JP3127028U - ミトコンドリア模型 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミトコンドリアの機能に関する高度で専門的な知識と共に、ミトコンドリアが構造変化を起こすことを、機能と関連させて分かりやすく説明できる手段を提供する。
【解決手段】ミトコンドリアの外膜を表す3次元立体構造を形成する硬質素材からなる筐体と、該筐体の中に、該筐体に脱着可能に内嵌される3次元立体構造を形成する内膜部の複数箇所が内部に陥入してクリステ部が形成された内部部材と、該内部部材のクリステ部表面に基本粒子を表す突起物が形成されていることを特徴とするミトコンドリア模型である。特に前記内部部材の内側に形成されるクリステ部及び/又は内膜部の一部に複数の穴が設けられ、該穴に突起物を指し込み、固定することができ、該突起物を脱着可能であることが好ましい。
【選択図】図5

Description

本考案は、教育用教材であって、特に生体の細胞内において、エネルギー産生器官として働くミトコンドリアを説明するにあたり、視覚的理解の助けとなるようなミトコンドリアの模型に関する。
ヒトを始め多くの真核生物の細胞において、ミトコンドリアがエネルギー産生の主要な役割を担っていることは周知の事実である。ミトコンドリアによるエネルギー産生は全ての生物において共通のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate;以下ATPと記す)を合成するという形で行なわれており、ミトコンドリア内には多
種の酵素が存在している。このため、ミトコンドリアが異常を来たすとその細胞に障害が生じ、ひいては組織、器官、身体へと影響が現れる。
ここで、ミトコンドリアが異常をきたす原因としては、ミトコンドリアが独自に有するミトコンドリア遺伝子に変異があることによる異常、ミトコンドリアで機能する蛋白質をコードする核遺伝子に変異があることによる異常又は外的原因によりミトコンドリアが機能障害を起こすことによる異常が挙げられる。しかし、現代医療においては、前二者のみに注意が注がれるあまり、外的原因によるミトコンドリアの機能障害が全く見落とされてしまっている。このため、医療現場において誤った認識がコンセンサスとなっており、簡単な原因による病状にまで、原因不明の奇病である、免疫疾患は根治できない、といった診断がなされているのが現状である(非特許文献1)。
したがって、医師の診断をしっかりと理解する為にも、ミトコンドリアに関する知識は非常に重要である。しかし、ミトコンドリアに関する専門的な知識は、医学書、学術論文といった、一般の人々には馴染みの無い、読んで理解するには非常に困難を伴うものでしか得ることができない。一方、一般の人々向けに解説を試みた啓蒙書の類は、分かりやすさを求めるあまり、専門性の低くなったものが多い。また、興味を持ち、先の知識を得ようと思ったときに、適当な知識を得られる適切な書物が無い。
究極の免疫力 西原克成著 講談社インターナショナル 第5回日本免疫病治療研究会講演論文集(2004年)pp43−64 新ミトコンドリア学 内海耕慥、井上正康著 共立出版
そこで本考案は、医学・生物学に関する高度な知識を有さない者にも、ミトコンドリアの機能に関する高度で専門的な知識を分かりやすく説明する手段を提供することを目的とする。更に、複数種のミトコンドリアの構造の違い、又は同一のミトコンドリアが構造の変化を起こすことを、ミトコンドリアの機能と関連させて分かりやすく説明できる手段を提供する。
そこで本考案は、これまでは書物により、文章、図又は写真のみで解説されていたミトコンドリアに関する専門的な知識を、視覚的、感覚的に把握することができるように3次元の立体模型に仕上げることにより達成した。これにより、これまでの手段と比べて飛躍的に容易にミトコンドリアの機能を解説することが可能となった。模型として現しても決して専門性を下げることなく、専門書を紐解かなければ得られない知識を限りなく分かり
