JP3101843B2 - 接木方法 - Google Patents

接木方法

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JP3101843B2
JP3101843B2 JP04203205A JP20320592A JP3101843B2 JP 3101843 B2 JP3101843 B2 JP 3101843B2 JP 04203205 A JP04203205 A JP 04203205A JP 20320592 A JP20320592 A JP 20320592A JP 3101843 B2 JP3101843 B2 JP 3101843B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は接木方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
【0004】ナスやトマト等の果菜類では、土壌病害、
連作障害を回避して生産性の向上を図るため、接木が行
われている。
【0005】接木には、割り接ぎ,挿し接ぎ,呼び接ぎ
等があるが、例えば、ナス苗の接木には、接木後の管理
が容易なことから、主に呼び接ぎが行われている。
【0006】従来の呼び接ぎは、図3,図4に示すよう
に、次のように行われていた。
【0007】なお、図3は従来の呼び接ぎの概略図であ
り、図4は図3のA−A線断面図を示している。
【0008】まず、台木10を斜めに切断し、該切断面
10aに約45°の傾斜角度を有する穂木挿入用の穴1
1を反対側に突き抜けないように形成すると共に、根1
2がついたままの穂木13の一部に切り込みを入れ、台
木10に形成された穴11への挿入用の挿入部13aを
形成する。
【0009】そして、台木10に形成された穴11に穂
木13の挿入部13aを貫通しない状態で挿入した後、
穂木13の離脱防止のために接木部分をクリップ14
(一点鎖線で示す)で固定する。
【0010】すると、図4に示すように、穂木13の挿
入部13aの形成層13bと、台木10の形成層10b
とが、挿入部13aの穴11への挿入側の1箇所で癒着
し、挿入部13aの先端側では、穂木13の挿入部13
a先端部分の表皮及び初生皮層13cと台木10の形成
層10bとが接着する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】しかしながら、従来の呼び接ぎは、充分な
深さを有する穂木挿入用の穴を、台木の反対側に突き抜
けないように形成することが容易でない上に、接木部分
をクリップで固定する手間が必要なので、1時間当たり
150〜170本程度しか処理できなかった。
【0013】また、穂木挿入用の穴は、台木を片方の手
の親指と人差指で支え、一方の手で穴開け用の刃物を持
って突き抜けないよう注意して形成するが、この際、台
木が堅い場合には、刃物を押す手に力が加わり、勢い余
って刃物の鋭い先端部が台木を支えている指まで達し、
指を傷付けることがあった。
【0014】さらに、穂木の形成層と台木の形成層との
癒着箇所が1箇所なので、活着率が93〜95%程度で
あり、その上、台木が細い場合や穴が浅い場合等には、
挿入した穂木の安定性が悪く、活着しても生育不良や接
木部分からの折損等の品質上の問題を有していた。
【0015】従って、作業を迅速かつ安全に行うことが
できると共に、活着率の向上や活着後の品質の向上を図
ることができる手段が望まれていた。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【0017】本発明の課題を解決するための手段は、下
記の通りである。
【0018】第1に、穂木を挿入する台木に貫通孔を形
成し、該貫通孔に穂木を挿入して、その先端部分が台木
から突き抜けるようにして呼び接ぎを行う接木方法であ
る。
【0019】
【作用】
【0020】本発明によれば、台木と穂木との形成層
が、穂木の挿入部の挿入側と先端側の前後2箇所で癒着
するので、従来より癒着面積が増加し、接木結果に良好
な影響を及ぼす。
【0021】
【実施例】
【0022】以下、図面を参照しながら、本発明の接木
方法の一実施例について説明する。
【0023】ここで、図1は本発明の接木方法の一例を
示す概略図であり、図2は図1のA−A線断面図を示し
ている。
【0024】なお、該実施例では、ナス苗の接木を行う
例について説明するが、本発明方法は他の果菜類につい
ても実施できる。
【0025】まず、台木1を斜めに切断し、該切断面1
aに約45°の傾斜角度を有する穂木挿入用の孔2を反
対側に突き抜けるように形成すると共に、根3がついた
ままの穂木4に、台木1に形成された孔2への挿入用の
挿入部4aを形成する。
【0026】ここで、穂木挿入用の孔2を台木1の反対
側に突き抜けるように形成する際には、台木1を親指と
