JP3114918U - Dnaブロック模型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンを模擬した4種の塩基部12A,12G,12C,12Tと、リン酸及び糖を模擬したリン酸部14及び糖部16がそれぞれ一体に連結されたAブロック10A、Gブロック10G、Cブロック10C、およびTブロック10Tからなる。Aブロック10AはTブロック10Tとのみ、Gブロック10GはCブロック10cとのみ、それぞれの塩基部で着脱可能である。また、各ブロックは、隣接するブロックの糖部16がリン酸部14を介して同一方向にねじれた位置でのみ着脱可能であり、これにより連結して二重らせんを構築する。
【選択図】 図4
Description
しかし、DNAの二重らせん構造、DNAの複製、組換え、修復等の理解は、高校や大学の学生にとって依然として困難であり、不十分な状態にある。
特許文献1の分子模型は、図10に示すように、分子を構成する原子の結合状態を、原子模型要素52と、弾性部材を含んだ結合軌道模型要素53とを組み合わせることによって、視覚的あるいは象徴的に再現することにより分子構造を知覚できるようにした視覚器具において、前記結合軌道模型要素53と原子模型要素52とは着脱自在に圧嵌めされることを特徴とするものである。
例えば市販のDNA分子モデルは、DNA二重らせん一回転分の構成で、安価なものでも10万円前後、精密なものでは100万円に近いものもある。
AブロックはTブロックとのみ、GブロックはCブロックとのみ、それぞれの塩基部で着脱可能であり、
前記各ブロックは、隣接するブロックの糖部がリン酸部を介して同一方向にねじれた位置でのみ着脱可能であり、これにより連結して二重らせんを構築する、ことを特徴とするDNAブロック模型が提供される。
これにより、上下に隣接するブロックが同一方向に一定の角度で順次ねじれた一重らせんを構築し、
該一重らせんは、各ブロックの塩基部と着脱可能な別の一重らせんとの連結により、二重らせんを構築する。
前記GブロックとCブロックの塩基部は、第2の平板部材を第1平板部材と異なる任意の切断線で2分割した切断片の一方と他方であり、その切断線で互いに着脱可能な着脱部材を有する。
また、この組み合わせ以外では、着脱ができないので、初心者であっても分解/組立が容易にできる。
また、同一方向にねじれた位置以外では、着脱ができないので、初心者であっても分解/組立が容易にできる。
さらに、この分解/組立の過程で、DNAの複製、組換え、修復等を視覚的、直感的に理解することが容易となる。
図1(A)は、1つのヌクレオチドの化学構造式である。この図に示すように、各ヌクレオチドは、糖、塩基、リン酸基の3つの部分からなっている。なお、糖と塩基のみからなる分子をヌクレオシド、これにリン酸が加わるとヌクレオチドになる。
図1(B)は、DNAの4つの塩基の化学構造式である。この図に示すように、4つの塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンである。
従って、DNAを構成する4種のヌクレオチドは、塩基がそれぞれアデニン、グアニン、シトシン、およびチミンであり、これに糖とリン酸基が結合したものである。以下、この4種のヌクレオチドを、順にヌクレオチドA,ヌクレオチドG,ヌクレオチドC,ヌクレオチドTと呼ぶ。
図1(A)において、各ヌクレオチドの糖は、五炭糖(2’−デオキシリボース)であり、5つの炭素原子を有する。この5つの炭素原子は、塩基の位置から順に1’,2’,3’,4’,5’と番号付けされている。各ヌクレオチドが直鎖状に結合する場合、図2に示すように、各ヌクレオチドは、5’と3’との間のホスホジエステル結合によって連結される。
また、自然界に存在するDNAはすべて5’→3’の方向へ合成することが知られている。
また、各ブロックの糖部16はこの円筒形部材の端部が嵌合する円形孔16bを有する。リン酸部14の一端が固定される位置16aは、図2の5’の位置を模擬し、円形孔16bは、3’の位置を模擬している。
この図に示すように、Aブロック10AはTブロック10Tとのみ、Gブロック10GはCブロック10Cとのみ、それぞれの塩基部12A,12G,12C,12Tで着脱可能に構成されている。なおこの連結は、リン酸部14が、Aブロック10AとTブロック10T、Gブロック10GとCブロック10Cで、上下が逆になっている。
第1平板部材11は、この例では矩形の平板部材であるが、任意の形状であってもよい。切断線13Aは、この例では斜めの直線であるが、リン酸部14が上下逆の場合のみ着脱可能であるかぎりで、折れ線でも、曲線でもよい。