やすく盛り込むことを目的とし、中高生にも分かりやすく、なおかつ興味を引くような啓蒙的な模型であることを特徴とする。
すなわち、本考案は以下の構成を採用する。
(1)本考案は、ミトコンドリアの外膜を表す3次元立体構造を形成する硬質素材からなる筐体と、該筐体の中に、該筐体に脱着可能に内嵌される3次元立体構造を形成する内膜部の複数箇所が内部に陥入してクリステ部が形成された内部部材と、該内部部材のクリステ部表面に基本粒子を表す突起物が形成されていることを特徴とするミトコンドリア模型である。
このようにミトコンドリアを立体模型に仕上げることにより、これまで書物でのみ、つまり2次元平面でのみ説明されていたミトコンドリアの構造を、3次元で表すことが可能となる。図8に示す通りミトコンドリアは、外膜81、内膜82、内膜82が内側に陥入してできるクリステ83を基本構造としており、この2層の膜構造により、ミトコンドリア内部は膜間領域84とマトリックス85とに分けられている。本考案のミトコンドリア模型は、手にとって良く観察できるため、これらのミトコンドリア構造の理解を容易にする事が可能となっている。
図1は、本考案に係るミトコンドリア模型の態様を示す分解斜視図である。本考案において、ミトコンドリア模型の内部構造の観察を可能とするために、ミトコンドリアの外膜を表す筐体1及び、内膜・クリステ・基本粒子を表す内部部材2は、図1(a)のように長手方向に2分割した場合の片側のみが挙げられる。ここで、筐体1と内部部材2とは固定されていても、脱着可能となっていてもよい。
また図1(b)のように、ミトコンドリアを表す筐体1のみが2分割されていて片側が蓋部として着脱可能になっていてもよい。さらに、蓋部が向かい合う筐体1又は内部部材2とヒンジを介して開閉可能になっていたり、図1(c)のように外膜全体の一部を欠損していたりすることにより開口部を形成してもよい。
このような構造にすることで、必要に応じてミトコンドリアの内部を視認でき、また手にとって触れることも可能としているのである。これにより、ミトコンドリアの内部構造への好奇心をかきたたせることができる。更にミトコンドリアの形状は、細胞種により、筒状のもの、球状のもの、円盤状のもの等様々であるため、本考案のミトコンドリア模型の筐体1は、説明の目的に合わせた形状とすることが好ましい。
また、ミトコンドリアは細胞種によって形状が異なるばかりでなく、同一細胞内のミトコンドリアでもその機能発揮時には通常時と形態を変化させる事が知られている。本考案においては、筐体の異なる模型を用意して説明に利用することにより、細胞種によるミトコンドリアの形態の違いを説明することができる。また、本考案に係るミトコンドリア模型は、内部部材が筐体から出し入れ可能とすることができるため、1つの筐体を用いて、2種類の内部部材の説明をする事が可能となっている。これにより、1つのミトコンドリアの内部構造がその機能とともに変化することの説明を分かりやすくすることができる。
例えば、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンによって刺激された副腎皮質細胞、精巣、卵巣の細胞内のミトコンドリアはステロイドホルモンを産生することが知られているが、通常時はチューブ状をしたクリステが、ステロイドホルモン生合成を行なうときにはベシクル(小胞)状になる(非特許文献3)。このような現象を説明する場合に有効であり、図2のようにチューブ状のクリステを有する内部部材と小胞状のクリステを有する内部部材の両方を用意することにより、説明を容易に判り易くする事ができる。
本考案に係るミトコンドリア模型はプラスチックやエラストマーを用いて作製することができる。プラスチック製にした場合は硬質なため手にとって観察しやすく、エラストマ
ー製の場合には変形するためよりリアルな感覚を体験させる事が可能となる。筐体をプラスチック製にして、内部部材をエラストマー製にすると、模型の持ち運びが簡便になり、観察もさせやすくなり好ましい。
