JP3133004U - 汚水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】畜舎排水や工業排水のような汚水に対して、低処理設備コストで汚水中のリン及び窒素の除去と、着色度の高い汚水の脱色とを十分に解消できる汚水処理装置を提供する。
【解決手段】沈殿分離槽2と、油脂分離槽3と、生物学的処理槽4と、酸化処理槽5と、塩基処理槽6と、を備える汚水処理装置であって、酸化処理槽は、炭素材を充填した着床部52と、着床部にオゾン又は酸素を供給する酸化ガス供給部とが設けられており、塩基処理槽は、酸化処理した汚水に水酸化カルシウム61を接触させる塩基処理部63が設けられている。
【選択図】図1

Description

本考案は、汚水処理装置に関し、特に、畜産排水や工業廃水のような負荷の高い汚水を、脱リン及び脱窒、さらには脱色を含めた総合的な処理の可能な汚水処理装置に関する。
近年、我が国の畜産業においては、畜舎排水処理の問題、即ち、牛や豚などの家畜からの排泄物処理について問題が指摘されている。これは家畜の糞尿に含まれる窒素を起因とする、硝酸態窒素或いは亜硝酸態窒素が地下浸透することにより、飲料水中の酸化窒素濃度を上昇させ、それを飲水した人体に悪影響を及ぼすことが懸念され始めたためである。また、窒素或いはリン(燐)による河川、池、沼等の富栄養化や海水の汚染の進行に大きく影響するためである。
このようなことから、従来から牛豚等の糞尿を含む畜舎排水や、畜舎の洗浄水又は牛乳生産における搾乳時の洗浄水等は、河川や地下水の汚染を防止するため、適宜汚水処理が行われている。
畜舎排水などの高負荷な汚水は、活性汚泥法、凝集剤による沈殿除去法、活性炭による吸着除去法、微生物による生物処理法、ろ過膜などのよるろ過法、オゾンによる酸化処理法などの様々な手法を用いた処理装置によって処理することが一般的に知られており、これらの方法を組み合わせて処理されることがほとんどである(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平9−94600号 特開2001−137870号 特開2002−45885号
このように高負荷な汚水を、河川放流可能なまでのレベルに処理する装置は、様々な処理方法を用いたものが提案されているものの、その処理設備は比較的大規模のものが多く、高価なろ過材や沈殿剤などを必要とするため処理コストも高い傾向にある。また、畜舎排水のように着色度が高い汚水を脱色まで行う場合には、簡易で低廉な汚水処理技術が存在していないのが現状である。
我が国の酪農業では、数十頭から数百頭までの小規模な畜舎から大規模なものまで、様々な規模の畜舎が存在し、このような規模の異なる畜舎に対し、処理設備に要する敷地面積や処理コストの問題等を考慮した、容易に適用できる自由度の高い汚水処理設備は少ない。そのため、畜舎等からの高負荷の汚水が十分に処理されている状況でなく、このような畜舎等からの汚水を処理することは、我が国の環境保護の観点から極めて重要な課題である。
さらに、無機物を主とする工場排水やメタン発酵の消化液などの工業排水と呼ばれる汚水についても、上述した畜産排水と同様に、無機物の除去、リン及び窒素の除去、脱色を可能とする簡易で低廉な汚水処理手段が存在していないのが現状である。このような工業排水に対しても適切な汚水処理を行わず放置する状況が続くことは、我が国の河川や海水などの環境汚染は進むことになり、人体への悪影響のみならず自然環境の破壊をさらに進行させることになる。
本考案は、上述したような事情を背景になされたものであり、畜産排水や工場排水、メタン発酵の消化液などの高負荷な汚水に対して、その処理対象である汚水の種類に関わらず、脱リン、脱窒、脱色処理が可能な汚水処理装置を提供するものであり、特に、処理設備コストを低廉にすることができ、汚染状況や汚水量の大小に合わせて処理が可能で、リン、窒素を十分に除去するとともに脱色も行う総合的な処理が可能な汚水処理装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、本考案者は従来の汚水処理技術を種々検討し、研究を行った結果、本考案の処理装置に用いることが可能な技術を想到するに至った。本考案は、処理対象である汚水より、浮遊固形物の分離、油脂分の除去、有機物の分解を行う前処理を行い、前処理をした汚水中の有機物や無機物と、オゾン又は酸素を接触する酸化処理をし、酸化処理をした汚水中のリン及び窒素を除去するとともに汚水中の色素成分を除去する塩基処理を行う汚水処理方法であって、酸化処理は、汚水中の有機物や無機物を炭素材に着床して、該炭素材に向けてオゾン又は酸素を供給することにより行い、塩基処理は、酸化処理した汚水に水酸化カルシウムを接触することにより行う処理方法を用いた処理装置に関する。
この汚水処理方法は、所定の前処理を行った汚水にオゾン又は酸素による酸化処理をおこなうものであるが、この酸化処理は、微生物が有機物を分解する工程で発生する有機酸や分解途中の中間化学物質、未分解の有機物、還元状態の無機物を酸化することを目的とする。そして、この酸化処理を効率的に行うべく、汚水中の有機物や無機物を炭素材に集積させ、該炭素材に向けてオゾン又は酸素を供給することにより行うのである。このような炭素材は、木炭、竹炭、骨炭等を用いることができる。これらの炭素材には、多くの細孔を有しており、汚水中の有機物や無機物を表面及び細孔に集積するからである。
そして、この汚水処理方法では、オゾン又は酸素により酸化処理された汚水は、次工程の塩基処理において以下で説明するような反応を生じ、汚水中のリン、窒素、及び色素成分の除去が行われる。
塩基処理では、汚水に水酸化カルシウムを接触させることにより汚水はアルカリ性になる。そして、高負荷の汚水に含まれる大量のリンは、汚水中に若干溶解した水酸化カルシウムの一部のカルシウムと反応してリン酸カルシウムを生成して、沈降する。このような反応により、脱リン処理が行われると推測している。