第2平板部材15は、この例では矩形の平板部材であるが、任意の形状であってもよい。切断線13Bは、この例では斜めの直線であるが、リン酸部14が上下逆の場合のみ着脱可能であるかぎりで、折れ線でも、曲線でもよい。
なお、切断線13Aと切断線13Bは、誤った組み合わせができないように、勾配、形状等が異なっている。
図5、6からわかるように、DNAの二重らせん構造は、以下の重要な特徴を有している。
塩基対形成には、一方のDNA鎖のアデニンともう一方のDNA鎖のチミンとの間、あるいは、シトシンとグアニンとの間での水素結合の形成がかかわっている。この2つの塩基対の組み合わせ(AがTと、GがCと塩基対を形成する)は、DNAにおいて許される唯一の組み合わせである。
上述した本考案の構成により、Aブロック10AはTブロック10Tとのみ、Gブロック10GはCブロック10Cとのみ、それぞれの塩基部12A,12G,12C,12Tで着脱可能に構成されており、DNAのこの特性を再現することができる。
隣り合う塩基対間の疎水的相互作用がかかわっており、図6に示すように、各糖は5’から3’の方向へ必ず合成され、この結果、二重らせんを構築する。
すなわち、リン酸部14の一端が固定される位置16aと、これから離れた位置の円形孔16bは、上下に隣接するブロック10A,10C,10G,10Tを同一方向に一定の角度ねじれた位置で連結するように位置が決められている。
この位置は、後述する実施例の図8に示すように2組の位置16a,16bが同一の円上に位置し、かつ位置16a,16bの円周角を同一(好ましくは36°)に設定するのがよい。
この構成により、図7に示すように、本考案のAブロック10A、Gブロック10G、Cブロック10C、およびTブロック10Tを連結して二重らせんを構築することができる。
図8は、本考案のDNAブロック模型の各ブロックを製作するための素材図である。
(A)において、糖部16は、厚さ7mm、70mm×30mmの発泡スチロールの矩形の平板部材である。直径10mmの2つの孔を図のように設ける。2つの孔は、上述した位置16a,16bに対応している。この位置16a,16bが同一の円上に位置し、かつ位置16a,16bの円周角を好ましくは36°に設定する。
(B)において、リン酸部14は直径7mm、長さ41mmの円柱発泡スチロール材である。
(C)において、着脱部材18A、18Bは、水素結合を模擬した厚さ0.5〜0.7mm、長さ40mmのアクリル板である。この例では一方を斜め45°に、他方を山型に形成している。
(D)において、アデニンとチミンを模擬した2種の塩基部12Aと12Tは、厚さ5mm、50mm×1100mmの両面に紙を貼った発泡スチロール板を図のように斜めに切断したものである。この図において、アデニンとチミンを模擬した2種の塩基部12Aと12Tの表面にはA,Tの大文字、裏面にはa,tの小文字を付す。
(E)において、グアニンとシトシンを模擬した2種の塩基部12Gと12Cは、厚さ5mm、60mm×1100mmの両面に紙を貼った発泡スチロール板を図のように斜めに切断したものである。この図において、グアニンとシトシンを模擬した2種の塩基部12Gと12Cの表面にはG,Cの大文字、裏面にはg,cの小文字を付す。
(A)〜(D)において、糖部16の右下の孔にリン酸部14の一端を嵌合させて接着する。
また、4種の塩基部12A,12G,12C,12Tを糖部16の図の上面に接合して、Aブロック10A、Gブロック10G、Cブロック10C、およびTブロック10Tを製作する。
2本の第1着脱部材18Aを、Aブロック10Aの塩基部端面に平行に埋め込み、対応するTブロック10Tの端面にこれと嵌合する差込み溝を設ける。
3本の第2着脱部材18Bを、Gブロック10Gの塩基部端面に平行に埋め込み、対応するCブロック10Cの端面にこれと嵌合する差込み溝を設ける。
1.Aブロック10AとTブロック10Tは片方を上下反転させ、第1着脱部材18Aをこれと嵌合する差込み溝にさし込むことで安定して組み合わさる。また、簡単にはずすことができる。
2.Gブロック10GとCブロック10Cも片方を上下反転させ、第2着脱部材18Bをこれと嵌合する差込み溝にさし込むことで安定して組み合わさる。また、簡単にはずすことができる。
3.上記1、2の組立が、DNAの塩基間の水素結合をモデル化している。
4.第1着脱部材18Aと第2着脱部材18Bの水素結合は、他にA、G側にS極(またはN極)、T、C側にN極(またはS極)の磁石をつけるなどして、何度も接着、着脱可能な粘着テープを用いるなど、容易に取り外しができる方法で置き換えることもできる。