(2)本考案は、前記内部部材の内側に形成されるクリステ部及び/又は内膜部の一部に複数の穴が設けられ、該穴に突起物を指し込み、固定することができ、該突起物を脱着させる事が可能であることを特徴とする上記(1)に記載のミトコンドリア模型である。
ミトコンドリアには、クレブス回路(クエン酸回路、TCA回路、トリカルボン酸回路とも呼ばれる)及び電子伝達系によるATP産生に関わる蛋白質が多数存在している。他にも、細胞質内からミトコンドリア内への物質輸送に関わる蛋白質、アポトーシスに関与する蛋白質、及びヘム蛋白質、ステロイドホルモン若しくはコリンの生合成に関わる酵素類等、非常に多岐に亘る蛋白質が無数に存在している。これらは、ミトコンドリアの外膜、内膜、クリステ、マトリックスに膜性、液性蛋白質として存在しているが、ミトコンドリアの有する蛋白質の約75%は内膜に存在している。これらの内膜及びクリステに存在する蛋白質の殆どは基本粒子とされるATP合成酵素である。
図3は本考案に係るミトコンドリア模型の断面斜視図と部分拡大図であり、ミトコンドリアの内膜部、クリステ部に無数の基本粒子が存在している例を示している。
本考案により、これら無数の蛋白質をそれぞれ、形状を変える、色分けをする等の工夫により説明を容易にする事ができる。特に、形状を変えたうえで色分けをした場合には、それらの存在比率を視覚によって把握することが可能となる。また、存在部位の特徴等も記憶に残りやすいものとなる。更に図4に示すように、基本粒子を突起物(基本粒子部材)40として表し内膜部材42から取り外し可能としておくことにより、その付け替えを体験させ、初学者の興味をひかせる、啓蒙的な模型とすることができる。もちろん基本粒子(ATP合成酵素)以外のタンパク質を突起物状に表してもよく、その形状も特に限定されるものではない。
(3)本考案は、前記突起物がシート状部材に固定されていて、該シート状部材が内部部材のクリステ部表面及び/又は内膜部と着脱可能になっていることを特徴とする上記(1)に記載のミトコンドリア模型である。
前記(2)に記載の考案と同様に、基本粒子を脱着可能としているが、本考案の場合には突起物(基本粒子部材)をシート状部材に固定していて、シート部材と内部部材とを脱着可能としている。このため、シート部材を取り外し、このシート部材に固定されている基本粒子に注目させ、これらに関する説明を強調し、印象付けることが可能となっている。
例えば図5に示す様に、基本粒子を表す突起物(基本粒子部材)50を複数固定したシート状部材56の底面にマジックテープ(登録商標)を形成して作製し、更に内部部材のクリステ部を該シート部材と着脱可能なマジックテープ(登録商標)や、布製にしておくことにより、クリステ部の膜表面にどのようなタンパク質が存在しているのかを観察させることが可能となる。
また基本粒子(ATP合成酵素)を表す突起物(基本粒子部材)は図6に示すように、より現実に近い精巧なモデルにしてもよい。この場合図7に示す様に、ATP合成酵素のF部分とF部分とが取り外し可能となっていて、F部分のみが内膜部材又はシート部材に固定されていて、F部分のみを初学者が付け替え可能となるようにしてあってもよい。
(4)本考案は、前記筐体及び/又は内部部材が透明であり、前記ミトコンドリア模型の
外部から、該ミトコンドリア模型の内部を観察できることが可能なことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか一に記載のミトコンドリア模型である。
このように、筐体又は内部部材を透明な部材で作製することにより、外側から内部構造を視認することが可能となり、内膜及びクリステを構成する膜が外膜の中にどのように収まっているのかをより本物のミトコンドリアに近い状態で観察することが可能となる。
本考案に係るミトコンドリア模型により、医学・生物学に関する専門的な知識を有さない者にも、ミトコンドリアの機能に関する高度な専門知識を分かりやすく説明することが可能となる。特に、ミトコンドリアの内部構造を認識させるのに有効であり、同一ミトコンドリアにおける通常時と機能発揮時におけるクリステの形状の違い、異なる細胞におけるミトコンドリアの外形の違い等を説明することを容易にする。
