JP3134109B2 - 多段遠心式圧縮機 - Google Patents

多段遠心式圧縮機

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JP3134109B2
JP3134109B2 JP05043894A JP4389493A JP3134109B2 JP 3134109 B2 JP3134109 B2 JP 3134109B2 JP 05043894 A JP05043894 A JP 05043894A JP 4389493 A JP4389493 A JP 4389493A JP 3134109 B2 JP3134109 B2 JP 3134109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油及び化学プロセス
用ガスの昇圧用に使用される圧縮機に係り、特に、冷凍
プロセスに使用され段間混合するのに好適な多段遠心式
圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の多段遠心式圧縮機においては、図
2に示すように、段間吸込ノズル15を有し段間吸込ノ
ズル15より供給される気体Yと、前段の羽根車1より
圧送される気体Xとの混合気体を次段の羽根車1に導入
する流路12と、流路12の円周方向に内設された複数
の静止羽根3とによりリターンチャンネルを形成してな
り、羽根車1は、回転軸10とともに回転し、一方のデ
ィフューザ2の回転軸10側の一端に設けた各段の軸封
ラビリンス8,9と、他方のディフューザ4の回転軸1
0側の一端に設けた軸封ラビリンス7とにより軸封さ
れ、ディフューザ4の他端はケーシング11に嵌入され
ている構成である。すなわち、リターンチャンネルは、
前段の羽根車1から圧送される気体Xを、静圧回復しな
がら次段の羽根車1に導入するため、翼型形状をなす複
数の静止羽根3を円周方向に内設している。一方、複数
段のうちのいずれか2つの段の間に段間吸込ノズル15
を有する圧縮機内においては、リターンチャンネルの静
止羽根3で前段から圧送される気体Xと、段間吸込ノズ
ル15より新たに供給される気体Yとを混合させる構造
となっているが、双方の気体X,Yの合流時の流れ角度
及び流速等が必ずしも損失を最小とするような構造とな
っていない。2つの混合されるべき気体X,Yの混合部
に、円環状の薄い仕切り板6を設け、2つの気体X,Y
が混合後、静止羽根3の高さ方向(A⇔A'方向)に拡
散しないように配慮するのが通例であるが、双方の気体
X,Yの混合後の静止羽根3の翼型形状を同一とする構
造をとる限り、段間吸込ノズル15より供給される気体
Yが偏流しているため損失を低く押えることが困難であ
る。一方、混合を次段の羽根車の直前で行う構造とする
と、次段の羽根車の入口速度分布の偏りを発生し、新た
な損失の原因ともなるため、改善すべき点となってい
る。ただし、ここで言う損失とは、気体の流れが静止羽
根に衝突する際に生じる衝突損失と、流れ方向の一致し
ない2つの気体の流れが混合する際の混合損失とが、主
なものとして挙げられる。これらの損失が全体の圧縮効
率を減少させる要因となっている。
【0003】すなわち、前段羽根車を通過してリターン
チャンネル内に圧送される気体と、段間吸込ノズルから
流入してくる気体とが、リターンチャンネル内におい
て、混合する際に発生する損失(ΔL)は、(1)式で
評価される。 ΔL=F(U0,U1,Δβ,G0/G1,気体の性状等)……(1) ただし、U0,U1:流入する気体(X,Y)の流速 Δβ:流入する気体(X,Y)の相対流れ角度 G0/G:流入する気体(X,Y)の流量比 ここで、損失(ΔL)は、気体の不連続な流速差、絶対
流速及び流れ角の相対偏差等により助長されるため、前
記の各要因を均一にして混合させるように、最適な形状
を実現することが必要である。
【0004】公知例の一つとして、実開昭167200
号公報に記載のように、多重翼列によりリターンベーン
を構成し、入口角を変化し可変とする特徴を有する例が
あるが、本公知例の特徴は、静止体の流路幅及びリター
ンの径等により、予め、入口角を決定することが可能で
あるため、可変とする必要性が認められず、本発明の妨
げとなる公知例とはなり得ない。他の公知例として、実
開昭133999号公報があり、リターンチャンネル部
を形成するダイヤフラムを、内輪及び外輪の2つの部分
に分割しているが、本公知例の特徴は、接平面の位相を
