JP3115596B2 - ヒト免疫不全ウィルス感染を阻止するペプチドとその使用法 - Google Patents

ヒト免疫不全ウィルス感染を阻止するペプチドとその使用法

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染と
細胞間におけるHIV誘発融合細胞の形成を抑止するペプ
チドに関する。これらのペプチドは、HIV感染の治療と
予防に有用である。
発明の背景 HIV−1は、ヒトの後天性免疫不全症候群(AIDS)お
よびAIDSに関連した症状(ARC)の主要な病因として認
められている密接に関連しあうウイルスのグループに与
えられた名称である。HIV−1は、HTLV−III、LAV、ARV
としても知られ、世界中で健康上の大問題となってい
る。
HIVは少なくとも7個の遺伝子を含む比較的複雑なレ
トロウイルスである。このウイルスのgag,pol,envと呼
ばれる構造遺伝子は、それぞれウイルスの核タンパク
質、逆転写酵素、ウイルス外被の糖タンパク質の遺子暗
号を有する。HIVのその他の遺伝子は、ウイルスの複製
に関与する副遺伝子である。gagとenv遺伝子は、重合タ
ンパク質を暗号化する。すなわち、これらの各遺伝子か
ら合成されるタンパク質は、翻訳後いくつかのより小さ
いタンパク質に分裂させられる。HIVゲノムのgagと特に
envの部分に暗号化されるタンパク質は免疫学的に重要
であることが既往の研究により明らかにされている。こ
れはgagとenv遺伝子の生成物に対する抗体が、HIVに感
染した患者の血清中に見出されるからである。
env遺伝子は、見掛けの分子量(Mw)約160,000ダルト
ンの糖タンパク質(gp160)を、翻訳後Mw120,000ダルト
ンのgp120とMw41,000ダルトンのgp41の2つの糖タンパ
ク質に分裂させて暗号化する。糖タンパク質gp120はウ
イルス外被の外部タンパク質であり、gp41は膜内外タン
パク質である。タンパク質gp120は細胞表面に露出する
ように非共有結合的にgp41と結合している。gp120,gp41
はともに免疫原性があり、これらのタンパク質に対する
抗体は、HIVに感染しているが無症候性の患者およびARC
やAIDSの患者から得られる血清中に容易に見出される。
HIVの外被タンパク質gp120は、T細胞表面タンパク質
CD4と結合する。このCD4はHIV受容タンパク質としても
知られている。タンパク質gp120は、HIV感染においてき
わめて重要である。なぜなら、gp120は細胞内にHIVを侵
入させるために強い親和力でCD4と結合するからであ
る。HIVに感染した細胞はgp120の細胞表面形状を呈し、
またその表面からgp120タンパク質の可溶性組織が流出
する。この細胞外の可溶性のgp120は、未感染細胞上でC
D4と強い親和力で結合し、未知のメカニズムによって細
胞の死をひきおこすと考えられている。感染した細胞が
溶解せず、その結果、gp120を呈する細胞の生存時間が
延長され、ウイルスとgp120の貯蔵庫として機能するこ
とは、HIV感染に特徴的なことである。
膜内外と細胞質ゾルの連鎖を欠く可溶性の組み換え型
CD4が、HIV感染および可溶性gp120を媒介とする細胞破
壊を阻止し得ることの発見によって強調されるように、
HIV感染は、CD4に結合するgp120に大きく依存してい
る。可溶性のCD4もまた、HIVに感染した細胞と可溶性の
gp120に結合する。(スミスら:“CD4抗原の可溶性分泌
組織によるHIV−1感染の阻止”のサイエンス、238,170
4−1706,1987年)しかし、治療薬としての可溶性CD4の
使用は高価であり、かつ供給と安定性に問題がある。さ
らに、CD4による治療の結果、CD4に特有な抗体が形成さ
れ、その結果自己免疫症患をともなう可能性がある。
(ウェーバー:“ウイルスの出口の遮断”、ネイチャ
ー、345,573−574,1990年)HIV感染は、細胞から細胞へ
の伝達によっても生じると考えられている。この感染形
態は、細胞外でのHIVとCD4の結合には依存せず、可溶性
CD4のような薬剤では防止できない。細胞から細胞への
伝達を生じさせるために、感染細胞は非感染細胞ととも
に融合細胞と呼ばれる媒介を形成して、ウイルスの直接
伝達を可能にする。融合細胞は光学顕微鏡で見ることが
でき、HIV感染の指標である。
HIV−1はAIDSの病因物質として初めて認められたの
で、このウイルス自体やこのウイルスが疾患を生じさせ
るメカニズムに関する研究、およびウイルスへの被曝や
感染を発見する診断検査の開発は大きく進歩した。HIV
ワクチンと治療法は、ウイルスの多相性と適当な動物モ
デルの不足のため進歩が遅かった。(例えば、マーチ
ン:“速効性スローウイルス”、ネイチャー、345,572
−573,1990年参照) AIDS治療に適する薬剤の製剤のために種々のアプロー
チがなされてきているが、それらの薬の全てではないに
せよ多くは強烈な副作用を生じるために、治療薬として
の有用性が大幅に制限されている。
薬剤の標的の一つは、ウイルスの増殖にとってきわめ
て重要なHIVタンパク質分解酵素である。HIVタンパク質
分解酵素は、アスパラギンタンパン質分解酵素であるた
め、H−261(tBoc−His−Pro−Phe−His−Leuψ[CHOH
−CH2]Val−Ile−His)やアセチルペプスタチンのよう
な薬剤によって抑制することができる。(リチャード:
“HIV−2のアスパラギンプロテイナーゼの抑制”、FEB
S Lett.,235,214−216,1989年)不幸にしてアスパラギ
ンタンパク質分解酵素の抑制剤は非選択性であるため、
生体内で中毒性を有する。また、HIVタンパク質分解酵
素を抑制するいくつかのペプチド類似化合物が発見され
ている。(ミークら:“ペプチド類似化合物による感染
T細胞内HIV−1タンパク質分解酵素の抑制”、ネイチ
ャー、343,90−92,1990年) 最近、HIVタンパク質分解酵素の二重対称抑制剤が発
表された。(エリクソンら:“HIV−1タンパク質分解
酵素用に複合したC2対称抑制剤の設計、効力、および2.