以下、ミトコンドリアに関する教育を行なう際の説明例により、本考案に係るミトコンドリア模型を説明する。
(ミトコンドリアの構造についての説明例)
ミトコンドリアは細胞小器官の一つであり、その主要な生理的役割は、生体内においてエネルギー源とされるATPを産生することである。ミトコンドリアの外形は、筒状のもの、円盤状のもの、複数のミトコンドリアが相互作用してひも状に連なったもの等、生物種、細胞種によって異なるが、典型的なものは筒状をしている。その大きさは、直系0.5μm、長さ1μm程度であり、通常のバクテリアの大きさにほぼ等しい。
ミトコンドリアは内膜と外膜の2層の膜構造を有し、外膜と内膜に挟まれた、膜間領域(又はシュガースペース)、内膜に囲まれたマトリックス、と呼ばれる領域に分けられる。更に、内膜は内部に向かって(マトリックス方向に)陥入して、複雑な折畳み構造のクリステを形成している。クリステの構造は細胞の種類によって異なり、更に、エネルギー、栄養状態によってもダイナミックな変化をする。マトリックスはゲル状であり、クレブス回路などの水溶性酵素、基質、イオン等が存在している。
またミトコンドリアは、細胞内の核に収められたDNA(以下、核DNAと記す)とは別にミトコンドリア独自のDNA(以下、mtDNAと記す)を有しており、このmtDNAもマトリックス内に存在する。mtDNAは裸のまま存在しているのではなく、タンパク質やRNAと共に高度に組織化された状態で存在しており、ミトコンドリア核(核様体)と呼ばれている。ミトコンドリア核(以下、mt核と記す)の形やサイズは生物種によって異なり、更に同一の生物であってもmt核のサイズと含まれるmtDNA分子数は増殖や生活環の生物活性に応じて著しく変動する。また、DNA、RNA、タンパク質合成系などのミトコンドリア独自のゲノム発現系もこのマトリックス内で働いている。
以上のような一般的なミトコンドリアの構造に関する教育を行なう際にも本考案のミトコンドリア模型は有効である。つまり、筐体の外形が異なる複数の模型を観察させたり、筐体を開いて内部部材の構造を観察させたりすることにより、専門的な知識をより分かりやすく説明することが可能である。
(ミトコンドリアの機能についての説明例1)
−ATP産生−
ミトコンドリアは細胞小器官としてATP産生、ステロイドホルモンの合成、アポトーシスの補助等、様々な機能を有する。
特に、ATPは全ての生物に共通のエネルギー源として利用されており、その産生の役割を担うミトコンドリアの機能は非常に重要である。すなわち、ATP産生に異常を来たすと、細胞の全ての活動がうまくいかなくなるため、その器官の働きが駄目になり、その結果、身体レベルで、むくみ、慢性疲労、身体が常にだるい、という症状があらわれる。
このATP産生は、アセチルCoAがクレブス回路によって最終的に二酸化炭素と水に酸化分解される過程において生じる還元型ニコチンアデニンジヌクレオチド(以下、NADHと記す)又は還元型フラビンアデニンジヌクレオチド(以下、FADHと記す)を電子伝達系の基質とすることにより行なわれる。アセチルCoAは、糖代謝(解糖系)、脂肪酸代謝(β−酸化系)さらには、多くのアミノ酸代謝によって生じる。
解糖系によって生じたピルビン酸は細胞質からミトコンドリアに運び込まれてアセチルCoAとなり、その後、クレブス回路により酸化分解される。クレブス回路では、アセチルCoAを、クエン酸、イソクエン酸、2−オキソグルタミン酸、スクシニルCoA、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸へと分解して、オキサロ酢酸とアセチルCoAにより再びクエン酸を合成する。これらの代謝は、ミトコンドリアのマトリックス内にて行なわれ、各反応を触媒する酵素はコハク酸デヒドロゲナーゼを除いて全てマトリックス中に存在している(コハク酸デヒドロゲナーゼはミトコンドリア内膜に埋まっている)。そして、この回路により生じるNADH又はFADHは電子伝達系を通じて酸化されて再び酸化型ニコチンアデニンジヌクレオチド(以下、NADと記す)又は酸化型フラビンアデニンジヌクレオチド(以下、FADと記す)になる。
