JP3110310B2 - 成膜シミュレーション方法及びその装置 - Google Patents

成膜シミュレーション方法及びその装置

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JP3110310B2
JP3110310B2 JP08095384A JP9538496A JP3110310B2 JP 3110310 B2 JP3110310 B2 JP 3110310B2 JP 08095384 A JP08095384 A JP 08095384A JP 9538496 A JP9538496 A JP 9538496A JP 3110310 B2 JP3110310 B2 JP 3110310B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成膜シミュレーショ
ン方法及びその装置に関し、とくに成膜技術のうち、分
子動力学法を用いた非晶質シリコン成膜シミュレーショ
ン方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、現在、薄膜太陽電池や薄膜
トランジスタ(Thin Film Transistor ,TFT)の
構成材料として非晶質シリコンの果たす役割はますます
大きくなってきている。それに伴い、非晶質シリコン薄
膜製造装置におけるその成膜速度、成膜物性(欠陥割
合、水素含有率、SiH2 /SiH比)を計算機シミュ
レーションで予測する技術ニーズが高まっている。上記
シミュレーション技術としては、従来モンテカルロ法を
用いた非晶質シリコン成膜シミュレーション技術が幾つ
か開発されてきた。
【0003】ジャーナル オブ アプライド フィジク
ス、第61巻、第139頁から第184頁(J.Appl
.Phys .,Vol.46,pp.139-184 ,1987)に論
じられているように、グリーソン(Gleason)(アメリ
カ合衆国)らは、モンテカルロ法を用いて非晶質シリコ
ン成膜シミュレーションを行い、膜中水素含有量や膜密
度を評価している。基礎過程として、入射活性種付着反
応(含水素放出)、エッチング反応、活性種の表面拡
散、再配列(水素放出)を考慮しているが、個々の原子
の動きを直接追跡するのではなく、多くの反応式仮定と
不明瞭な実験値パラメータを用いている。
【0004】また、ジャーナル オブ アプライドフィ
ジクス、第65巻、第186頁から第195頁(J.A
ppl .Phys .,Vol.65,pp.186-195 ,1989)に
論じられているように、クシュナー(Kushner)(アメ
リカ合衆国)らは、モンテルカルロ法を用いて非晶質シ
リコン成膜シミュレーションを行い、バルク特性に関連
した表面粗さやポロシティを評価している。クッシュナ
ーらは、格子点を予め設定し、そこにSi、H、D(未
結合手)のうちのどれかが占有するという仮定を置き、
グリーソンらと同様に活性種付着、エッチング、活性種
の表面拡散、再配列等の仮定を考慮しているが、個々の
原子の動きを直接追跡するのではなく、多くの反応式仮
定と不明瞭な実験値パラメータを用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、活性
種の表面反応・堆積過程を仮定された多くの反応式と実
験値から推測された反応定数で表しており、個々の原子
に対する物理法則が必ずしも満たされていない。従っ
て、モンテカルロ法を用いた上記シミュレーション技術
では、適用範囲が実験の行われた範囲に限定され、実用
的ではなく、非晶質シリコン薄膜の正確な成膜速度、成
膜物性を予測出来ないという問題点があった。
【0006】本発明はこうした事情を考慮してなされた
もので、不明瞭なパラメータを用いることなく、非晶質
シリコン薄膜の成膜速度、成膜物性を正確に予測するの
に優れている、分子動力学法を用いた成膜シミュレーシ
ョン方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するためになされた非晶質シリコン成膜シミュレー
ション方法及び装置である。即ち、シミュレーション方
法としては、第1手順で、成膜雰囲気から供給される入
射活性種束とその入射活性種温度及び基板温度を設定す
る。次に、第2手順で前記設定した条件のもとに、本発
明で新しく定式化したシリコン−水素系の原子間表現式
を基礎とする分子動力学法を用いて、多数入射活性種の