変えることにより、同芯度を改善することであり、本発
明とは構造的にも異なるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の多段遠心式圧縮
機にあっては、リターンチャンネル内の静止羽根により
前段から圧送される気体と、段間吸込ノズルより供給さ
れる気体とを混合させる際、双方の気体の合流時の流れ
角度及び流速等が必ずしも損失を最小にする構造となっ
ていない問題点があった。
【0006】本発明の目的は、製作上の容易さを損なう
ことなく前段から圧送される気体と、段間吸込ノズルよ
り供給される気体との混合に伴なう損失を低減し、圧縮
効率を向上することのできる多段遠心式圧縮機を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る多段遠心式圧縮機は、段間吸込ノズル
を有し段間吸込ノズルより供給される気体と前段の羽根
車より圧送される気体との混合気体を次段の羽根車に導
入する流路と、流路に内設された複数の静止羽根とによ
りリターンチャンネルを形成してなる多段遠心式圧縮機
において、段間吸込ノズルの流路に複数の翼形断面形状
の案内羽根を内設し、それぞれの案内羽根とそれぞれの
静止羽根との間に所定長さの仕切り板を設けた構成とす
る。
【0008】そしてそれぞれの案内羽根は、それぞれの
後縁をそれぞれの静止羽根の中間部に位置させている構
成でもよい。
【0009】また静止羽根と案内羽根のそれぞれの側面
は、リターンチャンネルを形成する一方のディフューザ
と他方のディフューザとにそれぞれ固着されている構成
でもよい。
【0010】さらにそれぞれの案内羽根は、厚さ一定の
形状に形成されている構成でもよい。
【0011】そしてそれぞれの案内羽根は、気体の流れ
方向に彎曲されかつ厚さが一定の形状に形成されている
構成でもよい。
【0012】
【作用】本発明によれば、仕切り板により仕切られた2
つの流路において各々の流入気体に対し、それぞれ最適
となるような、翼型形状を与える目的で、静止羽根は、
一方のディフューザに付属して加工され、案内羽根は他
方のディフューザに付属して加工されることにより、前
段から圧送される気体の流速及び流れ角度に従って、最
適に形成された静止羽根の中間部に、段間吸込ノズルか
ら流入する気体の衝突損失を最小とする形状の案内羽根
の後縁を位置させ、段間吸込ノズルより吸入される気体
の流路と、前段から圧送される気体の流路とを、適当な
流路長さだけ仕切る仕切り板を含めて構成することによ
り、気体の流れ方向がディフューザのそれぞれの側面の
壁に沿う方向に矯正された上で混合され、かつ静止羽根
及び案内羽根により合流点で滑らかにそれぞれの気体が
通過し、2つの気体の混合による損失が低減される。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例を図1を参照しながら説明
する。図1に示すように、段間吸込ノズル15を有し段
間吸込ノズル15より供給される気体Yと前段の羽根車
1より圧送される気体Xとの混合気体を次段の羽根車1
に導入する流路12と、流路12に円周方向に内設され
た複数の静止羽根3とによりリターンチャンネルを形成
してなる多段遠心式圧縮機であって、段間吸込ノズル1
5の流路に複数の案内羽根5を円周方向に内設し、それ
ぞれの案内羽根5とそれぞれの静止羽根3との間に所定
長さのほぼ円環状の仕切り板16を設けた構成とする。
そしてそれぞれの案内羽根3の後縁をそれぞれの静止羽
根3の中間部(合流点)Zに位置させ、かつそれぞれの
案内羽根3の後縁をそれぞれの静止羽根3と対向又はそ
れぞれの静止羽根3の間に配設するものとする。なお羽
根車1は、回転軸10とともに回転し、一方のディフュ
ーザ2の回転軸10側の一端に設けた各段の軸封ラビリ
ンス8,9と、他方のディフューザ4の回転軸10側の
一端に設けた軸封ラビリンス7とにより軸封され、ディ
フューザ4の他端はケーシング11に嵌入されている。
【0014】すなわち、一方のディフューザ2と、他方
のディフューザ4と、静止羽根3と、案内羽根5と、ケ
ーシング11とで形成される気体の流路(リターンチャ
ンネルと称す)に、静止羽根3と案内羽根5の側面を各
ディフューザ2,4に固着して各ディフューザ2,4の
一部として形成し、気体X,Yのそれぞれの流路を、適
切な長さと形状を有するほぼ円環状の仕切り板16を用
いて仕切り、気体の流れ方向をディフューザ2,4のそ
れぞれの側面の壁に沿う方向に矯正した上で混合させ、