8オングストローム結晶構造”、サイエンス、249−527
−533,1990年)この対称抑制剤はHIVタンパク質分解酵
素に対して選択的に作用し、HIVタンパク質分解酵素に
対しては、関連する細胞酵素に対する効力の約10,000倍
の効力を有する。
HIVの逆転写酵素もまた実際のHIVの感染のために必要
であるため、この酵素の活性を抑制する薬剤が求められ
ている。いくつかのヌクレオシド派生物がHIVの逆転写
酵素を抑制することが明らかにされている。これらの薬
剤の筆頭はアジトチミジン(AZT,ジドブジン)であ
る。しかしAZTは多くの患者がその投薬に耐えられない
ほどの強烈な副作用を引き起こす。HIVの逆転写酵素を
抑制するその他のヌクレオシド類似物は、AZTよりもさ
らに強烈な副作用を引き起こすことが明らかにされてい
る。
いくつかの薬剤は、HIVのT細胞との結合を抑制する
ことが明らかにされている。例えば、血管作動性腸内ペ
プチド(VIP)から得られるペンタペプチドとオクタペ
プチドは、HIV感染を抑制することが明らかにされてい
る。(ムーアら:“羊の生体内におけるVIPとHIV(AID
S)に関連したペプチドによるリンパ球輸送の抑制”、
免疫薬理学、16,181−189,1988年)残念ながらこれらの
ペプチドは、T4細胞の増殖を抑制することにより、HIV
感染の免疫抑制を擬態する副作用があるため、治療には
用いられない。
最近、ジペプチドプロリルフェニルアラニンの派生物
であるN−カルボメトキシカルボニル−プロリル−フェ
ニルアラニルベンジルエステル(CPF)が、試験管内でH
IV−1の感染を抑制することが示された。CPFはgp120と
相互作用し、gp120のCD4との結合を阻止する。(フィン
バーグら:“CPFのgp120との結合によるHIV−1感染の
防止とCD4の機能の保護”、サイエンス、249,287−291,
1990年) はしかウイルスとヘルペスウイルス感染の治療に、小
ペプチドが用いられる。Z−D−Pro−D−Pheを含む一
連のカルボベンゾキシ(Z)ペプチドは、はしかとヘル
ペスウイルスを抑制することが示されている。(ミラー
ら:“はしかウイルスに対するカルボベンゾキシジ(お
よびトリ)ペプチドの抗ウイルス効力”、応用微生物
学、16,1489−1496,1968年;およびニコライデスら:
“潜在的抗ウイルス物質。はしかとヘルペスのウイルス
に対するカルボベンゾキシジ(およびトリ)ペプチドの
効力”、医化学会誌、11,74−79,1968年)これらの化合
物は標的の細胞と相互作用し、ウイルスタンパク質とは
相互作用しない。
AIDSの治療と予防において、できるだけ副作用の少な
い特異的で選択的な抗HIV治療薬が得られれば有用であ
る。
発明の要約 ある比較的短いペプチドが、宿主細胞のHIV感染なら
びに感染細胞と非感染細胞の間の融合細胞の形成を有効
に抑制し得ることを今回明らかにした。発明したペプチ
ドは、アミノ酸連鎖Pro−Gly(PG)をもつカルボキシル
末端ジペプチド部を共通して在する。トリペプチドGly
−Pro−Gly(GPG)がここで提起する種である。このト
リペプチドはそれ自体で使用するか、もしくはテトラ、
ペンタ、ヘキサペプチドを形成するようにアミノ末端基
を延長してもよい。このペプチドはHIVに感染したヒト
を含む哺乳類の治療とHIV感染の予防に適している。
図面の簡単な説明 図1はH9の細胞内での再現HTLV−III Bに対するGly−
Pro−GlyとAZTの用量反応実験を示す一組のグラフであ
る。図1については実施例5で論じる。
図2はGly−Pro−GlyとAZTの共力効果を示す棒グラフ
である。図2については、実施例5で論じる。
図3は、Gly−Pro−Glyによって処置したマウスの成
長を示すグラフである。図3については、実施例8で論
じる。
発明の詳細な説明 ジペプチドPro−Glyとトリペプチドアミノ酸連鎖Gly
−Pro−Glyをもつペプチドが、HIV感染と融合細胞形成
の両方を妨げることが今回明らかになった。こうしたペ
プチドは、HIVに感染した患者の治療に役立ち、HIV感染
の危険がある患者のための予防薬として使用でき、HIV
への被曝の危険が深刻な医療機関においても有用であ
る。
表1に列挙したペプチドは本発明に至った研究の過程
でテストされたものである。これらのペプチドはエリク
ソン&メリフィールド著『タンパク質』第3版(1976
年、ニューヨーク、アカデミックプレス)第2巻、第3
章“固相ペプチドの合成”の方法にしたがって合成した
が、技術的に知られているどんな方法によって合成して
もかまわない。 表1 テストしたペプチドのアミノ酸連鎖 Tyr−Arg−Gly−Pro−Gly Gly−Pro−Gly Gly−Pro−Gly−Arg Arg−Gly−Pro−Gly Arg−Gly−Pro−Gly−Arg Pro−Gly−Arg Gly−Pro−Ala Gly−Pro−Gly−Gly Gly−Gly−Gly Pro−Gly Gly−Pro *使用した略語 Try−チロシン Arg−アルギニン Gly−グリシン Pro−プロリン Ala−アラニン これらのペプチドについて、HIV感染細胞から非感染
細胞への感染の伝播の抑制能力をテストした。感染の伝
播は、ウイルス複製の指標となるHIVタンパク質p24の生
成と、融合細胞の形成と、間接免疫蛍光法により判定さ
れるHIV感染細胞の数とを監視することにより判定し
た。
いくつかのペプチドがHIV感染を確かに抑制したのに
対し、驚くべきことに他の実質的に同一のペプチドはそ
れができなかった。
表3と表6に示す結果から、カルボキシル末端アミノ
酸としてプロリル−グリシンをもつペプチドであるTyr
−Arg−Gly−Pro−Gly、Gly−Pro−Gly、Arg−Gly−Pro
−Gly、およびPro−Glyは、p24レベルと融合細胞形成の
両者により判定されるとおり、HIV感染を阻止すること
がわかる。カルボキシル末端アルギニン残基をもつペプ
チドであるGly−Pro−Gly−Arg、Arg−Gly−Pro−Gly−
Arg、およびPro−Gly−Argは、分析試験により判定され
るとおり、HIV感染を阻止しなかった。アミノ末端アル
ギニン残基とカルボキシル末端グリシン残基をもつペプ
チドは感染を阻止したことから、アルギニン残基の存在
自体は、抑制因子ではなかった。さらに予期しなかった
発見として、ペプチドGly−Pro−Glyは重量に基づくとH
IV感染阻止に最も効果的であった。カルボキシル末端プ
ロリル−グリシンジペプチドをもたないペプチド(Gly
−Pro−Ala、Gly−Pro−Gly−Gly、Gly−Gly−Gly、Gly
−Pro)は、HIV感染を抑制しない。したがって、カルボ
キシル末端ジプペプチドプロリル−グリシンは今回の発
明にとって不可欠である。