また、本考案者の研究によると、酸化処理した汚水に水酸化カルシウムを接触させると、不溶解分の水酸化カルシウムが褐色に着色した状態で沈降して、汚水の着色が解消されることを確認している。この現象は次のように推測している。塩基処理では、オゾン又は酸素による酸化処理により酸化された汚水中の無機物や有機物が、水酸化カルシウムにより急激にアルカリ性に転換される。このときに汚水中に含まれる鉄(Fe)やアルミニウム(Al)等の無機物が水酸化物となる。この鉄などを含む化合物は、汚水の着色要因(色素成分)と考えられ、また、例えばビルビリンに代表される有機物や、牛糞を構成する有機物及びその分解生成物、即ちBOD(生物学的酸素要求量)成分も、汚水の着色要因(色素成分)である。不溶解分の水酸化カルシウムは、通常の水においてはある程度の凝集をして白色状態で沈降するが、本考案の場合では、褐色に着色した状態で沈降する。このことから、凝集した不溶解の水酸化カルシウムの表面に、上述した着色要因(色素成分)である鉄(Fe)などの水酸化物、ビルビリンやBOD成分等が付着し、褐色に変色して沈降したものと考えられる。さらに、溶解したカルシウムと反応して生成されるリン酸カルシウムは、いわゆるアモルファス状のアパタイトであり、このアモルファス状のアパタイトが、表面に色素成分を付着させた水酸化カルシウムを覆い包むようにして、沈降するものと推測される。
この塩基処理を行った汚水は、前工程の酸化処理の状態よりも、明らかにその着色状態が解消され、汚水中のリンもほとんど除去される。さらに加えて、この塩基処理では汚水中の窒素をアンモニアガスとして放出除去させる作用も有する。汚水中の窒素は、微生物によってアンモニア態窒素となって一部汚水中に存在するが、オゾン又は酸素により酸化された汚水をアルカリ性に転換すると、弱酸、弱塩基の遊離反応を生じて、汚水に溶解しているアンモニア態窒素がアンモニアガスとなって汚水から放出されるのである。
上記した汚水処理方法は、酸化処理及び塩基処理を行うものなので、汚水中の鉄やアルミニウムと同様、他の重金属の除去も可能であり、畜舎排水のような汚水のみならず、無機物が主体の工場排水などにも適用することができる。
この汚水処理方法における塩基処理は、液温2℃〜40℃で行うことが好ましい。2℃未満であると、汚水の処理能力が極端に低下するからである。特に、窒素の除去率が非常に悪くなる傾向となるが、これは、汚水温度が2℃未満になると、水酸化カルシウムの溶解分が少なくなる結果、上記したカルシウムによる処理能力性が低下するためではないかと推測される。また、40℃を超えても、脱リン及び脱窒、そして脱色の処理能力には余り変化が無く、汚水温度の制御が必要になるため実用的な処理としては好適でなくなる。
また、汚水処理方法における酸化処理及び塩基処理は、汚水の負荷度合いに合わせて複数回行うことが好ましい。汚水中に含まれるリンや窒素の量、或いは汚水の着色度合いによっては、酸化処理及び塩基処理を複数回行うことにより、脱リン及び脱窒、塩基の処理を、より確実に行うことができるようになる。
上記した汚水処理方法を実施する場合には、処理対象である汚水から浮遊固形物を沈降させるとともに好気状態にして汚泥を発生させて沈殿させる沈殿分離槽と、沈殿分離した汚水中から、木質を構成するリグニンを利用して油脂分を取り除く油脂分離槽と、微生物により汚水中の有機物を分解させる生物学的処理槽と、汚水中の有機物や無機物を、オゾン又は酸素と接触させることにより酸化させる酸化処理槽と、酸化処理した汚水からリンを除去するとともに該汚水中の色素成分を除去する塩基処理槽と、を備えるものであって、酸化処理槽は、炭素材を充填した着床部と該着床部にオゾンを供給する酸化ガス供給部とが設けられており、塩基処理槽は、酸化処理した汚水に、水酸化カルシウムを接触させる塩基処理部が設けられている汚水処理装置とすることが好ましい。
本考案に係る汚水処理装置は、畜舎排水や工場排水のような高負荷な汚水であっても、脱リン及び脱窒処理が可能で、汚水着色の解消を効率的に行うことができる。そして、本考案の汚水処理装置は、各処理槽の構成規模を調整さえ行えば処理設備の大小に関わらず同じ効果が発揮されるので、汚水の負荷状況やその処理量に合わせて、比較的小規模な設備から大規模なものにまで容易に適用できる。また、処理に使用する資材は、オゾンや酸素、水酸化カルシウム、炭素材などであるので、設備コストも比較的安価に済むものである。
以下に本考案の汚水処理装置に関し、各処理槽の役割を解説する。まず、初めに本考案の汚水処理装置の特徴部分について説明を行う。
本考案に係る汚水処理装置は、汚水中の有機物や無機物を、オゾン又は酸素と接触させることにより酸化させる酸化処理槽と、酸化処理した汚水からリンを除去するとともに該汚水中の色素成分を除去する塩基処理槽とを備えているところが特徴であり、酸化処理槽は、炭素材を充填した着床部と、該着床部にオゾンを供給する酸化ガス供給部とが設けられており、塩基処理槽は、酸化処理した汚水に、水酸化カルシウムを接触させる塩基処理部が設けられている。
この酸化処理槽では、上記した目的のため汚水の酸化処理をオゾン又は酸素で行う。オゾンは極めて強力な酸化剤であり、酸素もオゾンほどではないが酸化剤として有効なもので、汚水中の有機物や無機物にオゾン又は酸素を接触させることで容易に酸化することができる。
そして、酸化処理槽に設ける着床部は、汚水中の有機物や無機物をこの着床部に充填される炭素材に集積させてオゾンや酸素による酸化反応を効率的に行われるようにするものである。このような炭素材は、木炭、竹炭、骨炭等を用いることができる。これらの炭素材には、多くの細孔を有しており、汚水中の有機物や無機物を表面及び細孔に集積するのである。炭素材として木炭を用いる場合には、広葉樹から得られたものであることが好ましい。広葉樹から得られた木炭は、その細孔が様々な大きさをもつため、汚水中の無機物や有機物を効率よく集積できるからである。
