JP3127886U - 化学反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ニードルにより反応槽から液体を吸引排出するに際して試料の吸引を防止し、以て、比較的簡単な装置構成でありながら反応収率の高い化学反応装置を提供する。
【解決手段】ニードル3により反応槽1から液体を吸引排出するように構成された化学反応装置において、液体と固体を分離する濾過材から成り、ニードル3と試料2を隔離する可動隔離部材5を、ニードル3下方の反応槽1内に挿入可能に設ける。このように構成することにより、液体を反応槽1から排出するに際して、可動隔離部材5を反応槽1に挿入して試料2を反応槽1の底部に押さえ込み、可動隔離部材5の上方に挿入したニードル3により液体のみを吸引排出することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本考案は、例えば多種品目同時化学反応装置等、主に実験室で用いられる化学反応装置に関する。
従来の実験室用化学反応装置の代表的な例では、プラスチック製の反応槽(例えばマイクロタイタープレート)にポリスチレンビーズ等から成る固相支持体(以下、一般化して固体と記す)に保持された試料を入れ、この反応槽に可動式のニードルを挿入して反応液や洗浄液を注入し、反応や洗浄が終了した後にこれらの液体を前記ニードルで吸引して排出するように構成されていた。
また、反応槽の底部にフィルタ付きの液体排出口を設け、このフィルタにより液体と固体を分離して液体のみを排出するように構成したものもあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−343359号公報
上記の従来技術のうちニードル吸引により反応液や洗浄液を排出する方法は、液体の供給と排出を共通のニードルで行うため装置構成が簡単になる利点があるが、固体の一部が液体と共に吸引されることにより固体上に保持されている試料の損失を生じることが欠点であった。また、試料の一部がニードルの表面に付着して持ち去られることによる損失も問題であった。
一方、反応槽の底部からフィルタを通して液体を排出する方法では、排出に際して試料が損失するおそれはないが、フィルタで濾過するための加圧や吸引など別の駆動系を必要とするため、装置構成が複雑化することが問題であった。
本考案はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ニードルにより反応槽から液体を吸引排出するに際して固体の吸引を防止し、以て、比較的簡単な装置構成でありながら反応収率の高い化学反応装置を提供することを目的とする。
本考案は、上記課題を解決するために、ニードルにより反応槽から液体を吸引排出するように構成された化学反応装置において、液体と固体を分離する濾過材から成り、ニードルと試料を隔離する可動隔離部材を、ニードル下方の反応槽内に挿入できるように設ける。このように構成することにより、液体を反応槽から排出するに際して、可動隔離部材を反応槽に挿入して試料を含む固体を反応槽底部に押さえ込み、可動隔離部材の上方に挿入したニードルにより液体のみを吸引排出することが可能となる。
本考案は上記のように構成されているので、試料の損失を伴うことなく液体を反応槽から排出することが可能となり、反応収率が向上する。
本考案が提供する化学反応装置は次のような特徴を有する。即ち、第1の特徴はニードルと試料を含む固体を隔てる可動隔離部材を反応槽に挿入するように構成した点にあり、第2の特徴は該可動隔離部材を液体を通し固体の通過を阻止する濾過材で構成した点である。従って、最良の形態の基本的な構成は上記2件の特徴的構成を具備する化学反応装置である。
図1に本考案の一実施例を断面図で示す。同図において、1は有底円筒状の反応槽、2はその中に入れられた試料(正確には試料を保持した固体であるが、以下、試料と略記)、3は可動式のニードルで、上下方向及び水平方向に図示しない駆動機構により移動させることができる。4は、反応液、洗浄液、抽出液等の液体であるが、ここでは仮に反応液とする。5は、メッシュ状または多孔質材料で作られた傘形の可動隔離部材であって、ニードル3よりも下方に位置して、ニードル3と試料2とを隔て、ニードル3で反応液4を吸引排出する際に試料2がニードル3に吸い込まれることを防ぐ役割を担う。可動隔離部材5は、柄5aを介して駆動機構に連結されている。即ち、柄5aの上端はクランク6に連結されており、パルスモータ7を駆動操作することで柄5aが上下動し、これにより可動隔離部材5を上下方向に移動させて反応槽1に挿入・抜出することができる。5bは、柄5aを可動隔離部材5に対して搖動可能にするための自在継手である。図1中に示す点線部はニードル3及び可動隔離部材5を最も深く挿入した状態を示す。
上記のように構成された本実施例の動作過程の一例を以下に説明する。
(1)予め試料2を入れた反応槽1に、図1に実線で示す位置までニードル3及び可動隔離部材5を挿入し、ニードル3から反応液4を注入する。可動隔離部材5は液透過性材質で作られているから、反応液4を可動隔離部材5の上から注ぐことで注入することができる。
(2)所定の温度条件下で試料2と反応液4との間で反応が進行する。この間、必要に応じ、図示しない撹拌機構により反応槽1に振動を与えて撹拌を行うことにより反応を促進させる。
(3)反応終了後、点線で示す位置までニードル3及び可動隔離部材5を挿入することにより試料2を反応槽1の底部に押さえ込み、この状態でニードル3により反応済みの反応液4を吸引し排出する。この状態では、ニードル3は可動隔離部材5により試料2から隔離されているので、試料2を吸い込むことを危惧することなく液体を排出することが可能である。
(4)反応液4を洗浄液に替えて上記(1)〜(3)を繰り返すことで洗浄を行う。但し、上記中の「反応」「反応液」はそれぞれ「洗浄」「洗浄液」に読み替える。
(5)その後、洗浄液を抽出液に替えて上記(1)〜(3)と同様の過程により、反応生成物を抽出し回収する。但し、上記中の「反応」「反応液」はそれぞれ「抽出」「抽出液」に読み替える。
以上、固相反応を例示して説明したが、本考案はこれに限定されるものでなく、例えばゲル中に存在する化合物や官能基を試料とする反応、より具体的に例示すれば、電気泳動で分離されたゲル中のタンパク質、ペプチド、またはDNAなどを試料とする反応等にも効果的に適用することができる。
なお、図1に例示する可動隔離部材5の形状は上に凸の傘形であるが、その形状はこれに限らず、例えば、平板形、椀形、下に凸の傘形等も可能である。
また、上記実施例の説明においては反応過程で反応槽1内の物質を撹拌する際に、別個に設けた撹拌機構を利用するものとしたが、液中に挿入された可動隔離部材5を上下に往復運動させる(図1の構成例ではパルスモータ7を廻す)ことにより撹拌するように構成されている。このように構成すれば、別個に撹拌機構を備える必要が無く自動化もできる。しかも装置構成を簡単化できる。
本考案は、例えば多種品目同時化学反応装置等、主に実験室で用いられる化学反応装置に利用できる。
本考案の一実施例を示す図である。
符号の説明
1 反応槽
2 試料
3 ニードル
4 反応液
5 可動隔離部材
5a 柄
5b 自在継手
6 クランク
7 パルスモータ

Claims (3)

  1. 固体に保持された試料物質に反応槽内で反応液を作用させて化学反応を行う化学反応装置であって、前記反応槽から液体を吸引して排出するニードルと、液体を通過させるが前記固体の通過を阻止する濾過材から成り前記固体と前記ニードルとの間を隔てる可動隔離部材とを設けていることを特徴とする化学反応装置。
  2. 可動隔離部材を往復運動させることにより反応槽内の物質を撹拌する撹拌機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の化学反応装置。
  3. 前記可動隔離部材が前記反応槽に挿入可能であり、下または上に凸、平板形、椀形のいずれかの形状である請求項1または請求項2に記載の化学反応装置。
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