すでに差込まれて接着した方は、糖の5’側にすでにもともとヌクレオチドプール中の個別のヌクレオチドにリン酸エステル結合でついているリン酸を示す。
空いている円形孔16bは新しくDNA鎖が伸びていくときにもうひとつのリン酸結合を形成するための3’ の水酸基をモデル化している。さらに、精密なモデル化には、この5’側のリン酸に着脱の容易なリン酸をもう2個付けておき、新しく他のヌクレオチド(厳密には合成中のDNA鎖の3’末端)の3’水酸基に結合させるときに、その付加した2個のリン酸をとりのぞくようなモデルにすることもできる。
3’側水酸基を示す円形孔16bと、5’側のリン酸基を示す円柱を組み合わせたときには、しっかり安定し、構造が簡単には崩れない程度の固さの差し込みとし、取り外したいときには少し力を入れる程度で外すことができるようにしておく。
6.3の水素結合と、5のリン酸エステル結合を組み合わせることによって、図7に示したように、簡単にDNA二重らせん構造を構築できる。
7.この実施例では、直径約200mm、各塩基を組立てるときの回転角36°、各塩基対間の二重らせん方向での距離が34mmとなるよう組立てることができるので、10塩基対で340mmの長さで丁度二重らせん1ピッチとなる。すなわち、直径2nm、1ピッチ3.4nmの実物のDNAをそのまま1億倍に拡大したモデルとなっている。
それを可視化しやすいように、図8で示した4種類のヌクレオチドの塩基部分に、見えている面には、大文字で、それぞれ、A、G、C、Tと記載し、上下を反転させた裏面には、小文字でa、g、c、tと記載している。
9.またDNA解析時に4種類の塩基を色分けする例にならって、それぞれの塩基の文字に色をつけることができる。例えば、A、aを緑、G、gを黒、C、cを青、T、tを赤で示すのがよい。
10.DNA合成時に重要な共有結合部位を担うリン酸部14も色(例えば、黄色)をつけて明示するのがよい。
11.DNA解析時には、通常、その合成の方向5’リン酸基から3’水酸基方向でDNA鎖を表現することが多いので、リン酸を色付けることで、端に黄色が飛び出ている部分がDNAの5’端となっていることを簡単に識別できる。
12.DNAは5’リン酸基から3’水酸基方向の鎖の文字配列でタンパク質をコードしている。このモデルでは、黄色が突き出ている5’リン酸を上にすると各塩基に大文字で記載された塩基を3’側に読んでいくことで、タンパクをコードしている可能性のある配列を知ることができる。
逆側の鎖にタンパクがコードされている場合には、上下を反転させ、そこで上に出て来たリン酸基の黄色から下に大文字を読んでいけば自動的に、逆側の鎖にタンパクをコードしている可能性のある塩基配列を読み取っていくことができる。
14.このモデルは縮小することによって、もっと小さな模型とすることも可能である。
15.材質は適宜替えることによって、模型の安定性を増したり、作製や分解をもっと容易にすることも可能である。
16.硬質ゴムや曲げることができるプラスチックなどの素材で、小型化し、リン酸結合部位を強くするか、場合によっては鎖のリン酸結合を部分的にのり付けするなどして固定してしまうことによって、二重らせんDNAを長く用意し、DNAの複製、組換え、修復等、さらには、PCR、DNAシーケンシングといったDNAの構造をもとに塩基レベルでの動きがわかってよく理解できるメカニズムなどのモデル化も可能である。
17.この実施例で示した素材は適宜他のものに変更できる。また、簡素化するために糖と塩基を最初からひとつのパーツで作るなど簡素化も可能である。
18.逆に、糖、リン酸、塩基をもっと分子構造に即した形にしたり、また、パーツにわけることでもっと精密なモデルに構築することも可能である。
19.例えば、糖に4’の水酸基を示す構造体を記載するか付加すれば、RNAを構成するリボヌクレオチドとすることができ、RNA模型ともなる。このとき、文字T、tのかわりに、文字U、uを用いて、RNAでは、チミンTのかわりにウラシルUが使われていることをモデル化できる。
20.例えば、塩基のGに8−oxoグアニンやo6メチルグアニンと記載し、Cだけでなく、それぞれ、A、Tとも水素結合できるよう配置すれば、酸化やメチル化によるDNA損傷および突然変異発生機構のモデル化が可能となる。
21. 例えば、塩基のCに5メチルシトシンも加え、DNAのメチル化やエピジェネティックなモデルおよび脱アミノ化に基づくDNA損傷、突然変異発生のメカニズムのモデル化もできる。
23.以上を組み合わせ、年齢や専門度に応じたおもちゃ、学習用教材、さらには、専門的に研究に活用できる高度DNA二重鎖モデルとして個別に対応しながら活用できる。