本考案における塩基処理槽には、汚水に水酸化カルシウムを接触させる塩基処理部が設けられている。この塩基処理部では、水酸化カルシウムを単独で使用してもよく、水酸化カルシウムに加えて木炭、骨炭、珪藻土、カオリンのいずれか1種または2種以上を混合して用いることもできる。要は、汚水が水酸化カルシウムと接触することによりアルカリ性になるよう処理できる状態に塩基処理部を設ければよい。
水酸化カルシウムに加えて、木炭、骨炭、珪藻土、カオリンのいずれか1種または2種以上を混合して用いると、汚水中に含まれる色素成分は、不溶解の水酸化カルシウムへ付着することに加え、混合された木炭、骨炭、珪藻土、カオリンにも吸着されて、効率よく除去されることになる。
この塩基処理槽を通過した汚水は、この塩基処理前の状態よりも、明らかにその着色状態が解消され、汚水中のリンもほとんど除去される。特に、負荷度合いが低い汚水の場合や、高負荷な汚水でも酸化処理槽と塩基処理槽とを繰り返して処理した場合には、汚水の色素成分はほぼ完全に除去されて透明状になる。さらに加えて、この塩基処理槽では、微生物によってアンモニア態窒素となって一部存在する窒素を、オゾン又は酸素により酸性とされた汚水を塩基処理槽で塩基性に転換することで、弱酸、弱塩基の遊離反応を生じさせて、汚水に溶解しているアンモニア態窒素をアンモニアガスとして汚水から放出する。
本考案の汚水処理装置は、上記した酸化処理槽と塩基処理槽を備えているので、汚水中の鉄やアルミニウムと同様、他の重金属の除去も可能と考えられ、畜舎排水のような汚水のみならず工場排水などにも適用することが可能である。
上記のような酸化処理槽、塩基処理槽において高度な汚水処理をより効率的に実現するためには、以下に説明する所定の前処理を行う処理槽を設けておくことが好ましい。具体的には、固液分離処理、沈殿分離処理、油脂分離処理、生物学的処理の各処理槽である。
高負荷な汚水には、分解時間を非常に要する、敷藁、おが屑等の比較的大きな有機物や、その他砂、石、コンクリートなどの鉱物のような夾雑物を含んでいることが多い。そのため、このような分解困難な物質を予め分離しておく必要がある。固液分離槽は、分解困難な物質を狭搾やろ過などのスクリーニングをすることで、固体分を分離する。尚、この固液分離処理は、処理対象の汚水状況によって省略可能であり、分解に非常に時間を要する比較的大きな有機物や夾雑物などを多く含まない排水については、固液分離処理することなく、後述する沈殿分離処理を行うができる。
そして、分解困難な固体分が除去された汚水は、沈殿分離槽において活性汚泥処理を行うことが望ましい。即ち、分解困難な固体分を除去された汚水に含まれる浮遊固形物を活性汚泥法により沈降させ、汚水から更に分離するのである。この場合、汚水を好気状態にして液中の溶存酸素を増やし、好気性細菌の活動を活発化することにより、汚水中の有機物を分解し、汚泥にして分離する。汚水を好気状態するには、いわゆる曝気操作を行うこと、即ち散気管などを用いて酸素や空気を汚水中に放出することで対応できる。このように、活性汚泥処理では汚水を好気、嫌気状態を繰り返すことにより、窒素の除去が行われる。
また、畜舎排水や工場排水などには、例えば機械油や洗剤などの油脂、搾乳機の洗浄水に含まれる乳脂肪のような油脂成分を多く含んだものが多い。このような汚水中の油脂成分は、後工程の処理に用いるろ材(生物学的処理槽に用いる炭素系ろ材、酸化処理槽に用いる炭素材、ろ過槽に用いるろ過材)に目詰まりを発生させる原因となりやすく、生物学的処理、即ち微生物では分解することも容易でない。そこで、後工程の汚水処理が効率的に行えるように、油脂成分の除去を行っておくことが好ましい。この油脂分の除去は、木質を構成しているリグニンを利用することで行える。より具体的には、植物の故死体を利用するのである。
植物の故死体は、油脂成分を集積するとともに、該故死体に定着している微生物により、集積した油脂成分を低分子化するように分解することができる。油脂成分を低分子化して得られた有機物は、後工程の生物学的処理槽、酸化処理槽、塩基処理槽において効率的に除去されることになる。この植物の故死体としては、例えば広葉樹を用いることができる。このような植物の故死体を使用することで汚水処理の維持管理コストを低減することが可能となる。
そしてさらに、微生物により有機物を分解させる生物学的処理槽を設けることが好ましい。この生物学的処理槽には、浄化用のろ材として炭素材である木炭や竹炭、或いは骨炭などをそのまま用いることができるが、炭素材、穀物廃材、固化材からなる炭素系ろ材を用いることがより望ましい。
木炭などの炭素材が有する細孔は微生物(原生動物から細菌を含む)にとってマイクロハビタットとして利用される。そして、この生物学的処理槽では、曝気操作を行うことにより、好気状態を形成し、木炭表面では好気性微生物により、木炭の細孔内では嫌気性微生物により有機物の分解が行われることになる。その結果、汚水のBOD(生物化学的酸素要求量)成分、COD(化学的酸素要求量)成分の低減を行うことができる。
また、この生物学的処理槽では、炭素材、穀物廃材、固化材、水酸化カルシウムからなる炭素系ろ材を用いることがより望ましい。この炭素系ろ材は、炭素材として木炭、竹炭、骨炭等を用い、穀物廃材として珪酸を含む籾殻、麦殻、籾殻燻炭、麦殻燻炭や、米糠、麦糠、大豆かす等の廃材を用い、また、固化材としてセメント、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の固形化能力を有するものを用いるものである。