電子伝達系では、NADH又はFADHを基質として酸化が行なわれ、その際に生じるHのミトコンドリア内外への挙動によってATPを産生する事となる。電子伝達系の構成成分はミトコンドリア内膜に存在するが、それぞれが無秩序に存在するのではなく、4つの電子伝達複合体(OXPHOS複合体I〜IV)を構成し、その複合体の中には酸化還元反応を進めるために、必要な各種の因子が含まれる。膜内では整然と配列しているのではなく、流動的に配置して電子伝達活性が調節されている。
複合体I(NADH−CoQレダクターゼ)、複合体II(コハク酸−CoQレダクターゼ)、複合体III(CoQ−シトクロムcレダクターゼ)、複合体IV(シトクロムcオキシダーゼ;シトクロム酸化酵素)によってそれぞれ基質が酸化されるとともに、Hはミトコンドリアのマトリックスから外膜と内膜の膜間領域に運び出される。このため、正電荷の移動により電位差が生じ、マトリックス側の電位は低くなる。
こうして、Hの濃度勾配によりエネルギーが蓄えられ、Hが濃度勾配に沿ってマトリックスに戻るときにこのエネルギーが消費されてATPが産生される。その役割を担っているのがF−ATPシンターゼ(OXPHOS複合体V;ATP合成酵素)であり、この酵素がHをマトリックス側に運び込むと同じにアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸(Pi)からATPが産生される。F−ATPシンターゼはミトコンドリア内膜の内表面に並んでいる。
以上のようなミトコンドリアにおけるATP産生の説明をする際に本考案に係るミトコンドリア模型は有効である。特に、請求項2又は3に記載の考案のようにミトコンドリア内膜に存在する基本粒子を突起物で表し、更にそれが取り外し可能になっていることによって、説明を受ける者は手にとって感覚的に理解することが可能となる。
また、基本粒子、つまり複合体I〜IV、F−ATPシンターゼ等が色又は形状が異なって形成されている場合には、更に視覚的にその存在比、存在部位等を理解することが容易となる。色と形状がともに異なっている方が好ましい。また、基本粒子は電子伝
達系の構成成分以外にも、内膜又は外膜に存在するタンパク質を表すものが含まれていてもよい。
マトリックス中に存在する液性タンパク質(例えばクレブス回路に関する酵素等)は内部部材を透明な硬質素材で作製し、その中に液性タンパク質を表す部材を透明な液体とともに封入し、内部部材を密閉することによって、液状のマトリックス内に存在する液性タンパク質がどのような状態になっているのかを分かりやすくすることが可能である。
(ミトコンドリアの機能についての説明例2)
−ステロイド産生−
多細胞生物は環境の変化等に対応する為、細胞同士の相互作用・情報伝達を効率良く行なう必要がある。離れた場所に位置する細胞間での情報伝達の多くはホルモンを介して行なわれる。ホルモンはある特定の細胞から分泌され、標的細胞が発現している受容体に結合することによって、そのホルモンの有する情報を細胞内へと伝える。ミトコンドリアはこれらのホルモンのうち、ステロイドホルモンの生合成に関与している。また、ミトコンドリアはステロイドホルモンからの刺激を受け取る器官でもある。
ステロイドホルモンは、副腎皮質、生殖腺により分泌されるホルモンであり、コレステロールをもとに生合成が開始される。コレステロールはサイトゾルにエステル型で貯蔵されており、コレステロールエステラーゼによって遊離コレステロールになる。遊離コレステロールはミトコンドリアに運ばれて内膜のシトクロムP−450scc(CYP11A)によって側鎖を切断されてプレグネノロンになる。この側鎖切断反応はステロイドホルモン生合成過程の出発点であり、CYP11A活性の変動がステロイドホルモン分泌速度に大きく影響するため、重要な過程である。プレグネノロンは細胞質の小胞体膜に運ばれてその後の代謝を受ける。