基板表面反応・堆積過程における原子1個ずつの動きを
ある時間ごとに追跡し、原子1個ずつの座標・速度を求
め、この原子座標をもとに入射活性種の一部が形成する
堆積膜厚、堆積膜中の全シリコン原子数、全水素原子
数、堆積膜中の4配位シリコン原子数、水素1個と結合
したシリコン原子数、水素2個と結合したシリコン原子
数(以下、堆積データという)を算出する。
【0008】堆積膜厚は、成長膜表面原子と結合した最
上部のシリコン原子高さから初期下地膜厚を引くことに
より求められ、堆積膜中シリコン原子数、水素原子数
は、上記膜中に存在する原子数を全て数えることによ
り、4配位シリコン原子数は、4つの原子と結合してい
るシリコン原子を数えることにより、水素1個と結合し
たシリコン原子数は、結合している原子のうち水素が一
つのシリコン原子を数えることにより、水素2個と結合
したシリコン原子数は、結合して原子のうち水素が二つ
あるシリコン原子を数えることにより求めることができ
る。これにより、成膜速度、成膜物性である欠陥割合、
水素含有率、SiH2 /SiH比を演算する。つづい
て、第3手順で、演算した成膜速度と成膜物性である
陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH比を出力する。
【0009】次に、非晶質シリコン薄膜の成膜速度、成
膜物性である欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH
比を求めるシミュレーション装置には、成膜雰囲気から
供給される入射活性種束とその入射活性種温度及び基板
温度の入力のもとに、本発明で新しく定式化したシリコ
ン−水素系の原子間力表現式を基礎とする分子動力学法
を用いて、多数入射活性種の基板表面反応・堆積過程に
おける原子1個ずつの動きをある時間ごとに追跡し、原
子1個ずつの座標・速度を求める第1の演算部と、この
原子位置をもとに堆積データを算出する第2の演算部
と、これより成膜速度、成膜物性である欠陥割合、水素
含有率、SiH2 /SiH比を求める第3の演算部が設
置される。
【0010】上記原子座標・速度演算部には、入射活性
主束を設定して当該演算部に入力する入射活性主設定部
と、入射活性種温度を設定して当該演算部に入力する入
射活性種温度設定部と、基板温度を設定して当該演算部
に入力する基板温度設置部とが接続されている。さら
に、成膜速度・成膜物性演算部には、入射活性種束、入
射活性種温度、基板温度に対応する成膜速度、成膜物性
である欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH比を
出する出力部が接続されている。
【0011】(作用) 上記シミュレーション方法では、第2手順で、入射活性
種束、入射活性種温度および基板温度に対応して、本発
明で新しく定式化したシリコーン−水素系の原子間力表
現式を基礎とする分子動力学法を用いて、多数入射活性
種の基板表面反応・堆積過程における原子1個ずつの動
きをある時間ごとに追跡し、その原子座標から堆積デー
タを算出することで、成膜速度、成膜物性である欠陥割
合、水素含有率、SiH2 /SiH比が不明瞭な実験値
パラメータを用いずに求まる。
【0012】上記シミュレーション装置では、入射活性
種束設定部で設定される入射活性種束、入射活性種温度
設定部で設定される入射活性種温度、基板温度設定部で
設定される基板温度を原子座標・速度演算部に入力し、
この演算部内で、本発明で新しく定式化したシリコン−
水素系の原子間力表現式を基礎とする分子動力学法を用
いて、多数入射活性種の基板表面反応・堆積過程におけ
る原子1個ずつの動きをある時間ごとに追跡し、原子座
標・速度が求まる。さらに、堆積データ演算部で、成膜
速度、成膜物性である欠陥割合、水素含有率、SiH2
/SiH比が不明瞭な実験値パラメータを用いずに求ま
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例を図1
のシミュレーション方法の流れ図を参照して説明する。
このシミュレーション方法は、基板表面に供給される薄
膜形成物の入射活性種が非晶質シリコン薄膜を形成する
際の成膜速度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、Si
2 /SiH比)を演算して求める方法である。
【0014】即ち、図1に示すように、第1の手順で、