このような炭素系ろ材は、吸着機能を有し、微生物との親和性のある炭素材を含むので、吸着した有機物を微生物により分解して脱窒することができる。また、水酸化カルシウムの溶出により、汚水中に含まれるリン酸とカルシウムとが反応して化合物を生成して、リン酸の除去が行われる。また、米糠、麦糠、大豆かす等を穀物廃材として用いると、BOD(生物化学的酸素要求量)成分が少ない汚水であっても、微生物による脱窒作用を維持すること可能となる。そして、この炭素系ろ材は、炭素材と穀物廃材とを混合して固化材により成形するので、汚水の負荷状況に適応させて、炭素系ろ材の通気性、通水性を調整することが可能となり、汚水の負荷度合いに合わせた炭素系ろ材を準備できるので、効率的な汚水処理を実現できる。さらに、このような炭素系ろ材は、構成する材料自体が自然物を利用しているため、自然環境的に好適であり、資源の有効活用も図られる。
この生物学的処理槽は、汚水処理過程の中で適宜な場所に設けることが可能であるが、ろ材の目詰まりを考慮すると、沈殿分離処理或いは油脂分離処理を行われた後に配置することが望ましい。そして、オゾンによる酸化処理槽及び、水酸化カルシウムとの接触が行われる塩基処理槽では、前処理として固液分離、沈殿分離、油脂分離、生物学的処理が行われていることが、より効果的な汚水処理が行える。よって、生物学的処理槽は、油脂分離槽と酸化処理槽との間に設けておくことが最も効果的なものとなる。
上記した本考案の汚水処理装置では、塩基処理槽から流出する処理水を、ろ過材を充填したろ過部によりろ過処理をするとともに、処理水から発生する気体成分を脱気するようになっているろ過槽を備えることが好ましい。
上述したように塩基処理槽では、汚水中の窒素の一部がアンモニアガスとなり放出されるが、過剰なアンモニアは汚水中に溶解した状態となっているので、更にろ過槽において脱気して、汚水からアンモニアガスを除去するのである。このろ過槽では、曝気処理を行うことがより効率的にアンモニア態窒素の除去が行える点で望ましいものである。
また、塩基処理槽から流出する処理水には、SS(けん濁物質)などの浮遊物が含まれているので、この浮遊物をろ過材により吸着除去することで更に高度な汚水処理が実現できることになる。
このろ過槽に用いるろ過材は特に制限はなく、一般的な水処理用のろ過材を使用できるが、環境保護の観点を考慮すると、木炭を使用することが望ましい。木炭は細孔を有しており、微細な浮遊物もこの細孔で吸着される。そして、ろ過材として木炭を用いれば、細孔に目詰まりを生じてろ過効率が悪くなった木炭を堆肥として処分することが可能となる。
そしてさらに、本考案の汚水処理装置では、ろ過槽から流出する処理水のpHを調整するための中和処理槽を設けることが好ましい。塩基処理槽から流出した処理水は、投入した水酸化カルシウムなどの影響によりアルカリ性の状態となっている。処理水のpHは、接触させる水酸化カルシウムの量、接触時間などにより変動するが、おおよそpH10〜13.5の範囲となる。このような塩基性の処理水は、土壌への散水は可能であるが、河川放流基準pH8.5よりも大きなpH値であるため好ましくない。そこで、より環境へ優しい状態の処理水とするために中和処理を行うのである。
この中和処理は、処理水に硫酸、酢酸などを投入することで対応することができる。そのため、中和槽には、pH測定器を設置して硫酸等を投入して撹拌することで中和し、処理水をpH8.5以下にする。
このように中和した処理水は、畑や田んぼや果樹園などの農場のような圃場や草地に散布したり、河川等に放流することができる。圃場や草地に散布すると、処理水中に含まれる窒素その他の有効成分を利用して、草木の栽培、例えば家畜飼料を栽培することができる。
そして、中和した処理水は土壌処理を行うことにより、より完全な処理を施し、河川等への放流を行うことができる。土壌処理は、処理水中の窒素成分を更に低減することができ、土壌の有するイオン交換能により処理水中の種々の元素を除去することができるからである。
この土壌処理を行う場合、炭化物(木炭、竹炭など)と土壌とを組み合わせた土壌処理槽を用いることが好ましい。例えば、木炭層と土壌層とを複数積層した状態の土壌処理槽を形成し、適宜、土壌及び木炭槽中への曝気操作や散水を行い、土壌処理において固相、液相、気相を構成させることが望ましい。
本考案の汚水処理装置によれば、畜舎排水や工業廃水のような高負荷の汚水に対して、リン及び窒素、さらに色素成分を十分に除去することが可能で、BODやCOD成分も必要なレベルまで容易に低減させることが可能となる。
また、本考案の汚水処理装置であれば、オゾンや酸素、水酸化カルシウムや木炭などの比較的安価な資材準備すればよいので、処理設備コストを低くすることが可能となる。また、処理設備自体の構造も簡易であるにも関わらず処理能力は高いので、汚染状態や汚水量の大小に関わらず、小規模な装置から大規模なものまでに容易に適用ができる。つまり、非常に高負荷な畜舎排水のような汚水、或いは無機物を主とする工場排水やメタン発酵の消化液などの工業排水と呼ばれる汚水についても、容易に処理することが可能となる。さらに、汚水処理により生じる汚泥や使用済みのろ過材(木炭)を堆肥として使用することや、中和した処理水を畑や田んぼや果樹園などのような圃場や草地に散布することができるので、いわゆる資源のリサイクルを図ることができ、環境保護の観点においても有効なものといえる。
以下、本考案の最良な実施形態について、各実施例に基づき説明をする。
本実施例1の汚水処理装置は、酪農家の畜舎排水を処理するために試験用として作製したものであり、図1及び2に示すように、それぞれ独立に連続して設けた1〜8の処理からなり、2〜8の処理は各処理槽により行われ、処理対象となる汚水は、図示せぬ通水管により順次各処理槽に送られるように形成されている(図1には、連続蛇行する矢印線で示している)。
処理1は固液分離用で、比較的大きめの物質をスクリーニングする個体分離部11を備える。この個体分離部11では、敷藁、おが屑等の有機物や、その他砂、石、コンクリートなどの夾雑物が除去される。