かつ静止羽根3及び案内羽根5が合流点Zで滑らかにそ
れぞれの気体を通過させるようにする。仕切り板16
は、静止羽根3に固着され、気体の流れに伴う圧力差又
は圧力変動の影響を受けない構造とする。
【0015】つまり、本実施例では、リターンチャンネ
ルに、前段から圧送される気体の流速及び流れ角度に対
応して最適に形成された静止羽根と、段間吸込ノズルか
ら流入する気体の衝突損失を最小とするような形状の案
内羽根とを配設し、段間吸込ノズルより吸入される気体
の流路及び前段から圧送される気体の流路を、所定の流
路長さだけ仕切るような仕切り板を設けて構成すること
により、混合損失の低減を実現しようとするものであ
る。
【0016】また、本発明の他の実施例として、静止羽
根3を翼型形状に、案内羽根5を厚さを一定とする形状
とし、気体X,Yの混合損失の低減を図ることも可能で
あり、案内羽根5の形状を、直線を使用して平板状で厚
さ一定とし製作上の容易さを損なうことなく、又は曲線
を使用して彎曲状の翼型形状で少なくとも前縁を厚さ一
定とし気体Yを整流させる等いずれの形状にしてもよ
い。
【0017】本発明によれば、中間ノズルより流入され
る気体Yの流路は、圧縮機ごとに可変であり、流路の幅
を変更することにより、ある程度の流れ角の調整は可能
であるが、最適な静止羽根3と、段間吸込ノズル15か
ら流入する気体Yの案内羽根5とを、合流点Zにおける
気体X,Yの相対流れ角及び流速の偏差をなくすように
配置するため、全体効率を向上できる効果がある。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、段間吸込ノズルより供
給される気体の流路に案内羽根を内設し、前段より圧送
される気体の流路との間に仕切り板を設けたため、それ
ぞれの気体の混合に伴なう損失が低減し、全体の圧縮効
率を向上し運転の経済性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】従来の技術を示す図である。
【符号の説明】
1 羽根車 2 ディフューザ 3 静止羽根 4 ディフューザ 5 案内羽根 6 仕切り板 7 軸封ラビリンス 8 軸封ラビリンス 9 軸封ラビリンス 10 回転軸 11 ケーシング 15 段間吸込ノズル 16 仕切り板

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 段間吸込ノズルを有し該段間吸込ノズル
    より供給される気体と前段の羽根車より圧送される気体
    との混合気体を次段の羽根車に導入する流路と、該流路
    に内設された複数の静止羽根とによりリターンチャンネ
    ルを形成してなる多段遠心式圧縮機において、前記段間
    吸込ノズルの流路に複数の翼形断面形状の案内羽根を内
    設し、それぞれの案内羽根とそれぞれの静止羽根との間
    に所定長さの仕切り板を設けたことを特徴とする多段遠
    心式圧縮機。
  2. 【請求項2】 それぞれの案内羽根は、それぞれの後縁
    をそれぞれの静止羽根の中間部に位置させていることを
    特徴とする請求項1記載の多段遠心式圧縮機。
  3. 【請求項3】 静止羽根と案内羽根のそれぞれの側面
    は、リターンチャンネルを形成する一方のディフューザ
    と他方のディフューザとにそれぞれ固着されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の多段遠心式圧縮機。
  4. 【請求項4】 それぞれの案内羽根は、厚さ一定の形状
    に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3
    記載の多段遠心式圧縮機。
  5. 【請求項5】 それぞれの案内羽根は、気体の流れ方向
    に彎曲されかつ厚さが一定の形状に形成されていること
    を特徴とする請求項1、2又は3記載の多段遠心式圧縮
    機。
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JP6653157B2 (ja) * 2015-10-30 2020-02-26 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 遠心圧縮機械の戻り流路形成部、遠心圧縮機械
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