基板表面に成膜雰囲気から供給される入射活性種束、そ
の入射活性種の入射並進・回転・振動エネルギーを表す
入射活性種温度、更に基板温度をそれぞれ設定し、例え
ばコンピュータに入力する。本発明では、非晶質シリコ
ン成膜の入射活性種としてSiH3 、SiH2 、Hの3
つを扱い、これらの値を単位cm-2-1で設定する 次に、第2手順で、これらの入力値をもとに分子動力学
法を用いたシミュレーション手法により、非晶質シリコ
ンの成膜速度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、Si
2 /SiH比)を求めるが、以下に図1の第2手順に
従い、シミュレーションの流れの実施例を説明する。
【0015】まず、第1手順で設定した入力値と予め用
意した非晶質シリコン基板原子座標位置をもとに、分子
動力学解析を始める図2のような系の原子座標・速度を
初期設定する。次に、時間をタイムステップΔtだけす
すめ、下記数1(式(1) )で表されるように原子に作用
するFi を下記数1(式(1) )で示される原子間力表現
式の空間座標微分より求める。ここで、Vijは下記数2
(式(2) )に示す通りである。Vr (下記数3で示す式
(3) )とVa (下記数4で示す(4) )は夫々斥力項、引
力項に相当し、AijとBijは原子座標や結合角に依存す
る結合次数を表す。その他のパラメータは、入射活性種
SiH3 、SiH2 、SiH中のシリコン水素間結合距
離と結合エネルギーを参考に決定している。それを下記
表1に示す。なお、式(2) 中のaijは下記数5で示す式
(5) 、式(5) 中のτijは下記数6で示す式(6) 、式(2)
中のbijは下記数7で示す式(7) 、式(7) 中のξijは下
記数8で示す式(8)、式(8) 中のg(θijk )は下記
数9で示す式(9) 、式(6)中のfc (rik)は数10で示
す式(10)に示す通りである。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】
【数5】
【0021】
【数6】
【0022】
【数7】
【0023】
【数8】
【0024】
【数9】
【0025】
【数10】
【0026】
【表1】
【0027】次に、上記で求めた原子に作用する力をも
とに古典的なニュートンの運動方程式をベルレ法という
数値積分法で解く。即ち、図1の第2手順中の二つの式
の上式右辺第2項に入れることにより原子iの速度Vi
を求め、さらに下式より原子iの位置Ri を求める。次
に、時刻tが終了時刻tmax 未満であれば、時間をさら
にタイムステップΔtだけ進めて、各原子速度と位置を
求め直し、tがtmax以上であれば、各原子の速度と位
置の演算を終了する。なお、式中のmi は原子iの質量
を示す。
【0028】次に、(1) 堆積膜の膜厚、(2) 堆積膜中の
全シリコン原子数、(3) 堆積膜中の全水素原子数、(4)
堆積膜中の4配位のシリコン原子数、(5) 水素1個と結
合下シリコン原子数、(6) 水素2個と結合したシリコン
原子数を計算し、これを以下の式(11)、式(12)、式(1
3)、式(14)に入力することで成膜速度、成膜物性(欠陥
割合、水素含有率、SiH2 /SiH比)を求めること
ができる。
【0029】 成膜速度=堆積膜厚/(入射活性種個数×入射時間間隔) …(11) 欠陥の割合=(1−膜中4配位シリコン原子数/膜中シリコン原子数) ×100 …(12) 水素含有率=膜中水素原子数/膜中全原子数×100 …(13) 水素結合様式=水素2個と結合したシリコン原子数/水素1個と結合したシリ コン原子数 …(14) ここで、式(11)中の入射時間間隔は分子動力学シミュレ
ーション上の入射時間間隔ではなく、全入射活性種束と
解析領域中の基板面積との関の逆数から求められる実際
の入射時間間隔である。一方、本シミュレーション手法
で予め1個の活性種の動的解析を行った結果、図3に示
すように活性種は2〜3psで安定し膜を形成するか
ら、シミュレーション上の入射時間間隔は2〜3psと
している。以上より、第2手順で、入射活性種束、入射
活性種温度、基板温度の入力値をもとに分子動力学法を
用いたシミュレーション手法により非晶質シリコンの成
膜速度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、SiH2
SiH比)を上記コンピュータで演算して求めることが