処理槽2は沈殿分離用で、比較的大きめの物質をスクリーニングした汚水に含まれる浮遊固形物を、活性汚泥法により沈殿除去するものである。処理槽2は仕切板21により槽内が2分割されており、流入及び流出側に散気管Sが設けられて曝気操作を行うようにされている。また、この処理槽2には、スクリーニングを必要としない汚水、例えば、搾乳機等の洗浄水Rを流入させるようになっている。この沈殿分離処理槽2では、曝気操作により好気性細菌の活動を活発化することで汚泥を生成させて、その汚泥を沈殿除去することが行われる。
処理槽3は油脂分離用で、流出側に植物の故死体31が充填された油脂分離部32が設けられている。また、処理槽3の流入側には、散気管Sが設けられて曝気操作を行うようにされている。
処理槽4は生物学的処理用で、流出側に炭素系ろ材41が充填されたろ材充填部42が設けられている。また、流入側とろ材充填部42の下方とに、散気管Sが設けられて曝気操作を行うようにされている。
処理槽5は酸化処理用で、流出側に炭素材(木炭)51が充填された着床部52が設けられている。また、流入側には散気管Sが、そして着床部52の下方には、着床部52に向けてオゾンを供給するオゾン供給装置53が配置されている。
処理槽6は塩基用で、流入側に水酸化カルシウム61と木炭62とが投入される塩基処理部63が設けられている。また、塩基処理部63内には、攪拌手段64が配置されている。そして、処理槽6の上方には、水酸化カルシウム61と木炭62とを塩基処理部63に連続投入可能な投入器65が配置されている。この塩基処理部は槽内を仕切板66によって区画されたもので、投入された水酸化カルシウム61や木炭62は槽底部に沈降して、槽内の流出側へ堆積する。
処理槽7はろ過処理用で、流出側にろ過材71を充填したろ過部72が設けられている。また、処理槽7の上部は蓋73により閉鎖されており、蓋73に接続される吸引器(図示せぬ)により、発生する気体成分を脱気するようにされている。また、処理槽7の流入側には、散気管Sが設けられて曝気操作を行うようにされている。
また、図1に示す各処理槽2〜6の底部に沈殿した汚泥mは、堆肥舎として使用するために、堆肥舎に搬送するようにした。
図1に示す各処理を施された処理水は、図示せぬ中和槽を通過して図2に示す土壌処理槽8に導入される。続いて、図2の土壌処理槽8について説明する。
土壌処理槽8は、2つの土壌層81a、bと2つの木炭層82a、bとで構成されており、土壌と木炭とが交互に層を形成するように容器83の底側に配置した網目状の架台板84上に積層してある。架台板の下には、土壌層及び木炭層を洗浄する水が溜まるようにされた貯留部84aが形成されている。
処理槽7から流出した処理水は、図示せぬ中和槽を通過して、流入管85に導かれる。流入管85は、第1木炭層82a内に延設して配置されており、流入した処理液を第2土壌層81b方向へ放出する放出孔が複数形成されている。また、第2木炭層82b内には、上方から浸透してくる処理水を集積して排出するための集水管86が延設して配置されている。
第2木炭層82b及び貯留部84aには、空気または酸素を供給するための散気管87が配置されている。この第2木炭層82b内の散気管87は土壌層及び木炭層を好気状態にするためのものであり、貯留部84a内の散気管87は貯留部84aに溜まった水を曝気することにより水の腐食を防止するために設けたものである。また、土壌処理槽8の両サイド側には、土壌層81a、bと木炭層82a、bを洗浄するために水を供給する水洗管88とその洗浄水を外部に排水する排水管89がそれぞれ設けられている。
このように、土壌処理槽8は、土壌及び木炭による固相分、処理水及び土壌等の有する水分、洗浄水による液相分、散気管の曝気操作による気体及び土壌や木炭の空隙内気体のような気相分により構成される。そして、これら3つの各相の容積割合は、固相50%、液相25%、気相25%にすることが効率の高い土壌処理が行えるものである。
次に、本実施例1の汚水処理装置によって、畜舎排水を処理した結果について説明する。汚水条件、装置条件は以下のものとした。処理対象となる汚水は、牛20頭を飼育する畜舎からの排水、及びその畜舎に備えられた搾乳機の洗浄水を用いた。汚水の一日トータルの量は約400Lであった。図1で示した汚水処理装置の各槽容量については、処理槽2が1.2m3、処理槽3が0.72m3、処理槽4が0.56m3、処理槽5が0.3m3、処理槽6が0.3m3、処理槽7が0.1m3で、総容量3.3m3とした。
固液分離処理1では、5mm間隙の櫛歯を有したスクリーンを使用した。油脂分離部32には、植物の故死体として広葉樹の木屑を用い、約0.3m3充填した。ろ材充填部42には、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径50〜100mm程度に粉砕した木炭と、籾殻と、セメントと、水酸化カルシウムとにより形成した炭素系ろ材を0.5m3充填した。炭素系ろ材の構成容量比率は、木炭65%、籾殻10%、水酸化カルシウム20%、セメント5%とした。着床部52には、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径50〜100mm程度に粉砕した木炭を0.5m3充填した。塩基処理部62には、一日処理量400Lに対応できるように、水酸化カルシウム(工業用)を0.2m3と粉炭0.1m3とを投入した。ろ過部72には、着床部52に充填した木炭と同じものを0.2m3充填した。また、オゾン(ロキノテク社製オゾン発生装置)は、3g/hrで着床部52に向けて供給を行った。そして、図示せぬ中和槽では、希硫酸溶液をpH調整剤として用い、処理水pHがpH8.5になるよう中和処理を行った。また、各処理槽での曝気操作、散気管から空気量80L/minで行った。