(1)リン酸、糖、塩基が共通結合して構成されるヌクレオチドをひとつのパーツとした。塩基にはアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類があるので、4種類のヌクレオチドをパーツとし多数揃える。例えば、ひとつのヌクレオチドパーツを5個ずつ、総数20個揃えるとDNA二重らせんが一回転分構築できる。
(2)ヌクレオチドパーツは、DNA二重らせん構造の直径、ピッチ、回転角といった物理化学的性質と、DNAの複製、組換え、修復など生体内におけるDNA反応時のパーツの挙動を再現するための分子生物学的性質だけを忠実に再現する設計とし、方形や円柱構造のみからなるよう単純化している。そのため厚紙や発泡スチロールなど安価で工作が容易な材料を無駄なく使いながら大量生産できる仕様となっている。また簡単なパーツなので、拡大縮小も自在に行え、目的にそった大きさのモデルとすることが可能である。いくつかパーツが壊れたり紛失することも気にならずにすむ。パーツの補充や追加も安価にできる。
(4)できあがった二重らせんの見た目が美しく「装飾オブジェ」となるよう、パーツの形や色合いを調整することも可能となっている。
(5)また、パーツをもっとも単純化して安価に多数提供し、こどもや初心者向けに設計することから、専門知識を組み入れて、パーツの形をもっと原子構造まで反映させたり、材質から、3つしかない結合箇所をさらに増やすなどの変更設計も容易であり、最先端研究のモデルとしても利用でき、応用範囲が広い。
(6)単純なパーツながら、4種類の塩基を現しており、新聞テレビなどを通して一般にもなじみのものとなりつつあるA、G、C、TというDNAを構成する「4文字」をパーツに記載することにより、DNA構造と分子生物学的知識を知らず知らずに体感しながら身につけることができる。またDNA鎖には向きがあることや、遺伝の仕組みまで、このモデルを通して実感できるような構造となっている。
(7)RNAも基本構造はDNAと極めて類似しており、さらには、20種類のアミノ酸からなるタンパク質へもこのモデルの基本構想は応用でき、発展性のあるモデルとなっている。DNA分子どうしの生体構造や反応だけでなく、RNAやタンパク質同士、さらには、DNA、RNA、タンパク質のあいだの相互作用など、現在、ゲノム研究の中心となっている研究のモデル系ともなりうる。
10C Cブロック、10T Tブロック、
11 第1平板部材、12A,12G,12C,12T 塩基部、
13A,13B 切断線、14 リン酸部、
15 第2平板部材、16 糖部、
16a 固定位置、16b 円形孔、
18A 第1着脱部材、18B 第2着脱部材
Claims (4)
- アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンを模擬した4種の塩基部と、リン酸及び糖を模擬したリン酸部及び糖部がそれぞれ一体に連結されたAブロック、Gブロック、Cブロック、およびTブロックからなり、
AブロックはTブロックとのみ、GブロックはCブロックとのみ、それぞれの塩基部で着脱可能であり、
前記各ブロックは、隣接するブロックの糖部がリン酸部を介して同一方向にねじれた位置でのみ着脱可能であり、これにより連結して二重らせんを構築する、ことを特徴とするDNAブロック模型。 - 前記各ブロックの糖部は平板部材であり、
各ブロックのリン酸部は、上下に隣接するブロックを同一方向に一定の角度ねじれた位置で連結する連結部材であり、
これにより、上下に隣接するブロックが同一方向に一定の角度で順次ねじれた一重らせんを構築し、
該一重らせんは、各ブロックの塩基部と着脱可能な別の一重らせんとの連結により、二重らせんを構築する、ことを特徴とする請求項1に記載のDNAブロック模型。 - 前記AブロックとTブロックの塩基部は、第1の平板部材を任意の切断線で2分割した切断片の一方と他方であり、その切断線で互いに着脱可能な着脱部材を有し、
前記GブロックとCブロックの塩基部は、第2の平板部材を第1平板部材と異なる任意の切断線で2分割した切断片の一方と他方であり、その切断線で互いに着脱可能な着脱部材を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のDNAブロック模型。 - 前記着脱部材は、水素結合を模擬したピンと孔の嵌合具、凸部と凹部の嵌合具、マグネット、マッジックテープ、又は粘着テープである、ことを特徴とする請求項3に記載のDNAブロック模型。
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