できる。
【0030】そして、最後に第3手順を行う。この手順
では、演算した成膜速度と成膜物性をコンピュータから
外部に出力する。出力には、例えば画面表示装置または
プリンタを用いる。
【0031】上記シミュレーション方法を用いて、入射
活性種束としてSiH3 (1015cm-2-1)のみを考
えた場合の入射活性種温度(エネルギー)と成膜速度、
成膜物性(欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH
比)との関係を求めた計算結果を、図4の入射活性種温
度と成膜速度、図5の入射活性種温度と欠陥の割合、図
6の入射活性種温度と水素含有率、図7の入射活性種温
度とSiH2 /SiH比との関係図でそれぞれ説明す
る。実験結果があるものについては計算結果と併せて示
す。
【0032】実際の非晶質シリコン製造装置では、基板
への入射活性種としてSiH3 が支配的であることが種
々の実験計測からわかりつつあるので、本実施例では、
SiH3 のみを考えている。ここでは、入射活性種温度
については、300K、470K、640K、800K
の4ケースを考え、並進、回転、振動温度それぞれ同じ
値を用いている。分子動力学シミュレーションで、基板
はシリコン原子138個、水素原子12個で構成される
水素化非晶質シリコン、入射活性種個数はSiH3 40
0個とした。本計算の時間ステップは0.1fs、基板
温度は高品質膜が得られやすい450Kとしている。成
膜解析セル中基板表面は16.1オングストローム
(A)×16.1オングストローム(A)で、活性種の
実際の入射時間間隔は50msとなる。
【0033】図4の縦軸は成膜速度、横軸は入射活性種
温度を示す。本計算結果は実験結果とほぼ一致し、本発
明での成膜速度評価手法が妥当であることがわかる。図
5の縦軸は欠陥の割合の計算結果、欠陥密度の実験結
果、横軸は入射活性種温度を示す。解析結果は4配位以
外をとるシリコン原子(未結合手を含む欠陥に相当)の
全シリコン原子に対する割合、実権結果は成膜した試料
を一定光電流法によって測定した欠陥密度を現し、本図
は両者の定性的比較を示す。実験結果の参考値はマテリ
アルズ リサーチ ソサイアティ シンポジウム プロ
シーディングス、第297 巻、第91頁から第96頁(Mat.
Res.Soc.Symp .Pros .,Vol.297 ,pp.91−
96,1993)に記載されているニシオらの実験結果を引用
した。これにより入射活性種温度が比較的高い場合の計
算結果の正確さがまだ不十分であるものの、本発明での
シミュレーション手法で定性的な予測は十分にできるこ
とがわかる。
【0034】図6の縦軸は水素含有率、横軸は入射活性
種温度を示す。計算結果では、水素含有率に入射活性種
温度依存牲はなく約18%となり、本シミュレーション
手法で実際の水素化非晶質シリコン中の膜中シリコンを
ほぼ予測できることがわかる。これは、成膜シミュレー
ションで実際と同じように活性種SiH3 の基板表面水
素抜き取り反応が起こっていることを間接的に示すが、
この反応の様子は解析結果の動画で直接確認している。
【0035】図7の縦軸は水素結合様式(SiH2 /S
iH比)、横軸は入射活性種温度を示す。これより、入
射活性種温度が大きくなるにつれて、膜中のSiH2
合がSiH結合に比べて多くなり膜質が劣化することが
予測できる。一方、図4は、入射活性種温度が大きくな
るにつれて成膜速度が大きくなっていることを示す。一
般に成膜速度が大きくなるにつれて、膜質が劣化すると
言われており、図4と図7の結果はこれと一致してい
る。
【0036】次に、上記説明したシミュレーション手法
を用いて、基板表面に供給される薄膜形成物の入射活性
種が非晶質シリコン薄膜を形成する際の成膜速度、成膜
物性(欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH比)を
計算するシミュレーション装置、図8のシミュレーショ
ン装置の概略構成図で説明する。
【0037】シミュレーション装置1には、入射活性種
束、入射活性種温度、基板温度から非晶質シリコン薄膜
形成の成膜速度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、S
iH2 /SiH比)を求める3つの演算部、原子座標・
速度演算部11、堆積データ演算部12、成膜速度・演算物
性演算部13が備えられている。上記原子座標・速度演算