土壌処理槽8は、全長6m、幅0.3m、深さ0.4mのコンクリート製容器の中に、第1土壌層が厚み5cm、第1木炭層が厚み5cm、第2土壌層が厚み10cm、第2木炭層が厚み15cm、貯留部が厚み5cmとなるように積層した。
以上のような装置条件で、汚水の1日処理量400Lを処理日数8.5日(約2L/hrの通水量)で浄化する処理を行った。
汚水処理試験は、牛20頭を飼育する畜舎からの排水及び搾乳機の洗浄水(通常作業により得られるもの)を混合した原液汚水と、この原液汚水を水で薄めた希釈汚水(水:原液汚水=1:1、2:1、3:1)の3種類を用いて行った。この原液汚水の希釈は、搾乳機を洗浄する際の水量を調整(通常作業より使用する水を増加して洗浄)して行った。
この汚水処理試験は、図1に示すA、B、C及び図2の土壌処理槽の流出側Dの各ポイントでサンプル採取し、液の状態を測定した。測定事項は、BOD(BOD TESTER)、COD(塩基性過マンガン酸カリウム酸化法)、SS(浮遊固形物測定、ガラス繊維ろ過法)、T−N(全窒素測定、ケルダール法)、PO測定(リン酸測定、モリブデンブルー法)、色度(吸光光度法)、濁度(吸光光度法)である。
表1〜表8に測定結果を示す。表1〜7には、採取ポイントA〜DにおけるBOD、COD、SS、T−N、PO、色度、濁度の測定結果を示している。また、表8には、各汚水について1日処理量400Lを処理した際の除去量を換算したものである。
Figure 0003133004
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また、各採取ポイントにおけるpH(水:原液汚水=3:1の汚水を処理した場合)は、AはpH8.4、BはpH8.6、CはpH12.9、DはpH8.3であった。
表1〜5を見ると判るように、BOD、CODともに各処理槽を通過する毎に大きく低減し、水:原液汚水=3:1の汚水の場合、かなり小さな値にまで低下されていることが判明した。同様に、SS、T−N、PO4についても同様な結果が得られ、特にPO4についてはほとんど除去されていることが判明した。
表6に示す色度については、表中1000とした数値は測定不能(汚水の濁りがひどく、色度測定が出来なかった)を示すもので、塩基処理槽6を通過したところから測定可能となった。その結果、水:原液汚水=3:1の汚水の場合であれば、かなりレベルまで色素成分を除去することが可能で、透明性の高い処理水とすることが判明した。このことは、表7に示す濁度についても同様な結果であった(表中500とあるのは測定不能を示す)。以上の結果より、塩基処理槽6から流出したもの(C)を圃場等へ放水して草木の飼育に利用することができ、土壌処理槽8まで処理したもの(D)は河川等への放流を行っても環境への悪影響は全くないことが判明した。
表8に示す、1日処理量400Lを処理した際の除去量から判断すると、本実施形態での汚水処理装置であれば、BODで約500g、CODでおおよそ100〜200g、SSで100〜800g、T−Nで400〜1500g、PO4で5〜30gを除去できる能力を有することが判明した。
次に、この実施例2では、ある地方に実存する酪農家の畜舎排水を長期間(約6ヶ月)連続して汚水処理を行った結果について説明する。試験対象とした畜舎は、牛50頭、1日平均搾乳量200Lの規模のものであり、処理対象となる汚水は、糞尿量約100L/日、搾乳機の洗浄水量約200L/日であり、一日分の処理として合計300Lの汚水の処理を行った。
この実施例2の汚水処理装置は、各処理槽の基本的構成及び使用資材は実施例1と同様であるが、図3に示すように、生物学的処理、酸化処理、塩基処理、ろ過処理を2回行うものとした。また、糞尿と洗浄水とを混合する混合槽を設け、固液分離処理と沈殿分離処理とを同時に行うようにした固液・沈殿分離処理槽を設けた。さらに、ろ過処理の直前と直後には、撹拌と散気管の曝気操作のみをする撹拌処理を行うようにした。この本実施例2の場合では、最終処理水の中和処理は行わなかった。
図3に示す各処理槽内の基本構造は実施例1と同様で、混合槽が5.0m3、固液・沈殿分離処理槽が5.0m3、油脂分離処理槽が1.1m3、生物学的処理槽(1槽当たり)が0.7m3、酸化処理槽(1槽当たり)が0.7m3、塩基処理槽(1槽当たり)が1.1m3で、ろ過処理槽(1槽当たり)が0.7m3で、撹拌処理槽(1槽当たり)が0.7m3で、土壌処理槽1.1m3であり、総容量20m3とした。
固液・沈殿分離処理では、5mm間隙の櫛歯を有したスクリーンを使用して、比較的大きめの固形物を除去するとともに、曝気操作により好気性細菌の活動を活発化することで汚泥を生成させて、その汚泥を沈殿除去した。油脂分離槽には、植物の故死体として広葉樹の木屑を用い、約0.4m3充填した。ろ材として、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径1〜10mm程度に粉砕した木炭と、籾殻と、セメントと、水酸化カルシウムとにより形成した炭素系ろ材を0.4m3充填した。炭素系ろ材の構成容量比率は、実施例1と同じものとした。着床のための木炭は、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径50〜100mm程度に粉砕したものを、2.6m3使用した。
塩基処理では、工業用水酸化カルシウム20kgを水500Lで希釈した水酸化カルシウム溶液を用い、4L/Hrの添加量にて連続的に添加するものとした。ろ過処理では、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径50〜100mm程度に粉砕したものを0.9m3充填した。また、オゾン(ロキノテク社製オゾン発生装置)は、5g/Hrで供給を行った。最終処理の土壌処理は、実施例1で説明したものと異なり、広葉樹を熱変換(炭化)し、直径50〜100mm程度に粉砕したものを0.4m3底部に敷き詰め、その上から砂利1.0mを堆積し、その砂利表面へ処理水を放水して通過させた。