したがって、今回の発明は、HIV感染を阻止できるペ
プチドで、カルボキシル末端にジペプチドPro−Gly有す
るものを対象とする。提起するペプチドは、Gly−Pro−
Gly連鎖のみを有するが、アミノ酸残基をペプイドのア
ミノ末端基に付加しても重大な悪影響はない。実用上の
目的のためには、ペプチドの長さはおよび6個のアミノ
酸より短くあるべきである。ペプチドは、長いほど高価
になり、効力が弱くなり、免疫応答を生じることもある
ので、実用的ではなくなる。驚くべきことにカルボキシ
ル末端カルボキシル基をもつペプチドがHIV感染抑制効
果をもたないことが発見されたことから、ペプチドはカ
ルボキシル末端にカルボキシル基よりもアミド基をもつ
方が望ましい。カルボキシル末端基はまた抗HIV効力を
妨げない成分を含むこともできる。特記無き場合は、こ
れらのペプチドはカルボキシル末端にアミド基をもつも
のとする。
したがって、本発明は下記の分子式のペプチドを対象
とする。
これらの化合物は次式で一般的に表される。
ここでXは、アミド結合した1個から4個の付加アミ
ノ酸残基あるいはアミノ酸残基の類似物と水素原子を含
む。これらの付加アミノ酸残基は、グリシン、アルギニ
ル−グリシン、チロシル−アルギニル−グリシン、ある
いはそれらの類似物を含むが、これらに限られるわけで
はない。
発明したペプチドは、HIV感染を避けるための予防
と、すでにHIVに感染した患者の治療の両方に適してい
る。このペプチドは予防薬として誰に対しても用いるこ
とができるが、最も適切な対象者はHIV感染の危険があ
る人々である。そうした対象者には、同性愛者、売春
婦、静脈注射薬物使用者、血友病患者、HIVに感染した
母親から産まれた子供、医療に従事し患者や生物学適標
本と接触を持つ人達が含まれるが、彼らに限定されるわ
けではない。
これらのペプチドは、AZTと共力して、様々なHIV分離
種の感染を驚異的に低減することが、今回明らかになっ
た。したがって、AZTに耐えるる患者に対しては、これ
らのペプチドをAZTと組み合わせて投与することが、本
発明の具体化として望ましい。これらのペプチドは、他
の抗HIV薬剤と共力しても効果を発揮すると考えられ、
ペプチドとそうした薬剤との組み合わせは、本発明に含
まれる。
これらのペプチドは単体で、あるいは他のペプチドや
他の抗HIV薬剤と組み合わせて投与することができ、さ
らに生理的に受容できる担体と組み合わせることもでき
る。特定の組成のペプチドの有効な投与量および投与方
法は、個々の患者と病気の段階と専門家には明らかな他
の要因によって変わってくるのであろう。特定の適用に
有用な投与の経路は、専門家には明らかである。投与の
経路には、局所的、経皮、腸管外、胃腸、経気管支、経
肺胞その他がある。適切な投薬量の範囲は、血液レベル
で測定して約1〜10μMの組織濃度を得るのに十分なペ
プチドを供給する範囲である。個々の患者に与えられる
絶対量は、生物学的利用能、浄化率、投与経路などの薬
理学的特性による。ペプチドの毒性が低いため、比較的
高い組織濃度が維持されても無害である。
投与の経路には、局所的、経皮、腸管外、胃腸、経気
管支、経肺胞その他がある。局所的投与は、ペプチドを
含むクリーム、ゲル、リンス等を局所的に用いることに
より行われる。経皮投与はペプチドに皮膚を透過させて
血流に入れることができるクリーム、リンス、ゲル等を
用いて行われる。腸管外投与経路には、中心静脈への直
接注入、静脈注射、筋肉注射、腹腔内注射、皮下注射な
どの電気的もしくは直接注入その他が含まれる。胃腸投
与経路には、経口摂取、直腸その他が含まれる。経気管
支、経肺胞投与空路には、口あるいは鼻腔を通しての吸
入その他が含まれる。
本発明は、生理的に受容可能な移植組織、軟膏、クリ
ーム、リンス、ゲルその他の局所的使用に適するペプチ
ド含有化合物の組成を与えるものである。ペプチドが少
なくとも最少量溶解可能で、製薬が可能であれば、どん
な液体、ゲル、もしくは固体の基剤でも、本発明の局所
的使用に適する。局所的使用のための組成は、特に性交
中のHIV感染防止に有用である。そうした使用に適する
組成には、膣あるいは肛門用の坐薬、クリーム、圧注剤
その他が含まれる。
経皮投与に適する組成には、直接肌につけるかあるい
は経皮剤(通常パッチ)のような保護担体の中に取り込
ませて製薬可能な懸濁液、オイル、クリーム、軟膏その
他が含まれる。適切なクリーム、軟膏等の例は、例え
ば、医師用の便覧を見ればわかる。適切な経皮剤の例
は、例えば、1989年4月4日にチェンらに発行された合
衆国特許No.4,818,540に記載されている。
腸管外投与に適する組成には、製薬可能な無菌等脹溶
液その他が含まれる。そうした溶液には、ペプチドの中
心静脈への注入、静脈注射、筋肉注射、腹腔内注射、皮
下注射のための生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、そ
の他が含まれる。
本発明には、胃腸投与に適した組成が含まれ、これに
は、経口投与および直腸投与坐薬用に製薬可能な粉剤,
錠剤,液体その他が含まれる。HIVの最も一般的な感染
経路であることと使用が容易であることから、胃腸投
与、特に経口投与は本発明の実用方法として望ましい。
他のウィルス−宿主系において、経口投与後血清中に小
ペプチドの特定の抗ウィルス効力が認められることは既
に示されている(ミラーら:応用微生物学,16:1489,196
8年)。小ペプチドは、患者の消化器系による分解を見
掛上免れるため、経口投与に理想的である。
本発明には、さらに経気管支,経肺胞投与に適した組
成が含まれ、これには、さまざまな種類の吸入用エアロ
ゾルその他が含まれる。例えば、カリニ肺炎を防ぐため
に、ペンタミジンがエアロゾルによって鼻腔からAIDS患
者に投与される。
本発明では、さらにペプチドの経気管支,経肺胞投与
に適した装置について熟考している。そうした装置に
は、噴霧器,気化器,その他が含まれる。
上記の組成および投与方法は、本発明のペプチドを含
む組成の投与方法その他について述べたものである。さ
まざまな組成と装置の製造方法は、専門技術者の能力の
範囲内であり、ここでは詳しく述べない。
注射,局所的投与,噴霧器,気化器の装置の適切な製
造方法は、技術的な既知であり、詳述しない。
本発明のペプチドは、HIV感染の予防が重要な状況で
の使用にも適する。例えば、医療職員は、HIV陽性で分
泌液や体液がHIVウィルスを含むかもしれない患者と常
に接している。さらに、これらのペプチドは、性交中に
おけるHIV感染防止のために用いられる抗ウィルス化合
物として処方することもできる。こうした化合物は、技
術的に知られており、また参考文献(1990年5月3日の
モダークらに対するPCT公報No.W090/04390のもとで発表
された国際出願)にも述べられている。