部11には、入射活性種束を当該演算部に入力する入射活
性種束設定部14と、入射活性種温度を当該演算部に入力
する入射活性種温度設定部15と、基板温度を当該演算部
に入力する基板温度設定部16とが接続されている。
【0038】上記原子座標・速度演算部11には、上記入
力値に対し各原子座標・原子速度が求まる分子動力学法
を用いた分子動力学成膜シミュレータが設置されてい
る。さらに、上記成膜速度・演算物性演算部13には、入
力した入射活性種束、入射活性種温度、基板温度に対応
する成膜速度、成膜物性を当該演算部11から出力する出
力部17が接続されている。上記出力部17は、出力結果の
成膜速度、成膜物性をオペレータに知らせる手段であっ
て、例えば画面表示装置またはプリンタから構成されて
いる。
【0039】なお、上記構成のシミュレーション装置1
は、入射活性種束、入射活性温度、基板温度に対応する
成膜速度、成膜物性を求めることができるものであれ
ば、上記構成に限定されることはない。例えば、上記入
射活性種束設定部14、上記入射活性種温度設定部15、上
記基板温度設定部16は、一つの入力装置で構成すること
も可能である。
【0040】次に、上記シミュレーション装置1の動作
方法を、例えば入射活性種としてSiH3 のみを考えた
場合を例にして説明する。まず、入射活性種束設定部14
にSiH3 の入射活性種束を、入射活性種温度設定部15
にSiH3 の入射活性種温度を、基板温度設定部16に基
板温度を設定する。そして、設定した入射活性種束、入
射活性種温度、基板温度を原子座標・速度演算部11に入
力する。
【0041】上記原子座標・速度演算部では、入射活性
種束、入射活性種温度、基板温度の入力値をもとに、本
発明で新しく定式化したシリコン−水素系の原子間力表
現式を基礎とする分子動力学法を用いて、多数入射活性
種の基板表面反応・堆積過程における原子1個ずつの動
きをある時間ごとに追跡し、原子1個ずつの座標・速度
が求まる。次に、堆積データ演算部12では、この原子座
標をもとに堆積データが算出され、これより、成膜・演
算物性演算部13では、シミュレーション手法で説明した
式(11)〜式(14)から成膜速度、成膜物性(欠陥割合、水
素含有率、SiH2 /SiH比)が求まる。
【0042】そして、上記演算部13で計算した成膜速
度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、SiH2 /Si
H比)を入射活性種束、入射活性種温度、基板温度に対
応させて出力部17より出力する。上記説明したように、
例えば、上記出力部17が画面表示装置で構成されている
場合には、その画面に演算結果を表示する。上記出力部
17がプリンタで構成されている場合には、演算結果を印
刷して出力する。
【0043】以上、説明したように本発明のシミュレー
ション方法によれば、第2手順で、入射活性種束、入射
活性種温度、基板温度に対応して、本発明で新しく定式
化したシリコン−水素系の原子間力表現式を基礎とする
分子動力学法を用いて、多数入射活性種の基板表面反応
・堆積仮定における原子1個ずつの動きをある時間ごと
に追跡することで、原子1個ずつの座標・速度が求ま
り、この原子座標をもとに堆積データを算出すること
で、成膜速度、成膜物性(欠陥割合、水素含有率、Si
2 /SiH比)が不明瞭な実験値パラメータを用いず
に求まる。このため、非晶質シリコン成膜時の条件設定
を最適化できるようになるので、高速成膜や膜高品質化
を図ることが可能となる。
【0044】上記シミュレーション装置では、入射活性
種束を入射活性種束設定部を介して、入射活性種温度を
入射活性種束設定部を介して、基板温度を基板温度設定
部を介して演算部に入力することで、成膜速度、成膜物
性(欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH比)を不
明瞭な実験値パラメータを用いずに精度良く求めること
が可能になる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
不明瞭なパラメータを用いず、非晶質シリコン薄膜の成
膜速度、成膜物性を正確に予測するのに優れている、分
子動力学法を用いた成膜シミュレーション方法及びその
装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シミュレーション方法の流れを示す説明図。