処理対象となる汚水は、1日に排出される糞尿100Lと洗浄水200Lとを混合したものを用い、水等による希釈は特に行わないようにした。また、塩基処理槽の底部に沈殿する汚泥は、毎日に排出して堆肥舎に搬送した。
表9には、本実施例2における汚水処理試験について、汚水処理開始後1日目から125日目までにおいて、沈殿分離処理槽から流出した汚水(図3中102)と、最終処理水(図3中114)から放出される処理水を採取して分析した結果を示している。分析項目は、pH(JISK0102-12.)、BOD(JISK0102-21,32.3)、COD(JISK0102-17.)、SS(昭和46環境庁告示第59号)、T−N(JISK0102-45.2)、T−P(JISK0102-46.3.1)、色度(厚省令56別表6-1)、濁度(JISK0101-9.4)、色(目視)、透視度(透視度計)、大腸菌群数とした。尚、表9において、第1、29、64、92日目の各測定結果グループと、第17、49、80、107、125日目の各測定結果グループとは、分析の信頼性を保証するために、この2つのグループの分析を別々測定業者(環境計量士)に依頼して行った。このような理由により、この2つのグループの測定結果において、色、色度、濁度、透明度、大腸菌群数に関して、測定された項目と測定されていない項目とが存在する。
Figure 0003133004
表10には、表9に示す測定結果に基づき、各サンプル日における除去率(BOD、COD、SS、T−N、T−P、色度、濁度)を算出した結果を示している。この除去率は、例えばBODで説明すると、各サンプル日の固液・沈殿分離槽から排出した汚水のBOD値から最終処理水のBOD値を引いた値を、固液・沈殿分離槽から排出した汚水のBOD値により除して、百分率(%)で示したものである。また、色度、濁度についても、同様な算出法により得られた値を、便宜的に除去率として示した。
Figure 0003133004
表10を見ると判るように、第1、17、29、49、80日目においては、全ての項目でほぼ90%以上の除去率であることが確認された。また、表9に示すように、固液・沈殿分離処理後の汚水は、目視で確認すると濃茶色でかなり高い着色状態であるものの、最終処理水では透明或いはやや茶褐色程度にまで脱色されていた。このことは、色度及び濁度の測定結果からも同様に確認された。
ところが、表10中、第64、92、102、125日目において、T−N及びCODの除去率が低下した結果となった。この現象を考察したところ、まず第64日目の処理能力の低下原因は、前日に行った汚水処理装置のメインテナンスによるものと考えられた。この装置のメインテナンスは、土壌処理槽に構成する木炭(広葉樹を熱変換し、直径50〜100mm程度に粉砕したもの)を交換したのであるが、このメインテナンスの結果、サンプル採取を行った翌日までに、各処理槽での安定した処理が定常的になっていない状態であったためと考えられる。
また、第92、102、125日目において処理能力が低下した原因は、処理対象である汚水の温度が極端に低下したためと考えられた。表10における第1〜80日目の時期は、設置した汚水処理装置周辺の気温も高く、汚水温度は20〜10℃であったが、90日目以降では周囲の気温が急激に低下し、第92日目の時は、汚水温度が1℃を下回っていた。つまり、処理対象である汚水温度が低下し過ぎると、本考案の汚水処理装置では処理能力が低下することが確認された。
次に、本実施例2の汚水処理試験の第80日目において、汚水処理装置の各処理槽の排出部分(図3中に示した101〜114)から評価サンプルを採取し、分析を行った。分析項目はpH、COD、T−N、T−Pである。その結果を表11に示す。
Figure 0003133004
表11を見ると判るように、塩基処理槽から排出されたサンプル(図3中107と109)では、その直前酸化処理槽から排出されたサンプルよりも、COD、T−N、T−Pの各値が大幅に減少していることが確認された。この表11の結果と、表10で示した汚水温度による処理能力の低下結果とを合わせて考えると、本考案に係る汚水処理方法では、塩基処理における液温は処理能力上重要な因子であることが判った。そして、水酸化カルシウムの溶解性も考慮すると、塩基処理では、最低でも液温は2℃以上あることが望ましいと考えられた。
また、本実施例3の汚水処理装置では、試験期間中、塩基処理槽の汚泥の排出、及び土壌処理槽の木炭交換以外については、特段のメインテナンス(炭素系ろ材、その他の木炭の交換)は全く行わなかった。つまり、本考案に係る汚水処理装置は、ろ材の目詰まりや沈殿物などの影響による装置メインテナンスの負担は少なく、長期連続的な処理を行っても、安定した処理能力を実現できることが判明した。
本実施例3では、実施例1の汚水処理装置と同様な処理が可能なビーカーレベルの汚水処理試験装置(以下、ビーカー試験装置と称する)を作成して評価した結果について説明する。このビーカー試験装置は、使用する資材(オゾン、水酸化カルシウム、炭素系ろ材、木炭)は実施例1と同じもので、装置規模は実施例1の1/400スケールで、1日1Lの処理が行えるものとした(最終処理水の中和処理は行わなかった)。そして、本実施例3では、このビーカー試験装置を用いて、メタン発酵設備から排出される消化液の浄化処理試験を行った。対象としたメタン発酵設備は、おから、牛糞尿、豚糞尿、藁・おが屑、管理排水を処理し、1日当たり65.2トンの処理能力のある設備で、消化液は1日当たり38m排出される。この消化液は、現状、そのまま液肥として圃場に直接散布することで廃棄処理していたものである。本実施例3では、この消化液10Lを3回採取して、別々に3回評価を行った。ビーカー試験装置は、1日1Lの処理能力のため、消化液10Lを10日間にわたって汚水処理をした。処理前の消化液及び最終処理水(ビーカー試験装置による処理10日目のもの)について、BOD、COD、T−N、T−P、色度、濁度の分析を行った。その結果を表12に示す。