人差し指とによって、孔開け用の刃物の先端部が通過す
る間隔をもって支えているので、突き抜けた刃物で指を
傷つけることがない。
【0027】そして、台木1に形成された孔2に、穂木
4の挿入部4aを先端部分が約3mm程度突き抜けるよ
うに挿入し、先端部分の表皮及び初生皮層4cが台木1
から飛び出るようにする。
【0028】すると、図2に示すように、穂木4の形成
層4bと台木1の形成層1bとが、挿入部4aの孔2へ
の挿入側で癒着すると共に、挿入部4aの先端側でも癒
着し、穂木4の挿入部4aの挿入側と先端側の前後2箇
所で癒着する上に、穂木4が台木1に安定した状態で挿
入されることになる。
【0029】
【試験例1】
【0030】上記実施例で説明した本発明による接木方
法と、従来の技術で説明した従来の接木方法とについ
て、実際に接木作業を行ない、作業速度、活着率、活着
後の品質を比較した。
【0031】なお、活着後の品質については、接木後2
0日目に苗床内での状態を比較することで行った。
【0032】その結果、作業速度については、従来法で
は1時間当たり150〜170本程度しか処理できなか
ったのに対して、本発明法では1時間当たり190〜2
10本程度処理することができ、速度向上が見られた。
【0033】また、活着率については、従来法では93
〜95%程度であったのに対して、本発明法では99〜
100%程度であり、活着率の向上が見られた。
【0034】さらに、活着後の品質については、本発明
法によれば従来法より5日程度形態的な生長が早いこと
が確認され、品質向上が見られた。
【0035】
【試験例2】
【0036】上記実施例で説明した本発明による接木方
法と、従来の技術で説明した従来の接木方法とについて
活着状態を比較するため、実際に接木作業を行ない、接
木後20日目に、次のような試験を行った。
【0037】台木の切断面に形成された穂木挿入用の孔
又は穴の1cm下部で、穂木挿入側から中央部まで水平
に切り込みを入れた後、該切り込みに薄いプラスチック
製の遮断板を入れ、該遮断板によって穂木挿入側の形成
層の通水機能を遮断した状態で、その後の様子を観察し
た。
【0038】その結果、従来法による接木では、5時間
後には激しくしおれ、その3日後には枯死したのに対
し、本発明法による接木では、5時間後でも切り込み処
理前の状態と変化がなく、その後も枯死することなく生
長を続けた。
【0039】上記結果から、従来法による接木では穂木
挿入側の一箇所でしか形成層の癒着が行われず、該箇所
を遮断されると、生命維持が困難になるのに対して、本
発明法による接木では穂木挿入側の他に穂木先端側でも
形成層の癒着が行われているため、一箇所を遮断されて
も生命維持が可能であることが確認できる。
【0040】
【発明の効果】
【0041】本発明によると、孔の形成が容易な上に接
木部分をクリップで固定する手間が不要であり、また、
貫通を前提に孔を形成するので指を傷つけることがな
く、さらに、穂木の形成層と台木の形成層との癒着箇所
が2箇所であり、穂木が台木に貫通挿入され安定するの
で、作業を迅速かつ安全に行うことができると共に、活
着率の向上や活着後の品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接木方法の一例を示す概略図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】従来の呼び接ぎの概略図
【図4】図3のA−A線断面図
【符号の説明】
1 台木 1a 切断面 1b 形成層 2 孔 3 根 4 穂木 4a 挿入部 4b 形成層 4c 表皮及び初生皮層 10 台木 10a 切断面 10b 形成層 11 穴 12 根 13 穂木 13a 挿入部 13b 形成層 13c 表皮及び初生皮層 14 クリップ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穂木を挿入する台木に貫通孔を形成し、
    該貫通孔に穂木を挿入して、その先端部分が台木から突
    き抜けるようにして呼び接ぎを行うことを特徴とする、
    接木方法。
JP04203205A 1992-07-08 1992-07-08 接木方法 Expired - Fee Related JP3101843B2 (ja)

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JPH0622646A JPH0622646A (ja) 1994-02-01
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KR20010074114A (ko) * 2001-03-26 2001-08-04 이기명 Cut-in 접목법

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