方向と平行な磁化成分が隣接
    する磁区では互いに異なる磁気光学素子と、該素子に光
    を入射するための発光手段と、該磁気光学素子を通過し
    た0次回折光のうち被磁界測定体の磁界周波数ωの2倍
    の周波数で振動する光成分の光強度I(2ω)及び該0次
    回折光のうちの直流成分に相当する光成分の光強度IO
    とを求める手段と、比I(2ω)/IOを求める手段とを有
    する光磁界測定装置。
  2. 【請求項2】 磁界を発生する被磁界測定体の近傍にお
    いて、磁界を印加しない状態では多磁区構造を有し且つ
    磁区内の光の進行方向と平行な磁化成分が隣接する磁区
    では互いに異なる磁気光学素子に、光を入射させ、前記
    磁気光学素子を通過した回折光のうち、0次回折光のみ
    を取り出し、該0次回折光のうち被磁界測定体の磁界周
    波数ωの2倍の周波数2ωで振動する光成分の強度I(2
    ω)及び直流成分に相当する光成分の強度IO とをそれ
    ぞれ測定し、それらの比I(2ω)/IOを求めることによ
    って被磁界測定体の磁界を測定する方法。
  3. 【請求項3】 磁界を印加しない状態では多磁区構造を
    有し且つ磁区内の光の進行方向と平行な磁化成分が隣接
    する磁区では互いに異なる磁気光学素子と、該素子に光
    を入射するための発光手段と、上記磁気光学手段に一定
    のバイアス磁界を加える磁界印加手段と、該磁気光学素
    子を通過した0次回折光のうち被磁界測定体の磁界周波
    数ωで振動する光成分の光強度I(ω)と、その2倍の周
    波数2ωで振動する光成分の光強度I(2ω)とを測定す
    る手段と、比I(2ω)/I(ω)を求める手段とを有する光
    磁界測定装置。
  4. 【請求項4】 磁界を発生する被磁界測定体の近傍にお
    いて、磁界を印加しない状態では多磁区構造を有し且つ
    磁区内の光の進行方向と平行な磁化成分が隣接する磁区
    では互いに異なる磁気光学素子に、一定のバイアス磁界
    を印加しながら光を入射させ、前記磁気光学素子を通過
    した回折光のうち、0次回折光のみを取り出し、該0次
    回折光のうち被磁界測定体の磁界周波数ωで振動する光
    成分の光強度I(ω)とその2倍の周波数で振動する光成
    分の光強度I(2ω)をそれぞれ測定し、それらの比I(2
    ω)/I(ω)を求めることによって被磁界測定体の磁界強
    度を測定する方法。
  5. 【請求項5】 磁気光学素子としてBi置換稀土類鉄ガ
    ーネットを用い且つそのファラデー回転角をθf、飽和
    磁界をHSとしたとき、0次回折光方向の前記磁気光学
    素子の厚さを、S/tanθfの温度変化がほぼ最小とな
    る値に設定した請求項1の光磁界測定装置。
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