Figure 0003133004
表12を見ると判るように、消化液自体は、非常に高いBOD、CODの値であり、T−N、T−Pも高い値であった。また、消化液の色は、ほぼ黒色で、色度、濁度は検出限度を超えるほどの着色状態であった。このような高負荷状態の消化液を、ビーカー試験装置により浄化処理したところ、BOD、COD、T−N、T−Pの全てにおいて、大幅に削減された。また、3回の処理試験の結果から、消化液の汚染度合いがある程度の変動を生じても、安定した処理能力を維持できることが確認された。さらに、消化液の着色は、ほぼ透明レベルになるまで、その色素成分の除去が行えることが判った。この結果より、消化液をそのまま圃場等に散布すると、窒素による地下水汚染、COD、BODによる富栄養化現象による水質汚濁が懸念されるが、本考案に係る汚水処理を行うことにより、地下水汚染や河川等の水質汚濁の問題は解消されることが判った。
本実施例4では、実施例3と同じビーカー試験装置を用いて、実施例2の酪農家がある村落における農村集落排水を浄化する処理試験を行った結果について説明する。この農村集落排水の浄化試験は、表13に示すようように、予め一般浄化処理を行った低負荷汚水を、さらに実施例3と同じビーカー試験装置で処理することで、どの程度まで浄化可能であるかを調査したものである。対象とした農村集落(人口約900人)排水は、生活排水、その他雑排水からなるもので、1日当たり243m排出されるものであった。処理対象の低負荷汚水は、この農村集落排水を予め一般浄化処理設備により浄化処理したものを使用した。この一般浄化処理をした汚水は、現状、そのまま河川等に放流して廃棄処理していたものである。本実施例4では、この一般浄化処理済み汚水10Lを4回採取して、別々に4回評価を行った。ビーカー試験装置は、1日1Lの処理能力のため、一般浄化処理済み汚水10Lを10日間にわたって汚水処理をした。処理前排水、一般浄化処理済み汚水及び最終処理水(ビーカー試験装置による処理10日目のもの)について、BOD、COD、T−N、T−P、色度、濁度の分析を行った。また、その際に臭気についても調査した。その結果を表13に示す。
Figure 0003133004
表13を見ると判るように、一般浄化処理済み汚水自体は、非常に低いレベルのBOD、COD値であり、T−N、T−Pも低い値であった。また、一般浄化処理済み汚水の色は、薄い褐色であった。またその臭気は、カビの臭いがするものであった。このような一般浄化処理済み汚水を、ビーカー試験装置により浄化処理したところ、BOD、COD、T−N、T−Pの全てにおいて、さらに削減されることが確認された。また、処理水の着色は、ほぼ透明レベルになるまで、その色素成分の除去が行えることが判った。さらに、臭気については、カビ臭が全くなくなり、無臭となっていることが確認された。この結果より、本考案に係る汚水処理は、低負荷の汚水に対しても有効に処理能力を発揮することが判った。
実施例1における汚水処理装置の概略断面図。 実施例1における土壌処理槽の概略断面図。 実施例2における汚水処理装置の概略フロー図。
符号の説明
1 固液分離用の処理槽
11 スクリーン
2 沈殿分離用の処理槽
21 仕切板
3 油脂分離用の処理槽
31 故死体
32 油脂分離部
4 生物学的処理用の処理槽
41 炭素系ろ材
42 ろ材充填部
5 酸化処理用の処理槽
51 木炭
52 着床部
53 オゾン供給装置
6 塩基用の処理槽
61 水酸化カルシウム
62 木炭
63 塩基処理部
64 撹拌手段
65 投入器
66 仕切板
7 ろ過用の処理槽
71 木炭
72 ろ過部
73 蓋
8 土壌処理槽
81 土壌層
82 木炭層
83 容器
84 架台板
85 流入管
86 集水管
87 散気管
88 水洗管
89 配水管
A〜D 測定ポイント
R 洗浄水
S 散気管
m 汚泥

Claims (5)

  1. 処理対象である汚水から浮遊固形物を沈降させるとともに好気状態にして汚泥を発生させて沈殿させる沈殿分離槽と、
    沈殿分離した汚水中から、木質を構成するリグニンを利用して油脂分を取り除く油脂分離槽と、
    微生物により汚水中の有機物を分解させる生物学的処理槽と、
    汚水中の有機物や無機物を、オゾン又は酸素と接触させることにより酸化させる酸化処理槽と、
    酸化処理した汚水からリン及び窒素を除去するとともに該汚水中の色素成分を除去する塩基処理槽と、を備える汚水処理装置であって、
    酸化処理槽は、炭素材を充填した着床部と、該着床部にオゾン又は酸素を供給する酸化ガス供給部とが設けられており、
    塩基処理槽は、酸化処理した汚水に水酸化カルシウムを接触させる塩基処理部が設けられていることを特徴とする汚水処理装置。
  2. 塩基処理部は、水酸化カルシウムに加え、木炭、骨炭、珪藻土、カオリンのいずれか1種または2種以上を、汚水に接触させるものである請求項1に記載の汚水処理装置。
  3. 塩基処理槽から流出する処理水を、ろ過材を充填したろ過部によりろ過処理をするとともに処理水から発生する気体を脱気することができるろ過槽をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の汚水処理装置。
  4. ろ過槽から流出するろ過済み処理水を中和処理する中和槽を更に備える請求項3に記載の汚水処理装置。
  5. 生物学的処理槽は、炭素材と穀物廃材と固化材と水酸化カルシウムとからなる炭素系ろ材を備えたものである請求項1〜請求項4いずれかに記載の汚水処理装置。
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