本発明は、さらにHIVの伝染を防ぐ手袋,シーツ,作
業着のような医療用品の被覆物を与える。また、もうひ
とつの方法として、これらのペプチドをポリマーででき
た医療用具の中に含浸させることも可能である。特に、
推奨されるのは、医療用手袋の被覆物である。さらに、
HIVの性的な伝染を考慮すると、コンドーム用の被覆物
はとりわけ適切である。
医療用具への使用に適した被覆物は、これらのペプチ
ドを含む粉末、あるいはこれらのペプチドを懸濁させた
ポリマー被覆物として与えられる。被覆物もしくは用具
に適切なポリマー材料は、生理的に受容可能であり、治
療に有効な量のペプチドを全体的に拡散させることがで
きるものであるが、これらに限定されるものではない。
適切なポリマーには、ポリウレタン,ポリメタクリレー
ト,ポリアミド,ポリエステル,ポリエチレン,ポリプ
ロピレン,ポリスチレン,ポリテトラフルオロエチレ
ン,ポリビニルクロライド,セルロースアセテート,シ
リコンエラストマー,コラーゲン,絹その他が含まれ
る。これらの被覆物は、参考文献(フォックスらに1986
年9月16日に発行された合衆国特許No.4,612,337)に述
べられている。
本発明は、さらに、これらのペプチドと機能的な等価
で、ペプチドの抗ウィルス特性に重大な影響を及ぼさな
い変異体を含む。例えば、いろいろな類似物や擬態ペプ
チドが技術的に知られており、ペプチドの1個以上のア
ミノ酸と置換して用いることができる。類似物は、本発
明のペプチドと機能的な等価であるが、非自然的に発生
したか変更されたアミノ酸残基を含むペプチドと定義さ
れる。さらに、1個ないし2個以上のこれらのペプチド
の重合体も、本発明の範囲内にある。
ペプチド類似物を用いることにより、より効力の大き
いペプチドが得られる。このペプチドは、酵素による分
解に対する感受性がより小さく、中枢神経系への浸透が
より容易で、より選択的である。適切なプロリンの類似
物は、天然ペプチドの20倍の効力が認められている2−
アミノシクロペンタンカルボキシル酸(βAc5c)である
(ミエルケら:“プロリンの擬態ペプチドとしての2−
アミノシクロペンタンカルボキシル酸を含むモルヒセプ
チン類似物",ペプチドタンパク質研究国際誌,35:35−4
5,1990年;ポートギースら“メッセージアドレス概念を
用いた擬態ペプチドSオピオイドレセプター拮抗体の設
計",医化学合誌,33:1714−1720,1990年;グッドマン
ら:“擬態ペプチド:合成,分光学,コンピューターシ
ミュレーション",バイオポリマー,26:S25−S26,1987年
参照)。
既に提案されているペプチドを基剤とするワクチンの
ひとつの一般的な弱点は、HIVゲノムの異質性によって
生じるもので、ひとつの分離種に免疫性があったとして
も、必ずしも他の分離種に免疫性があるとは限らないと
いうものである。本発明のペプチドは広い範囲のHIV分
離種に対して防護効果を発揮し、この弱点を克服してい
る。今回発明したペプチドは、HIVの“一般種”(これ
は、感染した供血者から得られる)だけではなく、HIV
に感染した動物モデルの治療の研究に理想的なペプチド
を与えて、サルの免疫不全ウィルスをも中和することが
今回明らかにされた。これらのペプチドの多様なHIV分
離種に対する効力は、おそらくアミノ酸連鎖Gly−Pro−
Glyが広範囲のHIV分離種の中でよく保存されることに起
因するものである(ラローサら:“HIV−1中和決定主
因子の保存連鎖と構造要素",サイエンス,249:932−935,
1990年)。
発明の範囲を制限する意図はまったくないが、以下に
特定の実施例を示すことによって、本発明をさらにわか
りやすく説明する。以下の表の中で、アミノ酸残基は次
のように略記されていることに注意されたい。:Gly,G;P
ro,p;Arg,R;Tyr,Y;Ala,A 実施例1 ペプチド合成 応用生物系ペプチド合成剤430A型が、本発明のペプチ
ドの合成に使用された。それぞれの合成では、p−メチ
ルベンジルヒドリルアミン固相支持樹脂(ペプチドイン
ターナショナル、ルイスビル、KY)を使用した。ペプチ
ド合成剤430A型の利用者用便覧(応用生物系、1986年)
に従って、ペプチドを合成した。
合成に用いたアミノ酸はすべてα−NH2群を防護する
t−ブチルカルボニル群(t−Boc)を含み、スイスの
ノバ生物化学AGから得たものである。反応性側鎖群をも
つアミノ酸は、望ましくない側鎖反応を防止するための
付加防護群を含む。すべてのペプチドの合成に用いた個
々の防護アミノ酸を次の表2に示す。 表2 ペプチドの合成に用いたアミノ酸 Boc−Arg(Tos)−OH Boc−Gly−OH Boc−Pro−OH Boc−Tyr−(2−Br−Z)−OH Boc−Ala−OH Tos=トシルあるいはp−トルエンサルホン酸 2−Bz−Z=カルボベンゾキシブロマイド 特定の合成終了後、防護群は合成されたペプチドから
除去され、ペプチドは三フッ素メタルサルフォン酸(TF
MSA)を用いた処理によって固体支持樹脂から分離され
る。この処理は、ベルゴットら:“固相ペプチド合成で
の分離試薬としてのトリフルオロメタンサルフォン酸の
利用”、応用生物系利用者報告、ペプチド合成、発行N
o.16,1986年9月2日に述べられている方法に従った。
用いた実験記録の詳細を以下に示す。
1.ペプチド樹脂1グラム当たり、排除剤として3mlのチ
オアニソール1,2−エタンジチオール(2:1)を加え、室
温で10分間連続撹拌して混合した。
2.三フッ素酢酸(TFA)10mlを加えて、室温で10分間連
続的に撹拌した。
3.TFMSA1mlを強力に撹拌しながら滴下して加え、室温で
25分間反応させた。
4.分離後ペプチドを無水エーテルで沈殿させ、洗浄し
た。
5.沈殿し洗浄されたペプチドを、少量のTFAに溶解させ
た。
6.溶解したペプチドは上記ステップ4と同様に再度沈
殿、洗浄され、沈殿物をN2の蒸気で乾燥させた。
特定の検査への使用に先立ち、必要なら逆相の高性能
液体クロマトグラフィー(HPLC)によってペプチドの純
度をさらに上げることも可能である。こうした純化に特
に適したカラムは、ペプチドを溶出させる水(TFA)−
アセトニトリル(TFA)勾配を用いた逆相ヴィダック
C−18カラムである。
実施例2 感染検査 表1に示したペプチドとそのアミノ酸連鎖は、以下の
ウイルス/細胞系に対して試験された。
(1)HTLV−III B/H9 デンマーク(デンマーク、ベン
トフェーバー−ベスターガードによって得られた。) (2)HTLV−III B/H9 ニューヨーク(ニューヨーク、
マンハセット、ノースショア病院、ウイリアム・ホール
博士によって得られた。) (3)ELT−1/HUT(サンフランスシスコ、CA、レヴィ博
士によって得られた) 50%組織培養感染供与量(TCID50) 100のウイルスと、濃度250ないし25μg/mlのペプチド