このステロイドホルモン産生細胞中のミトコンドリアは多細胞のものとは異なる特徴的な耕造を有する。すなわち、ステロイドホルモン産生を行なっていない静止期の副腎皮質細胞内のミトコンドリアのクリステはチューブ状の耕造をしているが、副腎皮質刺激ホルモンからの刺激を受け取り、ステロイドホルモン産生が高まると、チューブ状のクリステがちぎれて、小胞様の構造へと変化する。このようにミトコンドリアはその発揮する機能によって形態を変化させることが知られている。
以上のような、ミトコンドリアがステロイドホルモンの産生に関与しており、その際に平常時と産生時とでクリステの構造を変化させるというような専門知識を本考案のミトコンドリア模型により分かりやすく説明することが可能である。特に、同じ筐体に対し、内部部材の異なる模型を用意することが有効である。また、小胞状のクリステを表す内部部材を用意する場合には、内部部材及び筐体を透明な硬質部材で作製することにより、模型の作製を簡便にし、なおかつ内部構造を容易に観察させることが可能となる。
(ミトコンドリアが原因となる疾病についての説明例)
これまでの説明のように、ミトコンドリアは生体において非常に重要な役割を担っており、正常に機能しているからこそ生命活動を維持できるのであって、その機能が損なわれた場合に大変な障害を引き起こすことは誰の目にも明らかなことである。しかし、一般にそのことに関する認識は低く、通常は、細胞内でATPを産生しているもの、という程度であり常に機能していて当然という感覚である。そのため、現代人の日常生活においてミトコンドリアにどれだけ負荷がかかっているのかを意識せず、また、医療の現場においても、ミトコンドリアの機能不全に起因する疾患に気づかずに難病であるとの診断がなされることがある。以下、それらの例を説明する。
ミトコンドリアの機能は温度依存性が高く、うまく機能するのは37℃のときである。したがって、ヒトの体内温度と同じであるため、体内はミトコンドリアの活動に非常に適した状態となっている。しかし、今日の生活において冷蔵庫で冷やされた4〜5℃の飲料水を飲むことは日常的なことであり、また、冷凍庫には冬でも常時アイスクリームが用意されている家庭が多く、現代人の体は冷やされやすい状態にあるといえる。特に、アイスクリームや氷のように凍っている物が溶かされるときには、融解熱を必要とし、腸は瞬く間に冷やされてしまう。
通常、腸には常在性の無害なバクテリアとして大腸菌のような腸内細菌が大量に存在するが、冷たい物により腸が冷やされると、腸のパイエル板からこれらのバクテリアが素通りで血液中に流入し、血流に乗って身体中へとばら撒かれてしまう。また、生の魚や魚介類の干し物を食べた後にも大量のバクテリアが腸内に持ちこまれるため、腸が冷やされた状態にある場合には同様の結果となる。
身体中にばら撒かれたバクテリアが細胞内に入り込むと、ミトコンドリアの細胞呼吸の働きが阻害されてしまう。これは、例えば好気性菌が細胞内に入り込んだ場合は、ミトコンドリアのクレブス回路と、電子伝達系の酸素や養分のグルコースを細菌が横取りしてしまうためである。また、嫌気性菌が細胞内に入り込むと解糖系がブロックされ、ミトコンドリアに持ちこまれるべきピルビン酸が枯渇してしまい、好気性菌の場合と同様にミトコンドリアのATP産性が阻害されてしまう。この結果、ミトコンドリアはエネルギー物質であるATPを産生することができなくなり、細胞もATP不足によって活動が低下する。細胞レベルのダメージは組織、器官の障害へと繋がり、最終的には身体に異常がおよぶこととなる。
このようなミトコンドリアのエネルギー代謝異常に起因する障害の引き金となるのは、腸が過冷却状態(体温から2〜3℃低下)にされた為(他にも、口呼吸、クーラー、睡眠不足等がある)であるから、体を充分に温め、栄養を補給すれば改善されるはずである。しかし、原因がバクテリアの細胞内感染にあると気づかずに、対処療法であるステロイド投与を安易に行なう医者も少なくない。