【図2】成膜表面反応の概略模式図。
【図3】活性種の基板表面相対移動距離シミュレーショ
ン結果を示す特性図。
【図4】入射活性種温度に対する成膜速度の計算結果と
実験結果とを比較して示す特性図。
【図5】入射活性種温度に対する膜中欠陥割合の計算結
果と実験結果とを比較して示す特性図。
【図6】入射活性種温度に対する膜中水素含有率の計算
結果と実験結果とを比較して示す特性図。
【図7】入射活性種温度に対する膜中SiH2 /SiH
比の計算結果と実験結果とを比較して示す特性図。
【図8】本発明の一実施例に係る成膜シミュレーション
装置の概略構成図。
【符号の説明】
1…シミュレーション装置、 11…原子座標・原子速度演算部、 12…堆積データ演算部、 13…成膜速度・成膜物性演算部、 14…入射活性種束設定部、 15…入射活性種温度設定部、 16…基板温度設定部、 17…出力部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C01B 33/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に供給される薄膜形成物の入射
    活性種が非晶質シリコン薄膜を形成する際の成膜速度、
    成膜物性である欠陥割合、水素含有率、SiH2 /Si
    比を求められる、分子動力学法を用いた成膜シミュレ
    ーション方法であって、 成膜雰囲気から供給される入射活性種束とその入射活性
    種温度及び基板温度を設定する第1手順と、 前記設定した条件のもとに、シリコン−水素系の原子間
    力表現式を基礎とする分子動力学法を用いて、多数入射
    活性種の基板表面反応・堆積過程における原子1個ずつ
    の動きをある時間ごとに追跡し、原子1個ずつの座標・
    速度を求め、この原子座標をもとに入射活性種の一部が
    形成する堆積膜厚、堆積膜厚中の全シリコン原子数、全
    水素原子数、堆積膜中の4配位シリコン原子数、水素1
    個と結合したシリコン原子数、水素2個と結合したシリ
    コン原子数を算出し、これより成膜速度、成膜物性であ
    欠陥割合、水素含有率、SiH2 /SiH比を求める
    第2手順と、 前記で求めた成膜速度、成膜物性である欠陥割合、水素
    含有率、SiH2 /SiH比を出力する第3手順とを具
    備することを特徴とする成膜シミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の分子動力学法を用いた
    成膜シミュレーション方法を用いて非晶質シリコン薄膜
    の成膜速度、成膜物性である欠陥割合、水素含有率、S
    iH2 /SiH比を計算する成膜シミュレーション装置
    であって、 成膜雰囲気から供給される入射活性種束とその入射活性
    種温度及び基板温度の入力のもとに、シリコン−水素系
    の原子間力表現式を基礎とする分子動力学法を用いて、
    多数入射活性種の基板表面反応・堆積過程における原子
    1個ずつの動きをある時間ごとに追跡し、原子1個ずつ
    の座標・速度を求める第1の演算部と、 この原子座標をもとに入射活性種の一部が形成する堆積
    膜厚、堆積膜中の全シリコン原子数、全水素原子数、堆
    積膜中の4配位シリコン原子数、水素1個と結合したシ
    リコン原子数、水素2個と結合したシリコン原子数を算
    出する第2の演算部と、 これより成膜速度、成膜物性である欠陥割合、水素含有
    率、SiH2 SiH比を求める第3の演算部と、 前記入射活性種束を前記第1の演算部に入力するもので
    第1の演算部に接続されている入射活性種設定部と、 前記入射活性種温度を前記第1の演算部に入力するもの
    で第1の演算部に接続されている入射活性種温度設定部
    と、 前記基板温度を前記第1の演算部に入力するもので第1
    の演算部に接続されている基板温度設定部と、 前記入力した入射活性種束、入射活性種温度、基板温度
    に対応する成膜速度、成膜物性である欠陥割合、水素含
    有率、SiH2 /SiH比を表出するもので前記第1の
    演算部に接続されている出力部を具備することを特徴と
    する成膜シミュレーション装置。
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