を同時に細胞に加えて、頻繁に撹拌しながら4℃で2時
間培養した。その後、温度を37℃に上げて、混合物に第
二の培養を2時間受けさせた。第二の培養に続いて、細
胞を325×gで遠心分離し、RPMI法(ニューヨーク、ギ
ブコ研究所)で1回洗浄した。成長培養液(10%ウシ胎
児血清(FCS)、抗生物質、ポリブレン(2μg/ml)を
補ったRPMI)の最終体積が1.5mlになるように、細胞を
濃度5×105/mlで24の多皿滴定井プレートに加えて、さ
らにペプチドを250ないし25μg/mlに希釈して加えた。
対照のために、ウイルスに感染した細胞だけのものと、
アジトチミジン(AZT、ジドブジン)(濃度20,2,0.2
μM)存在下でのウイルスを用いた。さらに対照のため
に、2個のHIV感染細胞培養液(表3−5ではpos.contr
ols 1および2と呼ぶ)と2個の非感染細胞培養液(ne
g.controls 1および2と呼ぶ)を用いた。
ペプチドやAZTを加えない成長培養液は、感染後6日
および10日で交換した。感染細胞については融合細胞の
形成を連続的に監視し、成長培養液の上澄みについて
は、感染後9−12日に、HIV複製の指標であるp24抗原の
分析を行った。
p24抗原の検出には、簡単に述べると下記のような実
験記録を用いた。抗体捕捉にウサギの抗p24多クローン
性抗血清を用いてHIVのp24抗原を判定し、ビオチンで処
理したウサギの抗p24多クローン性抗体を、アビジン−
ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素結合
免疫吸着検定法(ELISA)での検出抗体として用いた。
この検定法の感度は、上澄み1ml当たり約50pgのp24抗原
を検出可能である。
結果は454nmでの吸光度で示され、吸光度が高いほど
タンパク質濃度が高く、したがって、HIVに感染してい
ることを示す。p24濃度を最も正確な範囲(2.0吸収単位
未満)で検出するために、上澄みは階段希釈される。
細胞系統ELI1−HUTがHIVに感染しても融合細胞を形成
しないことは注意を要する。このため、この細胞系統に
ついては、融合細胞の形成は監視しなかった。実験の最
後に細胞を集めて、Jeanssonらが細胞研究実験、161:18
1−188,1985年で述べている標準的な手順に従ってアセ
トンでスライド上に固定した。それから、1/100希釈ヒ
トHIV陽性血清と1/200希釈FITC共役抗ヒトガンマG(フ
ランス、Bio Merieux)を用い間接免疫蛍光検査法によ
り、感染細胞数を決定した。得られた結果を表3−6に
示す。
表3−5の結果から、HIVに感染して、ペプチドGly−
Pro−Gly−Arg、Arg−Gly−Pro−Gly−Arg、Pro−Gly−
Argを用いるかあるいは薬剤を用いずに処理した細胞
は、感染していたことがわかる。しかし、ペプチドTyr
−Arg−Gly−Pro−Gly、Gly−Pro−Gly、Arg−Gly−Pro
−Gly、あるいははAZTで処理したHIV感染細胞は、p24合
成と融合細胞形成の両者による判定の結果、感染数の低
減がみられた。実験に、濃度25μg/ml(約100μMに相
当する)のペプチドGly−Pro−Glyが、p24生成と融合細
胞形成の両者を防止する効果は、最も高い濃度(20μ
M)で試験したAZTよりもごくわずかに小さいだけであ
ったオリゴペプチドGly−Pro−Ala、Gly−Gly−Gly、Gl
y−Pro−Gly−GlyおよびジペプチドGly−Pro、Pro−Gly
の効力は、上述のようにHTLV−III B/H9ニューヨークに
よるウイルスと細胞の組み合わせを用いて評価した。結
果を表6に示す。p24合成と融合細胞形成の両者による
判定の結果、ジペプチドPro−GlyがHIV複製を抑制する
効果があることは明白である。その他のペプチドGly−P
ro−Ala、Gly−Gly−Gly、Gly−Pro−Gly−Gly、Gly−P
roは、表6に示すように、HIV複製を抑制する効果がな
かった。
表3−6で、感染細胞の上澄みのp24含有量は、感染
細胞の上澄みを階段10倍希釈(1/10,1/100,1/1000,1/10
000)して、前述したELISAで分析することにより定め
た。結果はそれぞれの希釈溶液を吸光度(454nm)で示
した。
実施例3 単純ヘルペスウイルス(HSV)複製とペプチドTry−Arg
−Gly−Pro−Gly、Gly−Pro−Gly、Arg−Gly−Pro−Gly
の相互作用 ペプチドの特異性の毒性を決めるために、Tyr−Arg−
Gly−Pro−Gly、Gly−Pro−Gly、Arg−Gly−Pro−Glyに
ついて、(1)プラーク低減検査、および(2)I型単
純ヘルペスウイルス(HSV−1)マッキンタイヤー種の
生産抑制検査を行った。
HSV−1のプラーク低減は、5cmペトリ皿中で培養され
たミドリザル腎臓(GMK)AH1細胞の単層について実施し
た。HSV−1の株を1ml当たり100−200プラーク形成単位
(pfu)に希釈し、濃度250および25μg/mlのそれぞれの
ペプチドの存在下、あるいはペプチド無し(対照用)
で、20℃で1時間、細胞に吸収させた。そのあと接種物
をそれぞれのペプチドを含む培養液(2%ウシ新生児血
清、抗生物質、1%メチルセルロースで補足したイーグ
ルの最少必須培養液(MEM))に取り換えた。37℃で4
日間培養した後、プラーク数を数えた。
生産抑制検査は以下のように行った。濃度250および2
5μg/mlのそれぞれのペプチドの存在下で、GMK細胞当た
り0.5pfuの多重度で、HSV−1を接種した。ウイルス吸
収は、室温で60分間行われた。そのあと細胞をハンクの
平衡塩類溶液(BSS)で5回すすぎ洗いし、37℃の5%C
O2大気中で、ペプチドあるいは参照文献に含めた“非環
式物質に関するシンポジウム論文集”(米国医学会誌、
1982年7月20日)に述べられている方法に従った非環式
物質を含むか、あるいは何も添加しない維持液とともに
培養した。感染24時間後、細胞を凍結融解し、培養液を
削り取って、実施例2に概要を示した感染検査によりウ
イルス生産を試験した。結果を表7に示す。表7でプラ
ーク低減値は2つの培養の平均であり、24時間後のHSV
−1の生産は、2つの測定値の平均であり、値は百万pf
u/mlで示した。
プラーク低減とウイルス生産に関しては、表7に示す
とおり、ペプチドTyr−Arg−Gly−Pro−Gly、Gly−Pro
−Gly、Arg−Gly−Pro−Glyは、GMK細胞内でのHSV−1
の複製能力を低減させなかったことが明らかである。し
たがって、これらのペプチドは、HIV−1への特効性を
有する。しかし、HSV−1の生産は、2μMの非環式物