ステロイド剤は投与するとすぐに痛みが改善されるが、抗生物質のようにバクテリアを活動できなくするものではなく、ミトコンドリアの働きを闇雲に助けてATPを供給させるものである。したがって、バクテリアが細胞内にいてもATPが供給されている間は細胞の働きが回復されて一時的に症状が収まる。しかし、ステロイド剤の効果が切れてしまえば元の木阿弥であり、また、バクテリアを排除したわけではないので、身体中にバクテリアが蔓延してしまう。これを抑えるためには更に大量のステロイド剤が必要となり、やがて手の付けられない細菌感染を抱えながらステロイド依存状態へと陥ってしまう。
このような結果はミトコンドリアに関する知識不足に起因するものである。したがって、本考案に係るミトコンドリア模型により、上記のような説明を分かりやすく行なうことは非常に重要なことである。
本考案に係るミトコンドリア模型の筐体及び内部部材の一例を表す図である。 本考案に係るミトコンドリア模型の内部部材を表す別の例を表す図である。 本考案に係るミトコンドリア模型の更に別の一例を表す断面斜視図及び部分断面図である。 ピン状の基本粒子部材が内膜部材に嵌め込まれる状態を表す図である。 シート状部材に固定された基本粒子部材が内膜部材と脱着可能な状態を表す図である。 ATP合成酵素を表す部材が内膜部材に埋め込まれた状態を表す図である。 ATP合成酵素を表す部材の分解図である。 ミトコンドリアの構造を示す部分断面図である。
符号の説明
1 筐体(外膜部材)
2 内部部材
30 基本粒子部材
40 基本粒子部材
41 筐体(外膜部材)
42 内膜部材
50 基本粒子部材
52 内膜部材
56 シート状部材
60 ATP合成酵素を表す部材
62 内膜部材
70a ATP合成酵素のFを表す部材
70b ATP合成酵素のFを表す部材
81 外膜
82 内膜
83 クリステ
84 膜間領域
85 マトリックス

Claims (4)

  1. ミトコンドリアの外膜を表す3次元立体構造を形成する硬質素材からなる筐体と、該筐体の中に、該筐体に脱着可能に内嵌される3次元立体構造を形成する内膜部の複数箇所が内部に陥入してクリステ部が形成された内部部材と、該内部部材のクリステ部表面に基本粒子を表す突起物が形成されていることを特徴とするミトコンドリア模型。
  2. 前記内部部材の内側に形成されるクリステ部及び/又は内膜部の一部に複数の穴が設けられ、該穴に突起物を指し込み、固定することができ、該突起物を脱着させる事が可能であることを特徴とする請求項1に記載のミトコンドリア模型。
  3. 前記突起物がシート状部材に固定されていて、該シート状部材が内部部材のクリステ部表面及び/又は内膜部と着脱可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のミトコンドリア模型。
  4. 前記筐体及び/又は内部部材が透明であり、前記ミトコンドリア模型の外部から、該ミトコンドリア模型の内部を観察できることが可能なことを特徴とする、前記請求項1〜3のいずれか一に記載のミトコンドリア模型。
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JP2021139929A (ja) * 2020-03-02 2021-09-16 株式会社島津理化 顕微鏡用鏡筒、顕微鏡、顕微鏡の製造方法および実験方法

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JP2021139929A (ja) * 2020-03-02 2021-09-16 株式会社島津理化 顕微鏡用鏡筒、顕微鏡、顕微鏡の製造方法および実験方法
JP7218844B2 (ja) 2020-03-02 2023-02-07 株式会社島津理化 顕微鏡用鏡筒、顕微鏡、顕微鏡の製造方法および実験方法

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