質により著しく低減されており、非環式物質は抗ヘルペ
ス特効薬である。さらに、位相差顕微鏡による形態学的
検査の結果と、培養液中のペプチドの存否によってHSV
−1の生産が変わらないことから、これらのペプチドは
GMK細胞に対して毒性を示さなかったことがわかる。
前述した実験から、本発明のペプチドは、HIV感染の
危険がある細胞のHIV感染を防止する特異的な効果を有
することが明らかである。
実施例4 カルボキシル型とアミド型におけるペプチドの比較 カルボキシル末端カルボキシル基をもつペプチドが、
アミド基をもつものよりも機能が優れているかどうかを
決めるために、Gly−Pro−GlyとPro−Glyの2つの型を
並列させて比較した。
カルボキシル型とアミド型のペプチドは、Bachem Fei
nchemikalien AG(スイス、GPG−NH2Bachem,GPG−COOH
Bachem,PG−NH2Bachem PG−COOH Bachem)とSyntello
(スエーデン,GPG−NH2Syntello)から得られた。ペプ
チドの効力は、実施例2で述べたp24生成と融合細胞形
成の両者で判定した。得られた結果を表8,9に示す。表
8は、HTLV−III B/H9ニューヨークを使用してGly−Pro
−Glyの両形態を比較して得られた結果を示す。表9
は、HTLV−III B/H9ニューヨークを使用してPro−Glyの
両形態を比較して得られた結果を示す。
表8,9で、感染細胞の上澄みのp24含有量は、上澄みを
階段10倍希釈(1/10,1/100,1/1000)して、実施例2で
述べたELISAで分析することにより定めた。結果はそれ
ぞれの希釈溶液の吸光度(454nm)で示した。
表8,9に示したデータから、アミド型のペプチドだけ
が抗HIV効力を有することが明らかである。カルボキシ
ル型のペプチドは、抗ウイルス効力をまったくもたな
い。
さらに、位相差顕微鏡によって、表8,9に示した濃度
のカルボキシル型のペプチドは、細胞に有毒な効果をも
たらさないことがわかった。したがって、アミド型につ
いて得られた結果は、ペプチドの非特異的な毒性による
ものではない。
実施例5 AZTとペプチドの組み合わせの効果 既知の抗HIV薬物とペプチドの組み合わせの効果を知
るために、H9細胞内のHTLV−III B、HUT細胞内のSF−
2、およびヒト末梢血リンパ球細胞培養(HPBLC)内の
いくつかの一般種のHIV−を、Gly−Pro−GlyあるいはPr
o−Gly単独で、もしくはAZTと組み合わせて処理した。
H9細胞内のHTLV−III B複製に対する、Gly−Pro−Gly
とAZTの、単独もしくは組み合わせによる抑制効果を、
表10,11に示す。表10,11の結果は、実施例2に述べたよ
うにして得られた。感染8日後に上澄みのp24を調べ
た。上澄みを段階希釈(1/5,1/50,1/500)して、実施例
2で述べたELISAで分析した。結果はそれぞれの希釈溶
液の吸光度(454nm)で示した。
H9細胞内のHTLV−III B複製に対する、Gly−Pro−Gly
とAZTの抑制効果を、用量反応実験でさらに調べた。そ
れによって、感染後8日および12日の細胞培養からの感
染細胞の上澄みの1/5希釈液中の、454nmでの吸光度で決
定されるp24抗原濃度に基づいて、近似的なID50(ウイ
ルスの生産を50%に低減する薬物の抑制用量)を計算し
た。8日目に、濃度4μMのGly−Pro−Glyと、0.4μM
のAZTで、p24抗原は50%に低減された(図1a,1b)。感
染12日後での対応する値は、Gly−Pro−GlyとAZTでそれ
ぞれ64μMと3.2μMであった(図1c,1d)。
表10,11に示すように、AZTの濃度を固定して(0.8お
よび1.6μM)Gly−Pro−Glyの濃度を変化させ(2−25
6μM)、Gly−Pro−GlyとAZTを20:1と2:1の比で組み合
わせることにより、明らかにHIV複製を抑制する相加的
かつ共力的な効果が見られた。そのため、3.2μM以下
のAZTを含む培養液に32−64μMのGly−Pro−Glyを混合
した培養液中のp24水準(感染後12日で検査)は、それ
ぞれの薬剤を単独で含む対照用の培養液中のp24よりも
著しく低かった(図2)。
実施例6 ペプチドによる一般種のHIVの治療 Gly−Pro−Glyによる5種類の一般種のHIV−1の中和
実験の結果を表12に示す。107供血PBMC(末梢血単核細
胞)をもつ5種類の異なるHIV−1感染スエーデン個体
から、107PBMCとの共培養によって、5種類のHIV−1分
離種(一般種)を回収し、2.5μg/mlの植物性血球凝集
素(PHA:ミシガン州、デトロイト、DIFCO)を用いて、
3日間刺激した。10%ウシ胎児血清(FCS)、インター
ロイキン−2(10%細胞増殖因子、細胞生成物、バッフ
ァロー、ニューヨーク)、2μg/mlのポリブレン、抗生
物質、5μg/mlのヒドロコルチゾンアセテートを補足し
たRPMI 1640培養液内で細胞培養を維持した。培養液の
半分は、3日ないし4日一度交換し、新たにPHAで刺激
した細胞を7日周期で加えた。どの分離種にもPBMCに融
合細胞は見られなかった。培養液の上澄みについて、取
扱説明書(アボット)に従って、HIV−1のp24抗原を検
査し、陽性の場合は、ウイルス分離種を−90℃で凍結貯
蔵した。患者分離種の滴定終末点は100から400TCID50
範囲にあった。これらの分離種の貯蔵ウイルスを、100T
CID50に希釈し、Gly−Pro−Glyの4mMで始まる階段4倍
希釈液およびAZTの20μMで始まる階段10倍希釈液と混
合した。そのあと、このウイルス−薬剤混合物を、実施
例2に述べた方法に従って、106刺激供血PBMCに加え
た。そしてウイルスを4℃と37℃でそれぞれ吸収させた
あと、PBMCを1回洗浄し、表12に示すように希釈した薬
剤(Gly−Pro−GlyとAZT)を含む2mlのPBMCに培養液と
ともに、24滴定井の多血プレートに配置した。感染13日
後に感染細胞の上澄みを集め、実施例2で述べたELISA
により、4倍希釈液中でHIV−1のp24抗原の存在を検査
した。
表12に示した結果は、ペプチドがHIVの一般種の治療
に有効であることを示している。さらに、これらのペプ
チドは無関係なHIVの系統の治療にも役立ち、したがっ
て、HIVに対する治療薬として広い適用性を有する。
実施例7 ペプチドによるサル免疫不全ウイルスの治療 実施例6に示したように、Gly−Pro−GlyとPro−Gly
は、H9細胞のHTLV−III B、HUT細胞のSF−2、およびHP
BLC中のHIV−1のいくつかの一般種に対して抗ウイルス
効果を示すが、さらにそれに加えて、Gly−Pro−GlyとP
ro−Glyは、2つの別々の実験で示されるように、サル
免疫不全ウイルス(SIV)の複製も抑制する。結果を表1
3,14に示す。
これらの実験では、実施例2に概要を示した手順に従
い、希釈しないSIVの懸濁液(ストックホルム大学、カ
ロリンスカ研究所、エヴァ・マリア・フェンヨ博士提
供)で、1×106HPBLCを感染させた。感染の2週間後
に、感染した細胞の上澄みを集め、取扱説明書に従って
アボットHIV−1抗原検査によりp24抗原を検査した。上
澄みのp24量は、階段希釈した上澄みの試料(1/5,1/50,
1/500)についてELISAにより測定し、それぞれの希釈溶
液の吸光度(454nm)で示した。
表13と14に示した結果から、これらの実験では、SIV
は1mMのGly−Pro−Glyと4mMのPro−Glyによって抑制さ
れ、すなわち、同一のペプチドではH9細胞のHTLV−III
Bよりも抑制の程度が小さいことがわかる。これらの結
果は、HIVとAIDSの動物実験にこれらのペプチドが役立
つことを示している。
実施例8 ペプチドの毒性 Gly−Pro−Glyの生体内での毒性の試験では、マウス
のグループに、生後6日目からのこの物質を腹腔に注射
した。与えたGly−Pro−Glyの量と体重の増加を表15に
示す。また、図3は結果をグラフで示したものである。
これらのデータは、対照物と比較してGly−Pro−Glyが
マウスの成長に大きな影響を及ぼさないことを示してい
る。それゆえペプチドは多量に与えても毒性はない。
実施例9 Gly−Pro−GlyのヒトT細胞への影響 Gly−Pro−Glyは正常なT細胞とB細胞機能に影響を
及ぼさないことが明らかになった。ヒトとマウスの組織
について、それぞれ試験管内と生体内で物質を調べた。
生体内実験については実施例11で述べた。
健康で正常な供血者から採った末梢血単核細胞懸濁液
を、非分割またはT細胞を強化し(CD2+=正常なT細
胞;CD4+=推定ヘルパー/インデューサーT細胞サブセ
ット;CD8+=推定細胞毒性/サプレッサーT細胞サブセ
ット)、Gly−Pro−Glyを加えることにより、正常なヒ
トの循環リンパ単球細胞の生育力もしくは機能にGly−P
ro−Glyが影響する可能性を調べた。
“細胞免疫学的手法抜粋”(ミッシェル&シギ編集、
フリーマン社、サンフランシスコ、pp.205−207,1980
年)に記述されている方法に従い、はじめにヒツジの赤
血球細胞を用いたロゼッティングにより強化し、次に、
ジャノッシーとアルムロットが“リンパ球の実用的アプ
ローチ”(クラウス編、IRL出版、オックスフォード−
ワシントンDC、pp,69−70,1987年)で記載している方法
に従い、フィコール−パークの比重差遠心(スエーデ
ン、ウプサラ、ファーマシア)によって、ヒトの血液か
らT細胞を取り出した。強化したT細胞は、赤血球細胞
を溶解するため、NH4C1トリス緩衝溶液に4℃で5分
間、簡単に再懸濁される。こうして得られたT細胞強化
片を、それぞれCD8とCD4に対する単一クローン性抗体で
被覆した均散磁気ビーズ(ダイナビーズ、DYNAL社、オ
スロ、ノルウェー)を用いて、参考文献に示したヴァー
トダルら(組織抗原、28:302−312,1986年)とライベス
タッドら(移植論文集、19,265−267,1987年)が述べた
方法に従い、免疫磁気細胞選別により、CD4強化T細胞
とCD8強化T細胞にさらに分離した。ダイナビーズは、
対応するT細胞サブセットの選択除去のための取扱説明
書に従って使用した。
種々の濃度のGly−Pro−Glyを与えた正常な単核細胞
(MNC)の生育力を、フィンドレーらによる参考文献
(血液、15;75:951−957,1990年)で述べられている方
法に従って、プロピジウムヨウ化物で処理したあと、流
動血球計算法で4日間毎日監視した。この実験の結果、
2mMもの用量で4日間もGly−Pro−Glyを与えても、培養
された単核細胞とリンパ球の生育力に対して評価できる
ほどの影響は生じなかったことが明らかになった。その
ため、Gly−Pro−Glyを(2mM、4日間)与えた末梢血単
核細胞の生育力は、99.67%であり、与えなかったもの
では、99.66%(4実験の平均値)であった。
実施例10 ペプチドのT細胞活性度への影響 非分割またはT細胞強化(DYNAL社、オスロ、ノルウ
ェーの取扱説明書に従って、ダイナビーズM−450CD4ま
たはダイナビーズM−450CDを用いて強化したCD4+また
はCD8+)を並列的に曝露したあと、正常なT細胞の増殖
反応を試験管内で検査した。ヴァートダルら(1986年)
とライベスタッドら(1987年)。
補助細胞組織2個を含む3組織のMNC懸濁液にGly−Pr
o−Glyと慣用T細胞分裂促進因子を与え、第一に、参考
文献(欧州免疫学会誌、21:319−325,1991年)で山田ら
が述べている方法に従って、植物性血球凝集素あるいは
可溶単一クローン性抗CD3抗体により、単核細胞依存刺
激を与え、第2に、非依存的に、すなわち参考文献(免
疫学、68:45−50,1989年)でVanLierらが述べている方
法に従って、固定化固相抗CD3単一クローン性抗体によ
って刺激を与えた。結果は以下のように計算される刺激
指数で示した。:分劣促進因子のみあるいは分裂促進因
子プラスGly−Pro−Glyに曝露した細胞培養中に含まれ
る放射性チミジンを、培養基のみに曝露した同一の細胞
培養中に含まれる放射性チミジンで除した比。
これらの実験の結果は表16にまとめられており、Gly
−Pro−Glyを20μMもの高い用量で用いても、T細胞の
増殖を阻害する性質はほとんど表れず、上記2つの組織
で存在が必要とされる補助細胞(例えば、単核細胞およ
び樹枝状細胞)の機能に影響しないことを示している。
実施例11 マウスの体液免疫反応へのペプチドの影響 体液特異抗体反応の発達に及ぼすGly−Pro−Glyの影
響を、マウスで調べた。この目的のために、成熟した
(生後4週、雌雄同数)スイス・アルビノ異種交配マウ
スに、5日連続で毎日腹腔内にGly−Pro−Glyを注射し
て与えた。対照用のグループには、Gly−Pro−Glyを与
えなかったのに対し、第2、第3のグループにはそれぞ
れ0.5mgと5mgのGly−Pro−Glyを与えた。
前処理したマウスはその後、無関係な抗原、部分抗原
トリニトロフェノール(TNP)に対する抗体反応を調べ
た。後者は、抗体反応を生じるためにマウスのT細胞に
よる認識が必要とされない“担体”分子(リポ多糖類
(LPS)およびフィコール(Fi))あるいは必要とされ
る“担体”分子(卵白アルブミン(OVA))と結合され
ている。
Gly−Pro−Glyの最終投与後、ただちに、すなわち第
5日に、マウスを5匹ずつのグループに分け、参考文献
(免疫学会誌、131,633−637,1983年)でモンドらが述
べている方法に従って、T細胞依存抗原すなわちトリニ
トロフェニル卵白アルブミン(OVA−TNP)、あるいはト
リニトロフェニルリポ多糖類(LPS−TNP)やトリニトロ
フェニルフィコール(Fi−TNP)のようなT細胞非依存
抗原のどちらかを、3週間の間隔をあけて2回腹腔内に
注射して免疫を与えた。すべての部分抗原−担体結合
は、参考文献(米国化学会誌、75:4583,1953年)でアイ
ゼンが述べている方法に従って用意した。マウスに投与
した用量は以下のとおりである。
OVA−TNP; 注射1回当たり100μg(タンパク質量) OVA−TNPの平均置換率=1:20 LPS−TNP; 注射1回当たり25μg(LPS重量) LPS−TNPの平均置換率=1:5 フィコール−TNP; 注射1回当たり100μg(フィコール重量) フィコール:TNPの平均置換率=1:30 2回目の注射から2週間後に集めた血清試料につい
て、ELISA法によって、TNPグループに対する血清抗体反
応を監視した。この目的で、ガンマG抗体の各サブクラ
ス、すなわちガンマG1、ガンマG2a、ガンマG2b、ガンマ
G3、およびマクログロブリン抗体についてELISA分析を
行った。
ELISA検査は以下のように行った。ポリビニルマイク
ロタイタプレート内の各滴定井を、参考文献(免疫学的
手法ジャーナル、85,87−94,1985年)でニグレンらが述
べている方法に従い、TNPと結合したイヌアルブミンで
被覆した。それから階段2倍希釈した個々のマウスの血
清を、対の試料に加えて培養した。そのあと、マウスの
ガンマG1、ガンマG2a、ガンマG2b、ガンマG3、あるいは
マクログロブリンに対する酵素標識ヤギ抗体(すべてア
ラバマ州バーミングハム、南部生物工学協会から得られ
た)および酵素基質を段階的に加えて、TNP反応性抗体
を検出した。血清ではなく緩衝液単体を加えた対照用試
料のELISA吸光度の3倍のELISA吸光度を与える血清の最
高希釈倍数の逆数として定義される終末滴定点で結果を
表した。
こうした分析の結果は表17にまとめており、Gly−Pro
−Glyを高い用量(5mg/日/匹、5日間)で用いても、G
ly−Pro−Glyで前処理しなかったマウス(表17の非免疫
マウス)と比較して、T細胞依存抗原(例えば、OVA−T
NPと非依存抗原(LPS−TNPあるいはFi−TNP)に対する
マウスの体液免疫反応性に評価できるほどの影響を与え
ないことを示している。統計的に分析すると、非免疫マ
ウスから得られた結果を前処理したマウスから得られた
結果と比較したときの、p(ウィルコクソンのレンジサ
ムテスト)は0.05であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 7/06 A61K 37/02 (72)発明者 リューモ,ラーシュ スウェーデン、エス―430 80 フォヴ ォス、フェーレクラヴェーゲン 17 (72)発明者 ヤンション,スチク スウェーデン、エス―411 27 エーテ ボリ、フェーレニンシュガータン 33 (72)発明者 ホラール,ペーテル スウェーデン、エス―412 66 エーテ ボリ、オランゲリガータン 21 ビー (56)参考文献 米国特許3781272(US,A) 米国特許3803117(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 5/06 - 7/06 A61K 38/00 A61P 31/18 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトを含む哺乳類におけるヒト免疫不全ウ
    ィルス感染の治療及び予防のための化合物において、該
    化合物は、 の分子式に示されるペプチドよりなり、該分子式中のX
    が、水素、グリシル、アルギニル・グリシン、及びチロ
    シル・アルギニン・グリシンよりなる群から選択される
    ことを特徴とする化合物。
  2. 【請求項2】キャリヤに懸濁させたペプチドと、懸濁液
    を分配する手段とを有する噴霧器であって、前記ペプチ
    ドの分子式は、 の分子式で示され、該分子式のXが、水素、グリシル、
    アルギニル・グリシン、チロシル・アルギニン・グリシ
    ンよりなる群から選択されていることを特徴とする噴霧
    器。
  3. 【請求項3】ヒトを含む哺乳類におけるヒト免疫不全ウ
    ィルス感染の治療及び予防のための混合物において、該
    混合物は、キャリヤと、該キャリヤに混合させたペプチ
    ドよりなり、該ペプチドは、 の分子式で示され、該分子式中のXが、水素、グリシ
    ル、アルギニル・グリシン、及びチロシル・アルギニン
    ・グリシンよりなる群から選択されていることを特徴と
    する混合物。
  4. 【請求項4】前記キャリヤが、軟膏、乳剤、リンス、ゲ
    ル、及び経皮剤よりなる群から選択されていることを特
    徴とする請求項3記載の混合物。
  5. 【請求項5】前記キャリヤが、錠剤、粉末、液体、及び
    座剤よりなる群から選択されていることを特徴とする請
    求項3記載の混合物。
  6. 【請求項6】前記キャリヤが、等張性生理食塩水、及び
    等張性リン酸緩衝生理食塩水よりなる群から選択されて
    いることを特徴とする請求項3記載の混合物。
  7. 【請求項7】前記キャリヤが、ローション、懸濁液、オ
    イル、軟膏、クリーム、リンス、ゲル、及び経皮剤より
    なる群から選択されていることを特徴とする請求項3記
    載の混合物。
  8. 【請求項8】前記キャリヤが、高分子コーティングであ
    ることを特徴とする請求項3記載の混合物。
  9. 【請求項9】前記高分子コーティングを形成する高分子
    材料が、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアミ
    ド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
    リスチレン、4ふっ化エチレン、塩化ビニル、セルロー
    スアセテート、シリコーンエラストマー、コラーゲン、
    及びシルクよりなる群から選択されていることを特徴と
    する請求項8記載の混合物。
  10. 【請求項10】 の分子式のペプチド。
  11. 【請求項11】 の分子式のペプチド。
  12. 【請求項12】 の分子式のペプチド。
  13. 【請求項13】 の分子式のペプチドであって、前記分子式中のXが、水
    素、グリシル、アルギニル・グリシン、及び、チロシル
    ・アルギニン・グリシンよりなる群から選択されている
    ことを特徴としたペプチド。
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